平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に...

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平成 29 年度経済産業省委託業務 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る 自動車産業への影響に係る調査) 調 平成 30 3 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

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平成 29 年度経済産業省委託業務

平成 29 年度製造基盤技術実態等調査

(モデルベース開発に係る

自動車産業への影響に係る調査)

調 査 報 告 書

平成 30 年 3 月

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

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目次

1 背景・目的 ............................................................................................................................................. 1

2 調査項目と実施内容 ......................................................................................................................... 2

2-1 調査内容 ................................................................................................................................................... 2

2-2 調査方法 ................................................................................................................................................... 2

3 今年度の調査結果 ............................................................................................................................. 3

3-1 今年度の活動テーマ .............................................................................................................................. 3

3-2 今年度の成果 ........................................................................................................................................... 4

3-3 METI モデル普及のためのユースケース ......................................................................................... 5

3-3-1 METI モデル 1.0 の社内活用ユースケース ............................................................................. 6

3-3-2 METI モデル 1.0 の社社間活用ユースケース ........................................................................ 9

3-3-3 METI モデル 2.0 以降のユースケース .................................................................................... 10

3-4 METI モデル 1.0 の他ツールへの適用 ........................................................................................... 11

3-4-1 Matlab/Simulink 以外のツールで作成した METI モデル .................................................. 11

3-5 人材育成の取組み加速化 ................................................................................................................. 12

3-5-1 経産大臣人材育成制度 MBD 講座・研修 ........................................................................... 12

3-5-2 教育現場における METI モデル活用事例 ............................................................................ 13

3-6 次期モデル構築・展開に受けた次期戦略 .................................................................................... 14

3-7 国際連携の方針 .................................................................................................................................... 15

3-7-1 国際連携の戦略策定までのアプローチ ................................................................................. 15

3-7-2 欧州動向の現状調査 ................................................................................................................... 15

4 研究会、ワーキンググループ、ヒアリング調査の実施 .......................................................... 17

5 総括、提言 .......................................................................................................................................... 19

5-1 総括............................................................................................................................................................ 19

5-2 提言............................................................................................................................................................ 20

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1 背景・目的

IoT (Internet of Things)時代においては、モノのデジタル化・ネットワーク化が急速に拡大し、

実世界と IT が緊密に結合されたシステムである Cyber Physical System(CPS)が進展してい

くことが見込まれる。自動車産業分野においても、既に部品の受発注における電子かんばんシス

テムや商用車テレマティクス情報を活用したアフターサービスなど様々な取組が進んでいる。

特に、近年、自動車の高機能化(電子制御システム及び安全運転システムの導入、ネットワー

ク化)、パワートレインの多様化等によって自動車設計開発業務が複雑化することに伴って、先

行開発、設計開発の効率化、性能・品質の向上が極めて高いレベルで行うことが求められる中

で、開発・性能評価のプロセスをバーチャル・シミュレーション(いわゆるモデルベース開発。以下

「MBD」という。)で行う重要性が拡大し、従来日本の自動車産業の強みとする開発段階のいわ

ゆる「擦り合わせ」のプロセスにも、今後、大きな変化をもたらす可能性が高い。

こうした中で、自動車部品をシステム単位で、モデルを伴って納入することができるメガサプラ

イヤーの存在感が増大している傾向も見られるが、開発初期段階でモデルを使った「擦り合わ

せ」を行うことは抜本的に開発を効率化し、またモデルを活用した開発領域と生産領域の解析の

連携は高度化する自動車の性能・品質の向上を高いレベルで実現することが可能であることか

ら、我が国自動車産業の開発基盤・生産技術力の維持・強化の観点からは、自動車メーカーと

中小規模を含めたサプライヤーが、共存共栄の考え方に基づく連携の下で、従来の「擦り合わ

せ」の強みを活かしつつ、効率的に MBD を活用していくことを強力に進めていく必要がある。

現在、MBD の推進に当たっては、①多くの自動車部品メーカーにおいて、モデル化に対応可

能な人材、設備(ソフトウェア)面で課題があるとともに、②モデルの標記等に関する統一された

ルールが無く、自動車部品メーカーは自動車メーカーごとに異なる複数のモデルに対応を余儀な

くされる、自動車メーカーはサプライヤーから納入されたモデルが自社モデルとルールが異なって

使用できないなど、モデルの流通可能性にも課題があり、その潜在力が十分に発揮されていな

い状況にある。

このため、サプライヤーの競争力の源泉となる差別化領域を適切に確保しつつ、MBD 推進に

係る協調領域を適切に設定していくため、平成 27 年度より「自動車産業におけるモデル利用の

あり方に関する研究会」を開催し、モデル流通、シミュレーションの高度化、標記ルールの統一の

あり方について検討を行い、平成 29 年 3 月に経済産業省から、モデル流通を前提としたプラン

トモデルインターフェースガイドライン(以下、「ガイドライン」)とガイドライン準拠モデル(以下、

「METI モデル」)及び中長期的な戦略をプレスリリースした。(平成 29 年 3 月 31 日)

(http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170331010/20170331010.html)

今年度は、当該戦略を実行可能なものにすべく、サプライヤーも活用可能な MBD のあり方

や、ユースケースの創出、必要なモデルの特定、協調領域の体制、人材育成の取組の加速化等

を議論し、次年度の取組への参画を促すことを目的とする。

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2 調査項目と実施内容

2-1 調査内容

(1)ガイドラインと METI モデルを使用したユースケースの創出

ガイドライン及び METI モデルを用いて、サプライヤーが理解しやすいようなユースケースを 10

例創出。

(2)機能構成図の概略版、次年度事業に向けた体制構築

現行の METI モデルで構成されているサブシステム(エンジン、モーター等)を産学連携で構築

するに当たって、多くのサプライヤーの参画が必要であるため、いわゆる自動車メーカーが保有

している性能モデルとサプライヤー自身が保有する部品情報をつなぐ「機能構成図の概略・具体

例」を作成する。上記、具体例の創出に当たっては機能構成図の概略を基に行う。

また、産学連携による協調領域を構築し、METI モデルをアップデートする上で、対象となるモデ

ルと体制、優先順位を定めたロードマップを作成する。

(3)METI モデル・ガイドラインの他ツールへの適用

MATLAB/Simulink ベースの現行の METI モデル・ガイドラインにフリーソフトベースのバージョ

ンを作成する。

2-2 調査方法

国内外の文献・統計・公開資料等の調査・分析、自動車関連企業や関連団体等へのヒアリン

グ(20 社程度)、モデルベース開発について積極的な取組を行っている国内企業(サプライヤー

を含む)10 社程度を中心とした研究会(10~11 名程度を 2 回程度)の実施等を行う。

なお、本事業の実施にあたってはこれまでの調査事業の成果を活用することを前提とするとと

もに、研究会に参画している事業者と相談をしながら上記調査を実施し、調査の過程で明らかと

なったガイドライン・モデルへの不備については適宜修正作業を行うこととする。

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3 今年度の調査結果

3-1 今年度の活動テーマ

今年度の活動テーマは、経済産業省予算関連事業において、平成 30年度から平成 32年度ま

で推進される予定である次世代自動車等の開発加速化に係るシミュレーション基盤構築事業(*1)

