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平成22年度指定 スーパーサイエンスハイスクール 第1年次 CoreSSH ISEF2010 Field work Grand Awards 平成23年3月 鹿児島県立錦江湾高等学校 研究開発実施報告書

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平成22年度指定

スーパーサイエンスハイスクール

第1年次

CoreSSH

ISEF2010

Field workGrand Awards

平成23年3月

鹿児島県立錦江湾高等学校

研究開発実施報告書

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(1) 物理分野

(2) 化学分野

(3) 生物分野

(4) 地学分野

サイエンス基礎<科学基礎実験・実習>

「箔検電器を用いての静電誘導実験」 「物質の状態変化の実験」

「天気図作成」

「冷却管の操作」

「イカの解剖」「帰化植物調査」

「蒸留実験」

「コンパスを使ったフィールドワーク」

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(5) 科学基礎数学 (6) 科学英語

錦江湾洋上体験学習 フェリー内部の説明と操船体験錦江湾洋上体験学習 「錦江湾のなりたち」

鹿児島大学総合研究博物館館長 大木公彦教授

サイエンスキャリアイベント「機能性化粧品開発」 サイエンスキャリアイベント「未来の創薬」

授教宏雅藤後院究研学工院学大学大州九者究研子朋代田ムルィフ士富

サイエンス基礎<錦江湾洋上体験・キャリアイベント>

「Periodic Table in English」「完全数と友愛数について」

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(1) Aコース 生物実験(ウニの受精と発生の観察) 8月3日(火)・4日(水)

(2) Bコース 化学実験(生理活性化合物の化学) 8月3日(火)・4日(水)

(3) Cコース 物理(ネツとユレの不思議な現象)波の実験 8月3日(火)・4日(水)

(4) Dコース 地学(錦江湾沿岸の地形と地質観察会) 8月25日(水)~26(木) 1泊2日

「ウニの受精実験」

「ペーパークロマトグラフィ」 「カフェインの濃縮」

「二酸化炭素の液体の観察」 「人工衛星追尾アンテナの説明」

「開聞岳川尻海岸での海岸砂採集」 「桜島 扇状地の観察」

「ウニの幼生」

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「円柱面への円の詰め込み問題」 「ゲーム”砂漠の中へ”~未証明だった予想の解決~」

鹿児島大学教育学部 磯 川 幸 直 教授 鹿児島大学大学院理工学研究科 伊藤 稔准教授

「水面波の研究」 「桜島の噴火に伴う火山雷の特徴」

鹿児島大学大学院理工学研究科 秦 浩起 准教授 京都大学火山活動研究センター 井口 正人准教授

「桜島大根を救え!」~大根焼酎の開発~ 「酸化鉄を使った太陽電池の開発」

鹿児島大学農学部 鮫島 吉廣特任教授 鹿児島大学大学院理工学研究科 楠元 芳文 教授

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「ダイコンの辛み成分研究」 「ヒメアマエビの成熟について」

鹿児島大学大学院理工学研究科 内海 俊樹 教授 鹿児島大学水産学部水産学科 大富 潤 教授

「環境ストレスとダイコンの辛みとの関連性」 「錦江湾に侵入した外来植物の研究」

鹿児島大学農学部生物生産学科 岡本 繁久 准教授

「オトシブミの卵をめぐる3種の寄生蜂のミクロな競争」 「流星の立体視」

鹿児島大学農学部生物生産学科 津田 勝男 教授

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日本地球惑星科学連合2010年大会での発表(幕張メッセ) 国際シロイヌナズナ研究会議での英語によるプレゼン

「桜島の火山雷の研究」鹿児島県初の最優秀賞 コアSSH「ダイコン多様性研究」

国際科学技術フェアISEF2010サイエンスリポート(黒瀬)・サイエンスリポート(SSⅢ寄生蜂班中山・岡元)

(アメリカ,カリフォルニア州サンロゼ)

第8回日本科学技術チャレンジ2010(東京) 桜島の火山雷特徴(天文物理研究部)

審査員奨励賞のSSⅡ寄生蜂班 鹿児島県勢初のISEF2011日本代表(世界大会派遣)

学会・国際学会・科学コンテスト発表

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「かごしまおもしろ科学フェスティバル2010」7月31日 「鹿児島地方気象台での活力研修」9月13日

実験ボランティア活動(鹿児島市立科学館) 天文物理研究部が講師になり気象台職員へ講演した。

九州地区SSH担当者会での研究発表(佐賀致遠館高校) 九州地区SSH課題研究発表会での研究発表(福岡小倉高校)

全中国科学技術コンテスト視察及び日中理数重点校教師交流会 タイ王国全国科学コンテスト及び日タイ教師交流会事例発表

)クコンバ・イタ()市州広国中(表発例事

各種交流会・九州地区課題研究発表会

地域連携(イベント参加・気象台講演)

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第1回研究会(鹿児島大学理学部)・ダイコン多様性研究コンソーシアムメンバー

国際シロイヌナズナ研究会議コアSSH発表チーム(横浜) 第1回研究会:英語ポスター披露(鹿児島大学)

ダイコン多様性キャリア講演会(鹿児島県立博物館) 三学会九州例会での学会発表(鹿児島大学)

ダイコン多様性研究コンソーシアム・コアSSH

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あ い さ つ

鹿 児 島 県 立 錦 江 湾 高 等 学 校

校 長 宮 原 景 信

全国的に理数離れが叫ばれ,文部科学省も学習指導要領の改訂やスーパーサイエンスハイ

スクール(SSH)事業の拡充など,理数教育の充実に取り組んでいます。SSH事業は,

科学技術・理科・数学教育を重点的に行う高等学校等を指定し,大学や研究機関等との密接

な連携の下に将来の国際的な科学技術系人材の育成に資することを目的とし,本校を含め1

25校が指定されています。本校は本年度,再指定を受け6年目になり,理数科を主対象に,

新たに次のような3つの仮説の検証に取り組みます。

再指定1年次の取組としては,1年生は7月にサイエンスキャリアイベントとして企業や

大学の研究者講演を聴講する大学訪問を行いました。また,従来の鹿児島大学と連携した実

験講座で,研究室紹介を充実させた物理・化学・生物実験を行いました。また,サイエンス

基礎においては,鹿児島地方気象台と連携し,気象台施設見学を取り入れました。

2年生は,12班に分かれ,そのうち10班が鹿児島大学(理学部,農学部,水産学部),

他に京都大学,東北大学,九州大学と連携して課題研究を行いました。

3年生は,全員による英語要約文を付けた課題研究のまとめ,科学コンテストや各種学会

発表,AO入試・推薦入試への対応を行い,国際学会(国際シロイヌナズナ研究会議)にお

けるポスター発表や,JSECを始めとする全国科学コンテスト等において上位入賞して,

国際性やスーパーサイエンス研究の深まりが見られ,オトシブミの寄生蜂の研究班は3月に

日本代表として,タイ王国の科学研究発表会,火山雷の研究班も日本代表として5月にロサ

ンゼルスで行われるISEF2011に出場します。

本校SSHの成果普及の取組として,昨年度から「ダイコン多様性」共同研究のコアSS

Hを推進し,県内6校県外14校とともに研究を行っております。

本誌は,再指定初年次報告書として1年間の生徒の活動の全容と,関係職員による指導の

軌跡を記録しました。これまで実践してきた研究開発とその結果がまとめられております。

今後とも,多くの関係者の方々からの御指導・御助言をいただきながらSSH事業や理数

科教育を推進してまいりますので,御協力のほどをよろしくお願いいたします。

最後に,SSH事業の推進にあたり,御指導・御協力いただいた運営指導委員の方々をは

じめ,連携・協力いただいた大学や研究機関等の先生方に深く感謝申し上げます。

Ⅰ 鹿児島の豊かな自然環境をテーマとした体系的な科学的体験学習・調査研究活動を通じた

教育活動による科学系人材の探究心や思考力の育成。

Ⅱ 大学等への高大連携,高大接続教育の在り方だけでなく,生徒一人一人の進路意識を高揚

させるSSHを活かしたキャリア教育の在り方の研究。

Ⅲ Ⅰ・Ⅱの課題を達成するための理数系教材や教科指導法の開発や成果普及。

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I 通常枠に関する報告

第1章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約) ・・・・ 1

第2章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題 ・・・・・・ 5

第3章 研究開発の概要

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)・・・・ 7

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

第4章 平成22年度における研究開発の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

第5章 研究開発の内容

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)

(1) 研究の仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

(2) 研究の内容及び方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

<サイエンス基礎> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

ア 「サイエンスウィーク」「サイエンスキャリアイベント」の実施 ・・・・・・・・ 15

イ 「サイエンス情報」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

ウ 国際性を高める取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

エ サイエンス基礎での少人数指導とティームティーチング指導 ・・・・・・・・・・ 15

① サイエンス基礎の実施期間・場所等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

② サイエンス基礎の実施内容(概要) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

③ 必要となる教育課程の特例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

④ 「錦江湾洋上体験学習」実施状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

⑤ 「科学基礎実験・実習」実施状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

⑥ 「科学基礎実験・実習」についての検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

⑦ 「サイエンスウィーク」実施状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

⑧ 「サイエンスウィーク」についての検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)

(1) 研究の仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

(2) 研究の内容及び方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

ア サイエンス基礎・SSⅡ・Ⅲによる高大連携・高大接続の在り方について ・・・・ 29

イ SSⅡの研究テーマ及び連携先 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

ウ 鹿児島大学等との連携による課題研究(SSⅡ)の実践例 ・・・・・・・・・・・ 31

(ア) テーマ「円柱面への円の詰め込み問題」(鹿児島大学教育学部) ・・・・・・・ 31

(イ) テーマ「桜島の火山雷」(京都大学火山活動研究センター) ・・・・・・・・・ 33

(ウ) テーマ「ダイコンの辛み成分に関する研究」(鹿児島大学大学院理工学研究科)・ 35

エ SSⅢの実施内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

(3) 研究の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

ア 学校設定科目「SSⅡ」の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

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イ SSⅡの生徒の感想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

ウ 学校設定科目「SSⅢ」の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

エ 国際性を高める取組の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

オ 理科系部活動の活性化の検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)

(1) 教材開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

(2) 研究成果の普及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

第6章 全体としての実施の効果とその評価

1 入学生の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47

2 志願者数の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48

3 進路への効果(生徒・保護者調査) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

4 教職員の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51

5 サイエンスキャリアイベントの評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52

第7章 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及

1 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向 ・・・・・・・・・・・・・・ 53

2 成果の普及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56

第8章 資 料

1 運営指導委員会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

2 サイエンスウィークポスター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65

3 教育課程表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76

4 新聞等本校SSH活動掲載記事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79

Ⅱ コアSSHに関する報告

第1章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約) ・・・・ 1

第2章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題 ・・・・・・ 3

第3章 研究開発の概要

1 研究開発の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

2 研究開発の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

3 研究開発の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

4 各連携校の研究要旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5 実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46

6 研究開発上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及 ・・・・・・・・・・・・ 48

第4章 資料

1 運営指導委員会・研究会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

2 新聞等掲載記事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

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― 1―

別紙様式1-1

鹿児島県立錦江湾高等学校 22~26

第1章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)

① 研究開発課題

国際性豊かな,創造性・独創性を持った科学系人材を育成するための理数系教育プログラム

「錦江湾スーパーサイエンスプラン」の研究開発として,次の課題を設定する。

I(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)鹿児島の豊かな自然環境をテーマと

した体系的な科学的体験学習・調査研究活動を通じた教育活動による国際性豊かな科学系人材

の探究心や思考力の育成

Ⅱ(高大連携とキャリア教育)大学等との高大連携,高大接続の在り方だけでなく,生徒一人一人

の進路意識を高揚させるSSHを活かしたキャリア学習の在り方についての研究

Ⅲ(教材開発と成果普及)Ⅰ・Ⅱの課題を達成するための理数系教材や教科指導法の開発や成果

の普及

② 研究開発の概要

錦江湾SSPとして,「サイエンス基礎」における科学基礎実験・実習及び科学講演会・大学等研究

施設見学,「サイエンスウィーク」や「サイエンスリサーチ」における鹿児島の豊かな自然環境をテー

マとした課題研究等を行う。

特に,「サイエンスリサーチ」においては,鹿児島大学等の研究機関と連携して課題研究による高度

な実験・観察技術の習得,データの収集・分析能力の習得を行う。

さらに,「国際性を高める研究開発」や「高大連携及び接続の在り方についての研究開発」について

は,サイエンスリサーチ・サイエンスキャリアでの活動を中心として生徒・教職員の交流を深める中

で,大学進学後の研究につながる興味・関心等の喚起,大学進学後の研究につながる基礎的素養の習

得,推薦入試・AO入試等に対応できる力の育成等に取り組む。

科学系部活動も積極的に活動させ,国際学会・科学コンテスト等に積極的に参加させる。各取組にお

いて評価・点検を行い,最終年次の成果発表会に向けて,以上の活動を充実させる。

③ 平成22年度実施規模

1 理数科1~3年 各2クラス(計240名)を対象に実施。本年度は1・2年生理数科を主対象。

2 講演会・大学との連携講義・部活動等については,理系コースを中心とした普通科生徒へも対象を拡

大して実施した。(普通科1学年200名・2学年5名 計205名)

④ 研究開発内容

○ 研究計画

1 1年次(平成22年度)…理数科1年生を対象に以下の学校設定科目の研究開発を行う。

(1) サイエンス基礎(理数科1年生対象)

ア 錦江湾洋上体験学習(普通科1年生も全員対象)

イ サイエンスキャリアイベント(企業・大学の研究者講話及び大学訪問)

ウ 科学基礎実験(数学基礎・物理・化学・生物・地学・科学英語の各分野)

エ サイエンスウィークと事前・事後学習(キャリア教育的側面を深め同時に研究室見学実施)

(2) サイエンスウィーク(4コースに分け実施)

(3) サイエンス情報(理数科1年生対象)…プレゼンテーションソフト操作・ポスター作成演習

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(4) スーパーサイエンスⅡ(SSⅡ:理数科2年生対象)

鹿児島大学理学部,農学部,水産学部,教育学部,京都大学火山活動研究センター,鹿児島地

方気象台と連携しての課題研究

(5) スーパーサイエンスⅢ(SSⅢ:理数科3年生対象)

課題研究のまとめ(論文・英文要約作成),各種発表会への参加,推薦・AO入試への対応

(6) 教材開発及び研究成果の普及

ア コアSSH(全国コンソーシアム)「ダイコン多様性研究」の実施,教材開発

イ 国際発表…国際シロイヌナズナ研究会議(6/7主催機関:理化学研究所等)英語生徒発表

日中理数重点校教師交流会(8/10「錦江湾高校のSSH概要」教師発表)

タイ王国の生徒研究会・教師交流会(3/19 英語による生徒・教師発表)

ウ 学会発表…日本地学教育学会錦江湾高校の課題研究の取組(8/21 教師発表)

エ 県教育界への発信…平成22年度未来を拓く鹿児島の教育シンポジウム(8/3 教師発表)

県高校理科部会誌に投稿

オ 全国教育界への発信…平成22年度中等教育資料10月号錦江湾高校のSSH取組誌上発表

SSH科学系部活動ならびに課題研究に関する指導者講習会事例発表(11/22 福岡小倉高)

SSH情報交換会での課題研究部門での発表(12/26 東京)

カ 地域連携…鹿児島市立科学館主催青少年のための科学の祭典(7/31,8/1生徒・教師発表)

県立博物館ボランティア参加・鹿児島地方気象台での天文物理研究部による研修会(9/13)○ 教育課程上の特例等特記すべき事項

1 理数科1年…(1) 教科「情報」科目「情報A」2単位に代え,学校設定科目「サイエンス情報」

2単位を設定。(2) 総合的な学習の時間1単位及び理数科目の1単位に代え,学校設定科目「サイ

エンス基礎」2単位を設定。

2 理数科2年…総合的な学習の時間1単位及び理数科目の1単位,合計2単位に代え,学校設定科目

「スーパーサイエンスⅡ」2単位を設定。

3 理数科3年…総合的な学習の時間1単位に代え,学校設定科目「スーパーサイエンスⅢ」1単位

を設定。

○ 平成22年度の教育課程の内容

1 理数科1年「サイエンス基礎」・「サイエンス情報」(学校設定科目各2単位)

2 理数科2年「スーパーサイエンスⅡ」(学校設定科目 2単位)

3 理数科3年「スーパーサイエンスⅢ」(学校設定科目 1単位)

○ 具体的な研究事項・活動内容

1 サイエンス基礎(毎週水曜日5・6時間目に設定)

科学の基礎知識の習得や実験実習の方法の習得,2年生での課題研究へのつながりを目標とした

「科学基礎実験」と国際性を高める実習として「科学英語実習」,指数対数関数や有効数字,比例

計算を扱う「数学基礎」を実施した。実施内容を以下に示す。

(1) 錦江湾洋上体験学習 (講師 鹿児島大学総合研究博物館館長 大木公彦教授)

(2) サイエンスキャリアイベント(以下,「 」内は演題)

ア 「最先端の科学技術を支えるナノ・バイオテクノロジー」崇城大学 新海 征治教授

イ 「ナノテクノロジーが変える未来の創薬技術」九州大学 後藤 雅宏教授

ウ 「ナノ乳化物と機能性化粧品の開発」富士フィルム 田代 朋子研究員

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― 3―

エ 「ガンのミサイル療法・狙って治す最先端ガン治療法」崇城大学 前田 浩教授

(3) サイエンスウィーク

夏季休業中に理数科1年生80名を興味・関心や進路希望に沿って,4コースに分け,レポート作

成や発表・発表用ポスター作成などの時間を設定して実施した。

○ キャンパスラボ…8/3~4 鹿児島大学理学部,各実験室

A ウニの受精と発生の観察,B 生理活性化合物の化学,C ネツとユレの不思議な現象

○ フィールドワーク…8/25~26 阿多カルデラ,姶良カルデラ,シラス台地巡検

D 錦江湾岸の地形と地質の観察会

3 スーパーサイエンスⅡ(SSⅡ 毎週月曜日5・6時間目に設定)

理数科2年生の大部分の生徒が理科や数学の課題研究を鹿児島大学等と連携して取り組む。

鹿児島大学等に出向き,研究室内の施設を利用し,大学の先生方やTAに直接指導を受ける。

本年度は,鹿児島大学理工学研究科,農・水産・教育学部や京都大学,鹿児島地方気象台と10

グループが連携した。(SSⅡ:全45日,延べ252時間,サイエンス基礎:延べ3日間,36時間)。

4 スーパーサイエンスⅢ(SSⅢ 毎週金曜日7時間目に設定)

SSⅡでの課題研究を英文要約付き科学論文にまとめ,各種発表会(国際学会や全国SSH生徒

発表会・中国四国九州理数科課題研究発表会等)への参加,推薦・AO入試等への対応を行った。

⑤ 研究開発の成果と課題

○ 実施による成果とその評価

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)

(1) 成果

サイエンス基礎では,実施内容の精選・変更や,指導方法の改善,新たなフィールドワークの

模索を行いながら実施した。特に,鹿児島地方気象台と連携した「気象台見学会」を初導入し

て,気象や地震・火山についての興味関心を向上させた。

(2) 評価

アンケートから,科学基礎実験・実習について,実験指導法の改善により,理解力や観察力・

考察力を向上させるとともに,研究や実験をすることの楽しさを向上させている。また,8割近

い生徒が「理科や数学を学ぶ意欲が高まった」と回答しており,全体的に高い効果があった。科

学英語では6割を越える生徒が学ぶ意欲が高まったと回答した。

課題研究の英語発表に伴う指導については,従来からの英語科教諭及び理系の大学を卒業した

外国語指導助手による英作文・発音指導と,鹿児島大学や東北大学,京都大学による英語科学論

文指導を受けながら,英文ポスター,アブストラクトの翻訳,プレゼンテーションを完成させ,

国際舞台である国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国での研究発表を行い,高く評価された。

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)

(1) 成果

キャリア教育的な側面を深めるために,「サイエンスウィーク」で研究室見学を取り入れた

り,サイエンスキャリアイベントでは,企業研究,大学の薬学,医学,化学など応用系の講座を

多くしたりした。

全12班のうち,高大連携は10班,1班は鹿児島地方気象台との連携を行った。連携先も京

都大や東北大などにまで広げることができた。また,生徒課題研究発表会を「鹿児島大学工学部

稲盛会館」で実施することができた。

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(2) 評価

課題研究の内容が「6年間で全体的にかなりレベルが上がり,大学の卒論レベルのものが多く

なった」,「どの研究内容も甲乙つけ難い」との評価を,運営指導委員・大学の先生方・他校の

教員・保護者等から頂いた。日本地球惑星科学連合や日本水産学会などで全国1位に入賞しJS

EC2010において科学技術政策担当大臣賞入賞を果たし,来年5月に米国で開催されるIS

EF2011の鹿児島県初の日本代表となった。これら受賞した班のみが特別ではなく,レベル

の高い班同士が競い合う中での受賞であることが評価できる。

また,研究成果の推薦入試・AO入試・一般入試への活用が進み,昨年度以上の成果が出た。

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)

(1) 成果・評価

ア 教材開発

前指定時のSSIにおける科学基礎実験の内容が既に開発されており,これを基本に各教科

で,実験集として編纂していく作業を進め,平成24年度を目安に,完成させる計画である。

また,コアSSHのダイコン多様性研究では,コンソーシアムで映像教材,自作分光計を開

発し,Web公開を始めることができた。

イ 研究成果の普及

本年度は,生徒による国際的な研究発表を2件(6月国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王

国での生徒発表会参加),教師による国際的な事例発表を2件(8月の日中理数重点校教師交

流会,タイ王国の教師交流会)行うことができた。

さらに錦江湾高校の課題研究の取組を,8月の日本地学教育学会での口頭発表,中等教育資

料10月号への誌上発表,12月のSSH情報交換会での事例発表,県教育界への発信として県教

委主催の「未来を拓く鹿児島の教育シンポジウム」での事例発表等を行うことができた。

○ 実施上の課題と今後の取組

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)

国際性を高める取組については,1年次の科学英語の実施や3年次の英文要約作成が定着してき

た。次の段階として,外国語指導助手や英語教諭とのTT指導に加えて,大学講師による国際発表

講座等を企画したい。

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)

2年生における課題研究のテーマの発見やキャリア意識を高めるために,1年生にサイエンスキ

ャリアイベントなどを新規実施することができた。サイエンス基礎の時間だけでなく,担任や進路

と連携してキャリアプランニングを充実させることで,進路と課題研究のテーマ・連携学部をマッ

チさせることができれば,更に高い効果が得られると思われる。

鹿児島大学,京都大学,東北大学との高大連携に加えて九州大学との連携を深め,その成果をコ

アSSHの形で発展させることができた。さらに,その成果を深めるために再指定を申請した。

今年度以上に推薦入試・AO入試への活用を図るため,大学入試に対しての情報収集と分析が重

要になってくるとともに,進路に対応した研究論文内容の充実も必要である。

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)

教材開発について本年度はコアSSH中心に映像教材,自作教材を開発して,Web 公開を始める

ことができた。来年度から2年間で実験集にまとめていきたい。

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別紙様式2-1

鹿児島県立錦江湾高等学校 22~26

第2章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題

① 研究開発の成果 (根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること)

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)

(1) サイエンス基礎

サイエンス基礎では,前指定で開発してきた物理・化学・生物・地学・数学・科学英語の「科学

基礎実験・実習」・「サイエンスウィーク」の実施内容の精選・変更や指導方法の改善,新たなフ

ィールドワークの模索を行いながら実施した。

特に,本年は鹿児島地方気象台と連携した「気象台見学会」を初導入して,気象や地震について

の興味関心を向上させたり,姶良カルデラ,阿多カルデラを代表とする鹿児島の豊かな火山地形を

活かしたフィールドワークとして巡検ルートの開発を行った。

(2) 国際性を高める取組

課題研究の英語発表に伴う指導については,従来からの英語科教諭及び理系の大学を卒業した外

国語指導助手による英作文・発音指導と,鹿児島大学や東北大学,京都大学による英語科学論文指

導を受けながら,英文ポスター,アブストラクトの翻訳,プレゼンテーションを完成させ,国際舞

台である国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国での研究発表を行い,高く評価された。

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)

キャリア教育的な側面を深めるために,「サイエンスウィーク」で研究室見学を取り入れたり,従

来の科学講演会を深化させた「サイエンスキャリアイベント」では,企業研究,大学の薬学,医学,

化学など応用系の講座を多くしたりした。

2年生の課題研究(SSⅡ)において,全12班のうち,高大連携は10班,1班は鹿児島地方気

象台との連携を行った。連携先も京都大や東北大,鹿児島地方気象台にまで広げることができた。

課題研究の内容が「6年間で全体的にかなりレベルが上がり,大学の卒論レベルのものが多くなっ

た」・「どの研究内容も甲乙つけ難い」との評価を,運営指導委員・大学の先生方・他校の教員・保

護者等から頂いた。実際に,課題研究の複数の研究班やサイエンスクラブが,日本水産学会や日本地

球惑星科学連合高校生部門などで鹿児島県初の全国1位に入賞したり,JSEC2010において最

終選考会において公立高校で唯一グランドアワード入賞を果たし,来年5月に米国で開催されるIS

EF2011の鹿児島県初の日本代表となった。これら受賞した班のみが特別ではなく,レベルの高

い班同士が競い合う中での受賞であることが評価できる。

また,研究成果の推薦入試・AO入試・一般入試への活用が進み,昨年度以上の成果が出た。

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)

(1) 教材開発

平成18年度から開発してきた科学基礎実験・実習(物理・化学・生物・地学・数学・科学英語)

における指導法について,これを基本に各教科で,実験集として編纂していく作業を進め,平成24

年度を目安に,完成させる計画である。

また,コアSSHのダイコン多様性研究では,コンソーシアムで映像教材,自作分光計を開発

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し,Web公開を始めたり,理科の実験教材のデータの収集を図ったりすることができた。

(2) 研究成果の普及(主なもの)

ア 生徒による国際的な研究発表

・ 6月国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国での生徒発表会における英語による研究発表

イ 教師による国際的教育集会での事例発表

・ 8月の日中理数重点校教師交流会やタイ王国の教師交流会における事例発表

ウ 教師による学会・教育集会事例発表

・ 8月の県教委主催の「未来を拓く鹿児島の教育シンポジウム」事例発表

・ 8月の日本地学教育学会(鹿児島大会)での口頭発表

・ 中等教育資料10月号への誌上発表

・ 10月の九州地区SSH担当者交流会における事例発表(佐賀致遠館高)

・ 11月の科学系部活動並びに課題研究に関する指導者研修会における事例発表(福岡小倉高)

・ 12月のSSH情報交換会での事例発表

・ 3月の鹿児島県高等学校教育研究会理科部会誌への誌上投稿(事例発表)

② 研究開発の課題 (根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること)

1 研究開発課題Ⅰ(鹿児島の自然を生かした国際性豊かな科学系人材の育成)

(1) 「サイエンス基礎」・「サイエンスリサーチ」指導者の確保

・ 「サイエンスリサーチ(SSⅡ)」において,指導の徹底や研究の深まりを考えると班の人数

をより少なくする必要であった。また,職員減という事情もあり,理科・数学を核にしながら,

情報科・体育科・家庭科・英語科にも連携を深め,組織も改善して,全校体制をより進める必要

がある。

・ さらに,SSH推進組織の改善も行い,一層全校体制をより進める。

2 研究開発課題Ⅱ(高大連携とキャリア教育)

(1) 「サイエンス基礎」・「サイエンスリサーチ」・SSⅢにおけるキャリア教育的な取組の充実

課題研究のテーマの発見や科学者,研究者としての勤労観・職業観をより高めるために,従来の

科学講演会を深めて,サイエンスキャリアイベントを行った。担任や進路指導部,普通科の総合的

な学習の時間と連携して,キャリアプランニングの充実を図り,進路志望によりマッチした課題研

究のテーマになるようにする。

3 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)

(1) 高大連携で得られた課題研究や探究活動の教材化・ガイドブック作成

(2) コアSSH「ダイコン多様性研究」の再指定及び教材化・成果普及の推進

4 職員減に伴うSSH事務・経理等の業務の適正化

・ コアSSH再指定申請を行い,事務員の確保や連携を進め,業務分担の適正化を図る。

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第3章 研究開発課題の概要本校は平成17年度より,鹿児島の恵まれた自然環境と地元の国立大学である「鹿児島大学」との連

携を生かしながら「豊かな科学的創造性・独創性を持ち,将来国際的に活躍できる科学技術系人材の

育成」及び「鹿児島大学等との高大連携及び高大接続」について5年間研究し,「スーパーサイエン

スI」,「スーパーサイエンス情報」,「スーパーサイエンスⅡ」,「スーパーサイエンスⅢ」の教育課

程を開発してきた。

3年次終了時に行われる文部科学省による中間評価で,研究開発の全体的な活動について,校務分

掌にSSH部を位置づける体制などおおむね良好であるが,特定の大学に依存しているため,他県の

大学や研究機関との連携や他校への波及効果が望まれるというコメントを頂いた。

そこで成果普及の取組として,平成21年度から,SSH全国コンソーシアムである「ダイコン多様

性の研究」の幹事校として,課題研究の成果を他校に普及する取組を強化した。さらに,鹿児島大学

を中心にして京都大学,東北大学,九州大学等との高大連携や鹿児島市都市農業センター,鹿児島県

農業開発総合センター,鹿児島地方気象台などの研究機関に連携を広げた。その成果として,外国語

による国際学会発表として,平成21年度は皆既日食観測班(「国際標準電離層委員会」)と深海エビ研

究班(「国際甲殻類学会」),平成22年度においてはダイコン研究の生物班と化学班(「国際シロイヌナ

ズナ研究会議」)においてポスター発表を行った。さらに,朝日新聞主催のJSEC2009と201

0で九州で初めて2年連続グランドアワード受賞を果たしたり,日本水産学会春の例会や日本地球惑

星科学連合大会2010の高校生部門の全国大会において上位入賞など実績を上げている。

平成21年度までの取組が評価され,本年度から通常枠5年間とコアSSH「ダイコン多様性研究」

の再指定を受けることができた。平成22年度も前年同様にレベルの高い高大連携と鹿児島の豊かな自

然をテーマにした課題研究を実施することができ,多くの研究班で昨年度以上の成果をあげることが

できた。

1 研究開発課題Ⅰ

鹿児島の豊かな自然環境をテーマとした体系的な科学的体験学習・調査研究活動を通じた教

育活動による国際性豊かな科学系人材の探究心や思考力の育成

(1) 研究のねらい

国際性豊かな科学系人材を育成するための活動として,理数科1年生対象の「スーパーサイエ

ンスI」にキャリア教育的取組を深めた「サイエンス基礎」を設定した。この導入として「錦江

湾洋上体験学習」を行い,「科学基礎実験」や「科学英語実習」で科学の基礎・基本を学ぶ。ま

た,「サイエンスウィーク」でフィールドワークや大学での実験の体験学習と研究室訪問等の上

級学校への知見を深めることで,科学に対する興味・関心を高めるとともに,自然科学の研究に

必要な基礎基本事項と同時に科学者・研究者としての在り方や生き方を考えるキャリア教育的素

養を身に付けさせる。また,「科学講演会」にキャリア教育的な視点を加えた「サイエンスキャ

リアイベント」により先端科学や企業研究の現状を学んだり,上級学校の進路学習を行ったりし

て,視野を広げるとともに2年生での課題研究のヒントを探す。

(2) 研究の概要

① サイエンス基礎の概要

ア 実施期日・場所等

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(ア) 期 間 平成22年4月~平成23年3月末日(1年間)

(イ) 時 間 サイエンス基礎の時間(水曜日5・6時間目)

サイエンスウィーク(フィールドワーク)は夏季休業中

(ウ) 場 所 各教室・各実験室他

(エ) 対 象 理数科1年生

イ 本年度の実施内容

(ア) オリエンテーション

(イ) 科学基礎実験・実習(数学,物理,化学,生物,地学,科学英語)

(ウ) 錦江湾洋上体験学習(4/12講師 鹿児島大学総合研究博物館館長 大木公彦教授)

(エ) サイエンスキャリアイベント(大学訪問,先端科学者講話)

(オ) サイエンスウィーク(夏季休業中・4コース)及び,事前事後学習と発表準備

② サイエンスキャリアイベント(大学訪問,先端科学者講話)

ア 「最先端技術を支えるナノ・バイオテクノロジー」新海 征治教授(崇城大学工学部)

現在日本を取り巻く状況と未来の日本の科学技術があるべき姿,そして,そこに貢献すべ

き「現代の若者」が「今」なすべき事について,幅広い分野から講演された。

イ 「ナノテクノロジーが変える未来の創薬技術~注射不要への挑戦~」

後藤 雅宏教授(九州大学大学院工学研究院応用化学部門)

最近のドラッグデリバリーシステムについて,創薬開発における科学者の役割と製薬開発

におけるいくつかの重要な課題を紹介された。

ウ 「ナノ乳化物と機能性化粧品『アスタリフト』の開発」田代 朋子研究員

(富士フィルムR&D統轄本部ライフサイエンス研究所)

富士フィルムが発売している「アスタリスト」の商品開発の中心メンバーである田代研究

員から,化粧品開発の秘訣について講演された。

エ 「ガンのミサイル療法・狙って直す最先端ガン治療法」前田 浩教授(崇城大学薬学部)

薬物輸送システムをガン治療に適用するために有効な,「EPR効果」を用いた「ガンの

ミサイル療法」について解説し,次世代型のガン治療についてその効果と将来性を,研究の

進捗状況を交えながら講演された。

③ 科学基礎実験・実習実施状況

ア 1年理数科80人を4班に分けて,数学・物理・化学・生物・地学・科学英語の各分野を

学習し,生徒はローテーションで,毎週異なる科目の実験を行う。

イ 実施内容

科 目 第1回 第2回 第3回 第4回

数 学 指数・対数・比例計算・グラフ

物 理 静電気実験 落体の運動 物質状態変化 波の性質を調べよう

化 学 化学実験の留意事項と基本操作 中和滴定 果物の香りをつくろう 金属イオンの分離

生 物 ミクロの世界をのぞいてみよう 校内の帰化植物調査 イカの解剖 土の中の小動物

地 学 天気図の作成 コンパスを使ったフィールドワーク 鹿児島地方気象台見学

科学英語 GlobalWarming Periodic Table in English THE PURPOSE OF SHAPE What is "NICHE"?

