環境報告書 2017 - トヨタ自動車株式会社 公式企業サ 2 tnga(toyota new global...

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トヨタ環境チャレンジ2050に向けて 2017 環境報告書

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Page 1: 環境報告書 2017 - トヨタ自動車株式会社 公式企業サ 2 TNGA(Toyota New Global Architecture):トヨタが全社を挙 げて取り組む、クルマづくりの構造改革。パワートレーンユニットや

トヨタ環境チャレンジ2050に向けて

2 017環境報告書

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環境報告書2017 ートヨタ環境チャレンジ2050に向けてー

トヨタ自動車は、環境問題を経営における最重要課題の一つと捉え、1998年より『環境報告書』を発行しています。2016年度より「トヨタ環境チャレンジ2050」の6つのチャレンジに沿って報告しています。

『環境報告書』は、『Sustainability Data Book』から「環境への取り組み」を抜き出した専門冊子であり、トヨタのCSRマネジメントや各取り組みについては、『Sustainability Data Book 2017』をご覧ください。また、『Annual Report』では、中長期的な視点で包括的に、トヨタが事業を通じてどのように社会・地球の持続可能な発展に貢献していくか、ステークホルダーの皆様にお伝えしています。

編集方針

環境報告書2017 ートヨタ環境チャレンジ2050に向けてー

http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/report/er/

Sustainability Data Book 2017http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/report/sr/

Annual Report http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/annual/

有価証券報告書http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/negotiable/

米国SEC提出書類http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/sec/

決算報告http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/

コーポレートガバナンス報告書http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/cg/

2016年4月~ 2017年3月。大きな進捗のあった事項は、2017年4月以降の情報も掲載。

Third Party Assurance を付したデータは、第三者保証を受けています。トヨタおよび国内外の連結子会社、関連会社など。

◦GRIサステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版(G4)◦環境省「環境報告ガイドライン2012年版」

報告対象期間

アイコンについて報告対象範囲

会社概要

参考ガイドライン

◦ トヨタ公式企業サイトでは、上記年次報告書以外の取り組みの情報も掲載しています。CSR・環境・社会貢献 http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/環境への取り組み http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/社会貢献活動 http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/social_contribution/

会社名 トヨタ自動車株式会社(TOYOTA MOTOR CORPORATION)

代表者名 豊田 章男

所在地 本社 東京本社 名古屋オフィス

愛知県豊田市トヨタ町1番地東京都文京区後楽1丁目4番18号愛知県名古屋市中村区名駅4丁目7番1号

創立 1937年(昭和12年)8月28日

資本金 6,354億円(2017年3月時点)

主な事業内容 自動車の生産・販売

従業員数(連結) 364,445人(2017年3月末時点)

1  Environmental Report 2017

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目次

ハイライト 3

トップメッセージ 4

トヨタ環境チャレンジ2050 5

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー 7

特集 エコカーは普及してこそ環境への貢献 13

Challenge 1  新車CO₂ゼロチャレンジトップクラスの燃費性能を目指す開発 15電気エネルギーを利用した次世代車の開発推進とそれぞれの特徴を活かした普及推進 17

Challenge 2  ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ製品開発における環境マネジメントの推進(Eco-VAS) 18物流活動における輸送効率の追求とCO₂排出量の低減 19道路交通セクターにおける統合的なCO₂低減取り組みの推進 21

Challenge 3  工場CO₂ゼロチャレンジ生産活動におけるCO₂排出量の低減 22

2050年低炭素社会の目指す方向 25

Challenge 4  水環境インパクト最小化チャレンジ生産活動における水使用量の低減 27

地域で一番の工場を目指して、社会と連携するトヨタの水環境チャレンジ 29

Challenge 5  循環型社会・システム構築チャレンジ再生可能資源・リサイクル材活用による枯渇天然資源の使用量低減 31資源回収しやすい「易解体性トップレベル」の実現 32日本で培った廃車適正処理による国際貢献 33廃車資源に対するオリジナルリサイクルシステムの海外展開 33生産活動における排出物の低減と資源の有効利用 34物流活動における梱包・包装資材の低減と資源の有効利用 35

Challenge 6  人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ各事業所・各地域の活動を“地域をつなぐ”自然保全活動の推進 36自然・生物多様性保全を“世界とつなぐ”環境活動への助成の強化 39環境活動を“未来へつなぐ”環境教育貢献の強化 41

環境マネジメント 43連結環境マネジメントの強化推進 45各国、各地域の都市大気環境改善に資する排ガス低減 47生産活動におけるVOCの低減 47ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進(サプライヤー ) 48ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進(販売店、販売代理店) 49グローバル環境教育・啓発活動の一層の強化 50環境情報の積極的開示とコミュニケーションの充実 50

環境データ 51

独立した第三者保証報告書 57

2  Environmental Report 2017

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最高ランクの

A評価2年連続最高ランクの

A評価

省エネ大賞経済産業大臣賞 受賞

第63回 大河内記念生産賞 受賞

地球温暖化対策報告優秀賞 受賞

The Best Indonesia Green Awards 2017 受賞

*1 CDP:世界の機関投資家を代表して先進企業に対し、気候変動、水、森林資源に関する情報開示を要請し、その回答を分析・評価して、投資家に開示している、英国の非営利団体

*2 TNGA(Toyota New Global Architecture):トヨタが全社を挙げて取り組む、クルマづくりの構造改革。パワートレーンユニットやプラットフォームなどを一新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指す

ハイライト

CDP*1が気候変動に関する企業調査の結果をまとめた「CDP気候変動レポート 2016」で、最高評価であるAリストに選定されました。

CDPが水資源管理に関する企業調査の結果をまとめた「CDPウォーターレポート 2016」で、最高評価であるAリストに国内自動車メーカーで唯一選定されました。

一般財団法人省エネルギーセンター主催の平成28年度「省エネ大賞」製品・ビジネスモデル部門において、TNGA*2

第1号車となるプリウスに採用しているハイブリッド技術が、最高位である「経済産業大臣賞」を受賞しました。

「トヨタ環境チャレンジ2050」という意欲的な目標を設定し、目標達成に向けた具体的な取り組みとその経過が数値データと共に分かりやすく説明されている点が評価されました。

インドネシアの製造事業体TMMINは、La Tofi CSR School主催の第7回 Indonesia Green Awardsにおいて、「The Best Indonesia Green Awards 2017」を獲得しました。

大河内賞は、公益財団法人大河内記念会が1954年より、生産工学、生産技術の研究開発や実施などに関する功績を表彰するもので、日本産業界の最も権威ある賞の一つです。今回、16年ぶりに受賞しました。

CDPの気候変動に関する企業調査で CDPの水資源管理に関する企業調査で

新型プリウスのハイブリッド技術が平成28年度

環境への負荷低減を実現した新塗装ラインを開発し、

『環境報告書2016』が環境省などが主催する第20回環境コミュニケーション大賞で

TMMINの環境取り組みが評価され

塗装ラインから発生する

CO₂排出量32%

容積40%削減

3  Environmental Report 2017

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 平素より、当社への格別のご理解とご支援を賜り、

心より感謝申し上げます。

 近年、世界各地の洪水や熱波など、大変痛ましい

災害が増えてきているのは、地球規模での温暖化の

影響だといわれており、世界各国は、今世紀後半に

CO₂などの排出を実質的にゼロにして気温上昇を

2℃未満に抑えるとの目標を掲げて、取り組みを進めて

います。

 私たちトヨタは、「クルマづくりを通じて、社会に

貢献する」ことを基本理念として、事業活動を営んで

まいりました。私たちのつくるクルマはもちろん、

私たちの活動のほとんどがCO₂を排出しているのが

現状です。地球温暖化、すなわちCO₂問題は、まさに

私たちがどう生きるかという根源に関わる問題だと

思っております。

 こうした考えに基づき、2015年10月には、「トヨタ

環境チャレンジ2050」を策定し、CO₂排出ゼロを

目指して2℃未満への抑制に貢献するだけでなく、環境

へのプラスを目指して、取り組みを加速しております。

 当社は、これまで、ハイブリッド車やプラグイン

ハイブリッド車、燃料電池自動車といった環境に優しい

クルマの開発に力を注いでまいりました。本年8月に

は、マツダ株式会社と電気自動車の基本構造について

共同研究に取り組むことを発表いたしました。

 その背景には、「私たちの故郷である美しい地球を

次の世代に残したい。未来のモビリティ社会を、環境に

優しく、安全で、笑顔であふれる楽しいものにしたい」

という強い想いがあります。

 大変革の時代だからこそ、私は二つの「愛」を大切に

したいと思っております。それは「クルマへの愛」と

「故郷への愛」です。

 今後とも一層のご支援を賜りますよう、お願い申し

上げます。

2017年9月トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長

トップメッセージ

私たちの故郷 美しい地球を次の世代に

4  Environmental Report 2017

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トヨタは、温室効果ガスに起因する異常気象、開発による生物多様性の喪失、人口増加にともなう水不足など、深刻化する地球環境の諸問題に対し、これまでも幅広い取り組みを推進してきました。2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表。今後もクルマの環境負荷をゼロに近づけるとともに、地球・社会にプラスとなる取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献するためのチャレンジを実施していきます。

*3 ESD(Education for Sustainable Development):持続可能な開発のための教育

*1 ゼロエミッション:有害な排気ガス成分をゼロにすることで、特に近年の自動車では、    CO₂を全く排出しないEVやFCVのこと。環境では、最終的に焼却廃棄物や埋立廃棄物を   ゼロにしようとするもの

*2 Dismantlers(ディスマントラーズ):クルマなどの解体業者

2050年グローバル新車平均走行時CO₂排出量の90%低減(2010年比)を目指す

各国地域事情に応じた水使用量の最小化と排水の管理

ライフサイクル全体でのCO₂排出ゼロを目指す日本で培った「適正処理」やリサイクルの技術・システムのグローバル展開を目指す

2050年グローバル工場CO₂排出ゼロを目指す

自然保全活動の輪を地域・世界とつなぎ、そして未来へつなぐ

新車CO₂ゼロチャレンジ 水環境インパクト最小化チャレンジ

ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ 循環型社会・システム構築チャレンジ

工場CO₂ゼロチャレンジ 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

「省エネルギー」と「燃料多様化への対応」の観点から次世代車普及のさらなる加速を図る◦ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車のグローバルでの 普及を加速◦燃料電池自動車、電気自動車などのゼロエミッション*1ビークルの 普及を加速

生産工程内での水使用量削減はもとより、雨水利用による工業用水使用量の削減や水の再利用率向上を推進◦厳しい水質基準で排水の水質を管理し、自然にとって良い水質で 地域に還すことで、地域環境に貢献

素材製造から部品・車両製造、走行、廃棄までのライフサイクル全体でCO₂を削減◦低CO₂材料の開発・使用拡大など、材料製造時のCO₂削減◦リサイクル材料の使用拡大など、環境配慮を推進

「エコな素材を使う」「部品を長く使う」「リサイクル技術の開発」「廃車されるクルマからクルマをつくる」の4本柱で、循環型社会の実現を目指す2016年から、世界展開に向けた2つのプロジェクトを開始◦Toyota Global 100 Dismantlers*2 Project◦Toyota Global Car-to-Car Recycle Project

生産工場で「低CO₂技術の開発・導入と日常改善」と「再生可能エネルギー活用と水素利用」を推進◦工程のシンプル・スリム化、革新的な省エネを進め、 エネルギー使用量を3分の1以下に抑える◦2020年ごろを目指して田原工場に風力発電を設置するなど、 再エネを利活用

「自然共生活動」「環境活動助成」「環境教育」の3つの柱の自然保全活動の充実を図る2016年から3つの「つなぐ」プロジェクトを展開◦地域をつなぐ「Toyota Green Wave Project」◦世界とつなぐ「Toyota Today for Tomorrow Project」◦未来へつなぐ「Toyota ESD*3 Project」

取り組み

取り組み

取り組み

取り組み

取り組み

取り組み

トヨタ環境チャレンジ2050

5  Environmental Report 2017 トヨタ環境チャレンジ2050

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トヨタ環境チャレンジ2050

情報収集・分析においては、2050年の環境に関する科学的予測をはじめ、国際的な枠組み・政策動向、新興国の動き、外部格付け機関の主要指標、G7サミットでの環境問題に対する各国首脳の発言などのグローバルトレンドを踏まえ、マクロ経済トレンドや留意すべき社会の要請などから、リスクと機会を把握しました。

重要課題(マテリアリティ)の抽出に当たっては、ESG投資家や調査機関の主要指標や国際機関・NGO・消費者などのステークホルダーとのコミュニケーションによって得られた外部環境分析と、

「トヨタ基本理念」や「トヨタ地球環境憲章」や社内関連部署からのヒアリングなどを通じて得られた内部環境分析をもとに、課題を抽出しました。

重要課題(マテリアリティ)の特定においては、洗い出した課題をステークホルダーに対する影響度とトヨタの事業活動に与えるインパクト・事業機会創出の可能性の両面から2軸でマッピングし、重要度の優先付けを行いました。

ステークホルダーとトヨタにおける優先重要度がともに高い課題を「トヨタ環境チャレンジ2050」(6つのチャレンジ)として策定し、会社の中長期戦略を決定する「コーポレート企画会議」の承認を得ました。着実な実行のためには、経営層が環境取り組みを事業機会と捉え、的確な環境戦略投資を図ることに加え、グループ企業も巻き込み、取引先との連携も強めていくことが大切です。また、レビュー評価を定期的に行い、アクションプランの見直しを行っていきます。

環境課題は、事業活動におけるリスクとなる反面、事業機会の創出にもつながるため、長期ビジョンの策定においては、この視点に立った重要課題の特定が不可欠です。トヨタは策定に当たり、将来を見据えたリスクと事業機会の可能性を把握すべく、情報収集に努めるとともに、ステークホルダーにとっての重要度と自社事業における重要度の両面から、環境課題の評価・特定を行いました。実行においては、「トヨタ環境チャレンジ2050」の6つのチャレンジを具現化するためのアクションプランである第6次

「トヨタ環境取組プラン」を全社一丸となって着実に実施していきます。

「トヨタ環境取組プラン」は、「トヨタ地球環境憲章」をより具体的に企業活動に反映させ、着実に推進するために取りまとめられたアクションプランです。1993年に第1次「トヨタ環境取組プラン」を策定し、以降5年ごとに目標を見直し、実行してきました。第6次「トヨタ環境取組プラン」は、「トヨタ環境チャレンジ2050」で掲げた6つのチャレンジを具現化するため、2016 ~2020年度に実施すべき活動を明確にしたものです。地球環境と調和したモノづくり、クルマづくりと商品およびサービスの提供を通じて、持続可能な発展に貢献していきます。

環境の重要課題(マテリアリティ)としての6つのチャレンジを特定・実行するプロセス

第6次「トヨタ環境取組プラン」 -6つのチャレンジを具現化するためのアクションプラン-

情報収集・分析

重要課題(マテリアリティ)の抽出

重要課題(マテリアリティ)の特定

「トヨタ環境チャレンジ2050」の策定・定期的な見直しと情報開示

STEP

1

STEP

2

STEP

3

STEP

4

6  Environmental Report 2017 トヨタ環境チャレンジ2050

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分野 取り組みの総括

チャレンジ1 グローバル新車平均CO₂は、環境性能の向上とラインナップの拡充により、目標達成に向けて取り組みを推進しています。次世代車は、 ハイブリッド車(HV)の販売が順調に推移するとともに、2代目「プリウスPHV」を販売開始し、プラグインハイブリッド車(PHV)の開発・普及を加速させました。さらに電気自動車(EV)については、早期に商品を投入すべく開発体制を整備しました。

チャレンジ2 製品開発分野では、国内8車種についてEco-VAS*1 によるライフサイクル評価を実施し、「プリウスPHV」は従来モデル比でCO₂排出量を5%低減しました。物流分野では、CO₂排出低減に資する改善活動を推進しました。

チャレンジ3 生産によるCO₂排出量は、国内外で技術開発とその着実な導入、改善事例を円滑に展開するためのショップ軸活動を通じて、順調に低減しました。プリウスの生産ラインに採用した新塗装ラインなど、各工程で開発されたシンプル・スリム化技術を、ラインの切り替え・更新に合わせて導入を進めています。工場の省エネを支援する活動(ESCO)も、積極的に推進しました。

チャレンジ4 水使用量においては、国内外で削減技術の導入と日頃の節水活動などの取り組みを推進しました。水は地域により取り組むべき課題などが異なるなかで、共通の考え方として「トヨタ水環境方針」を策定しました。この方針に基づき、水量や水質、その他さまざまな観点で水環境へのインパクトを評価。「チャレンジ優先工場」を設定し、対策導入を進めています。

チャレンジ5 生産分野では、鋳物集塵ダストの低減や汚泥減容化を進め、物流分野では、スリム化・リターナブル化*2により、廃棄物発生量および梱包・包装材使用量を着実に抑制しました。資源循環分野では、自動車リサイクル法制化対応ガイダンスや適正処理マニュアルを作成し、ベトナムとタイでは廃車の適正処理システム構築に着手しました。また電池の国内回収・リサイクル能力を増強するとともに、定置用などへのリビルト・リユースを着実に推進しました。

チャレンジ6 「Toyota Green Wave Project」では、グループ会社などと「オールトヨタ自然共生ワーキンググループ」を立ち上げ、統一イベント開催などを実施しました。

「Toyota Today for Tomorrow Project」では、IUCN*3やWWF*4などの国際機関・NGOとのパートナーシップを公表し、ポジティブな評価を受けました。

「Toyota ESD Project」では、トヨタ白川郷自然學校の累計来場者数が19万人を達成し、未来を担う子ども育成プログラムを強化しました。

環境マネジメント 環境マネジメントでは、軽微なものの環境異常・苦情が発生したため、未然防止活動を強化し、過去異常対策のやりきりと標準化を実施しました。サプライヤーとの取り組みでは、グローバルで調達ガイドライン改定を完了し、販売・サービス分野では、各地域で環境ガイドラインの策定などを推進しました。情報開示の改善を進め、『環境報告書2016』が第20回環境コミュニケーション大賞「地球温暖化対策報告優秀賞」を受賞しました。

低炭素(気候変動・CO₂)

循環(資源・水)

自然共生

マネジメント

*1 Eco-VAS(Eco-Vehicle Assessment System):車両の全開発プロセスを通じて、自動車の生産、使用、廃棄に至るLCAの考え方を踏まえた総合的な環境評価を実施することで、車両開発責任者によるマネジメント強化が目的

*3 IUCN(International Union for Conservation of Nature):国際自然保護連合。1948年に世界的な協力関係のもと設立された、国家、政府機関、非政府機関等で構成される国際的な自然保護ネットワーク

*4 WWF(World Wide Fund for Nature):世界自然保護基金

*2 リターナブル化:物流に使用した梱包資材を、出荷元に戻し、再利用すること

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

7  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

Page 9: 環境報告書 2017 - トヨタ自動車株式会社 公式企業サ 2 TNGA(Toyota New Global Architecture):トヨタが全社を挙 げて取り組む、クルマづくりの構造改革。パワートレーンユニットや

取り組み項目 評価2016年度の取り組み結果具体的な実施項目・目標など

地域 項目 基準年 目標(2020年度)国内

海外

排出量輸送量当たり排出量

1990年度2006年度実績を把握

25%減14%減(毎年1%減)

地域 項目 基準年 2016年度実績国内

海外

排出量輸送量当たり排出量

1990年度2006年度実績を把握

36%減17%減

低炭素(気候変動・CO²)

1. トップクラスの燃費性能を目指す開発

①新車CO₂ゼロチャレンジ

②ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

● 2020年グローバル新車平均CO₂低減率は、 2010年比22%以上を目指す。 ーTNGA取り組みによる高性能な パワートレーンを開発し、順次導入 ーHVの一層の性能向上と導入拡大

3. 製品開発における環境マネジメントの推進

(Eco-VAS)

● 開発段階での車両環境アセスメントシステム(Eco-VAS)による 環境目標管理の着実な推進 ーモデルチェンジ車、新型車共に前モデルと比較して ライフサイクル環境負荷の低減を推進 ー評価結果をウェブサイト、カタログなどで、 お客様への適切な情報開示を推進

4. 触媒技術によるCO₂吸収・新資源創出の実用化研究

(人工光合成など)

● CO₂・水・太陽光エネルギーからの人工光合成技術開発の推進 ー2020年に世界トップクラスの光合成効率による、CO₂吸収・ 1次原料(素材・燃料など)創出の基礎実証を完了する

5. 物流活動における輸送効率の追求とCO₂排出量の低減

● 輸送効率の一層の改善によるCO₂低減活動の推進 (徹底した総走行距離の低減、モーダルシフトのさらなる推進)

6. 地域グリッドエネルギーマネジメント技術の展開による地域社会への貢献

● マイクログリッド(F-grid)・地域最適エネルギーマネジメント 技術の確立と国内外展開の推進 ー東北大衡村プロジェクト・豊田市元町工場プロジェクトの 実証確認 ー国内他工場、アジアなどへの国内外への展開

7. 道路交通セクターにおける統合的なCO₂低減取り組みの推進

● IT・ITS技術などによる、スマートモビリティ社会への貢献 ー超小型EVを使用した次世代交通システム「Ha:mo」の 日仏での実証結果を踏まえ、東京2020オリンピック・ パラリンピックも視野に入れた各地域への展開と 事業モデルの構築を目指す

● 低炭素モビリティ社会構築に向けた 統合的交通流対策プロジェクトへの積極的参画 ーWBCSD・SMP 2.0サートン・モデル確立と バンコク展開ロードマップ策定

