平成 28 年度 実施報告書 - kobe university2016 年度...
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平成 28年度 海外インターンシップ 実施報告書
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1
TA
2016 8 21 2016 9 17
JICA
2
2.1
1 3 8 26
29 30 31 4
10
11 14 5 8
N4
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9 1 90
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9 6 8 JICA
14 JICA ODA
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2016年度 海外インターンシップ(モンゴル:ウランバートル)報告
-モンゴル科学技術大学付属高専における日本語教育-
所属・学年:工学研究科・機械工学専攻 1年
名 前:橋田 昌明
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【概要】
目的
海外の大学や高専等の教育研究機関で行われている日本語教育の現場において TA とし
て日本語及び日本事情の教育補助体験を通して得た多様な気づきから異文化理解を深化さ
せ、自文化を客観的に意識させることと併せて、自己の専門性をより深める機会を自主的
に求めることを目的とする。
研修期間
2016年 8月 21日 ~ 2016年 9月 17日
主な研修及び訪問、見学先等
・大学、高専等
モンゴル科学技術大学付属高専及びモンゴル科学技術大学
・日蒙関係諸機関
在モンゴル日本大使館、JICA、モンゴル日本人材開発センター
・日系、現地企業等
TOYOTAディーラー、ゴルムト銀行、三菱商事、双日、日本モンゴル教育病院建
設現場(関東建設工業)
・郊外フィールドワーク及び文化歴史施設等
草原での列車ツアー、ガンダン寺院、ゲル宿泊体験(テレルジ国立公園、ツォンジ
ン・ボルドグ)、トゥメン・エフ民族アンサンブル
主 催:神戸大学大学教育推進機構 グローバル教育推進室・キャリアセンター
協 力:モンゴル神戸大学同窓会
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【主な研修内容】
高専とは日本独自のシステムであり、エンジニアを育成するための 5 年制の高等教育機
関である。モンゴルでは近年エンジニア不足が深刻化しており、その解決策として日本の
高専制度を導入した。モンゴルに高専のシステムができたのは 3 年前のことであり、現在
モンゴルには、モンゴル高専、新モンゴル高専及びモンゴル科学技術大学付属高専の 3 高
専が存在する。その中で私が研修をさせて頂いたのはモンゴル科学技術大学付属高専であ
る。以下に研修内容についてまとめる。
8/21日(日)
18 時ごろにモンゴルに到着した。チンギスハーン国際空港では神戸大学 OB のダワドル
ジ様(経営学部卒)、モンゴル科学技術大学付属高専のガンバヤル校長、モンゴル高専のバヤ
ラ先生と合流し、配属先を決定した。その後各自の寮へと向かい学生寮の使用方法や注意
事項などを伺った。
8/22日(月)
ガンバヤル校長の研修をインターンシップ生全員で受けた。研修内容は、「日本の高専制
度について」、「モンゴルにおける高専の役割」などであった。また、モンゴル科学技術大
学付属高専だけの特別な目標として、「日本式の入学式を行いたい」というお話も伺った。
また、モンゴル貨幣への両替や現地でお互いに連絡を取り合うための携帯電話の購入など
を行った。夜には、ダワドルジ様やガンバヤル校長をはじめとし、モンゴル国立大学や新
モンゴル高専の先生、モンゴル高専の先生方と食事会があり交流を深めた。
8/23日(火)
富山高専及び大分高専のシラバスの調査を行ったり、学生机を移動させたりなど新学期
に向けての授業の準備などを行った。また、高専のモンゴル語の先生に挨拶や自己紹介、
数字の読み方など基礎的なモンゴル語の授業を行っていただいた。モンゴル語の発音は日
本人にとって非常に難しいというお話も伺った。
8/24日(水)
日本での研修予定があるモンゴル科学技術大学付属高専の数学の先生と日本語の勉強を
した。ひらがなの読み方、カタカナの読み方などを行った。また、モンゴル科学技術大学
付属高専の久留須副校長とモンゴル科学技術大学を見学した。夏休み中に日本語を勉強し
たい学生のための特別授業の準備を行った。内容に関しては、高専で日本語を教えている
ガンチメグ先生と相談した。
8/25日(木)
参加してくれた学生たち(28 名)に対して日本語授業を行った。学生たちからの質問に答
えたり、こちらから学生に質問したりして交流を深めた。このときに質問はできるだけ日
本語で会話するようにした。学生たちがどうしてもわからない単語はガンチメグ先生に通
訳をお願いしたり、英語で聞いたり、辞書で調べたりしていた。次の日も日本語授業を開
講する予定であったので、学生たちの意見を取り入れようとし聞いてみたところ「日本か
