上手 公的援助を受けるとは? パーキンソン病と 常生活機能障害 … ·...

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【参考情報】全国パーキンソン病友の会事務局 TEL 03-5318-3075 FAX 03-5318-3077 ホームページアドレス http://www.jpda-net.org パーキンソン病と診断された患者さんが、申請の上認定されると公費助成、介護保 険、身体障害者認定や公的サービスが受けられます。ひとりで悩まず、各市区町村 の担当窓口に問い合わせてみましょう。また全国パーキンソン病友の会では、医療 情報の発信を行っており、さらに患者さんや家族の相談事にも応じます。

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公的援助を受ける目安とは? パーキンソン病と

上手につき合うには

パーキンソン病は重症度によって公的援助がうけられます。目安となるのはヤール重症度と日

常生活機能障害度です。ヤール重症度が3度以上で、日常生活機能障害度が2度以上にな

ると特定疾患医療費助成制度の認定を受けることができます。また、65歳未満でも40歳以

上なら介護保険の対象となり、障害の程度により身体障害者認定も受けられます。

stage1 stage1

stage2

stage2

stage3

stage3

stage4

stage5

ヤール重症度 日常生活機能障害度

1度 1度

2度

2度

3度

3度

4度

5度

リハビリテーション花の舎病院

院長

一般社団法人 パーキンソン病治療研究所

理事長

近藤 智善

先生

監 修

【参考情報】全国パーキンソン病友の会事務局TEL 03-5318-3075 FAX 03-5318-3077 ホームページアドレス http://www.jpda-net.orgパーキンソン病と診断された患者さんが、申請の上認定されると公費助成、介護保険、身体障害者認定や公的サービスが受けられます。ひとりで悩まず、各市区町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。また全国パーキンソン病友の会では、医療情報の発信を行っており、さらに患者さんや家族の相談事にも応じます。

※詳しくは各市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

2015年3月作成ALL-P-53(2)

パーキンソン病ってどんな病気ですか?

パーキンソン病の主な症状とは?

パーキンソン病は、脳のある領域の神経細胞内などに

「レビー小体」という特殊な構造物が現れることで、脳内伝

達物質の「ドパミン」が減り、脳からの指令がうまく体に伝

わらなくなる病気です。思うように体が動かせない、思考の

低下、便秘、発汗異常などのさまざまな症状が現れます。

重症度が高い場合は、国の指定難病(厚生労働省特定

疾患)に認定され、公費助成を受けることができます。

静止状態での手足のふるえ(安静時振戦)

パーキンソン病の発症のピークは60歳代から。高齢化に伴って増えています。

日本国民の1,000人に1人はパーキンソン病患者です。

主な発症年齢は50歳代~60歳代(20歳代~40歳代で発症することも)です。

発症後15年~20年間は病気のコントロールが可能です。

パーキンソン病

パーキンソン病のいわれパーキンソン病という病名は、1800年代初頭、その症状に注目して論文を発表したジェームズ・パーキンソン氏に由来しています。発表当時は注目されませんでしたが、数十年後にフランスの神経学者ジャン・マルタン・シャルコー氏が論文の価値を見出し、「パーキンソン病」と名づけて、広く世に知らしめました。ちなみに、パーキンソン病の症状そのものは意外に古くから知られており、14~16世紀のルネッサンスを代表する万能の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチも、書物に記載しています。

じっとしているときや力を抜いているとき、自然とふるえてくるのが特徴。病気が進むとふるえる時間や範囲が広がっていきます。

動きがゆっくりになる(動作緩慢、無動)動作がおそく、少なくなり、顔も無表情になります。だ液のえん下回数が減るためよだれが出ます。歩き始めや方向転換するときなどに足がすくんでしまう「すくみ足」もよく見られる症状です。

バランスがうまくとれない(姿勢保持障害、姿勢反射障害)体のバランスがとりにくくなって転びやすくなります。歩行も前のめりに歩幅が小刻みになります。

筋肉のこわばり(筋固縮・筋強剛)肩・膝・指などの関節が固くなり、動かしづらくなります。

気分の落ち込みや注意力の低下(精神症状)

うまく眠れない(睡眠障害)

便秘・頻尿・立ちくらみなど(自律神経系の症状)

においを感じにくい(嗅覚障害)