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④ サイエンスウィーク

ア 実施概要

夏季休業中に理数科1年生80名を興味・関心や進路希望に沿って,以下の4コースに分け,

実施し,レポート作成や発表・発表用ポスター作成などの時間を設定して実施した。

A キャンパスラボ(生物実験) ウニの受精と発生の観察 8/3~4

B キャンパスラボ(化学実験) 生理活性化合物の化学実験 8/3~4

C キャンパスラボ(物理実験) ネツとユレの不思議な現象 8/3~4

D フィールドワーク(地学巡検)錦江湾沿岸の地形と地質観察会 8/25~26

イ 実施内容

A 生物実験(ウニの受精と発生の観察)8月3日(火)・4日(水)生徒18名参加

内容:鹿児島大学理学部の実験室での講義及び実験。

講師:鹿児島大学大学院理工学研究科生命化学専攻 准教授 塔筋 弘章

場所:鹿児島大学理学部3号館 現地集合解散

B 化学実験(生理活性化合物の化学)8月3日(火)・4日(水)生徒24名参加

内容:鹿児島大学理学部の実験室での講義及び実験。

講師:鹿児島大学大学院理工学研究科生命化学専攻 准教授 岡村 浩昭

場所:鹿児島大学理学部 現地集合解散

C 物理実験(ネツとユレの不思議な現象)8月3日(火)・4日(水)生徒19名

内容:鹿児島大学理学部の実験室で講義及び実験

講師:鹿児島大学大学院理工学研究科物理・宇宙専攻 准教授 秦 浩起

場所:鹿児島大学理学部 現地集合解散

D 地学巡検(錦江湾沿岸の地形と地質観察会)8月25日(水)~26(木)生徒19名

内容:錦江湾沿岸の様々な火山地形,地熱現象やシラス台地など地学巡検

場所:南薩(指宿,山川方面)および大隅半島(鹿屋,桜島)(バス借上による移動)

2 研究開発課題Ⅱ

大学等への高大連携,高大接続の在り方だけでなく,生徒一人一人の進路意識を高揚させる

SSHを活かしたキャリア学習の在り方についての研究

(1) 研究のねらい

課題研究等による鹿児島大学等との密接かつ継続的な高大等連携を実施することにより,高度

な実験・観察技術の習得,データの収集・分析能力の習得を行い,科学への視野を広げ,学問的

な関心を喚起するとともに,生徒の意欲の向上と進路に対する意識を高め,大学進学後のより高

度な研究・学習との連続性を持つことができる。また,年間を通しての継続的な連携により,将

来的な高大接続への足がかりとする。

(2) 研究の概要

① スーパーサイエンスⅡ(SSⅡ)の概要

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ア 期 間 平成22年4月~平成23年3月末日(1年間)

イ 期 日 SSⅡの時間(月曜日5・6時間目)及び土・日・長期休業中

(大学等の都合及び自然条件等で,学校行事等に支障の無い範囲で上記以外も

実施する場合あり。)

ウ 場 所 本校理科実験室・鹿児島大学各研究室・他の研究機関・フィールド等

エ 主対象 理数科2年生

オ 引率者 理科・数学担当者

カ 課題研究テーマ及び連携先

教科 研究テーマ 生徒数 連絡先

数学 円柱面への円の詰め込み問題 6名 鹿児島大学教育学部 磯川 幸直教授

ゲーム”砂漠の中へ”未証明だった予 7名 鹿児島大学大学院理工学研究科

想の解決 数理情報科学専攻 伊藤 稔准教授

物理 水面波の研究 7名 鹿児島大学大学院理工学研究科

物理・宇宙専攻 秦 浩起准教授

放電発光現象の研究 7名 京都大学防災研究所附属

~火山雷とスプライト~ 火山活動研究センター 井口 正人准教授

鹿児島地方気象台

鹿児島大学大学院理工学研究科

地球環境学専攻 宮町 宏樹 教授

化学 酸化鉄を使った太陽電池の開発 3名 鹿児島大学大学院理工学研究科

生命化学専攻 楠元 芳文 教授

ダイコンの辛み成分に関する研究 8名 鹿児島大学大学院理工学研究科

生命化学専攻 内海 俊樹 教授

九州大学大学院農学研究院

丸山 明子准教授

桜島大根を救え!(大根焼酎の開発) 8名 鹿児島大学農学部生物資源化学科

鮫島 吉廣 教授

生物 ヒメアマエビの成熟について 8名 鹿児島大学水産学部水産学科

大富 潤 教授

オトシブミの卵をめぐる3種の寄生蜂 9名 鹿児島大学農学部生物生産学科

のミクロな競争 津田 勝男 教授

環境ストレスとダイコンの辛みとの関 4名 鹿児島大学農学部

連性 生物生産学科 岡本 繁久准教授

生物資源化学科 松尾 友明教授

錦江湾に侵入した外来植物の研究 8名 連携なし

地学 流星の立体視 7名 連携なし

③ スーパーサイエンスⅢ(SSⅢ)の概要

ア 期 間 平成22年4月~平成23年2月

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イ 期 日 SSⅢの時間(金曜日7時間目)及び土・日・長期休業中

(大学等の都合及び自然条件等で,学校行事等に支障の無い範囲で上記以外も実施

する場合あり。)

ウ 場 所 本校理科実験室・鹿児島大学等各研究室・他の研究機関・フィールド等

エ 主対象 理数科3年生

オ 課題研究テーマ及び連携先

教科 研究テーマ 生徒数 連絡先

数学 ピタゴラス数を生み出す行列からの発 7名 鹿児島大学大学院理工学研究科

展 7名 数理情報学科 丸野 隆明助教

物理 リズムについて 7名 鹿児島大学大学院理工学研究科

物理・宇宙専攻 秦 浩起准教授

桜島火山の大気電場観測 6名 京都大学防災研究所附属

火山活動研究センター 井口 正人准教授

鹿児島大学大学院理工学研究科

地球環境科学専攻 宮町 宏樹教授

化学 鉄さびと色素を使った太陽電池の作成 3名 鹿児島大学大学院理工学研究科

生命化学専攻 楠元 芳文教授

ダイコンの辛み成分とその定量法につ 7名 鹿児島大学大学院理工学研究科

いて 生命化学専攻 内海 俊樹 教授

九州大学大学院農学研究院

丸山 明子准教授

ダイコン由来アミラーゼを利用した新 7名 鹿児島大学農学部生物資源化学科

しい焼酎の開発 鮫島 吉廣教授

生物 深海性甲殻類ナミクダヒゲエビの個体群 7名 鹿児島大学水産学部水産学科

生態Ⅱ 大富 潤教授

棘皮動物における染色体の研究 6名 鹿児島大学大学院理工学研究科

生命化学専攻 塔筋 弘章 教授

オトシブミとその寄生蜂の研究2009 8名 鹿児島大学農学部生物生産学科

津田 勝男教授

ダイコンの多様性~耐塩性に着目して 6名 鹿児島大学農学部生物生産学科

~ 岡本 繁久 准教授

東北大学大学院生命科学研究科

渡辺 正夫 教授

地学 太陽の研究 7名 鹿児島県立博物館

(ア) 前 期 課題研究のまとめ(英文要約・科学論文作成),各種発表会への参加,推薦

入試・AO・一般入試への対応

(イ) 後 期 進路実現にむけての学習及び指導,推薦・AO・一般入試への対応

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3 研究開発課題Ⅲ

Ⅰ,Ⅱの課題を達成するための理数系教材や教科指導法の開発や成果

(1) 研究のねらい

ア 教材開発

前指定時のSSIにおける科学基礎実験の内容が既に開発されており,これを基本に各教科で,

実験集として編纂していく作業を進め,平成24年度を目安に,完成させる計画である。

また,コアSSHのダイコン多様性研究では,コンソーシアムで映像教材,自作分光計を開発し,

Web公開を始めることができた。(詳細はコアSSHの頁で述べる。)

イ 研究成果の普及

本年度は,生徒による国際的な研究発表が2件(6月国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国で

の生徒発表会参加)や教師による国際的な事例発表が2件(8月の日中理数重点校教師交流会,タ

イ王国の教師交流会)行うことができた。さらに錦江湾高校の課題研究の取組を,8月の日本地学

教育学会での口頭発表,中等教育資料10月号への誌上発表,12月のSSH情報交換会での事例発表,

県教育界への発信として県教委主催の「未来を拓く鹿児島の教育シンポジウム」等で事例発表を行

うことができた。

ウ 実施上の課題と今後の取組

教材開発について本年度はコアSSH中心に映像教材,自作教材を開発して,Web公開を始める

ことができた。来年度から2年間で実験集をまとめていきたい。

第4章 研究開発の経緯1 平成22年度における研究開発の経緯

月 全 体 サイエンス基礎 SSⅡ・Ⅲ(高大連携関係) 発表会関係その他日 実施内容 日 実施内容 日 実施内容 日 実施内容

4 12 オリエンテーション

16 錦江湾洋上体験学習

(1年生全員) 19 オリエンテーション

2 オリエンテーション・アンケート

1 26 班分け・研究内容検討

5 9 ISEF2010(カリフォルニア・サンロ

12 科学基礎実験1-① ゼ)オトシブミ班(~17)

日本地球惑星科学連合高校生

20 重点枠ダイコン多様性研究コンソ 24 化○電 ・ 数○ゲ 22 部門(幕張)

ーシアム第1回運営指導委員会 26 科学基礎実験1-② 火山雷【最優秀賞】

[鹿児島大学・理学部] 29 物○桜 スプライト・電磁層(~23)

31 化○電 ・ 生○オ ・ 数○円

6 2 科学基礎実験1-③ 5 物○桜 5 科学技術フェスタin京都(オトシ

9 科学基礎実験1-④ 7 物○波 ・ 生○エ ・ 数○ゲ ブミ班)

16 科学基礎実験1-⑤ 15 生○エ 7 シロイヌナズナ国際学会(横浜)

19 錦江祭(サイエンスクラブ) ダイコン耐塩性班、ダイコン辛

23 科学基礎実験2-① 20 物○桜 味班(~8)

28 化○電 ・ 生○環

7 5 化○辛○電 ・ 生○エ○環 ・ 数○円○ゲ

7 科学基礎実験2-② 6 生○染

11 物○桜

14 科学基礎実験2-③ 12 物○波 ・ 化○辛 ・ 生○環 ・ 数○円

17 物○桜

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31 サイエンスキャリアイベント 31 科学の祭典

(崇城大学) 天文物理研究部

市民公開セミナー・サイエンスイ (~8/1)

ンターハイ

8 3 全国SSH生徒研究発表会 3 棘皮動物の受精と発生 2 生○エ○環

[横浜](~4)オトシブミ班【ポスタ (~4)

ー賞】 生理活性化合物の化学 7 物○桜 9 九州・中国・四国地区理数科高校課題

(~4) 研究発表会

共振(ゆするとどうなる) [香川]オトシブミ班【ポスター部門最優

18 コアSSHダイコン多様性研究コン (~4) 16 生○環 秀賞】(~10)

ソーシアム第1回研究会及び第2 21 日本地学教育学会ジュニア

回運営指導委員会 25 錦江湾一周バス巡検 セッション(鹿児島大学)天文

[鹿児島大学・理学部](~20) (~26) 物理研究部【優秀賞】

23 日本地学教育学会「桜島

巡検」天文物理研究部参

9 1 サイエンスウィークまとめ①

6 物○波 ・ 生○エ○環 ・ 数○円○ゲ

8 サイエンスウィークまとめ②

15 サイエンスウィークまとめ③ 17 日本昆虫学会[山形] (~20)

19 物○桜

22 科学基礎実験2-④ 27 物○波 ・ 化○辛 ○電 ・ 生○エ ○環 ・

数○円○ゲ

10 4 生○オ ・ 数○円○ゲ

19 第1回運営指導委員会 13 科学基礎実験2-⑤ 16 物○桜

[本校:授業見学を含む] 19 科学基礎実験3-① 18 物○波 ・ 化○電 ・ 生○エ ○環 ・ 数

21 九州地区SSH校交流会 ○円○ゲ

[佐賀](~22) 28 科学基礎実験3-② 25 物○波 ・ 生○エ○環○オ ・ 数○円

11 1 物○波 ・ 化○辛○電 ・ 生○エ ・ 数

○円○ゲ 5 県高校生徒理科研究

10 科学基礎実験3-③ 8 化○酎 ・ 生○エ○環 ・ 数○円 発表会 (6グループ)

15 物○波 ・ 化○辛○電○酎 ・ 数○円○ゲ 【最優秀賞】ダイコン焼酎班

17 科学基礎実験3-④ 【優秀賞】天文物理研究

20 物○桜 部・オトシブミ班

22 コアSSH教員研修会 22 化○辛○酎 ・ 生○エ○環 ・ 数○円 【奨励賞】ミラー班・ダイコン班

〔小倉高校〕 24 科学基礎実験3-⑤

27 物○桜

29 物○波 ・ 化○辛 ○電 ○酎 ・ 生○エ ○環 ・

数○円

12 1 科学基礎実験4-① 4 物○桜

8 科学基礎実験4-② 7 生○エ○環 11 第8回JSEC2010高校生科学技術

17 コアSSHダイコン多様性研究コン 15 科学基礎実験4-③ 13 物○波 ・ 化○辛○電○酎 ・ 生○エ○環 ・ チャレンジ(東京)

ソーシアム第2回研究会及び第2 数○円○ゲ 【グランドアワード・科学技術政策担当

回運営指導委員会 18 物○桜 大臣賞】天文物理班

20 化○辛○電 ・ 生○環 ・ 数○円 【審査員奨励賞】オトシブミ班

25 [鹿児島大学・理学部](~18) 22 発表準備1 (~12)

SSH情報交換会[東京]

(~26)

1 19 発表準備2

24 物○波 ・ 化○辛 ○電 ・ 生○エ ○環 ・ 22 日本水産学会九州支部大

26 発表準備3 数○円○ゲ 会(鹿児島大学)ポスター発表

29 物○桜

29 九州地区SSH生徒研究発

31 化○電○酎 ・ 生○エ○環 ・ 数○円○ゲ 表会(小倉)

2 1 発表会設営

2 SSH生徒課題研究発表会第2 7 SSⅡ 5 九州高等学校理科研究発表

回運営指導委員会 9 科学基礎実験4-④ 14 SSⅡ 生○エ○環 大会 (長崎)

[鹿児島大学・稲盛会館] 22 生○エ 【最優秀賞】ダイコン焼酎班

16 科学基礎実験4-⑤ 27 物○桜 【奨励賞】スプライト班

23 サイエンスリサーチガイダンス 28 アンケート・SSⅢガイダンス 火山雷 (~6)

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3 10 事務処理説明会 [東京] 2 アンケート・感想文 5 物○桜 16 タイ王国生徒研究発表会オトシブ

(~11) ミ班(~21)

16 アンケート・まとめ 7 生○エ 21 日本植物生理学会〔東北大

14 生○エ 学〕(~23)(震災のため中止)

26 ジュニア農芸化学会「高校生

による研究発表大会」(京都

女子大)ダイコン焼酎開発班(~

27)(震災のため中止)

28 日本水産学会春季大会発表

[東京海洋](震災のため中

止)深海性エビ班(~29)

※ 物○桜・化○電・生○エ ・数○円等は,課題研究グループを表す。

SSⅡ・Ⅲの活動は,大学連携関係の活動のみを記載してある。

【メモ】大学連携日時数

サイエンス基礎 …延べ6日延べ23時間

スーパーサイエンスⅡ…全45日126回252時間

スーパーサイエンスⅢ…18回(学会・全国コンテスト・科学の祭典)

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第5章 研究開発の内容

1 研究開発課題Ⅰ

鹿児島の豊かな自然環境をテーマとした体系的な科学的体験学習・調査研究活動を通じた教

育活動による国際性豊かな科学系人材の探究心や思考力の育成

(1) 研究の仮説

ア 鹿児島の恵まれた自然環境を生かしたフィールドワークや,実験・実習,最先端科学施設

の見学等を体系的・系統的に実施することを通じて,自然科学への知的好奇心を育み,科学

の方法を体得することにより,豊かな科学的素養を育むことができる。

イ 課題研究及び発表等の過程による適切な指導により,創造性や独創性を育むと共に,自ら

解決探求する力を養うことができる。

ウ サイエンス基礎における「科学英語」,スーパーサイエンスⅢにおける英文アブストラクト

作成や国際学会,国際コンテスト等への英語プレゼンテーション指導や参加を通じて,将来

国際的に活躍するための意欲を養うとともに,その基礎的な素養を身に付けることができ

る。

エ サイエンス基礎・課題研究・フィールドワーク等の研修における少人数制やチームティー

チングを充実させることにより,生徒の内容の理解度及び深度を向上させることができる。

(2) 研究の内容及び方法

<サイエンス基礎>

ア 「サイエンスウィーク」・「サイエンスキャリアイベント」の実施

夏季休業中に理数科1年生80人を興味関心や進路希望により4コースに分け,予算による内

容の一部見直しを行うとともに,レポート作成や発表・発表用ポスター作成などの時間をプロ

グラム中及び,実施直後のサイエンス基礎において十分に確保した。

イ 「サイエンス情報」(平成22年度)

文書作成や表計算処理だけでなくサイエンスウィークのポスター作成をプレゼンテーション

ソフトを活用して行い,高度な発表技術(情報機器操作,プレゼンテーション技術等)の習得を

強化することで,2年生での「サイエンスリサーチ」における課題研究でのテーマ設定や鹿児

島大学等との連携による課題研究へのつながりを高めさせた。

ウ 国際性を高める取組

「科学基礎実験」の内容を充実させるとともに,「科学英語」を導入し,科学研究における

英語の必要性を認識させ,基礎的な科学に関する英語を習得させた。

鹿児島県教育委員会より理系大学出身外国語指導助手の派遣を配慮していただき,英語教

諭,理科教諭との3人によるチームティチングによって,英語による周期表,進化論,生態的

地位,生物の形態等について,身近な動物・植物の話題から英語によるアプローチの楽しさ,

面白さ,必要性を学ばせた。

カ サイエンス基礎での少人数指導とチームティーチング(TT)指導

「科学基礎実験・実習」及び「サイエンスウィーク」においては20名1グループとした少

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人数指導と,複数の職員によるTT指導を行い,内容の理解と深まりを目指した。

① サイエンス基礎の実施期日・場所等

ア 期 間 平成22年4月~平成23年3月末日(1年間)

イ 期 日 サイエンス基礎の時間(水曜日5・6時間目)

ウ 場 所 各教室・各理科実験室・他

エ 対 象 理数科1年生

② サイエンス基礎の実施内容(概要)

ア オリエンテーション

イ 科学基礎実験・実習(物理・化学・生物・地学実験,科学英語,数学基礎)

ウ 錦江湾洋上体験学習

(講師 鹿児島大学総合研究博物館 大木公彦館長)

エ サイエンスキャリアイベント

(ア) 「最先端技術を支えるナノ・バイオテクノロジー」新海 征治教授(崇城大学工学部)

世界各国が鎬を削るナノテク研究のフロントランナーとして活躍する傍ら,日本学術会議

会員としての日本の研究・教育の方向付けに携わっている先生の経験に基づいて,現在日本

を取り巻く状況と未来の日本の科学技術があるべき姿,そして,そこに貢献すべき「現代の

若者」が「今」なすべき事について,自身が世界に先駆けて開発に成功した「分子機械」や

遺伝子治療薬剤などの開発における実績を交えて,幅広い分野から講演された。

(イ) 「ナノテクノロジーが変える未来の創薬技術~注射不要への挑戦~」

後藤 雅宏教授(九州大学大学院工学研究院応用化学部門)

後藤先生は,副作用の少ない効率の良い薬の開発を目

指した,最近のドラッグデリバリーシステムについて,

創薬開発における科学者の役割と製薬開発におけるいく

つかの重要な課題を紹介された。特に,注射を不要とす

る最新の創薬技術を紹介しながら,患者の生活の質(Q

OL)を向上させるような製剤開発において,今後必要

となる技術などを分かり易く紹介された。

(ウ) 「ナノ乳化物と機能性化粧品『アスタリフト』の開発」田代 朋子研究員

(富士フィルムR&D統轄本部ライフサイエンス研究所)

光老化の予防においては,紫外線防御と過剰な活性酸

素の除去が重要である。アスタキサンチンは,種々の知

られている抗酸化物質の中でも,特に一重項酸素の消去

能力が高いという特徴を持つ。富士フィルムが発売して

いる「アスタリスト」はこのアスタキサンチンを配合し

た機能性化粧品である。この商品開発の中心メンバーで

ある田代研究員から,化粧品開発の秘訣について講演さ

れた。

(エ) 「ガンのミサイル療法・狙って直す最先端ガン治療法」前田 浩教授(崇城大学薬学部)

薬物輸送システムをガン治療に適用するために有効な,「EPR効果」と呼ばれる技術の

開発者である前田先生は,この効果を用いた「ガンのミサイル療法」について解説し,次世

九州大学後藤教授の講演

富士フィルム田代研究員の講演

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代型のガン治療についてその効果と将来性を,研究の進捗状況を交えながら講演された。

オ サイエンスウィーク(夏季休業中・4コース)及び,事前事後学習と発表準備

③ 必要となる教育課程の特例(理数科1年生)

ア 実験・実習活動をより効果的に充実したものとするため,総合的な学習の時間1単位及び

理数科目4単位中の1単位の合計2単位に代えて「スーパーサイエンスⅠ」(学校設定科目)

を2単位設定する。

イ 教科「情報」の科目「情報A」2単位に代えて,「スーパーサイエンス情報」(学校設定科

目)2単位を設定する。これは,従来の「情報A」では修得できない画像処理やプレゼンテー

ション能力など,幅広く高度な技能を速やかに体得し,SSⅠと連携して実施していく必要

があるため。

④ 「錦江湾洋上体験学習」実施状況

ア 期 日 平成22年4月17日(金)

イ 対 象 1年生(普通科・理数科) 240名

ウ 日 程

9:00 桜島フェリーターミナル待合所集合

9:15 乗船開始

9:30 鹿児島港出港

9:30~12:30 錦江湾クルージング及び洋上研修

・ 開会のあいさつ

・ 洋上体験学習の意義について

・ 講話 「錦江湾のなりたち」

鹿児島大学総合研究博物館館長

大木 公彦 教授

・ 質疑応答

・ 操舵室及び機関室の見学

12:30 鹿児島港着岸

13:30~15:30 鹿児島市立水族館

・ 「いおワールド」での研修

⑤ 「科学基礎実験・実習」実施状況

ア 実施方法

(ア) 内容の理解と深まりを目的として,1年理数科80名を4班(各20名)に分けて,数

学・物理・化学・生物・地学・科学英語の7分野を順に学ぶ。

(イ) 生徒はローテーションで,毎週異なる科目の実験を行なう。本年度は4回分実施できた。

〔例〕A~Dの4グループが5週で一巡する。

第1回目(物理)→(化学)→(生物)→(数学基礎)→(科学英語)と5週で1巡する。

第2回目(物理)→(化学)→(生物)→(地学)→(科学英語)

したがって,指導者は5週に2時間,次の教材準備と教材研究の時間が確保される。

大木公彦教授による錦江湾の成り立ち

桜島フェリー操舵室見学

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(ウ) 連続2時間の授業により,実験・実習をより効果的に実施することができた。

イ 実施内容

(1) 数学分野

回 学 習 題 材 及 び 内 容

1 〔分野〕数学基礎

〔内容〕

① 比例計算の演習

② 有効数字の演習

③ 指数関数・対数関数の演習

④ グラフの演習

⑤ 完全数と友愛数について

(2) 物理分野

回 学 習 題 材 及 び 内 容

1 〔電磁気分野〕静電気から動電気へ

「箔検電器による静電誘導実験」

〔内容〕

原子を作っている素粒子の話から始まり,自

作摩擦電気発生装置によって作られた静電気に

よってモーターを回したり,蛍光を発光させた

り,生徒自らが導線となって回路を学ぶ。

生徒実験として箔検電器の実験を通して電気

の基礎知識を学ぶ。

2 〔力学分野〕

自由落下運動と重力加速度

〔内容〕

自由落下の理論を実験を通して,等加速度運

動の基礎を学ぶ。定規の自由落下を利用して,

反応時間を求める。

また,振り子の周期から重力加速度を求め

る。

3 〔物性分野〕物質の状態変化について

〔内容〕

物質の三態や圧力による水の沸点の変化の講

義や実験を通じて,物性物理の基礎を学ぶ。

実験は,エコカイロ(酢酸ナトリウム)の状

態変化や簡易真空槽を用いた水の沸点観測など

を行う。

自作摩擦電気発生装置による実験

自由落下による反応時間測定

エコカイロの状態変化観察

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4 〔波動分野〕波の性質を調べよう

〔内容〕

水波実験装置,音のレーザー光オシロ,音と

光の干渉実験などを通して体験的に波の基本性

質(振動数,波長,反射,屈折,回折,干渉な

ど)を学び,分光天文学や光化学反応である光

合成などに発展させる。

(3) 化学分野

回 学 習 題 材 及 び 内 容

1 〔化学実験の基礎〕

化学実験の留意事項と基本操作

〔内容〕

化学実験を行う際の安全について,器具や試

薬の取扱を学ぶ。

物質量,モル濃度の説明など化学実験を行う

際の基本を理解する。

2 〔酸と塩基分野〕

中和滴定

〔内容〕

酸と塩基,中和について説明を行い,食酢と水

酸化ナトリウム水溶液を用いて,中和滴定実験

を行った。また,食酢の質量パーセント濃度の

決定を行う。

3 〔有機化学分野〕果物の香りをつくろう

〔内容〕

数種類のカルボン酸とアルコールから果物の

香りのするエステルを合成することで,アルコ

ール,カルボン酸,エステルについて基礎知識

を学ぶ。

4 〔無機化学分野〕金属イオンの分離

〔内容〕

金属イオンの沈殿反応の説明を行い,3種類

の金属イオンを混合した溶液から,その金属イ

オンの定性実験を行い,化学の基本を学ぶ。

光の干渉の観察

蒸留実験

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(4) 生物分野

回 学 習 題 材 及 び 内 容

1 〔分野〕ミクロの世界をのぞいてみよう

〔内容〕

光学顕微鏡の扱い方を学び,ピント調節や絞

り調整の手法をマスターする。さらに,オオカ

ナダモの葉を観察して細胞構造を学習し,プラ

ンクトンの一種であるアルテミア幼生の体を知

る。

2 〔分野〕校内の帰化植物調査

〔内容〕

校内の植物(草本類)を採集してその名前や由

来・特徴などを調べる。また,帰化植物の割合を

算出して環境と植物相の関係を知る。

3 〔分野〕イカの解剖

〔内容〕

軟体動物の一種であるイカを解剖し,その体の

仕組みを学習する。特に,雄と雌の区分や内蔵の

観察,カラストンビといわれる口器の構造,眼球

を取り出してその構造の確認を行う。

4 〔分野〕土の中の小動物

〔内容〕

雑木林の土中にすむ小動物をツルグレン装置等

で採取し,土中にどのような小動物が生息してい

るかを調べる。さらに,それらの個体数や食性を

調べ,土壌生態系についても考察する。

(5) 地学分野

回 学 習 題 材 及 び 内 容

1 〔分野〕天気図作成

〔内容〕

① 天気図記号を理解する。

② 気象通報を聞き取り,それを天気図に書き

込む。

③ データから等圧線を作成し,天気図を完成

させる。

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2 〔分野〕コンパスを利用したフィールドワーク

〔内容〕

① コンパスと地図を用いて目標の地点までオ

リエンテーリングを行い,歩測,方位や地形

図についての空間的概念形成を行う。

3 〔分野〕鹿児島地方気象台見学会

〔内容〕

① 身近な自然現象である気象(および地震や火山活動等)の観測や予報業務を行

っている気象台を見学し,その観測その他の業務の内容を理解し,我々の生活

とどのように関わっているか,どのように役立っているかについて理解する。

(新燃岳噴火災害により,途中中止)

(6) 「科学英語実習」

ア 授業形態

・ 20人の生徒に対して,3人のティームティチング指導(外国語指導助手(以下A

LT),英語教員,理科教員)を行う。

・ 授業の立案は3者で話し合い,ALTの英語での授業をベースにして英語教員が英

語に関する説明を加え,必要に応じて理科教員が内容の解説を行う。

・ 黒板やパワーポイントを用いての演示・解説,科学現象に関する実験,ゲーム的な

要素を取り入れながら指導を行う。

イ 指導者 髙橋 裕子(英語),小溝 克己(理科),ALT JamesMurray※ 県教委より大学で科学専攻のALTを派遣していただき,授業の準備や実際の授業

をスムーズに進めることができる。

ウ 年間指導計画

回 学 習 内 容 学 習 の ね ら い

1 化学分野 ・化学の基礎中の基礎である周期表を日本語と同時

「元素記号って何語?」 に英語で学習し,元素記号や英名の由来を知ること

~英語で学ぶ周期表!~ で,興味を持たせ理解を助ける。

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2 生物分野 ・肉食動物と草食動物,温かい地域の動物と寒い地

「 Purpose of SHAPE 」 域の動物の形態的な違いから,その形や色が持つ

様々な意味について考察する。

3 生物分野 ・“ニッチ”(生態的地位)の概念を学び,そこから

「 What is NICHE?」 生物の移入,外来種問題について考察する。

~ニッチから世界の ・外来種が大繁栄する要因について学習する。

外来種問題を考える~

4 環境分野 ・元アメリカ合衆国副大統領ゴア氏の「Inconvenient

「Global Warming」 Truth」の一部を視聴し,Nativeの英語のスピード感や

~What can we do?~ リズム感を感じるとともに,CO2やMethane等の温室

効果ガスを極力出さない生活のあり方を考える。

オ 評価

毎回の授業プリント(表面は授業のレジュメ,裏面は要約と感想)や確認テストの提出状況と内容,

授業への参加状況等で評価する。

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⑥ 「科学基礎実験・実習」についての検証

ア アンケート結果

イ 生徒の感想

※ 基礎実験ではどの科目もとても興味を持つことができ,とても楽しくできたので,沢山の

知識を身に付けることができた。

※ 難しかったが楽しかった。

<科学基礎実験・実習>5年間の比較

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

実施したそれぞれの内容について良く理解できた。

各科目の基礎的な知識や実験方法が身についた。

各科目での学習内容について良く理解できた。

課題研究のテーマやそのヒントが見つかった。

課題研究を行うための,方法や流れを身につけることができた。

研究や実験をすることに楽しさを感じることができた。

観察する力が身についた。

論理的に考える力が身についた。

学習内容をまとめる力が身についた。

実験を行う中で,学習の内容や意味が理解できた。

分析して考える力が身についた。

いろいろな角度からの見方・考え方ができるようになった。

科学に対する興味関心が高まった。

科学における実験の意義や大切さが理解できた。

科学の知識や原理・法則の重要性が理解できた。

科学の理論や技術が,社会で役立っていることがわかった。

理科・数学を学ぶ意欲が高まった。

英語を学ぶ意欲が高まった。

質問内容

%(強く思う・やや思う)

2006年 2007年

2008年 2009年

2010年

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※ 実験をすることで化学や物理などに興味がわき,もっと知りたくなった。。

※ 英語の講話で地球環境や動物のことがよく分かり,科学英語が好きになった。

※ 数学が1回しかなかったのが,残念だった。

ウ 検証

アンケートより,以下の点が検証された。

① 「科学基礎実験・実習」として,鹿児島の恵まれた自然環境(校内の帰化植物,校庭)を

生かしたフィールドワークや実験・実習,最先端科学施設の見学(気象台見学)等を体系

的・系統的に実施することを通じて,9割を越える生徒が楽しいと感じ,8割近い生徒が

自然科学への知的好奇心を高めたと答えている。6割を越える生徒が,科学の方法を体得

し,7割近い生徒の豊かな科学的素養が向上している。

② サイエンス基礎・フィールドワーク等の研修における少人数制やチームティーチングを充

実させることにより,8割を越える生徒の内容の理解度及び深度を向上させることができ

た。

③ サイエンス基礎における「科学英語」によって,6割を越える生徒が,将来国際的に活躍

するための英語に対する意欲を養うことができた。

④ 科学の内容理解,基礎知識や実験方法の習得,まとめる力の向上の高得点によって,科学

や理科・数学に対する意欲の向上がみられた。これが,科学や理科数学に対する意欲向上に

つながったと考えられる。しかし,課題研究の展開方法理解,課題研究のテーマ発見,論理

的に考える力を付けられていないことが課題である。

エ 考察

※ 科学基礎実験4年目で内容の精選及び指導法の改善により,観察力,考察力,分析力の向

上が見られ,主目的である科学の面白さや意義を理解させることが出来ており,科学へのモ

チベーションの向上という面ではよい成果が出ている。

※ 2年次の課題研究とのテーマ設定研究方法についての内容を深める必要有り。

⑦ 「サイエンスウィーク」の実施状況

ア 実施方法

(ア) 夏季休業中に,時間をかけた科学的体験学習・調査研究活動を行うことで,科学に対す

る興味・関心を高めるとともに,科学を研究する上で必要な基礎的な知識や技術を身に付

けさせる。

(イ) 理数科1年生80名に事前にコース希望のアンケートを実施し,それぞれの興味・関心及

び進路希望等に合わせて,4コースに分けて実施した。

(ウ) 鹿児島の豊かな自然環境を生かした自然体験学習を1コース(Dコース)と科学実験に

関する鹿児島大学実験室を利用した「キャンパスラボ3コース(A,B,C)」の計4つの

プログラムを組んだ。

(エ) 本年度は,仮説Ⅱへの取組としてキャリア教育的な視点を深めるために,「キャンパス

ラボ」の3つのコースに対して,大学の研究室見学を実施した。

(カ) 実施時期については,進路指導部や教務部から夏季休業中の分散について要望が出てい

たので,8月上旬の3コースと下旬の1コースに設定した。

A キャンパスラボ(生物実験) ウニの受精と発生の観察 8/3~4

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B キャンパスラボ(化学実験) 生理活性化合物の化学実験 8/3~4

C キャンパスラボ(物理実験) ネツとユレの不思議な現象 8/3~4

D フィールドワーク(地学巡検)錦江湾沿岸の地形と地質観察会 8/25~26

イ 実施内容

A 生物実験(ウニの受精と発生の観察)8月3日(火)・4日(水)生徒18名参加

内容: 鹿児島大学理学部の実験室での講義及び実験。ウニを使った受精のしくみや初期

発生過程の顕微鏡観察を行い,写真撮影やスケッチを行う。また,実験の合間に鹿

児島大学の見学・研究室訪問等も実施する。

引率:○森田康夫,讃岐 斉,下大田智子,徳重 祐子

講師:鹿児島大学理工学研究科生命化学専攻 准教授 塔筋 弘章

場所:鹿児島大学理学部3号館 現地集合解散

B 化学実験(生理活性化合物の化学)8月3日(火)・4日(水)生徒24名参加

内容: 鹿児島大学理学部の実験室での講義及び実験。薄層クロマトグラフィーを使っ

た有機化合物の同定実験・茶葉からのカフェインの抽出・単離や再結晶による精

製などの化学実験を行う。また,鹿児島大学の見学・研究室訪問等も行う。

引率:○満村 和洋,津留 洋一,中島 亮,有馬 英代

講師:鹿児島大学大学院理工学研究科生命化学科 准教授 岡村 浩昭

場所:鹿児島大学理学部 現地集合解散

Cコース 物理実験(ネツとユレの不思議な現象)8月3日(火)・4日(水)生徒19名

内容: 鹿児島大学理学部の実験室で講義及び実験

・振り子の作成と共振の実験 ・弦・ゴム・ばねの共振の実験

・シャープペンシルの共振の実験 ・ブラウン運動の観察

・KSAT(鹿児島人工衛星)の研究室をはじめとする大学の研究現場見学

引率:○東 寛久、樋之口 仁,原口 香織

講師:鹿児島大学 理学部 准教授 秦 浩起

ウニの受精実験 ウニの幼生

カフェインの濃縮ペーパークロマトグラフィの実験

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場所:鹿児島大学理学部 現地集合解散

Dコース 地学巡検(錦江湾沿岸の地形と地質観察会)8月25日(水)~26(木)生徒19名

内容:桜島,開聞岳,池田湖をはじめとする錦江湾沿岸の様々な火山地形,地熱現象やシラ

ス台地などの地形,地質を観察し,大地のダイナミックな活動を体験,考察すること

により,自然科学への知的好奇心や豊かな科学的素養を育む。また,自然環境と人間

生活のかかわりについても,考察させ自然に対する総合的な観察力考察力育成を図

る。

引率:立石 賢二、小溝 克己,樋之口 仁

場所:南薩(指宿,山川,開聞方面)および大隅半島(鹿屋,桜島)(バス借上による移動)

宿泊:国立大隅青少年自然の家

二酸化炭素の液体の観察 人工衛星追尾アンテナの説明

開聞岳川尻海岸での海岸砂採集 桜島 扇状地の観察

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⑧ 「サイエンスウィーク」についての検証

ア アンケート結果

イ 生徒の感想

※ 大学で研究室を見学したり,講義を受け,今まで分からなかったことが実験や講演を通し

て分かった。また,大学への興味が深まった。(生物,物理,化学)

※ 生物の誕生する瞬間を観察できて良かった。

※ 大学の先生や大学生に分かり易く教えていただき,大学進学への意欲が増した。

※ 火山のおかげでゆたかになったことも害もあることが分かった。(地学)

※ カフェインの融点をだしたことが興味深かった。

ウ 検証

アンケートから以下の点が検証された。

① 鹿児島の恵まれた自然環境を生かしたフィールドワークや,大学における実験・実習,最

<サイエンスウィーク> 5年間の比較

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

実施したそれぞれの内容について良く理解できた。

大学の様子や研究内容などが,良く分かった。

課題研究のテーマやそのヒントが見つかった。

課題研究を行うための,方法や流れを身につけることが

できた。

研究や実験をすることに楽しさを感じることができた。

観察する力が身についた。

論理的に考える力が身についた。

学習内容をまとめる力が身についた。

実験を行う中で,学習の内容や意味が理解できた。

分析して考える力が身についた。

いろいろな角度からの見方・考え方ができるようになった。

科学に対する興味関心が高まった。

科学における実験の意義や大切さが理解できた。

科学の知識や原理・法則の重要性が理解できた。

科学の理論や技術が,社会で役立っていることがわかっ

た。

理科や数学を学ぶ意欲が高まった。

質問内容

%(強く思う・やや思う)

2006年 2007年

2008年 2009年

2010年

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先端科学施設の見学等を体系的・系統的に実施することを通じて,7割近い生徒が自然科学