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ら来た先生たちのためにウランバートル市内を案内したい」との意見が多く、ウランバー
トル市内観光に変更になった。
授業の様子
8/26日(金)
高専の学生たちがウランバートル市内をできるだけ日本語で説明しながら案内してくれ
た。国立デパートやスフバートル広場、ガンダン寺院を案内してくれた。引率としてガン
チメグ先生も同行してくださった。また、ガンバヤル先生にご招待いただき、モンゴル科
学技術大学にて新日鉄 OB のタケムラ様のご講演を拝聴した。ご講演内容は、モンゴルで
採掘が盛んな石炭を有効に活用する方法としてのコークス炉の建設に関するものであった。
環境への影響や、モンゴルに建設する際の技術的な問題など非常に興味深い内容であった。
国会議事堂(スフバートル広場)
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ガンダン寺院前(高専の学生たちと)
タケムラ様(新日鉄 OB)のご講演
8/27日(土)
新モンゴル高専の先生が企画してくださった草原へと向かう列車ツアーに参加した。私
たちのほかに、JICAモンゴル事務所の方々や清水大使をはじめとする在モンゴル日本大使
館の方々も参加していた。
ウランバートル駅
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ツアー参加者の集合写真
8/28日(日)
他の高専に配属されたインターン生と共にウランバートル市内を散策した。モンゴルの
伝統的な文化に触れることを目的とし、Tumen ensumbleでモンゴルの伝統的な踊りや歌、
楽器を鑑賞した。中には馬頭琴やホーミーなどもあり有意義な時間であった。
8/29日(月)
日本語の特別授業を開講し、日本語で自己紹介及び自分の好きなことや趣味を学生たち
全員に話してもらった。私たちは学生から同様の内容をモンゴル語ではどういうのかを教
えてもらった。一方的ではなく、お互いに勉強したほうが学生たちとの距離を縮めやすい
と考えたからである。また、日本語授業の後、高専にてモンゴル国立大学の帯金先生から
モンゴルにおけるスカイインフラ(無人機による貨物の空輸)についてのお話を伺った。日本
でも千葉でドローンによる配達サービスが試験的に行われているが、人へあたる危険性な
どが課題となっている。広大な土地に対して人口が少なく、空輸中の荷物が落ちても人に
当たる危険が少ないから可能なプロジェクトである。また、帯金先生と共に高専に新しく
導入された工作機械や電気関係の設備を見学した。
8/30日(火)
モンゴル科学技術大学付属高専の新入生に対する面接日であったため日本語の特別授業
は無かった。学生たちへ向けての神戸大学紹介スライドや高専生の生活紹介スライドなど
に英語の注釈などを増やして学生たちが理解をしやすいように工夫した。その後、高専に
ロボット工作室を作るための準備として、職員室の引越しを手伝った。
8/31日(水)
学生たちに神戸高専及び神戸大学の紹介を行った。モンゴルの学生たちも日本の学生が
どのように生活しているのかに対して興味津々と言った様子で質問をしていた。モンゴル
科学技術大学の入学式会場にて高専のブースが設置されるため、そのブースに設置される
展示用パネルのレイアウト考案及び製作を行った。
9/1日(木)
モンゴル科学技術大学の入学式会場にてブースの設置を行った。大学のブースが学部ごと
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に存在していたので見学させていただいた。その中に帯金先生の研究室のブースもあり、
スカイインフラのテスト機体を見せていただいた。他にも、アジア科学教育経済発展機構
(ASIA SEED)の矢野様や高専準備プログラムの浅海様から、日本の高専へ留学を考えてい
るモンゴルの学生のお話を伺った。日本の高専には 3 年生から編入することが多く、準備
期間(1年)の間に十分な教育をするのが中々難しいなどの課題点も伺った。
モンゴル科学技術大学付属高専の紹介ブース
スカイインフラプロジェクトにおけるテスト機体
9/2日(金)
さくらサイエンス(日本・アジア青少年サイエンス交流事業)に参加した 3名の学生の活動
報告を聞いた。さくらサイエンスとは、アジアの優秀な学生を日本に短期訪問させ、日本
の学生と科学技術の分野で交流を深めることを目的とした事業のことである。発表が終わ
った後、3名の学生に対して様々な質問があり、非常に良い発表会であった。
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さくらサイエンス参加者による発表
9/3日(土)
モンゴル科学技術大学付属高専の先生方が企画してくださり、テレルジ国立公園でゲル
宿泊体験をさせていただいた。広大な草原を目の前にしたときは非常に感動した。さらに、
先生方がモンゴル料理を作ってくださり、高専の先生方及び他のインターン生との交流を
深めた。また、近くに泊まっていた現地の子供たちとも交流し、言葉は通じなくてもなん
とかなるものだと感じた。宿泊場所のオーナーの方はガンバヤル校長の友人であり、その
方からモンゴルの歴史についてのお話を伺った。モンゴルの歴史を知ることでモンゴルに
