投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting...

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ITを活用した授業改善 -携帯端末を使用した授業方法の提案- 東京慈恵会医科大学 麻酔科 松本尚浩 [email protected]

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授業前、中、後に投票システムや授業を効果的・効率的・魅力的にする工夫

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Page 1: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

ITを活用した授業改善 -携帯端末を使用した授業方法の提案-

東京慈恵会医科大学 麻酔科

松本尚浩

[email protected]

Page 2: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

今日のキーワード

• 効果的授業

• 効率的授業

• 魅力的授業

• これらを支援する情報テクノロジー(IT)応用

2

Page 3: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

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0:15

Page 4: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

アンケートタイトル

1. 教職員

2. 教職員でない医療関係者

3. 学生

4. その他

0 0 0 0

1 2 3 4

4 0:30 投票数: 0

Page 5: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業前の計画・準備

5

Page 6: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

僕は、ダメな医学生でした

• 入学時、「◎◎医科大学建学の使命」を知る

– 人間愛に徹し、

– 生涯にわたって哲学する医師を養成、など

• 学長曰く、「しかし、国家試験はとても重要」

• とりあえず、国試合格を目指そう

– 医者になったら、ちゃんと仕事するし、、、

• 面白くない講義は欠席して、部活の日々に

6

Page 7: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

皆さんは、学生の頃、どれほど 講義が役立ちました(ます)か?

1. 全く役立たない(0)

2. 10/100(かなり希)

3. 30/100(希)

4. 50/100(ときには)

5. 70/100(しばしば)

6. 90/100(けっこう)

7. 非常に役立つ(100)

0

0

0

0

0

0

0

1

2

3

4

5

6

7

1 2 3 4 5 6 7

7 0:30 投票数: 0

Page 8: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

そんな僕が、医学部学生に授業

• 授業をするならば、「学生に役立つ授業」を

• 医学生にとって「役立つ」とは、

– 国家試験の合格に役立つ

– 学生中に臨床実習で役立つ

– 医師になったとき臨床現場で役立つ

– 研究者になったとき役立つ

• 学生個人個人によって「役立つ要素」は違う

8

Page 9: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

The problem is choice. (人類は自ら選択という要素がなければ

満足しないモノだ)

9

オラクルは、

平和で堕落する人類を分析した結果

救世主ネオが、オラクルと会う場面

Page 10: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

選べる授業をつくってみよう

• 学生にメールで「選択肢」を送信

– 「僕が出来る授業内容は、◎◎、△△、、、です。」

• 希望する選択肢を、携帯端末で投票

– 携帯集計システムを利用

• 投票結果に従い、授業内容を計画

• 学生にメールで、授業内容を予告

10

Page 11: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

携帯集計システム

• 開発元:木村情報技術社 – http://www.k-

idea.jp/company/syuukeitai.html

• アクセスサイトとQRコード呈示 – http://mana.3esys.jp/tj

u/1/

• 授業前アンケート – 3日前、2日前に合計3回の投票時間(各30分)

11

Page 12: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【電子メール】私が出来る授業は、 こんな内容です

• 【試験合格】

– OSCE、卒業試験、医師国家試験

• 【医療者の基本を身につける】

– 病態生理の理解

– 基本技術習得

– 患者安全

– 科学とはなにか

– 医療者学習、継続学習、卒前卒後教育連携

12

Page 13: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【電子メール】「試験合格」の話題例

• 国家試験既出問題から麻酔科関連問題を抽出

• 麻酔科関連問題を解説

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Page 14: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【電子メール】「病態生理」の話題例

• 血圧の意味は?どこまで下がって良い?

• 脈拍数、少ない、多い場合の病態と対応

• 酸素はどれほど必要か?

• 血液ガスデータは何から読むか?

• 輸液選択の基本

• 疼痛管理の基本

• 赤血球輸血はいつ始めるか?

14

Page 15: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

集計結果1:話題分野別の投票

• 生理学、試験対策が上位だった

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issu

es

0 20 40 60

examination

physiology

patient safety

science

learning

vote

Page 16: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

集計結果2:生理学関連での投票

• 病態・生理学の話題では「徐脈・頻脈の病態と対応」と「疼痛管理の基本」が上位だった。 – 疼痛管理は別時限に授業があるので今回は触れず

16

vote

issu

es

0 10 20 30 40 50

blood pressure

bradycardia & tachycardia

oxygen needs

blood gas analysis

infusion

red blood cell transfusion

pain management

Page 17: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

集計結果に基づく授業計画

• 主な内容 – 徐脈・頻脈の病態と対応 – 国家試験既出問題 – 学ぶ意義

• 授業効果の評価方法 – 授業で触れた内容の選択式問題の正解率 – 授業の満足度アンケート調査

• 学習方法 – 少人数グループディスカッション

• なるべく、講義はしない

– 聴衆応答システム応用

17

Page 18: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

利用予定だった授業中のIT機器

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聴衆反応システム: ARS (Audience Response System)

携帯アンケート集計システム

Page 19: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

利用予定だった授業中のIT機器

19

聴衆反応システム: ARS (Audience Response System)

携帯アンケート集計システム

学生さんが、70名余り出席 (自前のクリッカーは20組のみ)

南講堂では、ある会社の携帯端末の 電波が入らない

Page 20: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

適切な選択は動機づけにつながる

20

Keller & SuzukiのARCSモデルとその下位分類を是非ご利用下さい

Page 21: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

小まとめ1:授業前の工夫

• 魅力的授業:選べる授業

– 講師は、授業の到達目標に関連する話題を幾つか挙げて、前もって学生に示す。

• 授業準備に「携帯端末での投票システム」

– 「授業予定通知」だけよりも、双方向性がある。

21

Page 22: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

学生に授業内容を選ばせるのは、 授業改善に役立ちそうですか?