● グローバルでのエコドライブ普及推進 ーグローバルで、お客様、従業員へのエコドライブ普及を推進

2. 電気エネルギーを利用した次世代車の開発推進とそれぞれの特徴を活かした普及推進

● HV :一層の高性能化およびラインアップの拡充などによる HVの一層の普及拡大を図り、 2020年までに年間HV販売台数150万台、 累計販売1,500万台を目指す● PHV :燃料多様化に向けた電気利用車の柱として、 さらに高性能な車両を開発し、普及拡大を図る● EV :近距離用途として低炭素交通システムと組み合わせて 技術開発を推進する● FCV :将来有力なエネルギーである水素を有効に利用できるよう、 さらなる低コスト化、小型化、耐久性の向上など、 商品力強化に向けた取り組みを進める

地域 項目 基準年 2020年度目標

グローバル HV販売台数

単年累計

150万台1,500万台

2016年度実績140万台994万台

● グローバル新車平均CO₂低減率(日本・米国・欧州・中国) 2016年度実績は 2010年度比較11.9%低減 TNGA取り組みによるエンジン・トランスミッションの 低CO₂化開発と展開、HVのさらなる環境性能の向上と ラインナップ拡充により、2020年目標達成に向けて取り組み推進

● 国内においては、新型車・モデルチェンジ車8車種について Eco-VASによるライフサイクルアセスメントを実施 対象全車種について、比較車両に対してライフサイクルでの CO₂排出量を低減(2代目「プリウスPHV」においては、 2012年モデルに対してCO₂排出量を5%削減)

● CO₂・水・太陽光エネルギーのみからのギ酸の合成において、 世界トップクラスの光合成効率を達成

● 改善活動推進により目標達成

● 各プロジェクトとも予定どおり推進 ー東北大衡村 : 省エネ性 導入前比24%減、  環境性 導入前比31%減 ー豊田市元町工場 : NEDO実証(2018、19年)を計画 ー国内他工場、アジア : 情報収集(導入環境、法規制など)

● 持続的な事業運営モデルの構築に向け、各地実証実験 (ユースケース)での収益改善やシステム改良・機能開発を実施 (豊田市、フランス・グルノーブル、沖縄、東京、岡山市) 特に豊田市、沖縄では、地元主体・行政施策と連動した 「Ha:mo」の活用と事業化を推進

● 2016年6月、サートン道路にて、24の交通需要コントロールと 交通流マネジメントの施策を実施、交通マネジメントの 渋滞改善効果を実証 (交通流率:12.6%向上、信号待ち渋滞長:1km減) また2017年2月、サートン道路での取り組みをバンコク全域に 展開するロードマップを、タイ国家交通マネジメント委員会 (議長:ソムキット副首相)へ提案し、承認済み

● 以下のとおり推進: ー販売店を通じたエコドライブアドバイス、 レンタリース店を通じたエコドライブサポートなど、 お客様への啓発活動を継続して推進 ー2016年10月、TDEMが傘下の販売代理店・事業体に、 お客様や従業員へのエコドライブ啓発に活用するための パンフレットを作成し、配付

● HV :さらなる環境性能の向上とラインナップの拡充により、 目標台数に向けて順調に推移 (2016年度、国内では新たにハイブリッドモデルを 3車種拡充:「ヴィッツ」「CH-R」、レクサス「LC500h」) トヨタの販売車両に占めるHVの割合は、 国内43%、グローバル15%

● PHV :2017年2月、2代目となる「プリウスPHV」を 市場へ投入。走行時の低CO₂化に加え、EV走行の 拡大など商品力が大幅に向上 HVに次ぐ次世代環境車の柱と位置付け、 普及に向けて開発を加速させる● EV、FCV:再生可能エネルギーやCO₂フリー水素などの利用による ゼロエミッションに向けての選択肢として、「適時、適地、 適車」の考え方のもと、FCVだけではなく、EVについても 早期に商品を投入すべく開発体制を整備

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー詳細

:順調に進捗  :課題はあるものの、2020年度には目標達成見込み - :2020年度に目標未達見込み

8  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

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取り組み項目 評価2016年度の取り組み結果具体的な実施項目・目標など

低炭素(気候変動・CO²)

地域 項目 基準年 目標(2020年度)グローバル※1

TMC

海外

台当たり排出量台当たり排出量

排出量

2001年度2001年度1990年

地域No.1の低減活動推進

39%減48%減28%減

③工場CO₂ゼロチャレンジ

8. 生産活動におけるCO₂排出量の低減

● 低CO₂生産技術の開発・導入と日常改善活動による CO₂低減活動の推進 ー生産性向上の追求、オフィスなども含めた活動の展開● 各国、各地域の特性を考慮したクリーンエネルギーの活用 ー2020年に向けた段階的な導入推進● エネルギー起源以外の温室効果ガスの管理

※1 TMC+国内外連結子会社(製造系)

地域 項目 基準年 2016年度実績グローバル

TMC

海外

台当たり排出量台当たり排出量

排出量

2001年度2001年度1990年

地域に適した低減シナリオ実践

34%減46%減45%減

地域 項目 基準年 目標(2020年度)TMC(車両工場)

海外台当たり使用量 2001年度

地域No.1の低減活動推進12%減

地域 項目 基準年 2016年度実績TMC(車両工場)

海外台当たり使用量 2001年度

地域水環境事情に即した活動推進20%減

循環(資源・水)

11. 資源回収しやすい

「易解体性トップレベル」の実現

● 易解体性トップレベルの維持・向上 ー次世代車(EV、FCV)、スマートモビリティをはじめとした 各モデルへの確実な易解体設計の織り込み ー新技術・新材料部品の易解体構造の開発、織り込み

12. 日本で培った廃車適正処理による国際貢献

● 各国、各地域の実情に合わせた「廃車適正処理技術」の海外展開 ー各国リサイクル法規に対応した確実な廃車適正処理と、 今後法規導入が想定される国・地域においては、 トヨタ自動車が作成したガイダンスに基づき 各国・各地域での取り組みを強化 ー解体リサイクルモデル工場(100拠点)に向けた事業展開 (2020年時点に7拠点※) ※外部環境の変化と選定基準の見直しにより、拠点数を「10→7」に変更

13. 廃車資源に対するオリジナルリサイクルシステムの海外展開

● トヨタ独自の「リサイクル技術」の高度化と海外支援 ーニッケル水素電池のリビルト・リサイクルの 技術向上(コスト低減)と海外支援 ーリチウムイオン電池のリビルト・リサイクル技術確立と 海外支援 ー国内ワイヤーハーネスリサイクルの実用化(規模拡大) ー国内磁石リサイクルの実用化(規模拡大) ーHVユニットを活用した創電・蓄電技術開発 ー海外主要地域でのバンパー回収・リサイクル技術の 検討とめど付け

④水環境インパクト最小化チャレンジ

9.生産活動における水使用量の低減

● 各国、各地域の水環境事情を考慮し、 継続的な水使用量低減活動を推進 ー新工場、ライン改装計画と連動した画期的な取り組み ー日常改善など各種取り組みによる水使用量低減

⑤循環型社会・システム構築チャレンジ

10.再生可能資源・リサイクル材活用による枯渇天然資源の使用量低減

● 石油由来の樹脂の使用量低減 ー品質・性能要件を満たす リサイクル樹脂・エコプラスティックの技術開発 ー使用済み樹脂の回収システム構築

● 希少資源/リサイクル材の再利用推進 ーCFRPリサイクル技術の開発 ー希土類の使用量削減技術とリサイクル技術の開発

● 2020年目標達成に向けた開発推進、および開発済み技術の 着実な導入を実施● ショップ軸活動による、日常改善活動を加速

● 「プリウスPHV」、レクサス「LC」(TNGA継承車)などの 新規開発車両においても、易解体設計を継続して織り込み実施

● 以下の通り推進: ー『自動車リサイクル法制化対応ガイダンス』を発行 ー十分な解体設備のない国・地域を想定し、廃車処理に関する 『適正処理マニュアル(基礎編)』を作成 ー法規制導入に向けた廃車の適正処理インフラ構築に 着手(ベトナム) ー既存施設を活用した廃車の適正処理システム構築に 着手(タイ)

● 以下の通り推進: ー1997年度以降、累計7万3,000台の電池を回収・リサイクルする 一方で、今後の電池リサイクルのグローバル化(量拡大)に 備え、日本でのリサイクル処理能力を増強 ー定置用を含む電池のリビルト(検査・再組み立て)・リユース活動を 継続して推進中 ー精錬レス・純度99.96%の再生銅リサイクル技術の開発を完了、 新たな処理技術の検討に着手 ー市中回収した磁石からレアアースを抽出、磁石原料などに 再利用するリサイクルを2012年度から継続して取り組み、 累計28トンの磁石を回収・リサイクル ー定置用蓄電池システムへの適用検討を継続 ー米国物流部門(NAPO)にて、バンパーをプラスチックペレットに 再生するリサイクル実証活動を実施

● 国内外各社において、水使用量低減技術の導入および 日頃の節水活動を推進

● 石油由来樹脂 ー中部地区の解体事業者数社と連携し、年3回にわたる 廃車由来樹脂の回収トライを実施 ートヨタ販売店で修理交換された使用済みバンパーの 回収・リサイクルを継続● 希少資源 ー廃CFRPのマテリアルリサイクルに向けた技術開発に着手 ーハイブリッド系部品に使用されるレアアースの 使用量削減に継続して取り組み

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー詳細

9  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

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取り組み項目 評価2016年度の取り組み結果具体的な実施項目・目標など

循環(資源・水)

⑤循環型社会・システム構築チャレンジ

自然共生

14. 生産活動における排出物の低減と資源の有効利用

● 排出物低減生産技術の開発・導入と日常改善活動による 排出物低減活動の推進 ー歩留まり向上などの発生源対策による排出物低減と 資源の有効利用促進 ー有価物・廃棄物の発生量低減など、資源ロス低減活動の推進● 金属屑など発生量低減活動およびオールトヨタ内有効活用の推進

15.物流活動における梱包包装資材の低減と資源の有効利用

● リターナブル化、包装材の軽量化を中心に改善を推進 〈国内〉 従来並みの改善を継続(2006年度比14%減) 〈海外〉 事例を把握

⑥人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

16.各事業所・各地域の活動を

“地域をつなぐ”自然保全活動の推進

● オールトヨタ・グローバル事業体で進めてきた さまざまな自然保全の活動を地域とつなぐ ~Toyota Green Wave Project~ ーこれまでのサステイナブル・プラント活動をやりきると同時に、 グループ・オールトヨタのさまざまな活動を、海外・関連会社や 地域へ拡げる、ステークホルダーとの連携で活動の輪を拡げる

対象 地域 項目 基準年 目標(2020年度)

有価物

廃棄物※1

海外 地域No.1の低減活動推進埋立廃棄物ゼロ※3

台当たり発生量

発生量

台当たり発生量

2001年度 35%減

2001年度 63%減

国内※2

国内排出物

TMC

金属屑など発生量低減活動

およびオールトヨタ内有効活用の推進

※1 逆有償リサイクル、焼却廃棄物、埋立廃棄物※2 TMC+国内外連結子会社(製造系)※3 ゼロ定義=直接埋め立てられる廃棄物を1995年度比1%未満

対象 地域 項目 基準年 2016年度実績

有価物

廃棄物

海外 再利用化など活動推進埋立廃棄物ゼロ

台当たり発生量

発生量

台当たり発生量

2001年度 39%減

2001年度 59%減

国内

国内排出物

TMC

歩留まり向上推進および

端材の確実な回収

17.自然・生物多様性保全を

“世界とつなぐ”環境活動への助成の強化

● 環境活動助成を通じて、環境保全・生物多様性保全の活動を 世界とつなぐ ~Toyota Today for Tomorrow Project~ ー社会貢献活動の重点である環境分野において、 環境課題の解決に寄与するプロジェクトの助成を強化。 グローバル各団体・ステークホルダーとの協働による 新しい価値を提供し、世界に活動の輪を拡げる

● リサイクル率向上による鋳物集じんダストの低減、 および汚泥の減容化を継続実施

● 包装仕様のスリム化、リターナブル化を推進 〈国内〉 従来並みの改善を継続(2006年度比28%減) 〈海外〉 改善事例を把握

●「オールトヨタ自然共生ワーキンググループ(WG)」を グループ会社他(23社)で立ち上げ、活動開始 〈活動をつなぐ〉 ーオールトヨタ個社活動を合計116件実施し、 自然共生活動を拡大 ー統一イベントを年2回実施、グループ連携強化 (2016年5月:植樹祭、同年10月:生態系保全) 〈認知度向上〉 ーグリーンウェーブプロジェクト活動を冊子にまとめ、2016年 6月にWG各社で従業員へ配付・ウェブサイトへ展開実施 生物多様性と各社活動認知のため、情報発信を充実● 「自然と共生する工場」企画策定 ーこれまでのサステイナブル・プラント活動に、新研究開発 施設プロジェクトでの生物多様性保全で得られた知見を生かし、 自然共生活動のレベル向上を図る ー2017年3月、国内モデル工場を選定し、活動開始

● 国際機関・NGOとのパートナーシップを公表 ー「IUCNレッドリストプロジェクト」記者発表(2016年5月、スイス) ーWWF「生きているアジアの森プロジェクト」記者発表 (2016年7月、東京・名古屋) ー第6回世界自然保護会議にてトヨタの取り組みを発信 (2016年9月、米国) ー国連「生物多様性条約 第13回締約国会議(CBD COP13)」にて IUCN、バードライフ・インターナショナル、 コンサベーション・インターナショナルと共にトヨタとして 初めてサイドイベントを実施(2016年12月、メキシコ) ー上記諸活動により、国際機関・NGOとの協力関係を構築し、 政府関係者、専門家、NGOなどを中心にポジティブな評価を獲得● 上記に加え、NGO・NPOなどへの助成として、 「トヨタ環境活動助成プログラム」を2000年度より継続実施

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー詳細

10  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

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取り組み項目 評価2016年度の取り組み結果具体的な実施項目・目標など

自然共生 18.

環境活動を“未来へつなぐ”環境教育貢献の強化

● 各地域の事業所やフィールドを活用した環境教育を強化し、 環境保全活動を未来へつなぐ ~Toyota ESD Project~ ー工場の森、事業所の緑・ビオトープなどを活用した 地域住民・子ども教育をグローバルに拡大していく ー社有地フィールド(白川郷、トヨタの森、三重宮川山林など)の 特色を生かした教育プログラムの開発を進め、未来へつなぐ 人材育成を進める

19.バイオ緑化事業、自動車周辺技術、森林保全活動による環境貢献の推進

● バイオ技術による環境課題への対応 ー酵母菌のさらなる発酵能力向上による セルロースエタノールの研究開発推進 ー畜産バイオマス事業・農業分野への応用による 資源・自然資本創出貢献

● 都市緑化事業やグループ保有技術を通じた、 温暖化・気候変動「適応」貢献 ーヒートアイランド対応

マネジメント

20.連結環境マネジメントの強化推進

マネジメント

● 国内外における各種環境委員会活動の充実による各国、 各地域での全事業活動に関わるトップレベルの 環境パフォーマンス(CO₂、水など)確保に向けた活動の強化

21.各国、各地域の都市大気環境改善に資する排ガス低減

● 各国、各地域の都市環境改善に資する低排出ガス車を 着実に導入● トヨタは、各国の研究機関との「大気環境研究協力」を通し、 大気環境改善に貢献する

● 以下のとおり推進: 〈グローバル〉 ートヨタタイランドで、学習センターを一般向けに開設 〈従業員教育〉 ーNo.25に同じ 〈トヨタの森〉 ー近隣小学校を対象とした自然ふれあい体験学習を実施 (2016年度6,050名) ー2017年3月末に、累計来場者数16万人を達成 ー森林資源の活用と里山の森林管理を楽しく学ぶ講座 「里山とくらし」などを2回実施 〈トヨタ白川郷自然學校〉 ー2016年度宿泊者数1万6,529人、2017年3月末に 累計来場者数19万人達成 ー未来を担う子ども育成プログラムを強化、 「こどもキャンプ」夏冬合わせ6種類・計15回開催し、 全国から243人が参加(前年度101人 前年度比240%) 〈トヨタ三重宮川山林〉 ー地元のNPOや高校と協働で林業や木材の利用を学ぶ 森林体験学習を、計4回実施 〈新研究開発施設〉 ー環境学習の取り組みとして、地元中学校とクロスズメバチ類 調査実施 従業員向けの環境学習として、カヤネズミ調査実施

● バイオマス・農業分野の取り組み推進 ー海外セルロースエタノールパイロットプラントでの 実証試験を開始 ー畜産向け堆肥化促進・消臭資材「レスキュー45」シリーズの 普及拡大※

ー「豊作計画」(農業IT管理ツール+現場改善)を農業法人に展開 拡大に向け自治体とも協定締結●緑化分野の取り組み推進 ー特殊緑化資材「SGP (スマートグリーンパーキング)」、 「SGW (スマートグリーンウォール)」の普及推進※

※連結子会社の「トヨタルーフガーデン」より販売

● トヨタ三重宮川山林における資源活用モデルの構築

● 計画中の新研究開発施設において、自然と共存し、 地域と調和したサステイナブル・テクニカルセンターを具現化

● トヨタ三重宮川山林 ー持続可能な林業の再生を目指し、 整備の低コスト化に向けた取り組みを実施 ー自社施設や関連商業施設に産地木材を活用●新研究開発施設 ー開発地での着実な環境保全・調査を継続し、 環境監視委員会(年2回)で報告 ー有識者と三河地域で減少している野鳥保全活動を継続実施 設置した巣箱で、フクロウや、地域的に繁殖事例が少ない ブッポウソウの繁殖を確認 ー環境レポート(4回)や学会発表(2回)などで、 保全活動で得た知見を公開

● 以下のとおり推進: ー国内オールトヨタ生産環境会議・連絡会(役員会議)を 定期開催(1回/年) ーグローバル環境表彰の開催(海外事業体の改善活動を促進) ー2016年11月、第6回グローバル環境会議を開催し、 各地域の担当者と「トヨタ環境チャレンジ2050」などについて議論

● 各国、各地域の環境法令遵守と環境リスクの 未然防止活動の徹底強化● 各国、各地域の法規動向を踏まえた、製品化学物質管理の充実

● 以下のとおり推進: ー国内各社の環境取り組み実務担当者を対象に研修会などを実施 (重点ポイントの展開および潜在リスク洗い出しと対策) ー環境異常6件(TMC1件、国内5件、海外0件)、 苦情1件(国内1件) いずれも軽微な異常・苦情であり、対策・横展はすべて完了 

● 各国、各地域の法規動向を踏まえた、製品化学物質管理の充実 ● 化学物質管理体制のグローバル展開 ーIMDSへの化学物質データ入力徹底 ーサプライヤーの工程監査・調査による化学物質管理体制評価

● 各国・各地域において、都市環境改善に資する排気ガス規制の 強化が進むなか、これに適合した車両を着実に導入

⑥人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー詳細

11  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

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取り組み項目 評価2016年度の取り組み結果具体的な実施項目・目標など

マネジメント

24.ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進

(販売店、販売代理店)

● 販売店および販売代理店と連携した環境マネジメントの推進 〈国内〉 ートヨタ販売店CSRチェックリストの徹底による 環境取り組みの推進と、環境管理充実による CO₂低減などの推進 〈海外〉 ー各地域統括会社・各国代理店が主導する環境取り組みの 推進と強化(CO₂低減など) ー販売店環境リスク監査(DERAP)推進と強化

25.グローバル社員教育・啓発活動の一層の強化

● グローバルで、従業員への環境教育を通じた 環境保全意識の啓発推進 ー連結事業体と連携した環境教育の体系化 ー各国、各地域の実情に合わせた環境教育の実施

26.環境情報の積極的開示とコミュニケーションの充実

● 環境の情報開示の一層の充実 ー環境情報の収集対象とする事業体の拡大とその仕組みづくり ー環境報告書のさらなる内容充実● グローバルおよび各国、各地域での環境の コミュニケーション活動の一層の充実

22.生産活動におけるVOCの低減

● 塗装工程における塗料、シンナーの低減など VOC低減技術の開発と展開 ー塗装設備改装計画と連動した取り組みと 日常改善によるVOC低減を継続的に推進

23.ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進

(サプライヤー)

● サプライヤーとの連携を一層強化し、グローバルで 共に環境を良くする活動を推進 ー各国法規、規制への確実な対応、化学物質管理の着実な推進 ーCO₂低減、資源循環、水インパクト低減、 自然共生社会の構築など、幅広い環境取り組みを連携して推進

対象 地域 項目 目標(2020年度)

TMC

海外塗装面積当たり

排出量310g/m2以下

(全ライン平均)国内・海外

バンパー塗装

その他塗装 VOC排出量低減活動推進

地域No.1の低減活動推進

塗装面積当たり排出量

塗装面積当たり排出量

26g/m2以下(全ライン平均)

19g/m2以下(全ライン平均)

国内※1

ボデー塗装TMC

※1 TMC+国内連結子会社(製造系)

対象 地域 項目 2016年度実績

TMC

海外塗装面積当たり

排出量 193g/m2

国内・海外

バンパー塗装

その他塗装 塗装条件最適化など推進

塗着効率向上活動など推進

塗装面積当たり排出量

塗装面積当たり排出量

21.5g/m2

14.6g/m2

国内

ボデー塗装TMC

● 以下のとおり推進: 〈国内〉 ートヨタ販売店CSRチェックリストについては、 内容の最新化による環境取り組みの推進と環境外部認証 制度の利用促進により、販売店の環境管理充実による CO₂低減などを推進 〈海外〉 ー各地域で販売・サービス分野の環境ガイドラインを作成中 環境取り組みの推進と強化(CO₂低減など)を図る ーDERAPについては、世界80ヵ国83代理店、 4,233販売店が参加し、5項目達成の販売店は、 参加全体の91%(前年度比2%増)