対する理解を深められた。
ゲル(モンゴルの伝統的な住居)
9/4日(日)
ゲルにて、馬乳酒や馬乳から作ったチーズをご馳走になった。日本では食べる機会がほ
とんど無いであろう物を食べられたことは非常に良い経験となった。他にもテレルジ国立
公園内にある亀石という観光地を案内していただいた。
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亀石
9/5日(月)
電気電子科の 3 年生及び土木建築科の 3 年生と 1 年生の日本語授業にガンチメグ先生の
サポートとして参加した。3年生は夏休みの感想文を書き、1年生はひらがなの読み書きを
勉強した。3年生は、ひらがな及びカタカナを忘れてしまっている学生が多かった。英語と
日本語を交えながらお互いにコミュニケーションをとった。
9/6日(火)
OB のダワドルジ様、OG のミンジマ様(海事科学研究科修了)方が企画してくださり、イ
ンターン生及びモンゴル国立大学での国際協働特別プログラムに参加している神戸大学生
たちと一緒に在モンゴル日本大使館を訪問した。広報担当班専門調査員の滝口様から日本
大使館の活動を伺った。学生側からも環境問題や専門調査員の仕事内容などたくさんの質
問をさせていただいた。その後、高専へ戻り、久留須先生と高専の月間予定表の作成案及
び入学式の式次第についての話し合いを行った。
※国際協働特別プログラムとは、モンゴル国立大学の学生たちと環境問題等について共
に関係諸機関を訪問して学び、併せて草原での生活体験を通して異文化発見、問題発見&
解決の糸口を協働で求めることを目的としたプログラムである。
9/7日(水)
電気電子科の 3 年生の日本語授業に参加した。自己紹介及び夏休みの感想文を朗読する
ものであった。学生たちは積極的に授業に参加しており、できなくても、とりあえずがん
ばってみるという姿勢が見られた。日本人には無い良さを発見することができた。また、
ガンバヤル校長が企画してくださり、モンゴル科学技術大学にある化学、食品安全関係の
研究室の見学及び生物学関係の研究室の見学をさせていただいた。モンゴルでは食品安全
に関する研究を国策として行っているとガンバヤル校長から伺った。食の安全への関心が
高まっているのはどこの国でも同じであると学んだ。
9/8日(木)
ダワドルジ様、ミンジマ様が企画してくださり、JICAモンゴル事務所及びモンゴル日本
センターを訪問させていただいた。JICA では田中様より、JICA に関しての紹介の後、モ
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ンゴルが抱えている課題(医師の研修場所、ごみの問題、教育問題など)及びその課題に関し
て JICAが行っている協力活動の一例を紹介していただいた。また、モンゴルでは政権交代
などによって案件を担当するモンゴル人が変わり技術の蓄積が行えないのが大きな課題で
あると伺った。実際にお話を伺って JICA のことをより深く理解することができた。また、
モンゴル日本センターではオオカワ様とゴウダ様から、モンゴル日本センターの説明や、
同センターで行っている日本語教育の紹介をしていただいた。中でも、モンゴルでは近年、
モンゴル語のタイピング技術が重要視されている(就職の際に必要であったりする)という
話は、モンゴルの近代化を代表しているようで印象に残った。また、オオカワ様がしてく
ださった「国が違えば文化はもちろん価値観だって違う。なぜ違うのかその理由を考える
とおもしろい。相手の文化を否定してはいけない。」というお話は、非常に印象強く心に残
った。
モンゴル・日本センター
9/9日(金)
土木建築科の 3 年生及び 2 年生の日本の授業に参加した。授業は夏休みの感想文の続き
であった。「おもしろかった」という単語を「おもしろいでした」という学生が非常に多く、
その都度直していった。外国人にとってこの語形の変形の仕方は非常に難しいということ
を学んだ。また、入学式の準備として、佐世保高専の入学式を参考にしながら、司会進行
の先生が読む原稿を日本語で作成し、モンゴル語への翻訳は他の先生にお願いした。
9/10日(土)
モンゴル科学技術大学付属高専の 2 年生及び 3 年生と一緒に学校行事で郊外へ行った。
学生たちはスポーツ大会を行った、競技種目はバスケットボール、バレーボール、サッカ
ーであった。私もバレーボールに参加し、学生たちとの交流を深めた。学生たちはスポー
ツ大会が終わった後も、学年関係なくみんなでスポーツを楽しんでいた。学年関係なくと
いうのは日本ではあまり見ない光景であり、モンゴルの良さであると私は感じた。
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郊外学習の様子
9/11日(日)
郊外学習 2 日目は自由時間であり、学生や先生と交流を深めた。夜は新モンゴル高専の
先生と学生と共に食事をした。新モンゴル高専での専門科目などの授業の様子や学生生活
の様子を伺った。モンゴルではメジャーな料理らしい羊の頭や内臓のスープをいただいた。
このような料理も日本では食する機会のないものであり、貴重な経験となった。国を深く
理解するためにはその国の料理を食すべきだと感じた。
9/12日(月)
電気電子科の 3 年生及び 1 年生の日本語授業に参加した。自己紹介の内容に関して私た
