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Copyright © 2017 Accenture. All rights reserved. 0 アクセンチュア株式会社 2017年3月17日 経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業グループ 地域企業高度化推進課 御中 平成28年度地域中核企業創出・支援事業 (地域中核企業等支援に係る実態調査) 報告書

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アクセンチュア株式会社2017年3月17日

経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業グループ 地域企業高度化推進課 御中

平成28年度地域中核企業創出・支援事業(地域中核企業等支援に係る実態調査)報告書

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目次

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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エクゼクティブサマリ

•本調査では、全国10地域の30企業、28支援機関へのヒアリングを元に、地域中核企業ならびに候補企業の現状、課題、それらに呼応する支援機関の支援ギャップや課題を明らかにした。

•企業の課題としては、①候補企業化、②地域中核企業化、③地域中核企業の継続的発展のそれぞれの段階で課題の変遷が見られた。①②では販路の確保が課題だが、③に至るにつれ、ヒト、技術、情報などの課題の重要度が相対的に増してくる様相が伺えた(1-1章)。さらに、経営資源による分析を行い、特にヒトに関して、企業の発展局面や、業態が対法人(BtoB)か対個人(BtoC)かの違いにより、労働力/経営人材の不足の発露する場面の違いがみられた。(1-2~1-4章)

•これらの課題を克服し、候補企業が地域中核企業となることで様々な波及効果がもたらされることを検証した(2-1,2-2章)。また、支援機関が地域中核企業となるまでの過程を支えた好例も聞かれ、企業が抱える課題を解消するうえで、支援機関の役割は大きい。(3-4,3-5章)

•しかしながら、支援機関による支援の中には、必ずしも企業の支援ニーズに対して質・量的に十分でない場合も散見される。また、地域ごと、支援ニーズごとの充足度にも差が生じてしまっている。例えば全国的には、労働力の確保や、IT等の先端技術に対する企業の認知の必要性、公設試験研究機関における待ち時間等の課題がみられた。また特に地方部においては、経営戦略やマーケティング等に関する知見、域内での企業や支援機関の集積度、海外展開に関するニーズ、規制・販路に関する知見等に対する課題が都心部に比べ比較的多く見られた。(3-2章)

•支援機関ではこうしたギャップ解消に努めているものの、支援機関自体も、機関内での情報管理、地域中核企業の新規発掘アプローチ、域内外の支援情報の収集・提供や機関同士の連携による企業引継ぎなどに課題を抱えていることが明らかになった(3-3章)。これらの解消には、短期的には、既に一部機関が提供している支援を成功例とした横展開が期待される。(3-1,3-4,3-5章)

•そのうえで、各地域の今後の成長産業やそれにおける課題(4-1章)、全体を通して明らかにした企業、支援機関の課題より、今後実施するべきと考えられる施策案について、分析・提言を行った。(5-1,5-2章)

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本報告書の構成

本報告書では、1章で候補企業・地域中核企業の課題を明らかにし、その元となった地域中核企業の事例を2章で詳述する。3章は、支援機関の実態として、支援内容、支援ギャップ及び取り組みの好例を紹介し、4章では各地域の成長分野の現状、課題に触れた後、5章では、1章・3章で述べた企業・機関の課題から、施策の提言を行う。

3章 支援機関の実態

5章 課題解決のための提言4章 地域における成長分野及びその戦略2章 地域中核企業の事例・波及効果

1章 候補企業・地域中核企業の実態

1-1 企業の成長ステップ別課題

1-2 企業の課題①:「販路」

1-3 企業の課題②:「ヒト」

1-4 企業の課題③:「技術」

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の

支援ニーズと支援ギャップ

3-3 支援機関における課題

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

4-1 候補企業が参画し得る成長

分野の現状、課題

2-1 地域中核企業の事例

3-4 企業へのフォローにおける好例

3-5 支援機関同士の連携の好例

1-5 候補企業となりうる企業数

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

5-1 企業、支援機関の課題から想定される施策

5-2 優先的に取り組むべき施策

(案)

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本調査では、地域中核企業、候補企業及び支援機関へのヒアリングを主要なインプットとして報告を取りまとめた。ヒアリングは、全国10地域に跨り異なる業種の企業、機関にヒアリングできるようにした。なお、報告内容はヒアリングをベースとしており、サンプル数に限りがある点、また見解も地域企業、機関の総意とは限らない点に留意が必要。

調査概要 (1)調査の全体の進め方

ロングリスト作成地方経済産業局とのディスカッション

企業への打診

ヒアリング報告書とりまとめ

調査対象とする地域中核企業、候補企業、支援機関のリストを10地域別に作成

企業について4,915社の母数の中から376企業を、支援機関は455機関をリストアップ

企業、支援機関のリストアップに用いたソースについては、P.8を参照

各地方経済産業局とのディスカッションにより、ヒアリング対象とする企業、支援機関を絞り込み

既に平成28年度「地域中核企業創出・支援事業」を活用している企業等を除外

77企業、44機関に絞り込み

77企業、44機関に対して、ヒアリングへの協力を打診

応諾頂いた30企業、25機関にヒアリングを実施

また、別途支援機関の全国組織へのヒアリングを打診し、3機関にヒアリングを実施

本事業でヒアリングを実施した企業の詳細についてはP.6、支援機関の詳細についてはP.7を参照

ヒアリング結果、及び追加的な文献調査の結果を元に、報告書をとりまとめ

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計30企業へヒアリングを実施。企業の種類別としては、地域中核企業20社、候補企業8社、老舗企業2社。

調査概要 (2)ヒアリング実施先 ①企業

業種(統合80分類)

北海道

東北

関東

北陸

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

合計

食料品・たばこ 1 1 2

化学繊維 1 1

化学最終製品 1 1

鋳鍛造品 1 1

特殊産業機械 1 1 2

電子応用装置・電気計測器

2 1 3

民生用電気機器

1 1

自動車部品・同付属品

1 1 2

精密機械 1 1 1 3

建築及び補修 1 1 2

情報サービス 1 1

対個人サービス 1 1

地域別計 1 1 4 2 2 3 2 1 1 3 20

【地域中核企業】 業種別・地域別一覧

業種(統合80分類)

北海道

東北

関東

北陸

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

合計

食料品・たばこ 1 1

化学最終製品 1 1

一般産業機械 1 1

特殊産業機械 1 1

電子計算機・同付属装置

1 1

その他の輸送機械

1 1 2

情報サービス 1 1

地域別計 2 1 0 1 1 0 0 1 1 1 8

業種(統合80分類)

北海道

東北

関東

北陸

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

合計

衣服・その他の繊維既製品

1 1

その他の金属製品

1 1

地域別計 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 2

【老舗企業】 業種別・地域別一覧

【候補企業】 業種別・地域別一覧

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(注)各地域のうち、複数都府県を内包するものの一覧は以下の通り。(地域内の各県は、国土交通省「都道府県コード」順)• 東北:青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島• 関東:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野• 北陸:富山、石川• 中部:岐阜、静岡、愛知、三重• 近畿:福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山• 中国:鳥取、島根、岡山、広島、山口• 四国:徳島、香川、愛媛、高知• 九州:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島

調査概要 (2)ヒアリング実施先 ②支援機関

【支援機関】 機関種別・地域別一覧

機関種別北海道・

東北関東 北陸 中部 近畿 中国 四国

九州・沖縄

種別合計

公設試験研究機関 1 1 1 1 1 5

中小企業支援センター

2 1 1 1 1 6

大学 2 1 2 1 6

金融機関 1 1 1 3

産業支援機関 1 1 1 1 1 5

地域別計 6 2 2 3 2 3 2 5 25

計28機関へヒアリングを実施。地域ごとに2機関以上、計25機関に実施。機関種別では各3~6件のヒアリングを行った。また全国組織3機関にヒアリングを実施した。

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地域中核企業、候補企業、支援機関の抽出に当たり、情報源とする企業リストの掲載対象や着目している観点の違いを考慮し、多数のリストを用いることで、可能な限り広範な観点から企業を選定するようにした。

調査概要 (3)ヒアリング対象の抽出元

母集団とした企業リスト

中小企業庁 「がんばる中小企業・小規模事業者300社」

中小企業基盤整備機構 「ジェグテック」

週刊東洋経済 「すごいベンチャー100」、ベンチャー通信 「注目の西日本ベンチャー100」等

サービス産業生産性協議会 「ハイ・サービス日本300選」

各県発行の企業ガイド、各県で開催された展示会、各県の優良企業表彰、等

白桃書房 「グローバル・ニッチトップ企業論」

各企業リストが対象とする企業の属性

業種 規模 地域連携の促進

高い技術力

高い利益・売上高

高い成長性サービス 製造業 中小 大・中堅

各企業リストが着目している観点

✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔✔ ✔

✔ ✔✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔✔

✔✔ ✔

対象とする支援機関

産業支援機関

金融機関

大学

公設試験研究機関

母集団とした支援機関リスト

都道府県等中小企業支援センター一覧(中小企業庁)

地域中核企業活性化投資事業有限責任組合員の金融機関

「平成26年度 大学等における産学連携等実施状況」(文部科学省)

全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システム(経済産業省)

地域中核企業・候補企業

支援機関

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本調査では、各用語を以下の通り定義している。

調査の前提 (1)用語の定義

地域中核企業

候補企業

老舗企業

支援機関

各地域において、売上高・雇用等のある程度の大きさがあり、かつ成長率がプラスである等、地域経済への貢献度が大きく、地域経済を牽引するような企業

厳密な定量的基準はないが、本調査では、①売上高が20億円以上かつリーマンショック前後で売上高の成長率がプラスの企業、②売上高20億円未満だが、域内仕入れによる地域経済への貢献が比較的大きい企業、③売上高が20億円以上かつ売上高の成長率はマイナスだが、成長分野の新規事業に取り組んでいる企業と想定

売上高、雇用等の地域経済への貢献度では、「地域中核企業」に満たないものの、将来的に地域中核企業へと成長する可能性があると考えられる企業

本調査では、売上高が20億円未満かつリーマンショック前後で売上高の成長率がプラスの企業で、「地域中核企業」の条件②に当たらない企業と想定

売上高、雇用等の地域経済への貢献度は大きいものの、成長率がマイナスの企業

本調査では、売上高が20億円以上かつ売上高の成長率はマイナスで、「地域中核企業」の条件③に当たらない企業と想定

地域の候補企業群に対して、ヒト・カネ・モノのサポートを提供する官民の機関

本調査では、以下を支援機関の調査対象として想定。

⁃ 公設試験研究機関/中小企業支援センター/大学/金融機関/産業支援機関 等

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本調査では、企業を売上の大きさ、雇用や域内仕入れなどの「地域貢献度」と、「成長性」との観点で4つに分類した。また、「①創業期企業」が「②候補企業」になる「A.候補企業化」、「②候補企業」が「③地域中核企業」になる「B.中核企業化」、「③地域中核企業」が成長を続ける「C.中核企業の継続的発展」の3つの成長ステップを分析上で用いた。

調査の前提 (2)企業の4分類と3つの成長ステップ

企業の成長ステップ

規模が大きくなり、地域における影響力の大きい

「老舗企業」

成長性の高い産業・事業に取組む(地域中核)

「候補企業」

成長性

(売上の伸び・新規事業開発の勢い等) 小 大

急 地域経済への貢献が大きく、成長性も高い

「地域中核企業」

創業してから間もない

「創業期企業」

地域貢献度(売上の大きさ、雇用や域内仕入れ等)

32

41

A.「候補企業化」

B.「中核企業化」C.中核企業の継続的発展

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前述の3段階のステップの他、企業の課題分析に当たっては、①企業が必要とするリソース(経営資源)、②企業の業種、③企業の立地場所(大都市圏・その他)、の3観点を用いる。

調査の前提 (3)企業の課題分析における分析軸

課題 定義 例

ヒト (労働力)採用、育成、組織体制

(経営人材)経営人材、事業承継

▸大手に人材が流れてしまい採用ができない

▸社長が一人で全て行っている▸マネジメント層が不足▸事業承継ができない

モノ 工場・設備 ▸量産体制を築きたいが、設備のキャパシティが不足▸設備が、品質基準や安全基準を満たさない

カネ 資金調達 ▸資金調達ができない

技術 技術力、技術者 ▸技術者が不足▸製品開発する上での技術的課題を解決できない▸工場現場で設備管理を行える人材が不足▸規制、品質基準に合う製品を作れない

情報 経営手法、製品開発ノウハウ、規制、市場の情報

▸事業計画を立てられない▸ブランド戦略の立て方が分からない▸現地の規制が分からない▸市場調査ができない

販路 営業 ▸営業人材が不足している▸社長の人脈に頼った販路開拓しかできない▸異なる業界への進出等により販路開拓手法が

分からない▸知名度が低い等の理由で業界から信用が得られず、

売れない▸飛込み営業しかできない▸下請体質で自社独自の販路で売れない

①企業が必要とするリソース(経営資源) ②企業の業種

③企業の立地場所(大都市圏・その他)

製造業

非製造業

BtoB

BtoC

80分類のうち、製造業*に該当

中間財を製造しているか、完成品を製造している場合でも、その使用者が一般消費者でない場合(例:産業用機器)

80分類のうち、製造業以外*に該当

完成品を製造しており、その使用者が一般消費者の場合

*「産業連関表(延長表)」80部門表の分類のうち、05~55を製造業として扱った。複数事業がある場合はヒアリングで中心的に聞いた業務内容を、企業業容が変遷している場合は、現在の業務内容で分類。

大都市圏:以下の11都府県

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県

(出典:総務省統計局「住民基本台帳移動報告」)

その他:大都市圏に該当しない36道県

※原則として、企業、機関のコメントは以下の通り略して引用 企業:地域/企業の4分類/製造業 or 非製造業/BtoB or BtoC(製造業の場合のみ) 機関:地域/機関種別

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1章 候補企業・地域中核企業の実態

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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企業が各ステップによって抱える課題を、以下のアプローチを用いて分析する。1-1章では、企業の成長ステップ毎にリソースのいずれが企業にとって課題となるのかを分析する。特に課題と思われるリソースについて、1-2章、1-3章、1-4章で、業種や大都市県・その他別の観点から深堀する。

(1)分析のアプローチ

1-1 企業の成長ステップ別課題

分析のアプローチ

1-2章〔ステップ × リソース(販路)〕 × 業種or大都市圏・他

1-3章〔ステップ × リソース(ヒト)〕 × 業種or大都市圏・他

1-4章〔ステップ × リソース(技術)〕 × 業種or大都市圏・他

業種 都市圏・他

ステップ リソース

×

× ×

「1-1」で特定した、特に課題となる「販路」について、「業種」と「大都市圏・その他」それぞれで分析

業種 都市圏・他

ステップ リソース

×

× ×業種 都市圏・他

ステップ リソース

×

× ×

「1-1」で特定した、特に課題となる「ヒト」について、「業種」と「大都市圏・その他」それぞれで分析

「1-1」で特定した、特に課題となる「技術」について、「業種」と「大都市圏・その他」それぞれで分析

1-1章

ステップ × リソース

ステップ リソース

×

企業の各ステップ毎に、リソースのいずれが課題となるかを分析。

※ステップ:候補化・中核化・継続的発展リソース:ヒト・モノ・カネ・情報・販路・技術

※業種: 製造業(BtoB)・製造業(BtoC)・非製造業

※大都市圏・その他:P.11参照

P.14

P.16 P.21 P.27

or or or

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地域中核企業への過程では、「販路」が最も課題として認識されている。一方で、地域中核企業が継続的に成長していく上では、「ヒト」に対する課題意識が最も多い。

(2)企業の成長ステップ別の課題

1-1 企業の成長ステップ別課題

企業のステップ別 企業が抱える課題(複数回答可)

ヒト

モノ

カネ

技術

情報

販路

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

候補化 中核化 継続的発展

課題と回答した企業の割合

※本事業におけるヒアリングよりアクセンチュア作成。サンプル数はそれぞれ「候補化」 30社、「中核化」 30社、「継続的発展」 22社

⁃ 「販路」が最大の課題 ⇒1-2章⁃「技術」や「ヒト」に課題を抱える企業の割合が上昇 ⇒1-3章、1-4章

⁃「販路」が最も大きな課題となっている ⇒1-2章

⁃ 「ヒト」が最大の課題 ⇒1-3章⁃ 「販路」に課題を抱える企業は減

少する一方、 「技術」は課題となり続ける ⇒1-4章

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公益財団法人全国中小企業取引振興協会の調査によると、回答企業のうち、売上高が中央値以上の企業は中央値未満の企業と比べ、販路を課題とする割合が低い一方、ヒトを課題とする割合が高い。

(参考)公的機関が実施した調査における中小企業の課題

中小企業における規模別の課題認識

0% 10% 20% 30% 40%

新規顧客の獲得

既存顧客との関係強化

人材の確保

人材育成の強化

>販路「新規顧客の獲得」/「既存顧客との関係強化」

- 販路に関する課題は、規模の小さい企業において重要性の高い課題であるが、売上高の規模が一定規模を超えると、課題として認識する企業が減る

> ヒト「人材の確保」/「人材育成の強化」

- 経営層のワンマンでも経営が成り立つ小規模な企業に比べて、規模が大きくなるにつれ、人材に関する課題意識が高まる

- 小規模企業では販路面の課題が最も指摘の多い課題であるが、相対的に規模の大きい中小企業では、人材が最重要課題

出典: 公益財団法人 全国中小企業取引振興協会「規模別・業種別の中小企業の経営課題に関する調査」(2016年実施), サンプル数は4,320社

1-1 企業の成長ステップ別課題

【凡例】

: 売上高中央値未満の回答企業

: 売上高中央値以上の回答企業

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これまでがBtoB型の事業であったのとは異なり、新規事業はBtoC型の事業であったため、販路開拓のノウハウがないことが課題となった。社長が飛込み営業で数社との取引を獲得したが、以後販路拡大が進まない(東北/候補/製造業/BtoC)

新たな領域に展開したことによる最も大きな課題は販路開拓。特に、医療関係は新規参入に対する警戒感が強く、信頼性などが担保されていないうちは、なかなか医療機関では採用して貰えなかった。大手医療機器メーカーによる供給体制が確立されており、販路が固定化していたのも一因。(中部/中核/製造業/BtoB)

既存関係が有れば別だが、基本、相手の関心のあるコア技術などをピンポイントで売り込み、それがヒットしないと売れない。新規事業開発や顧客への提案に際して、シーズベースに陥りがちなことが一因。客のニーズを聞いて取り組んだテーマは売れることを考えると、売れない提案は、営業マンの「目利き」が今一つということ。(四国/中核/製造業/BtoB)

高付加価値路線への転換を進めたい一方、基本の指針や打ち出すコンセプト、ブランディング戦略が定まっておらず、なかなかヒット商品が出ないこと。いろいろと新商品を乱発してしまい、焦点がぶれている。自社の強みの明確化ができていない。マーケティングが、担当者の思いつきベースで為されており、一貫性が無い。(北海道/中核/製造業/BtoC)

ライセンスブランドに頼らない独自のブランドを作るために、組合としてブランディングの専門家の活用なども進める。(四国/老舗/製造業/BtoB) など

営業体制の不足については、営業体制があっても、スキル・ノウハウが伴わずボトルネックになってしまうことが課題として指摘できる。

(1) 「販路」の課題 - ヒアリングでのコメント

1-2 企業の課題①:販路

営業体制域外販売まで手が回らない/コストがかかる、販路を開拓できる人材の不足

スキル・ノウハウ製品は作れたが、BtoBからBtoCへの転換時や、新製品投入時に売り方が分からない

当初は、副社長の飛び込み営業が中心だったが伸び悩み。飛び込みだと、門前払いを喰うか、意思決定者に会えないことが多い。銀行の紹介ならば、役員クラスとの面談が叶う。(北海道/候補/製造業/BtoC)

販路を開拓する上で、企業に個別に営業をしていたが、当時の従業員数10人以下で行うには効率的な方法ではなかった。そこで、総合機械レンタル業者等、多くの企業とネットワークを持つハブとなるような企業に営業をかける方式に転換し、取引先を効率的に拡大することに成功。(近畿/中核/製造業/BtoB)

販路開拓が大きな課題となった。ものを相手にする開発フェーズはお金と時間をかければある程度前進が見込めるが、人相手の販路開拓は一層難しい(中国/候補/製造業/BtoB)

満足できる商品は半年で開発することができたが、商品の魅力だけでは売れなかった。現在、社長が1人で営業を行っているが、自社製品の割合を、現状の3~5割程度まで伸ばしていくためには、営業人材を拡充する必要がある。(沖縄/候補/製造/BtoC)

最初は、取引先の大手企業がサポートしてくれていたが、一定の時期が経った後は、顧客を自分で探さないとならない。現在では、同会社への依存度は6-7割に低下。(北海道/候補/製造業/BtoB)

海外販売を増やす上で、①国別のニーズ、好みなどの細かいフォロー、②中国製品等との競争が特に課題。日本のものがそのままでは海外で売れないことまでは分かってきた。総花的な製品や売り方ではダメで、海外では地域ごとに訴求する点を変えなければならないが、人員不足で理解が乏しい。(関東/中核/製造業/BtoC) など

