数値制御工作機械の 送り駆動系運動シミュレータ 42 825 z 57 444 c187 263 f133...
TRANSCRIPT
1
数値制御工作機械の送り駆動系運動シミュレータ
研究者:東京農工大学 大学院共生科学技術研究院
助手 佐 藤 隆 太
教授 堤 正 臣
2
技術の背景
数値制御工作機械http://www.makino.co.jp/
自動車部品,航空機部品,金型etcの生産には必要不可欠
要求精度
機械部品 ⇒ 10 µmプレス成型用金型 ⇒ 5 µmプラスチック成型用金型 ⇒ 1 µm
母なる機械(マザーマシン)
3
数値制御工作機械における形状創成
NC装置 Servo motor
Servo amp.
サーボ系 X
A
Y
C
Z機械本体NCプログラム
各軸の指令値
各軸を駆動
所望の形状G90G40G80S1000G54G00X0.Y0. Z127.A0. C0.M09X0.Y-171.639 Z-70.039A-90. C178.48X5.769 Z-58.482Y-120.039G01 Z-61.657 F127X-6.983 Z-61.626 C179.029 F126X-12.9 Z-61.505 C179.694X-18.411 Z-61.316 C180.374X-23.819 Z-60.83 C181.693X-28.876 Z-60.394 C182.645X-33.819 Z-59.552 C184.183 F128X-38.419 Z-58.847 C185.3 F126X 42 825 Z 57 444 C187 263 F133
送り駆動系
4
送り駆動系
モータ
ボールねじ
Work table
Servo controller Feed drive mechanism
Servoamp.
Positioncontroller
Velocitycontroller
Referenceposition
送り駆動系の運動が製品に転写される
速度フィードバック
位置フィードバック
5
送り駆動系の運動精度に影響する因子
Servo controller Feed drive mechanism
Servoamp.
Positioncontroller
Velocitycontroller
数値制御工作機械 ⇒ 複数の送り駆動系を同期制御
送り駆動系ごとの特性の違いが精度に影響
質量,慣性剛性,摩擦
位置,角度センサの分解能
電流制限,モータの特性
コントローラの演算周期
位置コントローラ速度コントローラ
位置指令
6
従来技術とその問題点
数学モデルによるシミュレーション
・どのような数式でモデル化するのか?・モデルのパラメータはどのように決めるのか?
7
従来技術とその問題点
C軸C軸C軸C軸X軸
従来
試行錯誤
により調整 経験と勘,多くの時間
同期精度悪化
誰でも,短時間
同期精度向上C軸C軸C軸C軸
X軸制御系設計
特徴量を抽出(モデル化)
将来
1年かかったという話もある
8
新技術の要点
・ 実機の挙動を的確に表現できる送り駆動系の数学
モデルを開発.
・ その数学モデルのパラメータ同定方法と,自動同
定プログラムを開発.
・ 同期精度を向上できる制御系設計方法を開発.
操作性向上のためのGUIを試作
9
送り駆動系の数学モデル
ppK vpK DA rgT 11+sTf 1
1+sTa
viK1−zzTc
cTz 11 −−
−+
−+
++r
txmθ
mT
Controller
Motor and amp.
mθ
ml θπ2 tx
ic
tM
aKmJmT
bb fc ,
tt fc ,
Feed drive mechanism
運動に影響を及ぼす因子が考慮されている
10
パラメータ同定方法
同定が必要な未知パラメータ⇒ クーロン及び粘性摩擦,減衰係数,電流ループの時定数
クーロン及び粘性摩擦
⇒ 往復運動時のモータトルクから同定
減衰係数
⇒ 機構の周波数特性から同定
電流ループの時定数
⇒ ステップ応答の振動波形から同定
佐藤隆太,堤正臣:ACサーボモータと直動転がり案内を用いた送り駆動系の数学モデル,精密工学会誌,Vol.71,No.5,(2005),pp.633-638.
11
シミュレーション結果
0.5
1
1.5Di
splac
emen
t mm
0 0.05 0.1 0.15 0.2Time sec
Kpp=100
Kpp=200
0 0.002
0.0480.047
0.051
0.050
0.049X-axis m
Y-ax
is m
-0.002X-axis m
Y-ax
is m
コーナ部運動
1div.:10µm +X-X
+Y
-Y 円運動
ステップ応答
Experiment Simulation
実際の運動を正確にシミュレーションできている
12
Work table
Servo controller Feed drive mechanism
Servoamp.