● 以下のとおり推進: ー本年で45年目となるトヨタ地球環境月間(グローバルに実施)、 およびトヨタインスティチュートと連携した基幹職・新入社員への 環境教育を継続実施 加えて、「トヨタ環境チャレンジ2050」の社内への確実な 浸透や従業員のより一層の環境意識の向上を目指し、 2016年1月より年間を通じたさまざまな施策を企画展開 ー各国・各地域で、第6次「トヨタ環境取組プラン」に即した 社内環境教育を計画を立案

● 以下のとおり推進: ー生産環境委員会で、環境情報開示の充実のための 3カ年計画の了承を得て、新規の開示情報について、 入手や第三者検証の仕組みづくりに着手 ー『環境報告書2016』において、「トヨタ環境チャレンジ2050」、 第6次「トヨタ環境取組プラン」に沿った進捗状況を 効果的に掲載 第20回環境コミュニケーション大賞の 「地球温暖化対策報告優秀賞」を受賞 ー「トヨタ環境チャレンジ2050」に向けて取り組む社員を 効果的に訴求する動画を制作・公開 2020年までシリーズ化して制作● 海外事業体の環境トピックスをTMCのウェブサイトで 紹介する取り組みを定着化 一層の仕組み化を図るため、海外事業体との情報共有 システムを構築予定

● 洗浄シンナーの使用量低減および回収率向上の取り組み継続 バンパー塗装においては、設備改装に合わせ、水性塗料への 切り替え推進

● 以下のとおり推進: ー国内で改定した「TOYOTAグリーン調達ガイドライン」 (2016年1月)をもとに、グローバル(15カ国36事業体)  での調達ガイドライン改定を完了 ー化学物質管理の徹底に向けて国内のサプライヤーに対して 自主点検を依頼し、その結果をもとに、 今後の取り組みに生かす活動の実施 ーCDPサプライチェーンプログラム(気候変動、水)を継続して実施 ーCSR勉強会などを通じた相互研鑽の実施

マネジメント

第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー詳細

12  Environmental Report 2017 第6次「トヨタ環境取組プラン」2016年度レビュー

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エコカーは普及してこそ環境への貢献ー ハイブリッド車のグローバル累計販売台数が1,000万台を突破 ー

トヨタがハイブリッド車を投入して20年。エコカーを取り巻く環境は大きく変化してきました。プリウスの普及とともに「環境性能でクルマを選ぶ」というお客様の新しい基準ができ、ハイブリッド車を開発・導入する会社が増えたことで

「ハイブリッド車」という新しいジャンルが定着しました。

さらに、世界中のお客様にハイブリッド車や他の低燃費車が選ばれるようになったことで、自動車業界全体として地球環境問題への貢献を進めることができました。トヨタは1,000万台を通過点として、これからもお客様に選んでいただける

「もっといいクルマづくり」を進めていきます。

2017年1月末までに販売したハイブリッド車1,000万台のCO₂排出抑制効果は、車両サイズおよび動力性能が同等クラスのガソリンエンジン車のCO₂排出量と比較し、約7,700

万トン、ガソリン消費抑制量は、同等クラスのガソリンエンジン車のガソリン消費量と比較し、約2,900万kLの効果があったと試算しています。

CO₂排出量抑制に寄与し続けてきたハイブリッド車

トヨタは環境への対応を経営の最重要課題の一つと位置付け、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」との考えのもと、ハイブリッド車の普及に取り組んできました。1997年8月に日本で「コースターハイブリッドEV」を発売、同年12月に世界初の量産ハイブリッド乗用車「プリウス」を発売して以来、多くのお客様に支えられ、2017年1月に累計販売台数1,000万台を達成しました。

ハイブリッド車によるCO₂排出抑制効果(トヨタ試算)

単位:万トン(折れ線グラフは右目盛り)CO₂抑制量 累計CO₂抑制量

1997 20000

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

’99’98 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ’07 ’08 ’09 ’10 ’11 ’12 ’13 ’14 ’15 ’16 ’17(1月)

ハイブリッド車1,000万台のCO₂排出抑制効果

約7,700万トン

木のCO₂吸収量換算

東京都の面積約40倍(約875万ha)の森林※に相当

×約40

世界のCO₂排出抑制量 約7,700万トン

※ 40年生前後のスギ人工林1ha(1,000本)が1年間に吸収するCO₂の量  約8.8トン(林野庁ウェブサイト参照)から換算

特集

13  Environmental Report 2017 特集

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トヨタは、さらなるCO₂排出量削減に向けて、限りある化石燃料を節約して使用する「省エネルギー化」を進めながら、化石燃料以外の水素や電気を使う「燃料多様化への対応」を加速しています。そのなかで、ハイブリッド車が「省エネルギー化」を、燃料電池自動車(FCV)や電気自動車(EV)が「燃料多様化への対応」を担う環境技術であり、プラグインハイブリッド車

(PHV)は、ハイブリッド車とEVのいいとこ取りをした、現在最も環境に貢献できるクルマです。2017年2月には、ハイブリッド車に次ぐ「次世代環境車の柱」と位置付ける「プリウスPHV」が2代目として大きな進化を遂げました。バッテリーを大型化してEV走行距離を68.2kmとし、ガソリン走行時の燃費性能も4代目プリウスと同じJC08モード*37.2km/L※を達成しています。これに

よって、通勤や買い物などの日常の近距離移動ならほとんどの領域をEVとして走ることができます。また、量産車世界初となるソーラー充電システムを採用し、最大約6.1km/日の走行分を太陽光発電で賄うことができます。プリウスPHV開発責任者の金子將一は、「ハイブリッド車がここまでご支持いただけたのは、お客様目線で普及を図ってきた経緯があります。2代目となったプリウスPHVも、多くのお客様の声に耳を傾け、開発に取り組んできました。ハイブリッド車がそうであったように、いずれプリウスPHVも、当たり前のクルマとして社会に受け入れられ、エコカーの主役になる日が来るのではないでしょうか」と語りました。

温室効果ガスの排出量削減が世界的な課題となるなか、「21世紀に直面する資源・環境問題に、トヨタとしての答えを出そう」と始まった、初代プリウスの開発。開発陣は「どのような結果になろうともハイブリッド車を開発することは必ず

将来の役に立つ」「できることをやるのではなく、やるべきことをやる」との志をもってプロジェクトに臨み、世界初の量産ハイブリッド乗用車を世の中に送り出しました。

次世代環境車の柱として、現在最も環境に貢献できる「プリウスPHV」

「やるべきことをやる」との志で挑んだ初代プリウスの開発

「初代プリウス」の発売当時、「ハイブリッド」という言葉は世間に全く馴染みもなく、乗っている人は「オタク」だともいわれました。しかし、そのような未知のクルマに期待を寄せ、お乗りいただいた多くのお客様に支えられて、ハイブリッド車は1,000万台という節目を迎え、いまでは「普通のクルマ」になるまで普及することができました。ハイブリッド車をここまで育ててくださったすべてのお客様に心から感謝を申し上げるとともに、これからもお客様と一緒に地球環境問題の解決に貢献できるよう、挑戦を続けていきたいと思います。

「普通のクルマ」になるまで普及したハイブリッド車 -初代プリウスの開発責任者 取締役会長 内山田 竹志

新型「プリウスPHV」記者発表会(2017年2月)

プリウスPHV開発責任者 金子 將一ソーラー充電システム2代目プリウスPHV

*JC08モード:国土交通省審査値の燃費値で、1Lの燃料でどのくらい(何km)走行できるかを、いくつかの走行パターンで測定する方法

※Aグレードを除く

14  Environmental Report 2017 特集

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グローバル新車平均CO₂(日本・米国・欧州・中国)2010年度比低減率

(%)

20

30

10

0

’12 ’13 ’14 ’15 (年度)’16

11.911.9

2020年度目標値 -22%

新車CO₂ゼロチャレンジ

「地球温暖化」を実証するかのように、世界中で異常気象による被害が相次いでいます。現状のまま温室効果ガスの抑制策が追加されないと、「2100年には世界の平均気温が産業革命以前より3.7 ~ 4.8℃上昇する可能性があり、これを2℃未満にするためには、CO₂の排出をゼロにするだけでなく、マイナスにしなくてはならない」という報告※があります。この2℃未満のシナリオの実現に向けて世界が動こうとするなか、トヨタは「新車CO₂ゼロチャレンジ」として、「2050年までに2010年比90%低減」に挑戦します。このため、従来型エンジン車に加え、走行中のCO₂排出量をより少なく、あるいはゼロにすることを目指した次世代環境車(ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV))のさらなる進化と普及促進を加速させます。エコカーは普及してこそ社会への貢献となります。EVやFCVが普及するためのインフラ整備についても、ステークホルダーの皆様と連携して進めていきます。

基本的な考え方

新車CO₂ゼロチャレンジを着実に進めるために、2020年の「グローバル新車平均CO₂排出量」は、2010年度比22%以上低減することを目標に掲げています。そのために、次世代プラットフォーム戦略「TNGA」*に基づく環境性能の高いパワートレーンを開発・導入していくとともに、HVの一層の性能向上と普及拡大を図ります。2016年度、国内では新型ハイブリッドモデルである「C-HR」の投入や、「ヴィッツ」に新たにハイブリッドモデルを設定するなど、ハイブリッドシステム搭載車種の拡大とともに、従来型エンジン車の効率向上を図るなど、2020年目標に向けた開発を着実に進めています。

※IPCC第3作業部会第5次評価報告書2014

トップクラスの燃費性能を目指す開発

11.9%2016年度 グローバル平均CO₂2010年度低減率

Third Party Assurance

* TNGA(Toyota New Global Architecture):トヨタが全社を挙げて取り組む、クルマづくりの構造改革。パワートレーンユニットやプラットフォームなどを一新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指す

◦各国当局の認証を受けた燃費値(CO₂排出量)をもとに、各年度の新車の平均CO₂排出量 (g/km)を算出

環境データ P54-R

Challenge 1

15  Environmental Report 2017 Challenge 1

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2016年度主要新型車(国内)新旧モデルの燃費比較

0 10 20 30 40 50 燃費(km/L)

プリウスPHV

ヴィッツ

従来車 31.6(73)

新型車 37.2(62)

従来車 21.2(110)

新型車(ハイブリッドモデル) 34.4(67)

Challenge 1 新車CO₂ゼロチャレンジ

◦燃費値はJC08モード(国土交通省審査値)◦( )の数値はCO₂排出量(g/km)

15.8km/L(147)レクサス「LC500h」

2016年度新設ハイブリッドモデル(国内)の燃費

30.2km/L(77)「C-HR」 Gグレード(2WD)

新開発のパワートレーンは、高効率化、小型化、軽量化などの基本性能を徹底的に見直しました。新開発2.5Lガソリン車用エンジン・HV用エンジンは、それぞれ世界トップレベルの最大熱効率40%・41%を達成しています。新型8速・10速オートマチックトランスミッションは、徹底した損失低減により、世界トップレベルの伝達効率を達成。さらに、多段化や小型軽量化により、CO₂低減に寄与しています。ハイブリッドシステムは、「4代目プリウス」に採用した小型・軽量・低損失化技術を展開し、2.5Lエンジン用ハイブリッドシステムを一新するとともに、FR用の高性能マルチステージTHSⅡを新開発しました。これら新型パワートレーンは、2017年から2021年までの5年間で、エンジン9機種・17バリエーション、トランスミッション4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステム6機種・10バリエーションを市場へ投入。販売台数の60%(日本・米国・欧州・中国)まで拡大させることで、CO₂排出量15%以上の低減を目指します。

TNGAによりエンジン・トランスミッションなどを一新、環境性能を大幅に進化

直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン

FR用10速オートマチックトランスミッション

16  Environmental Report 2017 Challenge 1

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100万台達成アクアハイブリッドモデル国内累計販売台数(2016.2)

HV単年販売台数と累計販売台数(グローバル)

’00 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ’07 ’08 ’09 ’10 ’11 ’12 ’13 ’140

200

400

0

20

40

60

80

100

120

140

160

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

’15 ’16 ’17

140

39

(1~3月)

単位:万台(折れ線グラフは右目盛り)

累計1,034万台

国内 海外 累計

2020年目標値 単年150万台、累計1,500万台

Challenge 1 新車CO₂ゼロチャレンジ

「エコカーは普及してこそ環境への貢献」の考えのもと、HV、PHV、EV、FCVのラインナップを拡充し、さらなる普及促進を図ります。HVについては、2020年に年間150万台、累計1,500万台の販売を目指します。2016年には、ハイブリッドモデル「アクア」の国内累計販売台数が100万台、レクサスブランドのハイブリッドモデルのグローバル累計販売台数も100万台を達成。こうした積み重ねにより、2017年1月には、HVグローバル累計販売台数が1,000万台を達成するなど、トヨタがグローバルで販売するクルマの15%(国内では43%)をHVが占めるまでになりました。1997年に初代プリウスを発売してから約20年の歳月をかけての達成となります。PHVについては、走行時の低CO₂に加え、燃料の多様化にも対応することで、さらなるCO₂低減の可能性を有する次世代環境車の柱として速やかに普及を図っていきます。そして、2017年2月には、プリウスPHVが2代目として大きな進化を遂げました。走行中にCO₂を排出しないFCV、EVについては、再生可能エネルギーやCO₂フリー水素の利用によって、大幅なCO₂低減の可能性を持つ将来のエコカーと捉えています。それぞれの特徴を活かしながら、国や地域ごとのエネルギー課題やインフラ整備の状況、さらには用途に応じた棲み分けを図り、普及に取り組んでいきます。2016年度には、EVの早期商品投入が可能となる体制を整えました。

電気エネルギーを利用した次世代車の開発推進とそれぞれの特徴を活かした普及推進

100万台達成レクサスハイブリッドモデルグローバル累計販売台数(2016.4)

2017年3月、東京都交通局へ納車した燃料電池バス(FCバス)2台が、市販車では日本で初めて、路線バスとして営業運行を開始しました。FCバスは、燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用しており、ガソリンやディーゼルといった内燃機関に比べてエネルギー効率が高く、走行時にCO₂や環境負荷物質を排出しない、優れた環境性能が大きな特長です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京を中心に100台以上のFCバス導入を予定しています。

トヨタブランドの燃料電池バスを東京都へ販売(日本)

FCバス

環境データ P51-A

Third Party Assurance

17  Environmental Report 2017 Challenge 1

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「プリウスPHV」のLCA評価

△36%

CO₂△5%

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1(CO₂指数)

2012年モデルプリウスPHV

2017年モデルプリウスPHV

2015年モデルプリウス

材料製造 部品製造・車両組み立て ガソリン走行 電力走行メンテナンス 廃棄

再生エネルギー由来の電力で充電すると、さらなる削減が可能

ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

クルマが走行しているときに排出するCO₂だけではなく、材料製造、部品製造・車両組み立て、廃棄処理やリサイクルの各段階を含めて、CO₂排出量ゼロを目指すのが「ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ」です。例えば、次世代環境車を構成する部品の中には、材料や部品製造時のCO₂を増やしてしまうものがあります。そのため、製造時のCO₂排出量が少ない材料の開発や使用拡大、使用量の低減や部品数の削減を進めます。また、廃棄・リサイクル段階のCO₂排出量を低減するために、リサイクル材などの使用拡大やクルマの解体を容易にする設計など、環境に配慮した設計の取り組みを今後さらに加速し、“もっといいクルマ”を追求していきます。

基本的な考え方

クルマの環境影響を低減するために、開発段階より車両開発責任者の指示のもとで、ライフサイクルCO₂やリサイクル性などの環境目標を設定し、達成を図るためのマネジメントシステムEco-VAS(Eco-Vehicle Assessment System)を導入しています。このなかで、クルマのライフサイクル(材料製造、部品製造・車両組み立て、走行、メンテナンス、廃棄)すべての段階での環境への影響を評価するLCA*を実施しています。2016年度は、新型車・モデルチェンジ車7車種※についてLCAを実施しました。2017年2月発売の2代目「プリウスPHV」は、EV走行距離の拡大(68.2km)を図るために、バッテリー総電力量を約2倍としましたが、製造時のCO₂排出量を抑えることで、ライフサイクル全体で排出するCO₂を、2012年モデルに比べて5%低減しています。また、再生可能エネルギー由来の電力で充電すると、さらなるCO₂低減が可能です。

製品開発における環境マネジメントの推進(Eco-VAS)

◦クルマの生涯走行距離10万km(トヨタ推計)をJC08モード(国土交通省審査値)で走行した場合の結果LCA評価結果は指数で示しています

* LCA(Life Cycle Assessment):資源採取から廃棄・リサイクルまでの各段階で、クルマが環境に与える要因を定量化し、総合評価する手法

※「パッソ」「オーリスハイブリッドモデル」「ルーミー/タンク」「C-HR」「ピクシスジョイ」「ヴィッツハイブリッドモデル」「プリウスPHV」レクサス「LC」

トヨタが乗用車を対象に実施しているLCAの手法は、ドイツの第三者認証機関テュフ ラインランドによるISO14040/14044規格に基づく審査・認証を受けました。

環境目標管理の着実な推進

Challenge 2

18  Environmental Report 2017 Challenge 2

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カテゴリー 排出量(万トン-CO₂) 排出量比率(%)1 購入した製品・サービス 6,120 15.2

2 資本財 389 1.0

3 Scope1、2に含まれない燃料 およびエネルギー関連活動 96 0.2

4 輸送、配送(上流) 85 0.2

5 事業から出る廃棄物 12 0.0

6 出張 14 0.0

7 雇用者の通勤 71 0.2

8 リース資産(上流) ― ―

年度 2012 2013 2014 2015 2016(万トン)

物流部門のCO₂排出量 29.8 29.0 27.8 27.5 28.2

(g-CO₂/トン・km)

仕事量当たりのCO₂排出量 106.7 106.6 109.6 108.4 105.2

年度 2016(万トン)

物流部門のCO₂排出量 210

Challenge 2 ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

物流活動におけるCO₂排出量を低減するため、トヨタ自動車(TMC)では、生産・交換のための部品や完成したクルマの輸送効率の改善に取り組んでいます。2016年度は、積載効率向上活動をはじめとした燃費向上活動を継続し、仕事量(輸送量)当たりのCO₂排出量は105.2g-CO₂/トン・km(前年度比3.0%減)となりました。物流部門のCO₂排出量は、国内向け完成車輸送の増加などの影響もあり、28.2万トン(前年度比2.5%増)となりました。グローバルでは、2007年度より各国・各地域でのCO₂排出量把握を始め、2013年度からグローバル目標ガイドラインを明示。各国・各地域では、このガイドラインをベースに目標を設定し、低減活動に取り組んでおり、2016年度のグローバルCO₂排出量は210万トンとなりました。今後も、さらなる輸送効率の改善を図ることで、輸送量当たりの排出量低減を目指します。

Scope3への対応

物流活動における輸送効率の追求とCO₂排出量の低減

◦算出範囲は、主として財務連結における自動車事業◦「販売した製品の使用」によるCO₂排出量は、日本・米国・欧州・中国における平均的な

燃費値と自動車の一生涯での推定走行距離、2016年度の連結自動車販売台数、CO₂換算係数より算出

◦「リース資産(上流・下流)」は他カテゴリーで計上、「フランチャイズ」は対象外

◦各地域(北米・欧州・中国・東南アジア・南アフリカ・南米・日本の計7地域)で物流を統括する事業体が管理している生産部品、補給部品、完成車の輸送により発生したCO₂排出量の合計値

◦地域間(日本→北米など)の輸送は、算定対象外◦北米・中国・東南アジアの生産・販売事業体(物流を統括する事業体とは異なる)が直接

手配する輸送など、一部の物流は算定対象外◦CO₂排出量は、事業体ごとに定めた計算方法により算出

Scope3で定められた15カテゴリーの排出量および排出量比率(2016年度グローバル)

TMC物流CO₂排出量と仕事量(輸送量)当たりの物流CO₂排出量の推移(国内)

グローバル物流CO₂排出量

Scope3は、自社および連結会社の企業活動によるCO₂排出量(Scope1、2)だけではなく、調達する材料や部品、輸送、従業員の出張・通勤、お客様によるクルマの走行・メンテナンス、廃棄など、さまざまな段階でのCO₂排出量を把握し、今後の低減につなげるために設けられた算定基準です。2016 年度の算定結果は、Scope3 全体で CO₂ 排出量が40,175 万トン -CO₂ となりました。内訳を見ると、「カテゴリー 1」と「カテゴリー 11」の合計が Scope3 全体の

約97.1%で大半を占めています。「カテゴリー 1」はクルマを構成する材料や部品が製造されるまでの段階、「カテゴリー 11」はお客様によるクルマの使用段階に当たり、部品の軽量化や材料選定、燃費向上技術や次世代環境車の開発などが、CO₂排出量削減に通じる重要な方策となります。今後もScope3を把握し、技術開発などの対策につなげていきます。

◦CO₂換算係数:「ロジスティクス分野におけるCO₂排出量算定方法共同ガイドライン ver3.0」(経済産業省・国土交通省)などを使用

環境データ P55-T

環境データ P55-S

カテゴリー 排出量(万トン-CO₂) 排出量比率(%)9 輸送、配送(下流) 1 0.0

10 販売した製品の加工 107 0.3

11 販売した製品の使用 32,894 81.9

12 販売した製品の廃棄 371 0.9

13 リース資産(下流) ― ―

14 フランチャイズ ― ―

15 投資 15 0.0

カテゴリー 1 ~ 15合計 40,175 100

Third Party Assurance

Third Party Assurance

19  Environmental Report 2017 Challenge 2

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Challenge 2 ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