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中小企業庁が行った調査においても、新規市場開拓に関する課題として「営業体制」、「スキル・ノウハウ」の不足に対する課題意識が強い。

(参考) 公的機関が実施した調査における「販路」の課題のありか

1-2 企業の課題①:販路

0% 20% 40% 60%

新規顧客の発掘等が出来る営業の人材がいない

企画やアイデアを出して形にしていく人材がいない

自社の強みを活かせる市場を見つけることが難しい

情報収集・分析をする人材がいない

企画やアイデアを出すための情報収集に時間がかかる

市場のニーズを把握することが難しい

販売チャネルを確保するのが難しい

自社のアピールがうまくいかない

新規顧客の発掘のためのITの活用が不十分

試作等をする資金がない

販路開拓のための社外ネットワークや相談相手がいない

市場の規模や商圏を把握することが難しい

情報収集・分析のための資金がない

販売促進資料がない、準備にコストがかかる

試作等をする人材がいない

開発のための社外の相談相手がいない

新規市場開拓に関する課題

出典: 中小企業庁「『市場開拓』と『新しい取り組み』に関する調査」(2014年実施), サンプル数は822社

前頁に記載した

「スキル・ノウハウ」に対応

前頁に記載した

「営業体制」に対応

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「候補化」において、製造業(BtoC)のうち約6割が「販路」に課題を持つ。「中核化」の段階では、非製造業、製造業(BtoB)も販路に課題を持つ企業が過半数を超える。

(2) 「業種」別の分析

1-2 企業の課題①:販路

企業のコメント「販路」に課題を抱える企業の割合

「候補化」の段階における製造業(BtoC)⁃ 『自社の満足のいく商品は半年で開発することができたが、商

品の魅力だけでは売れなかった。』(沖縄/候補/製造/BtoC)

⁃ 『これまでがBtoB型の事業であったのとは異なり、新規事業はBtoC型の事業であったため、販路開拓のノウハウがないことが課題となった。社長が飛込み営業で数社との取引を獲得したが、以後販路拡大が進まない。』(東北/候補/製造業/BtoC)

「中核化」の段階における製造業(BtoB)⁃ 『販路については、これまであるメーカーの下請けとして取引を

してきたが、その企業以外の仕事の確保が急務。その企業系列の紹介などで、域外の仕事が増えているほか、マッチング機会を活用した販路開拓に努めている。但し、後者は中々始まらない、続かないのが課題。』(中部/候補/製造業/BtoB)

⁃ 『新たな領域に展開したことによる最も大きな課題は販路開拓。特に、医療関係は新規参入に対する警戒感が強く、信頼性などが担保されていないうちは、なかなか医療機関では採用して貰えなかった。』(中部/中核/製造業/BtoB)

非製造業

製造業

(BtoC)

製造業

(BtoB)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

候補化 中核化 継続的発展

① 「候補化」のステップでは、特に製造業(BtoC)が「販路」に課題を抱えている。

② 「中核化」のステップでは、製造業(BtoB)、非製造業も、「販路」の課題とする企業が過半数を超える。

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「BtoB」 18社、 「BtoC」 8社、「非製造業」 4社、「継続的発展」ではそれぞれ「BtoB」 13社、「BtoC」 6社、「非製造業」 3社

2

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国内需要の減少に対する課題意識は、BtoCの企業も多く含まれる加工型製造業で最も強く、次いで素材型製造業、非製造業の順に強い。非製造業の中でも、BtoBである卸売業などでは課題意識が強く、製造業の中でも食品、精密機械などのBtoC寄りの業種では課題意識が弱い。

(参考)公的機関が実施した調査における業種別販路の課題

出典:商工中金「中小企業の経営改善策に関する調査 [2015年]」, サンプル数は4,490社

56.1% 55.9%

46.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

加工型製造 素材型製造業 非製造業

販路に関する業種別の課題認識(「国内需要の減少」を課題視する企業の割合)

> >

加工型製造業

56.1%

素材型製造業

55.9%

非製造業

46.6%

-印刷71.0%金属製品54.7%一般機械54.1%電気機器53.0%輸送用機器62.5%精密機械44.2%その他53.2%

-食料品44.9%繊維64.9%木材・木製品71.4%紙・パルプ60.7%化学49.6%窯業・土石73.2%鉄・非鉄58.1%

-建設業37.5%卸売業60.6%小売業60.6%不動産業36.1%運輸業38.6%サービス業35.7%情報通信業17.9%飲食・宿泊業38.9%

下請け構造の崩壊などにより部品・素材メーカーの一部は影響を受ける

訪日観光客の増加などの外部要因も後押し

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① 「候補化」から「中核化」にかけ、「大都市圏」と「その他」で課題の抱える企業の割合が逆転

② 「大都市圏」、「その他」の地域ともに、「中核化」の段階で「販路」に課題を抱える企業の割合がピークを迎え、「継続的発展」の段階で減少

「候補化」の段階では、「販路」に課題を抱える企業の割合は大都市圏よりも「その他」の地域の方が高いが、「中核化」では逆転する。- 「その他」の地域では域内の企業数が少ないため、早い段階で「販路」が課題となると考えられる。

(3) 「大都市圏・その他」別の分析

1-2 企業の課題①:販路

企業のコメント大都市圏・その他別 「販路」に課題を抱える企業の割合

「候補化」の段階における「その他」の地域の企業⁃ 『販路の開拓が課題であった。当初は、一般家庭向けに、コ

ンセント一個から小口の工事を引き受けるサービスの売上高は1億円であったが、テレビCMを流し始めた頃から受注が拡大した。』(中国/中核/非製造業)

⁃ 『最初は、主要な取引先である企業がサポートしてくれていた面も大きかったが、一定の時期が経った後は、顧客を自分で探さないとならない。』(北海道/候補/製造業/BtoB)

「中核化」の段階における「大都市圏」の企業⁃ 『取引のある日本の自動車メーカーが海外に生産拠点を移し

ていく中で、同社にもメーカーから現地生産拠点設立の要請があり、海外展開を進めている。北米への進出は、アジアに比べ国の支援が手薄で、同社が独自に情報収集をする必要があった。また、海外拠点設立に関して、相手国の経済部や地方政府との交渉が必要となるが、その関連の支援は受けられなかった。』(関東/中核/製造業/BtoB)

大都市圏

その他

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

候補化 中核化 継続的発展

2

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「大都市」 7社、 「その他」 23社、 「継続的発展」において「大都市」 6社、「その他」 16社なお、大都市圏とは大都市圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県(出典:総務省統計局「住民基本台帳移動報告」)

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ヒトの課題は、製造現場などでの人手不足から、事業承継の対象となる次の経営者層探しまで、幅広い人材層で課題が指摘されている。

(1) 「ヒト」の課題

1-3 企業の課題②:ヒト

人手工員が足りない。人材紹介会社は、コストがかかる割にはよい人材が集まらない

右腕人材事業路線が定まっていない/企業の経営路線策定を行うための人材が不足

経営体制経営層が全業務を見ており多忙/会社としてのマネジメント人材、体制が確立できていない

事業承継事業承継に課題を抱えている

最大の経営課題は人材採用。エンジニアは、大卒の確保が難しい。製造工程に従事する工員も不足。若い人にとってものづくりが魅力的に映らなくなっている。(関東/中核/製造業/BtoC)

現在の一番の課題は、人材と認識している。課題の背景には高等専門学校などの場で、ものづくりを教えなくなっているため。学校側としても、入学希望者を集めるためにITなどの新しい方向にシフトすることが求められている事情がある。(北陸/中核/製造業/BtoB)

現在の経営課題は、人材確保。近隣に、大企業の工場があり、比較的高い給与水準で人員を採ってしまうため、地場の中小企業まで人が回ってこない。(中部/中核/製造業/BtoB) など

それまで商品開発の中心的な役割を果たしていた社長の経営に関する業務の比重が増え、商品開発に時間を割けなくなったために、商品開発が滞った。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

人材の獲得・育成を最も重要な課題として認識している。次の事業の柱となるものがなにか検討しなければならないフェーズにあるが、新しいことを構想できる研究者が特に不足している。(中国/老舗/製造業/BtoB)

従業員の年齢構成が逆ピラミッド型になっており、技術力があるベテランの多くが近い将来に同時期に一斉に退職する等になると、事業が成り立たなくなるという危機感があった。(九州/中核/製造業/BtoB)

など

綿密な事業計画を立てることや、研究開発・販路拡大の体制を整えることが課題となった。(九州/候補/製造業/BtoB)

“ワンマン経営”から“組織経営”への転換を目指して、給与・人事規定、単身赴任制度等の制度設計の見直しを行った。(九州/中核/製造業/BtoB)

ある程度の売上が立ってからは人材不足が主要な課題。営業職については、社長が1人で行っているなど、営業職、技術職ともに不足している。(沖縄/中核/製造業/BtoB) など

周囲の企業を見ていても、親子間で事業承継の話をすることはハードルが高く、後継者が曖昧なまま経営が行われているケースが多く、問題が起きている。(中国/中核/製造業/BtoB)

今後の事業拡大における課題としては、事業承継がある。企業の成長戦略を考える上では避けては通れない課題である。これまでに何度か、銀行から紹介を受けて、少人数の会社を買い受けることがあった。その際は、M&Aの経験がある弁護士、銀行から支援を受けた。(九州/中核/製造業/BtoB) など

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人材に対する過不足は、「将来の経営者層の候補となる人材」から「定型的な作業を確実に行う人材」まで幅広く不足感がある。- なお、下部に示した先行調査は、2011年時点のものであり、後者の人材に対する不足感が数字上表れていないものと考えられる。

(参考)先行調査における「ヒト」の課題のありか

1-3 企業の課題②/ヒト

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

将来の経営者層の候補となる人材

創意工夫に富んだソリューションを取引先に提案する人材

技術開発・商品開発を行う人材

専門的な知識・技術を有する人材

社内業務の改善を提案する人材

経営者を補佐し、マネジメントを行う人材

熟練技能を持ち若年労働者に技能を承継する人材

生産・販売・総務等の現場で定型的な作業を確実に行う人材

その他

不足 やや不足 適正 やや過剰 過剰

人材に対する過不足の状況

出典: 財団法人商工総合研究所「中小企業における人材の活用等の実態調査」, サンプル数は上の選択肢から順に631/614/605/624/625/634/612/616/46

※サンプル数は上の選択肢から順に631/614/605/624/625/634/612/616/46

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製造業(BtoB)の企業は、 「経営人材」や「マネジメント体制」 等の経営に関する「ヒト」の課題を抱える割合が低い。経営人材は、どの業種においても「継続的発展」において課題。

(2) 「業種」別の分析

④ 「中核化」の時点では「労働力」としてのヒトが不足し、「継続的発展」においては、「経営人材」の不足が課題となる。※継続的発展においては、サンプル数が限られることに留意が必要。

③ 「継続的発展」において、労働力・経営人材ともに不足する。また、経営人材の課題は、企業のステップが進むと、顕在化する。

① 「中核化」、「継続的発展」ともに、労働力の不足が課題となる。

② 経営人材の課題は、企業のステップが進むと、顕在化する。

1-3 企業の課題②:ヒト

「ヒト」に課題を持つ企業割合

非製造業

経営人

労働力

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

候補化 中核化 継続的発展

経営人

労働力

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

候補化 中核化 継続的発展

経営人

労働力

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

候補化 中核化 継続的発展

製造業(BtoC)製造業(BtoB)

23

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「BtoB」 18社、 「BtoC」 8社、「非製造業」 4社、 「継続的発展」ではそれぞれ「BtoB」 13社、「BtoC」 6社、「非製造業」 3社

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なお、中小企業ではリーマンショック以降、急速に人材の不足感が高まっており、特にサービス業で顕著な傾向。

(参考)中小企業における人材過不足の状況

出典: 中小企業庁・独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 ※1: ここでDIとは人材が「過剰」と回答した企業の構成比から「不足」と回答した企業の構成比を引いた値

中小企業の従業員数過不足DI※1の推移

-25

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

'07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16

全産業 製造業 サービス業

過剰

不足

DI、%

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(3) 「大都市圏・その他」別の分析

1-3 企業の課題②:ヒト

「その他」の地域では、経営人材、労働力のいずれ場合も、「大都市圏」に比べ課題を抱える企業の割合が高い。また、経営人材に関する課題は、「大都市圏」、「その他」の地域ともに、「継続的発展」の段階で課題となる。

ヒト(経営人材)に課題を持つ企業割合

「大都市圏」の企業に比べ、「その他」地域の企業は労働力に関する課題を抱える割合が高く、その差は成長ステップを追う毎に拡大する。

大都市圏

その他

-10%

10%

30%

50%

70%

候補化 中核化 継続的発展

大都市圏

その他

0%

20%

40%

60%

80%

候補化 中核化 継続的発展

ヒト(労働力)に課題を持つ企業割合

「その他」の地域に比べ、「大都市圏」は経営人材に関する課題を抱える企業割合が低い。なお、調査対象の大都市圏の企業は、7社とも製造業(BtoB)であるため、業種の影響を受けている可能性を留意する必要がある。

「ヒト」に課題を持つ企業割合

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「大都市」 7社、 「その他」 23社、 「継続的発展」において「大都市」 6社、「その他」 16社

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地域別には、特に東北、九州・沖縄、四国、北陸などにおいて人手不足に対する声が強い。

(参考)先行調査における「都市圏・他」別の状況

出典:商工中金「中小企業の経営改善策に関する調査 [2015年]」, サンプル数は4,490社

地域別の「人手不足」感の強さ

0%

15%

30%

45%

東北 九州・沖縄 四国 北陸 北海道 中国 関東 近畿 東海 甲信越

1-3 企業の課題②:ヒト

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外部の支援機関なども含めた開発体制の構築、製品企画に課題を持つ企業が多い。

(1) 「技術」の課題

開発体制エンジニアの人材の採用が難しい

製品企画新製品開発にあたり、新素材、新技術やITに対応する新たな人材やノウハウが必要

開発に当たっては、複数の大学との共同研究に加え、大手メーカーを退職したOB人材を雇用することで体制を整えた。(中部/中核/製造業/BtoB)

事業転換の際に開発を進めた製品は設計が難しく、設計コストが利益を圧迫。日本で設計を行うと、完成品出荷額の30%が設計コストとして費やされていた計算となる。これを解決するために、設計機能の一部を中国に移転した。背景となったのは、同社の所在地の都道府県庁が、遼中国のある地域と友好都市提携をしていたこと。(北陸/中核/製造業/BtoB)

エンジニア確保が特に課題。CADを使える人などが欲しいが、それに特化して採用することは困難。特に、大卒・高専卒は難しい。背景として、中京圏は自動車関連産業が好況なこともあり、それらの企業が人材を先にさらって行ってしまう。(中部/候補/製造業/BtoB)

エンジニア人材となると余計に採用が難しい。なかなか、大都市から車で2時間かかる地域には就職してくれない。そのため県が東京や大阪で開催する、IターンやUターン人材を対象とした就職フォーラムには、積極的に参加している(四国/候補/製造業/BtoB)

新商品開発部で販売用の製品を開発をしているが、その過程で技術的に行き詰ることが多い。(近畿/中核/製造業/BtoB)

今後は特に、ソフトウェア関連の人材の確保が課題である。IoTやAIの発展により、半導体関連ビジネスはさらに拡大するものと考えられ、同社の複雑な装置を制御するソフトウェアを開発できる人材が必要となる。(関東/中核/製造業/BtoB) など

大手の国内大手メーカーが大量生産を開始したため、より付加価値の高い分野へ軸足を移すことが必要となった。ちょうど同時期に海外の大手医療機器メーカーから、新製品の開発に関する打診があったことがヒントとなり、3年間の試作期間を経て、販売に至った。(関東/中核/製造業/BtoB)

それまで商品開発の中心的な役割を果たしていた社長の経営に関する業務の比重が増え、商品開発に時間を割けなくなったために、商品開発が滞った。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

医療分野への進出については、今後の成長余地などの観点から考えてはいるが、技術的に大学などとの提携が必要であり、開発コストも高いことを課題として考えている。(北陸/中核/製造業/BtoB)

今後の技術的な課題は、新素材の量産加工や精密加工を可能にする金属加工方法の確立である。以前は、鉄を加工できればよかったが、現在はステンレス鋼材やチタン等、鉄以外の素材が開発されており、それに伴って加工方法の革新が求められている。また、同社は完成車メーカー、または、メガサプライヤーに直接部品を納入する一次部品メーカーであるため、研究開発段階から完成車メーカーとのコミュニケーションがある。そのため、販路拡大よりは、技術力の向上を優先したい。(関東/中核/製造業/BtoB) など

1-4 企業の課題③:技術

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「継続的発展」において、製造業の約半数が「技術」を課題としている。一方で、「非製造業」は、「技術」を課題とする企業の割合は低い。

(2) 「業種別」の分析

企業のコメント業種別 「技術」に課題を抱える企業の割合

「中核化」の段階における製造業(BtoB)⁃ 新製品開発の課題は、測量機を遠隔操作するための通信

技術の開発であった。(近畿/中核/製造業/BtoB)

⁃ アルミダイカスト事業への展開を行った。但し、アルミダイカストは設計が難しく、設計コストが利益を圧迫。(北陸/中核/製造業/BtoB)

「継続的発展」の段階における製造業(BtoC)⁃ それまで商品開発の中心的な役割を果たしていた社長の経

営に関する業務の比重が増え、商品開発に時間を割けなくなったために、商品開発が滞った。(沖縄/中核/製造業/BtoC)① 製造業(BtoB)は、「中核化」の段階で、「技術」の割合がピークを迎える。

② 製造業(BtoC)は、ステップを進むにつれ、「技術」に対する課題を持つ企業割合が高まる。

③ 非製造業は、「中核化」の段階では一時的に割合が高く出ているが、「候補化」、「継続的発展」では「技術」に課題を抱える企業はない。

非製造業

製造業

(BtoC)

製造業

(BtoB)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

候補化 中核化 継続的発展

1-4 企業の課題③:技術

1 2

3

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「BtoB」 18社、 「BtoC」 8社、「非製造業」 4社、 「継続的発展」ではそれぞれ「BtoB」 13社、「BtoC」 6社、「非製造業」 3社

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「大都市圏」では、「継続的発展」において「技術」の課題を抱える企業の割合が高い。一方、「その他」の地域では、「中核化」の段階で割合が高くなる。

(3) 「大都市圏・その他」別の分析

1-4 企業の課題③:技術

企業のコメント大都市圏・その他別 「販路」に課題を抱える企業の割合

「継続的発展」の段階における「大都市圏」の企業⁃ 今後の技術的な課題は、新素材の量産加工や精密加工を

可能にする金属加工方法の確立である。以前は、鉄を加工できればよかったが、現在はステンレス鋼材やチタン等、鉄以外の素材が開発されており、それに伴って加工方法の革新が求められている。(関東/中核/製造業/BtoB)

⁃ 今後は特に、ソフトウェア関連の人材の確保が課題である。IoTやAIの発展により、半導体関連ビジネスはさらに拡大すると考えられ、同社の複雑な装置を制御するソフトウェアを開発できる人材が必要となる。人材が足りていない背景として、同社はメカの印象が強く、ソフトウェアの人材が集まらないことが考えられる。(関東/中核/製造業/BtoB)

「中核化」の段階における「その他」の地域の企業⁃ エンジニア人材は採用が難しい。最寄りの工業高校がある市

内から職場まで車で2時間かかるため就職してくれない。(四国/候補/製造業/BtoB)

① 「大都市圏」では、「継続的発展」において、「技術」に関する課題を抱える企業が多い。

② 「その他」の地域の企業は、「中核化」の段階で「技術」の課題を抱える企業が増える。

大都市圏

その他

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

候補化 中核化 継続的発展

1

※サンプル数は「候補化」「中核化」においてそれぞれ「大都市」7社、 「その他」23社、「継続的発展」において大都市 6社、その他 16社

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(1)考え方の整理

売上高20億円未満、かつ成長率がプラスの企業を候補企業(=A. 広義の候補企業)と捉える際、中でも5年以内に地域中核企業へと成長する見込みがある候補企業(=B. 狭義の候補企業)がどの程度存在するかを推計する。

1-5 候補企業となりうる企業数

企業の4分類(※大企業、小規模事業者は 4分類から除外)

「老舗企業」

「候補企業」

成長性

(売上の伸び・新規事業開発の勢い等)

小 大

「地域中核企業」

「その他企業」

地域貢献度(売上の大きさ、雇用や域内仕入れ等)

候補企業の捉え方

売上が20億円以上か未満か

調査対象期間で成長率が+か-か*1

A

BA. 広義の候補企業

売上高が20億円未満、成長率がプラスの企業全て

B. 狭義の候補企業

「A.広義の候補企業」の中でも、5年以内に地域中核企業へと成長する見込みが高いと思われる企業

*1: データの欠損および特定年の異例値などを避け、2006~2008年の平均売上高と2011~2013年の平均売上高とで比較。

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データベースより習得したサンプル調査をもとに、広義の候補企業数と狭義の候補企業数を、業種別(製造業・非製造業)に推計。