Positioncontroller
Velocitycontroller
Referenceposition
制御系設計方法
位置制御系
速度制御系
ppK+- s
KK vivp +
+-
試行錯誤により調整されている
試行錯誤によらないサーボゲイン調整方法
13
送り駆動系のモデル
「部分的モデルマッチング法」
速度ループ比例ゲイン Kvp速度ループ積分ゲイン Kvi
速度制御系
速度制御系の周波数特性
位置ループ比例ゲイン Kpp 位置制御系
フィードフォワード補償器を設計
制御系設計方法
Kpp, Kvp, Kvi を代数計算のみで計算できる
14
LL ++++=
++++ 333
22210
33
221
11
1sσαsσασsααshshsh
制御系の伝達関数 参照モデル
連立方程式
サーボゲインを算出
・制御系の特性は参照モデルに支配される・代数計算によりサーボゲインを算出できる
※ 北森俊行:制御対象の部分的知識に基づく制御系の設計法,計測自動制御学会論文集,Vol.15,No.4 (1979) pp549-555.
部分的モデルマッチング法
15
この技術の効果多軸制御工作機械による翼形加工を例に検証
多軸制御工作機械
A軸C軸 インペラ
複雑な形状の加工では同期精度が大きな問題
翼形加工をシミュレーション(X,Z,Cの各軸が同時に運動)
16
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50-10
0
10
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
-50 -49-6
-5
-4
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
47 48 49
-6
-5
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
Referencepath
Reference path
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50-10
0
10
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
-50 -49-6
-5
-4
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
-50 -49-6
-5
-4
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
47 48 49
-6
-5
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
47 48 49
-6
-5
XT -axis mm
Z T -a
xis
mm
Referencepath
Reference path
① 従来の制御系
② 新技術を適用
①①
②
②
この技術の効果
17
送り駆動系シミュレータ
18
新技術の特徴・従来技術との比較
• 世界に先駆けて、送り駆動系の挙動を的確に表現できる数学モデルと,そのパラメータ同定方法を開発した.
• 従来試行錯誤により調整されてきた送り駆動系の制御器を,試行錯誤なしでシステマチックに調整する方法を開発した.
• 本技術の適用により,同時多軸制御加工時の精度を大幅に向上できる.
• パラメータ同定,サーボ調整,そして運動シミュレーションを,高度な専門知識がなくても可能とする送り駆動系シミュレータを開発した.
• シミュレーション結果と実加工結果とが完全一致する点で、技術的完成度、信頼性が高い.
19
想定される用途• 干渉チェック用ソフトに付加すれば、干渉の有無と加工精度
の同時確認が可能となる。
• 設計段階での送り駆動系の性能予測が可能になる.
• サーボゲインの調整現場に本技術を適用すれば,サーボゲインの調整に要する時間を大幅に短縮できる.
• 多軸制御工作機械のサーボゲインを本技術によって調整すれば,加工精度が大幅に向上する.
• CAMソフトから出力されるNCプログラムを使って運動シミュ
レーションを行えば,実際に加工を行わなくても加工精度を予測できる.
• また、送り駆動系メーカ及びユーザにおいて,技術者の教育に寄与することができる.
20
想定される業界
• 想定されるユーザー数値制御工作機械メーカ及びユーザ.
(国内約20社,海外約60社のメーカ及び数千のユーザ)
CAD/CAMソフトメーカとの提携.
半導体関係,搬送装置関係等,一般の送り駆動系メーカ及びユーザ.
• 想定される市場規模工作機械の売上げは年間約1兆円(日本),その約90%が数値制御工作機械.
工作機械ユーザは大手自動車メーカをはじめ多数.
機械系CAD/CAMソフトウェアの売上げは年間約1500億円.
21
実用化に向けた課題
• 現在,ソフトウェアとしては試作の段階であり,今後完成度を高めていく.
• 今後,3次元形状を実加工した場合との比較
実験を行い,シミュレーションの有効性を確認する.
• 実用化に向けて,多数の送り駆動系に本技術を適用し,実証試験を行う必要がある.
22
企業への期待
• ソフトウェアの共同開発または既存のCAD/CAMシステムへの組込み(ソフトウェア,CAD/CAMベンダ).
• 送り駆動系設計現場への試験的な導入または新入社員教育用としての導入(工作機械メーカ,機械要素部品メーカ).
• 数学モデル及び制御系設計法に関する共同研究(工作機械メーカ,NCメーカ).
23
本技術に関する知的財産権1件目• 発明の名称 :サーボゲイン算出方法,サーボゲイン算
出プログラム及びサーボゲイン算出装置• 出願番号 :特願2005-099831• 出願人 :東京農工大学• 発明者 :佐藤隆太,井出裕,堤正臣
2件目• 発明の名称 :位置制御装置• 出願番号 :特願2005-261795• 出願人 :東京農工大学• 発明者 :佐藤隆太,井出裕,堤正臣
3件目• 発明の名称 :多軸制御工作機械の送り駆動系用最適設計支援装置およびその
プログラム• 出願番号 :特願2006-284186• 出願人 :東京農工大学• 発明者 :佐藤隆太,在原広敏,堤正臣