TMC CO₂排出量低減の改善取り組み結果(国内)

愛知県にある上郷物流センターでは、これまで補充用部品を65km離れた常滑倉庫に保管し、必要に応じて部品を取り寄せていました。しかし、輸送距離によるCO₂排出量が課題であったため、輸送効率の見直しを図りました。2016年8月より、上郷物流センターから11km離れた明知工場で保管していた一括生産品を他の工場に移動し、空いたスペースに常滑倉庫の補充用部品を移管。これにより、月当たり4,562kgのCO₂排出量を低減させました。さらに2016年末には、常滑倉庫の補充用備品すべてを明知工場に移管して常滑倉庫の利用を取りやめ、月当たり4,561kgのCO₂排出量を低減。併せて9,123kg/月の低減効果を得ました。

タイのバンポー工場では、輸入部品を港から工場まで運ぶコンテナの復路を、部品の輸出に再利用していました。しかし、再利用するコンテナは全体の2割程度で、残りのコンテナは空状態で港近くのヤード(保管庫)まで移動していました。こうしたムダをなくすため、残りのコンテナはバンポー工場に近いバンパコン工場を経由し、そこで輸出用部品を積み込むことで、コンテナの再利用率を9割以上としました。その結果、部品の輸出入に必要なトラック走行距離を

「390kmから233km」に減らし、コンテナ当たりのCO₂排出量は0.16トン、年間で約88トンの低減効果を得ました。

輸送距離:往復130kmCO₂排出量:11,595kg/月

輸送距離:往復22kmCO₂排出量:2,472kg/月

改善前改善後

常滑倉庫

明知工場上郷物流センター

輸送距離:210kmCO₂排出量:117トン/年

改善前改善後

輸出港

ヤード

バンポー工場

バンパコン工場

輸送距離:180kmCO₂排出量:100トン/年

輸送距離:233kmCO₂排出量:130トン/年

常滑倉庫利用停止による輸送距離の低減(日本)

輸送用コンテナの再利用率向上によるCO₂の低減(タイ)

改善の切り口 商品 主な改善内容 低減量(千トン)総輸送距離の低減 完成車 海上航路見直し、   

積載車積み台数向上など 1.2

生産部品 鉄道利用の拡大、   積載率向上など 4.6

補給部品 配車ルート見直しなど 0.7

合計 6.5

物流でのCO₂把握範囲

[ 日本国内 ]

[ 海外域内 ]

管理範囲(国内)管理体制充実化を推進中

取り組み状況

部品センター部品センター内製工場(組み立てユニット)

内製工場(組み立てユニット)

ボデーメーカーボデーメーカー

国内販売店国内販売店

物流センター(梱包工場)物流センター(梱包工場)

国内共販店国内共販店

海外販売代理店海外販売代理店

工場工場サプライヤーサプライヤー

物流センタ-物流センタ-

完成車完成車 補給部品補給部品輸入品輸入品生産部品生産部品

完成車完成車

サプライヤー

直送品

お客様お客様

お客様お客様

生産部品

管理範囲(海外)

Third Party Assurance

20  Environmental Report 2017 Challenge 2

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Challenge 2 ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

世界各地で都市化が進行するなか、低炭素化とスムーズな人の移動を実現するためには、クルマと社会システムが調和した都市交通政策・システムが必要であり、トヨタは低炭素モビリティ社会構築に向けた統合的交通マネジメント・プロジェクトへ積極的に参画しています。WBCSD*1は、経済成長、環境保全、社会開発の3つの柱からなる持続可能な発展を目指し、提言活動を行っています。トヨタが参画しているWBCSDのプロジェクトの一つ

「Sustainable Mobility Project 2.0」では、WBCSDに参画する企業らの最新テクノロジーや交通マネジメント手法を用いて、世界中の都市において持続可能なモビリティによる新しい社会システム構築を目的としており、6都市で実証プロジェクトが推進されています。実証都市の一つバンコクでは、トヨタがリーダーとなり、トヨタモビリティ基金の助成を受け、バンコク市内で渋滞が最も激しいサートン道路をモデルに交通マネジメントによる渋滞軽減実証に取り組んできました。2016年6月の第3社会実験では、パーク&ライド*2、シャトルバス、フレックスタイムなどの交通需要コントロールと、交通ボトルネック改善、信号の効果的な操作などの交通流マネジメントにより、ラッシュ時の移動にかかる時間を27%改善。官民連携による交通マネジメントの効果を実証しました。2017年2月には、「サートンモデル」をバンコク全域に展開するロードマップを、国家交通マネジメント委員会(議長:ソムキット副首相)へ提案。交通省が主導し、官官・官民連携によるロードマップの実行が承認され、同年4月には、サートンモデルプロジェクトクロージングセレモニー「Road to Deploy Sathorn Model to Bangkok」が行われました。これにより、トヨタなどの民間主導の実証フェーズから、タイ国主導によるバンコク全域での実行へ移行します。いまだ推進体制の整備、能力構築などの課題がありますが、トヨタは引き続き取り組み推進へ貢献していきます。

走行時のCO₂排出量を低減するための道路交通セクターにおける統合的対策の一つとして、グローバルでお客様、従業員へのエコドライブ普及活動を推進しています。エコドライブで、アクセルを穏やかに踏む発進や、車間距離をあけて加速・減速の少ない運転などを心がけることにより、燃費向上とCO₂排出量の抑制ができます。さらにエコドライブの実践は、安全運転にもつながります。2016年10月、TDEM(Toyota Daihatsu Engineering & Manufacturing)が、エコドライブの認知度を高めることを目的に、傘下のアジア地域の海外事業体および販売店に「AP Eco-Driving Guideline」を配付しました。このガイドラインでは、ガソリン車およびハイブリッド車のそれぞれについて最適なエコドライブのポイントが記されています。また、必要に応じてリーフレットの作成や、エコドライブによる燃費を競い合うイベントなどの開催も呼びかけています。今後、アジア地域ではこのガイドラインを使った従業員教育やお客様への啓発を進めていきます。

バンコク市における渋滞改善プロジェクト「サートンモデル」 グローバルでのエコドライブ普及促進

道路交通セクターにおける統合的なCO₂低減取り組みの推進

タイ交通大臣のアーコム氏(写真左から3番目)が参加したサートンモデルプロジェクトクロージングセレモニー

ガソリン車のエコドライブのポイント

ハイブリッド車のエコドライブのポイント

*1 WBCSD(The World Business Council for Sustainable Development):持続可能な開発を目指すグローバル企業約200社のCEOなどで構成される持続可能な発展のための世界経済人会議

*2 パーク&ライド:都市部や観光地の交通渋滞緩和のため、出発地からは自動車を利用し、途中で電車やバスなどに乗り換えて目的地まで移動する方式

21  Environmental Report 2017 Challenge 2

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工場CO₂ゼロチャレンジ

クルマの製造時にもCO₂が排出されます。そのため、気候変動を抑えるためのCO₂抑制は、クルマを製造する工場のチャレンジ目標にもなります。工場のCO₂排出ゼロは、製造技術の改善と使用エネルギー変更の2本柱で取り組みます。製造技術としては、製造工程のシンプル化、スリム化により工程や時間を短縮し、CO₂を低減します。また、エネルギーの利用効率を向上させることでも低減効果を得られます。さらに、エネルギーを使わない「からくり」を導入するなど、ありとあらゆる手段でCO₂排出量を抑制します。使用エネルギーの取り組みとしては、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーや水素エネルギーを有効活用していきます。

基本的な考え方

生産活動におけるCO₂排出量の低減活動

生産活動におけるCO₂排出量の低減に向けて、低CO₂生産技術の開発・導入および日々の低減活動に取り組んでいます。2016年度、トヨタ自動車(TMC)では着実な省エネ活動を推進し、CO₂排出量の多い塗装工程や鋳造工程を優先的に取り組みました。塗装工程では、水性プレヒート炉やブース空調機のガスバーナー化を実施。鋳造工程では、送気ロスの大きい工場圧縮エアーの使用量低減を目的としたパルスブロー化などのエアレス活動を推進しました。また、工程共通の省エネ活動としては、非稼働時間の確実な電源停止による電力・エアー使用量の低減や、LED照明の利用拡大に向けた取り組みを推進。その結果、生産台数当たりのCO₂排出量は0.398トン/台(前年度比2.5%減)、CO₂排出量は116万トン(前年度比0.7%増)となりました。グローバルでは、新ライン立ち上げ時の革新技術の導入や、

再生可能エネルギーを積極的に導入しました。また、工場の省エネ活動を支援する活動(ESCO)による蒸気レス、エアレス、LED化など、29の汎用事例を横展*するなど、現地現物での活動を加速し、グローバルでのエネルギー消費量低減につなげました。しかし、生産台数の増加にともない、CO₂排出量は787万トン(前年度比4.1%増)となりました。生産台数当たりのCO₂排出量は、一部の事業体でのモデル打ち切りや、ライン切り替えによる生産性の低下により、0.747トン/台(前年度比0.5%増)となりました。今後も、生産活動におけるCO₂低減に向けて、革新技術のさらなる導入とともに、蒸気レス活動の推進、日々の低減活動を積み上げるなどして、省エネ活動を加速させていきます。

生産活動におけるCO₂排出量の低減

Challenge 3

* 横展:改善事例やノウハウ、違反などの情報をグループ内で共有化すること

22  Environmental Report 2017 Challenge 3

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年度 2012 2013 2014 2015 2016

(万トン)

CO₂排出量 116 120 118 115 116

(トン/台)

生産台数当たりのCO₂排出量 0.415 0.414 0.413 0.408 0.398

◦対象範囲:生産部門、非生産部門(福利厚生施設を除く)◦換算係数:1990年の経団連係数を使用

Challenge 3 工場CO₂ゼロチャレンジ

年度 2012 2013 2014 2015 2016

CO₂総量(万トン)

TMC 122 126 125 121 122

日本(除くTMC) 367 373 366 355 361

北米 108 113 117 113 121

中国 55 66 65 69 70

欧州 27 29 29 27 30

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米 80 77 77 72 83

合計 759 784 779 757 787

(万トン)

Scope1 266 280 272 249 260

Scope2 493 504 507 508 527

(トン/台)

生産台数当たりのCO₂排出量 0.770 0.757 0.753 0.744 0.747

TMC CO₂排出量(エネルギー起源・固定発生源)と生産台数当たりのCO₂排出量の推移

グローバルCO₂排出量(エネルギー起源・固定発生源)と生産台数当たりのCO₂排出量の推移

2017年3月、第63回大河内賞において「大河内記念生産賞」を受賞しました。大河内賞は、公益財団法人大河内記念会が毎年、生産工学、生産技術、生産システムの研究開発ならびに実施などに関する顕著な業績を表彰する、伝統と権威ある賞の一つで、トヨタとしては16年ぶり、11回目の受賞となりました。受賞対象となったのは、クルマが完成するまでのさまざまな工程のなかでもCO₂排出量が最も多いとされる塗装ラインを対象とした、「容積とCO₂排出量を大幅に削減した新塗装ライン」(堤工場/プリウス生産ライン)の取り組みでした。今回、新たな塗装技術を開発・導入し、さらに塗装工程すべてのプロセスを徹底的に改善することで高い品質を確保しつつ、塗装ライン設備の容積を40%、ラインから排出するCO₂量を32%削減しました。本技術のポイントは、「工程の長さの短縮」「設備の高さの低減」「付帯設備の小型化」を実現した生産技術の開発であり、特にライン容積削減に最も貢献したのは、ブースアンダーセクションの低床化です。ボデーに付かなかった塗料を、遠心力を使いながら集塵する方法を新たに開発し、装置の小型化、圧力の低損失化によりCO₂排出量の削減に寄与しています。現在、本技術を採用した塗装ラインは、プリウスの生産ラインに採用されており、今後も国内外の工場への展開を予定しています。

従 来 新ライン

アンダーセクション(ボデーに付かなかった塗料を回収する部屋)

小型で圧力の低損失化を実現した集塵装置を開発

環境への負荷低減を実現した新塗装ラインを開発し、第63回「大河内記念生産賞」を受賞(日本)

第63回大河内賞 受賞式

塗装ブース(断面視)

環境データ P55-U

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計121社 ◦換算係数:GHGプロトコルを使用環境データ P55-V環境データ P54-Q

Third Party Assurance Third Party Assurance

23  Environmental Report 2017 Challenge 3

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Challenge 3 工場CO₂ゼロチャレンジ

生産現場におけるCO₂低減は、低CO₂生産技術の開発・導入および日常改善活動により引き下げていますが、各国・各地域の特性を考慮した再生可能エネルギーの活用も行い、地域No.1のCO₂低減活動に取り組んでいます。TMCでは、2008年にプリウスを生産する堤工場に、一般家庭約500軒分の電力に相当する定格出力2,000kWの太陽光発電システムを導入しています。2016年度は

1,981MWhの電力を発電しました。また2016年には、TMC本社工場や海外工場のTMMK(米国)やTSAM(南アフリカ)でも太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを導入しました。今後も、再生可能エネルギー導入については、環境性・地域性・経済性のバランスを見ながら積極的な導入を図ります。

再生可能エネルギーの利用促進

本社工場敷地内に2016年8月に竣工したエネルギー管理棟に、定置式の純水素燃料電池を導入し、省エネ対策と再生可能エネルギーおよび水素を活用することで、CO₂排出量ゼロを目指しています。具体的な取り組みとして、空調や照明のスイッチの「オン・オフ」を一人ひとりでできるようにして節電をするとともに、自然光や自然換気を利用した省エネ対策により、エネルギー消費量のミニマム化を図っています。また、導入した定置式の純水素燃料電池の定格出力は3.5kWで、これに太陽光発電、プリウスの使用済みバッテリーを再利用した蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントシステムを導入しています。このシステムでは、エネルギー需要予測に従って、主にエネルギー効率の高い燃料電池を運転し、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、効率的なエネルギー供給を実現しています。今回導入した純水素燃料電池は、小規模オフィス向けに新たに開発されたもので、商用運用は初めてとなります。今回の純水素燃料電池導入後の実証結果などを踏まえ、今後は工場内建物での効率的な水素活用技術の開発と導入を進めていきます。

ブラジルの車両販売・生産会社であるTDBは、ラインの稼働状況に合わせて設備をコントロールすることで、CO₂低減活動に取り組んでいます。活動は主に3つの柱からなります。まず、塗装工程では試行錯誤を繰り返し、乾燥炉からの臭いを熱分解するRTO*の運転時間を最適化することにより、生産台数当たりのCO₂排出量を1.65kg低減しました。原動力センターでは、コンプレッサーの配置換えと新しい制御システムの開発により、必要なときだけコンプレッサーが稼働するようにしました。その結果、200kWのコンプレッサー 1台が不要となり、生産台数当たりのCO₂排出量を0.11kg低減しました。溶接工程では、それまで手動で行っていた冷却塔の電源スイッチの「オン・オフ」を自動化し、非稼働時に冷却塔を停止することで、生産台数当たりのCO₂排出量を0.04kg低減しました。

太陽光発電

燃料電池システム

エネルギー管理棟

蓄電池

水素供給発電

発電放電充電

余剰電力充電

電力需給制御システム

H₂

改善前 改善後

冷却塔の電源スイッチの自動化により非稼働時に冷却塔を停止

配置換えと新しい制御システムの開発によりコンプレッサー1台を不要に

ON

OFF AUTO

定置式純水素燃料電池を活用したゼロエネルギービルを建設(日本)

TDB工場のCO₂低減活動(ブラジル)

エネルギー管理棟におけるエネルギーマネジメントシステムイメージ

* RTO(Regenerative Thermal Oxidizer):蓄熱燃焼式脱臭装置

24  Environmental Report 2017 Challenge 3

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[ 国内 ]

自然エネルギー など

海外再生可能エネルギー海外未利用資源 など

化石燃料

産業

天然ガス、石油、石炭

風力、太陽光、水力、地熱 など

[ 海外 ]

CO₂フリー水素

水素発電

発電

変動余剰吸収

再エネ電力

ガス、石油、石炭

運べる 貯められる

家庭 業務

街 オフィス

工場、鉄鋼、セメント、石油化学原料

そのままエネルギーとして

使える

運輸

EV/PHV、FCV、HV ※

2050年低炭素社会の目指す方向

パリ協定により、今世紀末までに世界レベルでCO₂排出量をネット(正味)ゼロにする「脱炭素化」が進められています。自然エネルギー由来の再生可能エネルギー電力が主力になってくるとともに、それらを有効に使うため、変動・余剰の吸収や化石燃料に代わるエネルギーの貯蔵・輸送手段として、水素に大きな期待が寄せられています。エネルギーが多様化するなか、クルマや工場のCO₂低減のみならず、トヨタはさまざまな地域社会の皆様と低炭素社会の実現に向けた取り組みに貢献していきます。

水素社会の実現に向けては、インフラやエネルギーとしての普及にまだまだ課題があります。トヨタはFCVの普及のみならず、国のロードマップと連動して地域社会、産業界とともに将来につながる水素利用の仲間づくりを積極的に行い、水素エネルギーの利用拡大、経済的自立化を目指していきます。

つくりたいのは、もっといい社会。トヨタの次のチャレンジです。2050年に目指したい低炭素社会

活動の方向性とステップ

CO₂マイナス80%を想定したエネルギーフローイメージ(2050年)

トヨタの当面のミッション

国の施策に呼応したトヨタの活動の方向性とステップ

FCVの普及を通じて水素社会の実現を目指す①国、地域、エネルギー業界と連携し、仕組みづくりや実証実験に積極的に貢献②

2016 2020 2025 2030 2040 2050

日本の水素・FC戦略ロードマップ

トヨタの基本的な取り組み方

フェーズ1 FCV・エネファームによる水素利用の飛躍的拡大

フェーズ2 水素発電の本格導入/大規模な水素供給システムの確立

フェーズ3 CO₂フリー水素本格化

実証モデルで将来のイメージ共有 将来につながる水素活用事例拡大

•東京オリンピック・パラリンピック•FCモビリティ*拡大•地域・産業界水素利用

「水素利用拡大」の仲間づくりを推進 経済的自立化支援

水素社会本格普及•ステーションインフラ の自立化•CO₂フリー水素 コスト低減

※EV:電気自動車、PHV:プラグインハイブリッド車、FCV:燃料電池自動車、HV:ハイブリッド車

* FCモビリティ:燃料電池を利用した交通環境や移動

25  Environmental Report 2017 2050年低炭素社会の目指す方向

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2017年1月、世界初の水素に関するグローバル・イニシアチブとして、「Hydrogen Council(水素協議会)」がスイス・ダボスで設立されました。これは、13の国際的企業のリーダーが、気候変動の目標達成に向け、水素利用を推進する新しい活動体で、トヨタも参加しています。多くの主要ステークホルダーと協働しながら、水素利用の推奨策を示し、共同の目標を達成していくことを目指しています。

2020年ごろのFCV販売目標は、グローバルで少なくとも年間3万台以上、国内では少なくとも年間1万数千台程度を目指します。

東京都へFCバスを納車し、都営バスとして運行開始(2017年3月)。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、100台以上を導入予定。

[ トヨタの役割 ]FCバス、FCリフトなどモビリティ提供

「福島新エネ社会構想実現会議」(2016年3月発足 経済産業省)(福島県)

創エネ

[ トヨタの役割 ]トヨタは、水素を利活用する立場で事業代表者として取りまとめ

京浜臨海部「京浜プロジェクト」再生エネルギー水素製造~利用サプライチェーン*実証

(中小規模密集型事業所モデル)(神奈川県)

創エネ

[ トヨタの役割 ]IOCトップスポンサーとしてサポートするとともに、FCVやFCバスなどのモビリティの提供と次世代モビリティ社会の構想支援

東京オリンピック・パラリンピック次世代モビリティ社会、クリーンな水素社会モデルを世界に提示

(東京都)

コミュニティ

[ トヨタの役割 ]トヨタ、豊田自動織機、豊田通商など各社が持っている水素の知見やFC技術で、関西国際空港主催のKIX水素グリッド委員会をサポート

関西国際空港「KIXプロジェクト」水素グリッド空港モデル実証

(大規模集中型)(大阪府)

コミュニティ

[ トヨタの役割 ]「2050年工場CO₂ゼロ」を目指し、水素利用技術を含めた将来の工場実証にトライ(元町工場でハイブリッド発電システムの実証開始 2017年4月)

2020年に「MIRAI」生産ラインにおいてCO₂ゼロ+水素利用実証開始

(愛知県)

工場

[ トヨタの役割 ]業界のリーダーとして愛知県と連携するとともに、モノづくり地域での水素利用をグループ各社と共に検討開始

「愛知県低炭素水素サプライチェーン*構築」愛知 × 大学 × 産業界で検討開始

(愛知県)

工場

太陽光発電で製造したCO₂フリー水素を燃料電池フォークリフトで活用開始

(2017年3月)[ トヨタの役割 ]トヨタ自動車九州が、産業モデルの代表として工場水素利用の実証に参加

「地産地消型グリーン水素ネットワーク」福岡県主導で産官学連携活動推進

(福岡県)

工場

「Hydrogen Council」設立地域 プロジェクト名

オーストラリア 「MIRAI」試験導入(2016年7月)

UAE 水素社会実現に向けた共同研究に参加(2017年1月)

中国 「MIRAI」を試験導入し走行実験開始(2017年1月)

カナダ 「MIRAI」を試験導入し走行実験開始(2017年2月)

アメリカシェルとトヨタ、カリフォルニア州で水素ステーション網拡充協力  

(2017年2月)

アメリカ ロサンゼルス港でFC大型トラック 実証実験開始(2017年4月)