(以下、「3 ヵ年事業」)を見据え、「誰でも使える車両モデル」、「高精度モデル」、「人材育成」の 3つ

のアクションを定め推進することとした。なお、「誰でも使える車両モデル」は、欧州の規格を参考に

しつつ、細やかなルールと技術によって皆が使える車両モデルを作成していくアクション、「高精度

モデル」は、“学”との連携で最新の物理モデルと実装差別化を行っていくアクション、「人材育成」は

産官学によるシステム思考から MBD利用によるシステム設計ができる人材の育成していくアクシ

ョンである。

まず、3 ヵ年事業のゴールとして、「OEM、Tier1に限らず大学や Tier2以降のサプライヤーなど

あらゆるレイヤーでシステム思考の下、モデル流通によるシミュレーション開発を行うことで、我が

国を世界最先端の開発拠点とする」ことを掲げた。

次に、この 3 ヵ年事業のゴールを踏まえ、平成 29年度に推進する「誰でも使える車両モデル」、

「高精度モデル」、「人材育成」のアクションを具体化した。

「誰でも使える車両モデル」に関しては、具体的に 3つのアクションを設定した。1点目は、METI

モデル 1.0の普及を促進させる機能構成図を作成し、ユースケースを創出することである。これは

サプライヤーにシステム思考を促進させ、あらゆるレイヤーで MBDを普及させることを目的として

いる。2点目は、次期モデル・ガイドラインの構築に向けた次期戦略を策定することである。現在の

ガイドライン・METIモデルの性能領域は燃費のみとなっているが、これを走り・NVH・熱マネジメン

ト等の多目的な機能に拡大し擦り合わせを推進する戦略、及び体制を検討する。3点目は、次期戦

略を踏まえた国際連携を推進することである。本事業で構築していくガイドラインとMETIモデルの

国際展開を進めるために、国際的な標準化動向の調査に加え、本事業の内容を海外に周知する。

「高精度モデル」に関しては、産学連携によるモデル構築に向けた体制を検討することを具体的

なアクションと設定した。これは、高精度モデルが接続できるガイドラインにするため、産学連携で協

調領域を抽出することを目的とする。

「人材育成」に関しては、現職エンジニア向けと学生向けに分け、具体的なアクションを設定した。

現職エンジニア向けには、雇用特会を活用した経済産業大臣人材認定制度の活用について検討し

た。学生向けには、産学連携によるモデル構築推進のために、まずMETIモデルの活用事例を調

査した。

*1 次世代自動車等の開発加速化に係るシミュレーション基盤構築事業の事業

http://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2018/pr/en/seizou_taka_02.pdf

但し、平成 30年度予算以降の単年度予算であり、予算の成立等を持って事業開始となる

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3-2 今年度の成果

表 1に今年度の成果の要約を示す。なお、表 1の項目については、(2-1)節に記載した調査内

容と、(3-1)節で述べた今年度の活動テーマに鑑み整理を行った。

表 1 今年度の成果

項目 成果

METIモデルを使用した

ユースケースの創出

METIモデルの普及を促進し、サプライヤーの

積極関与を促すユースケースを作成

次年度事業に

向けた体制構築

機能構成図の

概略版作成

ユースケースに付随する部分の機能構成図を

一部作成

全体の機能構成図は、競争領域となる機密情報が

含まれる可能性があるため今年度事業では作成せ

ず、3 ヵ年事業で実施者が適宜作成する方針を決定

産学連携による

協調領域の

体制構築

次期モデル構築・展開に向けた 3 ヵ年事業を、産学連

携体制で実施することを計画

METIモデル

アップデートの

ロードマップ策定

平成 30年度から開始予定の 3 ヵ年事業において、

性能領域への拡大と共に、深さ方向へのガイドラインと

METI モデルの構築を推進する体制及び事業推進のイ

メージを立案

次期戦略を

踏まえた

国際連携

本事業のガイドライン領域は、欧米の標準化団体が不

在の領域であり、相補完関係と判明

国際標準化団体との意見交換を実施し、欧州との窓

口を開通

METIモデル・ガイドラインの

他ツールへの適用

現状の Matlab/Simulink モデルを各領域に分割して

FMU化した METIモデルを作成

人材育成

人材認定制度を活用した広島・名古屋の事例、教育現

場における METI モデル活用事例を研究会に参画して

いる OEMやサプライヤーに紹介

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3-3 METIモデル普及のためのユースケース

今年度、METIモデルを使用したユースケースを 16例創出したので、本節にて報告する。

作成したユースケースは、METIモデルを活用することで享受できる嬉しさの事例である。ユース

ケースの作成にあたり、昨年度作成した図 1の概念図に基づき、METIモデル活用の範囲で「社内

活用」と「社社間活用」に分けて整理した。

社内活用は、各社が自社内での検討に METIモデルを活用した際の嬉しさを表現している。例

えば OEMにおいては、「自社で検討する前に、車両での燃費改善効果がある程度分かる」、サプ

ライヤーにおいては、「独自で車両レベルによる評価を実施でき、自社部品が車両に与える影響度

が評価できる」、「自社部品開発にフィードバックが可能となる」等が挙げられる。

社社間活用は、OEM とサプライヤー間等、各社間での検討に METIモデルを活用した際の嬉し

さを表現している。OEMにおいては、「車両モデルにサプライヤーの部品モデルを調整せず繋ぐこ

とができる」、サプライヤーにおいては、「インターフェースにおけるエネルギーの流れの方向やを単

位等を調整せずにモデルを OEMに提供できる」等が挙げられる。

次節以降で、作成したユースケースの詳細について説明する。

図 1 METIモデルの社内活用と社社間活用

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3-3-1 METIモデル 1.0の社内活用ユースケース