への知的好奇心を向上させ,5割の生徒が科学の方法を体得することにより,6割の生徒が

科学的素養を向上させた。

② サイエンスポスターの発表等の過程による指導により,6割の生徒が多面的なものの考え

方ができたと感じ,7割の生徒が分析して考える力を養えたと答えている。

③ フィールドワーク等の研修における少人数制やチームティーチングを充実させることによ

り,8割を越える生徒の内容の理解度及び深度を向上させることができた。

エ 考察

今年度は,天候に左右されないように大学連携のキャンパス実験を3コースに増やして大学

の研究室見学の時間を多くした。また日程も2日間としコンパクト化を図った。フィールドワ

ークも快晴だったため,内容理解や大学の研究室見学が充実した。

宿泊を伴わなず体験活動が減少したために,研究方法理解,実験や研究の楽しさ,科学に対

する関心が以前より減少したと考えられる。

また,2日間の実験に研究室見学を取り込んだことで,実験や研究の深まりに欠ける傾向が

伺える。実験や研究に時間を増やしたり,従来のような調査活動が必要かも知れない。

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2 研究開発課題Ⅱ

Ⅱ(高大連携とキャリア教育)大学等への高大連携,高大接続の在り方だけでなく,生徒一人一人

の進路意識を高揚させるSSHを活かしたキャリア学習の在り方についての研究

(1) 研究の仮説

ア 課題研究等(サイエンス基礎・SSⅡ・Ⅲ)の鹿児島大学等との高大連携により,自然科

学への視野を広げ,学問的な関心を一層喚起するとともに,AO入試・推薦入試等に対応で

きる力を育成することにより,大学進学後のより高度な研究・学習との連続性を持つことが

できる。また,理数系教材の開発や教科指導法の研究を深めることができる。

イ 理数科のすべての生徒を対象として,鹿児島大学等との高大連携を一年間通じて継続的に

実施することと3年間のホームルーム活動の進路学習の連携を深めることによって,お互い

が刺激され,向上心や意欲の向上につながり,生徒の研究に対する力や進学に対する意欲を

全体的に高めることができる。

ウ 課題研究及び発表等の過程による適切な指導により,創造性や独創性を育むとともに,自

ら解決探究する力を養うことができる。

エ 国際学会や国際科学コンクール等への参加を通じて,将来国際的に活躍するための意欲を

養うとともに,その基礎的な素養を身に付けることができる。

オ サイエンスクラブの充実を図り,課題研究の内容を更に発展させるとともに,部活動独自の

テーマについても研究を進めることで,特に研究に対する意欲や力のある生徒を更に向上さ

せ,SSH活動を一層活発にすることができる。

(2) 研究の内容及び方法

ア 学校設定科目「サイエンス基礎・SSⅡ・Ⅲ」による高大連携・高大接続の在り方について

本校は以前より課題研究に取り組んでいたが,研究内容が全国大会レベルには達していなか

った。そこで,鹿児島大学等の研究機関と高大連携を密接にしたSSⅡでの課題研究を実施し

た。この課題研究の中で高度な実験・観察技術の習得,データの収集・分析能力の習得を目指

している。

SSⅢは,生徒が発表や個人研究の準備のため大学へ訪問しやすいように,金曜日の7時間

目に1単位を設定している。

なお,このSSⅡ以外に,前述のサイエンス基礎の中で取り組んだサイエンスウィークにお

いてもA~Cコースの3コースで鹿児島大学理学部との連携や,講演等の施設を利用した連携

と,キャリア教育的な取組として研究室見学を行った。

また,この連携の中で本校職員と大学職員やTA等との交流を深め,高校と大学の連続性を

持った教育活動の在り方や教材の研究開発を含めることもねらいの一つとした。

(ア) SSⅡ・Ⅲによる高大連携実践の経緯

平成17年から科学講演会やサイエンスウィークなどでの単発的な高大連携が始まり,平成

18年からは,課題研究等を通じての1年間にわたる継続的な研究室連携が鹿児島大学(理学

部・農学部・水産学部)で試行され,毎月数回研究室を訪問し,研究計画,実験,データ処

理,研究のまとめ,プレゼンテーション指導,科学論文指導を行う現在のSSⅡのスタイル

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を構築した。

平成19年から,この研究室連携を教育学部や京都大学,東北大学,九州大学,鹿児島地方

気象台にまで広げることができた。平成18年は半数程度の高大連携班であったが,平成19年

からは理数科2年生の全13班中10班程度が鹿児島大学等に出向く,研究連携が確立している。

(イ) SSⅡの年間スケジュールの概要

前年度の2月頃に鹿児島大学へ連携をお願いし,連携可能な研究室や研究内容・実施可能

な時間等を提案していただく。4月に生徒を班分けし,連携可能研究室の内容と生徒の希望

するテーマ等とすり合わせ,各研究室の先生方と事前の打合せを行った上で,4月末より本

格的な連携による課題研究をスタートする。

生徒は,サイエンスクラブ以外の各種部活動に参加している生徒が多いため,放課後・土

日等の利用が非常に難しい。このため引率及び指導の担当職員の負担軽減や普通科等の他の

授業に自習などのしわ寄せが来ないようにすること,また,参加する生徒の他教科の公欠を

できるだけなくすこと等を考慮し,月曜日の午後のSSⅡ2時間の時間帯に大学を訪問して

いる。また,実習内容等の関係でやむを得ず必要な場合は,この時間帯以外でも土日や長期

休業中及び,平日の授業日において学校行事に大きく支障のない範囲で,大学での研究を優

先させている。

この取組で学問的な関心を一層喚起するとともに,推薦入試・AO入試・一般入試等に対

応できる力を育成することにより,大学進学後のより高度な研究・学習との連続性を持たせ

ることを可能にすることをねらいとした。また,多くのグループが大学等の研究機関を訪問

するためお互いが刺激され,研究意欲が向上し,進学に対する意欲を全体的に高めることが

できる。

また,継続的な広範囲での高大等連携が,将来的な高大等連携へと結びつくことを期待し

ている。

(ウ) SSⅡの実施期日・場所等

① 期 間 平成22年4月~平成23年3月末日(1年間)

② 期 日 SSⅡの時間(月曜日5・6時間目)及び土・日・長期休業中

(大学等の都合及び自然条件等で,学校行事等に支障のない範囲で上記以外

も実施する場合あり。)

③ 場 所 本校理科実験室・鹿児島大学等各研究室・他の研究機関・フィールド等

④ 主対象 理数科2年生

⑤ 引率者 理科・数学担当者

※ 月曜日の午後の時間割を,5・6時間目のSSⅡとした。

※ 本校から,鹿児島大学までJR及び徒歩で約1時間の移動時間となる。大学に近

い立地条件であれば,徒歩・自転車等で通うことや,放課後を活用して頻繁に通う

ことも可能であると思われるが,4時間目終了後すぐに移動を開始しても,15:30

~17:30の約2時間の活動時間となる。

※ 貸切バスによる移動も検討したが,時間はほとんど差がなく,週によって訪問す

るグループ数がまちまちであるため,JRでの移動を行っている。

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イ SSⅡの研究テーマ及び連携先

科 生目 研究テーマ 担当職員 連携先 徒

数 円柱面への円の詰め込み問題 田野邉 鹿児島大学教育学部 6

磯川 幸直教授

ゲーム”砂漠の中へ”~未証明だった予想 濵田(和)鹿児島大学大学院理工学研究科 4

学 の解決~ 伊藤 稔准教授

水面波の研究 東 鹿児島大学大学院理工学研究科 7

物 原 秦 浩起准教授

桜島の噴火に伴う火山雷の特徴 樋之口 京都大学火山活動センター 7

井口 正人准教授

理 口 鹿児島大学大学院理工学研究科

宮町 宏樹教授

桜島大根を救え! 中 島 鹿児島大学農学部 8

化 有 鮫島 吉廣特任教授

高峯 和則准教授

酸化鉄を使った太陽電池の開発 満 村 鹿児島大学大学院理工学研究科 3

学 馬 楠元 芳文教授

ダイコンの辛み成分に関する研究 津 留 鹿児島大学大学院理工学研究科 8

内海 俊樹教授

ヒメアマエビの成熟について 讃 岐 鹿児島大学水産学部 8

徳 大富 潤教授

生 環境ストレスとダイコンの辛みとの関連性 下大田 鹿児島大学農学部 4

岡本 繁久准教授

重 松尾 友明教授

物 錦江湾高校に侵入した外来植物の研究 森 田 大学連携なし 8

オトシブミの卵をめぐる3種の寄生蜂のミ 小 溝 鹿児島大学農学部 9

クロな競争 津田 勝男教授

地 流星の立体視 立 石 山 大学連携なし 7

学 田

ウ 鹿児島大学等との連携による課題研究(SSⅡ)の実践例

(ア) テーマ「円柱面への円の詰め込み問題」(鹿児島大学教育学部との連携)

① 連 携 先 鹿児島大学教育学部 数学教育 磯川 幸直教授

② 担当教諭 田野邉 厚彦

③ 参加生徒 理数科2年生6人(男子6人)

④ 課題研究の概要

本課題研究では,鹿児島大学の磯川幸直教授と連携し,単位円(半径1の円)を円柱

面に最密に詰め込む問題について研究することとした。対象の生徒は,数学に興味関心

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があり,能力も高い生徒である。

研究に当たっては,三角関数の

高度な知識が必要であり,また,

高校で習う範囲を超えた知識が必

要であった。しかし,生徒たちは

その学習に熱心に取り組み,理解

することに努め,必要な計算や証

明を理解することが出来た。さら

に,Basicを用いて,円柱面へ円

を最密に詰め込む方法をシミュレーションし,理解を深めることが出来た。これもひと

えに磯川教授の計画的なご指導と,それに真面目にかつ意欲的に取り組んだ生徒たちの

努力の結果である。

この研究を通して,生徒たちは数学にさらに興味・関心をもつとともに,いろいろな

角度から物事を考察することの大切さを感じたようである。改めて,ご指導頂いた磯川

教授に感謝したい。

⑤ 活動状況

回 月 日 場 所 活 動 内 容 等

1 5 24 大学 【講義・演習】「詰め込み問題」に関する研究の説明と演習

2 5 31 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

3 6 7 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

4 6 21 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

5 7 12 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

6 9 6 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

7 9 27 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

8 10 4 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

9 10 18 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

10 10 25 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

11 11 1 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

12 11 8 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

13 11 15 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

14 11 22 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

15 11 29 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

16 12 13 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

17 12 20 大学 【演習】「詰め込み問題」に関する問題演習

18 1 24 大学 まとめと発表準備

19 1 31 大学 まとめと発表準備

20 2 2 大学 課題研究発表会

21 2 7 学校 レジメ作成

22 2 14 学校 レジメ作成

23 2 28 学校 感想文

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⑥ 生徒の感想等

・ 磯川先生から難しい問題に取り組む楽しさや問題を解決する達成感を学んだ。

・ この研究を通していろいろな角度から問題を考える力がついた。

・ 鹿児島大学の先生に数学について様々なことを教えてもらったり,研究した内容を

鹿児島大学で発表するという貴重な経験をすることができた。

(イ) テーマ「桜島の火山雷」(京都大学火山活動研究センターとの連携)

① 連 携 先 京都大学火山活動研究センター 井口 正人教授

② 担当教諭 樋之口 仁 ③参加生徒 理数科2年生 7名(男子7人)

④ 課題研究の概要

本校の眼前には,校名の基となった

錦江湾と呼ばれる鹿児島湾が広がり,

その中央に活火山である桜島がある。

桜島の噴火に伴う火山雷の継続的な研

究は例が少なく,桜島で,数十回を超

える噴火について詳細に火山雷を解析

した例は世界でも珍しい学術的な研究

となる。

本研究のポイントは,以下の3点で

ある。

○ 桜島,霧島,インドネシア火山の

活動が活発で非常に忙しいので,京

都大学との連携は,火山学的な視点

から,まとめ方や研究の方向性の指

導助言を中心にお願いする。

○ 京都大学や気象台のデータや観測

装置を全面的に利用するのではな

く,高校生の教科書を基本に,仕組

みの分かり易い手作りの装置で,生

徒が自らデータを集めることを基本にする。

○ 研究した内容はすぐにまとめて,科学コンテストや学会で発表し,客観的な外部

評価を増やし,研究内容の向上・改善に努める。

本年度の研究は,自作開発した大気電場測定装置が,平成20年末からの噴火活動の

活発化による火山灰のために故障して観測出来なくなったため,新たに桜島の黒神に

ある生徒の自宅の窓から,天体用CCDカメラによる光学観測を行うこととなった。火

山雷は,夜間の星と異なり,数km先で明るく起こるために絞りや感度調整に時間がか

かった。観測は3月から始めたが,当初観測機器設定に時間がかかり,最初の3ヶ月

は,データが乏しかったので,やむを得ず鹿児島地方気象台からデータの提供をいた

だき,自分たちのデータとつきあわせて解析を行った。

火山雷の発生場所,発生位置,火山雷の発光時間などの31回の噴火の動画を,8人

英文アブストラクト指導

火山雷(宮武健仁氏提供)

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で分担し,1ヶ月かけて,1秒毎に発生位置・発生方向・長さを記入したグラフを完

成させた。そのグラフを基に,火山雷の発生位置,形状,長さ等のグラフを表計算ソ

フトで作成した。そして,火山雷の特徴を日本地球惑星科学連合2010大会(5月)に

向けまとめた。さらに,まとまったレポートへの指導助言を主に京都大学の井口先生

にお願いした。

次に噴煙柱に隠れた火山雷や日中の火山雷観測を詳細に行うために,AMラジオに

よる電波観測,回折格子によるスペクトル観測,ループアンテナによる電波観測と実

験を展開している。

⑤ 活動状況

回 月 日 場 所 活 動 内 容 等 ◎:発表

1 2 28 桜島 火山雷観測用CCDカメラ設置

2 5 15 桜島 CCDカメラの降灰除去・データ回収

3 5 23 千葉 ◎日本地球惑星科学連合高校生部門ポスター発表【全国1位】

4 5 29 桜島 CCDカメラ設定点検・データ回収

5 6 5 桜島 回折格子CCDカメラ設置・データ回収

6 6 13 桜島 CCDカメラ設定点検・データ回収

7 6 20 桜島 AMラジオによる電波観測装置設置

8 7 11 桜島 噴火・火山雷音録音マイク設置

9 7 17 桜島 録音マイク調整・データ回収

10 7 31 熊本 ◎サイエンスインターハイ@SOJOポスター発表(崇城大学)

11 8 7 桜島 CCDカメラ調整・データ回収

12 8 21 鹿児島 ◎日本地学教育学会高校生部門優秀賞(鹿児島大学)

13 9 13 鹿児島 ◎鹿児島地方気象台における活力研修 研究発表

14 9 19 桜島 ループアンテナ設置

15 9 20 桜島 ループアンテナ設置・調整

16 11 5 鹿児島 ◎鹿児島県高校生徒理科研究発表会口頭発表【優秀賞】

17 11 27 桜島 ループアンテナ感度アップ対策ノイズ除去(アース設置)

18 12 11 東京 ◎JSEC最終選考会ポスター発表【科学技術政策担当大臣賞】

19 2 2 鹿児島 ◎生徒課題研究発表大会

20 2 6 長崎 ◎九州高等学校理科研究発表会口頭発表

21 2 2 学校 論文要旨のまとめ

22 2 7 学校 レジメ作成

23 2 14 学校 レジメ作成

24 2 28 学校 感想文

⑥ 生徒の感想等

〔研究について〕

・ CCDカメラを設置している場所が屋根裏部屋で,夏の暑い中,汗だくになりなが

らのカメラの調整・データの回収が大変だった。

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・ 百近くの噴火ビデオをみんなで手分けして,コマ送りで分析して,火山雷の発生

位置,発生の様子を表計算ソフトで分析し詳しく調べることができた。

・ ISEFの世界大会に向けて,日本代表として恥ずかしくないように英語による

プレゼンテーション能力を身に付けたい。

(ウ) テーマ「ダイコンの辛み成分に関する研究」(鹿児島大学大学院理工学研究科との連

携)

① 連 携 先 鹿児島大学大学院理工学研究科生命化学専攻 内海 俊樹 教授

② 担当教諭 津留 洋一

③ 参加生徒 理数科2年生8人(男子6人,女子2名)

④ 課題研究の概要

本課題研究では,鹿児島大学大学院理工学研究科の内海俊樹教授と連携し,「ダイコ

ンの辛み成分」について研究を行った。この研究を行うにあたり,対象生徒は,化学の

履修を始めたばかりで,物質量の理解から始めなければならなかった。また,マイクロ

ピペットや分光光度計など,高校ではあまり使わない高度な実験器具を用いて測定する

ため,生徒にとっては白紙の状態からのスタートであった。前年度の研究を引き継ぎ,

ダイコンはなぜ先端が辛いのかをテーマにスタートし,いろいろな測定法を試してみた

がうまくいかず,最終的には測定法の改良を中心とする研究発表となった。

本研究ではダイコンに微量に含まれる物

質を測定するため,生徒一人ひとりの実験

スキルに差があると,測定結果に大きく影

響することが分かった。

また,グループ研究においては実験手順

の意味や目的,器具の取り扱い方法など確

実に習得させることが重要であり,生徒自

らが問題を解決できるよう指導者側の助言

も最低限の情報を与えるのみにとどめた。

その中で,一人だけ突出した測定値が出た

ため,何回も実験を繰り返す生徒の姿や,より正確な測定ができるようにと互いに確認

しあう姿等が見られた。

今回の課題研究で,御指導いただいた鹿児島大学の内海俊樹教授を始めティーチング

アシスタントの皆様に感謝申し上げる。

⑤ 活動状況

回 月 日 場 所 活 動 内 容 等

1 7 5 大学 講師・TA紹介・生徒自己紹介・研究テーマガイダンス

2 7 12 大学 【講義】「ダイコンの辛み成分と測定方法について」

3 9 27 大学 【指導・助言】「測定の見直し」

4 10 18 大学 【指導・助言】「測定の見直し」

5 11 1 学校 【指導・助言】「比色定量法の見直し」

マイクロピペットによる分注

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6 11 15 大学 【指導・助言】「グルコシノレート測定法」

7 11 22 大学 【指導・助言】「グルコシノレート測定結果考察」

8 11 29 大学 【指導・助言】「改良型比色定量法による測定結果考察」

9 12 13 大学 【指導・助言】「ダイコンコンソーシアムポスター発表助言」

10 12 20 大学 【指導・助言】「ポスター発表の反省および今後の方針」

11 1 24 大学 発表内容の指導

12 2 2 大学 【発表】生徒課題研究発表大会

13 2 7 学校 1年間の反省とまとめ

14 2 14 学校 論文要旨のまとめ

⑥ 生徒の感想等

・ 将来化学科志望であり,辛み成分の定量法の見直しに取り組んだ。初め,データを

集めてもなかなか良い結果が得られず苦労した。しかし,だんだん慣れてくると良い

データが取れ始め研究をまとめるところまで行くことができた。

・ コンソーシアムでは,研究発表及びポスター発表の両方の研究発表ができ,大変貴

重な体験ができた。

・ 大学の教授からアドバイスをいただくことができ非常に貴重な経験でありがたかっ

た。

エ SSⅢの実施内容

(ア) 期 間 平成22年4月~平成23年3月

(イ) 期 日 SSⅢの時間(金曜日7時間目)及び土・日・長期休業中

(ウ) 場 所 本校実験室・パソコン室・鹿児島大学各研究室等

(エ) 主対象 3年生理数科生徒

(オ) 実施内容

前 期 課題研究のまとめ(科学論文・英文要約作成),各種発表会への参加

推薦入試・AO入試への対応

後 期 進路実現にむけての学習及び指導,推薦入試・AO入試への対応

辛み成分測定実験

実験結果の考察

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(カ) SSⅢの研究テーマ及び連携先

教 研究テーマ 担当職員 連絡先 生徒

科 数

数 身のまわりの数学 川 野 鹿児島大学大学院理工学研究科 7名

学 木 内 数理情報科学科 丸野 隆明 助教 7名

物 桜島火山の大気電場観測 樋之口 京都大学防災研究所附属 6名

理 火山活動研究センター 井口 正人准教授

原 鹿児島大学大学院理工学研究科

口 地球環境科学専攻 宮町 宏樹 教授

リズムについて 東 鹿児島大学大学院理工学研究科 7名

物理・宇宙専攻 秦 浩起 准教授

化 太陽電池の研究 満 村 鹿児島大学大学院理工学研究科 3名

学 生命化学専攻 楠元 芳文 准教授

ダイコン由来アミラーゼによる新 中 島 有 鹿児島大学 農学部生物資源化学科 7名

しい焼酎の開発 鮫島 吉廣 教授

ダイコンの辛み成分 津 留 馬 鹿児島大学大学院理工学研究科 7名

生命化学専攻 内海 俊樹 教授

九州大学大学院農学研究院

丸山 明子 准教授

生 深海性のエビについて 讃 岐 鹿児島大学水産学部水産学科 7名

物 大富 潤 教授

オトシブミの寄生蜂 小 溝 鹿児島大学農学部生物生産学科 8名

德 津田 勝男 教授

動物の染色体の観測 森 田 鹿児島大学大学院理工学研究科 6名

生命化学専攻 塔筋 弘章 教授

ダイコンの遺伝的多様性と耐塩性 下大田 重 鹿児島大学農学部生物生産学科 6名

の遺伝学的解析 岡本 繁久 准教授

地 太陽の研究 立 石 山 鹿児島県立博物館 7名

学 田

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SSⅡ(課題研究)

0 20 40 60 80 100

研究内容の理解度

研究や実験の楽しさ,充実感

観察力の習得

論理的思考力の習得

学習内容をまとめる力の習得

実験中の内容理解度

分析的考察力の習得

多面的な見方・考察力向上

科学への興味関心の向上

科学実験の意義の理解度

科学知識や原理・法則の重要性への理解度

科学の理論・技術の社会的有用感の理解

理科・数学への向学心の高揚

研究内容の大学での継続意志

質問内容

2007 2008 2009 2010

(3) 研究の検証

ア 学校設定科目「SSⅡ」の検証

アンケートの結果から高大連携を軸としたSSⅡの課題研究によって,9割を超える生徒が

内容を理解し,8割を超える生徒が研究の楽しさや充実感を感じている。また,8割の生徒が

科学への興味関心が向上し,理科数学への向学心も過去最高の8割を超える生徒が向上し, 同

じ内容を大学でも学びたいと思う生徒が,過去4年間で過去最高の6割近い結果になっており,

仮説のア,イが検証されている。

8割を超える生徒が,観察力・論理的思考力・まとめる力の習得があったと肯定的に答えて

いる。分析的な考察力や多面的な見方の向上についても7割を超える生徒が肯定的に答えてい

おり,物理班,化学班,生物班,天文物理研究部などの全国・九州の科学コンテストでの優勝

や上位入賞ラッシュにつながっていることを合わせて仮説ウ(創造性や解決的な探究力の向

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上)・オ(サイエンスクラブの充実による理数系研究への意欲の向上7割)についても仮説の

検証ができている。

仮説エである国際学会や国際科学コンテスト等への参加は,2年生については一部の生徒の

みの参加になっているが,日本代表としてオトシブミ班がタイに研究発表に行ったり,

ISEF2011の日本代表として火山雷班が選ばれりするなど,成果は出始めている。

イ SSⅡの生徒の感想

○ 自分たちで研究していき新しいことが分かってとても楽しく活動することができた。

○ みんなと協力して研究できた。

○ 教授と話し合うことができ,大学での研究が身近となり,意欲が増した,他校ではできな

い貴重な経験をしたという回答が多かった。

○ 最初は難しかったが,少しづつ分かるようになった。

○ 大学と連携しなかったが納得して研究に取り組むことができた。

○ プレゼンが分かり易く伝えるためにすることが分かった。

○ グループ研究での連携で,選ぶテーマや学部学科が制限されているため,自分の進路希望

とあわない研究を行った生徒もいたようであるが,「全く興味の無かったことに興味を持つ

ことができ,力がついたと思う。,自分たちで結果を予想したり,まとめるときに考察など

をしっかり1つ1つ考えて,まとめなければならないことが理解できた」等の感想があった。

○ 研究をする大変さや研究に多くの人が関わっていることが分かった。

○ 先生に負担をかけすぎてしまった。

○ 発表のときそんなに本気で取り組んでいなかった実験や結果が役に立って,どの活動も大

切にしなければと思う気持ちが強くなった。

○ 科学技術が社会の様々な所に役立っていると知った。

ウ 学校設定科目「SSⅢ」の検証

「課題研究及び発表等の過程による適切な指導により,創造性や独創性を育むとともに,自

ら解決探究する力を養うことができたか。」

次ページのアンケートの結果から高大連携を軸

としたSSⅡ・Ⅲの課題研究によって,8割を超

える生徒が内容を理解し,8割近い生徒が研究の

楽しさや充実感を感じている。また,6割を超え

る生徒が科学への興味関心が向上し,理科数学へ

の向学心は5割の生徒が向上している。一方,S

SH取組による独創性については右図のように5

割程度の生徒が向上したと回答している。

7割近い生徒が,観察力・論理的思考力・まとめる力・分析力の習得があったと肯定的に答

SSH参加による独創性の向上

10

2619

3

111 0

大変増した やや増した 効果がなかった

もともと高かった 分からない 無回答

無効値

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0% 20% 40% 60% 80% 100%

研究内容理解

実験の楽しみ

観察力習得

論理考察力習得

まとめる力習得

実験の理解

分析力習得

多面的な考察力習得

科学への興味関心向上

科学の実験の意義理解

原理法則の意義理解

科学の社会貢献理解

理科数学の意欲向上

国際性の向上

SSⅢ(課題研究のまとめ)取組の評価

大変評価できる, 評価できる, あまり評価できない, 全く評価できない

えており自ら解決探究する力を養うことが出来ている。

エ 国際性を高める取組の検証

「国際学会や国際科学コンクール等への参加を通じて,将来国際的に活躍するための意欲を

養うとともに,その基礎的な素養を身に付けることができたか。」

アンケートの結果から,3年次のSS

Ⅲの英文要約作成の指導だけでは,3割

程度の生徒にしか国際性を高める取組に

ついて評価されていない。一方SSH活

動全体では,4割程度の生徒が国際性の

向上に役立ったと答えている。

一方,国際学会発表や国際大会に出場した生徒10名のみに絞ると,全ての生徒が国際性が

高まったと回答しており,理数科の多くの生徒に英語を用いたプレゼンテーションを取り入れ

る等新しい取組を考えていきたい。

オ 理科系部活動の活性化の検証

「サイエンスクラブの充実を図り,課題研究の内容を更に発展させるとともに,部活動独自

のテーマについても研究を進めることで,特に研究に対する意欲や力のある生徒を更に向上さ

せ,SSH活動を一層活発にすることができたか。」

SSH参加による国際性の向上

26

42

2 0

効果があった 効果がなかった 無回答 無効値

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サイエンスクラブは,SSHの課題研究の取組の中で,興味を持った生徒の入部が進み,5

7人になっている。

今年は,国際学会である国際シロイヌ

ナズナ研究会議やタイ王国での科学コン

テストに日本代表として活躍するなど,

国際的に活躍できている。これも一昨年

度からの国際学会発表の指導の積み重ね

である。この他,日本水産学会や日本地

球惑星科学連合高校生部門などで鹿児島

県初の全国1位に入賞したり,JSEC

2010において最終選考会において公

立高校で唯一グランドアワード入賞を果

たしたり,JSEC2010ではダブル受賞や来年5月に米国で開催されるISEF2011

の鹿児島県初の日本代表となる快挙を成し遂げた。

一部の部活動の連続受賞ではなく,オトシブミ班やダイコン研究班の生物研究部,化学研究

部,天文物理研究部などレベルの高い班同士が競い合う中で,多くの班の受賞であることが,

多くのテーマの研究を深め,意欲ある生徒達を更に向上させ,SSH活動が一層活発になって

いることと評価できる。詳細は以下に示す。

(ア) サイエンスクラブ活動人員 57人

天文物理研究部…8人・地球科学同好会…6人・化学研究部…19人・生物研究部…24人

(イ) テ ー マ 「高高度発光現象の観測」・「桜島の噴火に伴う火山雷の研究」

「オトシブミの寄生蜂の研究」・「皆既日食時における蝉の鳴き声について」

「鰻池の水生生物調査2010」

「ミラーの実験」

(ウ) 活動内容

○ 各種発表大会・学会への参加及び日本学生科学賞・JSECへの応募

○ 各機関等への参加協力

・ 鹿児島県立博物館ボランティアへの協力

・ 鹿児島市立科学館主催科学の祭典への参加「大気圧の力で遊ぼう!ドラム缶つぶし」

・ 鹿児島地方気象台での所員講演への協力

(ウ) 各種発表会及び,全国SSHコンソーシアムへの参加等

① 全国大会・学会入賞

ア 日本植物生理学会「高校生生物研究発表会」(2010/3/21:熊本大学)【特別賞】

・生物研究部・化学研究部・天文物理研究部SSⅡダイコン研究関係グループ

イ 日本水産学会春季大会(2010/3/29:日本大学)高校生部門『金賞』【全国1位】

「深海性甲殻類ナミクダヒゲエビの個体群生態」SSⅡエビ班と生物研究部

ウ 高校生ジュニア農芸化学会(2010/3/29:東京大学)『日本農芸化学会和文誌掲載決

定』【全国ベスト8】「大根由来アミラーゼを利用した新しい焼酎の開発」SSⅡ大根

焼酎班と化学研究部

エ 日本地球惑星科学連合2010年大会(5/23:幕張)高校生部門『最優秀賞』【全国1

タイ王国での科学コンテストポスターセッション

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位】「桜島の爆発的噴火に伴う火山雷の特徴」天文物理研究部

オ 全国SSH生徒研究発表会(8/3,4:パシフィコ横浜) 【ポスターセッション賞】

「オトシブミコマユバチの寄生生態解明への挑戦」SSⅡと生物研究部(中原・塩田・

後藤)

カ 第17回全国高等学校理科・科学クラブ研究論文(9/27:工学院大学主催)【努力賞】

「南九州上空におけるスプライトとその気象場との関連について」天文物理研究部

キ バイオテクノロジー研究推進会主催第19回バイオ甲子園11/13 優秀賞(全国2位)

「オトシブミとその寄生蜂に関する研究2009-2010」SSⅡ・Ⅲ寄生蜂班&生物研究部

ク 朝日新聞主催日本科学技術チャレンジJSEC(12/11,12,日本科学技術未来館)

【科学技術政策担当大臣賞】★県初日本代表(世界大会出場権取得)

「桜島の噴火に伴う火山雷の発生メカニズムの解明を目指して」天文物理研究部

【審査員奨励賞】

「オトシブミとその寄生蜂に関する研究2010~オトシブミの卵をめぐる寄生蜂3種の

ミクロな生存競争~」SSⅡ・Ⅲ課題研究班&生物研究部

ケ 読売新聞主催日本学生科学賞全国審査

【入選1等:鹿児島県過去最上位】「皆既日食でクマゼミは鳴き止むか?~クマゼミの

発音行動の要因とそのメカニズムを探る~」生物研究部&オトシブミ班

② 国際大会・全国大会参加

ア 国際科学技術フェア(ISEF)参加(5/9~14:米国カリフォルニア州サンノゼ)

サイエンスリポータ 3年 中山・黒瀬・岡元

イ 科学技術フェスタ参加(6/5:京都国際会館)

「オトシブミの寄生蜂の研究」3年 中山・黒瀬・岡元

ウ Astro-HS全国フォーラム2010(2010/3/26:広島大学)10時~15時40分

・皆既日食の観測:SSⅡ(地球科学同好会)

③ 国際学会・各国内学会等への参加

ア 国際シロイヌナズナ研究会議(6/7:パシフィコ横浜)英語によるポスター発表

"Comparison of salt tolerance in daikon radish varieties"

生物研究部 下野静恵(3年),鈴あゆみ(3年)

"Cultivar dependent distribution of pungent principle in the roots of

Daikon" 化学研究部 桑水流佳祐(3年),藤原翼(3年)

イ 全国地学教育研究大会・日本地学教育学会全国大会(8/21:鹿児島大学)【優秀賞】

ジュニアセッション「桜島の爆発的噴火に伴う火山雷の特徴」天文物理研究部

「皆既日食時における電離層変動のAMラジオ電波観測」天文物理研究部

「南九州上空におけるスプライトとその気象場との関連について」天文物理研究部

ウ 日本昆虫学会(9/20:山形大学)

「クマゼミ発音行動の要因とそのメカニズム」生物研究部(厚地健人,白拍子亜門)

エ 日本動物・植物・生態学会三学会九州支部鹿児島例会12/18

成果発表「オトシブミとその寄生蜂に関する研究2010」SSⅡ班・生物研究部

ポスター発表「ダイコン辛み成分研究」SSⅡ大根辛み成分班・化学研究部

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「焼酎の開発による桜島大根の商業的利用の可能性をさぐる」

SSⅡ大根焼酎班・化学研究部

「植物ストレスとダイコン辛み成分の関連性」SSⅡ大根耐塩性班・生物研究部

「ダイコンの成長とその形態」生物研究部 生物研究部

④ 九州大会

ア 九州高等学校理科研究発表大会(2010/2/7:宮崎大学)

生物部門【最優秀賞】『1位』「オトシブミの寄生蜂の研究」SSⅡⅢ&生物研究部

化学部門【優秀賞】「大根アミラーゼを用いた新しい焼酎の開発」SSⅡ班・化学研

究部

物理部門【優秀賞】「皆既日食時における電離層変動のAMラジオ観測」天文物理研

究部

イ サイエンスインターハイ@SOJO(7/31:崇城大学)

【ポスター金賞】

「皆既日食に伴う電離層の変動観測」天文物理研究部+SSⅡ

【コンペティション 奨学金受賞】

「太陽電池の研究」SSⅢ研究班・化学研究部

「桜島の火山雷の研究」天文物理研究部+SSⅡ

ウ 九州地区SSH課題研究発表会(2011/1/30:小倉高校)

生物部門【金賞】「ダイコンの成長とその形態」生物研究部

エ 九州高等学校理科研究発表大会(2011/2/6:長崎ウエスレヤン大学)県代表

物理部門【奨励賞】

「南九州上空におけるプラズマ発光現象の謎に迫る!」天文物理研究部

化学部門【最優秀賞】

「大根アミラーゼを用いた新しい焼酎の開発」SSⅡ焼酎研究班・化学研究部

⑤ 県大会

ア 南日本新聞社主催鹿児島県理科における研究記録展

【県教育委員会賞】「ミラーの実験」化学研究部

【特選】「皆既日食クマゼミ観察」生物研究部

イ 読売新聞主催日本学生科学賞地方審査

【県知事賞】「皆既日食でクマゼミは鳴き止むか?~クマゼミの発音行動の要因とその

メカニズムを探る~」生物研究部&オトシブミ班

【県教育委員会賞】「ミラーの実験」化学研究部

ウ 鹿児島県高等学校生徒理科研究発表大会(2010/11/5:鹿児島市立科学館)

【最優秀賞】

化学部門「桜島大根を救え!」SSⅡ焼酎研究班・化学研究部

【優秀賞】

物理部門「南九州上空に見られるプラズマ発光現象の謎に迫る」天文物理研究部

生物部門「オトシブミとその寄生蜂に関する研究 2010」SS Ⅱオトシブミ班・生物研

究部

地学部門「桜島の噴火に伴う火山雷の特徴」天文物理研究部と SSⅡ火山雷班

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3 研究開発課題Ⅲ

Ⅰ,Ⅱの課題を達成するための理数系教材や教科指導法の開発や成果の普及

(1) 教材開発

前指定時のSSIにおける科学基礎実験の内容が既に開発されており,これを基本に各教科で,実

験集として編纂していく作業を進め,平成 24年度を目安に,完成させる計画である。

また,コアSSHのダイコン多様性研究では,コンソーシアムで映像教材,自作分光計を開発し,Web公開を始めることができた。(詳細はコアSSHの頁で述べる。)

ア 教材開発の例「簡易吸光光度計『からみちゃん』の開発」

(ア) グロード試薬で辛味成分を図るために1000円で「からみちゃん」を開発

※ 現在沖縄開邦高・岐阜大垣東高・愛媛松山南高が利用している。

デンプンにヨウ素液(色素溶液)を加えると紫

になるような反応では,デンプンの量が濃いほど

紫色が濃くなる。紫色の溶液は,赤い光をよく吸

収する。この性質を吸光という。

色が濃くなると言うことは,周りの光を吸収す

る割合が多いという関係がある。(正確にはラン

バートベールの法則という。)この関係を使って

吸光する割合から濃度を求めることを吸光分析と

いう。この際あらかじめ正確な濃度の溶液を用意

して,吸光度と濃度の関係を調べグラフを作って

おく。このグラフのことを検量線という。

通常の吸光光度計では,電球にプリズムが付い

ていて光を様々な色に分け,いろんな色で吸光分

析できるようになっている。また光を感じるセン

サーに太陽電池を使い電流を測って光の量を決め

る。

「からみちゃん」では,光源として605nmの赤

いLED光を利用する。これは辛み成分で色が変わ

る指示薬であるグロード試薬がこの赤を吸収する

からである。さらに,光センサーとして安価で感

度の良い硫化亜鉛という半導体を利用し,(これ

は光が当たると抵抗が下がる性質がある。逆に暗

いと抵抗値が上がる。)この抵抗値で検量線を作

成する。

(イ) 「からみちゃん」での測定方法

ボリュームは抵抗の値の変わる抵抗器(0~100Ω)である。なぜボリュームが付いている

かというとLEDは,気温や流れる電流によって発光量が変動するので,実験の開始直前に一

定にするためである。(蒸留水を入れた状態や,空の状態で右側のテスターの抵抗値をいつ

Fig.2 開発した「からみちゃん」

Fig.1 青い指示薬は赤い光を吸収する

ランバートベールの法則

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も一定になるように調整して下さい。)

吸光度は,グロード試薬で着色した溶液を2mlプラスチックセルにいれ抵抗を測る。(暗

箱を被せて室内の照明や太陽光の影響を避け測定する。)

辛味成分が多い

と抵抗は上がり、

辛味成分が少ない

と抵抗は下がる。

抵抗値で相対的な

辛味の比較は可能

である。正確に定

量するためには,

あらかじめ辛味濃

度の分かった溶液を使い,検量線を作成し,測定に利用する。

(2) 研究成果の普及

本年度は,生徒による国際的な研究発表を2件(6月国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国での