水素社会実現に向けトヨタが関与する国内地域連携プロジェクト

主な海外プロジェクト(FCVの普及・水素利用に向けた連携)

*サプライチェーン:製造業における原材料調達から、 生産管理、物流、販売まで製品の全体的な流れ

26  Environmental Report 2017 2050年低炭素社会の目指す方向

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水環境インパクト最小化チャレンジ

2050年、世界の総人口は91億人、水の需要は現在より55%増加、その影響で水不足に悩まされる人は全人口の40%にも達する※、といわれています。クルマの製造では、塗装工程などで水を使用します。そのため、水環境へのインパクトを少しでも減らさなくてはなりません。対策としては、「使用量を徹底的に削減」と「徹底的に水をきれいにして還す」の二つがあります。これまでトヨタでは、雨水貯留による工業用水利用量削減、ろ過装置による水の再利用率向上、排水リサイクルによる水の再利用と、高い水質で地域に還すことを推進してきました。水環境の特性は、地域によって大きな違いがあります。今後は地域の要請に合った水環境への対応を世界に広げていきます。

基本的な考え方

生産活動における水使用量の低減に向けて、新ライン改装計画と連動した革新技術の導入や、日々の低減活動に取り組んでいます。2016年度、トヨタ自動車(TMC)では、生産工程における蒸気使用量の低減活動などにより、水使用量は10.7百万m³

(前年度比1.9%減)、生産台数当たりの水使用量は4.3m³/台(前年度比8.0%減)となりました。グローバルでは、各国・各地域の水環境事情に応じた地道な節水活動に取り組むとともに、水資源の乏しい地域では、水

リサイクルを促進しています。特に、水使用量の多い塗装前処理工程においては、ボデーの搬送姿勢を工夫して、付着した水が持ち出される量を低減するようにしています。しかし、生産台数の増加にともない、水使用量は31.3百万m³

(前年度比7.0%増)となりました。生産台数当たりの水使用量は、一部の事業体でのライン切り替えによる生産性の低下により、3.0 m³/台(前年度比1.4%増)となりました。今後も、節水活動や水リサイクルの促進などで、水環境インパクトの最小化に向けた取り組みを進めていきます。

生産活動における水使用量の低減

※ トヨタ調べ

Challenge 4

27  Environmental Report 2017 Challenge 4

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Challenge 4 水環境インパクト最小化チャレンジ

トヨタの世界各地にある工場では、生産活動における水使用量を低減すべく、各国・各地域の水環境事情に応じた地道な日々の低減活動に取り組んでいます。ここでは3地域の取り組み事例を紹介します。

冷却水の改質による水使用量低減南アフリカの水質はマグネシウムとカルシウムが比較的多く含まれている硬水のため、南アフリカの製造事業体TSAMでは、これまで成形用や冷却水系統の機器が詰まりやすく、頻繁な水の入れ替えを行ってきました。この問題を改善するため、前処理としてアルカリ性側に改質した水を冷却水に使用して詰まりを解消。年間水使用量を48㎥低減しました。

水使用量の見える化と周辺装置の最適制御化による水使用量低減アルゼンチンの製造事業体TASAでは、2004年以降、生産現場の能力増強を繰り返し実施してきたため、当時の4倍以上の生産能力を持つ現場となりました。一方、こうした設備拡張が当初のエネルギー利用の考え方と整合しなくなった生産ラインも出てきたため、仕様の再確認に取り組んでいます。塗装工程では、上塗りブースの帯電防止用に使用しているコンベヤーレール水の使用量を見える化すると同時に、周辺装置の最適化制御により、年間水使用量を約1万4,000㎥低減しました。

スプレーノズルの変更、噴霧のタイミングなどによる水使用量低減米国の製造事業体TMMMSの塗装工程では、生産数の変動により、前処理および電着工程段階において、スプレーの噴霧後、アワ(バブル)が発生したり、ドレン(排水装置)不良による汚れや不具合が目立ったりしていました。この問題を改善するため、スプレーノズルの種類を変更し、スプレーのタイミングや噴霧量を最適制御することにより、年間水使用量を11㎥低減しました。

各国・各地域の水使用量低減の取り組み(南アフリカ・米国・アルゼンチン)

硬水のカルシウムが付着した排水管(左)とアルカリ性側に改質した冷却水(右)(TSAM)

スプレーノズルの改善前(左)と改善後(右)(TMMMS)

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(百万m³)

TMC 5.1 5.3 5.2 4.9 4.7

日本(除くTMC) 10.5 12.1 11.9 11.3 12.1

北米 5.0 5.0 5.3 5.0 5.9

中国 2.5 2.6 2.5 2.5 2.2

欧州 1.0 1.4 1.2 1.1 1.4

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米 5.1 4.8 4.9 4.5 5.0

合計 29.2 31.2 31.0 29.3 31.3

(m³/台)

生産台数当たりの水使用量 3.2 3.1 3.0 2.9 3.0

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(百万m³)

水の総使用量(全社) 11.5 11.6 11.5 10.9 10.7

(m³/台)

生産台数当たりの水使用量 4.8 4.9 4.9 4.7 4.3

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計38社の車両組み立て工場      2013年度より対象会社を追加◦過去のデータに誤りがあったため修正

TMC水使用量と生産台数当たりの水使用量の推移

グローバル水使用量と生産台数当たりの水使用量の推移

Third Party Assurance Third Party Assurance

◦対象範囲:生産部門、非生産部門(福利厚生施設を除く)◦生産台数当たり水使用量は、車両組み立て工場の生産台数当たり原単位を示す

28  Environmental Report 2017 Challenge 4

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2000年 2050年

IN OUT

トヨタ水環境方針

水環境インパクトの最小化チャレンジ

グローバルの水環境

91億人 40%* 水ストレス:年間一人当たりの最大利用可能水資源量で1,700m³が最低基準 とされており、これを下回る場合は「水ストレス下にある」とされています

各工場で水の取水量を最小化し、さらに雨水を活用することで

地域の水資源への影響を最小化

きれいな水を地域に還すことで、環境にプラスのインパクトを与える

水使用量の徹底的な削減 社会全体の豊かさにつながる“地域で一番の工場”

徹底的にきれいにして還す

1.55倍世界の人口約91億人まで

増加

世界の人口の40%が水ストレス*

もしくは水不足世界の水需要

約1.55倍

トヨタは水の持続可能性への配慮に努め、将来にわたって健全な水環境を共有できる豊かな社会を目指します。

Challenge 4 水環境インパクト最小化チャレンジ

水は地球上を循環している資源です。その循環の途中で私たちは水を使い、排水しています。水はローカルな資源でもあり、誰かが水を使いすぎると、その地域に住むほかの方の利用可能性を奪うことになりかねません。また、使ったあとの水が汚いままだと、それは水を失ったに等しいといえます。さらに、近年は気候変動の影響により水資源の偏在が深刻化し、より地域性を考慮した取り組みが必要となってきました。

クルマづくりにはたくさんの水を必要とします。そのためトヨタは、使用量を徹底的に削減する「IN」と、使った水を徹底的にきれいにして還す「OUT」の、2つの側面から、水環境へのインパクトの最小化を進めています。地域によって異なる水事情を踏まえ、「量」と「質」の取り組みをグローバルで展開し、社会全体の豊かさにつながる

“地域で一番の工場”を目指します。

地域によって取り組むべき課題や対策が異なるなかで、トヨタが水環境チャレンジをグローバルで達成するには、共通の考え方のもと取り組んでいく必要があります。そこで、トヨタ水環境方針を取りまとめました。

水環境方針は、「基本となる考え方」「水環境インパクト最小化チャレンジ」「取り組みの3つの方向性(技術の追求・地域に根ざした操業・社会との連携)」から構成され、この方針に沿って水環境の豊かな社会を目指していきます。

地域で一番の工場を目指して、社会と連携するトヨタの水環境チャレンジ

トヨタ水環境方針の策定

取り組みの 3 つの方向性

技術の追求技術の可能性を追求し、水資源の徹底的な効率利用を推進します。

地域に根ざした操業水を地域の財産であると認識し、より良い水環境のために継続的な対策に努めます。

社会との連携ステークホルダーとの連携・協働を推進するため、積極的なコミュニケーションと情報開示に取り組みます。

29  Environmental Report 2017 Challenge 4

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Challenge 4 水環境インパクト最小化チャレンジ

各国・各工場の水環境の現状を把握するため、各種データベースや評価ツールにより、さまざまな情報を収集しました。さらに、工場操業のデータを加え、水量や水質、その他さまざまな観点で水環境へのインパクトの大きさを評価。特にチャレンジを推進する工場として、「チャレンジ優先工場」を設定しています。例えば、水量ではグローバルの4拠点で優先的な対策導入を開始し、開発した技術や対策は、グローバルでの共有を進めています。また、水環境の調査と評価は、各国・各地域の環境の変化へ対応させるため、アップデートを重ねていきます。

トヨタは、従来より水資源の効率的な利用を目指し、日常の改善や排水リサイクル、雨水の利用などを推進してきました。水量低減のため水使用量の多い塗装工程にて、従来は当たり前と捉えていた条件の見直しを実施しました。例えば、ボデー洗浄の水質と品質の関係を一から調査し、水質の管理項目を追加することで、今まで必要だと思われていた約半分の水量で十分な洗浄ができるようになりました。また、センサーを取り付け、車両が通るときのみにスプレーを動かすことで水を流し、水使用量の低減につなげました。トヨタでは徹底的な改善活動と革新技術の開発を継続しており、培った技術やノウハウの展開を進めています。

トヨタは、ステークホルダーとの連携と情報開示に積極的に取り組んできました。地域社会とは、協議会や工場見学会などを実施し、双方向のコミュニケーションを充実させています。また、環境報告書やウェブサイトを通じて、幅広いステークホルダーとのコミュニケーションも図っています。

情報開示では、CDPが公表した水管理の格付け「CDPウォーター」で2年連続最高ランクのA評価を獲得し、マネジメントや環境開示が評価されています。今後も地域一番の工場を目指し、コミュニケーション・情報開示に努めていきます。

水環境インパクト最小化を実行する4つのプロセス

チャレンジ優先工場の決定 一滴にこだわった、水の徹底的な効率利用

地域社会とのコミュニケーション・情報開示

チャレンジ優先工場(2016年時点)

センサーの導入欧州

日本

豪亜 南米南ア

中国 北米

クルマがないときも水が出る

クルマがないときは水が止まる

センサーがあると

水環境の現状把握とチャレンジ優先工場の決定

① チャレンジ優先工場でのインパクト最小化の実現

グローバルトヨタ全体での水環境インパクト最小化③ ④

水を徹底的に使い切る技術の開発②

トヨタは4つのプロセスに沿って、チャレンジを進めていきます。

30  Environmental Report 2017 Challenge 4

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循環型社会・システム構築チャレンジ基本的な考え方

石油由来の樹脂の使用量低減 希少資源/リサイクル材の再利用推進

石油由来の樹脂の使用量を低減し、今後のグローバルな経済発展を持続可能なものとするため、90年代初頭から、トヨタ販売店で修理交換されたバンパーを回収・リサイクルしています。廃車から回収される樹脂部品は、中古部品として再利用される以外は、熱源としてエネルギー利用されるか、機械分別の工程を経て、自動車用途以外の樹脂にリサイクルされていました。このような状況のなか、2016年度は中部地区の解体事業者や再生樹脂メーカーと連携し、廃車から発生する使用済み樹脂を回収・リサイクルする仕組み構築に向けた事前検討の一環として、延べ3回にわたる廃車由来樹脂の回収・リサイクルのトライを実施しました。樹脂リサイクルの一層の促進が求められるなか、今後も引き続き、廃車由来樹脂の回収・リサイクルの技術検討を進めていく予定です。

ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などの次世代環境車には、従来のガソリン車に比べ、多くの希少資源が用いられています。これらの資源の中には、資源枯渇や地域偏在などのリスクを有するものも少なくありません。そこで、こうした希少資源やリサイクル材の再利用を推進するため、関係協力会社と共同で、ハイブリッドバッテリー・ハイブリッドモーターなどの部品や、生産で使用する超硬工具などを、回収・リサイクルする仕組みを立ち上げています。例えば、ハイブリッド車に使用されるバッテリーには、ニッケルやコバルトなどの希少金属が含まれています。そのため、1997年に「初代プリウス」を発売以降は、独自の回収ネットワークを構築して使用済みバッテリーのリサイクルに取り組んでおり、2017年3月時点の累計回収台数は、7万3,300台となりました。

再生可能資源・リサイクル材活用による枯渇天然資源の使用量低減

世界的に人口が増加し、経済発展や利便性追求により、資源消費のスピードが上がっています。このまま大量採掘が続けば資源は枯渇し、大量消費によって廃棄物が増えれば、適正な処理が追いつかず環境汚染につながります。そのため、環境負荷を抑えて廃車を処理する社会システムの構築を目指す「Toyota Global 100 Dismantlers Project」を立ち上げ、推進していきます。理想的な資源循環社会を実現するためには、資源効率向上のため「エコな素材を使う」「部品を長く使う」「リサイクル技術の開発」「廃車されるクルマからクルマを作る」の4本柱で取り組む必要があります。究極の循環型社会の実現を目指し、世界各地で使用済み自動車(廃車)の資源が再びクルマを製造する際の資源として活用できるよう、「Toyota Global Car-to-Car Recycle Project(TCCR)」を推進していきます。

環境データ P53-J・L・M

Challenge 5

31  Environmental Report 2017 Challenge 5

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次世代環境車の普及がより一層進むことで、バッテリーやモーターなど希少資源を含む廃部品は増加すると想定されています。今後も、廃部品やCFRPのマテリアルリサイクル活動を継続していきます。

回収したバッテリーは、検査した上で再利用可能なものは再組み立てし、定置用の蓄電池や車両用の交換電池として再利用しています。再利用に適さないものは金属素材リサイクルしています。ハイブリットモーターの磁石リサイクルでは、2012年の取り組み開始以降、2017年3月時点で累計28トンを回収し、レアアースをリサイクルしています。超硬工具に使用されるタングステン*1も同様に、2010年にリサイクルシステムを確立しています。2017年3月時点の超硬工具の累計回収量は約154トンで全量リサイクルしています。また、今後軽量化のために使用が拡大すると考えられるCFRP*2の適正処理としてサーマルリサイクル*3のめど付けを進めており、同時に、2016年度にはマテリアルリサイクルに向け、「炭素繊維の分離・回収の技術」の開発にも着手しました。

Challenge 5 循環型社会・システム構築チャレンジ

廃車の資源循環を推進するため、国内外の解体事業者を実際に訪問して実情を調査した上で、解体しやすく分別しやすい構造を、2003年発売の「ラウム」以降、新型車両に積極的に採用しています。2016年度発売の「プリウスPHV」やレクサス「LC」には、トヨタの新しいクルマづくりのコンセプト「TNGA*1」が採用され、優れた操縦安定性、振動やふらつきの少ない快適な乗り心地などが追求されています。そのため低重心化・低フード化により、エンジンルームは狭くなっていますが、スペー

ス上相反するワイヤーハーネスの引き剥がしなどの解体作業が安全かつ短時間で行えるよう、易解体設計を織り込みました。今後も、新構造・新材料部品など、新たな技術の採用が必要な場合も「易解体設計」を織り込むことで、車両解体性の維持・向上に努めます。

資源回収しやすい「易解体性トップレベル」の実現

28トンハイブリッドモーターの磁石累計リサイクル量

*1 タングステン:全量輸入の資源で、超硬工具の刃先部の8割に使用されており、代替可能性が少ない資源

*2 CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics):炭素繊維強化樹脂*3 サーマルリサイクル:廃棄物の焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・

利用すること

解体しやすい車両構造

従来より引き剥がし荷重を30%低減できるポイントを割り出し、解体性向上マークを付けました。

ドアトリム*2の引き剥がし

「プリウス」からさらに部品の取り外し時間を削減。新たに解体性向上マークを付け、重い部品をバランスよく吊り出せるようにしました。

ハイブリッド車用バッテリーの重量部品の取り外し ワイヤーハーネスを、他部品に干渉する

ことなく引き剥がすことができます。

ワイヤーハーネス*3 プルタブ式アース端子部採用

ワイヤーハーネス配置の工夫

組み付け状態 解体時

V字ミゾの設置によりインパネ部分を強く引っ張ると容易に取り外せるようにしています。

インストルメントパネルの取り外し

解体作業のきっかけとなるポイントに「解体性向上マーク」を付けました。

「解体性向上マーク」の採用

引き剥がし方向

薄肉部より分離

*2 ドアトリム:ドアの内張りパネル

*3 ワイヤーハーネス:クルマ内の隅々に張り巡らされ、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にした集合部品

7万3,300台使用済みバッテリーの累計回収台数

*1 TNGA(Toyota New Global Architecture):トヨタが全社を挙げて取り組む、クルマづくりの構造改革。パワートレーンユニットやプラットフォームなどを一新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指す

32  Environmental Report 2017 Challenge 5

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Challenge 5 循環型社会・システム構築チャレンジ

廃車が不適切に放置されたり解体されると、地域の環境に影響を及ぼしたり、地域住民の健康や安全を脅かす恐れがあります。こうした事態を未然に防ぐため、世界各地で環境に負荷をかけず、廃車を適正に処理する社会システムの構築を目指す「TOYOTA Global 100 Dismantlers Project」を推進。これまで蓄積してきた廃車処理の技術やノウハウを生かして、社会システム構築の実現に貢献しています。2016年度は、十分な解体設備や工具のない国や地域のことも想定し、身近に手に入る工具を用いて解体作業を行う「廃車の適正処理マニュアル(基礎編)」の作成に取り組みました。引き続き廃車の流通実態を調査し、各国・各地域のインフラ事情に見合った処理レベルを設定し、現地事業体とも連携して、廃車の適正処理に向けた活動を進めています。世界には、廃車が大量に発生する可能性が高い地域がい

究極の循環型社会を実現するために、リデュース・リユース・リサイクルの考えに基づき、資源リスクや地球温暖化への対応を軸に進めている「TOYOTA Global Car-to-Car Recycle Project(TCCR)」を推進しています。2016年度、グローバルな循環型社会の構築に向けて、日本でのモデルケース構想から着手し、雛形として確立していきます。2030年をマイルストーンに設定した上で、あるべき社会システムを描き、課題抽出と対策立案を検討しています。一方、ハイブリッドバッテリーについては、今後も海外で増えていくと予想されています。2016年度、バッテリーリサイクル体制のグローバル化に向けて、日本のリサイクル処理能力を増強し、回収・リサイクルの仕組みをステップアップさせる検討を始めました。このプロジェクトが目指す究極の目標は、クルマの部品や材料を同一部材に再利用する水平リサイクルです。クルマ

の部品や素材をクルマの原材料に戻す「再資源化」と、再生した原材料をクルマの部材として使いこなす「再生材の活用」の両方のフェーズで、段階的にレベルアップを図ることで「Car-to-Car リサイクル」を推進していきます。

くつか存在しています。こうした地域も含め、「TOYOTA Global 100 Dimantlers Project」の取り組みを段階的に拡大することによって、廃車を適切に処理し、効率的な資源回収もできる循環型社会の構築を目指していきます。

日本で培った廃車適正処理による国際貢献

廃車資源に対するオリジナルリサイクルシステムの海外展開

廃車の適正処理のイメージ

「Car-to-Car リサイクル」の推進イメージ

フロンガスの回収 廃油・廃液の回収

【 再資源化 】 【 再生材の活用 】 【 製品 】

Car-to-Car リサイクル(水平)

Car-to-Car リサイクル(他部品)

Car to 他産業

クルマレベルアップ

レベルアップ

他産業 to Car

他産業

環境データ P53- I

33  Environmental Report 2017 Challenge 5

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Challenge 5 循環型社会・システム構築チャレンジ

生産活動における廃棄物の低減に向けて、発生源対策・廃棄物発生量・資源ロス・コスト低減などの観点から、生産技術の開発・導入および継続した日々の低減活動に取り組んでいます。2016年度、トヨタ自動車(TMC)では、汚泥の減容化など廃棄物低減対策に継続して取り組み、廃棄物量は33.8千トン(前年度比4.1%減)、生産台数当たりの廃棄物量は

11.6kg/台(前年度比7.2%減)となりました。グローバルでは、廃棄物低減対策の継続、コスト低減につながる活動に取り組み、生産台数当たりの廃棄物量は45.0kg/台(前年度比0.7%減)となりました。しかし、一部の事業体で、集計の管理対象となる廃棄物が増えたことにより、廃棄物量は474千トン(前年度比2.9%増)となりました。

生産活動における排出物の低減と資源の有効利用

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(千トン)

廃棄物量 33.9 36.0 35.9 35.2 33.8

(kg/台)

生産台数当たり廃棄物量 12.1 12.4 12.5 12.5 11.6

年度 2012 2013 2014 2015 2016

廃棄物量(千トン)

TMC 34 36 36 35 34

日本(除くTMC) 367 365 353 348 359

北米 31 32 29 29 30

中国 19 20 17 17 17

欧州 10 14 14 11 12

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米 26 27 26 21 22

合計 487 494 475 461 474

(kg/台)

生産台数当たりの廃棄物量 49.4 47.7 46.0 45.3 45.0

◦対象範囲:生産部門、非生産部門(福利厚生施設を除く)◦生産部門における廃棄物の集計対象:生産活動にともなうもの◦廃棄物量:逆有償リサイクル*+焼却廃棄物+埋立廃棄物* 逆有償リサイクル:費用を支払いリサイクルするもの◦過去のデータに誤りがあったため修正