ちが質問を行い、会話の練習も行った。一年生は平仮名の練習を引き続き行った。きゃ、
きゅ、きょなどの拗音の勉強をした。
9/13日(火)
土木建築科の3年生及び電気電子科の2年生の日本語授業に参加した。3年生の授業では、
学生からの要望で私たちと学生とのフリートークに変更になった。学生たちは日本語で私
たちに好きなスポーツやアニメ、食べ物や将来どんな職業に就きたいかなどの質問をした。
私たちのほうからも、日本の印象や好きなスポーツ、将来どんなエンジニアになりたいか
などの質問をした。学生たちの将来像はまだまだ曖昧なものであったが、やる気に満ち溢
れていた。モンゴルの学生は日本の学生に比べて意欲が高いように感じた。
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学生たちとのフリートーク
9/14日(水)
インターン生と特別プログラムの学生及びモンゴル国立大学の学生で JICAがODAでお
こなっている病院建設現場を見学させていただいた。この病院には最新の医療機器を導入
し、最先端の医療機関にするとともに、モンゴルにおける研修医の育成などにも活用され
る病院となる予定である。建築技法のほとんどは日本のものを採用しているが、一部に日
本では珍しい建築方法を採用しているとのお話を伺った。冬には-40 ℃にもなるというモン
ゴルであっても日本の建築技術を用いれば問題ないという。日本の技術の高さを改めて感
じた。
病院の基礎工事の様子
9/15日(木)
インターン生と特別プログラムの学生及びモンゴル国立大学の学生でトヨタディーラー、
ゴルムト銀行、三菱商事、双日商事を見学させていただきお話を伺った。モンゴルで仕事
をする上でどのようなことが大変か、今後はどのようなビジネスを行っていくことを考え
ているのかなどのお話を伺った。政権が交代したことによって、話を進めていた事業がス
トップしたり白紙に戻ったりすることもあるなど非常に生々しいお話しも伺うことができ、
貴重な経験ができた。夜はモンゴル科学技術大学付属高専の先生方が私たちのために送別
会を開いてくださった。先生方から「あなたたちが来てくれたことは学生にとって、とて
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も良い経験になった」と言っていただいた。
TOYOTA ディーラー
9/16日(金)
土木建築科の 3 年生及び 2 年生の日本語授業に参加した。ガンチメグ先生が授業内容を
私たちと学生たちとのフリートークにしてくださった。どちらのクラスからも「来年もモ
ンゴルに来てくれますか?」という質問があり、非常に嬉しく感じた。また、夜には、ダ
ワドルジ様をはじめ、各高専の先生方、国立大の学生たちに送別会をして頂いた。その場
でも、このプログラムは高専の先生方や学生たちにも好評であったと伺い、今回のインタ
ーンシップの1つの成功を感じた。パイロットプロジェクトという側面があったこのイン
ターンシッププログラムをいい形で来年に繋げることができたからである。
9/17日(土)
帰国。
【達成出来たこと】
私は「日本の高専や日本語に対して、さらに親しみを持ってもらう」という目標を心の
中で掲げて、1ヶ月の研修に臨んだ。高専の学生と共に日本語を勉強し、確実に日本に対し
て研修当初よりも親しみを持ってもらえたと感じた。私の中で掲げた目標は達成できたと
考えている。
また、1ヶ月にわたるモンゴル研修で、最も印象に残ったのはモンゴル日本センターの方
の「国が違えば文化はもちろん価値観だって違う。なぜ違うのかその理由を考えるとおも
しろい。相手の文化を否定してはいけない。」という言葉である。例えばモンゴルでは、時
間通りに行動するということが少ない。また、現場判断が強く、仕事を与えても勝手な行
動をすることが多い。これは、モンゴル人はもともと遊牧民族であるため、時間を細かく
は考えないことや、家畜を育て守る中で現場判断が非常に重要であることに由来したもの
であると考えられる。価値観の違いの理由を考え、それを受け入れなければ真に相手を理
解することはできない。このような体験を通して、私の中の視野が少しは広がったように
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感じる。
そして、「夢を持ち行動を起こしていれば国さえも動かすことができる」ということをガ
ンバヤル先生から学んだ。ガンバヤル先生をはじめとしてモンゴルという国を変えたいと
本気で思い、行動している方々と知り合い、お話を伺えたのは非常に貴重な経験であった。
【今後に向けて】
私自身高専の出身であり、将来は高専の教職員になりたいと考えている。今回のプログ
ラムもモンゴルの高専に非常に興味があり研修に参加させて頂いた。今回のプログラムで
は、どの国でも若いエンジニアの育成というのは非常に重要なことであると改めて認識し
たと同時に、そのような国を支えるエンジニアの育成をしたいという思いが強くなった。
そのためにも、研究活動に励み専門性を高められるように努力する。将来、日本の高専の
教職員としてモンゴルの高専にかかわることができればと思う。
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2016年度 海外インターンシップ(モンゴル:ウランバートル)報告