◉ 主要な傷病の総患者数

胃がん

大腸がん

パーキンソン病

アルツハイマー病

高血圧性疾患

虚血性心疾患

脳血管疾患

186,000人

233,000人

141,000人

366,000人

9,067,000人

1,612,000人

1,235,000人

「平成23年厚生労働省調べ」より一部抜粋

運動に現れる症状

運動以外に現れる症状

気分が落ち込んでしまう抑うつ症状、意欲の低下や、考えがまとまらなくなり注意力が低下するといった症状、病気が進行すると認知障害が生じることも。

なかなか眠れない・いったん眠っても途中で目が覚めてしまうといった「不眠」の人と、日中も強い眠気を感じて寝てしまう「過眠」の人、両方の症状が見られます。

病気のせいで自律神経の働きが低下し、便秘・頻尿・立ちくらみなどの症状が現れることも。その他、手足の冷え・むくみなどの症状が出ることもあります。

嗅覚に関わる脳の一部分が、病気によって障害されて生じる症状。患者さんの7割程度に現れますが、自覚症状は乏しいのが特徴です。

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パーキンソン病ってどんな病気ですか?

パーキンソン病の主な症状とは?

パーキンソン病は、脳のある領域の神経細胞内などに

「レビー小体」という特殊な構造物が現れることで、脳内伝

達物質の「ドパミン」が減り、脳からの指令がうまく体に伝

わらなくなる病気です。思うように体が動かせない、思考の

低下、便秘、発汗異常などのさまざまな症状が現れます。

重症度が高い場合は、国の指定難病(厚生労働省特定

疾患)に認定され、公費助成を受けることができます。

静止状態での手足のふるえ(安静時振戦)

パーキンソン病の発症のピークは60歳代から。高齢化に伴って増えています。

日本国民の1,000人に1人はパーキンソン病患者です。

主な発症年齢は50歳代~60歳代(20歳代~40歳代で発症することも)です。

発症後15年~20年間は病気のコントロールが可能です。

パーキンソン病

パーキンソン病のいわれパーキンソン病という病名は、1800年代初頭、その症状に注目して論文を発表したジェームズ・パーキンソン氏に由来しています。発表当時は注目されませんでしたが、数十年後にフランスの神経学者ジャン・マルタン・シャルコー氏が論文の価値を見出し、「パーキンソン病」と名づけて、広く世に知らしめました。ちなみに、パーキンソン病の症状そのものは意外に古くから知られており、14~16世紀のルネッサンスを代表する万能の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチも、書物に記載しています。

じっとしているときや力を抜いているとき、自然とふるえてくるのが特徴。病気が進むとふるえる時間や範囲が広がっていきます。

動きがゆっくりになる(動作緩慢、無動)動作がおそく、少なくなり、顔も無表情になります。だ液のえん下回数が減るためよだれが出ます。歩き始めや方向転換するときなどに足がすくんでしまう「すくみ足」もよく見られる症状です。

バランスがうまくとれない(姿勢保持障害、姿勢反射障害)体のバランスがとりにくくなって転びやすくなります。歩行も前のめりに歩幅が小刻みになります。

筋肉のこわばり(筋固縮・筋強剛)肩・膝・指などの関節が固くなり、動かしづらくなります。

気分の落ち込みや注意力の低下(精神症状)

うまく眠れない(睡眠障害)

便秘・頻尿・立ちくらみなど(自律神経系の症状)

においを感じにくい(嗅覚障害)

◉ 主要な傷病の総患者数

胃がん

大腸がん

パーキンソン病

アルツハイマー病

高血圧性疾患

虚血性心疾患

脳血管疾患

186,000人

233,000人

141,000人

366,000人

9,067,000人

1,612,000人

1,235,000人

「平成23年厚生労働省調べ」より一部抜粋

運動に現れる症状

運動以外に現れる症状

気分が落ち込んでしまう抑うつ症状、意欲の低下や、考えがまとまらなくなり注意力が低下するといった症状、病気が進行すると認知障害が生じることも。

なかなか眠れない・いったん眠っても途中で目が覚めてしまうといった「不眠」の人と、日中も強い眠気を感じて寝てしまう「過眠」の人、両方の症状が見られます。

病気のせいで自律神経の働きが低下し、便秘・頻尿・立ちくらみなどの症状が現れることも。その他、手足の冷え・むくみなどの症状が出ることもあります。

嗅覚に関わる脳の一部分が、病気によって障害されて生じる症状。患者さんの7割程度に現れますが、自覚症状は乏しいのが特徴です。

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パーキンソン病の治療とは?パーキンソン病の治療は薬によるものが中心です。近年、新しい