(2)候補企業数推計

※1:出典 「平成26年度経済センサス基礎調査」, ※2:各Stepの詳細は次頁参照

1-5 候補企業となりうる企業数

うち、短期において中核企業となり得る

成長率の企業

74.4千社(72.6%)

48.9千社(73.0%)

22.4千社(81.0%)28.0千社

(27.4%) 18.1千社(27.0%)

5.2千社(19.0%)

売上高20億円未満売上高20億円未満かつ成長率+の企業

大・小規模事業者以外の企業日本の全企業※1

Step.1※2

Step.4▼

非製造業

製造業

102.5千社

67.0千社

27.7千社2.5千社

非製造:2.1千社(86.4%)

製造: 0.4千社(13.6%)

3,667.2千社(89.5%)

431.1千社(10.5%)

4,098.3千社

A. 広義の候補企業 B. 狭義の候補企業

以降、サンプル調査をもとにした推計値

Step.2▼

Step.3▼

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「狭義の候補企業数」推計に際して用いた、4つのStepの詳細は以下の通り。

(参考)推計の手順

Step 詳細

従業員数5人未満の企業を除く100万社以上をカバーするデータベースのうち、以下の条件で大企業及び小規模事業者を除く

-大企業: 資本金10億円以上、あるいは、従業員数300人以上

-小規模事業者: 資本金2,000万円未満、従業員数20人未満

データベースをもとに、売上高が20億円以上の企業を除外

-売上高が20億円を上回る企業は、地域中核企業若しくは老舗企業として識別される

データベースより400社(売上高規模4区分※1ごとに各100社計400社)を無作為にサンプルとして抽出

サンプル400社のうち、2005-2007年の平均売上高と2011-2013年の平均売上高とを比較して年平均成長率を推計。成長率がプラスの企業の構成比をStep.2で抽出した「売上高20億円未満の企業数」に乗算する

サンプル調査対象の400社について過去の年平均成長率を乗算し、5年後の売上高を推計。候補企業の閾値である20億円に達する企業の構成比を算出し、「広義の候補企業数」に乗算

推計する将来売上高の「5年」後とは、経済産業省「地域中核企業創出・支援事業 平成29年度概算要求」に記載の「成果目標」に準じた

1-5 候補企業となりうる企業数

Step.1

大企業と小規模事業者を除外

Step.2

売上高20億円未満の企業を抽出

Step.3

サンプル調査をもとに、成長率がプラスの企業を抽出

Step.4

サンプル調査をもとに、短期的に20億円に達する成長率の企業を抽出

※1: 1億円以上5億円未満、5億円以上10億円未満、10億円以上15億円未満、15億円以上20億円未満の企業

サンプル100社は誤差9.8%、信頼度95%、母比率50%の条件化において必要なサンプル数

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5年以内に地域中核企業へと成長するポテンシャルがあると見込める「B.狭義の候補企業」は、売上高15億円以上の企業が多いものの、中には年率20%以上の急成長を遂げている5億円~10億円規模の企業も含まれる。

(3)狭義の候補企業の分布(1/2)

「狭義の候補企業」と「広義の候補企業」の分布

0%

10%

20%

30%

40%

0 500 1,000 1,500 2,000売上高※2

単位: 百万円

CAGR(年間平均成長率)※1

出典: アクセンチュア推計, ※1: ‘05-’07までの平均値と’11-’13までの平均値をもとにしたCAGR(年間平均成長率), ※2: 売上高は’11-’13の平均値

【凡例】

: 狭義の候補企業

: その他の候補企業

1-5 候補企業となりうる企業数

400社のサンプル調査対象企業のうち広義の候補企業に含まれる企業の分布

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サンプル調査で集計した狭義の候補企業の分布について製造業/非製造業に区分すると、非製造業は相対的に幅広い規模の企業が狭義の候補企業に含まれる。

(3)狭義の候補企業の分布(2/2)

業種別「狭義の候補企業」と「広義の候補企業」の分布

0%

10%

20%

30%

40%

0 500 1,000 1,500 2,000売上高※2

単位: 百万円

出典: アクセンチュア推計, ※1: ‘05-’07までの平均値と’11-’13までの平均値をもとにしたCAGR, ※2: 売上高は’11-’13の平均値

【凡例】

: 狭義の候補企業(製)

: 狭義の候補企業(非)

1-5 候補企業となりうる企業数

: その他の候補企業(製)

: その他の候補企業(非)

400社のサンプル調査対象企業のうち広義の候補企業に含まれる企業の分布

CAGR(年間平均成長率)※1

狭義の候補企業のうち非製造業( )が分布する範囲

狭義の候補企業のうち製造業( )が分布する範囲

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地域ごとの企業規模の分布が一定だと仮定すると、産業構造に応じて、多少の変動はあるものの、総じて地域の企業の0.60~0.70%が「広義の候補企業」に、0.06%前後が「狭義の候補企業」に該当する。

(4)候補企業数の地理的分布

1-5 候補企業となりうる企業数

0.0%

0.7%

各地における企業の構成

0.6%

0.5%

0.4%

0.3%

0.2%

0.1%

北海道3.7%

東北7.1%

関東38.7%

中部9.7%

北陸2.2%

近畿18.3%

中国5.8%

四国3.4%

九州9.8%

沖縄1.2%

1.0 1.8 9.7 2.4 4,5 1.5 0.9 2.6 0.3

0.1 0.2 1.0 0.2 0.4 0.1 0.1 0.3 0.0

0.6

0.1

中小企業の所在地の構成比

各地における候補企業の構成(数字は千社単位)

【凡例】

: 狭義の候補企業

: その他の候補企業

400社のサンプル調査を踏まえた全国の候補企業の分布

出典: アクセンチュア推計

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全国に2.5千社の「狭義の候補企業」が存在※2

そのうち、約40%を関東の企業が占め、近畿・九州・中部を加えた4つの地域において、全体の75%を上回る企業が集積

閾値が下がることで5年間で閾値に到達しうる企業数が増加、全国3.0千社に※2

関東は閾値を基準値として20億円のままとするため、関東の企業数は増えず、構成比は約30%に下がる。その他の各地域では候補企業とみなしうる企業数が増加

関東1.4

なお、実際には地域ごとに企業規模の格差が存在する。このため、①地域間の企業規模の格差を認めない推計に加え、1社あたり付加価値額の水準をもとに、②関東における地域中核企業の閾値を20億円として補正した推計、③近畿における閾値を10億円として補正した推計の各オプションを推計した。

(5)地域ごとの企業規模格差などを踏まえた推計

1-5 候補企業となりうる企業数

各オプションにおける「狭義の候補企業」の分布(数字は千社)

関東1.0

近畿0.4

北海道0.1

東北0.2

中部0.2

北陸0.1

中国0.2

四国0.1

九州0.3

沖縄0.0

関東1.0

近畿0.6九州

0.4

北海道0.2

東北0.3

中部0.3

北陸0.1

中国0.2

四国0.1

沖縄0.0

近畿0.6 中部

0.2

北海道0.1

東北0.2北陸

0.1中国0.2

四国0.1

九州0.2

沖縄0.0

オプション①

地域間の企業間格差を認めない推計オプション②

関東20億円を各地の企業規模で補正※1

オプション③

近畿10億円を各地の企業規模で補正※1

近畿地方での支援機関へのヒアリングより得た基準値10億円の水準を各地の企業規模で補正した場合、全国3.1千社に※2

閾値が極端に小さくなる地域では、対象企業数が減少することで候補企業数が減少するケースも現れる

出典: アクセンチュア推計 ※1: オプション②は関東地方20億円、オプション③は近畿地方10億円を閾値に設定し、各地の「企業1社あたり付加価値額」の水準比で補正※2:各地域の企業数は小数点以下第2位を四捨五入しているため、各地域の企業数の合計が全国の企業数と一致しない場合がある

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2章 地域中核企業の事例・波及効果

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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本調査では、北海道から沖縄までの全10地域について、地域中核企業に該当すると考えられる以下の計20企業にヒアリングを行った。

地域中核企業20事例一覧

2-1 地域中核企業の事例

1

5

15

19

3

13

18

10

17

16

20

14

6

2

4

12

9

11

7

8

北海道・東北

関東

中部・北陸

中国・四国

北海道・東北

中部・北陸

近畿

関東

近畿

九州・沖縄

近畿

中国・四国

九州・沖縄

中国・四国

九州・沖縄

九州・沖縄

関東

中部・北陸

関東

中部・北陸

製造業 (BtoC)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

非製造業

製造業 (BtoC)

非製造業

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoC)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoC)

非製造業

製造業 (BtoC)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

製造業 (BtoB)

食料品・たばこ

精密機械

鋳鍛造品

建築及び補修

食料品・たばこ

対事業所サービス

特殊産業機械

電子応用装置・電気計測器

電子応用装置・電気計測器

建築及び補修

精密機械

特殊産業機械

化学最終製品

民生用電気機器

対個人サービス

対個人サービス

電子応用装置・電気計測器

精密機械

自動車部品・同付属品

化学繊維

5,000~9,999万円

5,000~9,999万円

10,000万円~

10,000万円~

~4,999万円

~4,999万円

~4,999万円

10,000万円~

~4,999万円

~4,999万円

5,000~9,999万円

~4,999万円

5,000~9,999万円

~4,999万円

~4,999万円

5,000~9,999万円

5,000~9,999万円

10,000万円~

10,000万円~

5,000~9,999万円

100~199人

100~199人

200~299人

300人~

50~99人

300人~

100~199人

200~299人

200~299人

200~299人

50~99人

100~199人

~49人

~49人

~49人

300人~

100~199人

200~299人

100~199人

200~299人

20~49億円

20~49億円

20~49億円

50~99億円

~19億円

100億円~

20~49億円

100億円~

20~49億円

20~49億円

20~49億円

20~49億円

~19億円

~19億円

20~49億円

~19億円

20~49億円

20~49億円

50~99億円

50~99億円

No. 地域 製造・非製造 業種80分類 資本金 従業員数 売上高

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地域中核企業が地域に与える波及効果を高めていくために、現状の波及効果を分類・体系化し、波及効果を高める上での課題を抽出する。

(1)波及効果の分析アプローチ

アプローチ

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

目的

事例の分類・体系化 課題の抽出

• 地域中核企業20社、老舗企業2社に対して行ったヒアリングをもとに、企業の地域への波及効果を分類し、体系化。

• ヒアリングで確認した、波及効果を高めるための課題を企業毎に整理

売上高の上昇だけでなく、波及効果を高めることで、域内への貢献度を高める 波及効果の分類 現状 理由

仕入のうちxx% (A社) 域内に企業がない

直接

仕入域内

域外

販売域内

域外

雇用

地域連携

間接

誘客※1

生産性※2

さらに波及効果を高めるための課題

※1:域内へ観光客の誘引等

※2:ソフトウェア、アプリケーション、サービス等の提供による、顧客企業の生産性向上等の効果

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域内仕入比率が低い企業のみならず、既に域内仕入比率が高い企業であっても、さらなる域内仕入れ比率拡大に向けた課題を抱えている。

(2)波及効果の分析:仕入

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

直接

仕入

販売

雇用

地域連携

間接

誘客

生産性

現状 背景

外注の金額ベースでは、県外3割、県内7割。(北陸/中核/製造業/BtoB)

技術がないものについては地域外に頼らざるを得ない。地元は金属加工の町だが、レベルの更なる工場が必要。

外注に出してから戻ってくるまでのスピードが重要な業界の為、地元の方が時間ロスが少ない。

薬事法上、医療機器の製造資格がない企業へは外注不可。

域内

域外

域外中心。(近畿/中核/製造業/BtoB)

域内仕入は7割程度。(近畿/中核/製造業/BtoB)

地域の企業から仕入れると輸送コストが下がるため、地域企業が取引先の中心となる。

約6~7割が域外。(九州/中核/製造業/BtoB)

商品価格と輸送コストのバランスをみて、仕入先を判断した結果として現状の比率となる。

大手からの直接仕入額よりも、低コストで仕入れられるような地場の商社のコスト競争力が必要。

同社製品の7割に使われる地域の特産品の仕入は域内。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

地域振興のために開発した商品であるため、域内で仕入れている。

域内で仕入れられる品目に限界がある。特に、特産品以外の汎用素材の仕入が難しい。

育成する価値がある技術を持った外注先の探索、指導。

大豆などはほぼ100%海外からの調達。価格面、供給面などで、農作物は、国産素材の調達の難しいものも多い。

ベーシックな商品は、殆んど海外原料。(北海道/中核/製造業/BtoC)

高価格帯の商品の製造販売に絞ることで、国内の高単価の原材料の調達が行いやすくなる。

仕入 販売 雇用 地域連携 誘客 生産性

さらなる地域企業の仕入先開拓のために、地域の受発注商談会への参加等を行う必要がある。

※弊社理解

波及効果の分類

さらに波及効果を高めるための課題※

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現状域外販売が少ない企業であっても、人材の数や今後注力する事業の方向性から、域外販売を拡大できる余地を秘めている企業もある。

(2)波及効果の分析:販売

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

波及効果の分類

直接

仕入

販売

雇用

地域連携

間接

誘客

生産性

現状 背景

海外を含む道外売上が20%、道内が80%。(北海道/中核/製造業/BtoC)

域外で売るためのブランド戦略の立案。東京1人、大阪3人の担当を置き、展示会出展や顧客訪問を行っている。

CAD/CAMを使える鉄鋳物メーカーがまだ珍しかったため、ある自動車完成車メーカー系列の企業の下請けとなることに成功に域外の売上が拡大。次いで、同系列の下請け同士のつながりであらに域外とのビジネスが伸長した。

域内

域外

国内売上20億円、国外売上8億。国内の販売先は7割が県外。(北陸/製造業/BtoC)

約8割が海外販売。(関東/中核/製造業/BtoB)

海外支社、特に韓国の体制を整えることで、域外売上のさらなる安定化が進むと見込まれる。

販売については、域内が99%を占める。(中国/中核/非製造業)

設備工事業が主たる業務であるため、地域内でのサービス提供が多い。

域外へのサービス展開として、小口設備工事のフランチャイズ事業を新たに始めており、今後この事業を拡大させることで域外売上が伸びると思われる。

海外での生産販売体制の強化のためのエンジニアの採用が課題。エンジニアの採用拡大により自社開発のシステムによる生産計画、生産管理の内製化が進み、自動社メーカーからの信用が高まる。

現在、食品工場が建設されているのは、北海道や東北であるため、地方への販売になる。

売上の7,8割が域外。(近畿/中核/製造業/BtoB)

北海道、東北等の食品工場が集積している地域の展示会に積極的に参加することで、更なる域外売上拡大が期待できる。

先に海外展開を進めていた取引先企業のネットワークを活用して早期に海外展開を実現。利益率の向上のために、直販体制を築いた。

※弊社理解

仕入 販売 雇用 地域連携 誘客 生産性

さらに波及効果を高めるための課題※

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既に一定以上の雇用を確保している企業についても、人材不足を課題に抱える傾向がある。そうした企業へ労働力の更なる供給を行うことができれば、企業の課題を解決しつつ、雇用面での更なる波及効果が期待できる。

(2)波及効果の分析:雇用

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

直接

仕入

販売

雇用

地域連携

間接

誘客

生産性

現状 背景

積極採用活動の結果として、約10年間で100名近く伸びている。(九州/中核/製造業/BtoB)

現在も、60歳以上の従業員は70人程度おり、バランスが不均衡な状態が続いているため、更なる若手の採用が必要。

社員の年齢構成が逆ピラミッド型になっており、技術力があるベテランの多くが近い将来に一斉に退職すると、事業が成り立たなくなる危機感があった。

ある製品は、利幅で言えばほとんど利益が出ていない。だが、企業の規模や、地域の雇用を維持するためには、雇用効果が一番大きい事業であるため、やめないでいる。

域内採用

女性採用

主要事業は、賃加工であり、原料の材料費もかかることから、雇用確保・売上で最大の貢献がある。(四国/中核/製造業/BtoB)

雇用はほぼ県内で生まれている。(北陸/中核/製造業/BtoB)

事業の拡大による更なる人材採用枠の確保。

域内で40名を雇用している。離職率は低く、退職は出産、引越以外の理由ではほぼない。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

同社社長はもともと域内でビジネスを営んでおり、域内に貢献する意欲があった。

人材不足が主要な課題であるが、営業職、技術職ともに不足している。域内で雇用した上でそうした人材を研修等で育成する等の対策が必要となる。

雇用効果が高い事業を維持するためのその他の事業を含めた事業ポートフォリオの管理。

同社は、新卒採用市場を見ても、女性の方が依然として採用状況は厳しいのではないかと考えている。そのため、高いレベルの人材でも獲得しやすい可能性がある。

女性・高齢者の活用を積極化することを考えている。(中国/中核/製造業/BtoB)

女性が結婚・出産することも前提としたときに、営業職での転勤をどうするか、産休・育休の制度をどうするか、産休・育休から復帰した社員のサポート・トレーニングをどうすべきか、など制度設計を検討する必要がある。

同社所在地近辺では労働者供給に限界があるが、近隣の規模の大きい市近辺から人が来る。

※弊社理解

仕入 販売 雇用 地域連携 誘客 生産性

波及効果の分類

さらに波及効果を高めるための課題※

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中核企業が中心となって、地域の企業と協力しつつ、産業の発展に貢献している事例が見受けられた。

(2)波及効果の分析:地域連携

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

直接

仕入

販売

雇用

地域連携

間接

誘客

生産性

現状 背景

県内の宿泊・飲食事業者に対して顧客対応を支援する団体を立ち上げた。(沖縄/中核/非製造業)

レストラン、ホテル等の事業者だけでなく、一般消費者への同取組の周知拡大。現在、大手旅行会社とも連携して行っているが、更なる連携企業の拡大が課題。

顧客対応の不備で自由に観光がしにくい現状がある。

接客

総務人事

一定量以上の域内の資源を原料に使用している製品に認定マークを付与する協議会を主導。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

更なる加盟企業数の拡大と、一般消費者のマークの認知度度向上に資するプロモーション等。

組合員として地域ブランドの確立を主導した組合にて、ブランドの広報やブランド製品の通販サイトを運営。(四国/老舗/製造業/BtoC)

中国産の廉価な製品の流入やOEM事業の主要顧客の撤退により、地域企業の倒産が相次ぎ、地域企業が連携して対策を打つ必要があった。

同ブランドは全国的に知名度が高まってきたため、今後は個社毎のブランドを築き、プロモーションしていく必要がある。

地元企業も同社同様にものづくり人材の不足が課題になっていると認識している。

地域の中小企業に対して、自社の研修センターを一部開放して、ものづくり人材育成の支援を行っている。(北陸/中核/製造業/BtoB)

同社の中でも、人にものづくりを教えることができる人材が減ってきており、生産現場のノウハウの標準化・形式知化を進める必要がある。

域内で採取した資源を極少量しか含んでいないにも関わらず、同資源を全面に打ち出した広告を行うメーカーが出てきており、正規のルートで同資源を買い入れ、適量を使っている業者を保護することが目的。

※弊社理解

仕入 販売 雇用 地域連携 誘客 生産性

波及効果の分類

営業

さらに波及効果を高めるための課題※

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誘客による裨益、地域企業の生産性向上についても幾つかの事例がみられた。但し、生産性向上に関しては、域内外無差別に効果をもたらしているケースも多い。

(2)波及効果の分析:誘客、生産性

2-2 地域中核企業による地域への波及効果

観光客の誘致促進のための官民事業に参画。(沖縄/中核/非製造業)

現在官民事業として行っているものの内製化。

沖縄の観光産業は、観光閑散期における誘客が課題とされている。

工場には、受入れ施設がないにも関わらず、年間3,000人程度の観光客が訪れている。(東北/中核/製造業/BtoC)

現在建設予定の工場と飲食・小売店を併設した複合施設を本社近くに建設する計画の遂行。

高い商品のブランド力や、体験施設を併設した直営店の運営を通じて、観光客誘客に貢献。(沖縄/中核/製造業/BtoC)

あえて域外には同社の製品を卸さないことで、観光客が沖縄に来るインセンティブを高めている

外国人の同社製品に対する認知度の向上。

同社が製造する製品のメンテナンスは高度な技術や設備が求められ、各社がそれぞれ体制を整えて保守管理を行うのは非効率であった。

製品のレンタル事業を通じて、顧客が行うことが難しい製品のメンテナンスを代行する形で地域へ貢献している。(近畿/中核/製造業/BtoB)

東京に売上が偏っているため、地元の近畿での更なる顧客の獲得上。

東日本大震災を乗り越えて新規事業を軌道に乗せた社長の体験談を同社工場で行っている。

※弊社理解

仕入 販売 雇用 地域連携 誘客 生産性

現状 背景

さらに波及効果を高めるための課題※

直接

仕入

販売

雇用

地域連携

間接

誘客

生産性

波及効果の分類

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3章 支援機関の実態

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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ヒアリングを行った機関について、機関名、種別、所在地、支援内容、支援対象の情報を整理した。