-科技大附属高専での日本語教育を通じて-
『写真を添付』
所属・学年:工学研究科 応用化学専攻 修士二年
名 前:津田 和人
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【概要】
目的
海外の大学や高専等の教育研究機関で行われている日本語教育の現場において TA とし
て日本語及び日本事情の教育補助体験を通して得た多様な気づきから異文化理解を深化さ
せ、自文化を客観的に意識させることと併せて、自己の専門性をより深める機会を自主的に
求めることを目的とする。
研修期間
2016年 8月 21日 ~ 2016年 9月 17日
主な研修及び訪問、見学先等
・大学、高専等
モンゴル国立科学技術大学附属工業高等専門学校
モンゴル国立科学技術大学
・日蒙関係諸機関
在モンゴル日本大使館
JICAモンゴル事務所
・郊外フィールドワーク及び文化歴史施設等:草原での列車ツアー、ゲル宿泊体験
主 催:神戸大学大学教育推進機構 グローバル教育推進室・キャリアセンター
協 力:モンゴル神戸大学同窓会
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【主な研修内容】
① 8月 21日~8月 31日 (モンゴル到着後~新学期開始)
私たちが参加したモンゴルでの日本語教育インターンシップの参加者は、男女 2人
ずつの 4人であった。モンゴルには現在、国立科技大附属高専と私立のモンゴル高専、
新モンゴル高専の 3つの高専があり、我々はそれぞれに別れて研修を行うことになっ
ていた。それぞれの学校の寮に住ませてもらうことになっており、その関係で私とも
う一人の学生は科技大附属高専で研修を行うことになった。モンゴルの学校は 6~8
月までが夏休みであるために、私たちが到着したときは授業がまだなく、生徒も学校
へは来ない状況だった。そこで、学校の先生が Facebookで学生たちに呼びかけてく
れ、希望者を対象に“日本語会話クラブ”を行うことになった。初日は 25 人ほど集
まった。モンゴルでは日本のアニメが人気だということで、ドラゴンボールのキャラ
クターが会話している、という設定で会話例のパワーポイントを作成したところ、皆
熱心に取り組んでくれた。その後数日間は簡単な自己紹介を行ったり、日本のことや、
日本の学校のこと等自由に質疑応答したりすることで、皆と会話することをメインに
していった。
また別の日には、生徒たちにウランバ
ートル市内を案内してもらった。ウラン
バートルの中心にあるスフバートル広
場、旧国営の大きな商業施設であるノミ
ンデパート、そして鳩がたくさんいるガ
ンダン寺院を訪れた。ガンダン寺院にあ
る仏像は見上げるほど大きいものであっ
た。モンゴルはチベット仏教の影響を大
きく受けているようで街の中にも寺院が
ちらほら見られた。
8 月 26 日は科学技術大学の方へ行き、新日鉄住金 OB タケムラさんの特別講義を
聞かせていただいた。モンゴルは国内に産業があまりないのが現状で、国の歳入が石
炭の輸出にかなり依存しているという課題を抱えている。働き口も炭鉱が主で、国内
の雇用も少ない。この問題を解決するため、自国で豊富にとれる石炭をコークス等に
加工する技術を持つことで新しい産業を生み出そうという動きが、行政や学術機関ぐ
るみで計画されているらしい。タケムラさんか新日鉄住金でコークスの精錬やマーケ
ティングをやってこられたそうで、基礎的な精錬法や、どのようなモンゴルであれば
どのような装置を用いて製造すればいいか、また売り先をどこにすればいいか等話さ
れていた。国家の産業に関係する話を直で聞けたのはとてもいい経験になった。また
他の日には、海に面しておらず港をもたないモンゴルが、より簡単な輸送を可能にす
るためにスカイインフラを整えようという計画もあるそうだ。日本から来られて、科
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技大で教授をされている帯包先生からお話をうかがった。
8 月 27 日の土曜日はウランバートル市の南にある駅から、列車に乗ってハイキン
グツアーに向かった。日本大使である清水さんも一緒に行かれていた。小高い山に登
っていき、その上からΩ字型の線路を
見下ろした。この線路が出来た頃の汽
車では傾斜が登れなかったため、Ω字
型に線路を敷いて坂を上るようにして
いたそう。その上を、荷台を 100台連
ねた貨車が過ぎていくのを見ることが
できたが、その大胆さに圧倒された。
汽車内で昼食を食べたのも初めての経
験でよかった。
② 9月 1日~9月 17日 (新学期開始~帰国)
モンゴルは 9 月から新学期ということで、科技大本部にて入学式があった。14 時
から開始という予定になっていたが、大臣の到着が遅れているとかで 14 時半くらい
に開式された。その間集まった学生たちはずっと待っていた訳だが、日常的に起きる
ことなのか、文句を言うものもおらず、大人しく待ち続けていたのは文化の違いを感
じた瞬間だった。また入試の成績優秀者は奨学金を受け取ることができるそうだが、
その人たちの発表および表彰も行われていた。日本ではこういうことは大々的に発表
しないが、公の前で指名されることは本人やそれを見ている人たちへのインセンティ