タイプの薬が続 と々登場して治療の選択肢は大幅に広がりまし

た。難病指定されているパーキンソン病ですが、多彩な薬の組

み合わせで、症状を軽くし天寿がまっとうできるようになってきています。

パーキンソン病治療に欠かせないレボドパ製剤(L-ドパ)は大変効果的な薬ですが、病気が進行してくるとこの

薬の欠点が目立つようになります。かつてはL-ドパが神経に毒素として作用するという仮説もあり、使用開始時

期はできるだけ遅い方がよいとされていました。しかし、いくつかの臨床報告でその仮説は否定され、L-ドパの

欠点を補う薬が登場したことなどもあり、「レボドパ製剤の使用開始は遅い方がよい」という考え方は改められま

す。最近では早い段階からレボドパ製剤を始めとした、薬による治療を積極的に行うことがよいとされています。

ここ数年で、パーキンソン病の治療薬には次 と々新しいものが登場してきています。

ここの何年かで様変わりした治療薬の使い方

よく使われるパーキンソン病の薬

新しい治療薬の登場

薬以外の治療方法

薬の影響による「病的賭博」や「買い物依存」ドパミン受容体作動薬には、衝動的に沸いてくる欲望を抑えることのできない「衝動性調節障害」という副作用が見られることがあります。男性に多くみられるのが「病的賭博」といわれるギャンブル依存。もともとやらなかった人が突然ギャンブルにのめりこみ、家庭問題や社会問題に発展することもあります。その他、買い物依存や極端な性欲亢進が見られる場合もあります。

レボドパ製剤(L-ドパ) ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)

MAO-B阻害剤(セレギリン)コムト阻害剤(エンタカポン)

アデノシン拮抗薬(イストラデフィリン)

抗コリン作動薬

アマンタジン塩酸塩抗けいれん剤(ゾニサミド)●ドパミンを効率的に脳内に運ぶため、異なる効果を持つ複数の薬を1つに配合した薬

●アデノシン受容体を遮断し、ドパミンの減少で生じた異常な神経伝達物質の放出を抑え、症状を軽くする薬

●皮膚からの吸収効率がよく、血中濃度が一定に保たれるパッチ製剤(皮膚に貼り付けるタイプの薬)

●レボドパ製剤の服用時、急に薬の効果がなくなってしまうオフ症状を一時的に改善させる注射薬

●24時間かけて有効成分が放出され、薬の血中濃度が下がりにくい薬(徐放錠)

●新しい手術療法「DBS手術」 ●リハビリ療法症状の日内変動が激しい人やふるえの強い人、薬の効果の変動によってあらわれる筋硬直や不随意運動を抑えるため、脳内に電極を埋めこんで電気刺激を与えつらい症状を軽減させる手術療法。

運動機能が障害されることで生じる筋力の低下を抑えるためのエクササイズ。できるだけ早い段階からリハビリを行うのが望ましいといえます。

パーキンソン病治療で中心的に使われている薬。減少してしまったドパミンを補充する役目をします。病気が長くなり進行してくると、薬の効果が短くなってしまう「ウェアリング・オフ(P.5参照)」や、体が勝手に動いてしまう「ジスキネジア」という副作用が生じることがあります。

脳内のドパミンは、酵素の働きによって分解されます。この酵素を「モノアミン酸化酵素(MAO)」といいます。MAO-B阻害剤は、B型MAOの働きを妨げてドパミンの分解を食い止め、その減少を抑える役目をします。単独でも有効ですが、レボドパ製剤の補助薬として使われることの多い薬です。

ドパミンが不足すると、それを受ける神経路の一部が異常興奮します。アデノシン拮抗薬はその異常興奮による神経伝達の放出を抑え運動機能を改善させます。この薬には、ウェアリング・オフ現象を改善させる効果があります。

アマンタジン塩酸塩はもともとインフルエンザの薬ですが、パーキンソン病患者が服用したところパーキンソン病の症状が改善され、治療薬として使われるようになりました。なぜ効くのか詳しいことはわかっていませんが、副作用が少なくジスキネジアの改善にも効果があります。