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

調査対象支援機関の全体サマリ:公設試

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

所在地種別

公設試北海道・東北

-

○技術相談/技術者派遣(短期・中期)

○勉強会の開催

- ○設備・施設提供

-域内・

規模不問

公設試 関東 -

○共同研究/独自研究の技術移転/技術相談/試験

○勉強会の開催/他の支援機関の紹介

○企業向け人材育成

○設備・施設提供

○マッチング支援

全国・規模不問

公設試 中国○

研究会の設置・運営

△他の支援機関の紹介

域内・規模不問

公設試 四国○

技術相談/試験/共同研究

全国・規模不問

- ○設備・施設提供

-○

共同研究/独自研究の技術移転/技術相談/試験

- ○設備・施設提供

- - -

支援内容※1

主な対象※1

公設試九州・沖縄

域内・中小企業

-○

補助金活用の支援/税制の相談

○技術相談/試験

○人材マッチング/事業継承の支援

○設備・施設提供

- -

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(前頁の続き)

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

調査対象支援機関の全体サマリ:中小企業支援センター

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

中小企業支援センター

北海道・東北

域内・中小企業

-

○特許出願支援/他の支援機関の紹介

△他の支援機関の紹介

○設備・施設提供

○情報発信(インセンティブなど)

○補助金活用の支援/中小企業向けのファンド事業

○商談会/営業支援(域外取引先の開拓など)

中小企業支援センター

北海道・東北

○特許出願支援

域内・中小企業

○6次産業化支援/情報発信/勉強会の開催

○企業向け人材育成/人材派遣

-

○営業支援(アンテナショップへの出店支援など)

○補助金活用の支援

中小企業支援センター

近畿域内・

中小企業

中小企業支援センター

中国

○技術相談/大学・研究機関などのシーズとマッチング

○製品企画へのアドバイス

域内・中小企業

-

○企業向け人材育成/事業承継の支援

○個別企業間のマッチング

○大学・研究機関などのシーズとマッチング

△他の支援機関の紹介

○情報発信(経営相談など)

○補助金活用の支援/資金調達のアドバイス業務/金融機関とのマッチング

○海外展開支援

○情報発信/勉強会の開催

-

○補助金活用の支援/補助金の提供

中小企業支援センター

四国

○営業支援(営業代行など)/展示会への出展支援

域内・中小企業

-

○補助金活用の支援/補助金の提供

- - -

所在地種別 支援内容※1

主な対象※1

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(前頁の続き)

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

調査対象支援機関の全体サマリ:中小企業支援センター/大学

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

大学北海道・東北

-

○受託研究/共同研究/外部補助金活用

-

○企業向け人材育成/金融機関向け人材育成

-○

共同受注窓口の組織/営業支援

全国・規模不問

大学北海道・東北

-○

大学シーズ・研究者とのマッチング

○勉強会の開催

○企業向け人材育成/金融機関向け人材育成/人材マッチング

○設備・施設提供

△他の支援機関の紹介

域内・中小企業

大学 北陸○

補助金活用の支援

○共同研究/独自研究の技術移転/プロジェクトマネジメントの支援

○勉強会の開催/知財マネジメントの支援

○研究員の受入れ

○設備・施設提供

○マッチング支援

全国・規模不問

大学 中部○

補助金活用の支援

○大学シーズ・研究者とのマッチング

○研究会の設置・運営

○企業向け人材育成

-○

マッチング支援/海外ミッションの運営

域内・規模不問

中小企業支援センター

九州・沖縄

○情報発信

○展示会出展支援/個別企業間のマッチング

域内・中小企業

○補助金の提供/資金調達のアドバイス業務

-○

施設・設備の導入支援

-

所在地種別 支援内容※1

主な対象※1

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(前頁の続き)

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

調査対象支援機関の全体サマリ:大学/金融機関

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

大学 中部○

補助金活用の支援

○技術相談/学術指導/共同研究

○インセンティブ情報の発信

○企業向け人材育成

-△

他の支援機関の紹介

域内・規模不問

大学九州・沖縄

○補助金活用の支援

○大学シーズ・研究者とのマッチング/技術相談/共同研究

○研究会の設置・運営

- -域内・

規模不問-

金融機関 近畿 ○標準化支援

○情報発信(海外投資状況など)

○設備・施設提供

域内・規模不問

金融機関 中国 -

○経営支援(中期事業計画の策定支援など)

○人材派遣/専門家の紹介(コンサルタントなど)

○設備・施設提供

○商談会

域内・中小企業

金融機関九州・沖縄

○勉強会の開催

○商談会

域内・中小企業

○設備・施設提供

○採用支援(合同説明会の運営)/事業継承支援

○補助金活用の支援/資金調達のアドバイザリー/補助金の提供

○大学・研究機関のシーズのマッチング/商談会/海外ミッションの運営

-

○人材マッチング

-○

補助金活用の支援

所在地種別 支援内容※1

主な対象※1

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(前頁の続き)

3-1 支援機関の支援内容、支援対象等

調査対象支援機関の全体サマリ:産業支援機関

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

産業支援機関

北海道・東北

○技術相談/大学・研究機関などのシーズとマッチング

○設備導入支援

域内・中小企業

○企業向け人材育成

○補助金活用の支援

○営業支援(域外取引先の開拓など)

-

産業支援機関

関東○

企業向け人材育成

○商談会/個別企業間のマッチング/海外ミッション派遣

域内・中小企業

産業支援機関

北陸○

窓口相談/勉強会の開催

○商談会/個別企業間のマッチング

域内・中小企業

○就職説明会への参加支援/他の支援機関の紹介

○情報発信(インセンティブなど)

-

○補助金活用の支援/補助金の提供

○大学のシーズ・研究者とマッチング/特許出願支援

○補助金の提供

-

○大学・研究機関などのシーズとマッチング

産業支援機関

中部域内・

中小企業

○6次産業化支援/情報発信/勉強会の開催

○人材採用に関する相談受付

○商談会/展示会への出展支援

○施設・設備に関する相談受付

○補助金の提供

○大学・研究機関などのシーズとマッチング

産業支援機関

九州・沖縄

域内・中小企業

○情報発信

○企業向け人材育成に対する補助

○メディアへの発信

○施設・設備の導入支援(免税システム、Wi-Fi設備など)

○補助金の提供

-

所在地種別 支援内容※1

主な対象※1

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1章で分析した企業の課題について、「支援機関による認識」、「支援メニューの整備」、「支援メニューの量・質、実施体制の充実」、「支援メニューの活用促進」の4段階で課題を整理する。

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

(1)アプローチ

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の課題 a.ヒト、b.モノ、c.カネ、d.技術、e.情

報、f.販路のそれぞれについて、企業が直面している課題はなにか?

企業の課題を解消するために、まずは対応する何らかの支援メニューを整備できているか?

支援メニューの活用意欲がある企業に対して、効果的なサポートができる体制・ノウハウなどが十分にあり、企業の要求に足りる質・量を伴っているか?

企業が抱えている課題について、支援機関は十分に認知しているか?

支援機関による広報・営業活動を通じて、支援企業の新規発掘や、支援メニューの十分な認知、活用意欲が醸成されているか?

企業へのヒアリング結果より抽出*※1章にて整理済み

企業へのヒアリング結果と支援機関へのヒアリング結果を突合して、検証*

分析のアプローチ論点 支援ギャップ(イメージ)

*今回聴取できた各地域毎に企業から聴取できたサンプル数が限られるので、企業の課題、支援ギャップについてはヒアリングできた範囲の情報、傾向に限る。 また、次頁以降に、企業の課題や支援機関の取り組みに関して記載の無い頁があるが、これも、課題等が無いことを示すものではない。

支援ニーズが認知されていない

ニーズは認知しているが、対応できていない

支援メニューはあるが支援の量、質が不十分

企業の新規発掘、支援メニューの広報・普及が不十分

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3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

各地におけるヒアリングを踏まえて、特徴的な支援ニーズと支援ギャップを整理した。

(2)分析から見えた特徴的な支援ニーズと支援ギャップ

2 IT等の先端技術分野に対する支援に重点が置かれる一方で、従来の分野だが強み・根幹の分野への支援や研究者の不足を、当該する分野の企業によっては感じている

例)(北陸/中核/製造業/BtoB)

3 三大都市圏以外の地方部では、技術相談・共同研究の相手となる大学や機関の圏内での密集度が低く、企業が求める特定の技術に関する専門性を持った研究者を近傍で見つけにくく、特定の適任者がいなくなると機関との関係が途絶えがち

例)(九州/中核/製造業/BtoB)

5 公設試験研究機関等における、機器と指導・支援職員の稼働状況から機器利用の待ち期間が非常に長いため、企業の製品開発に支障を来す、もしくは施設の利用を断念することが複数地域でみられる

例)(四国/公設試験研究機関)

4 企業が相談する一次コンタクト先としての大学において、研究費・資金獲得などの意識から、他大学・他機関が適当な企業からの相談案件を囲い込んでしまう場合がある

例)(中部/大学)

6 特に地方部において、「技術・生産」に関する大学・各種機関の専門家・支援者以外の、商品コンセプト企画やデザイン、マーケティング等の「売り方」に関する専門家は相対的に不足している

例)(東北/候補/製造業/BtoC)

7 地域中核企業、候補企業に向けた経営者の意識喚起や販路拡大に際して、個別の参入市場の情報は比較的に支援機関を通じ得られるものの、海外で要対応となる制度・規制やデジタル化などの今後の潮流・変化に関する情報は入手しがたい場合がある

例)(中国/中小企業支援センター)

8 地域中核企業化、候補企業化の主要課題である販路開拓支援を、支援機関は既に支援が行き届いている企業に集中して働きかける形になっており、今後販路を拡大させていく必要のある、あるいは支援未経験の企業に対しては周知・提供不足になっている可能性がある

例)(東北/中小企業支援センター)

9 例えば高付加価値・高額少数製品の製造業の地域中核企業や候補企業では、早期から信頼度向上のブランディングや海外実地での販路開拓が実践課題になるが、大都市圏以外の地方においては(域内・国内の販路支援は行っているものの)そのような企業に対する支援適任者が不足している傾向がみられる

例)(北陸/候補/製造業/BtoB)

1 多くの地方において労働力不足の課題が存在しているが、頼られている支援機関はあまり存在しておらず、また特に行政機関による支援の例は少ない、または活用されていないケースがある

例)(九州/中核/製造業/BtoB)

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人手不足について、支援機関においても課題として認識が共有できているものの、ヒアリングで確認できた限りでは、地域間の対応に差は大きい。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:a.ヒト(労働力)

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ × ✔ ✔ ✔ × ✔ ×

× - × × × - × -

- - - × - - - -

沖縄

×

-

本事業におけるヒアリングで確認できていない

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

全体の傾向

- 人手不足に関する企業の課題意識は、確認できた限り、全地域共通して、支援機関側においても認知されている。

- しかしながら、支援メニューの整備状況については、各地にバラツキがあり、十分な質のサービスが提供されていない可能性がある。

個別地域の特色

- 関東、中国、九州の各地域では、企業の自主努力で課題解消に取り組んでいるという声が多い。但し、この背景には支援メニューが整備されていても、企業側に認知されていないことが真の原因である可能性も否定できない。

> 例)学校や地域企業との関係を大切にしてきた。大学生のみならず、高校生/留学生のインターンシップも、要望があればすべて受け入れた。(九州/中核/製造業/BtoB)

- 北陸地域は支援メニューが整備されていながらも、企業側に十分な情報発信がされていない可能性がある。

> 他の企業の声を聞く限り、あまり支援に関する情報が行き届いているようには見えない。(北陸/候補/製造業/BtoB)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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経営人材に関するヒトの課題は、企業側からの支援ニーズが大きいものの、各地域ともに有効な支援メニューを整備できていない場合がある。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:a.ヒト(経営人材)

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ - ✔ ✔ ✔

× - × × ×

- - × - ×

- - - - -

沖縄

×

-

-

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

本事業におけるヒアリングで確認できていない

全体の傾向

- 多くの地域においては、企業が抱える課題として支援機関にも認知されているが、課題自体の扱いの難しさも存在し、大半の支援機関が求められる支援メニューを提供できていないケースがある。

> 例)紹介者責任が生じてしまうこと、引き抜いた企業との関係性悪化が懸念されることなどから、後継者の紹介には対応しづらい。加えて、高齢な経営者であっても、後継者問題の議論をすることを避け、聞く耳を持たないことも課題。(中国/金融機関)

個別地域の特色

- 中国、九州では一部の支援メニューを活用する/提供する事例を確認したが、対象となる企業が限定的である、また支援の内容自体も改善の余地がある、など質的には必ずしも企業の期待を満たすものではない場合がある。

> 例)中小企業庁の「地域中小企業のシニア人材確保・定着支援事業」を活用し、企業OB等のシニア人材と経営課題を抱える取引先企業とのマッチングを行っている。但し、人材の質に幅があり、かつ選り好みすると人材の母数が少なくなってしまう。(九州・沖縄/金融機関)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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モノに関する支援の多くは設備導入の投資に紐づく補助金などであり、多くの地域が必要な支援メニュー自体は整備ができている。しかしながら、その制約や手続きなどに対する意見が各地で共通して聞かれた。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:b.モノ

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

× ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

- × × × × ×

- - - - - -

沖縄

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

本事業におけるヒアリングで確認できていない

全体の傾向

- ヒアリングで確認ができたすべての地域において、課題として支援機関に認知されており、大半の地域では支援メニューとして整備が為されている。

- しかしながら、その支援メニューについては企業から多くの改善意見が寄せられている。

> 例)補助金申請については、最終的な説明や計数の積み上げは自社でやらざるを得ず、手間がかかる。1,000万円の補助金を貰う申請のために、最低でも100時間程度の工数が必要。それならば、その100時間を営業等に費やした方が企業にとってメリットが大きい。(北陸/中核/製造業/BtoB)

個別地域の特色

- 今回のヒアリングの限りでは、北海道においてはモノの取得に関する支援メニューの整備状況について活用ができていないとの声が聞かれた。

> 例)6次産業化には近年補助が多くあるが、なかなか自社に適応できないと感じている (北海道/中核/製造業/BtoC)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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カネに関する課題については企業からの支援ニーズ自体が確認できた地域が限られている。それらの課題を確認できた地域についても、対応状況にバラツキが存在している。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:c.カネ

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔

× × ✔

- - ×

- - -

沖縄

×

-

本事業におけるヒアリングで確認できていない

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

本事業におけるヒアリングで確認できていない

全体の傾向

- ヒアリングで確認ができた地域については、共通して企業の抱える課題として認知されている。

- 他方で、支援機関による支援メニューの整備状況には各地でバラツキがある。

個別地域の特色

- 北海道、東北の両地域については、支援メニューに対する整備状況への意見が聞かれた。

> 例)企業が金融機関の融資が得られず、支援を求めてくることも多い(北海道・東北/中小企業支援センター)

- 中部、沖縄では、支援メニュー自体は整備されているが、その実態には対応を求める声も見られた。

> 例①)地元の市の担当者は、補助金関連の支援に関して積極的でないと感じている。(中部/中核/製造業/BtoB)

> 例②)販路拡大に関する助成金が限られ、宣伝・広告・試作に使えない。また、助成金で開発した試作品は販売してはいけない。サンプルとしての配布は可能だが、期間が限られ、活用が難しい。(九州/中核/製造業/BtoC)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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技術に対する課題については、大半の地域において認知・支援メニューの整備が為されている。しかしながら、一部を除く殆どの地域で、支援メニューの内容に対する改善要望が確認できた。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:d.技術

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

× ✔ × × × × × × ×

- - - - × - × - -

沖縄

-

-

-

-

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

全体の傾向

- 大半の地域において、企業の課題が支援機関にも認知されており、支援メニューとして整備が進んでいる。

- 但し、そのうちのほとんどの地域において、支援メニューに対する企業側からの不満も聞かれた。

個別地域の特色

- 東北地域においては、技術に関する支援メニューに対して、ヒアリングを通じて高い満足度を確認した。

> 例)支援機関から受けたサポートの中で、改善すべきと思う点は特に心当たりがない。(東北/候補/製造業/BtoC)

- 北陸、中国地方では、支援メニューに関する情報発信についての課題も確認できた。

> 例)公的機関のサービスについて、そもそも知らないことが多く、かつ知っていても利用申請には二の足を踏んでしまう傾向があるのではないか。役所へ助けを求めることに、敷居の高さを感じる企業・人も多いのではないか。忙しい人たちにこんなことを問い合わせてよいか、という遠慮もある。(中国/老舗/製造業/BtoB)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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情報に関する企業の支援ニーズは、大半の地域において共通して認知されているものの、支援メニューの整備状況、またその実態に地域差がある。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:e.情報

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔

× × ✔

- - ×

×

- - - -

沖縄

-

-

-

-

ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

×

-

×

×

本事業におけるヒアリングで確認できていない

全体の傾向

- 多くの地域において、情報に関する企業の課題自体は、支援機関においても認知されているが、支援メニューの整備状況、及びその内容の充実度には差が存在している。

個別地域の特色

- 中国、四国地方では、企業が求める支援メニューに行き着いていないケースが存在している。

> 例)企業は医療機器分野への参入に際して、医療機関の先生にニーズを聞く傾向にあるが、実際には先生が市場のニーズを把握しきれていないことが多いのではないか。(中国/中小企業支援センター)

- 関東地方では、支援機関によるより積極的な情報発信の必要性が聞かれた。

> 例)企業によっては新市場への進出検討の最終段階になってようやく相談に来る企業もある。規制・規格への適応可否は大きな障壁になるため、検討の早期段階で相談に来るように、企業の意識づけをしていく必要がある。(関東/公設試験研究機関)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

地域ごとの状況※1

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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候補化・中核化の各段階において最も企業からの支援ニーズが大きい販路については、全国共通で認知されており、多くの地域で支援メニューの整備が為されているが、内容・体制面には改善の余地が残されている。

(3)地域別の課題と支援のギャップのありか:f.販路

論点

支援機関による認識

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制の充実

支援メニューの活用促進

企業の抱える課題

北海道

東北

関東

中部

北陸

近畿

中国

四国

九州

a.ヒト b.モノ c.カネ d.技術 e.情報 f.販路

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔

✔ ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ × ✔

× × × × × × - ✔

- - - - - - - -

沖縄

×

-

地域ごとの状況※1 ヒアリング結果のサマリ

3-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ

×

×

全体の傾向

- 企業からの要望が強い販路の課題については、全地域において支援機関からも課題として認識されている。

- しかしながら、その支援メニューの整備状況、実態には地域により差が存在。但し、地域ごとに訪問した支援機関の種別が異なり、一部の地域では販路開拓に親和性の低い支援機関にのみヒアリングした可能性があることには留意が必要。

個別地域の特色

- 東北地方では、情報発信の在り方についても課題が確認できた。

> 例)展示会に毎年参加している等、積極的な企業については、展示会等に招待している。展示会参加企業のうち約半数がそれにあたる。(北海道・東北/中小企業支援センター)

✔ :該当 × :想定されるギャップのありか - :十分な情報がない

※1:今回のヒアリングを通じた弊社理解

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全頁で触れた(1)から(4)の課題の全体像は、以下の通り。全種類の支援機関に共通の課題があったほか、一部の課題については、公設試、大学、金融機関特有の課題がみられた。

(1)支援メニューの整備

(2)支援メニューの質・量実施体制の充実

(3)支援メニューの活用促進

(4)支援が進まない他の阻害要因

公設試験研究機関

大学

金融機関

共通*

新規機材の導入・更新不足

リソースの分散

リソースの分散

業務目的、分掌範囲による制限

人員不足

人材の任期等による知見の分散

分業体制が作れない

IT化による保守費用増

IT化による保守費用増

継続性が不透明

資金不足・外部資金獲得競争

組織内の風通し不足、タコツボ化

高度人材の確保不足

外部専門家の確保不足

新技術への対応不足

新技術への対応不足

組織内の風通し不足、タコツボ化

域外・海外情報の取得の難しさ

機関同士の連携不足

助成金が使いにくい

企業にアプローチできてない

企業が利用を控える

支援機関の乱立

機関同士の連携不足

関係のない相談が多い

情報の取り扱いによる制約

企業支援のモチベーション不足

支援機関同士の競合関係

支援機関同士の競合関係

サマリ

3-3 支援機関における課題

*中小企業支援センター、産業支援機関については、「共通」の課題のみがヒアリングを通して聴かれた

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支援機関における課題:(1)支援メニューの整備

出典:弊社ヒアリング

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 企業の研究課題の調査や、機器の増設に関するニーズ調査は、年1回アンケートをとっている。しかし、機器の購入については常に資金を要するため、企業の要請をかなえられないケースが多い。(北海道・東北/公設試験研究機関)

• 試験装置、分析装置など、(企業が自社では入れられないような)品質保証を出せる機器に需要があり。また、セルロースナノファイバーなど、新素材に対応した機材の導入は今後より必要となる。(四国/公設試験研究機関)