生徒発表会参加)と教師による国際的な事例発表を2件(8月の日中理数重点校教師交流会,タイ王

国の教師交流会)行うことができた。さらに錦江湾高校の課題研究の取組を,8月の日本地学教育学

会での口頭発表,中等教育資料10月号への誌上発表,12月のSSH情報交換会での事例発表,県教育

界への発信として県教委主催の「未来を拓く鹿児島の教育シンポジウム」等で事例発表を行うことが

できた。以下に詳細を記載する。

ア 研究成果発表(職員)

(ア) 平成22年度「未来を拓く鹿児島の教育シ

ンポジウム」(8/3,かごしま県民交流セ

ンター)「鹿児島県立錦江湾高等学校のSS

H概要」実践発表(樋之口仁)

(イ) 日中理数重点校交流会参加(8/10,中

国広州市;広東科学中心)

「鹿児島県立錦江湾高等学校のSSHの紹

介」実践発表(樋之口仁)

(ウ) 平成22年度全国地学教育研究大会・日本

地学教育学会第64回全国大会研究発表

(8/21,鹿児島大学教育学部)「錦江湾高校におけるSSHの取組」

(エ) 鹿児島地方気象台活力研修(9/13)実践発表(樋之口 仁)「鹿児島県立錦江湾高等学校

におけるSSHの取組」

(オ) 文部科学省教育課程課編集「中等教育資料10月号」平成22年10月1日発行

誌上発表p84~89魅力ある学校の取組「豊かな自然を生かしたフィールドワークと高大連

携を生かしたスーパーサイエンスハイスクールの取組」(樋之口 仁)

(カ) 九州地区SSH担当者交流会参加(10/21・22,佐賀県四季彩ホテル「千代田館」)

実践発表(樋之口 仁)・研究協議(髙橋 裕子・田野邉 厚彦)

Fig.3 検量線の例

九州地区SSH担当者交流会成果発表(佐賀)

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(キ) SSH「科学系部活動ならびに課題研究に関する指導者研修会」研究発表(11/22,福岡

県小倉高校)

実践発表「鹿児島の豊かな自然素材を活かした課題研究や理科部の取組」(樋之口 仁)

(ク) 日本科学技術振興機構主催SSH情報交換会・課題研究分科会実践発表(12/26,東京,

学術総合センター)「地域の豊かな自然素材を生かした課題研究の取組」(樋之口 仁)

(ケ) 錦江湾高校研究紀要第35号での誌上発表 平成23年3月1日発行,鹿児島県下全高校に配

p28「スーパーサイエンスハイスクール研究開発Ⅱ~コアSSHダイコン多様性研究コンソ

ーシアム」事業の経過報告~(讃岐 斉)

p59「中国青少年科学技術コンテスト視察と日中理数重点校教師交流会への参加報告」(樋

之口 仁)

(コ) 熊本大学理数学生応援プロジェクト高・大・大学院連携型理数学生ステップ・アップ・プ

ログラム第2回高大連携情報交換会参加(3/15,熊本大学工学部)

「鹿児島の豊かな自然素材を活かした錦江湾高校のSSHの取組」実践発表(東 寛久)

(サ) 日泰(タイ)教員交流会参加(3/19,タイ王国バンコク市)

「鹿児島県立錦江湾高等学校のSSHの紹介」実践発表(小溝 克己)

(シ) 鹿児島県教育研究会理科部会誌による誌上発表,鹿児島県内全高校に配付。

p21「『連携』をキーワードとした科学教育研究の推進」(讃岐 斉)

日泰(タイ)教員交流 錦江湾高校事例発表

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0% 20% 40% 60% 80% 100%

H18年度

H19年度

H20年度

H21年度

H22年度

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H18年度

H19年度

H20年度

H21年度

H22年度

第6章 全体としての実施の効果とその評価

1 入学生の変化

SSH6年目を迎え,この事業がどの程度中学三年生に浸透し,理解を得ているか。また,こ

の事業が進路決定に対し,どれほど影響を及ぼしているのかを調査した。この背景として,鹿児

島市内の高校入試は点数による進路決定の意識が極めて高く,理数科であっても入学の時点より

将来文系の進路を希望する生徒が2~3割存在し,必ずしも全員が理系への進学を強く希望して

いないことがある。SSH事業を行うにあたり,主対象としての理数科生徒が,理科・数学への

意識を強く持ち,事業の内容を理解して入学してくれることが望ましい。

(1) 理数科入学生への4月時アンケート結果

ア 本校でのSSH事業について知っていましたか。

よく知ってた 知っていた 余り知らない・全く知らない

イ 本校でのSSH事業が行われていることが,学校や理数科を選ぶ時に影響しましたか。

よく影響した 影響した 余り影響しない・全く影響しない

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(2) 検証

SSH事業6年目となり,入学生のアンケート結果から中学生への本校SSH事業の存在は

8割程度で浸透してきているようである。しかし,本年度入学生は,「良く知っていた」生徒が

昨年度より半減した。これは,指定終了年度に当たり,再指定が不明なので,SSHの再指定

の有無にかかわらず本校を目指す生徒が多くなったという実態が窺える。

また,SSHが理数科進学に与える影響も,昨年度に比べ1割近く盛り返している。これは

指定の終了にも関わらず,昨年以上に新聞やテレビでのへの学会発表や研究,全国コンテスト

入賞のニュースの報道が多く,中学校への高校説明会や訪問を行った広報の効果と考えられる。

2 志願者数の変化

(1) 本年度の状況

ア 過去5年間の志願倍率の変化

イ 過去5年間の推薦入試志願数の変化

(2) 検証

本年度は理数科志願倍率が1.53倍と上がった。昨年度1.33より0.2ポイント高い。

本年度は,理数科の推薦入学出願者の数を見ると,平成21年度より微増を続けている。大き

く伸びない原因として,少子化や広報不足等が考えられる。

0

2

4

6

8

1 0

1 2

1 4

1 6

H 1 7 年 度 H 1 8 年 度 H 1 9 年 度 H 2 0 年 度 H 2 1 年 度 H 2 2 年 度 H 2 3 年 度

志 願 者 数

0

0.5

1

1.5

2

H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度

倍率

普通科

理数科

鹿児島学区

鹿児島県全体

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0

5

10

15

20

25

30

H18 H19 H20 H21 H22

合格人数

具体的には本校SSH事業が,海外への研修や著名な講師を招聘しての後援会等,派手な活

動はほとんど行わず,鹿児島大学を中心とした高大連携を中心に身近な自然等を対象とした研

究活動等を行っていたため,インパクトが弱い点が影響していたと考えられるが,昨今,全国

大会上位入賞等のマスコミでの報道が多いため,志願倍率が向上したとも考えられる。理科や

数学に関心が高く,SSHがあるから入学してきたという生徒が着実に増えてきていることは

喜ばしいが,逆に本年度も,特に理科や研究等に興味は無いが,学力検査の点数を基準に入学

してきた生徒とのギャップも大きくなっている感もある。SSHでの活動を希望して入学して

きた生徒が大半を占める状況となれば,雰囲気もより一層良くなり,全体的な意欲や意識も高

まると思われる。

3 進路への効果

(1) 本年度までの生徒アンケート状況

ア 課題研究の進路への影響

イ 理数科国公立合格者数推移

理数科国公立合格者数推移

理数科国公立AO・推薦入試合格者推移

理数科国公立大学合格者数推移

課題研究の進路への影響

7

11

19

12

19

17

13

17

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29

24

25

18

15

19

19

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H22年度

H21年度

H20年度

H19年度

大きく影響した やや影響した あまり影響しなかった 全く影響しなかった

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0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %

理 数 系 の 進 学 に 役 立 つ

大 学 進 学 に 役 立 つ

志 望 校 探 し に 役 立 つ

将 来 の 志 望 職 種 探 し に 役 立 つ

国 際 性 向 上 に 役 立 つ

科 学 へ の 興 味 関 心 向 上

科 学 へ の 学 習 意 欲 向 上

生 徒 の 独 創 性 の 向 上

生 徒 の 探 究 心 の 向 上

生 徒 の 考 察 力 の 向 上

生 徒 の プ レ ゼ ン 力 の 向 上

生 徒 の 国 際 性 の 向 上

SS Hが 学 校 活 動 の 活 性 化 に 役 立 つ か

保 護 者 (3年 生 )の S S H取 組 の 評 価 (計 3 2名 )

評 価

大 変 評 価 評 価 で き な い

分 か ら な い

ウ 保護者のSSHへの評価

※JSTアンケートから抜粋。

(2) 検証

SSH事業の卒業生は,4年目の卒業生を送り出すこととなる。指定前は一桁の推薦 AO 入

試の合格者であったが,指定を受けて倍増の10名程度の合格者を継続している。

国公立理数系進学者も16人前後と指定前後で変動は余り見られないが,文系を含めた国公

立大学合格者数は過去3年間で,本年度が最高になった。本学年は,一般入試での合格者は,

昨年の5人から11人に,理数系進学者で見ると3人から6人に倍増している。これは,AO

や推薦入試で不合格になった生徒が一般入試で努力した結果である。

したがって,課題研究の進路に与えた影響は意識調査と合格者数から考えると,生徒はAO

や推薦入試での合否を直接的に進路に与えた影響と結びつけていると考えられる。「あまり影響

しなかった」,「全く影響しなかった」生徒は,昨年とそれほど変わらず,志望がもともと文系

の生徒であったり,明確な進路希望が理工系であった生徒は,SSH の取組で影響がなかった。

生徒の進路希望が公務員,医療系,工学系,専門学校が多かったために本校の課題研究先との

適合が少なかった。

一方,6割の保護者がSSHの取組によって生徒の進路選択・大学選択・職業選択に役立ち

感を感じている。

進路指導とSSⅡ・Ⅲの適合性が大きく合格に影響することが明らかである。したがって,

来年度は,学校設定科目とキャリア教育(進路指導)との組み合せを重視した取組を深めてい

きたい。

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0% 20% 40% 60% 80% 100%

発展的な内容の重視

教科を越えた教員連携の重視

生徒の科学技術への興味意欲の向上

生徒の科学技術への学習意欲の向上

生徒の理数理論原理への興味向上

生徒の実験への興味

生徒の観察や観測への興味

生徒の応用への興味

生徒の科学の倫理性向上

生徒の独創性の向上

生徒の発見能力の向上

生徒の問題解決能力向上

生徒の探究心の向上

生徒のプレゼン力向上

生徒の英語表現力国際感覚の向上

生徒の自主性の向上

生徒の協調性リーダーシップの向上

生徒の粘り強さ向上

4 教職員の評価

(1) 教職員自己評価

ア 学校評価委員会によるSSH関連評価

十分達成 おおむね達成 やや不十分

イ SSH担当教職員アンケート(JST実施)

強く肯定 やや肯定 否定

分からない

(2) 検証

アの学校評価委員会アンケートから,SSHの取組については全職員の75%が肯定的な評

価をしている。

学校設定科目「サイエンス基礎I・SSⅡ・Ⅲ」による魅力的なカリキュラム開発について

は,9割近いSSH担当職員が指導要領の内容よりも発展的な内容を取り入れ研究開発を行っ

ていることがわかる。また,8割程度のSSH担当者は,他教科との連携を意識して行ってい

る。

また,生徒に比べ,生徒の独創力・考察力・分析力等の向上に対する評価は辛いが,大旨S

SH事業の成果について肯定的な評価をしている。中でもプレゼンテーション力の向上だけは

非常に評価が高い。また,科学の倫理性の向上については生徒と一致した否定的な結果となっ

ている。

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0% 20% 40% 60% 80% 100%

講演内容の理解

2年生の課題研究のテーマやヒントの発見

研究や実験の楽しさの体感

観察力の習得

論理的考察力の習得

学習内容をまとめる力の習得

多面的な考察力の向上

科学の興味向上

実験の意義の理解

科学への原理法則の重要性理解

科学の社会社会貢献への理解

理科や数学を学ぶ意欲向上

大学の様子の理解

工学部薬学部での向学心向上

5 サイエンスキャリアイベントの評価

(1) 1年生のアンケート

以下は,サイエンスキャリアイベント実施後の生徒アンケートである。

強く肯定 やや肯定 やや否定 否定

(2) 検証

本年度初実施したキャリア教育的な視点を

深めるサイエンスキャリアイベントの事後ア

ンケートの結果である。

1年生対象の夏休み実施の科学講演会であ

るため,6割程度の理解度となっている。し

かし,最先端の研究の面白さは8割を越える

生徒が感じ,7割の生徒が大学の様子を理解

し,5割を越える生徒が,工学部や薬学部へ

の向学心を向上させている。

1・2・3年を通じた継続的な講演会の取

組も必要と考えられる。サイエンスキャリアイベントの科学講演

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第7章 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及

1 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向

(1) 「サイエンスリサーチ(SSⅡ)」「SSⅢ」~ 研究開発課題Ⅰ鹿児島の自然を生かした国際

性豊かな科学系人材の育成について~

ア 課題

本年度は,SSⅡとして鹿児島大学等の研究機関へ訪問して連携する課題研究をほとんど

のグループで実施することができ,鹿児島の自然を生かした研究内容が充実し,発表内容,

発表態度の深まりが見られ,2月の課題研究発表会で審査員をしていいただいた運営指導員

の先生方に,生徒の成長を高く評価して頂いた。

SSⅡ・SSⅢにおける課題研究の英語発表に伴う指導については,従来からの英語科教諭及

び理系の大学を卒業した外国語指導助手による英作文・発音指導と,鹿児島大学や東北大学,京

都大学による英語科学論文指導を受けながら,英文ポスター,アブストラクトの翻訳,プレゼン

テーションを完成させ,国際舞台である国際シロイヌナズナ研究会議やタイ王国,ISEF20

11に向けての対策を行い,国際学会やタイ王国研究発表会にて,高く評価された。しかし,一

部生徒の指導に留まっているため,理数科全体の指導に生かす手立てが必要である。

イ 今後の研究開発の方向

サイエンスリサーチとして,鹿児島大学等の研究機関へ訪問して連携する課題研究を軸と

して,多様な研究を展開していく。

国際性を高める取組として,課題研究の英語プレゼンテーション指導をマニュアル化して,

英語ポスターセッション発表会等を模索していきたい。

(2) 「サイエンス基礎」・「サイエンスリサーチ(SSⅡ)」・SSⅢにおけるキャリア教育的な取

組の充実(研究開発課題Ⅱについて)

ア 課題

サイエンス基礎のサイエンスウィークについては,本年度は大学でのキャンパス実験と研

究室訪問を取り入れ,課題研究のテーマの発見や科学者,研究者としての勤労観・職業観を

より高めることを目的とした。また,SSⅡの課題研究のテーマの発見や科学者,研究者と

しての勤労観・職業観をより高めるために,従来の科学講演会を深めて,サイエンスキャリ

アイベントを行い,一定の成果がでた。

前回の指定でSSⅢは,課題研究の個人研究への移行として,まとめを深めると同時に,

科学論文作成と国際性を高める英文要約作成を課題にして取り組みとして定着してきた。し

かし,理数科全体としての国際性を高める十分な取り組みはできていない。

イ 今後の研究開発の方向

3年間を通じた担任や進路指導部,普通科の総合的な学習の時間と連携して,キャリアプラ

ンニングの充実を図り,サイエンスキャリアイベントを充実させる。

また,「サイエンスリサーチ」においては,進路志望によりマッチした課題研究のテーマになる

ようにする。

SSⅢでは,国際性を高める取組を深めるためにALTや外部講師を活用して,英語による

科学論文作成講座やプレゼンテーション講座を企画していきたい。さらに国際学会等への積

極的な参加も,SSⅢの中で検討していきたい。また,理数科の英検全員受験など英語科や

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保護者との連携を図りながら検討していきたい。

また,AO入試・推薦入試だけでなく一般試験の小論対策など,AO推薦入試で不合格に

なっても活用していけるような指導に移行していく。また,今回の受験分析をしっかり行い,

入試情報収集や分析を進路指導部と協力しながら対応していきたい。

(3) 研究開発課題Ⅲ(教材開発と成果普及)についての課題と今後の方向

ア 高大連携で得られた課題研究や探究活動の教材化・ガイドブック作成

本年度は,成果普及を中心に事業が展開したので,平成24年度完成をめどに,サイエンス

基礎での実験マニュアルや国際性を高める指導についての指導集などの製作を始める。

イ コアSSH「ダイコン多様性研究」の再指定及び教材化・成果普及の推進

ダイコン多様性研究を始めとするコアSSHも積極的に申請し,成果の普及推進を図る。

(4) 職員減に伴うSSH事務・経理等の業務の適正化についての課題と今後の方向

生徒数減に伴う職員減に対応し,コアSSH再指定申請を行い,事務員の確保や連携を進め,

業務分担の適正化を図る。

(5) 科学系部活動の充実

ア 課題

平成18年度入学生が核となって,部顧問の

意欲的な支援もあり,活動が非常に活性化し

てきており,課題研究の2年生と切磋琢磨し

ながらの興味・関心に応じた生徒の活動によ

る,自主的探究活動の育成が形作られてきて

いる。

サイエンスクラブの活動の成熟期に入り,

文化祭出展,県生徒理科研究大会参加だけで

なく,九州大会や全国大会出場が日常化して

きた。また,青少年のための科学の祭典や県

立博物館への実験ボランティア参加など,ボ

ランティア活動も定例化し,盛んになってきている。

今後は,普通科生徒も含めて更に部員を増やし活発化させると共に,研究のつながりを期

待したい。

イ 研究開発の方向

中学生の理科クラブを共同研究の形で支援する中高連携の取り組みや小・中学生の理科好

きを育てる出前授業・出前実験にも意欲的に取り組んでいきたい。

(6) 各種発表会等への参加

ア 課題

発表会に関しては,本年度はSSⅡの項目でも述べたとおり,課題研究やサイエンスクラ

ブの研究で,国際学会での英語や中国語による学会発表,日本昆虫学会の学会発表,日本水

産学会,日本地球惑星科学連合での高校生部門優秀賞,奨励賞などの上位入賞などの学会発

表を成し遂げることができた。

SSH生徒課題研究発表大会では最高賞のポスター賞受賞,JSEC2010最終選考会に2

鹿児島市立科学館での科学の祭典

実験ボランティア

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チームがエントリーし,ダブル受賞するなど,鹿児島県初の快挙を成し遂げている。

また,九州地区生徒理科研究発表大会では,県代表として物理,化学,地学分野で発表し,

昨年の生物に続いて化学が九州1位の最優秀賞を受賞するなど大学レベルの研究がなされた。

イ 研究開発の方向

来年度は,米国である ISEF2011に火山雷班が日本代表として派遣される。これを契機に

全国SSH生徒研究発表会,九州・中国・四国理数科課題研究発表会等,各種発表会や学会

での発表を,これまで以上に積極的に行っていきたい。また,国際学会等の高いレベルでの

発表を充実させたい。

(7) 各種交流会への参加

ア 課題

・(スプライトコンソーシアム)本年度は,鹿児島地方気象台との連携により,天文物理研究

部が日本地球惑星科学連合において最優秀賞をいただくことができた。また,高知のスプラ

イト全国コンソーシアムへの参加協力を行った。

・(九州地区SSH担当者情報交換会)本年度は,佐賀県立致遠館高校が幹事校となり,九州

内の各SSH校のカリキュラム開発の取組や課題研究の取組を伺う事が出来,有益な情報交

換会となった。

・(科学系部活動ならびに課題研究に関する指導者研修会)

小倉高校のコアSSHである本研究会で,研究発表を行い,多くの課題研究や部活動に関

する情報交換ができた。

イ 研究開発の方向

・(スプライトコンソーシアム)来年度も,高知の全国コンソーシアム研究の中堅校として,

コンソーシアム校全体をリードして行きたい。

・(九州地区SSH担当者情報交換会)2期目の指定校として,成果普及に努力し,他のSS

H校と共に,SSH事業全体のレベルアップを図りたい。

・(科学系部活動ならびに課題研究に関する指導者研修会)

来年度も参加し,様々な科学コンテストでの評価の在り方について,協議しよりよいもの

を作っていきたい。

(8) 教職員の協力体制

ア 課題

SSH事業再指定1年目として,前指定時に校務分掌に位置づけたSSH部の充実を図り,

4月当初には,事業毎の役割を決めスムーズな活動を心掛けた。また,校内SSH運営委員

会の代わりに,理科だけでなく学校特設科目を担当する職員と理数科担任団を含めたSSH

担当者会を中心に運営し,担当職員の連携・協力をスムーズに進めることができた。

時間割の制約で,担当者全員は揃わない面があり,教務と相談しながら改善していきたい。

イ 研究開発の方向

全校体制の強化に努めていくために,

・事業毎の役割や仕事の明確化

・経理書類と報告書類の一元化

の2点を努力し,負担が少なく,実の多い事業活動を進めて行きたい。

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(9) その他

ア 生徒・保護者・職員・大学の先生方等の意識調査についての方法,アンケートの質問内容

等,係を分担し,研究・改善が進んだ。

イ 来年度から理科の実験室のある校舎の耐震工事が始まり,準備室等の移動も想定される。

工事の計画に対応しながら,SSHの活動に支障をきたさないよう,今後しっかりとした計

画・対応が必要である。

2 成果の普及

(1) 生徒課題研究発表会

前指定の初期に生徒課題研究発表会を学校で行っていたが,交通が非常に不便な鹿児島市の

郊外にあるため,広報という面からは効果が低かった。現在鹿児島市の中心部に近い鹿児島大

学で実施し,鹿児島大学関係者はもちろん県内外からの参加者の増加が見られている。

しかし,鹿児島大学稲盛会館の収容人員が少なく,広報という点ではもう一回り大きな会議

施設の検討も考えられる。

一方,生徒にとってはアカデミックな場所での生徒課題研究発表会での実施は,生徒に緊張

感を与えよい刺激になっている。

(2) Webページ・広報誌の活用

Web ページの更新も計画的に行うことができている。来年度以降も更新を進めていきたい。

また,本校には「きんこうわんの風」という学校全体の広報誌があり,SSH活動がその中に

紹介されてきたが,昨年からこの広報誌も pdf 版としてWebページ上に掲載されている。紺

とSSH独自の広報誌等を検討し,保護者・地域への積極的な広報を行っていきたい。

(3) 体験入学・中高連絡会等の活用

中学生を対象とした体験入学は,例年,夏季休業中に実施されている。これまでは,学校紹

介ビデオの一部としての紹介や,課題研究の発表・理科の授業体験が行われてきたが,課題研

究やサイエンスウィークなどの活動紹介のポスターの掲示や資料の配布など,これまで以上に

積極的に取り組んでいきたい。

中高連絡会や中学校訪問の際に本校SSHパンフ・ポスターの配付等のPRをすることがで

きた。来年度は理数科運営委員会とも相談しながら生徒募集に努めていきたい。

(4) 地域との交流・還元

平成19年度より,サイエンスクラブの活動が活発となり,各種発表会へ積極的に参加するだ

けでなく,県立博物館主催の企画展への協力(右写真)や博物館ボランティアへの協力や鹿児

島市立科学館主催の「かごしまおもしろ科学フェスティバル鹿児島2009」での科学実験ボラン

ティア,小学校への出前講座や出前実験などに取り組んできた。また,鹿児島県総合教育セン

ターには,総合的な学習の時間の事例として,学校特設科目の課題研究の事例を公開し,利用

していただいている。

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来年度は,これらの活動を更に活発に行うとと

もに,地元の小・中学校へ出向いての科学実験な

ど,地域との交流や還元を検討していきたい。ま

た,中学校の理科研究グループに共同研究の形で

中高連携を行う取り組みも再び検討して行き,S

SHで得られた課題研究のノウハウの普及に努め

ていきたい。また,JSTや鹿児島県総合教育セ

ンターとも連携し,SSH事業で研究開発された

教材等を県内外に広める努力を行いたい。

(5) 生徒の進学実績の向上と各種発表会での成果

鹿児島市内の郊外で地理的に非常に不便な位置にある本校にとって,SSHの活動は,生徒

募集や学校のアピールに効果を挙げてきている。各種発表会での成果や推薦入試・AO入試等

による進学実績の向上など,これまでの活動により着実に結果がでてきている。

来年度以降は,SSH事業後の理数科のあり方を含め,より成果を必要とされると思われる。

各種発表会やコンテスト等での入賞や,高大等連携を活用した進学実績の向上が最も効果の高

い成果の普及になると思われる。

鹿児島地方気象台での生徒による活力研修

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第8章 資 料

1 運営指導委員会

(1) 第1回運営指導委員会

ア 目 的 運営指導委員にSSH事業の計画・現状と成果・課題を報告し,委員会より指

導助言をいただき,今後の事業に生かす。

イ 日 時 平成22年10月19日(火) 14:00~16:30

ウ 会 場 大会議室・理科棟各実験室

エ 日 程 14:00~14:15 受付(事務室前) 受付後大会議室へ

14:25~15:15 授業参観(サイエンス基礎 物理・化学・生物・地学)

15:15~15:30 移動・休息

15:30~16:30 運営指導委員会(大会議室)

① 開会のあいさつ(高校教育課長)

② 研究開発指定校長あいさつ

③ 委員紹介・日程説明(郡山指導主事)

④ 自己紹介

⑤ 高校職員紹介(水流教頭)

⑥ 協 議(議長:阿部委員長)

・ SSH事業について

・ 本年度の事業内容について

~休 息~

・ 協議(SSH事業計画について)

・ その他

⑦ 閉会のあいさつ(水流教頭)

⑧ 諸連絡(郡山指導主事)

オ 運営指導委員会参加者

(1) 運営指導委員(◎委員長,○副委員長)

氏 名 所 属 職 名

◎ 阿 部 美紀子 鹿児島大学 理事

○ 清 原 貞 夫 鹿児島大学 理学部長

津 田 勝 男 鹿児島大学 農学部教授

山 下 和 則 鹿児島県立博物館 館長

鞍 掛 巳千治 鹿児島県立甲南高等学校(県高理会長) 校長

井 口 正 人 京都大学防災研究所附属火山活動研究センター 准教授(欠席)

内 達 夫 鹿児島市立武中学校 校長

中 野 健 作 鹿児島県総合教育センター 所長

田 淵 敏 彦 鹿児島県教育委員会高校教育課 課長

郡 山 博 司 鹿児島県教育委員会高校教育課 指導主事

樋 園 澄 郎 鹿児島県総合教育センター 研究主事

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(2) SSH運営委員

氏 名 所 属 職 備考

宮 原 景 信 鹿児島県立錦江湾高等学校 校長

水 流 芳 則 鹿児島県立錦江湾高等学校 教頭

樋之口 仁 鹿児島県立錦江湾高等学校 SSH主任

讃 岐 斉 鹿児島県立錦江湾高等学校 SSH副主任

津 留 洋 一 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科主任

満 村 和 洋 鹿児島県立錦江湾高等学校 進路主任

宇 都 真樹子 鹿児島県立錦江湾高等学校 英語科主任

小 溝 克 己 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

立 石 賢 二 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

川 野 通 康 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

濵 田 和 哉 鹿児島県立錦江湾高等学校 数学

上 村 脩 鹿児島県立錦江湾高等学校 数学

満 村 和 洋 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

森 田 康 夫 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

下大田 智 子 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

山 田 みゆき 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

有 馬 英 代 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

德 重 祐 子 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

原 口 香 織 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

カ 協議内容議事録

(1) SSH事業について

本年度の取組を資料(パワーポイント・新規事業計画案・教育課程表・諸経費・課題研究

論文集)を基に説明。

(2) 県教育庁高校教育課 田淵 敏彦課長挨拶

SSH事業のあり方や方向性について忌憚のない意見をお願いいたします。

(3) 研究開発校校長挨拶

鹿児島の豊かな自然を利用したフィールドワークや高大連携を核とし,キャリア教育の

充実,教材開発の充実,成果普及の在り方などのご意見を頂くために,県総合教区センタ

ー所長や鹿児島市立武中学校校長を委員にお願いしております。よろしくお願いいたしま

す。

(4) 本年度の新規事業内容について

(5) 協議の実際(司会:阿部 美紀子委員長)

テーマ「研究開発(カリキュラム開発)のあり方について」

阿部委員長:(司会)本日の課題研究発表会の内容も含めて,学校設定科目「サイエンス

基礎」,「SSⅡ」,「SSⅢ」の成果全般について御質問や御意見をお願いします。

津田委員:(意見)1昨年から昆虫班の生徒を指導している。その生徒の変容を見るとS

SHの指導体制はうまく行っていると思う。

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研究の面白さを理解している生徒がまだ鹿児島大学理学部には入ったのだが,農学

部には来ていないので入学してくれると頼もしい。

内委員:(意見)我々の高校時代は実験が全くなかったと覚えている。生徒の実験してい

る姿に羨ましさを感じた。生徒は実験に非常に興味が有り,どのような教材をどのよ

うな計画で与えるか吟味することが大切である。私としては,中学校にSSHの成果

をどう波及させるのか,中学校の教材をどう発展させるのか等の視点で本会に臨んで

いきたい。

中野委員:(意見)課題研究を2年で行い3年生ですぐまとめるのは速すぎないか?探究

時間を3年次でももう少し確保すればよりいいのではと感じた。また,新指導要領の

中に小学校からの言語活動の充実があるが,自分たちの研究を様々な場で発表してい

く中で,自然に言語活動が充実することをあらためて感じた。

県として定数減があるがSSH事業の意義を考えると,県として人事の配置を増やす

働きかけが必要と感じた。

山下委員:(意見)全国大会上位入賞や国際学会発表など対外的な成果が出ているが,基

本は,博物館も同じで自然に触れて,触ってみて実験観察をすることの大切さを教え

ることだと思う。

鞍掛委員:(質問)前回と今回の研究開発課題の相違点は何か。

樋之口:(回答)前回の指定時に一部の生徒に国際学会発表などを行うことが出来た。こ

れを全体に広める国際性を高める取組の充実と,科学基礎実験や課題研究の教材マニ

ュアルを作成するなどの教材の成果と普及の充実です。

鞍掛委員:(質問)教材開発といっても,1年生の科学基礎実験はSSH指定されていな

い学校では役に立つが,2年生3年生の課題研究レベルになると高度すぎて役に立た

ないのではないか。

讃岐:(回答)ダイコンの多様性研究をしている。辛み成分や交配実験での教材開発を行

い,教科書実験の視点で教材化する予定である。

樋之口:(回答)研究のコンセプトはあくまでも高校にある実験機器の活用という形で行

い,一般の高校で行える研究の教材化を考えている。

阿部委員長:(回答)高大連携で課題研究を指導した経験から,一見最先端に見えるが,

最先端ではない研究,生徒が理解できる研究を扱っている。生徒に出す課題に対する

反応を見ながら研究の深度を測っている。

(2) 第2回運営指導委員会

ア 日 時 平成23年2月2日(水)

イ 会 場 ① SSH研究成果発表会:鹿児島大学工学部 稲盛会館メモリアルホール

② 運営指導委員会:鹿児島大学工学部 稲盛会館中会議室

ウ 日 程 <SSH生徒課題研究発表会> 9:30~14:35

9:30 受付(1年サイエンスウィーク等のポスター発表)

10:00 開会行事(開会のあいさつ(高校教育課長)・来賓紹介(教頭))

10:15 SSH事業概要説明

10:20 科学クラブ発表① ダイコンの成長とその形態について(生物研究部ダイコン班)

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10:33 ② 鰻池の水生生物調査2010(生物研究部水生生物班)

10:46 課題研究発表 ① ヒメアマエビの成熟について

10:59 ② 環境ストレスとダイコンの辛味との関連性

11:12 休憩

11:25 課題研究発表 ③ 水面波の研究

11:38 ④ 錦江湾高校に侵入した外来植物の研究

11:51 ⑤ 桜島大根を救え

12:04 ⑥ 酸化鉄を使った太陽電池の開発

12:17 ⑦ 桜島の噴火に伴う火山雷の特徴

12:30 昼食(1年サイエンスウィーク等のポスター展示・発表)

13:15 課題研究発表 ⑧ ダイコンの辛み成分に関する研究

13:28 ⑨ 円柱表面への単位円のパッキング

13:41 ⑩ 砂漠の中へ

13:54 ⑪ 流星の立体視

14:07 ⑫ オトシブミの卵を巡る3種の寄生蜂のミクロな競争

14:20 閉会行事(講評・閉会のあいさつ(運営指導委員長・JST橋爪史明))

15:30 会場片付け後、生徒は解散

<運営指導委員会> 14:50~15:50

ア 目 的 5年間のSSH事業の現状と成果・課題について,指導助言を頂き,5年間の

総括を行い,今後のSSH事業や理数教育の振興に生かす。

イ 日 時 平成23年2月2日(水) 14:40~15:30

ウ 会 順

(1) 開会のあいさつ(鹿児島県教育庁高校教育課長 代理 樋園澄郎研究主事)

(2) 研究開発校校長挨拶(宮原 景信校長)

(3) 日程説明(水流芳則教頭)

(4) 協議(議長:阿部 美紀子理事)

テーマ「研究開発(カリキュラム開発)のあり方について」

[SSHと進路について]

[SSHの方向性について]

エ 運営指導委員会参加者

(1) 運営指導委員(◎委員長,○副委員長)

氏 名 所 属 職 名

◎ 阿 部 美紀子 鹿児島大学 理事

○ 清 原 貞 夫 鹿児島大学 理学部長

津 田 勝 男 鹿児島大学 農学部教授

山 下 和 則 鹿児島県立博物館 館長

鞍 掛 巳千治 鹿児島県立甲南高等学校(県高理会長) 校長(欠席)

井 口 正 人 京都大学防災研究所附属火山活動研究センター 准教授

内 達 夫 鹿児島市立武中学校 校長

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中 野 健 作 鹿児島県総合教育センター 所長

田 淵 敏 彦 鹿児島県教育委員会高校教育課 課長(欠席)

郡 山 博 司 鹿児島県教育委員会高校教育課 指導主事(欠席)

樋 園 澄 郎 鹿児島県総合教育センター 研究主事

(2) SSH運営委員

氏 名 所 属 職 備考

宮 原 景 信 鹿児島県立錦江湾高等学校 校長

水 流 芳 則 鹿児島県立錦江湾高等学校 教頭

樋之口 仁 鹿児島県立錦江湾高等学校 SSH主任・理数科主任

讃 岐 斉 鹿児島県立錦江湾高等学校 SSH副主任

津 留 洋 一 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科主任

野間口 浩 鹿児島県立錦江湾高等学校 教務主任

満 村 和 洋 鹿児島県立錦江湾高等学校 進路主任

濵 園 卓 郎 鹿児島県立錦江湾高等学校 保健主任

濵 田 竜 一 鹿児島県立錦江湾高等学校 1学年主任

濵 田 和 哉 鹿児島県立錦江湾高等学校 2学年主任

森 田 康 夫 鹿児島県立錦江湾高等学校 3学年主任

宇 都 真樹子 鹿児島県立錦江湾高等学校 英語科主任

髙 橋 裕 子 鹿児島県立錦江湾高等学校 英語科

James Murray 鹿児島県立錦江湾高等学校 英語科ALT田野邉 厚 彦 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

小 溝 克 己 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

立 石 賢 二 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

川 野 通 康 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科担任

小 田 将 大 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科副担任

満 村 和 洋 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

下大田 智 子 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

山 田 みゆき 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

有 馬 英 代 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

德 重 祐 子 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

原 口 香 織 鹿児島県立錦江湾高等学校 理科

オ 協議内容議事録

① 開会のあいさつ(鹿児島県教育庁高校教育課長 代理 樋園澄郎研究主事)

② 研究開発校校長挨拶(宮原 景信校長)

③ 日程説明(水流芳則教頭)

④ 協議の実際(司会:阿部 美紀子委員長)

テーマ「研究開発(カリキュラム開発)のあり方について」

阿部委員長:(司会)本日の課題研究発表会の内容も含めて,学校設定科目「サイエンス

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基礎」,「SSⅡ」,「SSⅢ」の成果全般について御質問や御意見をお願いします。

[SSHと進路について]

井口委員:(質問)錦江湾高校の理系大学進学者は増えていますか?

水流教頭:(回答)全体的には変化がない。それは,親の地元志向を反映して,第1希望

鹿児島大学で,第2希望は地理的に近い鹿児島国際大学(文系)という志望状況にな

っている実態がある。第1希望が理系大学という。

樋之口:(回答)今年は理工系志望よりも薬看護系の志望が多く見られた。この分野は推

薦・AO入試が少ないために昨年一昨年より推薦AOの国公立大学合格者が減ってい

る。

山下委員:(質問)前指定時に鹿児島大学の推薦枠が検討されたが,鹿児島大学の推薦A

O枠は増えていますか?

樋之口:(回答)今まで推薦枠のなかった水産学部は推薦入試を始めました。また,理学

部地球環境科学科でも一般校の学校推薦2名枠をSSH校には4名枠として増やして

頂きました。

阿部委員長:(回答)実績としては理学部へのAO推薦入学者は増えている。

中野委員:(質問)SSHの進路への影響について,4割り程度しか影響しなかったとで

ているが,詳しく説明して欲しい。

宮原校長:(回答)包括外部監査でも同様の質問があった。課題研究の内容が,直接進路

へ影響したのかと狭く捉えたため,このような否定的なアンケート結果になっている。

質問の仕方が,問題なので質問方法を改善したい。

中野委員:(意見)SSH(主に課題研究)進路への影響しなかったという生徒が6割り

いますが,あまりこの結果に一喜一憂すべきでないと思います。例えば医療系に進ん

でもダイコンの研究を地道にやることが,科学的な思考力や判断力を鍛えていると捉

えるべきだと思います。

宮原校長:(回答)前に理数科から文系に進路を転ずる生徒の話で。包括外部監査でも同

様の質問があった。課題研究の内容が,直接進路

阿部委員長:(意見)論理的思考力は,実験・研究をやって結果を分析して発表して力が

付く。これは文系理系関係ない話である。

津田委員:(本日発表会の感想)今年の発表は去年に比べて,堂々と研究内容を把握して

発表していて非常に良かった。昨年に比べて改善した点は何か?