表 2の通り、METIモデル 1.0の領域における社内活用ユースケースを 7つ創出した。表 2に

おける活用主体はモデルの使用が想定されるプレイヤーを、メリット享受者はモデル活用により実

際にメリットを享受できるプレイヤーをそれぞれ整理している。また、メリット享受者について、メリット

があるプレイヤーを“○”で、更に大きなメリットを享受できるプレイヤーを“◎”で示している。

今年度作成したユースケースの詳細については別添資料として報告するが、本資料では、No.1

のユースケースを図 2に抜粋し、別添資料の見方について説明する。

図 2に例として、作成したユースケース No.1「動力伝達系システムの実験削減」の詳細を示す。

ユースケースは全てこのフォーマットに沿って作成した。

まず、図 2における左側の表について説明する。「対象」にはユースケースの活用が想定される

プレイヤーを、「対象システム」にはユースケースが対象としているサブシステムを記載した。そし

て、「効果」には、類似のユースケースでも享受できる全般的な嬉しさを共通の効果として、作成した

ユースケースに限り享受できる嬉しさを特有の効果として記載した。表下部の赤枠内には、従来の

開発プロセスとMETIモデルを活用した際の開発プロセスをフローチャートで示し、METIモデルの

活用による仕事のやり方の変化を表現した。

図 2における右側の図は、車両システムにおいてユースケースがフォーカスしているサブシステ

ムと、その機能構成図を表した。

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表 2 METIモデル 1.0の社内活用ユースケース

No. タイトル 活用主体

メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

1 動力伝達系システムの実験削減 サプライヤー ○ ◎ ○

2 システム要求仕に対するオルタネータ

(Motor/Generator)内部仕様最適化 サプライヤー ○ ◎

3 オルタネータ制御仕様の開発への活用 サプライヤー ○ ◎

4 ブレーキの引きずりトルク減少が

車両燃費へ与える影響検討 サプライヤー ○ ◎

5 空気抵抗削減が

車両燃費へ与える影響検討 サプライヤー ○ ◎

6 エンジン冷却ポンプの電動化・流路切替バルブの

電動化が車両燃費へ与える影響検討 OEM ◎ ○

7 オルタネータ・スタータの ISGへの置き換えが

車両燃費へ与える影響検討 OEM ◎ ○

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図 2 <ユースケース例>No.1動力伝達系システムの実験削減

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3-3-2 METIモデル 1.0の社社間活用ユースケース