• 施設・設備の更新を、企業ニーズの変化などに応じて行う必要がある。毎年利用者へのアンケートを実施しており、必要な技術分野や設備についてのニーズを収集するほか、主要な業界団体などへのヒアリングを通じて、必要な設備の洗い出しを行っている。(関東/公設試験研究機関)

新規機材の導入・更新

不足

リソースの分散

• 各地の大学に共通する課題として、従来大きな単位で研究室を設け、設備や人材面でリソースの集中投下ができていたところを、小規模・分散化していることを課題として認識している。研究室が小規模であると、大きな設備投資も行えず、横並びでの投資しかできない。(北陸/大学)

○ ○公設試

○ ○公設試大学

業務目的、分掌範囲による制限

• 銀行法の定めにない範囲の業務を行うことができない。例えば、事業会社への15%以上の出資は禁じられている。(近畿/金融機関)

• 販路開拓の支援要望も多いが、銀行としての中立性・紹介責任があり支援できないケースもある。例えば、ある特定の企業を紹介すると、他社の耳に入り、なぜうちを紹介してくれないのか、という苦情が来る場合がある。(中国/金融機関)

○全機関

(特に金融機関)

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(2)支援メニューの質・量、実施体制(1/4)

出典:弊社ヒアリング

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 人員が限られるため、優先順位をつけて支援企業・支援内容を絞らざるを得ない。(中部/大学)

• 人員の絶対数が足りない(九州・沖縄/大学)

• 職員数が縮小し続けており、現在パーマネントの正社員はいない。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

人員不足

IT化による保守費用増

• 設備のメンテナンス費の工面が課題。以前は職員がメンテナンスできたが、設備のデジタル化が進んだことでブラックボックス化。設備の購入は国から補助金が出るが、その後のメンテナンスは全額自腹。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

○ ○(全機関)

○ ○公設試大学

人材の任期等による知見

の分散

• 任期制で従事する場合が殆どのためローテーションによりスキル蓄積が難しいことが課題。(九州・沖縄/大学)

• 予算不足から有期任期制とするケースが多い。そのため、折角できた企業とのコネクション維持が難しくなっている。(北海道・東北/産業支援機関)

○ ○(全機関)

分業体制が作れない

• 人員数が多い都市部の機関は支援内容に応じ分業し、生産性を高めることが可能だが、地方では全員が様々な支援を行う必要がある。研究員と支援要員を分担できず、全員が両方を行っている。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

○ ○(全機関)

• 国若しくは県の委託事業中心の運営のため、現在実施している事業が来年度も継続されるかどうか不透明。自主財源が乏しく、事業計画が立てにくいため、人材確保の面での不安がある。(北海道・東北/中小企業支援センター)

継続性が不透明

○(全機関)

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(2)支援メニューの質・量、実施体制(2/4)

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 資金不足が課題。コーディネーターが予算を気にせずに動けるようにしたい。特に、試作経費を拡充してほしい。(中部/産業支援機関)

• 運営交付金だけでは足りず、外部資金の獲得が課題。大学の立場上収益事業が行えない。企業に依頼できる費用負担は限定的。(北海道・東北/大学)

• 財源確保が課題。共同開発費を支出してくれる企業でないと支援しない大学もある。現在大学でも営利の観点は重視されている。(中部/大学)

資金不足・外部資金獲得競争

○(全機関)

• セルロースナノファイバーなど、新素材への対応は今後より必要。(四国/公設試験研究機関)

• IoT等の新たな技術をどう活用するかは県内企業の関心事。メンテナンスの改善や不良品比率の低下、生産効率の改善等のメリットがある。(中部/大学)

• 先端技術をリードするために、機関側の技術力を高めていくことが課題。研究成果は海外の学会を含め、幅広い機会で発表し、最先端の情報が入ってきやすい環境を整えることが必要(関東/公設試験研究機関)

新技術への対応不足

○大学

公設試

• 産学連携に積極的でない教授とは繋がりなく、組織内のリソースを活用し切れていない。(九州・沖縄/大学)

• 企業に対する提案やプロジェクトマネジメントを行う人材が不足。公設試の場合、定年退職までの雇用形態がタコツボ化した研究に陥りがち。(北陸/大学)

組織内の風通し不足、

タコツボ化○

大学公設試

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(2)支援メニューの質・量、実施体制(3/4)

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 企業のみならず、公設試自身もスキルを持った技術者の採用に苦慮している。(北海道・東北/公設試験研究機関)

• ものづくりからデザインまでの幅広い視野を持った人材を発掘が難しく、また発掘しても正社員として雇えない。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

• 実用化のフェーズを支援できないことが課題。認定試験等に関する設備面での強化を進めたい。(北陸/大学)

• 商用化についての知見が大学に不足。共同研究をしたが、特許が既に固められている領域であったため実用化を断念。(関東/中核/製造業/BtoC)

• 金融機関については、技術の目利き力が課題。依頼した技術要件と全く異なる技術を持つ企業を紹介されたこともある。(関東/中核/製造業/BtoB)

高度人材の確保不足

○(全機関) ○

• 知財戦略を構想できる人材は限られている。大手のメーカーを退職したエンジニアの中に、知財マネジメントに長けた人物が多くおり、これらの人材を活用する必要がある。(中部/大学)

• 士業は既に企業がパスを持っていたり、マッチング制度が整っているが、工場長として経験を積んだ現場の技術者から指導を受ける機会は限られているため、シニア人材と企業をマッチングできるような仕組みがあるとよい。(九州・沖縄/金融機関)

外部専門家の確保不足

○(全機関) ○

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(2)支援メニューの質・量、実施体制(4/4)

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 域外の情報をどう得るかが大きな課題。(中国/金融機関)

• 本格的な国際化支援は行えておらず、これからの段階。(北海道・東北/大学)

• 海外展開を支援するニーズがあるものの、全庫的に海外経験のある職員が少なく、支援の人材として実感に不足感があった。(九州・沖縄/金融機関)

域外・海外情報の取得

の難しさ(全機関) ○

• 補助金については、一点ものの機械で相見積を取ることの難しさ、複数年度に跨った申請ができないことに課題を感じている。また、単年度で価値や結果を創造するのが難しい開発もある。(関東/中核/製造業/BtoC)

• 補助金・減税等においては、申請までの期間の短さ、見積もりの必要性が足枷。資料準備に3カ月くらいかかるが、公示から締切までが短いものがある。その場合、使うか分からない機材を入れられず補助対象外となったり、見積もりが間に合わず申請しきれなかったりする場合がある。(北海道・東北/候補/製造業/BtoC)

• 業種が製造業やIT関連の会社でないと対象外になるというケースが多い。また、対象であっても、得られる補助額が200万円程度の補助金等は、申請手続きに時間がかかる割に効果が薄い。(中国/中核/非製造業)

助成金が使いにくい/企業の実態に合わない

○(全機関)

• 金融機関は横連携ができておらず、地域外の取引先候補の紹介には対応してくれない。(関東/中核/製造業/BtoB)

• 支援機関同士の横連携が不在。他の支援機関がどのように支援を行っているのか、或いは相乗りできる部分はあるのか、など情報提供があれば有り難い。(中部/大学)

機関同士の連携

不足○(全機関) ○

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(3)支援メニューの活用促進

出典:弊社ヒアリング

3-3 支援機関における課題

課題分類 詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 課題を抱えており、支援機関の存在を知っているものの利用しない企業にどのようにアプローチするかが課題。(九州・沖縄/産業支援機関)

• 一部の企業がうまく研究所のサポートを利用する一方、全く利用しない企業も数多くある。(中国/公設試験研究機関)

企業にアプローチでき

てない

企業が利用を控える

• 公設試は、人が少ないと聞いており、忙しそうなので依頼を躊躇しがち。実際に、依頼してから待たされることも多い。(四国/中核/製造業/BtoB)

• 金融機関に経営相談をすることに抵抗感を持つ企業がいる。(全国組織/金融機関)

○(全機関)

○(全機関)

支援機関の乱立

• 企業にとって支援窓口が分かりにくい。よろず支援拠点や、県、市の窓口など、二重・三重である一方、各窓口の振り分け機能が弱い。(中部/大学)

• 支援の出し手が様々で、情報が一覧になっていない。自社で情報を網羅するためにはフルタイム従業員が1人必要。(北海道/候補/製造業/BtoC)

○(全機関)

機関同士の連携不足/フォローアップが場当たり的

• 支援を認知していない企業も多い。企業を持っている機関、例えば銀行との協力関係の強化が必要と認識。(中国/中小企業支援センター)

• メルマガ、セミナーはリピーターに効くが、新規企業へのリーチには弱い。新聞広告は効果が低く、法人会への訪問等、積極的な営業活動が必要と感じる。企業へのフォローアップも、属人的。(北海道・東北/中小企業支援センター)

○(全機関)

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(4)支援が進まない他の阻害要因(1/2)

課題分類

出典:弊社ヒアリング

3-3 支援機関における課題

詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 企業から来る相談は、「新製品の企画」「売れない理由」「販路先開拓」など、直接大学の本領とは関係ないものが殆ど。(中部/大学)

• 候補企業に関しては、大学にすべきでないような的外れの相談をする企業が多い印象がある。(九州・沖縄/大学)

関係のない相談が多い

情報の取り扱い

による制約

• 課題解決には他機関を巻き込む必要があるが、具体的に話しすぎると守秘義務に触れる可能性がある一方、抽象的に話しても伝わらない。企業との守秘義務契約に関するひな形や対処方のガイドラインを国に作ってもらい提示してもらうと、対企業や支援機関の間での支援を行いやすくなる。(中部/産業支援機関)

• 共同開発を行う際に機密情報の扱いをどうするか、という点は今後一層厳しくなる。究極的に言えば、同一業界内で担当者を分けるなどの対策が必要かもしれない。(中国/公設試験研究機関)

• 支援事例のパンフレット等での公開許可を企業に依頼するが、7割の企業には断られてしまう。課題が明るみになることを避けるためと思われる。また、同じ課題を持つ企業から支援要望があっても、秘密保護の関係から、過去の成果を使うことができない。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

• 一部の商工会議所では、守秘義務を楯に、企業に関する情報を出してくれない。情報連携のプラットフォーム化が課題。(四国/中小企業支援センター)

○全機関

(特に大学・公設試)

○(全機関)

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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支援機関における課題:(4)支援が進まない他の阻害要因(2/2)

課題分類

出典:弊社ヒアリング

3-3 支援機関における課題

詳細課題の要因

ヒト モノ カネ技術

情報

その他

該当機関

• 公的支援機関では、マッチング等に創意工夫をしたり、成約率を挙げたりするためのインセンティブが働かず、個人により実績に差がある。民間事業者では、コーディネーターが成約の謝金ベースとなっていることで、個人が創意工夫することのインセンティブを働かせているところがある。(北陸/産業支援機関)

企業支援のモチベーション

不足

支援機関同士の

競合関係

• 大学法人化に伴う財源確保の必要性が理由で、国立大も、営利の観点は非常に重視している。他の機関への引継ぎをしない大学も多い。他に渡すと収入にならない為、専門外と分かっていても、自機関で無理にでも支援しようとする。教授も、民間企業同様自分の実績を作り出すことに躍起になっている。(中部/大学)

• 新たな情報を得る上で外部の支援機関との協業が重要であるが、中には支援機関同士が交流を避けるケースもある。例えば、金融機関は新たな取引先を開拓するうえでのネットワークが充実しているが、金融機関同士で牽制しあう側面がある(中部/大学)

• 金融機関同士の過当競争により、金融機関が赤字企業、不調な企業に対しても甘やかしがちになる、お客さんに悪いと言いづらくなっているという問題がある。別の金融機関に鞍替えや、悪評判がたつことを恐れ、企業に現実的な厳しいアドバイスができず、そのまま危機的な状況になり急に融資は出来ず破綻するなどのケースがある。(九州・沖縄/金融機関)

• M&Aも事業承継の打ち手として有効と考えているが、経営者の理解が進んでいない。高齢な経営者であっても、後継者問題の議論を避け、聞く耳を持たないことも課題。金融機関の立場で強くいうことも難しい事情がある。(中国/金融機関)

○(全機関)

○大学

金融機関

(1)整備

(2)質・量

(3)広報

(4)その他

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3-4 企業へのフォローにおける好例

支援機関の企業への積極的アプローチ例

アプローチ例

新規企業

自力

政府の各支援事業の進捗管理を同協会で行う際に、有望な企業を見定め、他の支援事業を紹介する等、集中的な支援を行う。(北海道・東北/産業支援機関)

企業訪問は、すでに面識がある企業のうち、比較的コミュニケーションが取れていない企業に行う。これによって、新たに支援ニーズを確認し、支援に繋がるケースもある。(北海道・東北/中小企業支援センター)

アプローチ分類

既知企業

他力

管理

再コンタクト

既知の企業との関わりに加え、毎日飛び込みでの企業訪問なども行い、これまでに関係のなかった企業とのコミュニケーションを取っている。(関東/産業支援機関)

支援の成功事例に関して、支援を提供した担当者と企業へのインタビューを地方紙に掲載している。紙面の枠を購入し、仕様書を作成して、新聞社に記事作成を依頼している。(九州・沖縄/産業支援機関)

各営業店が有力な企業を発掘し、企業の相談を受けた上で、本部のメンバーが参加する「課題検討会」に引き継ぐ。課題検討会は2か月に1回行っており、全140店舗から各5件~10件程度の相談が挙がってくる。年間約3,000件に対応している。(近畿/金融機関)

地元の地銀3行にサテライト窓口を設置。ある銀行では、週毎に異なる支店で、毎週1日、1日8社各1時間程度窓口相談に対応。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

企業の基礎情報や支援要望等をまとめた企業カルテを作成。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

受発注相談をした企業の情報をデータベースに保存しており、約2,500社の企業が収載されている。(関東/産業支援機関)

特に重点としている196社については、22名のスタッフを、「専任担当者」として配置し、いつでも同じ人が窓口として接する。企業支援に当たる機関内外の関係者は、月1回「連絡会議」を開催し、企業の情報交換を行う。(四国/公設試験研究機関)

一部機関では、新規企業開拓、過去支援済み企業の管理、再コンタクトが円滑に出来ている。きっかけとしては、県など外部からの働きかけがあった場合と、組織内部の日々の業務の中からの「気づき・カイゼン」が挙げられる。

取り組みのきっかけ

機関内で、支援済み企業に他のスキームが利用できることが多くあったことに気が付き、徐々に定式化。

データベースのなかで、最終コンタクト履歴が古い企業を整理したこと。

ある地区の担当役員が、各営業店が本部のリソースを使えていない現状に問題意識を持ったため開始。

よろず支援拠点のチーフコーディネーターが発案。金融機関との連携は手薄と感じたため。

県の事業構想等により情報整備が求められた。

(機関設立当初からの取組の為不明)

県が産業振興計画を立案、外部コンサルティング会社を活用しつつ「地産外商」の実現を目的にしたことで、横断的な支援の活用の必要性を認識。

(機関設立当初からの取組の為不明)

企業の新規開拓に限界を感じ、より広範に企業の目に留まりうるツールとして利用を開始。

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本章では、本調査を通してみられた、(1)「域内」での、企業の他機関への取次ぎ及び企業への営業等の取り組み、及び、(2)「域外」における他機関との連携の好例について詳述する。

サマリ

3-5 支援機関同士の連携の好例

(2)域外での連携(1)域内での連携

①定常的な他機関の活動の

把握

②機関同士の連携の

定式化・構造化

③対応できない支

援の取次ぎ

①域外同種機関との連携

②域外異種機関との連携

P.71

P.72

P.73

P.74

P.75

• 他の機関との情報交換会、交流などを通じて、「どの機関に相談すれば何をして貰えるか」を把握

• 恒常的な検討会の設置など、連携を定式化・構造化

• 相互乗り入れ、イベントや企業からの相談会の共催など、他機関の持つ企業コンタクトを有効活用

• 企業から来た相談のうち、自機関で対応出来ない支援内容を取次ぎ(例:大学⇒支援機関、金融機関)

• 企業から来た相談のうち、自機関で対応出来ない支援内容を取次ぎ(例:他県の公設試への取次ぎ)

• 域外の販路獲得など、他地域の異なる支援機関への取次ぎ(海外との連携の場合を含む)

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まず、機関同士の連携締結や、実際の企業紹介の前に、引継ぎ先の候補となる機関を知悉している必要があり、定期的な情報把握の活動や、人材交流、情報交換等を行っている例がみられる。

(1)域内連携 ①定常的な他機関の活動の把握

3-5 支援機関同士の連携の好例

• 域内外の大学と連携協定を結んでいる。各大学の特色を把握しており、企業業種や規模、課題に合わせて最適な大学を紹介することができる。(近畿/金融機関)

• 中小企業支援センター、県内の大学、公設試験研究機関、産業支援機関などがあげられる。ある産業支援機関には1名の行員を出向させている。域外では、コンサルタントなどの専門家とのネットワークが中心。域外の地銀と協業関係にあり、情報交換などを行っている。(中国/金融機関)

定常的な他機関の

活動の把握

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組織間での連絡、情報会議等の定期的設定、提携関係の締結、協業体制の構造化などをフォーマルに行っている機関では、企業同士の連携が密にとれ、企業の円滑な引継ぎに役立っている例が多い。

(1)域内連携 ②機関同士の連携の定式化・構造化

3-5 支援機関同士の連携の好例

• 企業支援について、他機関との連携を重視している。公設試、大学、金融機関等へとつなぐ「ワンストップ」窓口として機能するべく、コーディネーターは、なるべく企業OBが務めるようにし、スキルの担保をしている。企業支援に当たる機関内外の関係者で、月1回「連絡会議」を開催し、企業の情報交換を行う。(四国/中小企業支援センター)

• 支援機関同士の横断的な連携の為、北陸三県の支援機関、大学等のコーディネーターを集めた会議を年1回開催している。(北陸/産業支援機関)

組織間での連絡、情報会議等の定期的設定

• 地銀3行にサテライト窓口を設置。ある銀行では、週毎に異なる支店で、毎週1日、1日8社各1時間程度窓口相談に対応。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• よろず支援拠点と県内の銀行で協定を結び、よろず支援拠点のサテライト窓口を銀行店舗に不定期で設置。また、県と連携し、相談窓口を設置。(北海道・東北/中小企業支援センター)

他機関へ出向いての営業開拓/他機関からの企

業の紹介

• 金融機関の他、大学、自治体などと提携関係にあり、様々な企業の支援ニーズに応じて、自機関で支援できない内容については、適切な機関への紹介を行っている。公設試がカバーしない研究開発以外の内容に加えて、同機関として強みを持っていない土木関連などの技術分野の支援要望については、外部の機関を紹介している。提携する金融機関のうち3行とは密接な関係にあり、逆に支援企業を紹介されるケースも多い。(関東/公設試験研究機関)

• 新現役交流会でよろず支援拠点と協業した。まず自機関で企業の課題を抽出し、挙がった課題をよろず支援拠点の相談員にも見てもらうことで、漠とした課題の具体的な掘り下げや、第三者の目による課題抽出の偏りを減らした上で、課題に応じて適切な企業OB等の支援者を企業に紹介する。(九州・沖縄/金融機関)

• 学金連携プラットフォームの事業では、県内の金融機関などを含む複数の機関で協業している。ある事業では、県内で中小企業支援を行う県庁や中小企業支援センター、公設試験研究機関、産業支援機関と連携した活動を行っている。(北海道・東北/大学)

提携関係の締結、協業体制

の構造化

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大学、公設試への技術以外の相談など、自機関が適任でない相談については、関係ない相談であっても取次ぎまでを責任を持って行っている例も多く見られた。

(1)域内連携 ③対応できない支援の取次ぎ

3-5 支援機関同士の連携の好例

• 域内の支援機関同士で連携しており、よろず支援拠点、公設試験研究機関、商工会等、適切な機関へ紹介。自機関が一次引き受けの相談件数が最も多い。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• 技術的な相談を自機関が受けた場合は、県内の公設試験研究機関に繋いでいる。(北海道・東北/中小企業支援センター)

• 販路拡大支援は行っておらず、販路開拓が得意な公社・企業などを紹介することとしている。(北海道・東北/大学)

• 直接持ち込まれた、ものづくり以外の支援要請は、まずは域内の他の試験場に引き継ぐ(北海道・東北/公設試験研究機関)

• 大学と直接関係のない販路開拓の相談、どうしたら売れるのか、何を作れば売れるのか、などについては、大学として収入にはならないが、コーディネーターが応対して、適切な機関に繋ぐことを支援機関の「営業活動」としてボランタリーに行っている。企業を邪険に扱うと使ってくれなくなる。一次受け窓口として自機関を想起して貰えるようになることを目指している。(中部/大学)

• 企業から自機関で対応できない技術相談を受けた場合は、コーディネーターの属人的な繋がりを介して他の大学等に紹介する。大学のコーディネーターが一次対応をして適切な機関へ紹介する切り分け役をすることも大事。大学へ気軽に相談に来てもらうことで、最終的には企業にとって適切な支援に繋げられればよいのではないか。一方、紹介には責任が伴うので安易にはできず、また相談内容を丁寧に引き継がないと引き継がれた大学側で支援ができない等、コーディネーター間で密に連携を取る必要があるため、「面識がある」という程度のコーディネーター間の紹介は難しい。(九州・沖縄/大学)