樋之口:(回答)昨年は12月発表,今年は2月発表ということで,研究期間や練習時間を

十分に取れたことが大きいです。

井口委員:(質問)サイエンス基礎や課題研究の自己評価のアンケートは,理解度が非常

に高いが,先生方から見て生徒の理解度等はどう感じられておりますか?

水流教頭:(回答)週1回2時間やらされている生徒は余り理解していないが,積極的に

観察実験を行い,対外的に発表をしている生徒の理解力は非常に向上している。

阿部委員長:(意見)ダイコンの研究の1年生は,12月に指摘した内容について,デー

タをしっかり出していた。的確な課題を出すことで生徒達の成長が見られた。

[SSHの方向性について]

中野委員:(意見)生徒の意識調査だけでなくて,客観的な評価を積極的にできないか?

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(例えば論理性の高まりが生徒は余り評価していないが,研究発表を見る限りでは,高

まっていると思われるので。)

阿部委員長:(意見)大学の先生方や TA にアンケートを取ってみるとどうでしょうか?

褒めると伸びるので,正しい積極的評価が必要だと思います。

山下委員:(意見)指導法や教材開発普及については新規指定でどう考えているか?

讃岐:(回答)錦江湾高校発の指導法や教材開発普及を考えている。例えば,ダイコンの

生徒やる気を出させる取組

井口委員:(質問)プレゼンテーションは向上してきたが,「考察」と「まとめ」の区別

が曖昧である。「考察」がまともに出来ているのはオトシブミのみ。無理に「考察」を

設けるより「まとめ」でいいのでは。

阿部委員:(意見)研究プロセスが大事で,予想通り行かないことについて原因を考える

ことが(高校での課題研究では)大事である。

清原委員:(意見)「考察」の楽しみが科学研究の醍醐味である。これを生徒に教えるの

は,「高校」ではなく「大学」の役割だろう。考察の楽しみを理解するためには,先人

の取組の正確な理解がベースである。

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2 サイエンスウィークポスター

(1) 物理班

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○物理科学科研究室紹介メンバー 永吉 峻章,福岡 潔志,美野 翔太,下吉 仁平

目的 鹿児島大学理学部の小山佳一教授の研究室を見学し,磁性体を学ぶため。

小山研究室(磁性体)

①研究目的

磁場は物質材料の合成やその特性の制御行う環境として温度や

圧力と並ぶ重要な要因である。

ただ,通常の磁石などから発生する磁場エネルギーはとても小

さい(温度換算で0.1℃程度)ため世界的に見て磁場を用いた材

料合成の研究は遅れている。

小山教授たちの研究グループでは鹿児島大学で8テスラ,東北大

施設を利用して31テスラの強磁場を用い,環境調和・省エネルギー型の物質,材料の合成とその機

能性制御についての研究,新たな技術開発を行なっている。

②研究内容

・ 磁場による冷却機能を利用した,脱フロン及び脱代替フロン冷凍を目指す高効率の次世代時期冷

凍材料(環境調和・省エネルギー材料)の開発と評価。

・ 高エネルギー変換が可能な時期アクチュエーター材料の開発と評価。

・ 強磁石によって物質内のエネルギーを制御し,融点を変えることで物質の合成温度を変化させた,

新規の化合物質を創成。

・ 磁場による配向効果(向きを揃える)を利用して材料の微細組

織を制御する。この機能を高エネルギー変換の合金等コア材

料の開発,生体,バイオ材料の集積か傾斜化の評価に活用。

その他,磁場効果の評価

・ 新しい強磁場中での材料合成,特性制御に関する「その場評

価法」の開発。

③実験内容 超電磁誘導による実験

左の球と右の球をつけたまま同時に磁石に近づけると,右

の球が磁石にひっつき,右の球と左の球の接触している部分

が同じN極になり磁石の性質で反発し合いその反動で左の球

がすごい勢いで飛ぶ。

このように,磁石の性質を利用したような実験や,磁界に

ついての実験が多く研究されている。

次世代のエネルギーとして使われる事が期待されている。

④感想

磁性体による温度変化の研究等が環境にも役立つことが分かりました。小山佳一教授をはじめ研究

室の皆様方,本当にありがとうございました。今後のご活躍を期待いたします。

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熱現象について

嶋田慎太郎 小島克也 原田康平 福地祐太

目的

身近な熱現象について調べ、熱について興味・関心を高める。

実験①

輪ゴムを用意する。これに水を入れたペットボトルをぶら下げ、

限界まで伸ばす。ゴムに熱湯を掛けてみる。

結果

熱湯をかけてる間はゴムが縮んでいるが、熱湯をかけるのをやめて

熱がさめたら元に戻った。

実験②

輪ゴムを限界まで伸ばし、その中央部を軽く唇ではさむ。

そのままの状態で伸ばしたゴムを急速に縮める

結果

ゴムをのばしたとき→熱くなる

ゴムを縮めたとき→冷たくなる

表 ゴムと他の物質との弾性の比較

項目 他の物質 ゴム

伸び率 1%以下 数百%

加熱した時 伸びる(膨張する) 縮む

引き伸ばした時 吸熱(冷たくなる) 発熱(熱くなる)

元に戻した時 発熱(熱くなる) 吸熱(冷たくなる)

実験③

金属の筒を右図のように熱する。

そのあと熱し終わった筒を縦にする。

結果

筒を縦にしたとき「ボー 」というような音が鳴った。

<感想>

今回実験したことは知らないことが本当に多くあり,とても驚くことがありました。これをきっか

けに理科(物理)に興味を持つことができました。

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研究室訪問 西尾正則研究室

人工衛星についてメンバー 大勝恵輔,椎原健匠,本松和哉,盛島幸之助

「鹿児島大学のパラボラアンテナで操る人工衛星とその他の道具について」

人工衛星とは?衛星は一辺10センチほどのサイコロ型のを検討し

ているそうです。

打ち上げ方法は宇宙航空研究開発機関などが大型

衛星を打ち上げる際,他の大型,中型の衛星を発

射する祭に生じる隙間を使用した「ピギーバック」

方式を想定しています。

また,一昨年に発足し,50センチ級の小型衛星を

製作している九州小型衛星プロジェクトからも技

術支援を受けます。

衛星でどんなことをするのか?最初に手がける宇宙利用のミッションプランは

西尾助教授らが研究を進めてきた大気中の水蒸

気観測を行おうと考えています。

高度約800キロに投入した超小型衛星が発する

電波を地上の複数のアンテナで受信し,上空の

水蒸気の分布を解析しています。集中豪雨や雷

をもたらす雲の発生などを素早くとらえ,局地

的な天気予報に役立てればと考えています。

大気中の水蒸気量の状態で人工衛星の通り道

JAXA の H Ⅱあいのり衛星に提案した衛星4枚の太陽電池パドルを持った衛星としました。

パドルには両面に太陽電池セルが貼り付けられ

ています。

地上との通信用のアンテナにはバッチアンテナ

(平面アンテナ)を使用し,パドルと平行な2つ

の面に取り付けられています。

この面の一方には,近赤外線カメラを,もう一

方には GPS 受信機用のパッチアンテナが取り付

けられています。

感想僕たちは西尾教授の話を聞いて人工衛星についてさらに興味を持ちました。どんなに小さくても衛

星なんだと思いました。

他にも鹿児島人工衛星発部会はどんな衛星を作ろうとしているのか,その衛星はなんの役割を果た

すのかなどいろいろわかりやすく教えてくださいました。

わからないところも少々あったけど楽しそうに話していた先生の姿を見て「本当に楽しいんだな

ぁ」と思いました。

人工衛星のついて調べてさらに詳しいところまでわかったのでよかったです。

これからは,このサイエンスウィークで学んだことを生かして日々精進していきたいです。

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(2) 化学班

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(3) 生物班

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3 教育課程表

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4 新聞等本校SSH活動掲載記事

(1) 日本水産学会高校生セッション全国1位

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(2) ISEF2010へ錦江湾チームサイエンス取材記事

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(3) 日本地球惑星科学連合大会高校生部門において天文物理研究部全国1位

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(4) スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会 ポスター賞受賞

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(5) ジャパンサイエンスエンジニアリングチャレンジJSEC2010最終選考会 ダブル受賞

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(5) JSEC2010科学技術政策担当大臣賞・世界大会へ出場決定(天文物理研究部)

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別紙様式1-1

鹿児島県立錦江湾高等学校 22コアSSH

第1章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)

別紙様式2-1

① 研究開発課題

鹿児島県立錦江湾高等学校における「ダイコン多様性研究コンソーシアム」

② 研究開発の概要

本研究の趣旨は,ダイコンの有する形態的多様性,環境適応の多様性(耐塩性),生殖における多様

性(自家不和合性)等の研究を通して,植物が獲得してきた多様性を研究し,その実態を明らかにする

ことである。2年目を迎えた本コンソーシアムでは,1年目の成果を充実・発展させ,ダイコンの栽培

技術,遺伝学的交配,耐塩性検定,辛み成分の測定,辛み成分と抗菌活性,形態的多様性,遺伝子多

様性等の研究を深化させることができた。昨年度に構築した,外部発信と遠隔地教育連携システムで

あるコンソーシアムWEBサイト(http://daikon-c.com/)を有効に活用し,高校相互,大学と高校の連携

を進めた。また,プレゼンテーション能力やキャリア教育に係わる講義を実施し,生徒達の研究意欲

を向上させるとともに,植物科学研究に係わる国際学会にも参加し,国際性を高める取組を行った。

その他,教員間連携の一つである「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」により,新学習指導

要領を見据え,タイコンを素材とした教材開発を試みた。

③ 平成22年度実施規模

1 幹事校:鹿児島県立錦江湾高等学校(本校生徒24名)

2 連携校:東日本まで広がる11のSSH校(県外生徒42名)

その他8校(県内生徒22名,県外生徒8名)

3 連携研究機関:鹿児島大学,東北大学,九州大学,三重大学,鹿児島県農業開発総合センター,

鹿児島県総合教育センター

④ 研究開発内容

○ 研究計画

1 幹事校である錦江湾高校が中心となり,県内外の高校等と連携し,本研究を推進する。

2 運営指導委員会(鹿児島大学,東北大学,九州大学,三重大学,県農業開発総合センター,県

総合教育センター,県教育委員会)の先生方に指導・助言をもらい研究開発を行う。

3 鹿児島には特産の「桜島ダイコン」があり,それぞれの地方には,在来の「ダイコン」がある

とされており,これらの交配による特有の形質評価をコンセプトとする「プロジェクト」を公募

する。連携校は独自のテーマを設定し研究するが,研究対象としてはダイコンの他,キャベツ,

ブロッコリー,ケールなどのアブラナ科の植物も含む。

4 研究結果は,昨年度構築したコンソーシアムWEBサイト等を通して連携校間で相互に情報発信し

ながら,ブログ形式で研究成果のやりとりをする。大学等の連携機関から指導助言を頂きなが

ら,コンソーシアムを深化させる。

5 研究開発の内容は,理科・各科目との深いかかわりを持つことから,「ダイコン多様性研究教

材開発プロジェクト」をコンソーシアム内に立ち上げ,新学習指導要領の設定科目を見据えなが

ら,研究内容を教材に活かす取組を推進する。

6 研究成果や教材開発に関わる成果を情報発信し,連携校等への成果普及を試みる。

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○ 具体的な研究事項・活動内容

1 国際学会での生徒発表(平成22年6月7日,パシフィコ横浜,国際シロイヌナズナ研究会議)

4校5件の英語によるポスター発表,生徒9名

2 第1回研究会 兼 運営指導委員会(平成22年8月18~20日,鹿児島大学理学部)

コンソーシアムの方向性,本校・連携校の研究計画(プレゼンテーション),指導・意見交換

講義:効果的なプレゼンテーション(大富教授,鹿児島大学)

講演:キャリア教育「科学とは,研究とは, 大学選択の視点とは?」(渡辺教授,東北大学)

3 高校生向け講座(平成22年8月20日,鹿児島県立博物館,渡辺教授,東北大学)

「アブラナ科植物の多様性」「科学とは,研究とは,大学選択の視点とは?」

4 第2回研究会 兼 運営指導委員会(平成22年12月17,18日,鹿児島大学理学部)

成果ポスター発表,三学会発表,教員間連携教材開発研究会

5 第52回日本植物生理学会の高校生発表(平成23年3月22日,仙台大会,東北大学)

コンソーシアム参加校より本校を含む13校が発表(高校生発表会要旨集の公表をもって成立)

6 幹事校の研究テーマ(連携校19校のテーマ等についてはp18,19 を参照)

学校名 テーマ(担当者)

・環境ストレスとダイコンの辛みとの関連性 (下大田)

・ダイコンの辛み成分について (津 留)

鹿児島県立錦江湾高校 ・桜島ダイコンを救え!! (中 島)

~焼酎の開発による桜島大根の商業的利用の可能性を探る~

・桜島ダイコンと守口ダイコンの交配種育成 (讃 岐)

⑤ 研究開発の成果と課題

○ 実施による効果とその評価

本年度は,新規に県内連携校3校,農業高校2校,東北地方2校を加え,目標とする全国20校体

制で共同研究に取り組むことができた。国際性を高めるための優れた取組として,3 校の連携校と

共同で取り組んだ6月の国際学会発表が挙げられる。日本の植物科学関連学会が主催する国際学会

において,SSHコンソーシアムのブースを特設していただき,世界の第一線の研究者と肩を並べ

て発表する企画で, 世界の植物科学研究の権威者から高く評価された。また,昨年度に構築した,遠

隔地教育連携システムである「コンソーシアムWEBサイト」を更に充実させ,ブログ形式で,高校

生同士の情報交換や運営指導委員等からの指導助言による研究支援を行うことができた。

指導教諭による「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」を立ち上げ,新学習指導要領の設

定科目を見据えながら研究内容を教材化に活かす取組を推進した。松山南高校が開発したビデオ教

材をコンソーシアムWEBサイトで広く公開した。本校では,この教材を活用するとともに,山川高

校の研究グループに対し成果普及を試みた。この取組はコンソーシアムにおける地域連携の一つで

あり,農業高校とSSH校との共同研究の成果として地元新聞に大きく取り上げられた。

○ 実施上の課題と今後の取組

研究内容が多岐に渡ることから,関連研究分野の連携を密にし,生徒の課題研究内容を深めると

ともに,国際性を高める取組を推進する。また,教員連携による教材開発や成果公開・成果普及に

努め,成果を連携校のみならず,広く小・中・高等学校などの教育に反映させることを目的とす

る。更に,「トータルサイエンス」としての研究開発を試み,文理融合型教育研究も模索する。

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鹿児島県立錦江湾高等学校 22

第2章 平成22年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題

① 研究開発の成果 (根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること)

1 成果の概要

「ダイコン」というキーワードのもとに,本校や連携校それぞれが,地域特産種等の材料を活用

し,植物が獲得してきた多様性について, 研究を推進してきた(中等教育資料,平成22年10月号)。

本年度はダイコンの栽培技術,遺伝学的交配,環境ストレスに対する応答,辛み成分の測定,辛み成

分と抗菌活性,形態的多様性,遺伝子多様性等を明らかにできた。6月の国際学会での発表,8月の第1

回研究会における各連携校からの研究計画の発表,12月の第2回研究会での成果報告,年度末の研究成

果報告書の提出,3月の日本植物生理学会での高校生発表までの期間に,ダイコン多様性の実態のいく

つかを明らかにすることができた。ダイコンを素材とする全国連携の共同研究として,その個性的ア

イディアが注目され,朝日新聞の地域版に掲載された(資料1)。第2回研究会や三学会での研究発表

を通して,深化しているダイコン研究の内容が高く評価され,地元の新聞記事に取り上げられた(資

料2)。また,研究成果を基盤として,教材化,地域連携や成果普及(資料3)等の足がかりを作るこ

とができた。

1 新規参加校との連携・発展

東日本のSSH校からも参加を募り,新規に県内連携校3校,農業高校2校,東北地方2校を加

え,目標とする全国20校体制で共同研究に取り組むことができた。

2 国際性及びプレゼンテーション能力の向上

研究会において,プレゼンテーション能力やキャリア教育に係わる講義を実施し,生徒達の研究意

欲を向上させることができた。国際性を高めるための取組として,3校の連携校と共同で取り組んだ

6月の国際学会発表が挙げられる。日本の植物科学関連学会が主催する国際学会において,SSHコ

ンソーシアムのブースを特設していただき,世界の第一線の研究者と肩を並べて発表する企画で, 世界

の植物科学研究の権威者から高く評価された。

3 コンソーシアムWEBサイトによる意見交換・連携指導体制の充実

昨年度に構築した,遠隔地教育連携システムである「コンソーシアムWEBサイト」を更に充実さ

せ,ブログ形式で高校生同士の情報交換や運営指導委員等からの指導助言による研究支援を行うこと

ができた。運営指導委員からの情報発信も可能にし,活用しやすいWEBサイト作りや内容の充実を図る

ことができた。

4 「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」の立ち上げ

指導教諭による「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」を立ち上げ,新学習指導要領の設

定科目を見据えながら研究内容を教材化に活かす取組を推進した。松山南高校が開発したビデオ教材

(交配実験の仕方)をコンソーシアムWEBサイトで広く公開した。

5 地域連携・成果普及

交配実験のビデオ教材を視聴した本校の生物研究部の生徒が,山川高校の研究グループに対し成果

普及を試みた。また,鹿児島県立博物館で行われた,高校生向け講座(渡辺正夫教授,東北大学)を

通して,科学に興味を持つ生徒達に対する研究意欲の向上を図ることができた。

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② 研究開発の課題 (根拠となるデータ等を報告書「④関係資料」に添付すること)

本コンソーシアムは,今まで「ダイコン」という素材を活かし,課題研究の深化,国際化,教材化な

どの幅広い教育・研究開発に挑戦してきた。これを発展させる平成23年度の研究開発のポイントは,以

下の5つである。

1 関連研究分野の連携の充実

各連携校の研究テーマは,「ダイコン」が素材になっていることから,生物分野,化学分野,物理分

野,家庭科関連分野,英語関連分野など多岐に渡る可能性が高い。そこで,研究内容が類似あるいは

関連する高校の研究班をグループ化し,情報交換や研究連携を密にすることで,それぞれのグループ

の研究内容が充実し,連携研究がより専門化し,深まっていくことが期待される。また,研究会など

における研究グループ間の異分野交流が刺激となり,学際的視点から相乗効果が期待できる。このと

き,運営上注意すべき点として,「木を見て,森を見ず」というような研究にならないように,研究

全体を生徒が意識するように配慮する。

2 課題研究における国際性を高める取組

平成22年度に行った国際学会の発表内容や,発表までの準備や取組の内容をベースに,将来の国際

的な科学技術系人材を育成することを目指す取組を推進していく。コンソーシアム研究会や国内の各

学会においては,英文アブストラクトを作成し,留学生や外国人研究者を招待し,従来のポスターセ

ッションにオーラルスピーチセッションを設けたりする。

3 教員連携「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」の充実・発展

本プロジェクトの内容は,理科の科目等と深いかかわりを持つことから,研究が生徒の課題研究に

留まらず,教材等(プロトコル,学習指導案)開発に幅広く応用できる可能性を秘めており,指導教

員による数々の教材開発に成功している。この成果を基に,教員連携によって教材開発や検証などを

進め,新学習指導要領の設定科目を見据えながら,ダイコン研究やダイコンを素材にした理科実験法

の教材化を推進していく。

4 研究成果の普及・波及

研究成果は,高校だけでなく,連携校近隣の中学校や小学校においても利用可能なものにし,その

普及に努める。その際,高校生による小中学生への出前授業と同時に,教員への教材開発の普及にも

努める。これらの取組により,広く成果の波及を目指す。

5 学際的教育研究であるトータルサイエンスの実践

「ダイコン」には上記のような理科や数学に関連した研究の側面があることは言うまでもない。ま

た,食材としてのダイコンは,社会科学的に見た場合にも研究開発の価値があり,学際的教育研究が

求められる現在,まさに,「トータルサイエンス」として研究開発が可能である。例えば,ダイコン

の地理的分布と伝播過程,ダイコンの流通と経済などが考えられる。これらの研究を融合すること

で,21世紀の複合的問題解決ができる文理融合型教育研究も模索する。

以上のように,平成23年度は,関連研究分野の連携を密にし,生徒の課題研究内容を深めるととも

に,国際性を高める取組を推進する。また,生徒だけでなく教員連携による教材開発や成果公開・成果

普及に努め,成果を連携校のみならず,広く小・中・高等学校などの教育に反映させることを目的とす

る。そして更に,「トータルサイエンス」としての研究開発を試み,文理融合型教育研究も模索する。

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第3章 研究開発の概要

1 研究開発の課題

(1) 研究テーマ

「ダイコン多様性研究コンソーシアム」プロジェクト

(2) 研究のねらい・目標

平成 22 年度コアSSH事業において,東日本

まで広がる 12 の SSH 校,その他の 8 校からな

る,「ダイコン多様性研究コンソーシアム(共同

研究)」を昨年度から展開している。この趣旨

は,ダイコンの有する形態的多様性,環境適応の

多様性(耐塩性),生殖における多様性(自家不

和合性)等の研究を通して,植物が獲得してきた

多様性を研究し,その実態を明らかにすることで

ある。これらの研究成果を国際学会で発表した

り,研究会や各学会で積極的に成果公開することにより,生徒の国際性やプレゼンテーション能

力の向上を図る。また,ダイコンを素材とした教材作成に取り組み,地域連携や成果普及の足が

かりを作る。

(3) 研究開発の内容

ア ダイコン多様性研究のきっかけ

鹿児島の名産である桜島ダイコンにちなんだ科学講演会が多くの生徒の興味を引いた。

「アブラナ科植物の多様性について」(東北大学,渡辺正夫教授,平成20年10月6~8日,本校)

イ 実践

① 幹事校である錦江湾高校が中心となり,県内外の SSH校等と連携し本研究を推進する。

② 運営指導委員会(鹿児島大学の内海俊樹教授,岡本繁久准教授,大富潤教授,東北大学の渡

辺正夫教授,九州大学の丸山明子准教授,三重大学の諏訪部圭太准教授,県総合教育センター

の中野健作所長,県教育長高校教育課の田淵敏彦課長)の先生方を中心に指導・助言をいただ

く。

③ 研究会及び運営指導委員会(鹿児島大学理学部)

・第 1回研究会 兼 運営指導委員会(平成 22年 8月 18~ 20日)

・第 2回研究会 兼 運営指導委員会(平成 22年 12月17,18日)

④ 研究結果は,コンソーシアム WEBサイト(http://daikon-c.com/) 等を通して連携校間で相互に

情報発信しながら,日常的に研究成果のやりとりをし,大学等の連携機関から指導助言を頂き

研究の質を高めていく。

⑤「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」をコンソーシアム内に立ち上げ,研究内容を

教材に活かす取組を推進する。

⑥ 研究成果や教材開発に関わる成果を情報発信し,連携校等への成果普及を試みる。

ウ 報告書作成

(4) 実践の結果

本年度は,新規に県内連携校3校,農業高校2校,東北地方2校を加え,目標とする全国20校

図1 コンソーシアム連携校

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体制で共同研究に取り組むことができた。日本の植物科学関連学会が主催する国際学会において,

SSHコンソーシアムのブースを特設していただき,世界の第一線の研究者と肩を並べて発表し,

世界の植物科学研究の権威者から高く評価された。また,昨年度に構築した,「コンソーシアム

WEB サイト」を更に充実させ,ブログ形式で,高校生同士の情報交換や運営指導委員等からの指

導助言による研究支援を行うことができた。ダイコンを素材とする全国連携の共同研究として,

その個性的アイディアが注目されたり,研究会や三学会での研究発表を通して,深化しているダ

イコン研究の内容が高く評価された。

松山南高校が開発したビデオ教材をコンソーシアム WEB サイトで広く公開した。本校では,

この教材を活用するとともに,山川高校の研究グループに対し成果普及を試みた。この取組はコ

ンソーシアムにおける地域連携の一つであり,農業高校とSSH校との共同研究の成果として地

元新聞に大きく取り上げられた。

2 研究開発の経緯

4月 7日:文部科学省よりコアSSH事業全国SSHコンソーシアムの指定を受ける(2年目)。

5月 1日:国際シロイヌナズナ研究会議に向けた英文要旨及びポスター作成

(松山南高校の生徒に対して渡辺教授が指導)

5月 3日:同上

5月 6日:国際シロイヌナズナ研究会議に向けた英文要旨及びポスター作成

(小松高校と諏訪清陵高校の生徒に対して渡辺教授が指導)

5月 7日:同上

6月 1日:国際シロイヌナズナ研究会議に向けたプレゼンテーションの仕方,心構えの指導

(錦江湾高校の生徒に対して大富教授が指導)

6月 4日:国際シロイヌナズナ研究会議に向けた英文要旨及びポスターの内容確認

英語によるプレゼンテーションの実践

(錦江湾高校の生徒に対して内海教授と岡本准教授が指導)

6月 7日:国際シロイヌナズナ研究会議参加(パシフィコ横浜)

ダイコンコンソーシアムより4校5テーマを英語にてポスター発表

8月 10日:鹿児島県教育研究会理科部会実験実習部研修会での情報発信

「ダイコンを素材とした教材例(案)」を 14例ほど紹介(讃岐教諭,錦江湾高校)

8月 18日:第1回研究会 兼 運営指導委員会(鹿児島大学理学部)

コンソーシアムの方向性,本校・連携校の研究計画,指導・意見交換

講義:効果的なプレゼンテーション(大富教授,鹿児島大学)

講演:研究者という職業に関するキャリア教育(渡辺教授,東北大学)

8月 20日:高校生向けキャリア教育講座(鹿児島県立博物館,渡辺教授,東北大学)

「アブラナ科植物の多様性」「科学とは,研究とは,大学選択の視点とは?」

12月 17日:第2回研究会 兼 運営指導委員会(鹿児島大学理学部)

研究成果のポスター発表,教員間連携による教材開発事例発表

12月 18日:三学会(日本動物・植物・生態学会合同鹿児島例会)との同時開催

ダイコンコンソーシアムより 20校 24テーマのポスター発表

教員間連携教材開発研究会

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2月 中旬:研究報告書要旨作成

各テーマA4版1ページ,本校に提出

2月 下旬:研究報告書論文作成

各テーマA4版2~4ページ,本校に提出

3月 中旬:コアSSH研究開発実施報告書作成

3月 22日 :日本植物生理学会高校生部門(東北大学)

ダイコンコンソーシアムより13校18テーマが成果公開

3月 24日 :日本植物生理学会高校生生物研究発表会の 「2011年度研究発表要旨集」が,学会ホー

ムページに公表され発表成立(学会より連絡)

3 研究開発の内容

(1) 研究の仮説

ア 全国コンソーシアムを構築し,連携研究を推進することで,ダイコンの有する形態的多様性,

環境適応の多様性(耐塩性),生殖における多様性(自家不和合性)等,植物が獲得してきた多様

性の実態を明らかにすることができる。

イ コンソーシアムにより,異なる地域の生徒それぞれが,連携研究することの意義や重要性を

認識できる。また,研究成果を国際学会で発表したり,研究会や各学会で積極的に成果公開

することにより,国際性やプレゼンテーション能力を向上させることができる。また,高校生

向けのキャリア教育の講義を行うことで,研究への意欲向上を図ることができる。

ウ 外部発信と遠隔地教育連携システムである,「コンソーシアムWEBサイト」(http://daikon-

c.com/)を充実させることで,高校相互,大学と高校の連携を推進できる。また,ダイコンを

素材とした教材作成や連携校への成果普及により,成果普及の足がかりを作ることができる。

(2) 研究内容・方法・成果・検証

① 交配実験・種子採取・植物育成

ア 研究内容・方法

平成22年2月下旬に,ダイコンの花のつぼみができはじ

め,3月上旬には開花した(図2)。本校生物部の生徒2名

が中心になり,3月上旬から,おしべの花粉をめしべに受

粉させて,ダイコンの品種間交配を行った。桜島ダイコン

(♀)と守口ダイコンの交配を中心に,桜島ダイコン

(♀)と青首大根の仲間である耐病総太り(♂)との交配

も行った。交配実験で得られた種子の採集については,4月末に新しく生物部に入部した1年

生3名が,先輩より研究を引き継ぎ行った(図3,4)。交配種から得られたさやは室内にて

乾燥させた後,種子を取り出した(図5)。農園の耕作(約150m2 )や農地管理については,

図3 さや(種子)の採集 図4 ダイコンのさや 図5 交配種のさやと種子

図2 桜島大根の花とつぼみ

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本校事務部の二木隆志様に指導いただき,農地借用は,昨年度に引き続き,地元の平川町在

住の塚原様に御協力をいただいた。

イ 成果・検証

平成21年度は,花の咲き始めの時期である3月に交配実験

に取りかかり,交配種の種子を多数得る事ができた。大部

分のさやの中には5~9個の種子ができていたので,交配実

験による種子の作成は,比較的容易であることが示され

た。

作成された種子は,農業高校である市来農芸高校や山川

高校に配布し,遺伝に係わる実験や実証栽培研究に活用い

ただいた。本校における各品種及び交配種の栽培・育成の

結果と合わせてみると,ダイコン各品種の形質は特徴があり,良く類似していたことから(図

6),ダイコンは植物の成長過程の観察や遺伝に関わる比較実験等に,有効に活用できると判

断された。

② 国際学会発表の準備及び発表

ア 研究内容・方法

6 月の国際学会発表に向けた準備として,数回の研究会

を行った。5月上旬に,松山南高校(3 年生 5 名),小松高

校(2 年生 5 名)及び諏訪清陵高校(2 年生 1 名)の生徒に

対し,それぞれ松山南高校と小松高校にて,渡辺教授から

英文要旨及びポスター作成について御指導いただいた。

本校(3年生4名)の生徒に対しては,まずALTのJames

Murrey先生や英語科の宇都教諭から英文要旨やポスターの

作成の指導を受けた。内海教授,岡本准教授,大学院生か

らは,学術的な間違いはないか,研究の内容を分かりやすくポスターにできているか等の視

点から指導を仰いだ(図7)。

ALTや英語科の先生方からは,発音やアクセントに関するアドバイス(図8)や,個人

で発音練習するための国際学会用CDを作成いただいた。また,大富教授から,本校生徒の

生徒に対し,プレゼンテーションの仕方とその心構えの指導をいただいた(図9)。内海教

授と岡本准教授からは,英文要旨及びポスターの最終確認をいただくとともに,実際に発表

者が英語によるプレゼンテーションを行い,国際学会に向け,実践的な準備が進められた

(図10)。

図8 英語の発音指導

図7 要旨・ポスター作成

図9 プレゼンテーション講義

図6 交配種と他品種の比較

図10 英語による発表練習

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イ 成果・検証

日本の植物科学関連学会が主催する国際学会(図 11)において,SSHコンソーシアムの

ブースを特設していただき,世界の第一線の研究者と肩を並べて発表することができた(図

12)。本校2件,松山南高校,小松高校,諏訪清陵高校各1件の生徒9名による5件の英語ポ

スター発表がなされ(表1,表2),Nature, Science にも論文が掲載されるような世界の植物

科学研究の権威者から高く評価された(図 13)。

表1 参加高校と発表者等

High School participant (teacher) participant (student)

thema 1 Kinkouwan High School Dr. Hitoshi Sanuki Ms. Ayumi Suzu

Ms. Shizue Shimono

thema 2 Kinkouwan High School Dr. Hitoshi Sanuki Mr. Keisuke Kuwazuru

Mr. Tsubasa Fuziwara

thema 3 Komatsu High School Mr. Toshiya Teragishi Ms. Nasa Kawagoshi

Ms. Marina Nishi

thema 4 Suwa Seiryo High School Mr. Masaaki Yazawa Mr. Kotaro Murayama

thema 5 Matsuyama Minami Mr. Yoshihisa Tanaka Mr. Hideki Inagaki

High School Mr. Hikaru Hara

表2 発表テーマ

thema 1 Comparison of salt tolerance in daikon radish varieties

thema 2 Cultivar dependent distribution of pungent principle in the roots of Daikon (Japanese

radish)

thema 3 Relationship of plant growth containing germination and light condition on Japanese

radish seedling

thema 4 Antibiotic activity on the squeezed juice of Japanese radish root

thema 5 Comparison of leaf morphology among kale, broccoli, and their hybrid

図11 国際シロイヌナズナ研究会議 図12 国際学会での発表 図13 国際学会での記念写真

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③ 第1回研究会(平成22年8月18~20日,鹿児島大学理学部)及び運営指導委員会(8月18日)

ア 研究内容・方法

運営指導委員会には,運営指導委員5名,本校職員9名,生徒62名,連携校教諭16名,JS

T2名,県教育委員会等3名,計97名が参加し,昨年度の成果と本年度の事業計画について,

協議がなされた。研究会(18日)では,まず,鹿児島大学の大富潤教授より,「効果的なプレ

ゼンテーション」に関する講義が行われた(図14)。次に,昨年度の研究成果に関するポスタ

ー発表が行われ,運営指導委員や高校職員からの指導・アドバイスや,質疑応答がなされた。

交流会では,各高校の概要と研究テーマ等が紹介された。

19日の研究会では,本年度の研究計画(案)について,各テーマ8分程度のパワーポイント

によるプレゼンテーションがなされた(図15)。テーマごとに質疑応答が行われ,最後に総合

討論を設けた。

20日は,東北大学の渡辺正夫教授より,「世界第一線の研究者が語るキャリア教育 ~科学

とは?研究とは?大学選択の視点とは?~」の講演が行われた(図16)。その後,ダイコンを

用いた教材開発やコンソーシアムWEBサイトの紹介がなされた。午後からは,参加可能な高校

のみ,6月に行われた国際シロイヌナズナ研究会議の反省会を行ない,各高校の取組の概要と

成果等について意見交換を行なった。

イ 日程

【1日目】 8月18日(水)

13:00~13:25 受付:理学部2号館2階 220号教室

13:30~15:30 運営指導委員会(120分) 詳細は第4章を参照

15:50~16:30 研究会(理学部)

講義:鹿児島大学 大富 潤教授

「効果的なプレゼンテーションについて」

16:50~19:20 ポスター発表 及び 夕食・交流会(教育学部)

ポスター発表:昨年度の成果を中心に可能な高校が行う(60分)

錦江湾高校および連携校(10校・12テーマ)

日本植物生理学会ポスター,国際シロイヌナズナ研究会議ポスターの展示

運営指導委員よりアドバイス,質疑応答

19:20 閉会行事・諸連絡

【2日目】 8月19日(木)

9:00~ 9:25 受付:理学部2号館2階 220号教室

9:25~ 9:30 開会行事(日程説明等)

9:30~10:50 本年度の研究計画(案)発表

図14 プレゼンテーション講義 図15 研究計画の発表 図16 キャリア教育の講演

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錦江湾高校4テーマ(各 8~ 10分:パワーポイント)

・テーマごとに質疑応答 (計 20分×4テーマ)

10:50~11:50 本年度の研究計画(案)発表

連携校4校(各 6~ 8分:パワーポイント)

テーマごとに質疑応答 (計 15分× 4校)

11:50~12:50 写真撮影・昼食・休憩

13:00~16:20 本年度の研究計画(案)発表

連携校13校(各 6~ 8分:パワーポイント)

テーマごとに質疑・応答 (計 15分× 13校)

16:25 総合討論

16:45 種子交換等

17:00~17:30 教材開発例の紹介

鹿児島県立市来農芸高等学校 久保紘史郎教諭

「大型プランターを用いた大根の栽培」

【3日目】 8月20日(金)

9:00~ 9:25 受付:理学部2号館2階 220号教室

9:25~ 9:30 開会行事(日程説明等)

9:30~10:50 講演:東北大学 渡辺正夫教授

「世界第一線の研究者が語るキャリア教育

~科学とは?研究とは?大学選択の視点とは?~」

11:00~11:55 ダイコン多様性研究に係わる,実験・観察とその教材化について(案)

「主なプロトコル(実験手順,実験方法)の紹介」

「新指導要領を見据えた,ダイコン研究の教材例について」

コンソーシアムWEBサイトの紹介

鹿児島大学の理学部,農学部の紹介ビデオ視聴

総合討論

11:55 閉会行事

12:00 解散

*午後:国際シロイヌナズナ研究会議(6月)参加校(錦江湾高校,小松高校,諏訪清陵高校,

松山南高校)はその反省会を実施

ウ 成果・検証

東北地方の高校も連携校に加わり,東日本まで広げたコンソーシアムを展開することができた。

昨年度の成果である日本植物生理学会のポスターや,6月の国際シロイヌナズナ研究会議のポス

ターを活用したプレゼンテーションを通して,各校の研究内容の概要を知る事ができた。また,

研究計画を互いに発表し合うことで,各校の研究課題を知ることができた。効果的なプレゼン

テーションの講義や,研究者という職業に関わるキャリア教育の講義を実施したことで,生徒達の

研究意欲を向上させることができた。

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④ 高校生向け講演会(平成22年8月21日(土),鹿児島県立博物館,東北大学渡辺正夫教授)