表 3の通り、METIモデル 1.0の領域における社社間活用ユースケースを 5つ創出した。前節

同様、表 3における活用主体はモデルの使用が想定されるプレイヤーを、メリット享受者はモデル

活用により実際にメリットを享受できるプレイヤーをそれぞれ整理している。また、メリット享受者に

ついて、メリットがあるプレイヤーを“○”で、更に大きなメリットを享受できるプレイヤーを“◎”で示し

ている。

各ユースケース詳細については別添資料にて報告する。

表 3 METIモデル 1.0の社社間活用ユースケース

No. タイトル 活用主体

メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

8 オルタネータ性能と密接に関連する周辺部品の

影響把握や要求提示の活用

サプライヤー

⇔OEM ◎ ◎

9 トランスミッションロスが燃費へ

与える影響検討

サプライヤー間

(Tier1⇔Tier2) ○ ◎ ○

10 トランスミッションの伝達効率向上が

車両燃費へ与える影響検討

サプライヤー間

(Tier1⇔Tier2) ○ ◎ ○

11 可変・電動エンジンオイルポンプ開発に

おける I/F開発工数削減

サプライヤー

⇔OEM ○ ◎

12 トルクコンバータのイナーシャとダンピング性能

が車両動力性能と燃費へ与える影響検討

サプライヤー

⇔ OEM ○ ◎

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3-3-3 METIモデル 2.0以降のユースケース

表 4の通り、METIモデル 2.0以降の領域におけるユースケースも 4つ創出した。前節同様、

表 4における活用主体はモデルの使用が想定されるプレイヤーを、メリット享受者はモデル活用に

より実際にメリットを享受できるプレイヤーをそれぞれ整理している。また、メリット享受者について、

メリットがあるプレイヤーを“○”で、更に大きなメリットを享受できるプレイヤーを“◎”で示している。

各ユースケース詳細については別添資料にて報告する。

表 4 METIモデル 2.0のユースケース

No. タイトル 活用主体

メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

13 パワエレ系部品との関係性を踏まえた

最適な DCDC コンバータ仕様検討 サプライヤー ○ ◎

14 パワエレ系部品との関係性を踏まえた

最適な充電器仕様検討 サプライヤー ○ ◎

15 自動車の高度 IT化に対するオルタネータ・

バッテリ開発への活用 OEM ◎ ○

16 トルクコンバータの減衰特性が

車両燃費へ与える影響検討 OEM ◎ ○

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3-4 METIモデル 1.0の他ツールへの適用

現状のMETIモデル 1.0は、Matlab/Simulinkのモデルのみが公開されている状況である。日

本国内での幅広い活用や今後の国際連携も念頭に置くと、METIモデルが他ツールにも適用可能

であることを国内外に示すことが必要と想定される。そこで、フリーソフトベースの METIモデルの

作成を推進した。

3-4-1 Matlab/Simulink 以外のツールで作成した METIモデル

ガイドラインの複数ツールへの可搬性を示すべく、FMIに対応した METIモデルを作成した。

METIモデル 1.0の FMI対応モデルは、次の 2つのステップで作成した。

第 1ステップとして、Matlab/Simulinkの METIモデル 1.0を図 3で示す通り各領域に分割し、ド

ライバモデル・各プラントモデルを Modelon FMU Toolを用いて FMU化した。

第 2ステップとして、動作検証を実施した。検証したソフトウェアは、SimulationX、Simplorer、

AMESim、Dymola、Version違いの Matlab/Simulinkである。検証項目は、各ソフトウェア上での

実行可否、シミュレーションの挙動、燃費精度とした。

今年度、FMIに対応したMETIモデル 1.0を作成したことで、複数ツールへの適用可能性を示す

ことができた。

図 3 FMU化する際のプラントモデルの分割

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3-5 人材育成の取組み加速化

MBD利用によるシステム設計のための人材育成を加速化させるために、現職エンジニア向けと

学生向けの事例を調査した。現職エンジニア向けの雇用特会を活用した経済産業大臣人材認定制

度の活用事例、学生向けの産学連携によるモデル構築推進のために METIモデルの活用事例を

以下で報告する。

3-5-1 広島と名古屋の取組み事例

経産大臣人材育成制度を活用した MBD講座・研修が広島で開設され、名古屋でも開設が予定

されている。

図 4に示す通り、広島ではデジタルイノベーションセンターが設置され、職種に応じた 3種類の

人材育成講座を提供している。デジタルイノベーションセンターのカリキュラムは、既に全国に展開

しており、現在はレジュメの出版に向け準備を進めている状況である。名古屋では車載組込みシス

テムフォーラムを設置予定であり、名古屋大学にて制御・ソフトウェア設計人材の育成講座の提供

の準備が進んでいる。

今年度事業では、開催した研究会において、広島と名古屋の事例を発表する機会を設け、研究

会に参画している OEMやサプライヤーに取組み事例の紹介を実施した。

図 4 広島と名古屋の取組み事例

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3-5-2 教育現場におけるMETIモデル活用事例

教育現場におけるMETIモデルの活用事例を調査し、一つの事例を抽出した。ある大学では、

研究室配属直後の学生の演習素材として、METIモデルが活用されている。担当教官からは、「演

習の狙いは、MBDの考え方及びMatlab/Simulinkの操作スキルの習熟に加え、車両全体の仕組

みを理解してもらうこと」とコメントがあった。

図 5に、実際に行われている演習のフローを示す。演習は、学生が希望する担当部品と目標を

定め、それをクリアするために独自のアイディアを含めたサブシステムを作成、最後に車両全体で

の結合シミュレーションを実施するものである。

実際に演習を行った学生からは、「Matlab/Simulinkの使い方を習得できた」、「自動車の構造及

び車両内の信号やエネルギーの流れを把握でき、自動車の仕組みを深く理解することができた」と

のコメントがあった。

最後に、担当教官から「METIモデルを教育現場で活用することは、MBDツール習熟のみなら

ず、自動車構造理解やデータフロー把握に繋がるため、高専での演習素材にも好適ではないか」と

ご提案を頂戴した。

図 5 抽出した事例の演習フロー

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3-6 次期モデル構築・展開に受けた次期戦略

本節では、ガイドライン及びMETIモデルをアップデートしていくための次期戦略について述べ

る。

図 6に、今年度策定した、ガイドライン及びMETIモデルをアップデートのイメージ(3 ヵ年事業の

イメージ)を示す。横方向には、ユニット・サブシステムの I/Fガイドラインが並び、車両一台分の I/F

を構成しており、奥行方向には、車両一台分の I/Fが性能領域ごとに並んでいる。深さ方向は、ガ

イドライン・モデルの粒度を示し、現在公表されている第 1階層から、第 5階層まで階層が下がる

につれ粒度が詳細化されている様子を示している。

現在公表されてる領域は、図 6において黄色でハイライトしている、燃費性能目的の第 1階層で

あるが、今後 2つのアプローチによってアップデートを推進する。1つ目に、青色の矢印で示してい

るように、第 1階層の粒度で、車 1台分の I/Fの定義を性能領域へ拡大する。

2つ目に、赤色の矢印で示しているように、第 1階層から第 2階層へとガイドライン・モデルの粒

度を詳細化する。ガイドライン・モデルの粒度を詳細化する際、実施者は更に深い階層の詳細なガ

イドライン・モデルを検討した上で、リダクションすることで第 2階層のガイドライン・モデルを構築す