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計121社

◦廃棄物量:逆有償リサイクル+焼却廃棄物+埋立廃棄物

TMC廃棄物量と生産台数当たり廃棄物量の推移(国内) グローバル廃棄物量と生産台数当たりの廃棄物量の推移

インドの製造事業体TKMでは、製造工程から発生した廃液・廃水を生物処理によって浄化し、きれいな水に戻した後、散水に利用したり池に戻したりしています。一方、排水処理場で水に含まれる有機物を微生物(バクテリア)に分解させる生物処理では、増殖したバクテリアの死骸をバイオ汚泥として廃棄物処理をする必要があり、2009 ~ 2015年まではこれを埋め立て処理していました。しかし、埋め立て処理は分解まで数カ月の時間を要することや、埋め立て処理場にはバンガロール周辺から毎日トラック500台分のバイオ汚泥が持ち込まれていたため、処理方法を再検討し、ミミズを利用した堆肥化の取り組みを推進することとしました。ミミズを利用した場合、堆肥になるまでの全工程は35日間で完了します。この取り組みの結果、バイオ汚泥の埋め立て量はゼロとなりました。また、得られた堆肥は、肥料や土壌改良剤として優れたバイオマス資源となり、工場内の植樹や地域の農場の肥料として有効活用するとともに、ミミズを投入したバイオ汚泥に細かくカットしたガーデン廃材(木材など)を加えると分解反応が促進されるため、最適な投入量を現在調査しています。

ミミズを利用したバイオ汚泥の堆肥化によって埋め立て量ゼロを実現(インド)

環境データ P54- Q

処理前の養生状態(左)、処理後の養生状態(右)

Third Party Assurance Third Party Assurance

34  Environmental Report 2017 Challenge 5

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物流にともなう梱包・包装資材を低減するため、トヨタ自動車(TMC)では部品充填率の向上、使い捨ての梱包・包装資材を減らすためのリターナブル化*、梱包・包装資材のスリム化・軽量化などに取り組んでいます。2016 年度は、梱包・包装資材のスリム化および出荷容器のリターナブル化などに継続して取り組み、出荷容積当たりの梱包・包装資材使用量は6.87kg/m³(前年度比6.7%減)となりました。梱包・包装資材使用量は、物量変動などの影響もあり、年間総使用量は51.4 千トン(前年度比1.0%増)となりました。

グローバルについては、使用量の把握とともに、好事例の収集に努めています。2008年度より各国・各地域で使用量把握を始め、北米以外はほぼ実施済みです。北米は、仕入先使用分の把握が難しく、把握方法を調整中です。今後も、輸送時の省資源化を進め、梱包・包装資材使用量の低減に取り組みます。

Challenge 5 循環型社会・システム構築チャレンジ

TMC梱包・包装資材使用量低減の改善取り組み結果(2016年度国内)

改善テーマ 商品 主な改善内容 低減量(千トン)

スリム化など 生産部品 生産改善、リユースなど 0.37

補給部品 包装仕様スリム化 0.20

補給部品 収容数向上、梱包仕様の簡素化など 0.03

リターナブル化 補給部品 リターナブル容器の適用拡大(品目拡大) 0.14

合計 0.74

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(千トン)

梱包・包装資材使用量 56.0 56.3 51.7 50.9 51.4

(kg/m³)

出荷容積当たりの梱包・包装資材使用量 7.23 6.97 6.98 7.36 6.87

物流活動における梱包・包装資材の低減と資源の有効利用

TMC梱包・包装資材使用量の推移(国内)と出荷容積当たりの梱包・包装資材使用量の推移(国内)

Third Party Assurance Third Party Assurance

* リターナブル化:物流に使用した梱包資材を、出荷元に戻し、再利用すること

35  Environmental Report 2017 Challenge 5

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人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

人と自然が共生していくためには、各地域の豊かな森や自然を守っていかなくてはなりません。しかし、世界では森林の減少が進み、多様な生きものの生息域が分断され、生物多様性の損失が進んでいます。トヨタでは、地域ごとの「いい町・いい社会」を実現するために、工場の森づくり、環境保全活動、環境教育を進めてきました。今後はさらに、国内外各地で活動の輪を広げる3つの「つなぐ」プロジェクトを立ち上げ、活動を推進していきます。また、これまでの知見をグループ、地域、団体の活動につなぎ、人と自然が共生する未来を目指します。

基本的な考え方

トヨタやグループ各社は、これまでも単独で工場の森づくり、周辺の環境保全などを進めてきました。こうしたさまざまな自然共生活動を「つなぐ」取り組みが、「Toyota Green Wave Project」です。

トヨタグループの自然共生活動の輪を国内外各地で広げ、その結果として生息域が広がり、生物多様性に寄与するサステイナブルな社会づくりを目指します。

各事業所・各地域の活動を“地域をつなぐ”自然保全活動の推進 ― Toyota Green Wave Project

「Toyota Green Wave Project」活 動 の 受 け 皿 と し て、2015年5月に「オールトヨタ自然共生ワーキンググループ」を23社で立ち上げ、トヨタグループの自然共生の取り組み拡大や情報発信の充実、グループの連携強化などに取り組んでいます。2016年度の国内実績は、オールトヨタ個社活動の合計116件で、企画時より17%増となるなど、着実に活動が進展しています。また、参加会社同士のつながりが実を結び、中部エリアを中心に日本全国へと広がっています。さらに、オールトヨタ統一活動として、春に続き2回目となる「つなぐ」活動を実施。2016年10月、ラムサール条約の登録地である藤前干潟清掃活動「藤前干潟クリーン大作戦」

(名古屋市)へ、15社・21人で団結して参加しました。

オールトヨタ自然共生ワーキンググループ活動

◦Toyota Green Wave Project 「地域をつなぐ」

◦Toyota Today for Tomorrow Project 「世界とつなぐ」

◦Toyota ESD Project 「未来へつなぐ」

* ビオトープ:自然の生態系を身近に感じられ、動物や植物が  恒常的に生活できるように造成または復元された小規模な生息空間※ 生態系モニタリング、外来種対策、海辺の生態系保全

森林保全・里山整備

希少動物・生態系保全

工場の森づくり

水(水域保全、流域水質改善)

ビオトープ*でつなぐ活動

その他※

34.5%

18.6%

15.9%

15.0%

8.0%

8.0%

オールトヨタ自然共生ワーキンググループ個社活動実績(国内116件)

オールトヨタ第2回統一活動

Challenge 6

36  Environmental Report 2017 Challenge 6

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Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

「プリウス」を生産する堤工場をモデル工場として、2007年より「サステイナブル・プラント活動」に取り組んでいます。活動のコンセプトは「自然を活用し、自然と調和する工場づくり」で、エネルギー低減・エネルギー転換・地域交流・生態系の保全に取り組んでいます。こうした活動のなか、世界各地の従業員・家族・地域の皆様で進めてきた工場の森づくりは、2016年に国内外の拠点での植樹本数が累計118万本となり、多様な生物が生息するなど、自然や生きものを育む拠点となっています。元町工場にある環境センター*では、生きものの生育環境の整備として工場敷地内で植樹を進め、従業員のエコマインド向上を図ってきました。 2016年には植樹エリアにビオトープを整備しました。同エリアでは植樹した樹木が成長したことや、水辺を創出した

ことで生育環境の多様化が一層促進されました。従業員による生物調査によって、カワセミ、キマダラセセリ、ギンヤンマなどが確認され、トンボを指標とした調査では、ビオトープ整備前に6種だったトンボの種数が整備後には14種に増え、生育環境の整備効果が確認されています。今後も生育環境の整備をさらに進め、人と自然が共生する工場づくりを進めていきます。

サステイナブル・プラント活動

従業員調査により確認された生きもの

* 環境センター:トヨタの工場などで発生する可燃性の廃棄物から得られるエネルギーを、元町工場で活用するプラント。中では低炭素、資源循環、自然共生に関するさまざまな実験的取り組みが行われています

2016年6月には、「Green Wave Project」の意義や生物多様性の大切さ、グループ各社の取り組み事例を紹介した冊子

(vol.1)を従業員に配付しました。2017年6月には、国内に広がり始めたオールトヨタの2016年度の取り組みを盛り込んだ冊子(vol.2)を発行し、従業員の活動への参加意識向上や横断的な協力の重要性を、継続して啓発しています。

『オールトヨタ グリーンウェーブ プロジェクト』冊子(vol.2)発行

冊子中面(2016年度チャレンジMAP)

http://www.toyota.co.jp

トヨタ 環境 グリーンウェーブ 検索

アサマイチモンジチョウ キマダラセセリ ギンヤンマハグロトンボ

コゲラ

キセキレイ

カワセミ

ビオトープ

37  Environmental Report 2017 Challenge 6

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Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

愛知県豊田市と岡崎市にまたがる地域に、持続可能な次世代モビリティ開発のため、新しい研究開発施設の建設を進めています。この事業では、「自然と共存し地域と調和するテクニカルセンター」をコンセプトに、事業予定地の約6割を保全エリアとして残し、地域の皆様と共に、森林、谷津田の再生やその管理を行っています。また、その取り組み状況や得られた新しい知見などを、積極的に情報公開しています。これまで谷津田の水路やため池に棲む希少種のホトケドジョウを守るため、谷津田での農薬・化学肥料の使用の抑制、放棄水田の復元を進めてきました。2016年度はそれに加え、ホトケドジョウが自由に移動しやすいよう、流れの速いU字

溝を石張りの水路にして穏やかな流れをつくる水路のネットワーク化を進め、その工事が終了しました。これらの取り組みの効果については、魚体に標識を付け、水路をどのように移動しているか確認しています。

新研究開発施設の「自然・地域との共生」に向けた取り組み

工事前の水路(左)と工事後の石張りの水路(右)

ホトケドジョウ

アカウミガメの産卵地として知られる愛知県渥美半島の表浜海岸で、養浜活動を展開しているNPO法人「表浜ネットワーク」「あかばね塾」の取り組みに賛同し、2011年から従業員と家族が保全活動を行っています。これまでも、海岸清掃や、砂の堆積を促す「堆砂垣」、2016年度からは葦を活用した「草方格*」づくりに取り組んできました。2017年3月には、海岸に近い田原工場と本社地区の従業員と家族190人が参加し、5月から産卵に訪れるアカウミガメを迎える準備を整えました。

2016年7月、インドの製造事業体TKMは、バナルガタ国立公園において植樹会を実施し、500本の苗木を植えました。このイベントには600人の従業員が家族とともに参加し、南バンガロールのデリー公立学校から生徒150人、カルナタカ森林局からも100人が参加しました。植林による森林再生は、CO₂削減に最も有効な手段といわれています。成長した木は年間20kgのCO₂を吸収し、約118kgの酸素を生み出します。TKMは2009年に大規模な植林事業を開始し、これまでに26万5,000本の苗木を植樹しました。TKMのラジュ・ケットコール副社長は、「トヨタの文化には、環境保護の考えが根付いています。環境汚染に対抗するには、環境に対する意識を高めるだけではなく、地域と協力して対策を進める必要があります。そのため、従業員には植林活動や環境月間の活動に参加してもらうようにしています」と語りました。

アカウミガメ産卵地保全活動(日本)

CO₂削減に向け国立公園の森林再生に協力(インド)

表浜海岸アカウミガメ産卵地保全活動

植林活動に参加した子どもたち

* 草方格(そうほうかく):枯草や枝を碁盤の目状に地中に差し込むことで、地表面の風速を低減させて砂の移動を止める技術

38  Environmental Report 2017 Challenge 6

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Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

* WWF(World Wide Fund for Nature):世界自然保護基金

これまで「トヨタ環境活動助成プログラム」や中国・フィリピンにおける植林活動など、国内外の環境NGOとの活動を行ってきました。今後は、長年継続してきた環境活動助成を、

「Toyota Today for Tomorrow Project」としてグローバ

ルに強化し、世界で自然保全活動をしている団体と協働で、自然共生・生物多様性分野の課題解決につながるようなプロジェクトを立ち上げ、社会に貢献していくことを目指します。

自然・生物多様性保全を“世界とつなぐ”環境活動への助成の強化 ― Toyota Today for Tomorrow Project

2016年7月、持続可能な社会の実現に向けて、WWF*と5年間のパートナーシップを開始しました。これは、自動車業界として世界初、日本企業初の「WWFグローバル・コーポレート・パートナーシップ」です。生物多様性保全の取り組みとして、トヨタは2016年に100万米ドルを「生きているアジアの森プロジェクト“Living Asian Forest Project”」に助成し、支援を始めています。このプロジェクトは、WWFが東南アジアの熱帯林と野生生物を守るために実施してきた活動を強化し、また新たな保全活動へと展開するものです。活動場所は、WWFが世界の優先保全地域に指定しているインドネシアのボルネオ島(カリマンタン)とスマトラ島に加え、将来はメコン地域へも広げていく予定です。特に今回は、森林生態系を保全するためには、天然ゴムの持続可能な生産と利用が重要であると考え、これを普及する活動に注力します。自動車用タイヤの主要原料である天然ゴムは、今後需要が一層拡大することが見込まれており、産業界・他のステークホルダーとも協力して、WWFが推進する天然ゴムの持続可能性に関する取り組みに積極的に貢献していくことを目指しています。

WWFと「生きているアジアの森プロジェクト」で5年間のパートナーシップ開始

トヨタは、1999年国連環境計画(UNEP)から「グローバル500賞」を受賞しました。この受賞を記念し、2000年度より社会貢献活動の一環としてNPOなどの環境活動を支援するため、助成プログラムを実施しています。助成対象テーマは「生物多様性」「気候変動」で、助成枠は、

「海外プロジェクト支援」(上限700万円)と、「国内プロジェクト支援」(上限300万円・100万円)を設けています。プログラム開始以来17年間で、世界53の国と地域で332件を支援しています。

「国内プロジェクト支援」の一つ、山口県の「宇部市地球温暖化対策ネットワーク」では、「夏休みハイブリッドミニソーラーカー工作教室」に取り組みました。この工作教室では、小学生を対象に、エネルギー・気候変動について分かりやすく教えながら、ソーラーパネルで電気をつくり、バッテリーに充電するまでの過程を学べます。子どもたちに太陽光発電などの再生可能エネルギーの素晴らしさを伝え、気候変動への意識を育てることを目的としながら、モノづくりの楽しさ、科学への興味を引き出します。現在、この活動は県内の他地域にも広がりを見せています。

トヨタ環境活動助成プログラム

332件トヨタ環境活動助成プログラム累積支援件数

ハイブリッドミニソーラーカー工作教室の様子

環境データ P53-N

39  Environmental Report 2017 Challenge 6

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Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

「海外プロジェクト支援」の一つ、公益社団法人日本環境教育フォーラムでは、「バングラデシュの小学生とその保護者を対象とした生物多様性保全の教材普及実証事業」に取り組みました。世界遺産に登録されているバングラデシュのスンダルバンス地域では、生態系の悪化が懸念されています。そこで、全国82の公立小学校を対象に、学習教材、教育プログラムなどを開発しました。完成した教材は、スンダルバンス国立公園について学ぶすごろくゲーム、同地域の自然や人間活動のつながりについて学ぶカードゲーム、保護者を対象に同地域の自然をテーマとしたDVDなど、どれも楽しみながら学べるものです。

現在、開発された教材が政府の補助教材として認可されるよう、活動を進めています。

教材普及実証校にて バングラデシュ最終版教材

生物多様性の危機に関する知見を拡充するため、2016年5月、IUCN*1と5年間のパートナーシップを開始。約120万米ドルを助成し、「IUCN 絶滅のおそれのある生物多様性のレッドリスト*2」の支援を始めています。この支援により、IUCNは今後アセスメントが必要な8万種の生物種のうち35%に相当する2万8,000種以上のアセスメントが可能となり、「地球上の生物多様性の保全状況をより包括的に把握する」という目標に向けて大きく前進します。同年9月には、4年に1度行われる第6回「IUCN 世界自然保護会議」が米国ハワイにおいて開催され、世界中から約1万人が参加し、今後4年間の生物多様性や自然保護に関する方向性・問題点などについて議論されました。この会議では、IUCNと共催で、生物多様性分野への企業参画に関するパネルディスカッションと、レッドリストのパートナーシップを祝うレセプションを実施しました。また同年12月には、メキシコのカンクンで開催された国連の「生物多様性条約第13回締約国会議(CBD*3 COP*413)」において、IUCNおよび環境NGOのバードライフ・インターナショナル、コンサベーション・インターナショナルとともに、COPの会場においてトヨタとして初めてとなるサイドイベントを開催しました。バードライフとコンサベーションはレッドリストの現地調査を実施し、希少種が生息する地域の保全活動を行っています。トヨタは、レッドリストを支える重要な活動を支援するため、両団体に対して車両を提供し、COPの場で贈呈セレモニーを行いました。車両はメキシコと南アフリカに贈られています。イベントには国連 生物多様性条約事務局長のブラウリオ・フェレイラ・デ・スーザ・ディアス氏も参加され、NGOと企業が協力して環境保全活動に取り組んでいく重要性について強調されました。

IUCNと協働し、世界各地で環境NGOなどとイベント開催(米国、メキシコ、南アフリカ)

第6回IUCN世界自然保護会議

COP13で開催された車両の贈呈セレモニー

*1 IUCN(International Union for Conservation of Nature):国際自然保護連合。1948年に世界的な協力関係のもと設立された、国家、政府機関、非政府機関などで構成される、国際的な自然保護ネットワーク

*2 レッドリスト(The IUCN Red List of Threatened Species):国際機関IUCNがまとめている絶滅のおそれのある生物種のリスト

*3 CBD(Convention on Biological Diversity):生物の多様性に関する条約*4 COP(Conference of the Parties):締約国会議。条約を批准した国(締約国)がその条約に

ついて話し合う会議

40  Environmental Report 2017 Challenge 6

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環境保全活動を「未来へつなぐ」ためには、「人づくり」が重要です。そのためToyota ESD* Project では、「地域に適したサステイナブル人材育成を促進」する活動を進めています。

「環境人材を育て、業務に生かす」ための従業員教育だけでなく、「次世代のために」事業地や社有地フィールドの特色を

生かし、持続可能な社会を担う子どもたちの環境教育に力を入れています。

Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

「トヨタ白川郷自然學校」は、自然の叡智を大切に、地域に根ざした環境教育を広く展開することを目的に、世界遺産に指定された白川郷に、2005年に開校しました。白山麓の豊かな自然のもと、白川郷を訪れる多くの方々や子どもたちに自然体験プログラムを提供するとともに、野生生物の生態系調査や森林保全活動に取り組んでいます。2015年・開校10年を機に、「大人はトレイルを歩こう。こどもは森でたくましくなろう」をキャッチフレーズに、自然体験プログラムを拡充しました。「共生」に向けて、共に育ち、育て合う「共育」を新たなテーマとし、自ら理解し行動できる人材の育成を目指しています。特に、子どもたちの環境意識や自立心、行動力を育む「こどもキャンプ」に力を入れています。2016年度は、6種類の「こどもキャンプ」を計15回開催しました。前年度は101人だった参加者も243人に増えるなど、関心の高さがうかがえます。自然學校の2016年度の延べ宿泊者数は1万6,529人、プログラム参加者数は延べ1万2,336人となり、2005年の開校からの延べ来校者数は19万人を超えました。これからも新しい自然体験プログラムを開発し、より多くの大人や子どもたちに「自然との共生」意識を持っていただけるように努めていきます。

豊田市にある「トヨタの森」では、市街地近郊にある社有林を、かつて人々の暮らしと共にあった「里山」の環境に整備し、動植物が生息しやすい森づくりをしています。1997年より一般の方々にも公開しました。森の中を自由に散策していただけるほか、里山の暮らし体験や五感を使った自然体験ができるイベントを開催しています。2001年からは地域の小学生向けの体験学習を行っており、2016年は6,050人の小学生に来ていただきました。2016年度は大人向けのスペシャルプログラムとして「ホッとな火暮らし講座」(全2回)を新たに開催しました。講座では、かつて人類が火と出会い、さまざまな道具を作り出した歴史や、かつての里山では薪や炭を取るために持続的に森を使ってきたことなどを学びました。また、実際に自分で火おこしに挑戦し、その火を使って調理をしたり、薪をとるための森林整備を行ったりしました。参加者からは、「火の魅力を再発見した」「森づくりの知恵を次の世代へ伝えていきたい」などの声が寄せられました。トヨタの森では、これからも里山の魅力や暮らしを見つめ直すきっかけづくりになるプログラムを開催します。

トヨタ白川郷自然學校 トヨタの森

ひもぎり式の火おこし

「こどもキャンプ」に参加した子どもたち

薪割り

環境活動を“未来へつなぐ”環境教育貢献の強化 ― Toyota ESD Project

* ESD(Education for Sustainable Development):  持続可能な開発のための教育

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Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

2007年に操業を開始したタイの製造事業体TMTバンポー工場は、環境対応でもグローバルNo.1を目指し、2008年には「エコフォレスト」という植林プロジェクトを開始し、翌年にはビオトーププロジェクトを始めています。2016年6月、タイのマハ・チャクリーシリントーン王女殿下出席のもと、工場内に設立された学習センター「Cheewa Panavet」が開校しました。

「Cheewa Panavet」は、タイ語の「Cheewa(生命)」「Pana(森)」「Vet(生息地)」を合わせた造語です。学習センターは、「エコフォレスト」「トヨタビオトープ」「王立記念展示館」3つのセクションで構成。現在、「エコフォレスト」には43種の植物が育ち、9万6,000m²の「トヨタビオトープ」には218種以上の生物が生息しています。「王立記念展示館」は、環境に関するプロジェクトと「地上と地下の生態系」展示室で構成されています。トヨタはタイの持続可能な開発と人材育成に貢献してきました。今回、学習センターがオープンしたことで、自然保全と知識普及の活動は新たな段階に入りました。