• 自機関の支援対象外の支援要望は年に50件ほどあり、適切な機関を紹介している。逆に、企業が自機関を訪問するきっかけは、県内の中小企業支援センターからの紹介や企業間のネットワークでの紹介など。県内の中小企業支援センターには医療分野に詳しいコーディネータがいないため、自機関へ紹介されて来るケースが多い。(中部/産業支援機関)

• 産業支援機関や、県内外の中小企業支援センター、金融機関等と協業。コーディネーターが以前、産業振興関連の機関に従事しており、そこでのネットワークを活用している。(中部/大学)

対応できない支援の取次ぎ

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公設試同士など、他機関が設備や技術的な強みを持っている場合、域外で引き継ぐ先の候補を予め把握していたり、地域を超えた連携体制が確立されているケースもみられた。

(2)域外連携 ①国内・同種の機関

3-5 支援機関同士の連携の好例

• 海外進出支援では、1都10県の公設試と連携しながら、自治体の壁を越えて支援を提供している。この背景として、限られたリソースで世界各地の規制・規格をカバーするために、分業体制が必要であったことが指摘できる。例えば、新潟県では日本海に面し、従来ロシアへの進出が盛んであったことから、ロシア関連の問い合わせについては、新潟県にお願いするといったように、地域の特性に合わせた分業を採用している。(関東/公設試験研究機関)

• 県内の公設試験場は常に連携して、企業に紹介し合っている。県外では、特に2県と密に連携しており、公設試験研究機関と産業技術総合研究所と合同で研究発表会を行う予定。参加する県内企業にとって、刺激が増える効果がある。また、県に赴き、発表会等も行っている。域外のある公設試験研究機関は、食品関連で先進的な取り組みを行っているため、10年ほど前から、同センターから積極的にコミュニケーションをとって勉強しに行っている。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

• 自機関で対応できないニーズについては、域外の産総研、大学、公設試などへと引き継ぐ。域外公設試の情報は、産技連が作っているデータベースや、全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システムなどを活用して入手している。(北海道・東北/公設試験研究機関)

• 必要な設備や研究テーマ次第では、県外の公設試、大学とも協業を行っている。(中国/公設試験研究機関)

国内・同種の機関

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金融機関が人材採用のための支援機関や民間企業のデータベースを活用する、海外で販路を持つ機関と連携する等、域外の異種の機関同士での提携事例もみられた。

(2)域外連携 ②国内・異種の機関

3-5 支援機関同士の連携の好例

国内・異種の機関

• 企業OBの発掘のために、全国の企業OBが登録されている関東経済産業局のデータベースと、ある民間企業が所有するシニア人材のデータベースを使っている。(九州・沖縄/金融機関)

• 連携している産業支援機関の人的ネットワークと、域外の大学の技術に関する知見を活用。(北海道・東北/産業支援機関)

• 外部の組織では、2大学と、東海地方の8つの公設試によるコンソーシアムを設立している。それぞれの大学がハブとして、独自の地域企業とのネットワークを持っている。(北陸/大学)

• 域内をはじめとする全国の中小企業を結集し、大規模発注に対応できるシンジケートの取り組みを進めている。自機関が共同受注窓口となる協同組合を設立し、技術力はあっても生産能力に乏しい中小企業が、従来であれば量に対応できず大企業の受注ができていなかったが、分業により、大企業からの受注に対応できるようにする。一元化した受注窓口が参加企業に仕事を配分する仕組み。大手企業への営業も自機関が担う。自機関はこれまで民間大手と共同研究を行ってきており、教授陣と大手企業との長い信頼関係を生かす。(北海道・東北/大学)

• 国内の外部機関の連携として、地方銀行や信用金庫と共同で商談会やビジネスコンテストを実施している。市や、大学との連携もある。(関東/産業支援機関)

• 販路開拓に関する相談で対応が難しいときは、JETROや信金中央金庫に紹介する。事業承継に関する相談は、域外機関との連携も必要となる。域外から人材を探さないといけない場合に、商工会議所などを紹介する。(全国組織/金融機関)

海外

• 海外機関との連携も行っており、海外販路の獲得などの支援で活用している。他国の産業支援機関や自治体等と、行政機関等の組織間の合意事項を記した文書であるMOUを結び、派遣団の交流等を行っている。(関東/産業支援機関)

海外

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本章で見られた支援機関同士の連携のきっかけは、①支援機関からの自発的関係構築、②外的な要因・必要性、の双方のパターンが見られた。①については、トップダウンのリーダーシップと、ボトムアップの「カイゼン」の提唱、個人的コネクションなどが、②についても、自治体等の施策の影響や、域内のリソース不足という複数のケースが存在。

(参考)支援機関同士の連携開始のきっかけ

3-5 支援機関同士の連携の好例

②外的な要因・必要性①支援機関からの自発的関係構築

機関内のリーダーシップ

ボトムアップからの

「カイゼン」

国、自治体レベルの施策立案による

外的要請

域内に情報・

リソースが少ない

• 域内の産業が、生産量や運送の安定性などから顧客を得られていないことを危惧した大学教授が、域内外の同業種の企業を集めたシンジケートの設立を提唱(北海道・東北/大学)

• 域外へのボランタリーな引継ぎについては、大学であっても「地域企業の身近な相談役」となるべき、という産学官連携センターの役員の提唱により、組織一丸で行っている。(中部/大学)

• よろず支援拠点のチーフコーディネーターが発案。金融機関との連携が手薄と感じたため、金融機関の支店への出張による新規企業発掘を開始。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• 自治体が産業振興計画を立案、外部コンサルティング会社を活用しつつ「地産外商」の実現を目的にしたことで、機関横断的な支援の活用のスキームが構築された(四国/公設試験研究機関)

• 首都圏からの遠隔地では、情報がなかなか届かなかったり、情報を得る場が無いことが課題。技術動向取得のための有機的な場などに参加しづらい。そのため、他地域の公設試の情報交換会に参加させて貰っている。(北海道・東北/公設試験研究機関)

個人的コネクショ

• 広域連携のきっかけは、10年前に関東のある産業支援機関の事務局の方が産業技術アドバイザーとして、自機関が立地する自治体の産業施策の検討に関わってもらっていたこと。同氏が関東の産業支援機関の専務理事として戻られた後も関係は続いている。(北海道・東北/産業支援機関)

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4章 地域における成長分野及びその戦略

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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(D)

その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

(A)

地域の既存産業が抱えている課題

(B)

今後の成長産業と目される領域

本章では、各地域におけるヒアリングで聞かれた、今後成長分野と目される領域等への業態転換や発展に際し、各地域が課題として感じている点を整理するとともに、全般的な地域の課題についても整理する。

(1)本章のアプローチ

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

地域の既存産業が抱えている課題や、今後の業態転換を筆等とする背景にどのようなものがあるか

今後の成長産業と目されている領域には、どのようなものがあるか

(C)

今後の成長産業への業態転換や発展の課題

今後の成長産業を支える環境、インフラなど、直截的でない課題として地域が抱えるものにはどのようなものがあるか

本章のアプローチ

成長産業への業態転換や、当該産業の発展における課題の洗い出し

既存産業の課題と、それを踏まえた地域の成長産業の特定

新たな基幹産業の模索

今後成長分野と目される領域等への業態転換や発展に際して、各地域が課題として感じている点には、どのようなものがあるか

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前頁でA~Dの各項目について、各地域でヒアリングできた課題等は以下の通り(ヒアリングで聞かれた範囲を整理しているため地域全体の一般論でない点に留意)。各項目の詳細については、次頁以降で地域別に詳述。

(2)各地域のヒアリング結果のサマリ

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(B)今後の成長産業と目される領域

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

北海道・東北 関東 中部 北陸 近畿 中国 四国

企業立地が疎ら、最新情報の取得におけるギャップ

加工組み立て産業が中心、付加価値の向上が必要

加工組み立て産業が中心、付加価値の向上が必要

基幹産業の景気動向の影響が大きい

製品の新規開発力の向上、最終製品への業容の拡大

- 基幹産業の景気動向の影響が大きい

中間財から完成品を作ることへの発想の転換

輸送コスト、観光産業の繁閑の差、人材不足

企業の点在によるシナジーの産み出しの難しさ

農作物、加工食品、小ロット生産の製造業、等

自動車、航空、ロボット、環境・エネルギー、医療、食品

高付加価値・ハイテクへのシフト(ロボット産業等)

医療機器や航空機分野

高機能新素材、ライフサイエンス

ナノテクノロジー、再生医療、食品・バイオ産業、IT産業

医療機器 災害対策、食品関連や高機能素材等

航空宇宙、IoT・ロボティクス、環境・エネルギー、医療、食ビジネス、介護、IT産業

地理的遠隔性に伴う、情報取得の難しさ

技術力の向上、新規事業への挑戦の拡大

- 自動車産業以外のバリューチェーンの拡大

成長分野産業が未成熟、成果が出るまでに時間がかかる

下請企業中心、経営人材不足、高度産業の外注先不足

新規事業への取組、デジタル化対応

- 新規事業への取組、新技術への対応

地理的遠隔性に伴う、物流等のコストや業務安定性

支援機関の不足(特に理系の支援)

地価の高さに伴うコスト高

基幹産業への人材の集中による、人材難

域内での競争、差別化

域内連携不足

- 地理的な遠さに起因する、最新情報等の獲得

地理的遠隔性に伴う、物流等のコストや業務安定性

企業誘致の難しさ、人材の定着不足

九州・沖縄

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地理的遠隔性によるコスト等の課題が存在。将来的には、そのようなハンディキャップをおいても付加価値により高価格が維持できる、農作物や加工食品、菓子、食品加工機械等が成長分野との声が聞かれた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ①北海道・東北地方(1/2)

詳細

• 産業が集積しておらず、広いため、ヒトモノの移動に時間とコストが掛かり、調達や輸送コストが転嫁されることで高コスト構造。(北海道・東北/公設試験研究機関)

地域の課題分類

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

企業立地が疎ら

(A)地域の既存産業が抱えている課題

• 高くても売れるような、特徴のあるものを作っていくことが必要。農作物や加工食品、菓子などが一例であり、製造業であれば少ロット多品種のものへの対応等。(北海道・東北/中小企業支援センター)

• 設備投資のコストダウンが本来できている筈で、情報収集などの余力が無いため、高い、非効率で時代遅れなものを買っている場合もある。似たような例として、ロボットや溶接機器などについて、オーバースペックなものを買わされていたり、買っても動かせる人がいない為塩漬けになっていたりする例がある。 (北海道・東北/中小企業支援センター)

効率化の遅れ

• 製造業において機械機器の製造などを行う加工組立型産業の構成比が高く、中でも情報通信機器や電子部品・デバイスの集積が高いものの、一人当たり付加価値額は、全国平均と比べて30%ほど低い。(北海道・東北/中小企業支援センター)

加工組み立て偏重、低付加価値

• 民間調査では、県の認知度が低く、ブランド力が課題。(北海道・東北/中小企業支援センター)ブランド力

• 今後の成長分野は、自動車関連産業及び航空機関連産業、ロボット関連産業、環境・エネルギー関連産業、医療・福祉・健康関連産業、食品・農業関連産業等が考えられる。(北海道・東北/中小企業支援センター)

(B)今後の成長産業と目される領域

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その他、自動車関連産業及び航空機関連産業、ロボット関連産業、環境・エネルギー関連産業、医療・福祉・健康関連産業、食品・農業関連産業等を目指したい中、企業に下請け気質がみられる点が課題との声が聞かれた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ①北海道・東北地方(2/2)

詳細地域の課題分類

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

• 電気代が高いため、販路を開拓する際の試作品の製作、量産など、ことごとくコストが高くつく。 (北海道・東北/大学)

• 首都圏等のバイヤーが地方までは見てくれない。経営者自身が域外、国外へと売込みに行けない。出張ベースで行うには旅費が掛かり、東京にヒトを置くのも、東京の営業代行を雇うのもコスト。(北海道・東北/中小企業支援センター)

物流コスト

情報からの隔絶

営業コスト

電気代

• 地理的遠隔性により物流コストが高い。また、特に冬季は物流が不安定。 (北海道・東北/大学)

• 首都圏からの遠隔地では、情報がなかなか届かなかったり、情報を得る場が無いことが課題。技術動向取得のための有機的な場などに参加しづらい。そのため、他地域の公設試の情報交換会に参加させて貰っている。(北海道・東北/公設試験研究機関)

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

• 地域内に支援機関が少ないことが挙げられる。地域内の学術機関は3つのみ。ある機関は震災後、学生の募集を休止しており、それに伴い研究員が流出してしまっている。 (北海道・東北/産業支援機関)

支援機関の不足(特に理系の支援)

• 自機関が立地する市は、地域企業に下請精神が染みついてしまっている。過去企業誘致に成功し、工業団地が多く、東北地域有数の工業都市である。同地域の中小企業は大手の誘致企業の下請をしているだけで成長することができる環境であったため、新規事業等に挑戦する必要がなく、誘致企業との共同研究のような積極的な関係性は築かれなかった。また、誘致によって、産業のバリエーションには富んでいるが、共同研究等の特定の産業間での連携がないために特色ある産業が育たず、特定の産業の集積がない。(北海道・東北/産業支援機関)

新規事業への挑戦欠如

技術力不足 • 成長分野について、得意とする技術や機運の高まりがある一方、実際に業界で活躍していく技術力があるかについては疑問が残る。(北海道・東北/中小企業支援センター)

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関東地方では、現状の加工製造等が低付加価値であることを背景に、ロボット分野など先端産業に将来性を見出し、ハイテク化対応し産業転換を進める必要性があるとの声が聞かれた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ②関東地方

詳細

• コアとなる製造技術があるものの、比較的付加価値の低い製品の加工製造に使われていることもある。(関東/産業支援機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

コスト高

低付加価値

• 地価が高く、そのコストが製品価格に転嫁されてしまうため、競争力が低くなってしまう。関連して、事業規模を拡大しようにも、地価の高さ・限られた区内の敷地がハードルとなり、工場の増築や統合に踏み出し難い現状がある。(関東/産業支援機関)

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(B)今後の成長産業と目される領域

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

• 地域の企業の中には加工技術で優れるものの、製品カタログに載せて説明することが難しく、適切な買い手とマッチングすることが難しいケースも多い。(関東/産業支援機関)

買い手への訴求の難しさ

• 加工技術を活かしつつ、より高付加価値なハイテク分野へとシフトすることが課題となっている。例えば、今後の成長分野の1つとして、ロボット分野が挙げられる。(関東/産業支援機関)

高付加価値・ハイテクへのシフト

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中部では、中核産業の自動車産業への一極集中に起因する課題が顕在化しており、航空宇宙、医療産業などへの転換において、人材難、バリューチェーンの整備などが課題。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ③中部地方

詳細

• 技術の陳腐化が課題であると考えており、継続的な研究開発による高付加価値化が必要であると認識している。自機関が立地する県及び周辺県の金型企業は、主に自動車関連メーカーに卸すが、自動車に採用されるためには、品質の性能評価に時間がかかること、川下企業の設計段階から入り込むことが必要であること、といった点で収益に至るまでの時間がかかる。(中部/大学)

• 海外生産比重の向上、部品点数の減少などにより、仕事が減ることが懸念される。故に、現在は相対的に活況であるが、将来的に一気に停滞期を迎えてしまう惧れがあるのではないか。(中部/大学)

• 自動車産業への一極集中傾向にあり、他分野へ人が流れてこない。比較的先端的と目される航空機分野でも同様。(中部/候補/製造業/BtoB)

• 下請けマインドからの脱却が出来ていない。言われた部品を納期通りに作る能力はあるが、会社の長期的な成長戦略を描き、独自の技術力や製品力の向上や、業態転換といったことまで考えられている企業は少ない。(中部/大学)

• 医療機器、航空機分野とも新規参入を図る企業にとっては大きな障壁があり、支援が不足しているものと認識している。医療機器の分野は、薬事法に基づく承認に時間がかかることが課題。承認を支援するCROなどの活用は進んでおらず、各社手探りで行っている状況にある。航空機の分野は、表面処理をやらないと儲からず、加工技術だけでは勝負ができないことが課題。表面処理を行う企業もあるが、ジュラルミンなどの材料調達に苦労していると聞いている。(中部/大学)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

中核産業の景気動向

技術の陳腐化・基幹産業の将来的衰退の懸念

バリューチェーンが不完全

下請けマインドからの脱却

人材難

• 中京圏は自動車産業への依存度が高く、同産業の景気動向等に左右されやすい。(中部/大学)

• 自機関が立地する県の課題は、医療機器企業の絶対数が少ないこと。また、部品だけでなく、装置やソフトウェアまでトータルで作れる企業が少ないこと。(中部/産業支援機関)

支援の不足

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(B)今後の成長産業と目される領域

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

• 自動車業界が変革の波にさらされる中、中部地方では医療機器や航空機分野への参入が注目されている。(中部/大学)

(D)その他の課題

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将来的に、高機能新素材、ライフサイエンスなどの分野を成長分野として想定。但し、域内企業の新規開発力や、下請け気質などを課題とする声が挙げられた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ④北陸地方

詳細

• プラスチックや鉄などの既にバリューチェーンが完成している市場や、成型方法が規格化されているが、複合材料は世に出て50年程度で、バリューチェーンが整備されておらず海外に売るしかない。また、複合材料の出口市場において、そのわずかな市場が獲得できているのは、厳しい品質管理が可能な一部の大手重工メーカーに限られ、中小企業の置かれた状況は厳しい。(北陸/大学)

• 医薬については、現在大変好調に見えるが、OEMやジェネリックが中心。製造技術はあるものの、開発技術を持っているような企業は1-2社に限られ、詳細的な安定成長が見込めるかについては若干疑問が残る。(北陸/産業支援機関)

• 部品を中部に出荷し、品質検査は納入先にやらせている企業が殆どで、そのような企業は検査機器を自分で持っておらず、公設試等を経由してくるためリードタイムがかかる。そのため、自社で検査迄してくれる域外の企業から調達している。(北陸/中核/製造業/BtoB)

• 部材、部品が中心。完成品メーカーが多くない。北陸から中部に納める流れが固定化(北陸/産業支援機関)• 北陸は繊維業の産地だが、撚糸のサプライチェーンが脆弱。(北陸/中核/製造業/BtoB)

• 地域の特徴を生かす支援の提案が求められる中、特徴が出しにくいような地域では、大学同士が競争関係となる。自機関は複合材料の分野で差別化ができているため、政府の政策の恩恵を比較的受けることができている。(北陸/大学) 出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

成果が出るまでの時間

成長分野産業が未成熟

品質向上

バリューチェーンが不完全

新規開発力が乏しい

• 炭素繊維などは、実証、開発、製品化に時間と費用を要するため、足が長い産業。また、大量生産に持っていく技術が難しい。自動車産業に持っていけば売れることは分かっているが、自動車業界で求められるような大量のロットに対応できない。 (北陸/産業支援機関)

• 技術をもった外注先が地域に無い。自社が立地する県下には金属加工企業が多いが、技術レベルが上がるとよい。例えば、県下に大手サッシメーカーの工場に、多くの企業が納入しているが、サッシに求められる精度と自動車部品関連で求められる水準は異なる。(北陸/中核/製造業/BtoB)

域内での競争

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(B)今後の成長産業と目される領域

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(D)その他の課題

• 中期的には、北陸産業競争力強化戦力で定められている高機能新素材、ライフサイエンスが中核産業と考えている。(北陸/産業支援機関)

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近畿地方では、企業が大手メーカーの下請け中心で、下請け気質に伴う経営企画力の不足が指摘された。これに伴い、既存産業以外でのバリューチェーンの充実が必要という声が聞かれた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ⑤近畿地方

詳細

• 下請けで、言われたものだけ作っているような企業が多い。そのため、新たな産業に転身した際に、依頼できる外注先等がない。医療機器に参入したが、求めるような精度や技術を持った企業が自社が立地する県下になく、本来地元で調達したかったが、域外に外注している。(近畿/中核/製造業/BtoB)

• 優れた大学が多い。一方で、それぞれが個別に動いており、連携が希薄。(近畿/金融機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

経営層人材の不足

既存産業以外で外注を頼める企業が無い

• 次の事業を構想できるクリエイティビティがある人材が求められている。京都の中小企業は、ものづくり業で下請として事業してきた経緯から、自ら新規事業を検討できる人材が少ない。 (近畿/中小企業支援センター)

域内連携不足

地域の課題分類

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

(B)今後の成長産業と目される領域

• 今後成長が期待できる産業は、ナノテクノロジー産業、IPS細胞、食品等のバイオ産業、IT産業。(近畿/中小企業支援センター)

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現在中国地方では、輸送用機器、エレクトロニクス等への業種の偏重があり、特定の産業の依存した状況を懸念する声が挙げられた。また、新規事業への取り組み、デジタル化等への取り組みの遅れも指摘された。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ⑥中国地方