る。図 6に示しているように公表するガイドライン・モデルは第 2階層までであるが、性能領域とサ

ブシステムによって公表する具体的なモデル粒度が異なると想定されるため、最終的には実施者

の判断に委ねられる。また実施者は適宜機能構成図の作成も実施する。

以上の 2つのアプローチにより、モデル・ガイドラインの軽量さとサプライヤーの秘匿性を担保し

つつ、粒度の詳細化が可能となる方針を策定した。また、粒度の詳細化にあたっては、“学”を交え

る体制を取ることで“学”の強みである基礎研究の要素と繋がるモデル開発が可能となる。

図 6 3 ヵ年事業のイメージ

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3-7 国際連携の方針

本事業で構築していくガイドライン・METIモデルの国際展開を進める上で、今年度は戦略策定ま

でのアプローチ策定と、戦略策定のインプットとなる現状調査を実施した。

3-7-1 国際連携の戦略策定までのアプローチ

本事業で構築していくガイドライン・METIモデルの国際展開を進めるために、戦略を策定する必

要がある。戦略を策定するにあたり、第 1ステップとして現状調査を、第 2ステップとして調査結果

をインプットとした戦略案を策定することを決定した。今年度は第 1ステップである現状調査を完

了、第 2ステップの戦略案策定は来年度以降に実施する。

3-7-2 欧州動向の現状調査

第 1ステップの現状調査として、欧州動向の把握・俯瞰と、欧州訪問による 1次情報の取得を実

施した。

欧州動向の把握・俯瞰は、欧州の標準化団体がそれぞれターゲットとしている領域を図 7のよう

に整理することで実施した。標準化団体の整理は、米国拠点の主要な標準化団体も含め実施し

た。モデリングの標準化について、現時点では本事業がターゲットとしているプラントモデルインター

フェースを活動の領域している主要な団体はなく、各団体の取組みは本事業で作成したガイドライ

ン及びMETIモデルと相補完関係となることが判明した。

欧州訪問による 1次情報の取得については、現地での情報収集に加え、欧州との連携を推進す

るための窓口を開通することを目的に、研究会に参画している一部の OEM・サプライヤーが、国際

標準化団体である ProSTEP ivip と SystemX とそれぞれ意見交換会を実施した。

ProSTEP ivipは、ドイツの Darmstadtに本部を置く非営利の国際標準化団体である。German

STEP活動の一環として、38の工業会社と多くの IT会社によって、1993年 10月に設立され、

2018年 3月時点では 20か国から約 180の企業と組織が加盟している。ProSTEP ivipは、モノ

づくりプロセス全体のデジタル化のために標準とインターフェースの定義を目標としている。

SystemXは、フランスの Palaiseauに本部を置くデジタルエンジニアリング分野の技術研究機関

である。自国の魅力を高めるために仏政府によって設立された 8つの技術研究機関の 1つで、

2012年 10月に設立され、2018年 3月時点で 75の企業と組織が加盟している。SystemXは、

産業界及び地域の科学的な課題解決に貢献することを目的としており、デジタルエンジニアリング

分野の標準化に係る Project も進行中である。

両団体との意見交換会では、経済産業省が昨年度リリースしたガイドラインについて説明を行

い、本事業の実施内容が両団体の検討内容と相互補完関係にあることを確認した。また、今後

MBDの領域において ProSTEP、SystemX と 3者で連携していくことを合意した。

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16

図 7 各標準化団体のターゲットとしている領域

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17

4 研究会、ワーキンググループ、ヒアリング調査の実施

今年度の事業を推進するにあたり、2-2節の調査方法に基づき、研究会、ワーキンググループ、

ヒアリング調査を実施した。

開催した自動車産業におけるモデル利用のあり方に関する研究会を表 5に、ワーキンググループを

表 6に示す。また、ヒアリング調査については、自動車関連企業 14社と自動車関連団体 6社に実施し

た。

なお、第 1回研究会において、研究会、ワーキンググループ、ヒアリング調査の議事は原則として非

公開とすることが確認された。

表 5 開催した自動車産業におけるモデル利用のあり方に関する研究会

研究会 開催日時 開催場所

第 1回研究会 平成 29年 12月 4日(月)

15:00~17:00

経済産業省 本館 2階

西 3共用会議室

第 2回研究会 平成 30年 2月 23日(金)

15:00~17:00

デロイト トーマツ コンサルティング

合同会社 新東京ビル 4F

セミナールーム 1

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18

表 6 開催したワーキンググループ

ワーキング

グループ 開催日時 開催場所

第 1回

WG

平成 29年 11月 8日(水)

14:00~ 17:00

経済産業省本館 2階

西 3共用会議室

第 2回

WG

平成 29年 11月 22日(水)

14:00~17:00

経済産業省本館 2階

西 3共用会議室

第 3回

WG

平成 29年 11月 29日(水)

13:30~15:30

中部経済産業局 2階

大会議室

第 4回

WG

平成 29年 12月 20日(水)

14:00~17:00

経済産業省本館 2階

西 3共用会議室

第 5回

WG

平成 30年 1月 10日(水)

14:00~18: 00

経済産業省別館 11階

1111各省庁共用会議室

第 6回

WG

平成 30年 1月 25日(金)

14:00~17: 30

経済産業省本館 2階

東 6共用会議室

第 7回

WG

平成 30年 2月 9日(金)

14:00~17:15

経済産業省本館 2階

東 6共用会議室

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19

5 総括、提言

5-1 総括

本事業では、平成 30年度から開始予定の 3 ヵ年事業を見据え、「誰でも使える車両モデル」、

「高精度モデル」、「人材育成」に関するアクションを推進するというテーマで調査を実施し、以下の

成果を得た。

METIモデルを使用したユースケースの創出

サプライヤーの積極関与を促す 16個のユースケースを創出

次年度事業に向けた体制構築

ユースケースに付随する機能構成図を作成し、全体の機能構成図は来年度から開始

予定の 3 ヵ年事業で適宜作成する方針を決定

次期モデル構築・展開を産学連携体制で実施する計画を立案

3 ヵ年事業のイメージを具体化

国際連携の現状調査を完了し、欧州との窓口を開通

METIモデル・ガイドラインの他ツールへの適用

Matlab/Simulink モデルを分割し FMU化したモデルを作成

人材育成

人材認定制度を活用した広島・名古屋の事例、教育現場におけるMETIモデル活用

事例を研究会にて報告し参画している OEMやサプライヤーに紹介

また、3 ヵ年事業終了後も民間企業主体で事業の持続・ナレッジの蓄積が可能となる仕組みを構

築し、本研究会で将来展開すべき性能目標を検討すべく、研究会参加企業は昨年度の合意内容に

加え、新たに以下の 3点について合意した。

(昨年度の合意内容)

1. 研究会参加企業は、今般策定したガイドライン・準拠モデルを統一的な考え方として、モデ

ル流通を進めるとともに、国際連携を見据えた方策を検討する

2. 研究会に参加している自動車メーカーは、自社内外双方のモデル流通に加え、シミュレー

ションを活用した開発の効率化に係る中小部品メーカーへの浸透や、産学連携等に対し、

積極的役割を果たす

3. 国は、シミュレーションを活用した開発の高度化に向けて、人材育成や部品メーカー支援

等、産学と連携し多面的に支援する

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20

(今年度の新たな合意内容)