ア 研究内容・方法

「研究者」という職業~第一線の研究者が語るキャリア教育講演会~(図17)

午前:「アブラナ科植物の自家不和合性」

午後:「世界で活躍する研究者になるために」

参加:鹿児島県立甲南高校の生徒 4名

本校生徒 9名

県立甲南高校 矢追 雄一教諭

県立蒲生高校 松薗八千代教諭

県立国分高校 城ヶ﨑尚之教諭

イ 成果・検証

参加した高校生は,本講演会を通して,植物の自家

不和合性という現象と地球上の植物の多様性との関係

に気づき,植物科学研究の面白さや重要性を認識して

いた(図18)。また,研究者という職業の魅力を感じる

とともに,これまでの自分の人生やこれからの進路に

関するレポートの作成を通して(図19),将来の自分に

ついて真剣に考える機会を得ることができた。

参加いただいた高校の先生方からは,「高校生向けの講座であったが,教員の立場として聞

いても非常に面白かった」「最先端の科学研究の面白さに気づいた」「教科の魅力を授業を通

して生徒に楽しく意義深く伝

える重要性を感じた」等の感

想をいただき,非常に充実し

た講座となった。

なお,鹿児島県立博物館の

皆様方には,本コンソーシア

ムの趣旨を御理解いただき,

講座案内や会の運営等で多大な御援助を賜った。深謝申し上げる。

⑤ コンソーシアムWEBサイトによる意見交換・連携指導体制の充実

ア 研究内容・方法

昨年度に構築した,外部発信と遠隔地教育連携システムであるコンソーシアムWEBサイト(ht

tp://daikon-c.com/)を活用し,高校相互,大学と高校の連携を進めた(図20)。WEBブログに

よる遠隔地教育連携システムとして構築したもので,研究グループ全体の底上げを考えた全国

初の試みである。このWEBブログによって,比較的簡単に高校相互,大学と高校の連携を推進

することができた。また,公開されたWEBサイトで一般の国民への成果発表・情報公開という

役割も果たしている。トップページには本コンソーシアムの概要が述べられている。また,

「ニュース&トピックス」という幹事校による掲示板と「最近の研究活動レポート」という各

連携校による研究交流ブログの3つの構成になっているが,本年度は新たに「運営指導委員か

らのお知らせ」を作り(図21),大学の先生方からの研究に関する情報や高校生の学会参加に

関わる情報発信をいただいた。

図17 高校生向け講演会ポスター

図19 レポートの作成図18 キャリア教育講演会

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図20 コンソーシアムWEBサイトのトップページ(http://daikon-c.com)

図21 運営指導委員からのお知らせ

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イ 成果・検証

昨年度に構築した,遠隔地教育連携システムである「コンソーシアム WEB サイト」を更に

充実させ,ブログ形式で高校生同士の情報交換や運営指導委員等からの指導助言による研究支

援を行うことができた。運営指導委員からの情報発信も可能にし,活用しやすいWEBサイト作

りや内容の充実を図ることができた。

本WEBサイトは,共同教育の連携システムとして,運営指導委員会や連携校の教員から高く

評価された。しかし,WEBサイトへの研究の書き込みの頻度は学校間で差が見られたり,研究

に関する質問項目をどう提示すればよいのか,地ダイコンやハマダイコンの種子をデータベー

ス化しWEBサイト上で公開できないか等の意見も寄せられたので,さらに手軽に利用してもら

うための工夫や改善が必要である。

ウ 感想・意見

<運営指導委員会>

*昨年度に比べて,WEBサイト上には研究の書き込みが増えており,研究活動は活発になって

いると感じる。

*WEBサイトはとても充実している。高校生の持つ疑問が実感できるサイトになっている。

*類似した研究内容については,WEBサイトで他校のデータを参考にして,研究を進めている

高校もある。

⑥ 第2回研究会(平成22年12月17・18日,鹿児島大学理学部)及び運営指導委員会(12月17日)

ア 研究内容・方法

運営指導委員会では,本年度のコアSSH事業の研究内容と成果,今後の課題について

協議が行われた(図22,第4章参照)。研究会には,運営指導委員7名,本校職員9名,

生徒67名,連携校教諭18名,県教育委員会等2名,計103名が参加した。前半と後半の

2班に分かれてポスター発表がなされ,質疑応答と審査が行なわれた(図23)。その後,

の生徒交流会では研究に関する意見交換が,教員交流会ではコンソーシアムに関する

情報交換や教材開発に関する意見交換や資料の提示等が行われ,充実した研究会とな

った。

イ 日程

【1日目】 12月17日(金)

12:30~12:55 受付:理学部 先端棟2階大会議室

図22 運営指導委員会 図23 成果ポスター発表(宮城第一高校)

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13:00~14:00 運営指導委員会(60分) 詳細は第4章を参照

14:10~14:20 開会行事(県教育委員会挨拶,指定校校長挨拶,運営指導委員等紹介)

14:20~14:30 コンソ-シアム経過報告・日程説明(担当:讃岐) (10分)

14:30~14:40 ポスター発表会場(101講義室)へ移動,発表準備 (10分)

14:40~15:45 ポスター発表(A班:12テーマ)・質疑応答・審査 (55分)

15:45~16:40 ポスター発表(B班:12テーマ)・質疑応答・審査 (55分)

16:40~16:50 先端棟大会議室へ移動・休憩 (20分)

* 審査員は大会議室準備室にて評価会議 (10分)

16:50~17:00 閉会行事(表彰,JSTあいさつ,教頭あいさつ) (10分)

17:10~18:00 生徒交流会:意見交換,総合討論(先端棟大会議室) (50分)

教員交流会:意見交換,総合討論,教材開発事例紹介 (大会議室準備室)

ウ 成果・検証

生徒が頑張った過程やその成果を,いろいろな角度から運営指導委員や県総合教育センター

の先生方に評価していただいた。その結果,宮城第一高校,小松高校,住吉高校,農芸高校,

広島国泰寺高校,松山南高校,致遠館高校,山川高校,市来農芸高校,屋久島高校に特別賞,

その他の連携校に奨励賞が授与された。実質半年間という短期間ではあったが,各校の取組は

熱心で,コンソーシアム全体としても大きな成果が得られたと,運営指導委員から高く評価さ

れた。なお,各校の評価については,日頃からの研究に対する取り組みや情報発信も重要視さ

れコンソーシアムWEBサイトへの書き込みの状況等加えて,総合的に判断された。

⑦ 三学会(日本動物・植物・生態学会合同鹿児島例会)

(平成22年12月18日(土),9:00~16:00,鹿児島大学理学部)

ア 研究の内容・方法

県内の高校生および全国SSHダイコン多様性研究コンソーシアムに参加する高校生等が,

本学会にてポスター発表をすることで,大学の研究者等から研究に関するアドバイスをいただ

き,今後の研究内容の充実を図る。また,研究発表を通してプレゼンテーション技術の向上を

図ると共に,異なるテーマの研究を視聴することで,広く関連分野の理解を深める。なお,内

海運営指導委員長の御配慮で,コンソーシアムは,三学会との同時開催で実施され,鹿児島県

高等学校生徒理科課題研究発表会や大会ポスター等で広くアナウンスされた。

イ 日程

【2日目】 12月18日(土)

8:50 受付(101講義室),ポスター設営・発表準備

9:00~ 9:50 三学会特別講演(理学部2階 220号教室)

講師:鹿児島大学大学院理工学研究科 内海 俊樹教授

演題:共生窒素固定:人類の未来を支える植物と微生物の共同作業

10:00~11:20 ポスター発表(三学会参加校,ダイコンコンソーシアム参画校)

ダイコンコンソーシアム連携校によるブース

生物研究一般発表(鹿児島県立志布志高校「屋上緑化の地球温暖化の防止」,

国分高校「有害プランクトンの増殖と除去方法」,池田高校「鹿児島県紫尾山

のアリ相」~ブナ林に生息するアリ

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11:30~12:00 県高校理科部会推薦 課題研究口頭発表

屋久島高校「砂防堰におけるヤクシマカワゴロモのモンタリング調査」

錦江湾高校「オトシブミの卵をめぐる寄生蜂3種のミクロな生存競争」

12:00~12:30 意見交換(総合討論)(理学部2階 220号教室)

12:30~12:40 閉会行事

13:20~14:20 教材開発(生物実験,ダイコンを素材とした実験)に係わる意見交換会 (60分)

(理学部2階 220号教室)

ウ 成果・検証

8月に研究計画を行い,12月にポスターによる学会発表を課すことで,植物の栽培や実験

をスムーズに行うことができ,モチベーションを高めながら研究を進めることができた。ダイ

コン多様性研究を三学会の場で,研究者や大学生,高校生に対して成果発表することができた。

コンソーシアム以外の高校の異なるテーマの研究を視聴することで,ヤクシマカワゴロモな

どの希少な植物や赤潮などのプランクトンによる環境調査,オトシブミとその寄生蜂,ブナ林

に生息するアリなど,広く関連分野の理解を深めることができた。

山川高校で育成された地ダイコンやその交配種,国分高校で栽培された横川ダイコンや国分

ダイコン等を千切りにし,味や辛みに関する食味体験を行った(図24)。意見交換会では,ダ

イコン多様性研究のグループと,異なる研究分野に関わる生徒同士が,活発に意見交換を行う

ことで,互いに刺激し合いながら交流を深めることができた。JSTの橋爪主任調査員や県立

博物館の金井賢一学芸主事等から,有益な御指導,御助言をいただき,非常に充実した研究交

流の場となった(図25)。

⑧ 「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」の立ち上げ

ア 研究内容・方法

本プロジェクトの研究開発の内容は,理科・各科目との深いかかわりを持つことから,研究

が課題研究に留まらず,授業における教材等(プロトコル,学習指導案)に幅広く応用できる

可能性を秘めている。そこで本年度は,「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」をコン

ソーシアム内に立ち上げ,新学習指導要領の設定科目を見据えながら,研究内容を教材に活か

す取組を推進している。

図25 意見交換会図24 大根の食味体験

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イ 成果・検証

指導教諭による「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」を立ち上げ,新学習指導要領の設

定科目を見据えながら研究内容を教材化に活かす取組を推進した。本年度は以下のような教材開

発が進められ,これらの成果は,コンソーシアム研究会で公開した。松山南高校が開発したビデ

オ教材(交配実験の仕方)についてはコンソーシアム WEB サイトで広く公開し,SSH校の教員や高

校生にダウンロードされ,活用されている。なお,教材開発に関する概要を以下に示した。

① 大型プランターを用いたダイコン栽培方法の開発(図26)

鹿児島県立市来農芸高等学校 久保紘史郎教諭

② ダイコン辛み成分の簡易測定法(比色定量法)の開発

鹿児島県立錦江湾高等学校 辛み成分測定班

(鹿児島大学 内海研究室)

③ 簡易吸光光度計「からみちゃん」の開発

鹿児島県立錦江湾高等学校 天文物理研究部

④ 交配実験ビデオの作成

愛媛県立松山南高等学校 生物部:田中好久教諭,放送部

⑤ ダイコンの辛み体験(小・中学生向け)

大阪府立住吉高等学校 小畑洋一教諭

⑥ ダイコンを用いた各種生物実験 ~全国の生物実験書等を参考にして~

石川県立小松高等学校 寺岸俊哉教諭

⑨ 地域連携・成果普及

ア 研究内容・方法

交配実験のビデオ教材を視聴した本校の生物研究部の生徒が,山川高校の研究グループに対

し,ダイコンの交配の仕方に関する成果普及を試みた(図27)。

イ 成果・検証

本取組はコンソーシアムにおける地域連携の一つであり,農業高校とSSH校との共同研究

の成果として地元新聞に大きく取り上げられた。また,育成された地ダイコンや桜島ダイコン

と守口ダイコンの交配種の育成に関する情報交換を通して,両校の生徒にのみならず,教員間

の連携も深まり,SSH校だけでは分からない,栽培・育成貴重なアドバイスをいただき,本

共同研究は1年間という短期間に大きく深化した(図28)。

図27 交配実験 図28 交配種の収穫

図26 ダイコン栽培の講義

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⑩ コンソ―シアム参加者と研究テーマ及び研究結果

ア コンソーシアム研究内容・方法

本校では,学校設定科目「スーパーサイエンスⅡ(SSⅡ)」とリンクさせ,理数科の2年

生の課題研究として3テーマ,生物研究部に 1 テーマを設定した(表3)。連携校では,生物

部(6),自然科学部(1),サイエンス部(1),科学部(1),生物同好会(1),理数科課題研

究班(7)が,農業高校課題研究班(3)が,それぞれ研究テーマを設定し(表4),コンソー

シアム全体として計28テーマの研究開発に取り組んだ。なお,本校については連携先を表中に

示した。

表3 本校の研究テーマと担当教諭等

No. 高校名・担当教諭 テーマ・連携先

1 鹿児島県立錦江湾高校 ・環境ストレスとダイコンの辛みとの関連性

理数科 ~ダイコンの芽生えを用いたMITC量測定法の確立~

下大田智子(生物) ・鹿児島大学農学部 植物分子生物学 岡本繁久准教授

・鹿児島大学農学部 生物資源化学科 松尾友明教授

2 鹿児島県立錦江湾高校 ・ダイコンの辛み成分について

理数科 ・鹿児島大学理工学研究科 生命化学専攻 内海俊樹教授

津留洋一(化学) ・九州大学農学研究院 丸山明子准教授

3 鹿児島県立錦江湾高校 ・桜島ダイコンを救え!!

理数科 ~焼酎の開発による桜島大根の商業的利用の可能性を探る~

中島亮(化学) ・鹿児島大学農学部 焼酎学研究室 鮫島吉廣教授

4 鹿児島県立錦江湾高校 ・桜島大根と守口大根の交配種育成

生物研究部 ・東北大学大学院生命科学研究科 渡辺正夫教授

讃岐斉(生物) ・三重大学大学院生物資源学研究科 諏訪部圭太准教授

表4 連携校の研究テーマと担当教諭

No. 高校名 テーマ・担当教諭

1 宮城県宮城第一高校 ・地道に数えるブロッコリー ~花芽の数と葉序の規則性~

理数科 小松原幸弘(生物)

2 福島県立福島高校 ・ダイコンの可能性を探る ~ダイコンアミラーゼの偏り~

サイエンス探求クラス 橋爪清成(化学)

3 石川県立小松高校 ・石川県におけるダイコンの栽培とその観察

生物部 ・ダイコンの初期成長と発芽に及ぼす光の影響

・光がダイコンの発芽に与える影響

・牛乳パックや塩ビパイプを用いたダイコンの栽培と成長

寺岸俊哉(生物)・兵地梓(生物)

4 長野県諏訪清陵高校 ・長野県在来ダイコンの抗生作用の研究

生物部 矢澤正章(生物)

5 岐阜県立大垣東高校 ・大根の成長と辛味成分

理数科 伊藤誠司(化学)・和田喜孝(生物)

6 大阪府立住吉高校 ・田辺ダイコンの応答反応 -葉の辛味は何のため?-

サイエンス部 小畑洋一(生物)

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7 大阪府立農芸高校 ・ダイコン8品種の圃場栽培

野菜部 有馬頼政(農業)

8 和歌山県立日高高校 ・和歌山県・鹿児島県・石川県産ハマダイコンの形態

生物部 土永知子(生物)

9 島根県立松江東高校 ・「出雲おろち大根」について

自然科学部 有藤克己(生物)

10 広島県立広島国泰寺高校 ・ダイコンの成長と環境条件Ⅱ

理数ゼミ生物班 三浦淳子(生物)

11 愛媛県立松山南高校 ・ケールとブロッコリーの雑種個体における葉の形態比較Part2

生物部 ・ダイコン品種間の交配による形態的遺伝の特徴

SS生物班 田中好久(生物)

12 佐賀県立致遠館高校 ・ダイコンの耐塩性に関する研究

科学部 尊田和寿(生物)・中島誠吾(生物)・山岸幸司(生物)

13 鹿児島県立市来農芸高校 ・桜島大根の遺伝に関する研究

生物部 久保紘史郎(生物)

14 鹿児島県立国分高校 ・国分ダイコンの特徴とpH調整による色の変化

理数科生物班 田中美智代(生物)

15 鹿児島県立鹿児島中央高校 ・ダイコンの成長と辛みについての研究

生物部 大園貴子(生物)

16 鹿児島県立山川高校 ・交配種ダイコンの成長とその形態~実証栽培の報告~

ダイコン研究班 川俣昭寿(農業)

17 鹿児島県立屋久島高校 ・環境ストレスによる赤大根の成長への影響について

環境コース 上舞哲也(生物)

18 宮崎県立宮崎北高校 ・糸巻き大根の多様性

サイエンス科 鎌田晃弘(生物)

19 沖縄県立開邦高校 ・カガンジダイコンの研究

生物同好会 新城憲一(生物)・濱川敦(生物)

上記のテーマについて,各連携校が独自のテーマでダイコン多様性研究を企画推進し,12

月の鹿児島大学での三学会においてポスター発表できる成果を上げることができた。本コンソ

ーシアムでは,各地域の特産となるダイコンやアブラナ科植物を研究題材とする,公募プロジ

ェクトが特徴であるが,それらが互いにうまく連携し,コンソーシアムにおける新しい形態と

なった。これまでに得られた研究開発の成果の概要を,要旨集として次ページ以降に示した。

また,コンソーシアム研究の総まとめとして,日本植物生理学会高校生部門において,コン

ソーシアムに参加する13校が18テーマの研究成果を公開した。今回の仙台年会・高校生発表に

ついては,震災の影響で開催できなかったが,高校生のこれまでの努力に報いるためという趣

旨で,高校生発表会要旨集の公表をもって発表会は成立となった。

ダイコンコンソーシアム研究の成果は高く評価され,本学会に参加した高校(錦江湾高,宮

城第一高,福島高,小松高,諏訪清陵高,住吉高,農芸高,広島国泰寺高,松山南高,致遠館

高,開邦高,市来農芸高,国分高)に対して特別賞が,また発表した高校生それぞれに対して

優秀賞が授与された。

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4 各連携校の研究要旨

環境ストレスとダイコンの辛味との関連性

~ダイコンの芽生えを用いた MITC 量測定法の確立~

鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科 2年

有薗佑紀 倉山栞奈 瀬戸口奈央 高田萌

昨年度,私たちの先輩たちはダイコンの耐塩性に着目し,野生種(1 種)・栽培品種(5 種)の

芽生えを使って,塩化ナトリウムが初期

成長に与える影響を比較検討した。その

結果,栽培品種間で耐塩性に大きな違い

(多様性)があることを明らかにした。

今年度は研究テーマを発展的に変え,「環

境ストレスがダイコンの細胞代謝に与え

る影響」を調べることにした。代謝反応

の指標としては,ダイコンに特徴的な成

分である辛味を採用した。

ダイコンの辛味成分は,メチルイソチオシアネート(MITC)を主成分とした揮発性の化合物であ

る。通常,グルコシノレート(MITC 配糖体)と MITC を作る酵素・ミロシナーゼは別々の組織に

存在する(図1)。ダイコンおろしが辛いのは,細胞が傷ついたことによってこの両者が出会い,MITC

が発生するからである。また,MITC を含むグルコシノレート分解物は,植物が草食動物,害虫,

病原微生物から身を守るための生体防御物質として働くことも知られている。

傷が MITC の生成を誘導することから,

私たちは,「傷以外の環境ストレスが

MITC の生成にどのような影響を与える

か?」という疑問を持った。そこで本研

究では,ダイコンの芽生えに塩害,高・

低温,乾燥・過湿などストレスを与えた

ときの MITC 量を測定し,品種間で比較す

ることにした。MITC の定量は,本校の辛

味成分班が確立した可食部用の簡易比色

定量法を用いて行った。ダイコンの芽生えを用いることは,取り扱う品種を増やす,栽培スペー

スが小さくて済むや栽培期間が短くて済むなど,可食部に比べ実験上のメリットが大きい(図 2)

が,葉由来の葉緑素が MITC の比色定量(600nm)を妨害する。そこで,クロロホルムによって葉緑素

を除去した後で MITC 量を測定する方法を考案した。

図1 ダイコンにおけるメチルイソチオシアネート

(MITC)の生成機構とその役割

図 2 ダイコンの芽生えと可食部における各種条件の比較

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① ダイコンをおろし金で磨砕後,2 層ガーゼで搾り,搾汁液 25 mL を採取。 ② 100 mL 共栓付試験管に密栓して 30℃で 30 分間静置後,5mL 採取。 ③ 20 mL EtOH-NH4OH(39:1,v/v)を加え 30 ℃で 60 分静置。(チオウレア誘導体の生成) ④ 1 mL 50%酢酸水溶液を加え,ろ過後 1 mL 採取。 ⑤ 4mL 改良グロート試薬を加え、37℃で 30 分間静置。 ⑥ 600nm の吸光度を測定。 ⑦市販のアリルチオウレア検量線から換算式により求める。

0.000

0.040

0.080

0.120

0.160

江崎小野崎 錦江湾法

OD600

0.000

0.020

0.040

0.060

0.080

0.100

0.120

0 10 20 30 40 50 60

時間(分)

OD600

ダイコンの辛み成分に関する研究

鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科2年

川越凛太郎 村田宏仁 牛衛夢宇 濱崎大樹 川久保祥汰 元榮佑太 塚原 愛 山下智子

1.はじめに

ダイコンは日本の野菜の中で最も高い生産量を誇り,研究に適した材料である。その辛み成分に

は免疫力を高めたり,殺菌作用,消化促進など様々な効用がある。ダイコンに含まれる辛み成分は

trans-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート(MTBICT)と同定されており,MTBICT はグ

ルコシノレート(含硫配糖体)がミロシナーゼ酵素との反応することにより生成することがわかっ

ている。MTBICT の測定には江崎・小野崎の比色定量法があり,この方法を用いるとダイコンイソ

チオシアネートは先端部分に多く含まれることが分かる。しかしながら江崎・小野崎の比色定量法

は測定までに時間がかかるため,私たちは測定方法に改良を加え,短時間で測定できないか検証し

た。 2.江崎・小野崎のイソチオシアネート比色定量法

3.研究方法

① 市販の青首ダイコンを用いてイソチオシアネートの定量を行う。江崎・小野崎の比色定量法の

チオウレア誘導体生成過程におけるインキュベート時間を 0,20,40,60 分間として,イソチオ

シアネート含量を測定する。 ② 江崎・小野崎の比色定量法と時間短縮した改良比色定量法(錦江湾法)を用いて,同じ青首大

根の先端部の搾汁液中のイソチオシアネート含量を測定し比較する。 4.結果と考察

図1 インキュベート時間と吸光度変化 図2 江崎・小野崎法との比較 チオウレア誘導体生成過程におけるインキュベート時間を 0,20,40,60 分間とし吸光度を測定

した結果,40 分以降に吸光度が安定することが分かった。上記の江崎・小野崎法と先輩方の実験結

果から得られた短縮法と今回の結果を合わせて1時間短縮した錦江湾法を用いてイソチオシアネー

トの定量を行ったところ十分測定に用いることのできる結果が得られた。(錦江湾法は上記江崎・小

野崎法の②を 10 分,③を 40 分,⑤を 10 分としたもの) 5.今後の課題

時間短縮した比色定量法を用いて様々な品種のダイコンイソチオシアネートを測定し,異種ダイ

コンのかけ合わせによってどのように辛み成分が変化するのか調べていきたい。

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図 様々なタイプの焼酎もろみのスクリーニング

桜島大根を救え!!

~焼酎開発による桜島大根の商業的利用の可能性を探る~

鹿児島県立錦江湾高等学校 SSⅡ化学・焼酎班 理数科2年

安藤貴廣 佐枝大幹 溝口晃平 小寺創士郎 渕田孝大 中島優希 細樅祐樹 堀内隆志

1 研究概要

桜島大根を用いて焼酎を造るために必要な糖液を切干大根から得た。切干大根作成の条件は切り

方には大きな差は無く,熱風乾燥機を用いて50℃で1日干すことで大量生産に成功した。切干大根

の乾燥重量のおよそ60%近くが糖類であり,切干大根から効率よく糖液を抽出するには切干大根:

蒸留水を重量比で1:5であることがわかった。大根に含まれるアミラーゼの性質は最適温度が5

0℃であった。以上の条件により鹿児島大学農学部焼酎学講座の全面協力の下糖液の作成,アルコー

ル発酵,蒸留という焼酎の醸造の実験を行ったその結果,匂いが独特な大根焼酎を完成することが出

来た。しかし大根独特の匂いがきつく食品として利用するのは難しいため,炭やお茶を加えることで

匂いを抑えることに可能性を見出している。 2 実験方法・結果・考察

(1)切干大根からの糖液の作成 前年度は切干大根の乾燥重量の10倍にあたる水の量で抽出して実験を行う方法を採用して

いたが、より効率を求めた結果今年度は乾燥重量の5倍の水で糖液を抽出し、より効果的に糖度

の高い液を得ることができた。 (2)匂い成分の考察 今年度は匂いに着目し、お茶や炭を添加することできつい匂いを抑えることに成功した。炭は

匂い成分の吸着、お茶はお茶の匂いによるマスキングあるいはフラボノイド類による消臭効果に

よるものと思われる。 (3)焼酎の製造 大根由来のみの糖液を切干大根か

ら作成し、酒造試験免許をもつ鹿児

島大学農学部に依頼し焼酎の醸造を

行っている。お茶や炭を加えたり、

デンプン源としてサツマイモを加え

るなどして様々なタイプの焼酎もろ

みのスクリーニングを行った。 (4)α―アミラーゼ存在の可能性

大根のアミラーゼはβ―アミラーゼが主でありデンプンはβ―限界デキストリンにまでしか

分解できず麹菌のもつα―アミラーゼの代用はできないと言われていた。しかし、実際に大根を

麹菌の代わりに用いたとき、β―アミラーゼだけでは説明できない量のエタノールが発生した。

これは、大根がβ―アミラーゼだけではなくα―アミラーゼも持つという可能性を示唆している。

今後検証実験を行い、焼酎づくりに代用できるレベルの量のα―アミラーゼが含まれているかど

うかを探る。

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図2 測定項目

×

桜島♀ 守口♂

図1 交配種の作成

桜島 交配種 守口

図3 成長と形態の比較

野外育成

桜島大根と守口大根の交配種育成

~交配種に現れる形質と遺伝のメカニズムを探る~ 鹿児島県立錦江湾高等学校 生物研究部 1年 日高千晴・勝田萌・勝田楓・野元勇介

1 目的

日本には,世界一大きい桜島大根と世界一長い守口大根がある。桜島大

根の根は太く大きく,守口大根は細くて長い。この2つの対照的な品種を

交配させると,どのような形の大根になるのかと疑問に思った(図1)。

そこで,この2つの大根と,交配させた大根(交配種)を育成し,形態や

成長の違いを調べるとともに,味の違いについても比較検討した。

2 方法

〈実験1〉桜島大根,守口大根,交配種(桜♀×守♂)を,湿

らせた濾紙に播種し発芽させた。発芽した種子を人工気象器

(22℃)で育成し,根を形態観察したり根長を測定したりし

て,初期成長の様子を比較した。

〈実験2〉3種の種子を畑に播種し,子葉a,b,cの長さ,

本葉の枚数や長さ,茎の太さを2,3日おきに測定し(図2),

野外での成長を観察した。

〈実験3〉3種を,室内において鉢で5カ月間育成し,本葉の

枚数や長さ,地上部(茎や葉)と地下部(根)の重量を測定

した。葉緑素計を使用し,葉の葉緑体指数を計測し比較した。

〈実験4〉浅漬けとおでん煮について,食味検査を行い,甘さと辛さを比較した。

3 結果と考察

人工気象器での発芽率は交配種が最も高かった。交配種の根の成

長速度は初期段階から非常に大きく,他の2品種より大きく伸長し

た。野外育成でも,発芽率や初期段階での根の成長に関して同様の

傾向が見られた(図3)。5ヶ月の間,室内で育成した個体を比較

したところ,交配種の根長(95㎝)は,守口大根(92㎝)よりやや

長く,桜島大根(37cm)の2倍以上であった。交配種の根の太さ

(15mm)は,桜島大根(9mm)や守口大根(3mm)より太かった。重

量で比較した場合でも,地上部と地下部ともに,交配種が重かった。

交配種は側根が発達しており,母方(♀)である桜島大根の形質を

受け継いでいると推測された。葉緑素指数の比較から,葉緑素量が

成長に及ぼす直接的な影響は小さいと考えられた。おでん煮の場合,交配種の甘さと辛さは,桜島大根

と守口大根のほぼ中間となった。

4 今後の課題

各種大根を継続して育成し,大根の根の形態と構成する細胞の形や数を比較し,関連性を調べる。野

外で育成した大根について,収穫時における形態を比較する。守口大根(♀)×桜島大根(♂)の交配

種を作成し,今回の結果と比較検討する。交配種を自家受精させ雑種第二代(F2)を作成し,形質の分

離比等を調べる。

5 謝辞 本研究を進めるに当たり,御指導やアドバイスをいただいた,ダイコン多様性研究コンソーシアム運

営指導委員の先生方,ならびに全国の連携校の先生方にお礼申し上げます。

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地道にかぞえるブロッコリー ~花芽の数と葉序の規則性~

宮城県宮城第一高等学校理数科2年

早坂由真 石橋幸枝

目的「ブロッコリーのつぶつぶ(花芽)は一体、いくつあるのか?」東北大学大学院生命科学研究科の

渡辺正夫先生の講演をお聴きし、私たちはこのような疑問を抱いた。日頃食べ慣れているブロッコリ

ーであるが、このような見方をしたのは初めてであり、調べたことがないと渡辺先生も話されていた

この問題を、自分達の手で解明したいと思い、実際に市販のブロッコリーで、花芽の数を数えること

にした。

また、ブロッコリーの枝はらせん状に2/5(144°)ずつずれて生えているということも教え

ていただいた。見慣れたブロッコリーの枝が、らせん状に生えており、しかもその角度が決まってい

るという。私たちは生物のからだのつくりの規則性のモデルとして、この葉序の規則性に注目し、枝

と枝の間の角度を測定することにした。

材料・方法

実験1 「花芽の数」

材料:北海道産ブロッコリー1株、アメリカ産ブロッコリー1株

方法:それぞれの枝の花芽の数をすべて数える。方眼紙にスプレーのりをかけ、そのうえにピンセッ

トで花芽を1マスに1つずつ置いていく。方眼紙1枚ごとに、ラップをかけ、花芽の数を数える。上

の枝から順に番号をふり、5枝1組を「行」、各枝の縦の同じ位置を「列」として、「行」「列」ご

とに花芽の数を比較する。

実験2 「葉序の角度」

材料:北海道産ブロッコリー1株、アメリカ産ブロッコリー5株

方法:それぞれの枝の間の角度を測定し、実験1と同様に「行」「列」ごとに枝の角度を比較する。

結果・考察

実験1

北海道産ブロッコリーは全27枝で花芽の数は、37715個だった。アメリカ産ブロッコリーにつ

いては、上から順に27枝までしか数えることができなかったが、花芽の数は3987個だった。花芽

の数は、下に行くほど枝ごとの花芽の数は多くなる。また、特定の同じ列だけ花芽の数が多いことがわ

かった。北海道産とアメリカ産①はどちらも同じく27枝まで花芽を数えたが、花芽の数が大きく違っ

ていた。これはアメリカ産の枝ができ始めるのが北海道産よりも早いためと考えられる。また、枝の見

た目の大きさが同じでも、外側の成長した花芽が多いのか、中央に集まっている小さい花芽が多いのか

で、花芽の数に大きな差が見られた。

実験2

行ごとに144°との差を調べると、下の行ほど、144°との差が小さくなっている傾向が見られ

た。また、144°より広いか狭いかは、列ごとに大まかに決まっていた。全体としてみると、行では

狭い→広い→狭い→広い→狭いを繰り返し、徐々にらせんがずれていく。そのため、ブロッコリー全体

的では枝が多い側と少ない側に分けられることになる。

ブロッコリーの花芽の数と葉序の規則性には似た傾向がある。これは、ブロッコリーと太陽の位置が

関係しているのかもしれない。

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_ダイコンの可能性を探る~ダイコンアミラーゼの偏りについて~

福島県立福島高等学校 サイエンス探究クラス 齋藤ちひろ 須田朋美

1.背景と目的

本研究では、ダイコンの

成分を活用したいくつか

のルートによりブドウ糖

を合成し、さらにそのブド

ウ糖からポリ乳酸やバイ

オエタノールを合成する

可能性を探りたいと考え

ている。今回は、ダイコン

アミラーゼによるデンプ

ンの分解について検討を行った。手始めにダイコンおろしをデンプン溶液に入れて分解させたと

ころ、糖の生成を確認することができた。

ところで、夏の研修会の時に、大根の位置によって辛み成分に偏りがあるという発表を聞いた。

アミラーゼについても同様に、位置によって偏りがあるかもしれないと考え、ダイコンをいくつ

かの部位に分け、それぞれを用いてデンプンの分解の様子を調べることにした。

2.実験方法

ダイコンは、自分の家の畑から採ってきた。まず、長い大根を1/3ほどに分けて、葉のほう

から「上、中、下」と分類した。さらに、ダイコンを輪切りにして観察してみたところ、手で簡

単にちぎることができる外側部分(1cm程度)とその内側部分に分けることができた。そこで、

「外、内」についても、別な分類とした。これらをそれぞれミキサーで粉砕し、5%デンプン溶

液に加え、35℃~40℃で反応させた。時間ごとにサンプルを抜き取り、ベルトラン法により、

糖を定量した。なお、一つのサンプルにつき、3回定量を行い、その平均値を糖の量とした。

3.結果と考察

45分反応させたときの結果を

右に示す。まだデータ数が多くな

く、信頼性はあまり高くないかも

しれないが、部位により、糖の生

成量には大きな違いが見られた。

これがアミラーゼの量と単純に比

例していると考えれば、アミラー

ゼの量は、

上>中>下

外>中

と、偏りが見られるようである。今後、再現性を調べながら、アミラーゼの偏りについて、さら

に検討したい。また、テーマの本筋とは外れるが、手でちぎることができる外側と内側の境界部

分の構造がとても気になっており、ここも調べてみたい。

ダイコンのセルロース

デンプン

ブドウ糖

ダイコン

アミラーゼ

セルラーゼ

乳酸発酵

アルコール発酵

乳酸菌(乳製品、たくあん)

酵母菌

乳酸

エタノール

ポリ乳酸

加水分解

加水分解

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ダイコンの初期成長に及ぼす光の影響 石川県立小松高等学校 生物部 1 年

新道 知步

1. はじめに

ダイコンの栽培や生長の観察、昨年度の先輩方の研究および生物の授業などから、ダイコ

ンが生長するには光が大きく関係があることが分かった。私はダイコンの初期成長に及ぼ

す光の影響について、さらに光の波長の種類によって生長する部位に違いがみられるのか、

光合成に適切な赤・青紫は他の色よりも生長が著しいのか興味を持ち、実験に至った。

2. 実験内容・方法

恒暗条件の下でダイコンの種子(耐病・源助・桜島・守口・貝

割)を 48 時間静置し発芽させ、発芽した個体を培養土の入った

紙コップに植えた。その後、実験装置の中に紙コップを並べて、

白色・赤色・青色・黄緑色・緑色のそれぞれのLED発光板(同

じ光量子束密度)を各装置上に設置(図1)した。 また、暗条件の実験区も設定した。開始5日後に各個体を実験 図1 装置から取り出し、計測した。なお、計測した部位は、①胚軸長 ②根長 ③葉の縦(赤) ④葉の横(青) ⑤胚軸の太さ(枝が分か れている部分) ⑥葉の色 である。(図2)

葉 3. 結果及び考察 図2

①すべての品種において暗条件で栽培した個体の葉が著しく小さく、赤色光中で栽培した個体

は葉が大きい。これは光合成を効率よく行える赤色光による影響で葉の成長が促進されたので

はないかと考えられる。 ②すべての品種において暗条件で栽培した個体の胚軸が長く、赤色光中で栽培した個体の胚軸

が短い。これは、光の不足による徒長成長が、光合成を効率よく行える赤色光のもとでは起こ

りにくいのではないかと考えられる。 ③すべての品種において黄緑の光を当て栽培した個体の胚軸の太さが細い。 ④桜島は個体差が大きく、当てた光の波長に関わらず生長にばらつきがある。また、源助おい

てはあまり生長のばらつきは見られない。これは、屋外における栽培実験でも見られたことで

あり、桜島については、種として個体差が大きく、源助は種として個体差が小さいという特徴

をもつのではないかと推測できる。

4. 今後の展望

さらに観察を続け、多くのデータを取り、再現性を確認したい。また、今回の研究では、傾向

の違いを見ることができたので、さらに詳しくデータを解析し、数値の有意性を調べたい。さ

らに、どの光条件がダイコンの生長にとって適したものであるか、実験を進めていきたい。

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光がダイコンの発芽に与える影響 石川県立小松高等学校 生物部 1 年

