ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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ミニ経済分析URLhttp://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-1.html 各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化 2016年10月

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Economy & Finance


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Page 2: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

はじめに

• 日本の産業経済の課題として注目を浴びる「労働生産性」

• 今回は、毎月作成している全産業活動指数、第3次産業(サービス)活動指数、鉱工業生産指数、建設業活動指数と労働力調査を用いて、簡易的に「労働生産性の変化」を計測

• 今回の分析では、2010年=100とする、労働生産性「指数」として、年単位の変化を確認

1

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2

全産業の労働生産性

• 全産業の労働生産性は、2009年のリーマンショック時に大きく低下。その後、緩やかに上昇し、ここ数年は横ばい圏で推移。ただし、水準としてはリーマンショック前の水準に届かない。

(資料)経済産業省「全産業活動指数(IAA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 全産業の労働生産性=全産業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※3 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しないため、 労働生産性の算出で分母となる労働投入量が過小となっており、2011年の労働生産性が高めに出ている可能性が高い点に留意が必要。

102.4

103.4

104.7 103.8

96.9

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103.9

100.6

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(2010年=100)

(年)

全産業

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全産業の労働生産性関連データ

(資料)経済産業省「全産業活動指数(IAA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※2 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

• 全産業活動指数は、4年連続の上昇となっているが、リーマンショック前の水準には届いていない。

• 雇用者数は上昇、平均労働時間数は低下となっており、労働投入量は、横ばいから微増へ。

90

95

100

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

全産業活動指数 雇用者数 平均労働時間数 労働投入量

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4

サービス、製造業、建設業の労働生産性

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、「第3次産業活動指数(ITA)」、「全産業活動指数(IAA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 サービスとは、労働力調査のうち、全産業から鉱業,採石業,砂利採取業、建設業、製造業、公務、分類不能な産業を除いた業種と定義している。 ※2 労働生産性の算出式は以下のとおり。 製造業の労働生産性=鉱工業生産指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 サービスの労働生産性=第3次産業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 建設業の労働生産性=建設業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※3 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※4 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しないため、 労働生産性の算出で分母となる労働投入量が過小となっており、2011年の労働生産性が高めに出ている可能性が高い点に留意が必要。

• サービスの生産性では、相対的にリーマンショックの影響は小さかったが、足下ではそれ以前の水準に戻り切れていない。

• 製造業の労働生産性は、リーマンショック時に大きく低下した後、ほぼ元の水準へ。

• 建設業の生産性は、2013年に大きく上昇し、その高いレベルが続いている。

99.4 100.1

103.1 101.4

87.2

100.0

101.9

98.9

98.5

101.4 100.4

104.5 104.4 106.1

104.3

99.7

100.0

104.3

100.9

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100.0 101.5

97.4

100.0

100.4 100.0

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109.0 108.8 110.3

85

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

製造業 サービス 建設業

Page 6: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1サービスとは、労働力調査のうち、全産業から鉱業,採石業,砂利採取業、建設業、製造業、公務、分類不能な産業を除いた業種と定義している。 ※2 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※3 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

サービスの労働生産性関連データ • サービスの労働生産性と第3次産業活動指数は、近い動きをしているものの、足下は労働

生産性は低下、第3次産業活動指数は上昇と、両者の動きが若干異なっている。

• 雇用者数は上昇傾向が続いている一方、平均労働時間は足下で明確に低下している。

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

第3次産業活動指数 雇用者数 平均労働時間数 労働投入量

98

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

労働生産性(サービス)

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製造業の労働生産性関連データ

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※2 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

• 製造業の労働生産性は、リーマンショック時に大きく低下した後、ほぼ水準を回復。

• 鉱工業生産指数は、リーマンショック前の水準には届かず、2010年以降は概ね横ばい圏の推移。雇用者数は横ばい、平均労働時間数は小幅な低下傾向。

85

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

労働生産性(製造業)

80

90

100

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

鉱工業生産指数 雇用者数 平均労働時間数 労働投入量

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建設業の労働生産性関連データ

(資料)経済産業省「全産業活動指数(IAA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※2 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

• 建設業の労働生産性は、2013年に急上昇し、足下でも高い水準を維持。

• 建設業活動指数は、2013年以降高い水準で推移。一方、雇用者数、平均労働時間数は低下しており、労働投入量は低下傾向。

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

建設業活動指数 雇用者数 平均労働時間数 労働投入量

90

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

労働生産性(建設業)