4. 国及び研究会参加企業は、“民間企業が主体となってガイドライン・準拠モデルが管理・維

持・拡張される仕組み”を 2020年までに構築する

5. 国及び研究会参加企業は、従来のガソリン車を対象とした共通基盤となるガイドラインと

準拠モデル作りを、電気自動車といったパワートレインへ拡大すべく、ガイドライン及び準

拠モデルのアップデートを進める

6. 国及び研究会参加企業は、自動車産業を取り巻く昨今のメガトレンド(自動運転等)を踏ま

え、例えば、自動運転の制御モデルに関連する取組など、モデルに関する新たな協調領

域の検討を進める

5-2 提言

今年度のステップを経て、来年度以降では民間企業が主体となってガイドライン・METIモデルが

管理・維持・拡張される仕組みの実現と、共通基盤となるガイドラインと準拠モデルの対象範囲の拡

大に向け、以下の具体的な活動を実施内容として提言する。

プラント・制御モデル I/F

現在の燃費のみの性能領域からパワーソース全般のプラントモデル I/Fを検討

すると共に、プラントモデルに付随する制御モデル I/Fにおいて協調領域を検討

将来シナリオに応じた性能領域

将来シナリオ(コネクテッド、自動運転、サービス・シェアリングの進展等)の業界

動向を注視し、本事業で取り組むべき性能領域を検討

国際連携

本事業で構築するガイドライン及びMETIモデルの国際展開を進めるための戦

略を策定し、海外の標準化団体との連携について検討

人材育成制度

今年度の成果を基に、MBD利用によるシステム思考を促進させるアクションを

検討

運営管理体制

3 ヵ年事業でガイドライン及びMETIモデルを拡大させ、2020年までに民間が主

体となって運営する体制を検討

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別添資料

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METIモデルの活用ユースケース

平成30年 3月

1

別添資料

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MBDによる開発において、利用範囲を高める車両モデル

2

誰でも使える車両モデル

1. ガイドライン準拠モデルの利用ガイドライン準拠モデルとして用いることでMBDを使った開発を行うことが出来る。

2. ツールソフトの選定日本全体の裾野の広い浸透に向けた、機能面だけでなく価格面にも考慮したベースのツールソフト選定

3. 海外メーカーとの連携海外メーカーと共有できるモデル

各機能システムドメインでの市販モデル(詳細モデル)の

シミュレーション

各機能システムドメインでオープンソースを利用、モデル入れ換えでの

シミュレーション

モデル

無料

行き来できる仕組み

2016年度資料研究会より

MBDを使った開発の使い方の

ユースケースを提示

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3

2016年度資料研究会

モデルの活用のユースケースを①社内活用②社社間の活用で考える

社内活用(サプライヤ)

社社間活用

社内活用(OEM)

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誰でも使える車両モデルへのアプローチ

ユースケース作成範囲

誰でも使える車両モデル

METIモデル活用ユースケース

METIモデル拡張(2.0以降)

METIモデル1.0

国際連携の方向性

ツールソフトの選定

ガイドライン準拠モデルの利用

海外メーカーとの連携

社内活用

社社間活用

昨年の合意事項 4

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METIモデル1.0のユースケース案について

5

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前提

1. プラントモデルのI/Fガイドラインを認知、活用してもらうため、METIモデル1.0を利用できる範囲の開発でのユースケースを提示する。(社内活用、社社間活用)

METIモデルの拡張におけるシステム範囲の拡大については今後の議論とする

ユースケースの対象者はMETIモデル1.0の対象システムにおける

① 自動車メーカー

② Tier1サプライヤ

③ Tier2サプライヤ

とする

2. モデルの粒度(深さ)は、METIモデル1.0で想定できるような範囲とする

6

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METIモデル1.0の対象システムについて

7

METIモデル1.0のシステム構成のどの部分かを明確にしながら、ユースケースを明確化

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社内活用ユースケース

8

No タイトル 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

1 動力伝達系システムの実験削減 サプライヤ ○ ◎ ○

2システム要求仕に対するオルタネータ(Motor/Generator)内部仕様最適化

サプライヤ ○ ◎

3 オルタネータ制御仕様の開発への活用 サプライヤ ○ ◎

4ブレーキの引きずりトルク減少が車両燃費へ与える影響検討

サプライヤ ○ ◎

5 空気抵抗削減が車両燃費へ与える影響検討 サプライヤ ○ ◎

6エンジン冷却ポンプ電動化・流路切替バルブ電動化が車両燃費へ与える影響検討

OEM ◎ ○

7オルタネータ・スタータのISGへの置き換えが車両燃費へ与える影響検討

OEM ◎ ○

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対象 サプライヤ (Tier1→OEM) 対象システム トランスミッション(T/M)

目的 トランスミッション実験における工数・経費の削減

効果

共通①性能/コスト、バランスの取れた製品設計 ②試作数の削減③モデル流通における準備工数の低減 ④課題の原因特定の簡易化

特有トランスミッション全体での運転状態(クラッチの発熱推移、各コンポーネント部品への入力トルク・回転の状態)が判ることで、部品単体では得難いシーン(高負荷・高回転・高温等、及び複数の組合せ)を早期検証でき、課題形成の質が向上

Before After

状況

過去の知見に基づいた検討を行い、実機で性能検証を実施

車両シミュレーションで開発をすることで、工数や経費を削減可能

プロセス

9

1.動力伝達系システムの実験削減

9トランスミッション(TM)モデル

ギア1

損失

回転数ω4回転数ω1

トルクT4トルクT1

トルコン

クラッチ

回転E4回転E1

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎ ○

METI モデルの活用プロセス

クラッチ・ギアなどのコンポーネント部品(Tier2領域)への入力トルク・回転の状態が判れば、部品単体検証作業のフロントローディングに

T/M仕様決定

実機での検証

試作

過去の知見で車両性能を推定

NG

OK

試作

実機での検証

T/M仕様決定

要求仕様とモデルを提供

OK

手戻り小

手戻り大

Tier1OEM Tier1OEM

要求仕様を提供

METIモデルで車両シミュレーション

NG

Page 33: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

部品機能

2.システム要求仕様に対するオルタネータ(M/G*1)内部仕様最適化

オルタネータ

電圧V

電流I

電気E慣性

回転数ω

トルクT

回転E

回転変換

最大電流

効率

最大電流

電力効率

コイル

回転変換 プーリー

・・・

ローター

10

対象 サプライヤ (Tier1→OEM) 対象システム オルタネータ

目的 プーリー比、コイル仕様などの、要求を満足しつつコスト最適な仕様の模索

効果

共通

①性能/コスト、バランスの取れた製品設計 ②試作数の削減③モデル流通における準備工数の低減 ④課題の原因特定の簡易化

特有

オルタネータ部品の燃費等への寄与度が事前に分かることで、個別部品を仕様に応じて都度作り直すことなく、部品の流用検討等も事前に可能となる

Before After

状況

オルタネータの燃費寄与度が、実車を試作するまで不明

オルタネータの燃費寄与度がシミュレーションで検討でき、試作前に最適化検討が可能

プロセス

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎*1:Motor/Generatorの略

METI モデルの活用プロセス

実車での検証

オルタネータ仕様決定

最適設計したオルタネータ製作

要求仕様とモデルを提供

オルタネータ仕様決定

検討したオルタネータ製作

実車での検証

過去の知見に基づき仕様検討

要求仕様を提供

手戻り大

手戻り小

Tier1OEM Tier1OEM

モデルで燃費を考慮した仕様検討

NG

OK

NG

OK

Page 34: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

対象 サプライヤ (Tier1→OEM) 対象システム オルタネータ制御

目的 オルタネータ性能をシステムレベルで最大限引き出す制御仕様の開発への活用

効果

共通

①課題の原因特定の簡易化 ②手戻り工数の低減

特有

車両の電源系諸元と、走行時のオルタネータ使用条件等の詳細情報が試作前に入手できるため、試作前に細かな制御構築が可能となり、手戻りの抑制が可能となり開発期間が短縮可能