もともとはてんかんの薬でしたが、近年、パーキンソン病の治療薬として用いられるようになりました。てんかんを合併したウエアリング・オフ現象のあるパーキンソン病患者が、この薬を服用したところオフ症状が軽くなることがわかり、パーキンソン病の治療に応用されるようになりました。なぜ効くのかについてはまだ詳しくわかっていません。

正常ではドパミンとアセチルコリンのバランスが保たれているのですが、パーキンソン病になり、脳のドパミンが不足するとこのバランスが崩れ、体を動かしづらくなります。このアセチルコリンの働きを阻害するのが抗コリン薬です。レボドパ製剤の補助をする薬ですが、物忘れなどの副作用があるので高齢者には使わないといった配慮が必要です。

レボドパ製剤を服用すると、その大部分は脳に入る前の段階で酵素によって分解されてしまうのですが、コムト阻害剤はこの酵素の働きを抑えます。コムト阻害剤とレボドパ製剤を同時に飲むことで、血液中から消えさるレボドパの時間が遅くなり、効果時間が長くなります。

神経伝達物質のドパミンは、神経細胞から放出されると受容体にくっついて信号を伝えます。ドパミン受容体作動薬は、この受容体に「ドパミンが来た」と勘違いさせ、受容体をうまく働かせる役割をします。眠気・むくみ・衝動性・幻覚・妄想などの副作用が出ることも。

パーキンソン病2

パーキンソン病の治療とは?パーキンソン病の治療は薬によるものが中心です。近年、新しい

タイプの薬が続 と々登場して治療の選択肢は大幅に広がりまし

た。難病指定されているパーキンソン病ですが、多彩な薬の組

み合わせで、症状を軽くし天寿がまっとうできるようになってきています。

パーキンソン病治療に欠かせないレボドパ製剤(L-ドパ)は大変効果的な薬ですが、病気が進行してくるとこの

薬の欠点が目立つようになります。かつてはL-ドパが神経に毒素として作用するという仮説もあり、使用開始時

期はできるだけ遅い方がよいとされていました。しかし、いくつかの臨床報告でその仮説は否定され、L-ドパの

欠点を補う薬が登場したことなどもあり、「レボドパ製剤の使用開始は遅い方がよい」という考え方は改められま

す。最近では早い段階からレボドパ製剤を始めとした、薬による治療を積極的に行うことがよいとされています。

ここ数年で、パーキンソン病の治療薬には次 と々新しいものが登場してきています。

ここの何年かで様変わりした治療薬の使い方

よく使われるパーキンソン病の薬

新しい治療薬の登場

薬以外の治療方法

薬の影響による「病的賭博」や「買い物依存」ドパミン受容体作動薬には、衝動的に沸いてくる欲望を抑えることのできない「衝動性調節障害」という副作用が見られることがあります。男性に多くみられるのが「病的賭博」といわれるギャンブル依存。もともとやらなかった人が突然ギャンブルにのめりこみ、家庭問題や社会問題に発展することもあります。その他、買い物依存や極端な性欲亢進が見られる場合もあります。

レボドパ製剤(L-ドパ) ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)

MAO-B阻害剤(セレギリン)コムト阻害剤(エンタカポン)

アデノシン拮抗薬(イストラデフィリン)

抗コリン作動薬

アマンタジン塩酸塩抗けいれん剤(ゾニサミド)●ドパミンを効率的に脳内に運ぶため、異なる効果を持つ複数の薬を1つに配合した薬

●アデノシン受容体を遮断し、ドパミンの減少で生じた異常な神経伝達物質の放出を抑え、症状を軽くする薬

●皮膚からの吸収効率がよく、血中濃度が一定に保たれるパッチ製剤(皮膚に貼り付けるタイプの薬)

●レボドパ製剤の服用時、急に薬の効果がなくなってしまうオフ症状を一時的に改善させる注射薬

●24時間かけて有効成分が放出され、薬の血中濃度が下がりにくい薬(徐放錠)

●新しい手術療法「DBS手術」 ●リハビリ療法症状の日内変動が激しい人やふるえの強い人、薬の効果の変動によってあらわれる筋硬直や不随意運動を抑えるため、脳内に電極を埋めこんで電気刺激を与えつらい症状を軽減させる手術療法。