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サービス(第3次産業)の 内訳業種別の動き

8

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9

2015年の業種別労働生産性(サービス;2010年比)

(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 サービスの労働生産性=第3次産業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。

• 2015年におけるサービスの労働生産性は、2010年比で+2.7%と上昇。

• この中で不動産業,物品賃貸業等は全体を押し下げたものの、金融業,保険業や電気・ガス・熱供給・水道業等が全体を押し上げ、全体としては上昇となった。

▲ 30.0

▲ 7.0 ▲ 4.8 ▲ 3.4 ▲ 1.2

0.5 2.7 4.5 4.5 10.5 10.8 11.5

18.0 23.9

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

複合サービス事業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・

技術サービス業

医療,福祉

卸売業,小売業

学習支援業

第3次産業総合

情報通信業

生活関連サービス業,娯楽業

宿泊業,飲食サービス業

運輸業,郵便業

電気・ガス・熱供給・水道業

その他サービス業

(公務等を除く)

金融業,保険業

対2010年比(%)

▲ 30.0

▲ 7.0 ▲ 4.8 ▲ 3.4 ▲ 1.2

0.5 2.7 4.5 4.5 10.5 10.8 11.5

18.0 23.9

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

複合サービス事業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・

技術サービス業

医療,福祉

卸売業,小売業

学習支援業

第3次産業総合

情報通信業

生活関連サービス業,娯楽業

宿泊業,飲食サービス業

運輸業,郵便業

電気・ガス・熱供給・水道業

その他サービス業

(公務等を除く)

金融業,保険業

対2010年比(%)

Page 11: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

10

労働生産性の変化要因(サービス;2010年比) • 2015年におけるサービスの労働生産性をみると、最も大きな上昇幅となった金融業,保

険業は、労働投入要因・活動要因がともに押し上げた。

• 他方、電気・ガス・熱供給・水道業は、労働投入要因の大幅な押し上げが活動要因の下押し分を吸収し、全体としては上昇となった。

(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 サービスの労働生産性=第3次産業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働生産性の要因分解は、第3次産業活動指数の動きを「活動要因」、雇用者数と平均労働時間数の動きを「労働投入要因」として算出。 ※3 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

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複合サービス事業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・

技術サービス業

医療,福祉

卸売業,小売業

学習支援業

第3次産業総合

情報通信業

生活関連サービス業,娯楽業

宿泊業,飲食サービス業

運輸業,郵便業

電気・ガス・熱供給・水道業

その他サービス業

(公務等を除く)

金融業,保険業

対2010年比(%) 労働投入要因 活動要因 労働生産性

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

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複合サービス事業

不動産業,物品賃貸業

学術研究,専門・

技術サービス業

医療,福祉

卸売業,小売業

学習支援業

第3次産業総合

情報通信業

生活関連サービス業,娯楽業

宿泊業,飲食サービス業

運輸業,郵便業

電気・ガス・熱供給・水道業

その他サービス業

(公務等を除く)

金融業,保険業

対2010年比(%) 労働投入要因 活動要因 労働生産性

Page 12: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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【参考】金融業,保険業と電気・ガス・ 熱供給・水道業の労働生産性関連データ

(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※2 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

金融業,保険業 電気・ガス・熱供給・水道業

90

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

第3次産業活動指数 雇用者数

労働時間数

80

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

第3次産業活動指数 雇用者数

労働時間数

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設備型・人手型サービスの労働生産性 • 設備型サービスの労働生産性は、2013年をピークに2014年、2015年と低落。

• 人手型サービスの労働生産性は、2012年から2013年にかけて上昇したものの、それ以降はほぼ横ばいに近い。

• この結果、両サービスの生産性の基準年から2015年の伸びは3%ほどと同じ程度。

(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 サービスの労働生産性=第3次産業活動指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働投入量の算出にあたり、設備型サービスとは「電気・ガス・熱供給・水道業」及び「情報通信業」、人手型サービスとはそれ以外の業種の合算を指す。 ※3 業種分類変更によるデータ制約のため、2009年以降のみとしている。 ※4 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しないため、 労働生産性の算出で分母となる労働投入量が過小となっており、2011年の労働生産性が高めに出ている可能性が高い点に留意が必要。