Before After

状況

車両諸元が想定と実車で異なるため、実車評価で制御仕様の修正が多発し、開発期間内に最適化できない

OEMがTier1に車両モデルを提供するこ

とで、試作期間中に机上で詳細な制御構築が可能となり、開発期間短縮が可能

プロセス

3.オルタネータ制御仕様の開発への活用

オルタネータ

電圧V

電流I

電気E慣性

回転数ω

トルクT

回転E

回転変換

最大電流

効率

11

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎

部品機能

最大電流

電力効率

コイル

回転変換 プーリー

・・・

ローター

METI モデルの活用プロセス

Tier1OEM Tier1OEM

車両諸元決定

車両試作

制御仕様決定

過去の知見から制御仕様を検討

実機検証実機検証

制御仕様決定

車両諸元決定

車両試作 OEM提供モデルで制御仕様検討

手戻り大・設備確保・試験準備・制御仕様修正:

車両モデル諸元情報

手戻り小・PCで検討

NG

OK

NG

OK

Page 35: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

その他の社内活用イメージ

12

No タイトル(≒目的) 内容(≒効果) 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

4ブレーキの引きずりトルク減少が車両燃費へ与える影響検討

ブレーキの引きずりトルクが車両燃費に与える影響を検討できるため、ブレーキサプライヤはブレーキタッチのレスポンスを確保しつつ、車両燃費を向上できる形状や機構のブレーキを開発できる

Tier1 ○ ◎

5空気抵抗削減が車両燃費へ与える影響検討

空力パーツやeミラー等の空気抵抗に寄与する部品の

サプライヤが、車両空気抵抗の削減が車両燃費に与える影響が検討できる

Tier1 ○ ◎

6エンジン冷却ポンプ電動化・流路切替バルブ電動化が車両燃費へ与える影響検討

エンジン冷却ポンプの性能、冷却水ポンプのオンデマンド駆動化によるエンジンフリクション低減が車両燃費に与える影響が検討できる

OEM ◎ ○

7オルタネータ・スタータのISGへの

置き換えが車両燃費へ与える影響検討

オルタネータとスタータをISGに置き換えエンジンのストッ

プ領域を増加させる事が車両燃費に与える影響を検討できる(ISG高回転からエンジンを始動できるISGの特性を活用)

OEM ◎ ○

Page 36: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

社社間活用イメージ

13

No タイトル 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

8オルタネータ性能と密接に関連する周辺部品の影響把握や要求提示の活用

サプライヤ⇔自動車OEM間 ◎ ◎

9 トランスミッションロスが燃費へ与える影響検討サプライヤ間(Tier1⇔Tier2) ○ ◎ ○

10 トランスミッションの伝達効率向上が車両燃費へ与える影響検討

サプライヤ間(Tier1⇔Tier2) ○ ◎ ○

11可変・電動エンジンオイルポンプ開発におけるI/F開発工数削減

サプライヤ⇔自動車OEM間 ○ ◎

12 トルクコンバータのイナーシャとダンピング性能が車両動力性能と燃費へ与える影響検討

サプライヤ⇔自動車OEM間 ○ ◎

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8.オルタネータに関連する周辺部品の影響把握

オルタネータ

電圧V

電流I

電気E慣性

回転数ω

トルクT

回転E

回転変換

最大電流

効率

14

対象 サプライヤ (Tier1⇔OEM) 対象システム オルタネータ

目的 オルタネータ性能と密着に関連する周辺部品の影響把握や要求提示の活用

効果

共通 ①試作数の削減 ②課題の原因特定の簡易化

特有発電量と燃料消費の相関を社社間で共有でき、新たなオルタ詳細仕様の提案に繋がる

Before After

状況

オルタネータとバッテリ・配線等の周辺部品の仕様を実機検証まで検討することが難しい

発電効率・燃費効率を最大化するバッテリ・配線等の周辺部品の詳細仕様を実機レスで検討可能

プロセス

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ◎ ◎

METI モデルの活用プロセス

部品機能

最大電流

電力効率

コイル

回転変換 プーリー

・・・

ローター

METIモデルで車両全体への影響を

計算

実機検証

試作

オルタネータの仕様設定

周辺部品の諸元設定

実機検証

試作

過去の知見で車両全体への影響を推定

周辺部品の仕様決定

手戻り大

手戻り小

Tier1OEM Tier1OEM

オルタネータの仕様設定

周辺部品の諸元設定

NG

OK

NG

NG NG

OK

オルタネータの仕様決定

周辺部品の仕様決定

オルタネータの仕様決定

手戻り小手

戻り大

Page 38: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

対象 サプライヤ (OEM⇔Tier1⇔Teir2) 対象システム トランスミッション(T/M)

目的 新規T/M開発時にオイルポンプ損失が車両燃費へ与える影響の検討

効果

共通①OEMへの提案②試作費低減 ③後戻り工数の低減④OEM、T/Mサプライヤ、オイルポンプサプライヤ間でモデル流通が可能

特有 Tier1はオイルポンプの比較、Tier2は損失特性事前検証が実機レスで可能

Before After

状況

実機検証までポンプ損失が不明であり、燃費に与える影響の検討が難しい

ポンプ損失が燃費へ与える影響を実機レスで検討可能

プロセス

METI モデルの活用プロセス15

車両モデル

T/C Gear Train

Valve Body

T/M Assy

引き摺りトルク

損失トルク

摩擦特性

ギア効率

特性要素

O/P

Clutch/Brake

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎ ○9.トランスミッションロスが

燃費へ与える影響検討

損失トルク特性を含むオイルポンプモデルにより、実機レスで燃費への影響が検討可能

T/M仕様決定

実機検証

T/M仕様検討

ポンプ試作

Tier1 Tier2

T/M試作

過去の知見から燃費検討

ポンプ仕様検討

METIモデルで燃費を計算

実機検証

T/M仕様決定

T/M仕様検討

T/M試作

Tier1

手戻り大

手戻り小

NG

OK

NG

OK

NG

ポンプ試作

Tier2

ポンプ仕様検討

NG

手戻り小

手戻り大

Page 39: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

その他の社社間活用イメージ

16

No タイトル(≒目的) 内容(≒効果) 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

10トランスミッションの伝達効率向上が車両燃費へ与える影響検討

オイルポンプの性能、オイルポンプのオンデマンド運転、ベアリング・ベルト材質等の変更が車両燃費に与える影響を検討できる

Tier1 ○ ◎ ○

11可変・電動エンジンオイルポンプ開発におけるI/F開発工数削減

OEMが作成した車両モデルにおけるクランク軸とエンジンオイルポンプのI/Fが共通化されることで、サプライヤは車両モデルで仕様案を検証できると共に、他のOEMへ容易に提案できる