ブになるのではないかと感じた。
新学期が始まってからの学校生活は、日本語の授業に TAとして入るのがもっぱら
になった。先述したが、モンゴルの夏休みはかなり長いので、生徒たちは今まで習っ
ていたことをほとんど忘れてしまっていた。またクラス内で日本語力にかなりばらつ
きがあるように見られた。生徒たちの様子や話から、彼らの素直さを感じた。自分も
そうだったが、日本の同じ年くらいの学生はもっとひねくれているような気がする。
毎日や今自分がしていることに一生懸命な印象を抱いた。
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9 月 3,4 日は学校の先生方と一緒にテレルジ公園にキャンプに行くことになった。
毎年、学校の先生方スタッフ含め全員で行っているものらしく、同行させてもらう形
になった。道中、キャンプ先で食べるための羊を買っていくということで、羊のバザ
ーに寄った。出店者ごとの柵に羊が囲われており、買いたい人は羊の腰のあたりを揉
んで品質を見ていた。育てたかや食べている草によって味も若干異なるらしい。校長
先生の奥さんが選んでくれて、一頭を決定。すぐ隣が屠殺場になっていて、選ばれた
羊はそこへ連れていき解体する。様子を見学することができたが、生きている羊のお
腹を少し開け、手を入れ太い血管を切るそう。血を一滴も流さないのがモンゴル流だ
そうで、生き物に対するそんな配慮は美しいと感じた。羊の皮も内臓もすべて利用す
るそうで、綺麗に解体されていった。キャンプ場には十数個のゲルがきれいに並んで
おり、一つのゲルを研修生用にあ
ててもらった。お昼から買ってき
た羊肉の鍋等、様々なお話を楽し
み、夜まで続いた。そこで見た星
空は今まで見たことがないほど、
多くの星が光っていて感動した。
9 月 6 日は日本大使館を訪問
させていただいた。自分は来年
から日本の食品会社へ就職する
ことが決まっているため、モン
ゴルの食生活や、調味料などについて伺った。安全な食への高まりや日本食人気があ
るそう。ここでの質疑を入社してから何か活かせればと思う。9月 8日は JICAモン
ゴル事務所を訪問させていただき、日本からモンゴルへの取り組みを聞かせていた
だいた。
9月14,15日の二日間をかけ様々な企業を訪問させていただいた。まず初めにJICA
のプロジェクトで進行中の国立大学部医学部付属病院の建設現場を見学させていた
だいた。まだ地下部分を建設している段階だったが、実際にどのようにして組み立て
ているかを見られただけでなく、日本の組み方との違いも教えていただき非常に興
味深かった。モンゴルの大体の建物の一番外側は、モルタルを塗っただけの発砲スチ
ロールになっているという点はとても驚いた。次にトヨタの正規ディーラーである
Khet Motorsを訪れた。モンゴルでは新車はほとんど売れないため、販売用の車がほ
とんど置かれておらず、修理のためのスペースが多く取られているのが印象的だっ
た。しかし最近では市内に安く請け負うお店も増えてきているそうで、日系企業なら
ではの良かろう高かろうでは苦戦を強いられている現状もあると伺った。次は
Golomt銀行を訪問させていただいた。モンゴルで三指に入る銀行だそうで業務内容
等教えていただいた。行員の方しか入れない貸金庫の中にまで入れていただき感動
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した。4社目は三菱商事のモンゴル事務所。モンゴル進出は商社界で最後発であった
にもかかわらず、新空港建設案件を獲得していたり、さすが商事といった様子だった。
食品業界でのモンゴル参入について意見を伺うことができ、非常にためになった。4
社目は双日。所長さんがモンゴル出身の方で、モンゴルを変えたくて商社に入ったが
未だ何もできておらず、とても悔しいというお話を伺った。ここでモンゴルの政治の
実態や隣国との関係性など詳しく伺うことができ、構造的に非常に難しい国である
ことを知った。成果は出ていない、でも本気で変えたいという歯がゆさが伝わり私自
身大きな刺激を受けた。
【達成出来たこと】
正直に申し上げて、何か形に残るような、目に見えるよう成果を得ることが出来なかった。
しかし、自分の成長のためにはものすごくためになった。私は 1ヵ月間、モンゴルを本気
で変えよう、そのためにモンゴルの教育を変えようとする大人たちの周りにいることが
できた。そのおかげで、その人たちの目標に対するアプローチの方法だったり、またその
計画を行動に移していく実行力、それを可能にする国を変えたいという情熱やエネルギ
ーだったりを目にすることができた。何か大義を達成するためには様々な困難を乗り越
えていかなければならないと思う。そのためには正しいアプローチを組み立てる思考力、
計画を形にする実行力、そして困難に負けないための強い情熱を持つことが大事だなと
感じた。
また今回のインターンシップでは、自分一人でモンゴルに訪れたときではできなかっ
たであろう経験を沢山させていただき、人との繋がりの大切さを実感することができた。
今自分の持っている人脈も大切にしたいなと感じるようになった。
【今後に向けて】
今回のインターンシップに参加した動機は、学生最後の年に、学生の間でしかできない