運動機能が障害されることで生じる筋力の低下を抑えるためのエクササイズ。できるだけ早い段階からリハビリを行うのが望ましいといえます。

パーキンソン病治療で中心的に使われている薬。減少してしまったドパミンを補充する役目をします。病気が長くなり進行してくると、薬の効果が短くなってしまう「ウェアリング・オフ(P.5参照)」や、体が勝手に動いてしまう「ジスキネジア」という副作用が生じることがあります。

脳内のドパミンは、酵素の働きによって分解されます。この酵素を「モノアミン酸化酵素(MAO)」といいます。MAO-B阻害剤は、B型MAOの働きを妨げてドパミンの分解を食い止め、その減少を抑える役目をします。単独でも有効ですが、レボドパ製剤の補助薬として使われることの多い薬です。

ドパミンが不足すると、それを受ける神経路の一部が異常興奮します。アデノシン拮抗薬はその異常興奮による神経伝達の放出を抑え運動機能を改善させます。この薬には、ウェアリング・オフ現象を改善させる効果があります。

アマンタジン塩酸塩はもともとインフルエンザの薬ですが、パーキンソン病患者が服用したところパーキンソン病の症状が改善され、治療薬として使われるようになりました。なぜ効くのか詳しいことはわかっていませんが、副作用が少なくジスキネジアの改善にも効果があります。

もともとはてんかんの薬でしたが、近年、パーキンソン病の治療薬として用いられるようになりました。てんかんを合併したウエアリング・オフ現象のあるパーキンソン病患者が、この薬を服用したところオフ症状が軽くなることがわかり、パーキンソン病の治療に応用されるようになりました。なぜ効くのかについてはまだ詳しくわかっていません。

正常ではドパミンとアセチルコリンのバランスが保たれているのですが、パーキンソン病になり、脳のドパミンが不足するとこのバランスが崩れ、体を動かしづらくなります。このアセチルコリンの働きを阻害するのが抗コリン薬です。レボドパ製剤の補助をする薬ですが、物忘れなどの副作用があるので高齢者には使わないといった配慮が必要です。

レボドパ製剤を服用すると、その大部分は脳に入る前の段階で酵素によって分解されてしまうのですが、コムト阻害剤はこの酵素の働きを抑えます。コムト阻害剤とレボドパ製剤を同時に飲むことで、血液中から消えさるレボドパの時間が遅くなり、効果時間が長くなります。

神経伝達物質のドパミンは、神経細胞から放出されると受容体にくっついて信号を伝えます。ドパミン受容体作動薬は、この受容体に「ドパミンが来た」と勘違いさせ、受容体をうまく働かせる役割をします。眠気・むくみ・衝動性・幻覚・妄想などの副作用が出ることも。

パーキンソン病2

毎日の生活で気をつけること。病気のことをあまり意識しすぎず、できるだけ今まで通りの生

活を心がけましょう。また、周囲の人に病気を十分理解して

もらうことも大切です。

家族がしてあげられること。体が動きづらくなることで、日常生活に支障が生じがちな

パーキンソン病患者さんにとって、家族の存在は大きな助け

になります。患者さんのつらい気持ちに寄り添い、突き放し

過ぎず甘やかし過ぎない距離を保つことが大切です。

食事

レボドパ製剤は非常にすぐれた薬ですが、病気が進行してくると欠点や副作用が現れることがあります。

パーキンソン病に安静は必要ありませ

ん。安静にしていると筋力が衰え、関

節が固くなってますます体が動かしに

くくなってしまうからです。また、日中しっ

かりと体を動かして良質な睡眠がとれ

れば、翌日の症状を軽くすることも可

能に。自らの意思で積極的に体を動か

し、良好な体調をキープしていきたいも

のです。

薬の作用との関連で気になることとは

適度に体を動かそう

低たんぱく食事療法たんぱく質を構成しているアミノ酸の摂り過ぎが、レボドパ製剤の効果を薄めることがあります。それを防ぐため、朝食と昼食でたんぱく質の摂取量を減らし、夕食で一日に必要な量のたんぱく質を摂るのが「低たんぱく食事療法」です。薬の効き目が弱い場合のみ、医師の指導のもとで行う食事療法です。

期待が高まる最新治療~再生医療・遺伝子治療~近年、ノーベル生理学・医学賞の受賞で話題となった万能細胞「ips」は、パーキンソン病の研究にも応用されています。動物実験では運動機能が改善したという報告もあり、治療に役立つ可能性が期待されます。また、遺伝子治療の研究も進んでおり、今後さまざまな治療方法が登場してくると期待が高まっています。