詳細

• 自動車部品のメーカーは、発注元から具体的な仕様の要望が言われるため、何をしてよいか分からないという企業は少ないが、エレクトロニクス、機械産業の企業は、新たな製品開発を自分たちで行う企業が多く、技術課題のレベル感もより分散している。後者の企業では、作ったものをどう売るかということで悩んでいる企業は多くみられる。(中国/公設試験研究機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

特定産業の景気動向の影響

新規事業への取り組み方の不知

デジタル化対応

• 地域の業種特性として、輸送用機械が工業出荷額の割合で最大。電子・工作機械分野の企業が集積しており、シェアNo1、Only One企業が多い。(中国/中小企業支援センター)

• 自動車産業、半導体を中心とするエレクトロニクス産業など、コアとなる産業、企業の景気の波の影響を受けやすい。(中国/金融機関)

• ものづくり企業が多く集積しているが、デジタル化の対応に遅れていることを課題と認識している。AI/IoTなどの技術を他人事として考えている企業が多い。(中国/中小企業支援センター)

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(B)今後の成長産業と目される領域

• 今後の成長分野として、医療機器分野への参入や医工連携に力を入れている。(中国/中小企業支援センター)

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地理的遠さに起因する、輸送等のコスト高や情報からの隔絶という課題が指摘された。高知では、南海地震対策等の先進性から、災害用トイレットペーパー等の災害対策製品の東日本への販売や、高機能素材等へ取り組んでいる。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ⑦四国地方

詳細

• 域外販路開拓支援が求められているが、県外のネットワークはまだ不足。特に、海外において顕著。代理店や海外の人材、企業のネットワーク構築が必要。 (四国/中小企業支援センター)

• 地域としては、加工、二次加工といった面で、製品化、高付加価値化することが弱い。和紙という一次産品を作ることはできたが、例えば、小物にする等、加工は京都の事業者が行っているケースも多かった。単によい製品を作るのでなく、売れる製品が何かを企業と機関とが一緒に考えていくことが必要。(四国/公設試験研究機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

地理的な遠さに起因する、情報等からの隔絶

• 距離に伴うコスト高もあり、また、販路の獲得、新たな製品開発のための情報取得なども、距離に阻まれ、なかなか的確なものが得られていない。 (四国/中小企業支援センター)

• 南海地震対策などの先進性から、災害対策を売りにしているほか、食品関連や高機能素材等へ取り組んでいる。(四国/中小企業支援センター)

完成品を作る能力・発想の欠如

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

(B)今後の成長産業と目される領域

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

域外仕入に伴う輸送コスト

• バリューチェーンが完結していないがため、域外から高いものを仕入れたり外注したりして、コスト高。(四国/候補/製造業/BtoB)

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航空宇宙、IoT・ロボティクス、環境・エネルギー、医療、食ビジネス、介護、IT産業などが今後の成長産業との声が聞かれる一方、既存の中核産業である観光では、繁閑の差や人手不足という声が聞かれた。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ⑧九州・沖縄地方(1/2)

詳細

• 各社の工場が地方に散らばって立地しており、企業の絶対数が少ないため、シナジーの生み出しに難がある。自機関の立地する県は、周辺の県の半数程度の企業数しかない。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

企業の点在によるシナジーの欠如

地域の課題分類

(A)地域の既存産業が抱えている課題

• 今後の成長分野は、航空宇宙、IoT・ロボティクス、環境・エネルギー、医療。(九州・沖縄/大学)• 成長分野と考えるところは、IoT、医療、食ビジネス、介護。IoTに関して、ある県では大学の教授をトップに据えて

産学で研究会を行っており、今後研究が進むことが期待される。医療に関して、東九州メディカルバレー構想を行っており、域内の大学等と連携しながら、カテーテル製造企業等の医療機器関連企業へ支援を行っている。介護に関しては、利益率の高い産業ではないが、温暖な自機関が立地する県の気候を生かしたシルバー産業が今後拡大していくのではないか。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

• ハードウェアを扱わず、実際に顧客の下へ足を運ぶことがそこまで求められないITの事業内容、例えばデータ分析等場所を選ばない業務であれば、遠隔地としての地理的ハンディキャップの影響が少ない。(九州・沖縄/候補/非製造業)

• 時期による観光客数の平準化が課題。混雑時は宿泊施設や公共交通機関のキャパシティーを超えてしまう一方で、閑散期はリソースを持て余してしまう。 (九州・沖縄/産業支援機関)

人材不足

域外仕入に伴う輸送コスト

繁閑の差

• 観光業に携わる人材の確保・育成が大きな課題。現在、IT業界に人が流れ、観光業に携わる人数が減少している印象がある。観光業に対する低賃金等のネガティブなイメージを払拭し、ポジティブなイメージを持ってもらい、業界に人材を引き付けるための取組が必要。(九州・沖縄/産業支援機関)

• ITのなかでも、マーケティングやデータベース開発に知見のある人材が少ない。(九州・沖縄/候補/非製造業)

• 加工業者が少ない。パッケージ等の加工や、メッキ処理等の表面処理が一例。県外の加工業者に外注するしかなく、輸送コストがかさんでしまう。県内で全工程を行えないため、メーカーを誘致する障害となる。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

(B)今後の成長産業と目される領域

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今後の成長産業への注力にあたっては、新規事業への中小企業の取り組み意欲などが問題視されている。その他、個別の課題として、地理的遠隔性に伴うコストや、事業者が小規模であり体力が無いといった状況も指摘された。

(3)各地域における成長分野の現状、課題 ⑧九州・沖縄地方(2/2)

詳細

• 最大の課題は、地理的遠隔性による物流コストの高さ。物流コストが高いことで、製造業が少ない。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• 不安定な天候も課題。台風の影響でサプライチェーンが乱れるため、特に製造業に負担が大きい。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• 比較的小さな市場で事業をせざるを得ないため、小規模な企業が多い。過小資本で企業体力がないために、創廃業が多い。(九州・沖縄/中小企業支援センター)

• 支援を活用できる企業は体力がある企業で、支援に申請する余裕がない企業も多い。(九州・沖縄/産業支援機関)

出典:弊社ヒアリング

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

地理的遠隔性に伴う、コストや業務安定性

企業の体力不足

地域の課題分類

• 優れた技術を持ち、中核企業として成長するポテンシャルがある企業でも、大手企業の下請けとしてある程度成功していることで、独立してまで更なる成長を望まないようなケースもある。(九州・沖縄/大学)

• 成長分野の研究に関する事業に参画しているのは、医療を除いていずれの分野も大手企業がほとんどで、地元の中小企業はあまり見られない。(九州・沖縄/大学)

• 自機関が立地する地域は外国人留学生の受け入れは全国トップクラスだが、採用はうまくいっていない。東京への就職か、自国に帰る学生が大半で、九州に就職するのは全体の2割に留まる。(九州・沖縄/金融機関)

企業誘致の難しさ

新技術、新産業への対応の遅れ

新規事業への取り組み意欲の低さ

• 企業数を増加させる策として、企業誘致は成功の可能性が低い。中心地から離れており、あえて自機関が立地する県に進出する理由が特になく、現状考えらえる理由は、代表者が同県出身の場合。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

• 半導体等のこれまで中心的だった産業から抜け出し、新たな成長分野へと進出するには時間がかかる。(九州・沖縄/大学)

• 実際のところは、「第4次産業革命」といっても地場としてはピンとこない。(九州・沖縄/公設試験研究機関)

人材の定着

(C)今後の成長産業への業態転換や発展の課題

(D)その他、環境、インフラなど地域の抱える課題

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地方産業競争力協議会の定める各地域の重点産業は以下の通り。(なかでも、今回のヒアリングにおいて、支援機関が成長分野と認識している旨のコメントが得られたものを赤字としている。)

(参考)地域の「重点産業」

4-1 地域中核企業候補が参画し得る成長分野の現状、課題

各地域における重点産業

北海道• 食関連産業 食品 農林水産、等

• 観光関連産業

東北• 自動車• 医療機器• 半導体• 再生可能エネルギー• 環境・リサイクル• 観光• 農林水産• 食品• 伝統工芸品• サービス業• デザイン・コンテンツ

関東• 自動車• 航空宇宙• ヘルスケア 医療機器 介護・福祉機器 医薬品 機能性食品 健康・未病

• 環境・エネルギー エネルギーマネジメント 再生可能エネルギー

• クリエイティブ

四国• 高機能素材 紙 炭素繊維、等

• 造船• 食と健康関連• 農林水産• 観光• 環境・エネルギー

九州• クリーン分野 再生可能エネルギー 水素エネルギー 地熱エネルギー 省エネルギー次世代素材 次世代自動車、等

• 医療・ヘルスケア・コスメティック• 観光

沖縄• 国際物流ハブ関連産業• 健康・バイオ・IT産業• 地域資源活用産業 観光 農林水産 食品、等

近畿• ライフサイエンス 医薬品 医療機器 再生医療、等

• エレクトロニクス• 農業• 環境エネルギー• 医療、等 水環境ビジネス 再生エネルギー 蓄電池、等

• ICT スパコン ビッグデータ、等

• ロボット• 観光

北陸• ライフサイエンス 医薬品 機能性食品、等

• 高機能新素材 炭素繊維 軽金属材料 ナノ材料

出所: 地方産業競争力協議会

中国• ものづくり産業 再生可能エネルギー 次世代自動車 航空機産業 水素エネルギー ソフトウェア 電気・電子、等

• 農林水産• 観光• 基幹産業・伝統産業 3Dプリンター、スパコン 伝統工芸品

中部• 自動車• 航空機• ヘルスケア 医療機器 医薬品、等

• 環境産業 下水排水処理 廃棄物処理、等

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5章 課題解決のための提言

エクゼクティブサマリ / 本報告書の構成 3調査概要 5調査の前提 9

1章 候補企業・地域中核企業の実態 121-1 企業の成長ステップ別課題 131-2 企業の課題①:「販路」 161-3 企業の課題②:「ヒト」 211-4 企業の課題③:「技術」 271-5 候補企業となりうる企業数 30

2章 地域中核企業の事例・波及効果 372-1 地域中核企業の事例 382-2 地域中核企業による地域への波及効果 39

3章 支援機関の実態 453-1 支援機関の支援内容、支援対象等 463-2 地域中核企業あるいは候補企業の支援ニーズと支援ギャップ 513-3 支援機関における課題 603-4 企業へのフォローにおける好例 693-5 支援機関同士の連携の好例 70

4章 地域における成長分野及びその戦略 774-1 候補企業が参画し得る成長分野の現状、課題 78

5章 課題解決のための提言 915-1 企業、支援機関の課題から想定される施策 925-2 優先的に取り組むべき施策(案) 96

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本報告書では、企業の課題と、それに対応する支援機関の支援ギャップ、支援機関の課題を明らかにしてきた。本章では、それらから導出される、考え得る施策と、その中で特に優先的に取る組むべき施策を明らかにするとともに、支援機関の取り組みの中で、既に行われており、かつ功を奏している先行例が無いかを参照する。

5章 課題解決のための提言

本章のアプローチ

支援機関の認知

支援メニューの整備

支援メニューの質・量、実施体制

支援メニューの利用促進(広報)

企業の課題

候補化、中核化、継続成長の各ステップで、企業が抱えるa.ヒト、b.モノ、c.カネ、d.技術、e.情報、f.販路の課題はなにか?

本章のアプローチ

①企業の課題 ②支援ギャップ ③支援機関の課題 ④考えられる施策 ⑤優先的な取り組み

①に対し、「支援機関の認知」、「支援メニューの整備」、「支援メニューの活用促進」、「支援メニューの提供」の状況はどうか

1-1~1-4章で前述 3-2章で前述 3-4章で前述

②のギャップを解消するに当たり、支援機関はどのような課題を抱えているか

3-3章で前述

a.ヒト

b.モノ

c.カネ

e.情報

d.技術

f.販路

①②③を踏まえ、どのような施策が考えられるのか

特に、「支援メニューがそもそもない」のか、「支援メニューの活用促進が足りない」のかを峻別する

3-5章で前述

5-1章で詳述 5-2章で詳述

④のなかで特に、「民間で行うべきか、国・行政で取り組むべきことか」「政策実施の難易度、効果の大きさ、効果が出るまでの期間」で優先的な取り組みを絞り込み

企業/支援機関の取り組みで、既に行われている先行例

施策提言にあたり、既に一部の企業/支援機関で行われており、かつ功を奏している先行例がないか参照する

企業へのフォローにおける好例

支援機関同士の連携の好例

候補化 中核化 継続成長

支援が進まない他の阻害要因

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企業のヒト・モノ・カネの課題に対する支援ギャップの中から、特に対応すべきと考えられる施策は以下の通り。

5-1 企業、支援機関の課題から想定される施策

企業が抱えるヒト・モノ・カネの課題に対応する施策

ヒト

(

労働力)

モノ

カネ

【中核化】経営層が全業務を見ており多忙/会社としてのマネジメント人材、体制が確立できていない

【継続成長】工員が足りない。人材紹介会社は、コストがかかる割にはよい人材が集まらない

【中核化】事業路線が定まっていない/企業の経営路線策定を行うための人材が不足

金融機関の立場として経営者に対して課題を指摘することが難しい場合がある

企業側のニーズを捉えきれていない

経営指導員の数の限界、中小企業等へのアドバイスができるコンサルタントの欠如

• 大手企業での勤務経験や、工場長として長年経験を積んだような、現場を知るマネジメント人材のプール化、紹介

• 就職ホームページの充実による企業知名度、採用に成功している企業の取り組みの紹介、横展開

• 就職フェスタの開催による斡旋成功例の横展開

• 事業戦略策定に知見を持つ外部のコンサルタント等の人材プール化、派遣による経営指導の強化

【質/量】マネジメントに関する支援受講が時間として負担【広報】支援が知られていない

【質/量】インターンの斡旋等支援はあるが成果に結びつかない。時間的負担のかかる研修制度を提供

【質/量】事業路線の策定など、企業の根幹に入って行う支援が足りていない

①企業の課題 ②支援ギャップ③支援機関の課題 ④考えられる施策(案)

認知 整備 質/量 広報

【全般】補助金の申請が大変、申請期間・用途が限られるなど費目や時期が合わない

【継続成長】施設/設備の老朽化、設備投資の不足

【候補化】創業期に資金を得られない【全般】補助金情報が得られない

支援機関においても、受入機関となることの手数など、リソースに限界がある

人材不足、設備導入の予算不足、メンテナンス予算不足

新規企業開拓ができていない、特に、支援を要す企業や中核企業を把握できていない

• 支援制度の見直し、企業からの意見聴取• 企業へのリーチ、特に中核企業など支援制度情報

を届けたい企業の開拓の促進

• 公設試、大学、産総研などの機材、技術情報の一層の共有

• 設備稼働状況の洗い出しによる、運用の効率化

• 公的な資金援助、ファンド等の普及促進• 企業へのリーチ、特に中核企業など支援制度情報

を届けたい企業の開拓の促進

【整備】制度の企業要望との乖離【広報】利用企業の偏り

【整備】公設試等での検査、受託試験は順番待ちで時間がかかる

【整備】一部地域での金融機関の支援が手薄【広報】利用企業の偏り

【継続成長】事業承継に課題を抱えている

事業承継の課題はセンシティブで、金融機関等民間の立場からは話しにくい

• 事業承継、M&A等に対する支援• 公的な支援制度や相談窓口の利用普及

【整備】企業側が話を忌避する/紹介責任から機関側も積極的にアドバイスしづらい

ヒト

(

経営人材)

候補化 中核化 継続成長

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企業の技術・情報・販路の課題に対する支援ギャップの中から、特に対応すべきと考えられる施策は以下の通り。

5-1 企業、支援機関の課題から想定される施策

企業が抱える技術・情報・販路の課題に対応する施策

技術

情報

販路

【中核化】製品は作れたが、BtoBからBtoCへの転換時や、新製品投入時に売り方が分からない

【候補化】実用化に関する支援、出口戦略に知見が無い

【候補化】域外販売まで手が回らない/コストがかかる、販路を開拓できる人材の不足

販売戦略、出口戦略に知見が無い

実用化に関する支援、出口戦略に知見が無い

域外情報の取得が難しい/域外の人材常駐はコスト

• 出口戦略に知見を持つ外部のコンサルタント等の人材プール化、派遣による経営指導の強化

• 実用化、商用化に知見を持つ外部のコンサルタント等の人材プール化、派遣による経営指導の強化

• 時間貸しのような形で利用できる域外販売の代行人材(外部営業人材)のプール化、派遣

【質/量】適切な販売先の紹介機能が不足

【質/量】専門家派遣が行われているが、質がさまざまで役に立たない場合もある

【質/量】機関側が域外にネットワークを持っていない等、域外販路を提供できない

【中核化】創業者のアイデア中心だった開発を継続的に社内で回す体制が作り/情報収集が難しい

【中核化】エンジニアの人材の採用が難しい

【中核化】新製品開発にあたり、新素材、新技術やITに対応する新たな人材やノウハウが必要

情報収集について支援機関側でも予算、人材が足りない

インターン等の支援を採用に繋げる知見がない

限られた職員で業務を行っているため、集中と選択が必要

• 支援機関間での情報共有• 域外情報をもつ人材のプール化、派遣• 海外展開の際「注意すべき点」情報の整理・共有

• 技術系人材のプール化• ものづくりに若年層が関心を持つようにする、関心の

惹起、インターン、イベントの開催等

• IT利活用に関する成功事例紹介による啓蒙• 新製品開発や、ITの利活用における「注意すべき

点」に関する情報の整理、共有

【質/量】商品の開発ニーズの吸収、規制情報の入手、域外への人の派遣ができない

【質/量】技術系人材の不足、地域的偏在、工業高校向けのインターンが成果につながらない

【質/量】新技術等に関する情報取得、IT対応などに遅れ

【中核化】企業の基本の指針や打ち出すコンセプト、ブランディング戦略が定まっていない

ものづくりからデザインまでの幅広い視野を持った人材を発掘することが難しい

• マーケティング、ブランディングに知見を持つ外部のコンサルタント等の人材プール化、派遣による経営指導の強化

【質/量】得られるアドバイス等が、消費者等、特に域外のニーズに合っていない

②支援ギャップ③支援機関の課題 ④考えられる施策(案)

認知 整備 質/量 広報候補化 中核化 継続成長

①企業の課題

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前掲の他、企業の課題に端を発しないものの、支援機関自体が抱えている課題への対応も必要。

5-1 企業、支援機関の課題から想定される施策

支援機関の課題に対応する施策

企業への営業、フォローアップが属人的

リソースが不足、任期付でしかとれない、ローテーションで継続性がない

支援機関自体のカネの欠如に伴う縄張り争い、自前主義

新規企業の獲得ができていない、支援を利用する企業が偏っていたり、リピーター中心

• 機関内の情報の一元的管理• (案件のパイプライン管理の整備、企業への営業、

フォローアップ活動などの定式化)

• ローテーションの見直し(支援関連は任期を柔軟に長く設定)、案件の引継ぎ(パイプライン管理)体制整備

• 支援機関のネットワーク化の促進• 他機関への紹介自体への報酬の設定(他機関へ

の紹介に関する評価指標の導入)

• 他の支援機関を通じた企業の開拓促進• 企業へのリーチ、特に中核企業など支援制度情報

を届けたい企業の開拓の促進

外部受託金頼みによる事業の一貫性、安定性の欠如、プラットフォーム化事業への支援の減少 • 複数年度での支援機関を対象とした助成プラットフォーム構築への助成

③支援機関の課題 ④考えられる施策(案)

マッチングを成約させるようなインセンティブ、モチベーションが働かない

企業から見て、どの機関を頼ればよいかわからない / 企業から関係のない相談が来る

• 支援機関における評価指標の導入• 民間企業によるマッチングの活用、成果に連動した

出来高制とすることによるインセンティブ化

• (連携を無理にスキーム化するのでなく)「かかりつけ」として最寄の支援機関が1次受けして、適切な支援機関に転送できるようなネットワークの構築

個人情報の取り扱いが阻害点となり、企業情報の機関間の共有等が働かない • 企業との守秘義務契約に関するひな形や対処方のガイドラインを国で作ることで、対企業や支援機関の間での情報開示を容易化

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施策の優先順位付けにあたっては、まず、既に支援機関や企業で取り組まれており功を奏しているものは、他地域への横展開を推進する。そのうえで、既に行っているものの、質・量の拡充が必要なものや広報が必要なものはその改善を行う。そして残る、現状行っていないが中・長期的に必要となる施策を検討する。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策の優先度の絞り込み

既に先行する好例があるか?

先行する好例となる施策の横展開の推進

既に支援が提供されているか?