経験をしたかったからであった。日常生活から飛び出し、得難い経験を沢山することがで
きた。モンゴルで感じた大義を達成するための方法、また人との繋がりの大切さを意識し
て、社会で活躍できる人材になれればと思う。
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1
2016年度 海外インターンシップ
日本語日本教育事情プログラム モンゴル・ウランバートル
‐モンゴルの様々な現場にふれて‐
教育、文化、自然の観点から
所属:国際協力研究科 国際協力政策専攻 修士課程2年
氏名:須藤 理江
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【概要】
目的
海外の大学や高専等の教育研究機関で行われている日本語教育の現場において TA とし
て日本語及び日本事情の教育補助体験を通して得た多様な気づきから異文化理解を深化さ
せ、自文化を客観的に意識させることと併せて、自己の専門性をより深める機会を自主的に
求めることを目的とする。
研修期間
2016年 8月 21日 ~ 2016年 9月 5日
主な研修及び訪問、見学先等
・大学、高専等
モンゴル工業技術大学付属高専
英称 IET (Institute of Engineering & Technology )
・日蒙関係諸機関
在モンゴル日本大使館
・郊外フィールドワーク及び文化歴史施設等:草原での列車ツアー、ゲル宿泊体験
主 催:神戸大学大学教育推進機構 グローバル教育推進室・キャリアセンター
協 力:モンゴル神戸大学同窓会
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3
左の写真は IETの外観である。
右の写真の中央の3名は、派遣された3高専の関係者の方々。出迎えの様子。
1、高専での日本語教育活動
【教室での活動】
教室では日本語教育「会話クラブ」クラス
には20人程度で、日本語のレベルにはば
らつきがある。生徒たちとても真面目で、
日本語を学ぶ意欲を感じられた。こちらか
らスチュエーションを提示し、答えを考え
てもらうという学習を繰り返した。
たとえば、「朝は自分で起きますか」とい
う質問を提示する。「はい」の場合は「目覚
まし時計で起きます」「いいえ」の場合は
「お母さんに起こしてもらいます」など、
質問に対する回答を考えてもらい、その後生徒にペアでこのやり取りを行ってもらった。
また、3~4人でグループになってもらい、夏休みにしたことを話し合い、発表してもら
った。モンゴルの夏休みは約3か月あり、このときは夏休み明けの初回授業であった。
理系の学校のため、比較的男子生徒が多い。
将来の夢を聞くと、エンジニアになりたいと
いう声が多く聞かれた。モンゴルは電気関連
の技術レベルが日本に比べ大きく立ち遅れて
いるため、その改善に役立ちたいといった生
徒もいた。みんな明確なビジョンを持って学
校に来ているとの心意気が感じられた。
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【入学式】
日本式の高専であるため、入学式も日本と同じように行われる。日本とモンゴル両国の国
歌が放送された。校長先生のあいさつや来賓のあいさつなどもある。日本と少し違うとこ
ろは、全体的に少し派手であることと、生徒が私服であることだ。風船の装飾などが目を
引いた。また2名の生徒が自分で選んだ歌を独唱していた。ひとりは東日本大震災の復興
ソングである「花は咲く」で、もう一人はモンゴルの歌謡曲を歌っていた。司会者は日本
人とモンゴル語の翻訳者で行われ、日本語のアナウンスの後にモンゴル語の通訳が入る。
左の写真は壇上に先生方が上がり、挨拶を
しているところ。右は生徒が独唱している。
左下は生徒らの様子を写したもので、
右下の写真は先生方の集合写真。
2、同窓生との交流
神戸大学出身のモンゴル人留学生で構成された同窓会があり、温かい歓迎を受けた。現地
到着時に空港まで迎えに来て下さり、歓迎会もしていただいた。同窓会の会長であるダワ
ドルジ会長が同窓会の旗を持ってきて下さり、同窓会の重みを感じた。モンゴルでは出会
わなかったモンゴル人同士が神戸大学で出会い、本国に帰っても関係が続いているのは奇
遇なことでおもしろいと同窓生の一人は語った。われわれもこの仲間に入れてもらい、学
生時代のこと、仕事のこと、家庭のことなど聞くことができた。改めてこの縁を大切にし
ていきたい。ちなみに、同窓会には70名ほどが在籍しているそうで、その規模の大きさ
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にも驚いた。
3、自然体験 高原汽車体験とゲル宿泊体験
【高原汽車体験】期間:日帰り
ウランバートルから小一時間汽車に乗車し、高原に向かった。周りは何もなく、まさにモ
ンゴルという感じ。2時間程度周りを散策する。参加者は軽く100名を超える大所帯で
あった。前半は高原にある湧き水を目指して遊歩道を歩く。
その後、軽食のサービスがあり休憩をはさむ。後半は高台に登って、そこからとても長い
汽車を見渡した。帰りの車内ではモンゴルのコース料理がふるまわれ、景色と料理の両方
を楽しむことができた。雲一つない青空とだだっ広い草原に包まれた一日であった。
【ゲル宿泊体験】期間:一泊二日