101.3

100.0

108.2

106.1

108.1

105.9

103.2

99.4 100.0

104.1

100.8

103.1 103.1 102.7

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

設備型サービス 人手型サービス

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設備型・人手型サービスの推移

(資料)経済産業省「第3次産業活動指数(ITA)」 ※ 業種分類変更によるデータ制約のため、2009年以降のみとしている。

• 人手型サービスの活動は、概ね上昇傾向ではあったが、2014年に前年より低下していることが目立つ。

• 設備型サービスの活動は、一環して緩やかな上昇傾向が続いた。

99.1 100.0

99.6

101.1 101.5

102.3 102.9

98.9

100.0 100.2

102.1

103.0

102.3

103.3

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100

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2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

設備型サービス 人手型サービス

Page 15: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

製造業(鉱工業)の 内訳業種別の動き

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Page 16: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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2015年の業種別労働生産性(製造業;2010年比)

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 製造業の労働生産性=鉱工業生産指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。

• 2015年における製造業の労働生産性は、2010年比で+0.4%と小幅な上昇にとどまる。

• この中でも全体の足を引っ張ったのが、情報通信機械工業と輸送機械工業等。反対に全体を牽引したのは、電子部品・デバイス工業、繊維工業等。

▲ 30.5

▲ 16.6 ▲ 16.5 ▲ 9.7 ▲ 9.2 ▲ 6.3 ▲ 5.5

▲ 0.3

0.4 1.4 2.1 2.9 3.2 7.1

14.3 15.2 20.9

25.3

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

情報通信機械工業

輸送機械工業

鉄鋼業

化学工業

プラスチック製品工業

石油・石炭製品工業

金属製品工業

鉱業

鉱工業

食料品・たばこ工業

その他工業

非鉄金属工業

電気機械工業

窯業・土石製品工業

パルプ・紙・紙加工品工業

はん用・生産用・業務用機械工業

繊維工業

電子部品・デバイス工業

対2010年比(%)

▲ 30.5

▲ 16.6 ▲ 16.5 ▲ 9.7 ▲ 9.2 ▲ 6.3 ▲ 5.5

▲ 0.3

0.4 1.4 2.1 2.9 3.2 7.1

14.3 15.2 20.9

25.3

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

情報通信機械工業

輸送機械工業

鉄鋼業

化学工業

プラスチック製品工業

石油・石炭製品工業

金属製品工業

鉱業

鉱工業

食料品・たばこ工業

その他工業

非鉄金属工業

電気機械工業

窯業・土石製品工業

パルプ・紙・紙加工品工業

はん用・生産用・業務用機械工業

繊維工業

電子部品・デバイス工業

対2010年比(%)

Page 17: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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労働生産性の変化要因(製造業;2010年比)

• 2015年における製造業の労働生産性をみると、最も大きな減少幅となった情報通信機械工業は、労働投入要因が押し上げ方向に寄与したものの、生産要因の低下が大きく、全体としては大幅な低下となった。他方、輸送機械工業は労働投入要因が全体を押し下げた。

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働生産性の算出式は以下のとおり。 製造業の労働生産性=鉱工業生産指数/(雇用者数×1人あたり月末1週間の平均労働時間数)×100 ※2 労働生産性の要因分解は、鉱工業生産指数の動きを「生産要因」、雇用者数と平均労働時間数の動きを「労働投入要因」として算出。 ※3 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。

▲ 70

▲ 60

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

情報通信機械工業

輸送機械工業

鉄鋼業

化学工業

プラスチック製品工業

石油・石炭製品工業

金属製品工業

鉱業

鉱工業

食料品・たばこ工業

その他工業

非鉄金属工業

電気機械工業

窯業・土石製品工業

パルプ・紙・紙加工品工業

はん用・生産用・

業務用機械工業

繊維工業

電子部品・デバイス工業

対2010年比(%) 労働投入要因 生産要因 労働生産性

▲ 70

▲ 60

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

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情報通信機械工業

輸送機械工業

鉄鋼業

化学工業

プラスチック製品工業

石油・石炭製品工業

金属製品工業

鉱業

鉱工業

食料品・たばこ工業

その他工業

非鉄金属工業

電気機械工業

窯業・土石製品工業

パルプ・紙・紙加工品工業

はん用・生産用・

業務用機械工業

繊維工業

電子部品・デバイス工業

対2010年比(%) 労働投入要因 生産要因 労働生産性

Page 18: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

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【参考】情報通信機械工業と輸送機械工業の 労働生産性関連データ

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、総務省統計局「労働力調査結果」 ※1 労働力調査は、全国約4万世帯(15歳以上の約10万人)が調査対象。 ※2 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しない。

情報通信機械工業 輸送機械工業

50

60

70

80

90

100

110

120

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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