北村 理咲子 1. 目的

昨年度の先輩たちの研究から、植物の発芽には光(波長・光

量子束)が大きく関係しているのではないかと考えた。そこ

で、さらにその関係を調べるため、LED 発光板(図1)を

製作し、発芽の実験を行った。 2.実験方法 図1

シャーレに水を含ませたろ紙を敷き、5種類(耐病総太・

源助・桜島・カイワレ・守口)それぞれの種を9個ずつ並

べた。 実験装置の中にシャーレを並べ、白色・赤色・青色・黄緑

色・緑色それぞれのLED発光板(同じ光量子束密度)を

各装置上に設置(図2)した。また、暗条件の実験区も設

定した。観察は開始 24 時間後、48 時間後に行い、それぞれ

発芽状況(発芽率)を計測した。 図2 3. 実験結果および考察

①品種別に見てみると、どの光条件においても耐病総太とカイワレの発芽率が高く、源助、

桜島、守口の発芽率は悪かった。また、発芽率が低い3種の中では源助の発芽率が高かっ

た。このことから、改良品種である耐病総太や、カイワレダイコンは発芽に適した環境条

件が広く、源助、桜島、守口などのいわゆる地ダイコンは、発芽に適した環境条件が狭い

のではないかと考えられた。また、昨年度より実施している屋外栽培実験や、コンソーシ

アムの共同研究校の方の栽培実験などからも、地ダイコンの栽培の難しさや、地ダイコン

の中では源助が栽培しやすい種であるとの報告もあり、発芽についても同じような種特異

性が見られたと考えられる。 ②光の波長別に見てみると、暗発芽種子と言われている通り、暗条件の発芽率が最も高かっ

た。また、赤色光と白色光の発芽率が悪かった。白色光には赤色光も混ざっていることか

ら、赤色光が発芽を抑制しているのではないかと考えられた。 4.今後の展望

暗発芽種子の発芽に対する光の抑制作用は、外部条件のほかに種子の古さによっても異な

ることが知られている。今回の実験においても種子の古さから正確なデータが得られなか

ったと考えられる点が認められたので、次回は、現在栽培中のダイコンを自家受精し、種

子をつくり、保存状態を一定にすることでその条件をそろえたい。

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石川県におけるダイコンの栽培と成長 石川県立小松高等学校 生物部 1 年

山岸 美貴

1.研究概要

日本では 100 種類を超えるダイコンが栽培されており、地域独特の「地ダイコン」と呼

ばれるものも存在する。そして、地域の気候に適したダイコンがあると思われる。

そこで、私達は様々な状況下のもとでのダイコンの栽培と成長を観察した。

2.取り組み

①土壌の違いによるダイコンの成長

黒土、培養土、砂浜、腐葉土の 4種類の土を用いてダイコン

5 種類(耐病、源助、桜島、貝割)の成長の違いを観察

②牛乳パックを用いて室内でのダイコンの成長の観察(図1)

③塩ビパイプを用いて室内でのダイコンの成長の観察(図 2)

④温室(培養土)でのダイコンの栽培観察

3.結果と考察

③において栽培した4つ(桜島・守口・耐病)の塩ビパイプのう

ち 2 つ(耐病・守口)は発芽していなかった。また、生長した

2 つにおいて肥大生長ができていなかった。原因として、以下の

ものが考えられる

ⅰ) 空気の出入りが不十分だった

ⅱ) 水がうまくしみこまなかった

ⅲ) 肥大生長するにおいて場所がせまかった

今後の実験では、塩ビパイプに空気の通り道をつくり、播種す

る際に土を詰め込みすぎないようにする必要がある。また今回の

観察で直径 2cm の塩ビパイプでは肥大生長できなかったので、今

後は直径の大きさを変えて観察していきたい。

※①,②,④については観察途中である。

図 1

図 2

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― 29―

長野県地ダイコンの比較と抗生作用の研究

諏訪清陵高校 生物部

はじめに

古くから、ダイコンの薬効は知られ、口内炎等の治療や生牡蠣の洗浄にダイコンの絞り汁が使われた

といいます。これはダイコンを摩り下ろした時に生成されるイソチオシアネートと呼ばれる物質の持つ

殺菌作用によるものだとされています。 1 、目的

・ダイコンの部位の違いによる菌への抗生作用と、抗生作用の及ぼし方について調べる。 ・長野県在来ダイコンの形態調査、クロロフィル量の検量、菌の抗生作用の研究を通して、各種ダイコ

ンの比較を行う。 2 、仮説

長野県は様々な地形を有しており、そのため多種多様な特徴を持った地ダイコンがあると思われる。

よって、各種ダイコンには各々の部位の形態に違いがあると思われる。 また、クロロフィルや、イソチオシアネートといった物質の含有量にも同様に差異があると考えられ

る。 3、実験方法

[Ⅰ]形態の比較 ①部位の形態を比較するために、 ⅰ着葉数 ⅱ小葉数 ⅲ全長 ⅳ根の長さ ⅴ葉の長さ の5項目について調べる。 ②葉の形をスキャンし、根の形を写真で撮る。 [Ⅱ]クロロフィル量の検量 ①エッペンチューブに DMF を 5ml 入れ、そこに 5cm 角の葉を入れる。

②冷蔵庫で一晩放置する。この間にクロロフィルが抽出される。

③クロロフィルが抽出されたDMFの吸光度を646.8nmと663.8nmと750.0nmについて分光器で測定し、

所定の計算式に当てはめる。

[Ⅲ]菌に対する抗生作用の研究 菌の代表として、イースト菌を対象にダイコンおろしの抗生作用を調べる。 ①直径 9cm の滅菌シャーレにサブロー培地(ペプトン 1.0g、ブドウ糖 4.0g、寒天 1.5g、純水 100ml)

を入れたものを 20枚用意する。

②イースト菌:水=1g:100ml の比で 30℃の水に懸濁したものを培地に 0.5ml

蒔く。

③ダイコンの根を基部、中部、先端部の3箇所に分け、それぞれをすり下ろす。

④シャーレに各部位のダイコンおろし 5.0g を半径 1.3cm の円状にして滴下する。

⑤室温で 5日程培養し、シャーレを毎日観察しながら、阻止円(抗生作用が円形

に及んだもの)の形がはっきりした時点で阻止円の半径の大きさを調べる。

4、実験結果

クロロフィル量検量

(μg/ml)

味(部位による差) 対イースト菌抗生作用

(半径cm)

着葉数(本) 小葉の数(枚)

上野大根 20.592 非常に辛い(小) 2.4 7.7 21.8

切葉松本地大根 35.51 甘い(小) 1.8 8.2 25.7

戸隠大根 24.282 標準(大) 1.4 10.8 24.7

ネズミ大根 16.19 辛い(小) 2.2 24.3 23.7

山口大根 11.335 標準(中) 2 15 23.4

親田辛味大根 31.674 辛い(中) 2.4 14.3 27.5

平均 23.264 2.03 13.38 24.47

・抗生作用の強さは全て先端部>中部>基部の順であった。

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― 30―

大根の成長と辛味成分 岐阜県立大垣東高等学校 理数科2年

飯國高弘 宇野由佑子 河村知侑 丸井愛美 1.目的 大根に含まれる辛味成分含量について

・大根が成長する過程でどのように変化するか

・品種や部位でどのような違いがあるか

について調べ、大根の多様性を理解することを目的とした。

2.実験内容 実験Ⅰ.成長過程における違い

桜島大根、守口大根、耐病総太大根、和歌山大根の4種を、上・中・下部の3部位に分けて用いる。

測定は播種後50日~100日まで10日ごとに行った。

※実験Ⅰの大根はすべて我々が栽培したものを使用

実験Ⅱ.品種、部位による違い

守口大根、伊吹大根、耐病総太大根の3種を部位に分けて測定する。

守口大根は5等分 伊吹大根、耐病総太大根は上・中・下の3等分にし、内部と外部に分け、簡易吸

光度計「からみ君1号」と使用した比色定量法で測定した。

3.結果と考察 結果Ⅰ

成長日数と大根のイソチオシアネート含量のグラフが右下がりになった。このことより、成長が進

むにつれ辛味成分は減少すると考えられる。

イソチオシアネート含量が安定しなかったのは、使用した大根によりに大きさや形が異なり、部位

の分け方やすりおろす量が一定でないことや、それぞれの日数で1本ずつしか測定できなかったことが

原因だと考えられる。

結果Ⅱ

守口大根、伊吹大根、耐病総太大根のイソチオシアネート含量をグラフにして比較した。

すべての大根において上部より下部のほうがイソチオシアネート含量が多く、大根は下部が辛いこ

とがわかる。また、伊吹大根と耐病総太大根においては、内部よりも外部のほうがイソチオシアネー

ト含量が多いことがわかる。

この3種では伊吹大根がどの部位でもイソチオシアネート量が多く、下部の外部では顕著にその傾

向が見られた。

4.今後の課題 すり下ろした大根の量や保温する時間が一定ではなく、どの実験も等しい条件で行ったとは言えな

いため、統一したい。また、大根を収穫してから測定するまでの期間や保存する環境も等しい条件で

はなかった。このような違いが測定に影響するか、対照実験を行うべきであった。

本実験においては、辛味成分含量の抵抗値の比較のみをであったため、今後は、イソチオシアネー

トへの換算により、他学校の結果との比較も実施するべきであると考える。

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田辺ダイコンの応答反応 大阪府立住吉高等学校 サイエンス部 松川翔 緒方侃司 戸嶋隼一 松橋果 筒井和麻

1、実験概要

ダイコンは、病虫害からの防御のために、根だけでなく葉にも、辛味成分であるイソチオシアネー

ト(ICT)を作るのではないかと考え、播種後の成長過程での ICT 量の測定を行った。また、実際に昆虫

による食害を受けた葉や、ハサミで切込みを入れた(モデル食害)葉の ICT 量の変化を調べた。切込み

を入れてすぐに反応するとは限らないため、切込みを入れてからの時間経過による ICT 量の変化を調

べた。さらに、葉の部位による ICT 量の違いを調べる実験も行った。

2、実験方法

葉を乳鉢ですり潰し、搾り汁をとる。搾り汁にエタノール・アンモニア混合液、50%酢酸、25 倍希

釈グロート試薬を加え、600nm の波長で吸光度を測定し、検量線から ICT 量を算出した。 3、測定結果

・成長過程での変化 (μg/mL)

・食害(虫による害を受けた葉)モデル食害(ハサミで

切込みを入れた葉) (μg/mL)

・切込みを入れてからの時間経過(μg/mL)

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

ICT量

経過時間

・葉の部位による違い葉全体 (μg/mL)

葉柄部 (μg/mL)

葉(葉柄部以外) (μg/mL)

4、考察

モデル食害として切込みをいれた葉や、食害を受けた葉の ICT 量は増加している。このことから、

ダイコンの葉は食害などの作用に応答している。

生育初期段階で ICT 量が多いのは、生育初期に食害を受けるとダメージが大きいから、食害を受け

ないように多くのグリコシノレートを準備していると考えられる。モデル食害処理後の ICT 量変化は

短期的には 6 分後が最大となり、長期的には 6 日後が多くなった。葉の ICT は、葉柄より葉に多いこ

とから、葉肉組織内で合成されていると考えられる。

00.10.20.30.40.50.60.70.8

ICT量

経過日数

0ヶ所

10ヶ所

20ヶ所

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

ICT量

経過日数

0ヶ所

10ヶ所

20ヶ所

00.050.1

0.150.2

0.250.3

0.35

ICT量

経過日数

0ヶ所

10ヶ所

20ヶ所

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

ICT量

経過日数

0

1

2

3

4

5

6日後 28日後 44日後

ICT量

経過日数

g

食害

モデル

食害対照葉

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ダイコン8品種の圃場栽培 大阪府立農芸高等学校 野菜部 村上 愛

緒言:植物として多様性に富むダイコンは、農作物として“わが国で最も生産量が多い野菜” という側面を持つ。だが、農作物として普及しているのは青首系の品種群など交配種に偏っ ており、植物としての多様性が人々の暮らしに十分かつ直接的には活かされていないように 思える。生産現場から在来種が淘汰されたのは、生産、流通および消費の各段階で相対的に 交配種より劣っていた為と推察される。

そこで、ダイコン多様性の維持や在来種復活運動の一助となることを目指し、栽培調査を 通して、在来種が有する生産面での課題を検討した。 材料および方法:調査に用いた交配種は耐病総太り、早太り聖護院、紅心大根および辛之助の

4品種、在来種は打木源助、桜島大丸、和歌山大根および田辺大根の4品種とした。

本校農場の一角に調査区(東西畝4本)を設けた。播種は4度に分け、時期に応じて8月

下旬播種区、以下9月上旬、中旬および下旬播種区とした。最終株間25㎝で各畝1品種につ

き6株以上になるよう設定した(図1)。出芽率、生育状況および収穫株の外観を調査した。

結果および考察:

(1)出芽調査(表1) 在来種では源助が94%と高いものの、他は概して在来種の出芽率は交配種よりも低かっ

た。播種時期については平均すると9月下旬播種で最も高く、8月下旬播種で最も低かった。

(2)生育調査 在来種では源助の生育が良く(図2)、他の在来種では防除や施肥を適期に行うなど管

理作業の徹底が交配種以上に重要であることが示唆された。

(3)収穫調査 図3は耐病総太りの収穫株であるが、他の品種も概ね同様の傾向で、播種は9月中旬が生

産面では適していることが窺えた。

表1 品種ごとの出芽率 単位:%

    品   種

耐病(F1) 源助 聖護(F1) 辛助(F1) 桜島 紅心(F1) 和歌 田辺 平均

8月下旬 100 89 83 72 72 17 56 39 66

9月上旬 100 94 100 94 72 100 67 61 86

9月中旬 100 100 72 83 89 78 72 28 78

9月下旬 94 94 100 83 94 100 94 78 92

平 均 99 94 89 83 82 74 72 51 81

播種時期

図1 調査区の全景 図2 打木源助の生育 図3 収穫株(耐病総太り)

(左から9月下旬、中旬、下旬、8月下旬播種)

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和歌山県・鹿児島県・石川県産ハマダイコンの形態

和歌山県立日高高等学校

玉置和也・前山弘志・小山竜也 はじめに

私たちは鹿児島県立錦江湾高校で行われた「ダイコン多様性研究コンソーシア

ム」に参加し、鹿児島県吹上浜、八房川、指宿、重富、石川県小松の野生のハマ

ダイコンの種子を分けてもらった。和歌山県内でも東牟婁郡串本町、西牟婁郡す

さみ町で種子を集めた。

ハマダイコンは栽培大根が野生化してできたという説と、その地方の野生のハ

マダイコンのなかから栽培品種を作ったという説がある。浜辺に野生化している

ダイコンは「ハマダイコン」一種だが、それぞれの地方の栽培ダイコンに似たと

ころがあり、多様であるという仮説をたてた。

そこでビニール袋に入った培養土に 10g の化成肥料を混ぜ、3つの県のハマダ

イコンと鹿児島県の栽培ダイコンである桜島大根、石川県の打木源助大根、和歌

山県の和歌山大根を蒔いて栽培し、生育の様子を観察した。

1.子葉の形

子葉の横/縦を葉形指数Ⅰ、欠刻の長さ/縦を葉形指数Ⅱ、欠刻の角度、葉身基部の角度などで比較した。

その結果、栽培大根は、3 種とも横幅が広く、大きな子葉であったのに対して、ハマダイコンは縦長で、小

ぶりのものが多かった。やはり、栽培され

たものは栄養条件がよいので、子葉に含ま

れる養分が多いためだろう。

←左:栽培大根 右:ハマダイコン

2.本葉の小葉の形や数、形態

本葉は、子葉のあとにまず出るものは、欠刻が少なく、1枚の大きな葉(板葉)であ

る。成長するに従って欠刻が多く、大きくなる。しかし、石川産のハマダイコン 5本の

うち 2本が、欠刻がない板葉のまま成長した。一見してカブラの葉のように見えた。し

かし、抜いてみると、細いダイコンのような根があった。つまり、石川産のハマダイコ

ンには、葉に切れこみが無いものがあり(写真右上)小葉の数に極端な変異があること

がわかった。鹿児島産のハマダイコンは、小葉の数が多い傾向にあり(写真右)、和歌

山のものは少なく(写真右下)、小葉どうしの間隔が空いていて、その間に極端に小さ

な葉もあり、まばらな印象があった。ハマダイコンの本葉の形は、地方によって多様で

あった。また、1本のダイコンの本葉では、最初は欠刻が少ないが、成長するにしたが

って多くなることから、石川産のハマダイコンの一部には、葉の成長の過程にある「欠

刻をつくる」というスイッチが入っていないものがあると思われる。

栽培大根の本葉の数は多かった。特に桜島大根の小葉は、縮れていて重なってついて

おり、数が多い。それぞれの種内の個体差が少なく、揃っていた。

3.葉より下の部分の違い

栽培大根のほうが、ハマダイコン

より大きな胚軸と主根ができた。栽培条件は同じだが、ハ

マダイコンは栽培大根に比べ直径は栽培大根の半分以下

で、ひげ根が多かった。重量は、栽培大根のほうが 5 倍

近く重かった。栽培大根は、可食部が効率よく成長するよ

うに改良されていることが、実感できた。 まとめ

子葉の形は、栽培大根とハマダイコンでは違いがある。本葉の形は、変異の幅が栽培大根ではあまりなく、

ハマダイコンではその地方によって違いが見られた。特に石川産ハマダイコンでは板葉がみられ、多様であ

った。 種子を分けて戴いた鹿児島県立錦江湾高校、石川県立小松高校に感謝する。

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― 34―

012345678910

25℃

20℃

15℃

出雲おろちダイコンについて島根県立松江東高等学校自然科学部

1.目的島根大学生物資源科学部植物生産学科小林伸男准教授が宍道湖畔に自生するハマダイコンを品種改

良した「出雲おろち大根」について、昨年より他品種との形態、成長、辛み成分等比較し分析してい

るが、出雲おろち大根の発芽が他品種と比べてする悪かったことから、発芽率について詳しく比較す

ることにした。

それと同時に、昨シーズン失敗した、他品種との交配についても再挑戦する。

2.方法(1)播種

水で十分にしめらせたろ紙を敷いたシャーレ上に各品種の種子を10粒ずつまく。

(2)人工気象器内で温度を調節し、暗条件下に放置し、発芽した個体を数える。

(3) 発芽したものについては土に移植し、人工気象器内(明期12時間、暗期12時間のサイ

クル)で、1ヶ月間、5℃で春化処理をする。

(4) 人工気象器内の温度を15℃に上げ、栽培。

(5) 開花したら出雲おろちダイコンと他品種大根の間で2010年の研究会で研修した方法で

人工交配をする。

(6) 以降、15℃の人工気象器内で栽培。

3.結果と考察①種子の発芽について

20℃、25℃では出雲おろち大

発 根やハマダイコンの発芽率は標準品

芽 種の耐病総太りと比較して低い。低

し 温(15℃)では守口大根を除いて

た 発芽率が大きく低下している。特に

種 桜島大根はまったく発芽しなかった。

子 地域的な要因とおもわれる。

②人工交配

花芽形成の準備(人工気象器)

・低温処理 5℃

・長日処理 明期 12時間 (気温は15℃に維持)

12月15日現在、開花するものが出てきたので、交配実験を実施した。その際、出雲おろち大根

を父親とした。

③今後の展望

出雲おろち大根を母親としても交配実験を行い、種子を採取し,それを播種、育成して雑種の形

態等比較していきたい。

発芽から花芽形成まで条件をコントロールして比較的短期間で行わせることができることがわか

った。今後随時、播種等行い交配実験を重ねていきたい。

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― 35―

1 はじめに

昨年度は,pH(酸性雨),振動(工事・交通),UV(オゾンホール)の影響が,発芽と発芽直後の成

長に及ぼす影響について調べた。その結果,pH・UV・振動は,発芽そのものには影響を与えないが,

発芽直後の成長に影響を与え,特に,UV の影響は他の条件よりも阻害の影響が高いことがわかっ

た。また,他の種に比べ,ハツカダイコンへの影響が大きくあらわれた。その理由として,ハツカダイコ

ンの成長が早いので,pH(酸性雨),振動(工事・交通),UV(オゾンホール)の影響を受けやすいた

めではないかと考えた。

2 研究の目的

今年度は,昨年度の研究を受け,ストレスに焦点をあてて,調べてみることにした。

仮 説

おもしが重い方が発芽しにくいだろう

おもしの大きさが違うと隙間の小さいほうが,通りにくくなるので,成長しにくいだろう

植物がアルミニウムを嫌うため, アルミニウムのおもしの方が成長しにくいだろう

3 材 料

赤丸ハツカダイコン

4 方 法

種子の上に,アルミビーズとプラスチックビーズをのせ,発芽や発芽直後

の成長への影響を調べる。

→おもしの大きさ・重さを変える

5 結 果

おもしが重いほど成長しにくく,同じ重さであっても,隙間の小さなビーズの方が,成長が

阻害されることがわかった。また,アルミビーズよりガラスビーズを使用した方が,成長が阻

害されることがわかった。アルミビーズを入れておいた水による阻害効果はみられなかった。

6 おわりに

溶け出したアルミニウムが,ハツカダイコンが最も成長するpH5に近づけている可能性を

調べている。また,胚軸よりも根のほうが,pHの影響を受けやすいのではないかと考え,昨

年度の実験をさらに検証している。

SSHダイコン多様性研究コンソーシアム

ダイコンの成長と環境条件 Ⅱ 広島県立広島国泰寺高等学校

小川 雅裕, 長田 隆志, 〇児玉 優衣,〇馬場 杏子

東 千晶,山下 貴大,北村 美智嘉,平 史織

ガラスビーズ アルミビーズ 水の比較

mm mm mm

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― 36―

ダイコンの品種間交配における遺伝子の発現

愛媛県立松山南高等学校 SS生物班

中家 潤二・濱野 智也・山本 聖也

目的:ダイコンの品種間で人工交配を行い、作られた雑種個体(F1)と交配親(P)の

形質比較を行い、各形質の遺伝の仕方を調査する。

実験方法:8種類の大根を育て、開花期に人工交配しF1を作る。肥料袋にF1と Pを植え

栽培する。本葉が十分成長した時期に、葉の形、大きさ、葉緑素(コニカミノルタの

葉緑素計使用)含有量を測定する。また、葉幅が最大の場所を外側・中間・内側と1

c㎡ずつ切り取り、葉表面の毛の密度を測定する。根の形状、食味官能試験なども行

い、形質を比較する。

結果

*毛の密度 ・ほとんどのダイコンで外側→中間→内側と値が小さくなっている。

*葉緑素含有量 ・桜島大根はその値が高く、桜島を親に持つ雑種個体においてもその

値は高い(図)が、平安すしらずはその値が低く、その雑種個体のそ

の値も低い (図)。

*葉の形状 ・品種によって細長い葉から、幅広いものまでみられたが、交配種と

の因果関係は見出せなかった。

*葉の裂数 ・品種間で葉1枚あたりの列数は異なっており、交配種では両親の形

質の中間あたりを示している。

*根(食用部分) ・品種毎に形状の違いは発現したが、PとF1との明確な関係性は見

の形状 出せなかった。また、すべての個体が代表的なダイコンらしい形を

発現するわけではないこともわかった。

考察及び今後の展望:ダイコン葉表面に毛が密生するのは、ダイコン自身の摂食者に対す

る防御対策(適応)であると考える。外側から順じ毛の密度が小さくなっていくのは1

種のトレードオフであろう。つまり、毛を生産するコストとそれによる防御効果を考え

ると、まず食いつきやすい外側に増やしたほうがより適応的であると考える。毛の多い

桜島は、より原種に近いと考えられ、耐病総太りが毛の少ない理由は、味だけでなく収

穫のしやすさなどの選抜が積み重ねられた結果であろう。ただ、データ量が少なくその

形質が交配種にどのように遺伝しているのか明確にできなかったのが残念である。

葉緑素量は、見た目通りの結果が得られた。葉緑素を多く含む桜島ダイコンを親にし

た交配種では、その形質が引き継がれた。今後、相反交雑を行うことで両親のどちらの

影響を強く受けるのか検証したい。

葉緑素計の値

図 各グループの葉緑素の含有量(平均値+SD) 表 F1の種類とサンプル数

桜島を含む物

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― 37―

ケールとブロッコリーの雑種個体における葉の形態比較 Part2

愛媛県立松山南高等学校 SSH 生物班 長田 佳樹 佐竹清顕

目的

昨年度、ケール、ブロッコリー間で人工交配を行い、雑種個体の葉の形態を調査し、交配親の形質

との比較を試みたところ鋸歯数に母性効果が見られること、また雑種個体のFA(Fluctuating

Asymmetry: 左右対称性のゆらぎ)が大きくなることがわかった。そこで、得られた雑種個体どうし

で人工交配を実施し、F2の形質について調査することにした。

方法

1 F1の栽培と人工交配

2010 年 4 月に、F1ケール(ケールの雌しべにブロッコリーの花粉を交配)どうしの人工交配と

F1ブロッコリー(ブロッコリーの雌しべにケールの花粉を交配)どうしの人工交配を実施した。同

年6月に種子を採取し、9月にポットに播種し栽培した。

2 計測した形質

本葉三枚目が出た個体の葉柄長、葉身長、葉幅長を計測し、左右の鋸歯の数をカウントした。鋸歯

数については、右側の鋸歯数から左側の鋸歯数を引き、その値を絶対値に変換した。

3 分析

データは、統計ソフト(SYSTAT)を使用し、分散分析を行った。

結果

1 ケールよりもブロッコリーのほうが鋸歯の数が多く、交配親よりもその交配種のほうが鋸歯数が多

かったが、F2では逆に少なくなった(図1)。

2 葉の鋸歯数の左右対称性は、交配親であるケール、ブロッコリーと比較し、F1で低くなった。F

1どうしを交配したF2では、さらに左右対称性が低くなった(図2)。

考察

1 鋸歯数が交配親→F1 では増加し、母性効果も

見られたが、F1→F2 では減少した。昨年とほぼ

同一条件で F2 を栽培したが、近交弱勢が現れた

のか葉の葉身長、葉幅長ともに短く、その影響で

鋸歯数が減少したと考えられる。

2 雑種形成時には、遺伝子間の調和が乱され、F

A(Fluctuating Asymmetry: 左右対称性のゆ

らぎ)が大きくなるという報告があるが、本研究

はこの説を支持している。F2 で左右非対称性が

大きくなった原因は、調和が乱されたまま遺伝子

を受け継ぎそれが加速された可能性が考えられ

る。

図3 本葉3枚の鋸歯数の左右差比較 グループ本葉1~3枚目の鋸歯数の左右差を絶対値に変換し、その値を合計した。エラーバーは、標準偏差を示す。

ケールブロッコリー

F1ケール1

2

3

4

5

6

7

8

F1ブロッコリーF2ケール

F2ブロッコリー

葉3枚

の鋸

歯数の

左右差

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― 38―

ダイコンの耐塩性に関する研究 佐賀県立致遠館高等学校 科学部

向井 勇人,古川 翔子

1.研究の方法 種々のダイコンを異なる塩分濃度の培養液で生育させ,試料をすりつぶし,抽出液の凝固

点降下度を計測し,浸透圧を調べる。 2.原理

凝固点降下度は,溶液の質量モル濃度に比例し,その比例定数は溶質の種類に関係なく,

溶媒の種類だけできまる。

抽出液のモル濃度は,ファントホッフの式

より,求められる。

3.実験方法 1)使用器具

理科実験用インターフェイス (DATA HARVEST:EASY SENSE Link),温度センサ

(Nakamura:E31-6990-02),パソコン,計測用ソフト,乳鉢,乳棒,試験管,ビーカー,

駒込ピペット,遠心分離器,氷,食塩(寒剤),断熱容器(発砲スチロール) 他

2)実験方法

① 試料を冷却しながらすりつぶし,抽出液を遠心し,上澄みを試験管に取る。

② 断熱容器に保冷剤とビーカーを入れ,ビーカーに抽出液を入れた試験管を立てる。

③ 試験管の周りを氷と寒剤で埋め,試験管内の温度変化を温度センサで測定する。

④ 測定結果を表計算ソフト(EXCEL)でグラフ化し,凝固点降下度を求める。

⑤ 求めた凝固点降下度から浸透圧を推定する。 4.予備実験 0.25mol/L,0.50mol/L,1.00mol/L のスクロース水溶液を用いて,凝固点降下度を測定し,

浸透圧を推定する。 5.予備実験の結果と考察 凝固点降下度の測定値から推定した浸透圧とモル濃度から求めた理論値

0.25mol/L 0.25mol/L 0.25mol/L

実験値/理論値 5.95/6.15 10.85/12.30 26.19/24.60 6.実験結果

Ⅰ)培地の塩濃度とダイコンの浸透圧(青首大根を使用)

Ⅱ)ダイコンの品種による浸透圧の違い

NaCl 濃度 耐病総太 源助大根 献夏 37 号 和歌山大根 青首大根

凝固点降下度〔℃〕 0.85 1.02 0.98 0.92 0.75

推定浸透圧〔気圧〕 10.94 13.13 12.62 11.84 9.65

7.現在の研究 ダイコンを路地栽培(プランターで栽培)し,異なる塩分濃度の培養液で生育させ,浸透圧

を調べる。この際,器官・部位で浸透圧がどのように異なるかも調べる。

NaCl 濃度 0mM 100mM 200mM 300mM

凝固点降下度〔℃〕 0.78 0.70 0.75 0.75

推定浸透圧〔気圧〕 10.04 9.01 9.65 9.65

ΔT=kc ΔT:凝固点降下度

k:比例定数(モル凝固点降下)

c:質量モル濃度

P=cRT P:浸透圧 c:モル濃度

R:気体定数 0.082 T:絶対温度(K)

差が生じた理由:温度センサの熱容量が大きい?

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― 39―

桜島大根の遺伝に関する研究

鹿児島県立市来農芸高等学校 生物部

児島久美・松崎瑛理佳

1.研究の動機 昨年の研究で,全国各地の大根を栽培して生育状況を調査した。その中で桜島大根の葉の色や

形は他の大根のものと大きく異なることに気がついた。これらの特徴がどのように遺伝するか興

味を持ち研究を行った。 2.仮説の設定 私たちは桜島大根の葉の色は細胞に含まれる葉緑体の違いではないかと考え,「桜島大根の葉色

も細胞質遺伝をし,母方が桜島大根のときだけ桜島大根と同じ濃い緑色になる」という仮説を立

てて交配実験を行うことにした。 3.研究方法と研究結果 桜島大根を源助大根と交配して得られて F1 を栽培した。交配は桜島を母,源助を父としたも

のと,源助を母,桜島を父としたものの 2 通りを行った。また,連携校から桜島を母,守口を父

とした F1 の種子を分けてもらい,この F1 についても栽培を行った。F1 および親となった桜島,

源助,守口の葉の色および葉の小葉の数を測定して比較した。結果は①~④のグラフのようにな

った。桜島を母としたときだけ桜島の特徴である濃い葉の色や多数の小葉が次世代に現れた。

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国分ダイコンの特徴と pH 調整による色の変化 鹿児島県立国分高等学校 理数科 2 年

有村愛・新富七海・中間大希・西奈々子・福留夏生・山本悠司・米松沙耶香 目的:鹿児島の地ダイコンである国分ダイコンは,抽根部が淡赤紫色,葉色がやや赤みがかった

緑色といった特徴をもっている。私たちは,横川ダイコン(鹿児島の地ダイコンの一つ)を pH 条

件を変えて栽培すると色が鮮やかになるという情報を得た。また,アントシアン系の植物色素は,

pH の変化に対して連続的に色の変化をすることを知った。これらをふまえ,まず,国分ダイコ

ンを栽培し,本葉の形状が生長とともにどのように変化していくのかを調べた。同時に,pH 条

件を変えて生育させることで国分ダイコンの色がどのように変化するかの観察実験を行った。

①国分大根の本葉の測定

材料:国分ダイコン,横川ダイコン,耐病総太り(control) 方法:①発芽後本葉が出てきたら,3 番目に大きい本葉を選び,小葉に上から順にⅠ,Ⅱ,

Ⅲと番号をふる。②各小葉の長径,短径および小葉の枚数を毎日測定し,記録する。 結果および考察:小葉Ⅰの長径,短径の経時的変化を比較すると,国分ダイコンは他のダイ

コンに比べてグラフの傾きが小さい。これより,国分ダイコンは初期の生長速度が遅いと考

えられる。今回は 1 度しか測定していないため,再度測定し確認する必要がある。

②pH 調整による色の変化

材料:国分ダイコンと本紅大丸かぶの種子,pH 緩衝液 方法:①シャーレにろ紙をしき,pH3.0~pH10.0 の緩衝液,水道水を含ませる。②各シャー

レに 12 粒ずつ種子を蒔く。③暗所はダンボールを用い,明所は植物育成用蛍光灯

(NEC ビオルックス,20W)を照射する。④毎日それぞれのシャーレに液を補充し,

乾燥を防ぐ。⑤毎日種子の様子を観察し,発芽率と幼芽の色を記録する。 結果および考察:国分ダイコンの発芽率は,明所では全体的に悪く,暗所では水道水,pH3.0, pH4.0, pH7.0 において高かった。本紅大丸かぶは,明所・暗所の両方で水道水の発芽率が

100%だった。塩基性溶液での発芽率が悪かった 1 つの原因として,植物の生長を妨げる作

用をもつホウ酸が含まれていたことが考えられる。

色の変化については,国分ダイコンの暗所で酸性条件から塩基性条件になるにつれ,やや

色の変化が見られた。しかし,発芽率が悪く,複数個体における確認ができなかったので,

実験方法を改善し発芽率を高め,再現性があるか確かめる必要がある。

今後の課題:ダイコンには嫌光性という性質があるので暗所で発芽させる。/乾燥が原因で

発芽率が悪かったと考えられるので,寒天培地を使用する。/同時に酸性条件で2種類、塩

基性条件で2種類の緩衝液を作成し,再実験を行う。/色の観察には個人差があったので, 色の解析方法を改善する。

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― 41―

0

0.1

0.2

0.3

0.4

播種後の日数

ダイコンの成長と辛みについての研究 鹿児島県立鹿児島中央高等学校 生物部

2年;富岡恆存 1年; 岩崎智佳 竹下千代里 門松憲哉 山﨑唯人 1.はじめに

ダイコンには辛みがあることが知られているが,どの時期から辛みが発生するか,

また辛さに応じて粘菌の一種モジホコリカビ(図1)は異なる反応するのかということ

に興味をもち,実験をおこなった。また,時折変わった形のダイコンを見かけるが,

どのような条件で変形が起こるのかについても興味をもち,筒や網の中でのダ

イコンの生育を試みた。 【図1】モジホコリカビの変形体

2.カイワレダイコン芽生えの辛み成分の測定

[方法]吸水させたバーミキュライトにカイワレダイコンの種子を15粒程度浅く植え,室温で栽培した。7日間

に分けて播種した。播種後2~11日の芽生えの生重量と長さを測定後,乳鉢ですり潰し,辛み成分を測

定した。測定は「第1回コアSSH研究会教材開発(案)」の資料をもとに行った。

[結果・考察]測定結果はグラフ1の通りである。発芽 2 日目には辛み成分(イソチオシアネート)

が確認でき、カイワレダイコンの辛み成分は発芽後徐々

に濃度が下がっていることがわかった。当初、辛み成分

は発芽後すぐには生成しないのではないかと予想してい

たが、想像以上に早い時期に生成されることがわかった。

今後,実験回数を増やし再現性を確認するとともに,他

のダイコンの種類も実験していきたい。

3.モジホコリカビ(Physarum polycephalum)のダイコンに対する反応

[方法]3%寒天培地を作成し,カイワレダイコン芽生えの抽出液や蒸留

水、グルコース水溶液をそれぞれ浸したろ紙とモジホコリカビの菌核を

寒天培地にのせた。暗所で培養し,どのような反応をするかを調べた。

[結果・考察]結果は表1の通りとなった。表中の数字は、実験に用いたシャ

ーレの数を示す。グルコース 0.5mol/l に対してはすべて寄り、オートミー

ルとグルコース 0.1mol/l に対しては結果にばらつきがあった。カイワレ大

根の抽出液はばらつきのある結果だったが、全体としては、69%の割合で

寄っていることがわかった。私たちは当初,ダイコンには辛み成分が含ま

れているので、モジホコリカビはダイコンを避けるのではないかと予想した。

しかし,結果はダイコン抽出液に対して寄るものが多かった。ダイコンには

グルコースが含まれているので,グルコースに対して寄ったのではないか

と考える。今後,実験の回数を増やし,今回の結果の再現性を検証したい。

また,他の品種のダイコンに関しても実験してみたい。

4.筒や網の中でのダイコンの生育

[方法]プランターに培養土を入れ,塩ビ管や筒状に成形した金網を埋め,その中

にダイコンの種子(ミニコン)を播種し生育させた。

[結果・考察]実験に用いた個体数が少なかったせいか,条件の差よりも個体差が目立つ結果となった。しかし,

塩ビ管での生育は著しい成長の遅れが見られた。今後個体数を増やし条件による差を確認していきたい。

寄 っ た 寄ら ない

蒸 留 水 2

オ ー ト ミ ー ル 1 1

グ ル コ ー ス

0 . 1 m o l / l 2 1

グ ル コ ー ス

0 . 5 m o l / l 3

播 種 0 日 目 1 1

播 種 1 日 目 1

播 種 3 日 目 1 1

播 種 4 日 目 2

播 種 5 日 目 1 1

播 種 6 日 目 1

播 種 9 日 目 1

播種 13 日目 1

播種 15 日目 1

吸光度(OD=600)