Tier1 ○ ◎

12トルクコンバータのイナーシャとダンピング性能が車両動力性能と燃費へ与える影響検討

トルクコンバータのイナーシャ低減で加速応答性を向上させつつ、ダンピング性能向上で車両燃費を向上させるトルコンを開発できる

Tier1 ○ ◎

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誰でも使える車両モデルへのアプローチ

1. ユースケース作成範囲

誰でも使える車両モデル

METIモデル活用ユースケース

METIモデル拡張(2.0以降)

METIモデル1.0

国際連携の方向性

ツールソフトの選定

ガイドライン準拠モデルの利用

海外メーカーとの連携

社内活用

社社間活用

昨年の合意事項 17

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METIモデル2.0以降のユースケース案

18

No タイトル 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

13パワエレ系部品との関係性を踏まえた最適なDCDCコンバータ仕様検討

サプライヤ ○ ◎

14パワエレ系部品との関係性を踏まえた最適な充電器仕様検討

サプライヤ ○ ◎

15自動車の高度IT化に対するオルタネータ・バッテリー開発への活用

自動車OEM ◎ ○

16 トルクコンバータの減衰特性が車両燃費へ与える影響検討

自動車OEM ◎ ○

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対象 サプライヤ (Tier1→OEM) 対象システム DCDCコンバータ

目的 車両モデルで走行に必要なパワエレ系部品の定格出力、電流電圧、最大出力等を入力として、最適なDCDCコンバータ仕様を明確化

効果

共通

①性能/コスト、バランスの取れた製品設計 ②試作数の削減③モデル流通における準備工数の低減 ④課題の原因特定の簡易化

特有

車両状態が明確になることで、DCDC部品の使用範囲(電流・電圧・温度条件、及び複数の組み合わせ)が明確になり、効率の最適化と劣化の検証が可能に

Before After

状況

DCDC仕様検討の段階では、走行条件を考慮した検討が難しい

DCDC仕様検討の段階で、走行条件まで考慮した検討が可能

プロセス

13.パワエレ系部品との関係性を踏まえた最適なDCDCコンバータ仕様検討

19

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎

METI モデルの活用プロセス

高圧電圧システム部拡張

高圧充電システム

電圧変換システム

電圧変換

電圧V1

電流I1

電気E1

電流値算出

低圧充電システム電圧V2

電流I2

電気E2

DCDCの仕様決定

DCDC仕様検討

実機検証

試作

過去の知見から使用範囲を推定

METIモデルで使用範囲を考慮

DCDCの仕様決定

DCDC仕様検討

試作

実機検証

手戻り大

手戻り小

NG

OK

Tier1OEM Tier1OEM

車両モデルと走行条件の提供

走行条件の提供

NG

OK

Page 43: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

対象 サプライヤ (Tier1→OEM) 対象システム 充電器

目的 車両モデルで走行に必要なバッテリー容量、定格出力、電圧、最大出力を求め、最適な充電器仕様を明確化する

効果

共通

①性能/コスト、バランスの取れた製品設計 ②試作数の削減③モデル流通における準備工数の低減 ④課題の原因特定の簡易化

特有

開発前に、充電器の性能目標が明確になり、メカ・ソフト設計が互いに理解しながら、最適な仕様設計を進めることが出来る

Before After

状況

走行条件を考慮した充電器仕様を試作前に検討することが難しい

試作前に走行条件を考慮した充電器仕様が検討可能

プロセス

14.パワエレ系部品との関係性を踏まえた最適な充電器仕様検討

20

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ○ ◎

METI モデルの活用プロセス

高圧電圧システム部拡張

外部電源

充電器システム

電圧変換

電圧V1

電流I1

電気E1

電流値算出

高電圧バッテリ電圧V2

電流I2

電気E2

充電器の仕様検討

実機検討

走行条件から必要要件を推定

試作

METIモデルで走行条件を考慮した

検討

実機検証

試作

充電器の仕様決定

手戻り小手

戻り大

Tier1OEM Tier1OEM

充電器の仕様検討

充電器の仕様決定

走行条件の提供

車両モデルと走行条件の提供

NG

OK

NG

OK

Page 44: 平成 29 年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に ...平成29年度経済産業省委託業務 平成29年度製造基盤技術実態等調査 (モデルベース開発に係る

対象 サプライヤ (Tier1⇔OEM) 対象システム オルタネータ・バッテリ

目的 自動車の高度IT化、電費要求への対応

効果

共通①モデル流通における準備工数の低減 ②試作数の低減③サプライヤ部品への影響、見える化

特有 急速に進む車のデジタル化に対する素早い対応

Before After

状況

サプライヤは、OEMの要求仕様に沿って部品を開発し実機での摺合せ

OEM・サプライヤ間でのVirtual摺合せが可能となり、実機レスで最適開発

プロセス

15.自動車の高度IT化に対するオルタネータ・バッテリ開発への活用

21

活用方法 メリット享受者

社内 社社間 OEM Tier1 Tier2

○ ◎ ○

METI モデルの活用プロセス

部品

センサアクチュエータ演算ユニット

部品

オルタネータ

バッテリ

機能

走り

燃費製品化

実車検証

部品毎の要求仕様を検討

車両試作

電費の見積り

部品を納入

METIモデルで電費計算

モデルを納入

手戻り小手

戻り大

サプライヤ AOEM サプライヤ B

部品Aの仕様検討

部品Bの仕様検討

製品化

実車検証

部品毎の要求仕様を検討

車両試作

サプライヤ AOEM サプライヤ B

部品Aの仕様検討

部品Bの仕様検討

NG

OK

NG

OK

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その他のMETIモデル2.0以降のユースケース案

22

No タイトル(≒目的) 内容(≒効果) 活用主体メリット享受者

OEM Tier1 Tier2

16トルクコンバータの減衰特性が車両燃費へ与える影響検討

トルクコンバータの減衰特性向上で、エンジン回転数を下げる検討ができ、ダウンスピーディングによる燃費向上や過給運転や減筒運転時のNV改善を検討できる

OEM ◎ ○