◉ 体を動かさないでいると出やすい症状

ウェアリング・オフ現象レボドパ製剤を何年間か使っていると薬の効果がだんだん短くなり、薬の効かない時間帯ができてしまうことがあります。これがウェアリング・オフ現象です。薬の効いているオン状態と、効いていないオフ状態が交互に現れて、症状がよくなったり悪くなったりします。

便秘しやすくなるので根菜類、きのこ類、海藻などの食物繊維を積極的摂るのがお勧め。飲み込みをスムーズにするため、食材を細かく刻んでとろみをつけたりスープやお吸い物にして食べるとよいでしょう。水分を多めに摂ることも大切です。

仕事

肉体的・精神的に可能であれば、仕事を続けた方がメリットは多いもの。気持ちの張りを与えるとともに、日常生活で体を動かすことによるリハビリ効果もあります。職場に病気を理解してもらい、できる範囲で仕事を続けることが望ましいといえます。

趣味

今までやっていた趣味は、そのまま続けたいものです。大事をとりすぎて病気のことばかり考え、落ち込んでしまっては体によくありません。好きな趣味を楽しむことで、心身ともにリフレッシュしていきましょう。

その他

足元を明るく照らす、段差をなくす、手すりをつけるなど、住まいの工夫で転倒事故を防ぎます。また、快適な室温調節を心がけ、ストレスをためこまない生活を目指しましょう。

ジスキネジア自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまう不随意運動を「ジスキネジア」といいます。手足がクネクネと動く、顔がゆがむ、口をモグモグさせて何か食べているように見えることもあります。ジスキネジアを生じさせないよう、薬を調整する必要があります。

ジストニア筋肉に勝手に力が入ってしまい、手足をつっぱる、震えが生じる、両目をぎゅっとつぶってしまう、のけぞる、こわばって痛みが生じるといった症状が現れます。

□薬の必要性を理解して、飲み忘れがないようフォローする。

□患者さんの体調に気を配り、転倒事故を防ぐ生活空間を心がける。

□散歩などに連れ出し、積極的に体を動かすよう働きかける。

□食べやすい食事と水分補給に充分注意する。

□多少動きが遅くても、患者さんのペースを尊重する。

筋力の低下、筋肉の委縮

関節の動きが悪くなる、関節の変形

骨がもろくなる(骨粗鬆症)

起立性低血圧、血栓

うつ、意識の混濁、認知機能の低下

食欲低下、便秘、逆流性食道炎

尿路結石、尿路感染症

床ずれ

筋 肉

関 節

  骨  

心臓・血管

精 神

消 化 器

腎・泌尿器

皮 膚

パーキンソン病3

パーキンソン病4

5

毎日の生活で気をつけること。病気のことをあまり意識しすぎず、できるだけ今まで通りの生

活を心がけましょう。また、周囲の人に病気を十分理解して

もらうことも大切です。

家族がしてあげられること。体が動きづらくなることで、日常生活に支障が生じがちな

パーキンソン病患者さんにとって、家族の存在は大きな助け

になります。患者さんのつらい気持ちに寄り添い、突き放し

過ぎず甘やかし過ぎない距離を保つことが大切です。

食事

レボドパ製剤は非常にすぐれた薬ですが、病気が進行してくると欠点や副作用が現れることがあります。

パーキンソン病に安静は必要ありませ

ん。安静にしていると筋力が衰え、関

節が固くなってますます体が動かしに

くくなってしまうからです。また、日中しっ

かりと体を動かして良質な睡眠がとれ

れば、翌日の症状を軽くすることも可

能に。自らの意思で積極的に体を動か

し、良好な体調をキープしていきたいも

のです。

薬の作用との関連で気になることとは

適度に体を動かそう

低たんぱく食事療法たんぱく質を構成しているアミノ酸の摂り過ぎが、レボドパ製剤の効果を薄めることがあります。それを防ぐため、朝食と昼食でたんぱく質の摂取量を減らし、夕食で一日に必要な量のたんぱく質を摂るのが「低たんぱく食事療法」です。薬の効き目が弱い場合のみ、医師の指導のもとで行う食事療法です。