鉱工業生産指数 雇用者数

労働時間数

70

80

90

100

110

120

130

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

鉱工業生産指数 雇用者数

労働時間数

Page 19: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

加工型業種と素材型業種の労働生産性

18

• 加工型業種の生産性は、リーマンショック時に特に大きく低下。一旦は回復するものの、2013年まで低下し、2014年の上昇後、足下は横ばい。

• 素材型業種の生産性は、比較的リーマンショックの影響は小さく、以前よりも若干高い水準で推移。

95.7

99.7

115.9

111.5

81.4

100.0 99.7

96.8 94.8

100.0 100.4 97.6

96.2

100.0 98.6

90.5

100.0

105.5

102.7 104.6 104.5

101.2

75

80

85

90

95

100

105

110

115

120

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

加工型業種 素材型業種

(資料)経済産業省「鉱工業生産指数(IIP)」 ※1 「加工型業種」は、はん用・生産業・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業、輸送機械工業を合算。 ※2 「素材型業種」は、鉄鋼業、非鉄金属工業、化学工業、窯業・土石製品工業、パルプ・紙・紙加工品工業、繊維工業を合算。 ※3 労働力調査は東日本大震災の影響で、2011年3月~2011年8月までの結果について、岩手県、宮城県、福島県のデータが存在しないため、 労働生産性の算出で分母となる労働投入量が過小となっており、2011年の労働生産性が高めに出ている可能性が高い点に留意が必要。

Page 20: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

19

加工型業種と素材型業種の推移

• 加工型業種は、リーマンショック時に3割以上低下、水準は戻っていないが、2014年から若干生産水準が上がっている。

• 素材型業種は、比較的リーマンショックの影響は小さかったが、2010年から一環して緩やかな低下傾向。

108.6

114.7

119.5

114.2

80.6

100.0 96.7

98.0

96.3

100.6 99.6 107.7 108.9 109.9

105.7

89.7

100.0 98.2

97.1

97.7

97.6 96.6

70

80

90

100

110

120

130

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

加工型業種 素材型業種

(資料)経済産業省「鉱工業生産指数(IIP)」 ※1 「加工型業種」は、はん用・生産業・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業、輸送機械工業を合算。 ※2 「素材型業種」は、鉄鋼業、非鉄金属工業、化学工業、窯業・土石製品工業、パルプ・紙・紙加工品工業、繊維工業を合算。

Page 21: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

90.6

100.0

97.9

99.2 99.9

101.6

99.9 100.0

100.0

99.6

96.0 96.8

94.9 95.1

86

88

90

92

94

96

98

100

102

104

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(2010年=100)

(年)

製造業 サービス

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【参考】製造業とサービスの労働生産性 (毎月勤労統計調査ベース)

(資料)経済産業省「鉱工業指数(IIP)」、「第3次産業活動指数(ITA)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」 ※1 サービスとは、毎月勤労統計調査のうち、全産業から鉱業,採石業,砂利採取業、建設業、製造業、公務、分類不能な産業を除いた業種と定義している。 ※2 労働生産性の算出式は以下のとおり。 製造業の労働生産性=鉱工業生産指数/(常用雇用者数×1人あたり労働時間数)×100 サービスの労働生産性=第3次産業活動指数/(常用雇用者数×1人あたり労働時間数)×100 ※3 常用雇用者数と1人あたり労働時間数は、ともに常時5人以上を雇用する事業所ベース。 ※4 毎月勤労統計調査は年報ベース。2015年は原表から積み上げて合算。

Page 22: ミニ経済分析「各種指数で計測した 業種別労働生産性の変化」

まとめ

• 全産業、サービス、製造業、建設業の労働生産性の変化をみると、特に建設業の労働生産性が、近年大きく上昇している。

• サービスの労働生産性をみると、2010年比では「金融業,保険業」で活動要因(アウトプット)、労働投入要因(インプット)ともに生産性を押し上げる方向に寄与。

• 他方、「電気・ガス・熱供給・水道業」では活動要因が明確に低下し、労働投入要因の大幅上昇によって労働生産性が改善。

• 製造業の労働生産性では、2010年比で「情報通信機械工業」の生産性が大幅低下。そこでは、生産要因(アウトプット)が急落し、同時に、労働投入量の低下では補えず、労働生産性が大きく低下。

• 「電子部品・デバイス工業」は、生産性が大きく改善しており、製造業の生産性向上の牽引役となっている。

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