テレルジ国立公園に行き、ゲルに宿泊した。ウランバートルから車で70km離れたとこ
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ろにある。その途中でヤギを飼育している場所へ向かい、新鮮なヤギの肉を調達する。通
常日本であれば、屠畜の場面は直に見ることはできない。しかしモンゴルではそれがむき
出しで行われており、逆に新鮮であった。以下、その場面の写真である。
その後、ロードサイドにある野禽やラク
ダを見せるところに寄り、ラクダに乗る。
ラクダは馬よりも背が高く、とても眺めが
いいことがわかった。思ったよりもグラグ
ラして、スリリングであった。テレルジ国
立公園についたら、食事の準備をし、学
生、同窓生、さらに高専の先生がテーブル
を囲んでパーティを行った。先ほどのヤギ
の肉を大鍋で野菜と一緒に調理し、皆で頬
張る。味付けは塩のみであるが、肉や野菜から旨味がでてとても美味しかった。皆で賑わ
っているうちに夜は更け、よる11時頃に就寝した。といっても緯度が高いため、真っ暗
になるのはよる10時ごろである。さらに標高1300mで内陸であるため、一日の寒暖
の差が激しい。昼は炎天下で、とても暑い。しかし夜になるととんでもなく寒くなる。昼
の気温からは想像がつかない。実を言うと、寒くてあまり寝られなかった。ゲルの中は石
炭の暖房があるが、外がとても寒いため体が芯から冷え切った。ここへ来てはじめて大陸
性気候というものを体験した。また郊外であるため、夜は星がとてもきれいであった。空
気は冷たく澄み切っており、まさに満天の星空であった。
翌日は学生と高専の先生方とともに、テレルジ国立公園内を散策した。見渡すかぎり、
草原と岩山と高い空で構成された風景であり、絶景であった。その後チベット仏教の施設
であるアリヤバル寺院へ向かった。高原とお寺が一体になっており、敷地はとても広い。
1時間半ほど滞在した。岩肌にチベット仏教に関するイラストが描かれていた。大自然を
たっぷり満喫し、ウランバートルへ帰った。
![Page 33: 平成 28 年度 実施報告書 - Kobe University2016 年度 海外インターンシップ(モンゴル:ウランバートル)報告 -モンゴル科学技術大学付属高専における日本語教育-](https://reader033.vdocuments.net/reader033/viewer/2022060804/60885043574b8149ff262716/html5/thumbnails/33.jpg)
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写真について、左上は左から順に、著者、高専の先生、女子学生、高専の先生である。右
上はラクダに乗った様子。左下はヤギの肉を野菜とともに煮込んだ料理。温度を上げるた
めに黒い石も一緒に煮込む。右下は草原のなかで、みんなが乾杯をしている風景である。
4、日本国大使館訪問
学生と神戸大学の萩原守教授とともに在モンゴル日本大使館を訪問した。こちらでは外務
省専門調査員である滝口良さんが迎えて下さり、興味深い話をしてくださった。滝口さん
は大学時代にモンゴル語を専攻され、その後北海道大学の大学院に進学し、博士号を取ら
れた。いまは外務省専門調査員としてゲル地区の研究に従事されている。とくに印象残っ
た話はモンゴル人の規範意識についてのお話であった。
たとえば日本の場合、何か行政が主催する行事などがあれば、少なくとも数か月前から
計画を立て準備し、実行に移す。そのときにも計画書や、当日の流れを示した予定表など
があるであろう。しかしながら、モンゴルでは一週間前から本格的な準備が始まり、前日
場合によっては当日に予定が大幅に変更することもざらにあるという。滝口さんも当初は
この習慣の違いに戸惑うことも多かったそうだが、今は慣れたと話す。良く言えば臨機応
変であり、きちんと説明すればわかってもらえるとのことである。文化の違いを理解し、
かつ交流していくことは容易なことではない。しかしモンゴルはもともと日本に対しとて
も友好的な国であり、その点ではいろんなことがやりやすいという。モンゴルと日本との
FTA(経済連携協定)も立ち上がり、今後その関係に期待がかかる。
写真は左上が大使館外観で右上が机を挟んで、滝口さんと学生が懇談している風景であ
る。左下は「日本国大使館」と書かれたプレートで、右下が集合写真である。
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5、まとめ
教育、文化、自然といった多様な側面からモンゴルを体感することができた。もちろんモ
ンゴルのすべてを知ることができたわけではないが、この国を理解するための大きな一歩
になった。モンゴルに行ったことのある日本人は意外と少ないであろう。韓国や中国など
は日本人にとってメジャーな旅行先であり、パックパッカーは東南アジアを目指すことが
多い。行先としてメインになることは少ないが、距離的にも文化的にも実はとてもなじみ
やすいことがわかった。さらに日本語習得に関してもとても意欲的であり、友好的な国で
あった。モンゴルに一人で行くのは少しハードルが高いと思っていたが、今回の渡航経験
からどのような国かがわかると同時に、次回渡航のためのとても貴重な機会となった。ま
た機会があれば出向いてみたい。