期待が高まる最新治療~再生医療・遺伝子治療~近年、ノーベル生理学・医学賞の受賞で話題となった万能細胞「ips」は、パーキンソン病の研究にも応用されています。動物実験では運動機能が改善したという報告もあり、治療に役立つ可能性が期待されます。また、遺伝子治療の研究も進んでおり、今後さまざまな治療方法が登場してくると期待が高まっています。

◉ 体を動かさないでいると出やすい症状

ウェアリング・オフ現象レボドパ製剤を何年間か使っていると薬の効果がだんだん短くなり、薬の効かない時間帯ができてしまうことがあります。これがウェアリング・オフ現象です。薬の効いているオン状態と、効いていないオフ状態が交互に現れて、症状がよくなったり悪くなったりします。

便秘しやすくなるので根菜類、きのこ類、海藻などの食物繊維を積極的摂るのがお勧め。飲み込みをスムーズにするため、食材を細かく刻んでとろみをつけたりスープやお吸い物にして食べるとよいでしょう。水分を多めに摂ることも大切です。

仕事

肉体的・精神的に可能であれば、仕事を続けた方がメリットは多いもの。気持ちの張りを与えるとともに、日常生活で体を動かすことによるリハビリ効果もあります。職場に病気を理解してもらい、できる範囲で仕事を続けることが望ましいといえます。

趣味

今までやっていた趣味は、そのまま続けたいものです。大事をとりすぎて病気のことばかり考え、落ち込んでしまっては体によくありません。好きな趣味を楽しむことで、心身ともにリフレッシュしていきましょう。

その他

足元を明るく照らす、段差をなくす、手すりをつけるなど、住まいの工夫で転倒事故を防ぎます。また、快適な室温調節を心がけ、ストレスをためこまない生活を目指しましょう。

ジスキネジア自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまう不随意運動を「ジスキネジア」といいます。手足がクネクネと動く、顔がゆがむ、口をモグモグさせて何か食べているように見えることもあります。ジスキネジアを生じさせないよう、薬を調整する必要があります。

ジストニア筋肉に勝手に力が入ってしまい、手足をつっぱる、震えが生じる、両目をぎゅっとつぶってしまう、のけぞる、こわばって痛みが生じるといった症状が現れます。

□薬の必要性を理解して、飲み忘れがないようフォローする。

□患者さんの体調に気を配り、転倒事故を防ぐ生活空間を心がける。

□散歩などに連れ出し、積極的に体を動かすよう働きかける。

□食べやすい食事と水分補給に充分注意する。

□多少動きが遅くても、患者さんのペースを尊重する。

筋力の低下、筋肉の委縮

関節の動きが悪くなる、関節の変形

骨がもろくなる(骨粗鬆症)

起立性低血圧、血栓

うつ、意識の混濁、認知機能の低下

食欲低下、便秘、逆流性食道炎

尿路結石、尿路感染症

床ずれ

筋 肉

関 節

  骨  

心臓・血管

精 神

消 化 器

腎・泌尿器

皮 膚

パーキンソン病3

パーキンソン病4

5

公的援助を受ける目安とは? パーキンソン病と

上手につき合うには

パーキンソン病は重症度によって公的援助がうけられます。目安となるのはヤール重症度と日

常生活機能障害度です。ヤール重症度が3度以上で、日常生活機能障害度が2度以上にな

ると難病医療費助成制度の認定を受けることができます。また、65歳未満でも40歳以上なら

介護保険の対象となり、障害の程度により身体障害者認定も受けられます。

stage1 stage1

stage2

stage2

stage3

stage3

stage4

stage5

ヤール重症度 日常生活機能障害度

1度 1度

2度

2度

3度

3度

4度

5度

リハビリテーション花の舎病院

院長

一般社団法人

パーキンソン病治療研究所

理事長

近藤 智善

先生

監 修

【参考情報】全国パーキンソン病友の会事務局TEL 03-5318-3075 FAX 03-5318-3077 ホームページアドレス http://www.jpda-net.orgパーキンソン病と診断された患者さんが、申請の上認定されると公費助成、介護保険、身体障害者認定や公的サービスが受けられます。ひとりで悩まず、各市区町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。また全国パーキンソン病友の会では、医療情報の発信を行っており、さらに患者さんや家族の相談事にも応じます。

※詳しくは各市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

2015年3月作成ALL-P-53(2)