バンポー工場に生物多様性について学べる学習センターを開校(タイ)

学習センター「Cheewa Panavet」

ビオトープ

トヨタが所有する三重県多気郡大台町の山林では、森林管理にクルマづくりのノウハウを導入して整備を行い、森林の持つ水源涵養などの公益的機能を発揮できる森づくりを進めています。古くからの林業地帯である森林の特徴を生かし、一般を対象とした森林と人とのつながりや林業について学ぶ森林体験プログラムや、2015年からは木工を学ぶ地元の高校生を対象に、職人から道具の使い方などを学んだりする講座を行っています。また、「育てる―伐る―使う」の循環による森林保全と循環型資源の活用促進を目的に、自社施設に当地の木材を採用しています。

トヨタ三重宮川山林

地元の高校生を対象とした森林体験学習

トヨタ博物館での三重宮川山林産の木材利用(ブックカフェの床材)

42  Environmental Report 2017 Challenge 6

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環境マネジメント

環境についての理念と方針は、1992年に制定された「トヨタ基本理念」(1997年改訂)のもと、環境に対する取り組み方針を「トヨタ地球環境憲章」(1992年制定、2000年改訂)として定め、全世界の連結環境マネジメントシステム(連結EMS)の対象会社661社※で共有しています。2011年に発表した「トヨタグローバルビジョン」の中で、環境については「地球環境に寄り添う意識を持ち続けること」としています。こうした理念・方針に基づき、2015年度には、トヨタとして初めての環境取り組み長期ビジョン「トヨタ環境チャレンジ2050」を策定しました。2016年度より第6次「トヨタ環境取組プラン(2016 ~ 2020)」を開始し、2050年に向けて社会と共に持続的に発展できるよう取り組んでいます。

基本的な考え方

※ 2016年度より、従来の形式基準子会社などに加え、実質基準子会社を追加

トヨタ地球環境憲章

豊かな21世紀社会へ貢献するため、環境との調和ある成長を目指し、事業活動の全ての領域を通じて、ゼロエミッションに挑戦します。

1.豊かな21世紀社会への貢献・・・生産・使用・廃棄の全ての段階でゼロエミッションに挑戦

(1)トップレベルの環境性能を有する製品の開発・提供(2)排出物を出さない生産活動の追求(3)未然防止の徹底(4)環境改善に寄与する事業の推進

1.いつも環境に配慮して

経営トップ層で構成するコーポレート企画会議による推進

・・・関係会社との協力2.事業活動の仲間は環境づくりの仲間

社会的な取り組みへの積極的な参画(1)循環型社会づくりへの参画(2)環境政策への協力(3)事業活動以外でも貢献

3.社会の一員として

・・・積極的な情報開示・啓発活動4.よりよい理解に向けて

環境技術のあらゆる可能性を追求し、環境と経済の両立を実現する新技術の開発と定着に取り組みます。

2.環境技術の追求

未然防止の徹底と法基準の遵守に努めることはもとより、地球規模、及び各国・各地域の環境課題を踏まえた自主的な改善計画を策定し、継続的な取り組みを推進していきます。

3.自主的な取り組み

関係会社や関連産業との協力はもとより、政府、自治体を始め、環境保全に関わる社会の幅広い層との連携・協力関係を構築していきます。

4.社会との連携・協力

 Ⅰ. 基本方針  Ⅱ. 行動指針

 Ⅲ. 体制

トヨタ環境取り組みの体系

トヨタ基本理念●1992年制定、1997年改訂

トヨタ地球環境憲章(環境の基本方針)●1992年制定、2000年改訂

各種環境政策・指針 トヨタ環境チャレンジ2050

トヨタ環境取組プラン(5カ年)

年度方針、計画

トヨタグローバルビジョン

2016~2020年度 第6次プラン

43  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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オールトヨタ物流環境会議メンバー

その他業種

タクティートヨタエンタプライズ豊田中央研究所トヨタテクノクラフトトヨタモデリスタ インターナショナルなど 計45社

•財務会計上 非連結の1法人含む

・連結子会社・完成車物流・部品他物流

愛知陸運飛島物流サービストヨタ輸送トヨフジ海運

静岡トヨタ自動車福岡トヨペットトヨタカローラ愛知など 計31社

オールトヨタ生産環境会議メンバー オールトヨタ生産環境連絡会メンバー

物流会社 販売会社生産会社

・財務会計上は非連結・部品生産会社

アドマテックスシンテックホズミトヨタタービン アンドシステム日本ケミカル工業

・連結子会社・各種製品生産会社

キャタラー協豊製作所中央精機トヨタホームプライムアースEVエナジー豊精密工業

・連結子会社・部品生産会社

愛三工業アイシン・エィ・ダブリュアイシン・エーアイアイシン精機アイシン高丘愛知製鋼ジェイテクトデンソー東海理化豊田合成豊田自動織機豊田通商トヨタ紡織

・財務会計上は非連結・主要部品生産会社・ボデーメーカー など

岐阜車体工業ダイハツ工業トヨタ自動車九州トヨタ自動車東日本トヨタ自動車北海道トヨタ車体日野自動車

5グループ4グループ3グループ2グループ1グループ

・連結子会社・自動車製造業など・TMCの派生会社

FTS共和レザー小糸製作所大豊工業中央紙器工業中央発條津田工業豊田鉄工トリニティ工業ファインシンターフタバ産業

(2017年3月末時点)

環境マネジメント

トヨタ自動車(TMC)では、2015年4月より「コーポレート企画会議」において、さまざまな社会課題を踏まえて成長戦略・事業戦略を検討しています。環境への取り組みは、同会議において、事業戦略とともに議論を行っています。

「製品環境委員会」「生産環境委員会」「資源循環委員会」の3つの委員会では、各分野の課題や対応方針を検討するとともに、関係するすべての部署が連携し、全社的な取り組みを推進しています。また連結EMSとして、海外事業体における確実な環境取り組み推進と、グローバルでの取り組み体制充実のために、トヨタが事業を展開する世界6地域(欧州、中国、南ア、豪亜、北米、南米)に環境委員会を設置しています。国内では、「オールトヨタ生産環境会議」「オールトヨタ生産環境連絡会」「オールトヨタ物流環境会議」を設置するなどして、取り組みを推進しています。

財務会計上の全連結子会社※および、財務上は非連結であっても環境マネジメント上重要であると判断した会社を対象としています。661の連結EMS対象会社は、「TMCが直接管理する会社242社(生販一体会社13社、生産会社80社、非生産会社149社)」および「TMCが連結子会社を通じて管理する会社419社」です。

推進体制・仕組み 連結対象範囲 

組織・体制図(2017年6月末時点)

連結EMSの国内の主な対象会社(50音順)

海外の連結EMSの対象範囲(2017年3月末時点)

取り組み内容

※2016年度より、従来の形式基準子会社などに加え、実質基準子会社を追加

製品環境委員会(1973年設置)

生産環境委員会(1963年設置)

資源循環委員会(2008年設置)

地域別環境委員会(欧州、北米、南米、中国、豪亜、南ア)

オールトヨタ生産環境会議オールトヨタ生産環境連絡会オールトヨタ物流環境会議

トヨタ環境取組プラン(5カ年)

個別年度方針、計画(PDCA*)

取締役会

コーポレート企画会議承認

審議

展開

連結EMS対象子会社

欧州環境委員会(2002~)

34社

欧州地域連結EMS対象子会社

中国環境委員会(2007~)

14社

中国地域連結EMS対象子会社

北米環境委員会(2004~)

17社

北米地域

連結EMS対象子会社

南ア環境委員会(2008~)

1社

南アフリカ地域連結EMS対象子会社

豪亜環境委員会(2007~)

26社

アジア・中東・北アフリカ地域および東アジア・オセアニア地域

連結EMS対象子会社

南米環境委員会(2006~)

3社

中南米地域

1.「トヨタ地球環境憲章」を共有し、自社の環境方針を立案2. 生産分野では数値目標を立ててフォロー3. 販売分野では環境マネジメントシステムの構築、         

環境コミュニケーションなどに取り組み4. 各国・各地域の状況を踏まえたトップレベルの環境対応

◦財務上非連結会社への要請事項は、地域・業態によって異なる場合があります

*PDCA:Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・ Action(改善)を繰り返 すことによって、業務を継続的に改善するサイクル

44  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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取り組み方針 目標 活動結果

● 各地域統括会社・各国代理店が主導する  環境取り組みの推進と強化(CO₂低減など)● 販売店環境リスク監査(DERAP*2)推進と強化

● 地域ごとに環境取り組みの   仕組みを構築

● 目標達成販売店数比率:80%以上

● 各地域とも、予定どおり、環境取り組みの 仕組み構築中

● 目標達成販売店数比率:91%達成

● 各地域との連携を強化した環境マネジメントの推進 ● 各分野の目標達成 ● 連結環境マネジメント強化 ● 国内外環境会議の実施 ● グローバル環境表彰の実施● 第6次「トヨタ環境取組プラン」の推進

全体

● 各社2016年度目標達成に向けた取り組みの推進

● 各社異常・苦情の再発防止に向けた  未然防止活動の強化● 環境マネジメントシステムの維持・改善

● 国内/各地域の目標達成

● 異常・苦情ゼロ

● ISO 14001認承取得の更新

● 各社において計画的に対策を実施し、  おおむね目標達成● 重大な漏出はなし。しかし、軽微な異常が6件

発生(異常:TMCを除く国内5件、苦情:1件)● ISO 14001取得率 国内外とも100%

生産(83社) 国内(40社) 海外(43社※)

● トヨタ販売店CSRチェックリストの徹底による  環境取り組みの推進と環境管理充実によるCO₂低減

などの推進および第三者認証取得推進の支援

● EMS認証取得店数の拡大 ● エコアクション21*1取得販売店:7社販売(107社) 国内(55社) 海外(52社※)

*1 エコアクション21:自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」簡易な方法を提供する目的で環境省が策定したガイドラインで、環境マネジメントシステム、  環境パフォーマンス評価および環境報告を一つに統合したもの*2 DERAP(Dealer Environmental Risk Audit Program):海外販売店のワークショップにおける環境リスクを軽減するための監査プログラム※ 生販一体の12社はどちらにも含む• 国内外その他の会社(65社):各社自主的な活動を推進

環境マネジメント

各国・各地域での全事業活動に関わるトップレベルの環境パフォーマンスの確保に向け、各社年度方針を策定し、活動に当たっています。

2016年度は、生産・販売分野共、各社で年度プランを策定し、年度目標の確実な達成に向けた取り組みを推進しました。

連結環境マネジメントの強化推進

2016年度連結環境マネジメント(EMS)の主要会社の取り組み方針と結果

環境対策を確実に織り込み、その地域で一番の工場を目指すことを目的に、エコ・ファクトリー活動を推進しています。これは、新工場の建設や大規模な改装・生産能力の増強などのプロジェクトを対象に、企画、設備計画、操業の各段階で、環境対応を確実に織り込む仕組みを構築・展開する活動です。環境配慮は「現地現物」でチェックし、不具合がある場合に

は是正し、環境対策を確実に織り込みます。2016年は、メキシコ、中国、ブラジル、インドネシア、マレーシアの8工場で実施しました。今後もエコ・ファクトリー活動を通して、各地域の環境保全に貢献していきます。

エコ・ファクトリー活動

:実施済み※ 生産能力増強工場(2013年度以降)• 数字は2016年度実施および今後の実施予定年度

TMMGT

メキシコ

事業所・工場名

地域

TMCAP

中国

GTE※ GTMC第3工場

2017

2017

2018

2019

2017

2018

2019

2020

2018

2017

2018

2019

20202017

2018

2017

2018

2019

2020 2016 2016

2016 2016

2016

TFTM新工場

TDB新エンジン工場

ブラジル

TMMIN新エンジン工場

インドネシア

ASSB第2工場

マレーシア

現物監査(建屋)

現物監査(設備)

コンプライアンスリスク評価

パフォーマンス評価

企画

設備仕様監査

2016 2016

2016

2016

エコ・ファクトリー活動

各国・各地域における環境パフォーマンス

45  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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生産活動における地域への環境リスクをゼロにするため、異常・苦情の未然防止を基本に据え、放置すると異常につながる恐れのある現象を異常ヒヤリと位置付け、すべての異常ヒヤリについて真因追求を行い、個別に再発防止を行っています。特に影響が大きいと思われる事例については、再発防止対策を、全社環境事務局会議を通じて横展しています。また、オゾン層破壊物質(ODS)の使用についても、全廃に向けて取り組んでいます。2016年度は、大気や水に関する重大な漏出、罰金・制裁金の支払いはありませんでした。しかし、本社工場において設備冷却水のホースが接続部から外れ、漏れた冷却水が設備周辺の油汚れを巻き込み、雨水側溝を通じて河川に流出し油膜が発生しました。直ちに行政へ報告するとともに油膜を回収し、再発防止対策として、発生源側ではホース接続方法などの改善を行い、流出側では最終の雨水貯槽に油膜検知器を設置するなどの早期発見の仕組みを全工場に横展しています。

PCB*2廃棄物の届け出と保管については、「PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、2005年度より高濃度PCB廃棄物の社外委託処理を始めています。これまでに5,243台の処理を済ませており、未処理の変圧器・コンデンサー 4台については、引き続き委託処理を継続します。低濃度PCB含有機器も計画的に更新を進め、処理を推進しています。

生産6工場における地下水の流出防止対策は、1997年に完了しており、引き続き、浄化完了に向けて揚水曝気浄化を行い、基準値以下で処理しています。トリクロロエチレンの測定結果は行政に報告するとともに、地域の方にも「地域協議会」の場で説明を行っています。

表彰の結果

表彰の種類 改善チーム表彰 事業体表彰      分野 生産 生産事業体(工場)    生産事業体(工場)

物流 統括、生産、物流事業体    

最優秀賞 TDB(ブラジル) TMMK(米国)TMMI(米国)TMMMS(米国)FTCE(中国)

優秀賞 TMMC(カナダ)TSAM(南アフリカ)GTMC(中国)TMCAP(中国)TMT(タイ)

優良賞 TMMWV(米国)TMMMS(米国)Toyota Logistics Services, Inc.(米国)TMMP(ポーランド)TMMF(フランス)Toyota Logistics Services Deutschland GmbH(ドイツ)TSAM(南アフリカ)TFTM(中国)GTE(中国)TKM(インド)TMT バンポー工場(タイ)TMT ゲートウェイ工場(タイ)TASA(アルゼンチン)

環境マネジメント

遵法活動

グローバル環境表彰

海外事業体の改善活動の促進と、優秀な改善事例の横展*1を目的に、グローバル環境表彰を実施しています。2016年度は、世界6地域で選抜された19チーム中、上位6チームによる発表会を日本で開催し、「継続的なCO₂低減活動」

について発表したブラジルのTDBチームが最優秀賞を獲得しました。優秀賞を獲得したほか5チームも、各事業体にとって重要なテーマについて発表し、大きな成果を上げた事例でした。*1 横展:改善事例やノウハウ、違反などの情報をグループ内で共有化すること

*2 PCB(Polychlorinated Biphenyl):ポリ塩化ビフェニル

最優秀賞を獲得したTDBメンバーと牟田専務役員(当時)

Challege 3 P24

Challege 4 P28

Challege 2 P20

Challege 4 P28

Challege 4 P28

Challege 5 P34

環境データ P54-O・P

46  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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大気汚染改善に向け排出ガスをクリーン化するため、触媒の浄化性能を高める研究・開発に取り組んでいます。2016年度は、排出ガス浄化触媒の基材において、中心部と周辺部で断面積が異なるセルを一体成形した、世界初となる

「FLAD®」基材を用いた触媒を商品化しました。「FLAD®」基材は株式会社デンソーとの共同開発品で、セルの密度を中心部と周辺部で最適化することで、触媒内部の排出ガス流れを均一化させることができます。結果、従来型と同等の排出ガス浄化性能を維持しながら、触媒貴金属の使用量約20%低減と触媒容量約20%の小型化を実現しています。2017年3月に発売したレクサス「LC」を皮切りに、新型車両に順次搭載していきます。今後も、「より少ない貴金属使用量で、よりクリーンな排出ガス」の実現に向け、グループ会社・関係取引先と共同で、触媒の技術開発に積極的に取り組んでいきます。

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(g/m²)

塗装面積当たりのVOC排出量 20.0 18.8 17.2 15.8 14.6

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(g/m²)

塗装面積当たりのVOC排出量 24.6 24.1 22.6 21.8 21.5

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(g/m²)

塗装面積当たりのVOC排出量 319 310 282 253 193

環境マネジメント

VOC*は、光化学スモッグを発生させる光化学オキシダント原因物質の一つであるため、塗装工程で排出されるVOC低減の取り組みを進めています。具体的には塗料、シンナーを低減するとともに、塗装設備改装計画と連動した取り組みと日々の低減活動を継続的に推進しています。2016年度も日々の低減活動による継続的なVOC低減活動により、TMCのボデー塗装(全ライン平均)における面積当たりのVOC排出量は14.6g/m²(前年度比8%減)、TMCおよび国内連結会社などのVOC排出量は21.5g/m²(前年度比1.5%減)となりました。また、TMCのバンパー塗装(全ライン平均)におけるVOC排出量は、193g/m²(前年度比24%減)となりました。

各国、各地域の都市大気環境改善に資する排ガス低減

生産活動におけるVOCの低減

TMCボデー塗装のVOC排出量(全ライン平均)推移(国内)

国内連結会社などのボデー塗装のVOC排出量推移

TMCバンパー塗装のVOC排出量(全ライン平均)推移(国内)

◦TMCおよび国内連結会社など 計8社の車両組み立て工場

新型触媒触媒断面の拡大

セラミックス壁

触媒材料塗布層

セル

排出ガス流路

低セル密度部

高セル密度部

従来型触媒

* VOC(Volatile Organic Compounds):塗料や接着剤等に含まれる「揮発性有機化合物」の総称で、常温常圧で大気中に容易に揮発するため、大気汚染や土壌汚染の原因となる物質が多く、人体への影響が懸念される

Third Party Assurance

47  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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環境マネジメント

トヨタでは、多くのサプライヤーからさまざまな分野にわたる材料・部品・設備などを調達しており、これまでも『グリーン調達*1 ガイドライン』や各種勉強会などを通じて、共に環境取り組みを進めてきました。各国法規・規制への確実な対応、環境負荷物質管理の向上はもちろんのこと、

「トヨタ環境チャレンジ2050」を受けて2016年1月に改定した『TOYOTAグリーン調達ガイドライン』では、GHG

(温室効果ガス)の削減、生態系への配慮など、チャレンジの理念に沿った、より幅広い環境取り組みの推進をお願いしており、サプライヤーとの一層の連携を図りながら、取り組みを推進しています。

サプライヤーとの環境取り組みを継続的に実施・改善するため、2015年度より「CDPサプライチェーンプログラム」を導入しています。プログラムを通じ、サプライチェーン*2

の環境関連のリスク・機会の状況について把握しています。対象のサプライヤーと説明会などのコミュニケーションを通じて、活動を深めています。

トヨタでは日本だけでなく、海外拠点においても調達を実施しており、各拠点で『グリーン調達ガイドライン』を発行しています。日本での『TOYOTAグリーン調達ガイドライン』改定(2016年1月)を受け、海外拠点においてもガイドラインの改定を進め、2016年度には15カ国36事業体で改定を完了しました。改定後は各国で説明会を実施するなど、普及活動を実施しています。

化学物質の製造・使用による人への健康と環境への重大な悪影響の最小化のため、日本の化審法、欧州のELV指令*3、REACH規制*4など、世界各国で化学物質への規制が強化されています。トヨタではこれらの規制に対応するため、サプライヤーと協力の上、化学物質管理の仕組みを構築し、運営しています。2016年度は、国内のサプライヤーに自主点検を依頼し、その結果をもとに、今後の取り組みに生かす活動を行いました。

トヨタ主催で毎年「CSR勉強会」を開催し、多くのサプライヤーに参加いただいています。2016年度は、「トヨタ環境チャレンジ2050」をテーマに講演を行いました。その他、環境訴求のため、本社地区に展示コーナーを設置し、6つのチャレンジを説明するとともに、動画やパンフレットによる情報発信をしています。

サプライチェーンの気候変動、水環境に関するリスク・機会の把握『グリーン調達ガイドライン』のグローバルでの改定完了

REACH規制など、世界の化学物質規制への確実な対応

環境に関する相互研鑽の実施

ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進(サプライヤー )

左からTME(欧州)、TDEM(タイ)、國瑞汽車(台湾)の『グリーン調達ガイドライン』

*3 ELV指令(End of Life Vehicles):欧州連合(EU)において発効された、使用済み自動車が環境に与える負荷を低減するための廃自動車指令

*4 REACH規制(Registraion, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals):欧州連合(EU)において発効された、人の健康や環境の保護のために化学物質を管理する規則

*1 グリーン調達:製品を製造するための部品、原材料、設備、その他のサービスの提供において、環境負荷の少ないものを優先的に調達すること

*2 サプライチェーン:製造業における原材料調達から、生産管理、物流、販売まで製品の全体的な流れ

48  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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環境マネジメント

トヨタと販売店・販売代理店は、製品・サービスの価値を共有し、固い信頼関係で結ばれています。環境活動においても、従来から連携した取り組みを進めてきました。しかし、お客様との接点である販売店での環境活動が急務と判断し、国内においてはトヨタ販売店CSRチェックリスト

の徹底、環境管理充実によるCO₂低減などに取り組んでいます。海外においては、各地域統括会社・各国代理店が主導する環境活動やDERAPを継続実施するなどして、環境マネジメントの強化推進を図っています。