支援は質的・量的に充実してい

るか

広報・普及活動の充実

支援内容の質・量の拡充

新たな支援の制度設計

施策の優先度の絞り込み • 他地域で行われている

好例となる施策を他地域に紹介、展開

• 企業の利用を促進するための広報・普及活動を拡大

• 現状提供している支援の質的あるいは量的な改善を図る

• 新たな制度設計のあり方を中長期的に検討

YES

NO

YES

NO

YES

NO

施策の絞り込みの流れ 取り組みの詳細 施策実施の容易さ

他地域の成功例に学び、すぐにでも実施すべき

新規の制度設計が必要

1

2

3

4

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5-1で挙げた「考えられる施策(案)」について、前頁で述べた優先度の絞り込みについての弊社案は、以下の通り。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

絞り込み結果(1/3)

機関内の情報の一元的管理 案件のパイプライン管理体制整備

(取得情報、入力すべき項目等の整備) 個別企業の支援状況可視化、引継ぎの円滑化 企業への営業、フォローアップ活動などの定式化 支援人材のノウハウの継承

先行する好例となる施策の横展開の推進

広報・普及活動の充実

1

2

5-1章で洗い出した施策の分類 各施策の要点

• 企業ごとに取得する情報や、入力する情報の項目、内容や粒度などを統一する

• 企業からの聴取情報を可視化することで、担当間の引継ぎ、他機関への引継ぎなどを容易化

• 個々の人材が持つ支援内容を共通資源化

守秘義務契約に関する情報整備 企業との守秘義務契約に関するひな形や対処方

のガイドラインを作ることで、対企業や支援機関の間での情報開示を容易化

技術、設備に関する情報の整備、共有 公設試における情報共有制度の普及 大学等の技術、人材、設備情報の収集、共有

既に行われている支援の普及 補助金情報、ファンド等の公的な資金援助、

事業承継、M&A等に対する支援等の普及促進

設備稼働状況の可視化による、運用の効率化 機材稼働状況を調査し、企業の待ち時間を解消

• 機関間での引継ぎを視野に入れた、企業から取得するべき守秘義務契約(NDA)のテンプレートを用意することで、機関におけるリスクを低減するとともに、円滑な企業間の引継ぎを促進

• 既に整備済の公設試のデータベースは、引き続き利用促進

• 大学等についても、同等の内容の取得を取得することで、情報の網羅度を向上させる

• 人が足りない為機材が稼働していない等、「機材と人のアンマッチ」状況を改善、待ち時間を解消

• 企業へのリマインドや他機関経由紹介体制の構築• 新規企業へのリーチ、特に、候補企業など、重点的

に支援制度情報を届けたい企業に対しては、開拓を促進し、直截情報を伝達

P.100

P.102

採用や営業力向上の為のホームページ拡充の支援 企業知名度向上、信用醸成により、採用や取引

拡大に成功している企業の取組の紹介、横展開

• ホームページ構築は個々の企業でほぼ行われているが、情報の充実により、新卒採用や取引先選定といった点で不利になることを防ぐ

P.101

就職フェスタの開催による人材・労働力の斡旋 支援機関が企業と就職希望者とを引き合わせ

• 金融機関による取引先企業を集めた就職活動生向けの合同企業説明会の開催

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(前頁の続き)

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

絞り込み結果(2/3)

支援内容の質・量の拡充

3 機関間連携の促進、情報の整備 地域にある異種機関を総覧した連絡先、支援内

容の一覧の作成 最寄の支援機関が1次請けして、適切な支援機

関に転送できるようなネットワークの構築

• 現状、域内の同種の機関をまとめた情報や、機関単位での支援メニューの整理はあるが、異種機関を横断した情報は未整備

• 連携を無理にスキーム化するのでなく、企業により異なる身近な機関が「かかりつけ」機関として1次受け

高度人材の採用プールや、外部専門家のリスト化 事業戦略策定、ブランディング、マーケティングに知

見を持つ人材 大手企業での勤務経験や、工場長として長年経

験を積んだような、現場を知るマネジメント人材 実用化、商用化など出口戦略に知見を持つ人材 技術系、エンジニアリング人材 域外(特に海外)ニーズ情報をもつ人材 域外(特に海外)での販路を持つ人材

海外展開に関する集中的な支援 早期から海外展開を行う企業に対して、集中的

な支援を提供 海外におけるニーズや規制等、海外展開の際に

「注意すべき点」情報の整理・共有

• 企業が求める高度人材について、リスト化をし常時情報をプールしておくことで、マネジメント、マーケティング、エンジニアリング等、個々のスキルを持った人材の就職・採用を支援

• 企業、機関ともに固定的に人材を抱えることが困難なことを踏まえ、事業戦略策定や、域外販売の代行を行える、コンサルタント人材(外部営業人材)等を、「時間貸し」で利用できる体制・仕組を構築

• 高付加価値製品の製造業企業などでは、早期からの海外進出が適している企業がある一方、特に地方において、海外展開に対する支援が不足。企業数が少ないため広域連携等を視野に、集中的にこれら優良企業の海外展開を支援。

P.103

P.105

P.104

ITの利活用についての関心惹起 IT利活用に関する成功事例紹介による啓発 新製品開発や、ITの利活用における「注意すべき

点」に関する情報の整理、共有

• ITの利活用について、企業・機関ともに全国的に関心は依然低調

• 活用によるメリット等の普及を図る一方、ITの利用における留意点などを企業に伝達

5-1章で洗い出した施策の分類 各施策の要点

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(前頁の続き)

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

絞り込み結果(3/3)

新たな支援の制度設計

4 支援機関への評価指標の導入 他機関への紹介への報酬/インセンティブの設定 他機関への紹介、マッチング実績を評価指標化

• 現状任意になっている他の機関への紹介や、マッチングの成約率向上の工夫、事業化・商用化への寄与について、機関側が自発的に動くことを促進

• 評価指標を導入することにより、機関の業績を測定、企業への推薦に活用

• 将来的に、民間スキルを活用し事業を効率化 P.106 マッチングの民間スキルの活用 成果報酬型の民間委託

補助金等の支援制度の見直し 企業からの意見聴取による対象、申請法の検討

人材ローテーションの見直し 支援関連は任期を柔軟に長く設定

• 企業の声を収集することで、補助金等の支援制度のあり方について中長期的な見直しを行う

• 短期での担当者の交代による企業との信頼関係の途絶、スキル承継の断絶を回避

支援内容の質・量の拡充

3 外国人や女性人材の活用 労働力不足の解消

• 女性や外国人の登用による労働力不足解消及び業務品質の向上などの成功例を企業に普及・宣伝

• これらの人材を登用するための受入環境整備

ものづくりへの関心惹起 若年層が関心を持つようにするべく、インターン、イ

ベント等を開催

• 理系(特にものづくり)に進む若年層が減少していることを食い止めるために、の関心を惹起させるための活動を実施

5-1章で洗い出した施策の分類 各施策の要点

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現状、機関内で企業の情報が一元的に管理されていないことにより、担当が変わる際企業との関係が途絶えてしまったり、過去支援した企業へのフォローができていないことがある。情報を一元管理し、コンタクト履歴や支援した内容を記録する動作を標準化することで、他の担当からのアクセスや、他機関への引継ぎに必要な情報に可視化を図る。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案①:機関内の情報の一元的管理

• 機関内で企業の情報が一元的に管理されていない

• そのため、担当者が変わる際に企業との関係が途絶えてしまったり、過去支援した企業へのフォローが属人的・難しい

• 支援内容が有形のアセット(資産)としての蓄積されない

• 企業へのコンタクト履歴が管理されており、いつ、誰が、何の連絡をしたか把握可能

• 担当交代の際の引継ぎや、別な支援メニューの案内、他の機関への引継ぎも、管理済のデータで実施可能

• 支援の実績・好例も蓄積されており、横展開可能

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 企業とのコンタクト履歴は全件同一のテンプレートを配布・入力

• 企業ごとに取得・入力する情報の項目や、記載内容、粒度などを定式化、統一

• 連絡履歴は常時可視化、他担当もアクセス可能

• 企業に提供した支援マテリアルも参照可能

共通テンプレート

・-・-

①連絡履歴、提供した支援内容を定式的に入力

②他の担当が閲覧、再コンタクトや別な支援の案内も可能

③他機関に引継ぎ

【参考】 支援機関等での先行類似例

企業の基礎情報や支援要望等をまとめた企業カルテを作成(九州・沖縄/中小企業支援センター)

受発注相談をした企業の情報をデータベースに保存しており、約2,500社の企業が収載されている。(関東/産業支援機関)

企業訪問は、既知の企業のコンタクト履歴をみて、比較的コミュニケーションが取れていない企業に行っている。(北海道・東北/中小企業支援センター)

政府の各支援事業の進捗管理を同協会で行っているため、その際に有望な企業を見定め、他の支援事業を紹介する等、集中的な支援を行っている。(北海道・東北/産業支援機関)

各営業店が有力な企業を発掘し、企業の相談を受けた上で、本部のメンバーが参加する「課題検討会」に引き継ぐ。課題検討会は2か月に1回行っており、全140店舗から各5件~10件程度の相談が挙がってくる。年間で約3,000件に対応している。(近畿/金融機関)

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公設試の情報は横断的に機器・研究者を検索できるシステムがあるが、大学は学内でも情報が網羅できていない場合があるため、ほぼ未捕捉。こうした情報を公設試同様に収集・整備することで、企業が情報にアクセスし易くする。更に機材の稼働率を調査することで、機材・職員の不足の炙り出し、企業への空き機材の斡旋など、運用を効率化。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案②:技術、設備に関する情報の整備・共有、設備稼働状況の洗い出しによる運用効率化

• 企業が必要とする技術、設備などが最寄の公設試、大学などで揃わない、または検索できない

• 公設試等での検査、受託試験は順番待ちで時間がかかる

• 一方で、公設試の機材の中には、人員不足で稼働していないものもある

• 公設試の情報同様、大学の保有する技術、機材などについても全国の情報が可視化されている

• 公設試等の機材について、人員不足などで低稼働となっている機材がなく、利用・稼働状況が最適化されている

【参考】 支援機関等での先行類似例

経済産業省「全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システム」を通じ、全国の公設試の機材、研究者の情報が一覧的に検索可能。

産技連も独自の機材情報等のデータベースを保有。これを活用している公設試も存在(北海道・東北/公設試験研究機関)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 公設試における情報検索システムの利用普及

• 大学等の技術、人材、設備情報の収集、共有(システム相互間での横断的検索を可能とするよう整備)

• 設備稼働状況の洗い出しによる、機材運用の非効率の解消(機材の不足、機材を動かす人材の不足などを明らかにすることで、企業の待ち時間を解消)

大学データベース

大学についても、技術・人材・設備の情報をデータベース化

公設試データベース

公設試の機材の稼働率を調査⇒企業の待ち時間が発生している場合について、機材の不足なのか、

機材を動かす職員数の不足なのか等原因を調査、場合により機材の優先的追加、人材の追加や研修プログラム提供等で対処

X/X

X/X

X/X

機材Aの稼働状況

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支援を認識していない企業や、支援を知っていても使わない企業がある。一方で、支援を受ける企業がリピーター中心となっている事例も見られる。過去に支援を利用したことのある企業に対して、他の種類の支援についての案内を実施するとともに、他機関経由の紹介や、支援未利用の地域中核企業・候補企業への直接コンタクトを促進する。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案③:既存の支援メニューの広報・普及

• 支援機関の提供する支援が知られていない場合がある

• 特に、支援を受ける企業がリピーター中心で、新しい企業にアプローチできていない

• 地域中核企業に該当する企業の特定、コンタクトができていない

• 過去に支援を利用したことのある企業以外にも、支援情報が届くようコンタクト

• 特に地域中核企業に該当すると考えられる企業については、該当企業を特定し能動的に支援情報を提供

【参考】 支援機関等での先行類似例

既存の企業との関わりに加え、毎日飛び込みでの企業訪問なども行い、これまでに関係のなかった企業とのコミュニケーションを取っている。(関東/産業支援機関)

政府の各支援事業の進捗管理を同協会で行っており、その際に有望な企業を見定め、他の支援事業を紹介する等、集中的な支援を行っている。(北海道・東北/産業支援機関)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 過去に支援を利用したことのある企業に対して、他の種類の支援についての案内を実施

• 事業承継、M&Aなど、民間サイドからの支援を提案しにくいものについて、公的に存在する支援の利用を促進

• 新規企業へのコンタクトについては、自機関での企業開拓に限らず、他機関経由の紹介体制を構築

• 特に、候補企業など、重点的に支援制度情報を届けたい企業に対しては、開拓を促進し、正確に情報を伝達。数千社程度ならば、まずリスト化し一斉に連絡する等、集中的なコンタクトを図る

過去支援利用企業

過去支援を利用した企業に、異なる支援内容を提案

・-・-・-

候補企業リスト

候補企業のリスト作成、直截の新規コンタクト

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現状、域内の同種機関をまとめた情報や機関単位での支援メニューの整理はあるが、異種機関を地域内で俯瞰・一覧化した情報は未整備の場合が多い。まず、域内にある複数種類の機関を網羅した連絡先・支援内容一覧の作成から始め、最終的には、企業が「身近な」機関に照会しても適切な機関に繋いで貰えるスキームの構築が望ましい。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案④:機関間連携の促進、情報の整備

• 現状、域内の同種の機関をまとめた情報や、機関単位での支援メニューの整理はあるが、異種機関を横断した情報は未整備

• 企業にとっては、身近な支援機関が異なり、かつその機関が適切な相談相手でない可能性もある

• 地域でコンタクトすべき最適な機関がすぐに分かる

• 様々な支援の出し手の情報であっても、一括で検索、閲覧可能

• 機関連携を無理にスキーム化するのでなく、企業により異なる身近な機関が「かかりつけ」機関として1次受け

【参考】 支援機関等での先行類似例

機関独自の取り組みとして、企業が自分の求めている支援制度を条件入力からWEBサイト上で検索できる「支援制度ナビ」を提供している。同システムでは、他機関の支援メニューや、自治体の提供するインセンティブなども一覧化されている。(北海道・東北/中小企業支援センター)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 機関間連携の促進、情報の整備

• 地域にある異種機関を総覧した連絡先、支援内容の一覧の作成

• 最寄の支援機関が1次受けして、適切な支援機関に転送できるようなネットワークの構築

【参考】 企業の支援情報入手の好例

支援情報は、支援の出し手が様々で、情報が一覧になっていないことがネック。自社でも情報を集めているが、本格的に情報を網羅すると、フルタイム従業員を1人雇う位の仕事になってしまう。

そのため、銀行に情報収集して貰うことをうまく活用している。具体的には、金融機関に、利用可能なインセンティブ情報の一覧の提供を依頼、よい情報を提供してきた金融機関に対しては、当該補助金等を活用しての設備投資の際、融資の増額を頼んでいる。(北海道/候補/製造業/BtoC)

支援機関、支援内容情報を一覧化

適切な機関へ取り次いで貰えるネットワークの構築

企業

大学金融機関

・-・-・-

域内機関一覧

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現状、企業、機関ともに固定的に人材を抱えることが困難な場合が多い。他方、企業が求める高度人材は獲得が難しく、事業戦略策定や域外販売の代行を行える、コンサルタント人材(外部営業人材)へのニーズが存在。こうした経営資源に「必要な時に、必要なだけ」企業がアクセスできる「産業版DMO」を整備。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案⑤:高度人材のプール化や、外部情報・専門家のリスト化による「産業版DMO」の整備

• 現状、以下のような知見を持つ高度人材/外部専門家が不足

事業戦略、ブランディング、マーケティング、マネジメント

実用化、商用化

技術、エンジニアリング

域外(特に海外)ニーズ情報、販路

• 企業が自力で探すことのできない人材や域外販路などについて、外部に情報をプール化

• 企業が「必要な時に、必要なだけ」それらの経営資源にアクセスできる

【参考】 支援機関等での先行類似例

企業からの支援要望の多い、域外販路獲得のため、首都圏での営業体制を整備。「東京営業本部」にて、メーカーの営業担当のOBを雇用し、企業に代わっての首都圏での営業代行を行っている。(四国/中小企業支援センター)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 企業が求める高度人材について、リスト化し常時情報をプール

• マネジメント、マーケティング、エンジニアリング等、個々のスキルを持った人材の就職・採用を支援

• 事業戦略策定や、域外販売の代行を行える、コンサルタント人材(外部営業人材等)を、時間貸しのような形で利用できる制度を構築

【参考】 観光におけるDMOの活動

観光客誘客においては、「DMO(Destination Management Organization):地域の観光地経営を行う組織」を認定し、DMOが地域の代表となり、観光客を誘客するための戦略立案、評価指標の設定および各種データの取得整理、関係者間の調整や実際の誘客を担当する方策が各地で採られている。

このスキームを産業支援にも応用し、企業が必要とする高度人材の採用、域外販路獲得等を「産業版DMO」が一括でマネジメントし、企業に成り代わり行うことで、企業が自力では得られない経営資源の獲得をサポート。

産業版DMO

企業からの相談

専門家派遣、域外販路獲得

高度人材や外部コンサルタントを登録、採用や派遣を斡旋

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高付加価値製品の製造企業等では、早期からの海外進出が適している企業がある一方、特に地方において、機関の海外展開支援に関する知見等が不足している傾向がある。企業の業態により、まずは国内の地場を固めるべき企業と、早期の海外展開を薦める企業とを見極め。後者に関しては、早期段階からでも、集中的に海外展開を支援。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案⑥:海外展開に関する集中的な支援

• 高付加価値製品の製造業企業などでは、早期からの海外進出が適している企業がある(例:1点あたりが高価な機器の製造業など)

• 一方、特に地方において、企業、機関とも海外展開の支援が不足。

• 早期の海外展開を薦めるべき企業に関しては、早期段階からでも、集中的に海外展開を支援・働きかけ。

• その際、各地方単位では海外展開支援が難しい場合、広域連携を組み支援する等、限られる支援リソースを有効に使えるよう工夫。

【参考】 支援機関等での先行類似例

特に、企業の中核化を主眼とした支援としては、海外展開支援が挙げられる。国内市場ではシェアが高いが、海外での売上はゼロに近い企業も多い。海外での事業拡大に向け、海外に製造工場を持つ日系企業や海外企業へ売れるようにデザイン面などでのアドバイスを提供している。海外機関との連携も行っており、海外販路の獲得などの支援で活用している。(関東/産業支援機関)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 早期からの海外展開を行うことが適している企業に対して、集中的な支援を提供。

• 海外におけるニーズや規制等、海外展開の際「注意すべき点」情報を整理・共有。

• 企業数が少ないため、既に海外展開に関し知見を持っている支援機関への協力の要請や、広域連携を組み、リソースを共有し支援を提供すること等を視野に入れつつ、集中的にこれら優良企業の海外展開を支援。

• 「海外を訪れた際大変良い商談が出来ていたのに、続かない」ケースが多いことを踏まえ、現地のアドバイザーや、コンサルタントなどを斡旋。

【参考】 支援を受け早期に海外展開した企業例

県の商工労働部の紹介により、補助金を得られた。また、自社が立地する都道府県の産業支援機関の支援を受け、例えば現地法人設立に当たっては、県の紹介したアドバイザーの助言が役に立った。(北陸/候補/製造業/BtoB)

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現状、自機関に一義的には関係のない相談が来た際の他機関への紹介はボランティア状態。また、機関や支援人材の個人差による企業の課題解決への寄与度などもまちまち。支援機関の活動に評価指標を導入することで、機関の支援内容の一層の向上につなげるとともに、部分的に民間の知見を活用することも検討。

5-2 優先的に取り組むべき施策(案)

施策案⑦:支援機関への評価指標の導入、民間スキルを活用したマッチング

• 現状、自機関に関係のない相談が来た際の他機関への紹介はボランティア状態

• 実績作りの為、他機関に紹介しないケースも見られる

• 機関、支援人材個人による企業の課題解決への寄与度などの質もまちまち

• 他機関への紹介についても支援機関が行うメリットを感じられるよう、インセンティブが設定されている

• 企業がよりよい支援に辿り着けるよう、機関の支援内容に対する評価制度があり、それが公開されている

【参考】 支援機関等での先行類似例

大学と直接関係のない販路開拓の相談については、大学として収入にはならないが、コーディネーターが応対して、適切な機関に繋ぐことを支援機関の「営業活動」としてボランタリーに行っている。一次受け窓口として自機関を想起して貰えることを目指している。(中部/大学)

大学のコーディネーターが一次対応をして適切な機関へ紹介する切り分け役をすることも大事なのではないかと考えられる。大学へ気軽に相談に来てもらうことで、最終的に適切な支援に繋げることができればよい。(九州・沖縄/大学)

現状・課題 あるべき姿

施策(案)

• 他機関への紹介への報酬(インセンティブ)の設定

• 支援機関が企業に提供した支援(他機関への紹介、マッチング成約、事業化・商用化への寄与など)について、評価指標を設定することで、機関の業績を測定。企業に、支援内容の優れた機関を推薦する機能を持たせるとともに、評価向上のため機関が自発的に動くことを促進

• マッチング等に民間スキルを活用。既に存在する民間業者を利用する、成果報酬型の民間委託にすることで、成約率を向上させるための創意工夫を働かせる

【参考】 民間業者を活用したマッチング

民間のマッチング業者を活用している。成約ベースでの謝金支払で、かつ大企業のニーズと中小企業のシーズを結び付けた際、大企業側からのみ謝金を取っているため利用しやすい。成約ベースの謝金のため、コーディネーター個人の創意工夫が働きやすい。(北陸/産業支援機関)