【グラフ1】

【表1】

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交配種ダイコンの成長とその形態~実証栽培の経過報告~

鹿児島県立山川高等学校 園芸工学・農業経済科 2年

東畑 みゆ・松上ひかる・南 七恵

1 目的 今年4月に,錦江湾高等学校で交配したダイコンの種子(世界最大の桜島×世界最長の守口)をわけていただき,収穫を目標に農業経営の視点で栽培すると,どんなダイコンができるのかという期待を持ちながら,生育期間中の変化を観察し,その違いを調査した。

2 実施方法(1)栽培品種 交配種,桜島,守口,耐病総太り(2)栽培場所 山川高校内露地農場(3)栽培概要

① 土壌診断…9月24日 pH 6.0 EC 0.10

② 施肥設計…右図

③ 基肥・耕うん…9月27日

④ は種…10月1日 ⑤ 栽植密度…右図

⑥ 間引き…10月22日

⑦ 調査…11月1日,12月3日,2月3日

3 調査結果

(1)発芽率と平均発芽日数…右図

(2)根の生育状況① 太さ

120 日後,交配種は桜島ほど太くはないが,桜島に近い太さを示す生育となった。② 長さ

交配種が両方の親品種の中間の長さとなった。

(3)葉の生育状況① 葉の形

交配種は,桜島,守口と同様アザミ葉の形状になった。色・形は,桜島とよく似ている。葉長は守口に似ている。② 葉長

交配種が,桜島,守口耐病総太りより長い形状になった。

(4)重さダイコン全体の重さを測定した。交配種

は,桜島の1.4倍,守口の3.8倍耐病総太りの1.9倍の重さとなった。

(5)総評交配種は,部位によってそれぞれ親の持

つ形質(特に母親の桜島)が強くあらわれている。実験開始時に予想したとおり,両方の遺伝子を十分に備えている「大きい」「長い」ダイコンが生育したと考えられる。

4 今後の課題現在も栽培の途中なので,継続して生長の様子を調査し

ていく。収穫適期の判断や収穫後の食感などの調査も実施できたらよかった。栽培上の問題点(特に収穫時の労力が耐病総太りに比べて非常に大きかった。)の改善も考えながら,交配種同士をさらに交配し,新しいダイコンへの挑戦を錦江湾高校と続けてみたいと思う。

桜島 交配種 守口 耐病総太り

施肥設計 (kg/10a)

肥 料 名 元 肥 追 肥 窒素 リン酸 カリ堆   肥 1,700塩化カリ 20 12

過リン酸石灰 40 7BMようりん 60 12化成肥料 30 3.6 4.5 3苦土石灰 140

硫安 60 12.6合   計 16.2 23.5 15

施 肥 量 成 分 量

試験区 交配種

対照区 桜島

対照区 守口

対照区 耐病総太り 畦幅80~90cm,平畦,株間30cm,条間40cm(2条)

畦幅80~90cm,平畦,株間50cm,条間40cm(2条)

畦幅80~90cm,平畦,株間90cm,条間40cm(2条)

畦幅80~90cm,高畦,株間20cm(1条)

発芽率(%) 平均発芽日数(日)

試験区 交配種 4/3採取 93.2 3.8

試験区 交配種 4/6採取 44.4 4.8

対照区 78.8 4.2

対照区 82.5 4.2

対照区 99 3.4

桜島

守口

耐病総太り

根の太さ(最大部位)

0

50

100

150

200

250

30日後 60日後 120日後

mm

試験区 交配種

対照区 桜島

対照区 守口

根の長さ

0

20

40

60

80

100

120

140

30日後 60日後 120日後

cm

試験区 交配種

対照区 桜島

対照区 守口

最高平均葉長(cm)

試験区 69.4

対照区 59.6

対照区 47

対照区 40

ダイコンの葉長

守口

大病総太り

調査個体数(交配:5,桜島5,守口1,総太り5)

交配種

桜島

120日後の重さ

平均重(kg)

試験区 9.3

対照区 6.7

対照区 2.4

対照区 4.8大病総太り

交配種

桜島

守口

調査の条件(葉+根:全体重を測定)

調査個体数(交配:5,桜島5,守口1,総太り5)

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― 43―

本年度の「ダイコンコンソーシアム」関係の研究について(報告)

屋久島高等学校 普通科 環境コース

真辺 亮太 山口 拓也 図師なつき

【研究1】環境ストレスによる赤大根の成長への影響について(真辺 亮太,山口 拓也)

□研究内容

本研究では,赤ダイコンのとよばれるもののなかでも,各品種間でアントシアンの蓄積のしか

たに差がみられるのか,同じ品種でも生育条件が異なると蓄積のしかたに差がみられるのかと

いう点を疑問に思い研究を行った。そして今年度は入手することができた交配種 赤ダイコン

「あかね」(清原育種農場)を用いて,アントシアニンの分布調査(今回は発芽種子のみ)と,

塩化ナトリウム(生育の害となり得る条件)とスクロース(栄養となりうるもの)が発芽種子

に与える影響を調査した。

□結果

①発芽種子におけるアントシアニンの分布

播種後3日の種子を用いて,アントシアニンの分布を調べると,子葉では表皮に多く蓄積して

おり,下胚軸においては表皮組織と下胚軸の中央部(維管束組織)に多く蓄積していた。また,

根においては,中央部の維管束組織と根端分裂組織付近に多く蓄積していた。さらに,2週間

後に観察をすると,胚軸と根の境が,表皮においてアントシアニンの有るところと無いところ

の境になっている様子が観察された。

②塩化ナトリウムとスクロースが発芽種子に与える影響

塩化ナトリウム入りの培地上に播種した種子は,100mmol/lまで正常に発芽したが,300mmol/l

を超えるとほとんど発芽しなかった。また,成長は50mmol/lから成長阻害がみられた。また,

スクロースにおいては,150m mol/lまで正常に発芽したが,350mmol/lを超えるとほとんど発芽

しない。成長は, 50m mol/lから成長阻害を受けることがわかった。この結果から,高濃度に

なると発芽や成長阻害を受けることが強く示唆された。さらに,アントシアニンに関しては,

スクロース濃度が高くなるほど下胚軸で多く蓄積されることが確認でき,スクロース濃度とア

ントシアニンの蓄積になんらかの関係があることが考えられた。

□現在進行中の研究と課題

①赤ダイコン「あかね」の成長個体のアントシアニンの分布

「あかね」の成長個体のどの部分にアントシアニンが分布しているか調べるために,露地にて

育成中である。育成には,害虫による食害などがあったが,現在はそれも克服できており,本

葉が5枚程度展開している状態である。

②赤ダイコンの固定種の育種とアントシアンニン分布の調査

「あかね」は交配種であるため,固定種の赤ダイコンを探し,種子の入手に取り組んでいる。

現在,「あかね」の他に3種ほど検討中である。

【研究2】屋久島産ハマダイコンの島内分布とその形質(図師 なつき)

□研究内容

ダイコンコンソーシアム参加の高校の中には,ハマダイコンを素材として取り上げ研究をすす

めているところがたくさんある。今回,各学校が育てているハマダイコンが屋久島で育つハマ

ダイコンと関連性があるのか疑問に思い研究に取り組むことにした。今年度は,ハマダイコン

の島内分布を調査し,さらに可能であれば種子の採取を行い,その種子を生育させ,形質を検

証することを行うことにした。

□現在進行中の研究と課題

①ハマダイコンの島内分布調査

屋久島の北西部(田代海岸,船行,春田浜)と南部(栗生)の海岸でハマダイコンがあること

を確認し,個々の植物体にタグ(50個体程度)をつけ,観察している。時期を見計らって,

葉の採取と種子の採取を行っていきたい。

②安房(春田浜)産,栗生産ハマダイコンの育種

食害に遭うなどトラブルもあったが,現在,安房(春田浜)産を1個体,栗生産を14個体栽

培している。今後,形態の観察や種子採取を行っていきたい。

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― 44―

糸巻き大根の多様性 宮崎県立宮崎北高等学校 サイエンス科 2 年

松元和也・蓮子純也・馬場崇平・大木英幹 ○研究目的

宮崎県の伝統野菜である糸巻き大根を育成し、形質ごとの特徴を確認する。 また糸巻き大根の発芽実験を行い、発芽に最適な環境を調べる。

○実験1 糸巻き大根の生育実験 実験内容:糸巻き大根を生育する。 用いた糸巻き大根の形質(根の色・葉の形) 白・紡錘型、赤・紡錘型、赤・長型、赤・丸型

材料:糸巻き大根の種子、シャーレ、キムワイプ、袋入り培養土、化学肥料、オルトラン、防虫ネット、 クリップ

実験方法:種子をシャーレに入れ、水に 5~6時間浸し、 培養土の袋ごとに 2か所各 3粒ずつ各形質の種子を播種する 播種後毎日水をやる(芽が出てからは 2~3日に 1回) 播種後 3週間で各袋に 2株になるように間引きする 播種 1ヶ月後、その後 2週間に 1回追肥する(各 6グラム計 2回) 播種 2ヶ月後に各袋 1株ずつ収穫する

○実験2 糸巻き大根の成分・糖度の測定 実験内容:収穫した糸巻き大根の成分・糖度を測定する。 一般的な大根と比較し、違いを見つける

材料:収穫した糸巻き大根(白・紡錘型)、おろしがね、ビーカー、ドクターソイル、糖度計 実験方法:糸巻き大根を上部・中部・下部に3等分し、それぞれをおろしがねでおろす しぼり汁をドクターソイル、糖度計を使い成分・糖度を測定する

○結果 実験1 播種 2ヵ月後に白・紡錘型、赤・紡錘型、赤・丸型を収穫した 赤・長型は成長が悪く、収穫せず交配実験のために収穫せず残した 葉はある程度生長していたが、根はすべて生長不足で非常に細く短かった 播種 4ヵ月後には良く育ち、各形質とも市販のものと同等の大きさになった

実験2

成分・糖度の結果

○考察 実験1 生長不足だった原因について ・培養土の袋で育成させたことで土が硬かった ・追肥のタイミングが悪く、肥料の量も少なかった ・播種が遅れ、寒い時期に育成したことにより、生育時期が適切でなかった

実験2 上部と下部は pH と糖度を除きほぼ同じ成分だったが、中部は大きく成分の違いが見られ、それが上部・下部と中部の pH の違いに関わったと思われる 上部について糸巻き大根の糖度は一般的な大根(青首大根)のおよそ 2倍ほどである 糖度は上部・中部・下部の順に高いと予想されたが、実際は上部・下部・中部の順になった その理由として、おろす際に破壊された細胞の量により酵素反応に違いがあり、中部では酵素反応が多く起こったため糖度が小さくなり、下部では反応があまり起こらなかったため糖度が大きくなったと考えられる

今後の計画: 春に花を咲かせて交配実験を行い、種を収穫する 土壌の pH を変えて、発芽・育成実験を行う

部位/

成分

pH NH4-N

mg/100g

NO3-N

kg/10a

P4O10

kg/100g

K2O

mg/100g

CaO

mg/100g

MgO

kg/10a

Mn

kg/10a

NaCl

%

糸巻き大

根の糖度

(%)

測定に用いた

青首大根の糖度

(%)

上部 4.5 1.0 1.0 150.0 150.0 50.0 10.0 5.0 0.2 10.3 5.2

中部 6.0 0.5 1.0 150.0 150.0 60.0 5.0 60.0 0.2 4.6 1.7

下部 4.0 1.0 1.0 150.0 150.0 50.0 10.0 5.0 0.2 5.2 1.0

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― 45―

カガンジダイコンの研究 ~沖縄の地大根との比較~

沖縄県立開邦高等学校 赤嶺侑里香 上地愛理 外間由香利

1概要

沖縄の鏡水地域にはカガンジダイコンという地大根がある。私たちは,その地大根に焦点をあ

て,他の地大根であるシマダイコン・ハマダイコンと比較することにより,カガンジダイコンの

特徴を研究した。

2実験

(1)抗菌作用 サブロー培地に三種の大根をすりおろしたものをのせ,その抗菌作用を観察した。

(2)辛味成分 比色定量法を用いて,三種の大根の辛味成分を測定,比較した。

(3)耐塩性 NaCl 濃度を変えた寒天培地で 3 種のダイコンの種を栽培し,発芽率と成長率を調べた。

3結果

(1)抗菌作用 最大でカガンジダイコン2mm,シマダイコン5mm,ハマダイコン3mm の阻止円ができ

た。 (2)辛味成分 カガンジダイコンはハマダイコンより辛味成分が多い。シマダイコンについては現在も測定

中である。 (3)耐塩性

0mM 150mM 300mM

カガンジ 95% 90% 5%

シマ 95% 90% 40% 発芽率

ハマ 100%

カガンジ 8.855 2.05 0.175

シマ 10.085 2.91 0.122 根の長さ

ハマ 5.4

4考察

抗菌作用・辛味成分・耐塩性の三点から比較すると,カガンジダイコンはシマダイコンより耐

塩性が低く,抗菌作用も少ないと考えられる。

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5 実施の効果とその評価

本コンソーシアムによる研究開発を実施した結果,以下のような成果や効果が現れた。

・ 本年度は,新規に県内連携校3校,農業高校2校,東北地方2校を加え,目標とする全国20

校体制で共同研究に取り組むことができた。これらの連携研究の内容や成果は,運営指導委員

会や研究会で高く評価された(資料:運営指導委員会議事録を参照)。

・ 8月の第1回研究会において,プレゼンテーション能力やキャリア教育に係わる講義の実施

や,各高校の研究計画発表を行うことで,活発な意見交換がなされ,生徒達の研究意欲の向上

を図ることができた(資料:新聞記事及びコアSSH研究会アンケートを参照)。

・ 9月上旬に本校で実施した,連携校

生徒,連携校教員,運営指導委員に対

するアンケートの項目である,「1回

研究会の感想」についてみると,「大変

良かった」が 39 %,「良かった」が

50 %で,両者を合わせると約 9 割を

占め評価は非常に高かった(図 29)。

改善点として,「運営指導委員会に生

徒が参加するよりは,その時間に生徒

達だけの交流会を実施した方が効果的

である」 「類似した研究グループ間で

の活発な議論が少なかった」 「研究の

背景について理解を深め,関連情報を

しっかり取り入れながら計画を立て,仲間と活発にディスカッションすることが重要」等の意

見が出された。

・ 12 月に実施した本校教職員による学

校評価アンケートの項目である,「他

校との連携を強化・拡大することで,

SSH事業の成果普及が図られてい

る」についてみると,「十分達成」と

「おおむね達成」が合わせて 8 割を占め

(図 30),校内評価も良好であった。

・ 県立博物館で実施された高校生向け

キャリア教育講演会を通して,参加し

た県内の高校生が,植物科学研究の面

白さや研究者という職業の魅力,進路

や将来の自分について真剣に考えるこ

とができた。

・ 12 月の第2回研究会は,各校の研究成果発表と三学会での発表を組み合わせて実施したこと

で,研究内容を運営指導委員や連携校の生徒のみならず,地元鹿児島の高校生課題研究グルー

プや大学生,大学の先生方,教育関係機関の研究者等に広く成果公開することができた。これ

図29 第1回コアSSH研究会の感想(アンケート)

連携校生徒22名,連携校教員11名,運営指導委員5名:計38名

図30 SSH事業の成果普及(アンケート)

本校教職員55名

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らの取組により,新たな課題も指摘され充実した研究会となった(資料:新聞記事を参照)。

・ 昨年度に構築した,日常的な研究交流を促す研究ブログによるコンソーシアムWEBサイトを充

実・発展させ,高校生同士の情報交換や運営指導委員等からの指導助言による研究支援を行う

ことができた(本 WEBサイト(http://daikon-c.com/) を参照)。

・ 日本の植物科学関連学会が主催する国際学会において,SSHコンソーシアムのブースを特

設していただき,世界の第一線の研究者と肩を並べて発表し,世界の植物科学研究の権威者か

ら高く評価された。

・ 運営指導委員や各高校の先生方の御指導の下,生徒たちの取組が意欲的になされ,年度末に

行われた日本植物生理学会の高校生部門にて,コンソーシアムから 13 校による研究成果が公開

された。研究内容は高く評価され,ダイコン多様性研究コンソーシアム参加校に特別賞が,参

加高校生に優秀賞が授与された。

・ 教員間連携による「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」を立ち上げ,新学習指導要

領の設定科目を見据えながら研究内容を教材化に活かす取組を推進した。開発したビデオ教材

をコンソーシアム WEB サイトで広く公開したり,この教材を活用して,共同研究をしている

連携校の研究グループに成果普及も試みた。この取組はコンソーシアムにおける地域連携の一

つであり,農業高校とSSH校との共同研究の成果として地元新聞に大きく取り上げられた

(資料:新聞記事を参照)。

<その他>

ア 鹿児島県高等学校生徒理科研究発表会…本校大根焼酎班が最優秀賞を受賞。本校大根交配種

育成班は奨励賞,大根焼酎班は全国高等学校総合文化祭自然科学部門への出場権を獲得。鹿

児島県立市来農芸高等学校は「桜島大根の遺伝に関する研究」で優秀賞を受賞し,九州大会

への出場権を獲得。

イ 九州地区高校生徒理科研究発表会…大根焼酎班が最優秀賞(九州1位)を受賞。鹿児島県立

市来農芸高等学校は「桜島大根の遺伝に関する研究」で優秀賞を受賞。

ウ SSH九州地区生徒研究発表会…大根交配種育成班が金賞を受賞。

エ 鹿児島県高校教育界への発信…鹿児島県高校理科教育大会実験実習研究会において,大根辛

味成分班の生徒及び津留洋一教諭が,「ダイコンなどを使った辛味成分の測定実験」を講義。

讃岐教諭は,「身近な素材を用いた教材開発」について,上記研究会において14例を紹介。

県高等学校理科部会誌に,コアSSH事業の紹介記事を投稿。

オ 鹿児島大学への発信…鹿児島大学と鹿児島県内高等学校との意見交換会において,コアSS

H事業の紹介。

カ 九州高校教育界への発信…九州高等学校理科教育大会(熊本大会)で連携校職員(鹿児島県

立市来農芸高等学校:久保紘史郎教諭)によるダイコン研究の事例紹介。

キ 本校研究紀要第35号(平成23年3月1日発行)に,「コアSSH『ダイコン多様性研究コンソ

ーシアム』事業の経過報告」を投稿。

以上のような成果や,実施の効果から,3の(1) に示した研究の仮説は,検証されたと判断でき

る。

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6 研究開発上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及

本コンソーシアムでは,これまで「ダイコン」という素材を活かし,課題研究の深化,国際化,教

材化などの幅広い教育・研究開発に挑戦してきた。これらの内容と反省等を踏まえ,平成23年度は以

下に示す5つの研究開発上の課題について取り組み,研究開発を進め研究成果を普及させていく。

(1) 関連研究分野の連携の充実

各連携校の研究テーマは,「ダイコン」が素材になっていることから,生物分野,化学分野,

物理分野,家庭科関連分野,英語関連分野など多岐に渡る可能性が高い。そこで,研究内容が類

似あるいは関連する高校の研究班をグループ化し,情報交換や研究連携を密にすることで,それ

ぞれのグループの研究内容が充実し,連携研究がより専門化し,深まっていくことが期待される。

また,研究会などにおける研究グループ間の異分野交流が刺激となり,学際的視点から相乗効果

が期待できる。このとき,運営上注意すべき点として,「木を見て,森を見ず」というような研

究にならないように,研究全体を生徒が意識するように配慮する。

(2) 課題研究における国際性を高める取組

平成22年度に行った国際学会の発表内容や,発表までの準備や取組の内容をベースに,将来の

国際的な科学技術系人材を育成することを目指す取組を推進していく。コンソーシアム研究会や

国内の各学会においては,英文アブストラクトを作成し,留学生や外国人研究者を招待し,従来

のポスターセッションにオーラルスピーチセッションを設けたりする。

(3) 教員連携「ダイコン多様性研究教材開発プロジェクト」の充実・発展

本プロジェクトの内容は,理科の科目等と深いかかわりを持つことから,研究が生徒の課題研

究に留まらず,教材等(プロトコル,学習指導案)開発に幅広く応用できる可能性を秘めており,

指導教員による数々の教材開発に成功している。この成果を基に,教員連携によって教材開発や

検証などを進め,新学習指導要領の設定科目を見据えながら,ダイコン研究やダイコンを素材に

した理科実験法の教材化を推進していく。

(4) 研究成果の普及・波及

研究成果は,高校だけでなく,連携校近隣の中学校や小学校においても利用可能なものにし,

その普及に努める。その際,高校生による小中学生への出前授業と同時に,教員への教材開発の

普及にも努める。これらの取組により,広く成果の波及を目指す。

(5) 学際的教育研究であるトータルサイエンスの実践

「ダイコン」には上記のような理科や数学に関連した研究の側面があることは言うまでもない。

また,食材としてのダイコンは,社会科学的に見た場合にも研究開発の価値があり,学際的教育

研究が求められる現在,まさに,「トータルサイエンス」として研究開発が可能である。例えば,

ダイコンの地理的分布と伝播過程,ダイコンの流通と経済などが考えられる。これらの研究を融

合することで,21世紀の複合的問題解決ができる文理融合型教育研究も模索する。

以上のように,平成23年度は,関連研究分野の連携を密にし,生徒の課題研究内容を深めるとと

もに,国際性を高める取組を推進する。また,生徒だけでなく教員連携による教材開発や成果公

開・成果普及に努め,成果を連携校のみならず,広く小・中・高等学校などの教育に反映させるこ

とを目的とする。そして更に,「トータルサイエンス」としての研究開発を試み,文理融合型教育

研究も模索する。

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第4章 資料

1 運営指導委員会・研究会

① 第1回コアSSH運営指導委員会「ダイコン多様性研究コンソーシアム」

(1) 日 時 平成22年8月18日(水) 13:00~15:30

(2) 場 所 鹿児島大学 理学部2号館2階 220号教室

(3) 会 順

受付 大会議室前 13:00~13:25

運営指導委員会 13:30~15:25

開会行事

開会のあいさつ(田淵高校教育課長) 13:30~13:35

研究開発指定校長あいさつ(宮原校長) 13:35~13:40

委員紹介(郡山指導主事)

コアSSH運営指導委員一覧

氏 名 所 属 職 備 考

内海 俊樹 鹿児島大学大学院 理工学研究科 教授 委員長う ち う み と し き

岡本 繁久 鹿児島大学 農学部 准教授 副委員長おかもと しげひさ

渡辺 正夫 東北大学大学院 生命科学研究科 教授 副委員長わ た な べ ま さ お

丸山 明子 九州大学 農学研究院 准教授 委員ま る や ま あ き こ

諏訪部 圭太 三重大学大学院 生物資源学研究科 准教授 委員す わ べ け い た

大富 潤 鹿児島大学 水産学部水産学科 教授 委員お お と み じ ゆ ん

永田 茂穂 鹿児島県農業開発総合センター 園芸作物部長 委員な が た し げ お

中野 健作 鹿児島県総合教育センター 所長 委員な か の け ん さ く

田淵 敏彦 鹿児島県教育庁高校教育課 課長 委員た ぶ ち と し ひ こ

高校関係職員紹介(水流教頭) 13:40~13:45

協議等(議長:内海委員長)

ア コアSSH概要説明(讃岐教諭) 13:45~14:15

・ 昨年度の事業内容とその成果

・ 本年度の連携校及び本年度の事業計画(案)

イ 協議(70分) 14:15~15:25

・ コアSSH研究の方向性,研究テーマについて

・ コアSSH研究の取組と課題,地域連携,全国連携の在り方

閉会行事

JST あいさつ(橋爪主任調査員)

閉会のあいさつ(水流教頭) 15:25~15:30

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(4) 参加者

運営指導委員 内海 岡本 大富 永田 田淵

庶 務 郡山 樋園(教育センター研究主事)

連 携 校 教 諭 橋爪(福島高校) 寺岸(小松高校) 矢澤(諏訪清陵高校)

伊藤(大垣東高校) 有馬(農芸高校) 土永(日高高校)

有藤(松江東高校) 安石(広島国泰寺高校) 田中(松山南高校)

山岸(致遠館高校) 久保(市来農芸高校) 田中(国分高校)

大園(鹿児島中央高校) 上舞(屋久島高校) 鎌田(宮崎北高校)

新城(開邦高校)

高 校 生 62名

本 校 職 員 宮原 水流 讃岐 樋之口 津留 中島 下大田 山田 德重

そ の 他 橋爪(JST主任調査員) 田口(JST調査員) 江口(教育センター次長)

(5) 第1回運営指導委員会記事録

○ 協議等(議長:内海委員長)

① 昨年度の事業内容とその成果,本年度の連携校及び本年度の事業計画(案)

讃岐教諭より概要説明

② コアSSH研究の方向性,研究テーマについて

コアSSH研究の取組と課題,地域連携,全国連携の在り方

錦江湾高校 讃岐教諭

・ 本校は農業高校である市来農芸高校や,山川高校と連携して栽培育成をお願いし,

それらを材料としている。大阪ではSSH校である住吉高校と農芸高校との地域連携

が進んでいる。

農芸高校 有馬教諭

・ 住吉高校ではうまくダイコンが育たないということで,7月に住吉高校より話があ

った。ダイコンは本校で栽培している作物の一つである。スーパーマーケットへの

出荷やデパートへのイベント的な販売を考えている。コンソーシアムへの力になれば

と思う。

鹿児島大学 内海委員長

・ お互いのいいところを生かしていい物を作っていくことがコンソーシアムとしては

重要。

市来農芸高校 久保教諭

・ 昨年はダイコンを育てて欲しいという話があった。10種類の地ダイコンの種子を

錦江湾高校からもらい,成長を記録した。そこで興味を持つ生徒がおり,交配実験を

して次の世代を育てている。錦江湾高校から桜島ダイコンと守口ダイコンの交配種の

種子をいただいた。やっていく中で研究がおもしろくなり,連携が深まった。

内海委員長

・ 研究が深まりデータも増えているので,解釈の仕方などについて意見交換ができれ

ばいいと思う。土壌等と辛味成分との関係が結びつけられるような展開があるとおも

しろい。WEB上での書き込みを通して生徒どうしの意見交換があると良い。

讃岐教諭

・ WEB上での書き込みについてはその方法を生徒たちにしっかり伝える必要がある。

内海委員長

・ 自分の考えを人に話したり,ポスターを作成したりする課程で,科学的な考え方や

論理性を身につけることができる。今回のコンソーシアムで生徒同士意見交換を深め

て欲しい。

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県農業開発総合センター 永田部長

・ 全国の高校生が一つのテーマで研究に取り組んでいる事はすばらしい。日本は南北

に長いので,地域の広がりを生かして研究を進めて欲しい。同じ時期に種をまいた場

合,気象や土壌の違いで成長や辛みの違いが出てくるのではないかと思う。

鹿児島大学 大富教授

・ コンソーシアムは,非常に良い取り組みである。高校や大学だけでなく,中学校

や小学校との縦のつながりを広くして連携ができればと思う。

福島高校 橋爪教諭

・ 運営指導委員会が,生徒も含め公開された形なのは新鮮である。福島と鹿児島は

遠く離れているのでダイコン研究はもちろん,いろいろな交流ができればと思う。

宮崎北高校 鎌田教諭

・ 糸巻き大根という地ダイコンを題材としている。ダイコンの育成方法の講義があ

るので参考にしたい。

鹿児島中央高校 大園教諭

・ 生物部として取り組んでいるが,他校との交流の機会となる良いチャンスである。

生徒が国際学会で発表している事に感心した。

屋久島高校 上舞教諭

・ ダイコン多様性研究を進めるにあたっては,種子のデータベースが必要となる。

どのような種類の種子がどれくらいあるのかを,WEBページ上で公開できれば研究は

進むと思う。

讃岐教諭

・ 昨年度は全国の連携校から集めた地ダイコンやハマダイコンの種子を集約し,研

究会で均等に分けて配布した。上舞先生のご提案は非常に参考になった。

鹿児島大学 岡本副委員長

・ データベース化は重要であり,是非WEBページ上で公開して欲しい。種子の管理は

将来的にみた場合,公的な機関に依頼すると良いと思う。

内海委員長

・ 高校の先生方は,今回の運営指導委員会の内容を参考にされて,生徒の指導に当た

って欲しい。生徒自身が活動の主体であり中心なので,情報交換を通して自分の活動

のエネルギーを作りだし,自分が研究の主人公としてがんばって欲しい。

② 第2回コアSSH運営指導委員会

(1) 日 時 平成22年12月17日(金) 13:00~14:00

(2) 場 所 鹿児島大学 理学部先端棟2階 大会議室

(3) 会 順

受付 先端棟大会議室前 (12:30~12:55)

運営指導委員会 13:00~14:00

開会行事

開会のあいさつ(県教育委員会) (13:00~

研究開発指定校長あいさつ(宮原校長) 13:10)

協議等(議長:内海委員長)

(ア) コアSSH概要説明(10分) (13:10~13:20)

・本年度の事業内容とその成果等(讃岐教諭)

(イ) 協議(35分) (13:50~16:50)

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・コアSSH事業の研究内容と成果

・コアSSH事業の取り組みと今後の課題

地域連携・全国連携の在り方・成果公開・教材開発等

閉会行事(5分)

JSTあいさつ (13:55~

閉会のあいさつ(水流教頭) 14:00)

(4) 参加者

運営指導委員 内海 岡本 渡辺 丸山 大富 諏訪部 中野

庶 務 郡山

本 校 職 員 宮原 水流 讃岐 樋之口 津留 中島 下大田 山田 德重

そ の 他 與崎(教育センター研究主事)

(5) 第2回運営指導委員会記事録

○ 協議等(議長:内海委員長)

① 本年度の事業内容とその成果等

讃岐教諭より概要説明

② コアSSH事業の研究内容と成果,コアSSH事業の取り組みと今後の課題

渡辺副委員長

・ 昨年度に比べて,WEBページ上には研究の書き込みが増えており,研究活動は活発

になっていると感じる。研究に対するコメントは可能な限り行っているが,不十分な

ところは,研究会のポスター発表でコメントしたい。

内海委員長

・ WEBページはとても充実している。高校生の持つ疑問が実感できるサイトになって

いる。

讃岐教諭

・ WEBページ上の交流について,コンソーシアム全体でもっと盛り上げて行くことに

より,連携の輪が広がっていくと思う。

渡辺副委員長

・ 生徒の自主性によるWEBぺージへの書き込みもあれば,先生からの書き込みもある。

ある程度は,生徒の自主性を持たせることが教育的には重要である。

讃岐教諭

・ 類似した研究内容については,WEbページで他校のデータを参考にして,研究を進

めている高校もある。

内海委員長

・ 例えば辛み成分の定量など,色々な高校で共通のテーマでできる内容があれば,情

報の共有や情報交換により研究を深めることが可能になり,連携における面の広がり

ができると思う。もう少し,類似したテーマにおいて情報交換ができればいい。

讃岐教諭

・ 気候や土壌の違いの観点から,あるダイコンの品種をいくつかの連携校において育

ててみることにより,比較研究ができる。普通科高校と農業高校との連携は重要であ

る。

内海委員長

・ 普通科高校と農業高校それぞれが,同じ種子から育てたものでも,成長に大きな違

いが出てくる。このような比較ができるのも,コンソーシアムならではである。WEB

上でも,このような情報を知ることができるので,有効に活用したい。

讃岐教諭

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・ 8月に行われた大富教授のプレゼンテーションに関する講義を通して,生徒はもち

ろん指導されている先生方にも大きな反響があった。プレゼンテーションの心構えに

ついて御教示いただいたことで,生徒の発表に対する姿勢が生き生きとなり,前向き

になった。

大富教授

・ 水産学部に所属しているので,ダイコンと聞くと刺身の隣にあるものという印象が

ある。海のものとの接点をアピールして,異なる分野のものにも,興味を持たせるよ

うな展開ができればと感じる。

諏訪部准教授

・ 自分の専門は遺伝学である。ダイコンと同じ仲間であるアブラナ科植物であるキャ

ベツやハクサイの研究を10年程行っている。発表要旨集を見ると,遺伝に関する研究

があるので,楽しみにしている。

③ ダイコン多様性研究コンソーシアムに関するアンケート(9月上旬実施)より

(1)対象者:連携校の高校生(22名) 連携校の教員(11名) 運営指導委員(5名)

(2)第1回研究会及び運営指導委員会の感想

1 大変良かった(15名) 2 良かった(19名) 3 普通(2名)

4 やや改善が必要(1名) 5 改善が必要(1名)

(3) 上記(2) の理由等を書いて下さい。(主な意見)

〔高校生〕(複数回答あり)

* 講師の先生の講義や講演を聞いて,プレゼンテーションの仕方とか,これからの自分の進

路や将来について考えることができた。(10)

* 他の学校で研究していることを詳しく知ることができて参考になった。(9)

* 自分たちの研究について様々なアドバイスなどをもらえたことがよかった。(5)

* これから自分たちが研究をすすめていく上で参考となる話を聞けてよかった。(4)

* いろいろな地域の高校生や先生方と交流や意見交換ができ,たくさんの人の意見が聞けて

良かった。(3)

* 交流会の時,生徒間での会話がなく,無言になる場面があったので,何か話題を一つ決め

てそれについて討論のようなことをしてもいいと思いました。

* 他校の発表を聞いて,自分たちも頑張って成果を出さないといけないと触発させられまし

た。

* 今まで経験したことのなかった雰囲気を感じることができた。

* 初めてこのような発表を行うことができた。

* ダイコンへの興味をかきたてられました。

* 農業高校の方からダイコンをプランターで育てる方法を聞けるなど実際の研究の助け

になることが多かった。

〔連携校教員〕

* 全体的に,大変良かった。(3)

* 講演会,研究発表等,生徒にとっては刺激となる,非常にすばらしい企画だった。

* 運営指導委員会の話は生徒達には難しすぎた。別の企画の方が効果的で,運営指導委員会

を別に行えば,1日目の日程をもう少し早く終えることが出来る。

* 他校の生徒さん,先生方と知り合いになることができ,幅が広がった。通常の発表会など

と比較して,より深く交流できる環境があり,非常に実りの多い研究会だった。

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* ホームページなどで情報を見るのと,実際に発表を聞くのでは大きな違いがあると感じた。

直接お互いに顔を合わせながら実施する形でなければ達成できないことがたくさんあること

を再認識できた。

* 運営指導委員の先生方の話がたくさん伺えたこと。また,各連携校の先生方とダイコン研

究に関する話ができたことなどで今後の研究活動に良い影響が出ると思う。

* 幹事校の生徒が取り仕切った,生徒達だけの交流会などを並行して実施してもよいかもし

れない。

* 一つの大きなテーマを掲げ,それぞれの地域に根ざした研究を行うことが,意義深い。ダ

イコンをひとつのキーワードとしながら多面的な研究を行い,かつ,技術的な協力体制もあ

る(ダイコンの育て方,害虫駆除の知恵など)ことに,この事業の意義があった。

* 生徒の刺激となる要素が多く盛り込まれており,生徒のモチベーションを上げるのに非常

によい内容だった。

* 内容が分かりやすくて良かった。

〔運営指導委員〕

* 生徒間,指導教員間,また,全体として良い交流ができたと感じる。会議に関しても,教

員,運営指導委員だけでなく,生徒からの多くの質問があったことは,すばらしい。さらに,

このコンソーシアム全体の方向性が討論されたことも,評価に値する。

* 生徒達からの自主的な質問が増え,この活動に主体的に取り組む姿を察することができた。

また,コンソーシアムとしての連携の体制が,実質的に整いつつあることが強く感じられた。

* 残念だったのは,質問に対する答弁だった。なかなかいいところをついた質問もあったが,

紋切り型の答弁が多く,実質的なディスカッションはほとんどできていなかったように思う。

自分たちの研究の取り組みとその背景を理解し,データを正しく分析し,関連情報も取り入

れながら研究計画を立て,仲間とディスカスしながら日々の研究に取り組むことが大切だと

思う。

* 概ね,よかった。但し,似通ったプロジェクトを行っているグループの間での突っ込んだ

ディスカッションがあってもよかったのかと思った。また,発表だけだと高校生同士がうち

解けるのが難しかったかとも思うので,もう少し生徒同士の対話の時間を増やした方がいい

のではないか。

* 2 日目の各校の計画発表では,生徒さんが熱心に発表している様子,意見をもらって対応

している様子が見られたと思います。3 日目の講義でも盛り上がりがありましたし,栽培実

演なども和やかな雰囲気でよかったと思います。また,先生方同士の懇親の場があったのも

よかったと思います。

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2 新聞等掲載記事

(1) 朝日新聞2010年9月1日地域版28面「錦江湾高が中核,高校生が共同で大根研究」(資料1)

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(2) 朝日新聞2010年12月19日地域版「ダイコン研究 深化」(資料2)

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(3) 南日本新聞2011年2月17日地域版1面,21面「錦江湾高・山川高校が共同研究」(資料3)