トヨタ自動車販売店協会では、2005年に制定した『トヨタ販売店CSRガイドライン』をもとに、全販売店が一丸となり、自主的な取り組みを推進しています。さらに取り組みを進めるため、第三者による環境マネジメントシステム認証の取得を推奨し、環境に優しいお店・人づくりを加速し、お客様からの信頼をより強固なものにしていくことを目指しています。2016年度は、既存のトヨタ販売店CSRチェックリストを利用したチェックの徹底をお願いするとともに、エコアクション21取得を推奨しました。新たにエコアクション21を取得した販売店は7店舗です。今後も、連携して環境パフォーマンスを向上させるため、トヨタ発信の新しい活動を計画するなどして、環境取り組みの底上げを図ります。

海外販売店のワークショップにおける環境リスクを軽減するため、DERAPを継続実施しています。この監査プログラムの目標は、廃棄物や排水処理など環境基礎5項目についての体制確立です。2016年度は世界80カ国の83代理店、4,233販売店(前年度比代理店:12増、販売店:253増)が参加しました。そのうち、5項目達成の販売店は参加全体の91%となりました(前年度比2%増)。世界レベルで見ると、参加していない代理店、販売店も多くあるため、今後も引き続きDERAP参加の拡充と参加会社の活動推進を支援するとともに、販売店・販売代理店に対してのグローバルな環境取り組み指針に基づいた海外各地域の指針作成、運営進捗フォローに当たります。

国内販売店における環境取り組みの推進 DERAP達成販売店数比率の向上

ビジネスパートナーと連携した環境活動の推進(販売店、販売代理店)

ブラジルトヨタ販売店協会「ABRADIT」は、販売店をまとめる役割として1975年に設立されました。以来、ブラジルの車両販売・生産会社TDBと協力してさまざまな活動を実施し、各販売店に貢献しています。2014年にブラジル国内で全国的な水不足問題が発生したことをきっかけに、環境意識向上を目的に、2015年よりTDBとABRADIT合同主催によるエコディーラー表彰を開始しました。2年目となる2016年度は、「省エネルギー」をテーマに設定し、応募13プロジェクト中、LED照明採用およびエアコン省電力を実現した「Kurumá Veiculosチーム」が最優秀賞を受賞しました。

TDB & ABRABIT合同主催でエコディーラーを表彰(ブラジル)

表彰候補のチームメンバーとTDBのトップ

49  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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環境マネジメント

国の施策に合わせ、1973年より毎年6月を「環境月間」と定め、長年にわたり従業員の環境に対する意識・行動の向上のための取り組みを実施しています。1991年からは「トヨタ地球環境月間」として、活動をグローバルに広げています。期間中は世界共通のポスターを掲示、社長の環境への想いを伝える「社長メッセージ」を海外事業体がおのおのの言語で展開、全工場を含む社内各所に設置されたモニターやイントラネットを使ってイベントを告知するなど、従業員への周知を図っています。また、環境月間のより一層の認知度向上に向けて、社内のエコキャラクター「エコバ君」が通勤時の工場正門や昼食時の食堂などで挨拶活動を実施しました。

「環境講演会」に講師としてお招きした宇宙飛行士の山崎直子氏は、地球温暖化や近年問題となっている宇宙ゴミなどについて話されるとともに、トヨタが「トヨタ環境チャレンジ

TMCは、年次の環境報告書やウェブサイト、イベント出展などを通じて、環境情報の積極的な開示とコミュニケーションの充実に努めています。2017年2月には、『環境報告書2016』が、環境省などが主催する第20回環境コミュニケーション大賞「地球温暖化対策報告優秀賞」を受賞しました。3月には、「トヨタ環境チャレンジ2050」の達成に向けて、 環境活動を行う従業員を紹介する動画コンテンツ「econohito(エコノヒト)」をウェブサイトで公開しました。また、海外連結子会社では、各国・各地域のニーズに沿って

幅広いステークホルダーと環境コミュニケーションを図っています。

2050」を発表し、自主的に諸課題に取り組んでいることを評価されました。講演会は同時中継され、1,100人以上の参加者が貴重なお話に聞き入りました。さらに2017年より、環境部長による社内向け環境セミナーの実施や、東京商工会議所が主催する「環境社会検定試験

(エコ検定)」合格者への受験料補助など、年間を通した取り組みを加速しています。

グローバル環境教育・啓発活動の一層の強化

環境情報の積極的開示とコミュニケーションの充実

挨拶活動する「エコバ君」

動画コンテンツ「econohito」

宇宙飛行士 山崎 直子氏による講演

環境コミュニケーション大賞表彰式の様子

http://www.toyota.co.jp

トヨタ 環境 econohito 検索

50  Environmental Report 2017 環境マネジメント

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Challenge 1 新車CO₂ゼロチャレンジ

年 2015 2016

(千台)

ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車 1,203.9 1,400.6

燃料電池自動車 0.5 2.0

合計 1,204.4 1,402.6

A クリーンエネルギー車販売台数(グローバル) Third Party Assurance

生産工程

●総エネルギー消費量※

 [22.6×10⁶GJ]●水使用量 [949万m³]

※熱量換算係数:「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成28年4月)を使用

●梱包・包装資材使用量 [5.14万トン]

物流工程

●CO₂排出量 [28.2万トン‐CO₂]

大気への排出

●温室効果ガス排出量 [93.4万トン‐CO₂]

大気への排出

●総排水量[1,160万m³]

水域などへの排出●廃棄物などの総排出量 [28.6万トン]

排出物

インプット

インプット

エンジン

鋳造・鍛造 機械加工 トランスミッションなど 組立

塗装溶接プレス

Challenge 2 ライフサイクルCO₂ゼロチャレンジ

B TMC自動車生産10工場・物流工程における 資源投入量と排出量(2016年度国内)

工場・事業所の環境データ http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/environment/data/sitedata17_full.pdf

環境データ

Challenge 3 工場CO₂ゼロチャレンジ

C TMCエネルギー別熱量構成比率(2016年度国内)

電力

都市ガス

その他

68%

30%

2%

年度 2015 2016

CO₂総量(万トン)

TMC 155 156

日本(除くTMC) 428 435

北米 96 103

中国 64 66

欧州 27 30

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米 73 83

総量合計 843 873

(トン/台)

生産台数当たりのCO₂実排出量 0.828 0.829

D グローバルCO₂実排出量 (エネルギー起源・固定発生源)

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計121社 ◦換算係数:GHGプロトコルを使用環境データ P54-Q 環境データ P55-W

Third Party Assurance Third Party Assurance

51  Environmental Report 2017 環境データ

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環境データ

年度 2015 2016

地域別

(PJ*1)

TMC 16.0 16.4

日本(除くTMC) 45.8 46.9

北米 12.8 13.9

中国 5.5 5.5

欧州 3.3 3.7

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米 7.4 8.1

合計 90.8 94.5

(GJ*2/台)

生産台数当たりのエネルギー消費量 8.93 8.97

年度 2015 2016種類別

(PJ)

電力 37.7 38.5

都市ガス 28.0 29.5

天然ガス 15.6 17.1

LPG 2.2 2.3

LNG 1.2 1.2

コークス 1.0 0.9

石炭 0.5 0.5

A重油 1.2 1.0

軽油 0.5 0.4

灯油 0.3 0.2

蒸気 1.1 1.1

温水 0.6 0.6

その他 0.6 0.8

再生可能エネルギー 0.3 0.4

合計 90.8 94.5

E グローバルエネルギー消費量(固定発生源) Third Party Assurance

*1 PJ(ペタジュール):P(ペタ)は10の15乗倍、J(ジュール)はエネルギー量の単位*2 GJ(ギガジュール):G(ギガ)は10の9乗倍、J(ジュール)はエネルギー量の単位◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計121社

◦換算係数:GHGプロトコルを使用

環境データ P54-Q

環境データ P55-X

Challenge 4 水環境インパクト最小化チャレンジ

年度 2016

(百万m³)

市水 46.0

地下水 9.0

雨水 0.2

他組織からの排水 2.1

年度 2016

(百万m³)

河川/湖沼 23.2

地表半塩水/海 2.6

下水道 8.9

他の組織 0.6

年度 2016

(百万m³)

排水リサイクルした水量 1.4

F グローバル水源別取水量 G グローバル排出先別排出量

H グローバル排水リサイクルした水の総量

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計104社 ◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計69社

◦対象範囲:TMCおよび国内外連結会社など 計15社

52  Environmental Report 2017 環境データ

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環境データ

年度 2016

(万トン)

使用原材料質量 1,390

(%)

使用原材料におけるリサイクル材の割合 24

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(%)

リサイクル実効率*2(車両換算値) 99 99 99 99 99

ASR再資源化率*3 94 96 97 97 98

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(万本)

回収量 95.1 91.2 85.5 80.9 77.0

(%)

回収率 72.3 72.5 72.9 69.4 67.4

Challenge 5 循環型社会・システム構築チャレンジ

K 使用原材料質量および使用原材料における リサイクル材の割合(グローバル)

I TMCのリサイクル実効率および ASR*1再資源化率の推移(国内)

J TMC修理交換済みバンパーの回収量の推移(国内)

バンパー 77.0万本(回収率67.4%)

鉛バランスウェイト*4 27.1トン

タンクローリー車によるバルク方式*5給油量 部品共販店販売量の64.4%

部品名称供給点数

中古部品・リビルト部品 新品(参考)

リビルト部品

A/Tトランスミッション 1,671 92

パワーステアリングギア 3,723 1,814

トルクコンバーター 1,293 8,052

中古部品 35,379 —

L TMC修理交換済みパーツの回収・リサイクルの実績 (2016年度国内)

M TMC中古部品・リビルト部品の供給実績(2016年度国内)

年度 2012 2013 2014 2015 2016 累計※

活動対象地域(件数)

アジア・太平洋 8 8 7 5 7 105

北米・中南米 1 0 0 1 0 20

アフリカ 0 2 1 3 1 29

欧州 0 0 2 1 2 12

日本 10 14 11 16 18 166

合計 19 24 21 26 28 332

N トヨタ環境活動助成プログラム助成実績(グローバル)

Challenge 6 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

※2000 ~ 2016年度(助成テーマ:生物多様性、地球温暖化)

Third Party Assurance

*4 鉛バランスウエイト:ホイールとタイヤが組み合わさったときの回転バランスをとるための重り

*5 バルク方式:敷地内に設置された容量の大きな貯槽やタンクなどに、直接充填したり給油したりする方式

*1 ASR(Automobile Shredder Residue):使用済み自動車の破砕処理後に出る廃棄物

*2 リサイクル実効率:解体・シュレッダー工程までで再資源化される比率約83%(2003/4合同会議報告書より引用)に、残りのASR比率17%×ASR再資源化率98%を合算して算出

*3 ASR再資源化率:再資源化量/引き取り量

53  Environmental Report 2017 環境データ

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環境データ

工場 浄化前地下水測定データ

(mg/L)(環境基準値:0.01)

本社 0.002未満~ 0.93

元町 0.002未満~ 0.12

上郷 0.002未満~ 0.10

高岡 0.002未満~ 0.18

三好 0.002未満~ 0.10

堤 0.002未満~ 0.27

O TMC環境関連異常・苦情(国内)

Q 掲載データの対象範囲(TMCおよび国内外の連結会社など計121社)

P TMCトリクロロエチレン測定(2016年度国内)

5グループ4グループ3グループ2グループ1グループ

アジア、豪州、中近東、南アフリカ、中南米欧州中国北米

TMC:1社

国内:「連結EMSの国内の主な対象会社」(P44)のうち39社およびその子会社を含む計77社

岐阜車体工業ダイハツ工業トヨタ自動車九州トヨタ自動車東日本トヨタ自動車北海道トヨタ車体日野自動車

愛三工業アイシン・エィ・ダブリュアイシン・エーアイアイシン精機アイシン高丘愛知製鋼ジェイテクトデンソー東海理化豊田合成豊田自動織機トヨタ紡織

キャタラー協豊製作所中央精機トヨタホームプライムアースEVエナジー豊精密工業

アドマテックスシンテックホズミトヨタタービンアンドシステム日本ケミカル工業

FTS共和レザー小糸製作所大豊工業中央紙器工業中央発條津田工業豊田鉄工トリニティ工業ファインシンター

海外:生産および生販一体会社 43社

TMMK(米国)TMMI(米国)TMMWV(米国)TMMAL(米国)TMMTX(米国)TMMMS(米国)BODINE(米国)TABC(米国)TMMC(カナダ)CAPTIN(カナダ)TMMBC(メキシコ)

TFTMTFTDTTFCTFAPTFTEFTCESFTMGTMCGTETMCAP

TMR(ロシア)TMMP(ポーランド)TMMF(フランス)TMUK(英国)TMMT(トルコ)TPCA(チェコ)

TSAM(南アフリカ)TKM(インド)TKAP(インド)IMC(パキスタン)TMMIN(インドネシア)TMT(タイ)STM(タイ)ASSB(マレーシア)TMP(フィリピン)TAP(フィリピン)TMV(ベトナム)

kouzui(台湾)TMCA(オーストラリア)TASA(アルゼンチン)TDB(ブラジル)TDV(ベネズエラ)

環境マネジメント

◦上記、生産6工場における地下水の流出防止策は1997年に完了 浄化完了に向けて引き続き揚水曝気浄化を行い、基準値以下で処理しています トリクロロエチレンの測定結果は行政に報告 また地域の方にも「地域協議会」の場で説明を実施◦トヨタ自動車(TMC)の全工場で測定。記載工場以外では検出していません◦測定ポイントは各工場に複数あるため、測定値に幅があります

年度 2012 2013 2014 2015 2016

(件)

異常 1  1 0 0 1

苦情 0  0 0 0 0

※2※1

※1 「地球環境に寄り添って-トヨタの環境取り組み-2013」のP24参照※2 「地球環境に寄り添って-トヨタの環境取り組み-2014」のP15参照◦異常・苦情の数は社内基準によるものです

Third Party Assurance

Third Party Assurance

ガソリン 2.32kg-CO₂/L

軽油 2.58kg-CO₂/L

◦地球温暖化対策の推進に関する法律 『温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver4.3』

R グローバル新車平均CO₂(日本・米国・欧州・中国) 2010年度比低減率に用いた換算係数

54  Environmental Report 2017 環境データ

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環境データ

*MJ(メガジュール):M(メガ)は10の6乗倍、J(ジュール)はエネルギー量の単位◦1990年経団連係数を使用して算定

U TMC CO₂排出量(エネルギー起源・固定発生源)と 生産台数当たりのCO₂排出量の推移に用いた換算係数

V グローバルCO₂排出量(エネルギー起源・固定発生源)と 生産台数当たりのCO₂排出量の推移に用いた換算係数

W グローバルCO₂実排出量に用いた換算係数 (エネルギー起源・固定発生源)

X グローバルエネルギー消費量(固定発生源)に用いた換算係数

◦GHGプロトコルを使用して算定◦電力:CO₂Emissions from Fuel Combustion, 2007 edition, IEA, Paris, Franceの 2001年の換算係数を使用◦電力以外:  2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories, Prepared by the National Greenhouse Gas Inventories Programme, Eggleston H.S., Buendia L., Miwa K., Ngara T. and Tanabe K. (eds). Published: IGES, Japan.◦都市ガス、蒸気、温水、冷水、コークス炉ガス:「地球温暖化対策の推進に関する法律」 (平成28年4月)を使用

◦GHGプロトコルを使用して算定◦電力:CO₂Emissions from Fuel Combustion, 2016 edition, IEA, Paris, Franceの 2014年の換算係数を使用◦電力以外:  2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories, Prepared by the National Greenhouse Gas Inventories Programme, Eggleston H.S., Buendia L., Miwa K., Ngara T. and Tanabe K. (eds). Published: IGES, Japan.◦都市ガス、蒸気、温水、冷水、コークス炉ガス:「地球温暖化対策の推進に関する法律」 (平成28年4月)を使用

◦電力:熱量換算係数は3.6(GJ/MWh)を使用◦その他の熱量換算係数:「地球温暖化対策の推進に関する法律」 (平成28年4月)を使用

鉄道 22.0g-CO₂/トン・km

船舶 39.0g-CO₂/トン・km

ガソリン 2.32kg-CO₂/L

軽油 2.62kg-CO₂/L

C重油 2.98kg-CO₂/L

◦ロジスティック分野におけるCO₂排出量算定方法 共同ガイドライン Ver.3.0 (経済産業省・国土交通省)などを使用

T TMC物流CO₂排出量の推移(国内)に用いた換算係数

カテゴリー 換算係数

カテゴリー1(購入した製品・サービス) ・環境省『サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース Ver2.4』

カテゴリー2(資本財) ・産業環境管理協会『カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベース Ver1.01』

カテゴリー3(Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動)・地球温暖化対策の推進に関する法律『温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver4.3』

カテゴリー5(事業活動から出る廃棄物)・環境省 『サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース Ver2.4』

カテゴリー6(出張)

カテゴリー7(雇用者の通勤) ・環境省 『サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース Ver2.4』

・産業環境管理協会『カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベース Ver1.01』

ガソリン 2.66kg-CO₂/L

軽油 2.74kg-CO₂/L

カテゴリー9(輸送、配送(下流)) ・地球温暖化対策の推進に関する法律『温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver4.3』

カテゴリー 11(販売した製品の使用) ・産業環境管理協会『カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベース Ver1.01』

ガソリン 2.66kg-CO₂/L

軽油 2.74kg-CO₂/L

・地球温暖化対策の推進に関する法律 『温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver4.3』

ガソリン 2.32kg-CO₂/L

軽油 2.58kg-CO₂/L

S Scope3の15カテゴリーの排出量および排出量比率算出に用いた換算係数

電力 0.3707kg-CO₂/kWh

A重油 2.6958kg-CO₂/L

C重油 2.9375kg-CO₂/L

灯油 2.5316kg-CO₂/L

LPG 3.0040kg-CO₂/kg

都市ガス 2.1570kg-CO₂/Nm³

コークス 3.2426kg-CO₂/kg

石炭 2.3557kg-CO₂/kg

温水 0.0570kg-CO₂/MJ*

冷水 0.0570kg-CO₂/MJ

蒸気 0.0570kg-CO₂/MJ

55  Environmental Report 2017 環境データ

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● 算定方法:(平均燃費差※2×保有台数※3×平均年間走行距離※4)×      各年度の平均ガソリン単価※5

環境データ

環境会計

年度 2012 2013 2014 2015 2016

指数 284 311 319 342 337

(百億円)

売上高 976 1,104 1,121 1,159 1,148

ボデーメーカー 5社※1

年度 2015 2016 2015 2016(億円)省エネによるエネルギー費低減 5 6 7 20廃棄物処理費用の低減 △2 1 0 0リサイクル品売上 21 24 39 49その他(環境関係技術収入ほか) 100 103 0 0合計 124 134 46 69

年度 2015 20161997年12月    

(「初代プリウス」発売)~累計

(億円)日本 2,158 2,268 14,098世界 5,956 6,195 42,376

年度 2012 2013 2014 2015 2016

指数 585 628 654 612 600

(百億円)

売上高 976 1,104 1,121 1,159 1,148

〈自動車生産によるCO₂指標〉10工場のみ実質的効果

顧客効果 ハイブリッド車への代替による石油消費量節約

環境省フォーマットによる2015・2016年度実績

〈自動車生産による廃棄物指標〉

環境コスト 集計範囲:トヨタ自動車

経済効果 環境効率(売上高/環境負荷)

分類

トヨタ ボデーメーカー 5 社※1

2015 2016 2015 2016投資 費用 投資 費用 投資 費用 投資 費用

11149

00

0

002

162

158

205

270

3,7922

1424,254

3183

10

0

002

189

148

205

225

3,9526

914,321

51530

0

400

27

215

161

22

42700

492

31540

0

500

274,416 4,510 519 513

235

171

22

41800

486

事業エリア内コスト①公害防止コスト

(億円)

②地球環境保全コスト③資源循環コスト

上・下流コスト リサイクル関連費用、業界団体分担金

管理活動コスト 環境広告、環境報告書発行費用、      環境専任スタッフ費用など

研究開発コスト 環境負荷低減のための研究開発費用社会活動コスト 環境保全団体への寄付など環境損傷対応コスト 土壌・地下水汚染の修復のための費用など

合計

※1 ボデーメーカー5社(上記表および下記実質的効果の表):トヨタ自動車東日本、ダイハツ工業、トヨタ車体、日野自動車、トヨタ自動車九州(各社採用基準に基づき集計)

「顧客効果」算定方法(日本の場合)

Third Party Assurance

Third Party Assurance

Third Party Assurance

Third Party Assurance

Third Party Assurance

◦売上高/廃棄物発生量を指標とし、1990年度を100とした指数を表示

◦売上高/CO₂排出量を指標とし、1990年度を100とした指数を表示

※2 その年度に走行しているHVとそれに相当するガソリン車の燃費の差※3 毎年販売されたHV台数から、平均車齢を考慮してトヨタで推計したお客様の保有台数※4 トヨタ推計※5 財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター調査による各年度全国平均ガソ

リン単価

56  Environmental Report 2017 環境データ

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独立した第三者保証報告書

57  Environmental Report 2017 独立した第三者保証報告書

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ウェブサイトURL/ http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/report/er/発行/2017年9月次回発行/2018年秋予定

発行部署/環境部

より多くの人へ適切に情報を伝えられるよう配慮したユニバーサルデザインフォントを採用しています。

[加工製本]トヨタループスは、障がいのある方により多くの働く機会を提供するためにトヨタが設立した重度障がい者多数雇用事業所で、特例子会社に認定されています。本レポートの印刷・製本はトヨタループスが行いました。