1. 全く役立たない(0)

2. 10/100(かなり希)

3. 30/100(希)

4. 50/100(ときには)

5. 70/100(しばしば)

6. 90/100(けっこう)

7. 非常に役立つ(100)

0

0

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0

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0

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0

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0

0

0

0

0

0

1

2

3

4

5

6

7

教職員 教職員でない医療関係者 学生 その他

22 0:30 投票数: 0

Page 23: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

聴衆反応システムを用いた授業例

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Page 24: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業の対象・方法

• 対象:◎×大学、看護学生2年生、約80名

• 麻酔関連内容の、7つのストーリー呈示

• 興味ある3ストーリーを選択 – 選択ストーリー毎に5名程度のグループ結成

• ストーリー中の不明な医学用語を調べて理解

• グループでワークシート完成させ、発表

• 解説と、理解度確認クイズ

• 次の選択ストーリーへ

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Page 25: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

ストーリー呈示型授業の流れ

理解度、満足度確認

理解度確認クイズ 授業直後、満足度調査

グループでワークシート作成

不明点を調べる 発表と議論

目標提示、選択

興味あるストーリー選択 ストーリー毎グループ

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Page 26: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【授業中プレゼン】本日の目標

• 麻酔・救急・ペインクリニックに関連する7つのストーリー呈示

• →興味あるストーリーを3つ選択 • あなたがそれぞれの事例で受けたい手術・麻酔看護を記述できる

• あなたがそれぞれの事例で看護するために持つべき知識・技術を記述する

• あなたはそれぞれの事例で患者満足をどのように知り、どのように患者満足を得る看護を目指したいか記述する。

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Page 27: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【授業中プレゼン】ストーリーの使い方

• 読む立場を変えて読んで下さい – 立場1:あなた(あなたの家族)が患者として読む

– 立場2:あなたが患者の担当看護師として読む

• 分からない言葉・内容を調べる – グループで分担して調べて下さい。

• 1ストーリーあたり20分以内

– 調べても分からないことは私に質問して下さい。

• ストーリー毎にワークシートを完成させます – 1ストーリーあたり40分以内を目標に

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Page 28: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

ワークシート:ストーリー( )

1. この事例では、あなた(あなたの家族)はどんな手術・麻酔看護を受けたいですか?

2. この事例で、あなたが担当看護師としたら、どんな知識・技術を身につけるべきですか?

3. この事例で、患者さんが満足か、そして安全かをどのようにして知ることができますか?どのようにして患者の安心・満足を得ることができますか?

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Page 29: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

ストーリー7

• 30代女性、身長158 cm,体重 88kg。

• 避妊薬を内服していた。

• 子宮頸がんの診断で子宮全摘附属器切除、骨盤リンパ節廓清が行われた。

• 創部痛が強く、術後2日間ほとんど離床出来なかった。

• 術後3日目、売店へ歩行中に意識を失い、心停止に対して心肺蘇生術が行われ、自己心拍が再開したあと、直ちに2日間の低体温療法を受け、意識回復した。

• 左大腿静脈に深部静脈血栓があるため、下大静脈フィルターが留置された。

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Page 30: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【投票結果】第一選択のストーリーは?

30

10

3

6

8

3

3

19

0 5 10 15 20

1

2

3

4

5

6

7

1. ストーリー1

2. ストーリー2

3. ストーリー3

4. ストーリー4

5. ストーリー5

6. ストーリー6

7. ストーリー7

Page 31: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

ストーリー7のポイント

• 深部静脈血栓の高リスク患者 – 肥満、避妊薬、術式(骨盤リンパ節廓清)

– 早期離床不可能

• 深部静脈血栓は肺塞栓のリスク – 肺塞栓は急死の原因

– 予防策 • 高リスク手術に注意

• 弾性ストッキング、抗凝固療法(ヘパリン)予防投与

• フットポンプ

31

Page 32: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【解答結果】クイズ: 深部静脈血栓と関連が高いのは?

32

12

0

0

5

43

0 10 20 30 40 50

1

2

3

4

5

1. 長期臥床

2. 肥満

3. 膝関節手術

4. 産婦人科手術

5. 上記の全て

Page 33: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

何故か、組織での訓練が 上手くいかない。そのわけは?

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ロジャー・シャンク

学校みたいにやるから、上手くいかない

It’s just like school. (Roger Schank, p7, Designing World-Class E-

Learning)

Page 34: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

学校は、なぜダメなのか

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そもそも人は、 「他人から言われて」も、学ばない

人は言われて学ぶのではなく、やりながら学ぶ (teaching by tellingではなく、learning by doing)

Page 35: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

小まとめ2:授業中の工夫

• 効果的学習:「講義で知識授与の効果は少ない」

– 「知識を与える講義」から「ストーリー呈示」へ

– 自分の置かれる環境から学習を始める

• クリッカーで「個人の学習」を追求

– 興味あるストーリーを選ばせる

– クイズで理解度を測る

• 授業効果を測定できる

35

Page 36: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

知識提供よりも「興味あるストーリー」の 工夫は、授業改善に役立ちそうですか? 1. 全く役立たない(0)

2. 10/100(かなり希)

3. 30/100(希)

4. 50/100(ときには)

5. 70/100(しばしば)

6. 90/100(けっこう)

7. 非常に役立つ(100)

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

1

2

3

4

5

6

7

教職員 教職員でない医療関係者 学生 その他

36 0:30 投票数: 36

Page 37: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後とその後の学生

37

Page 38: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後アンケート

38

• 目的 – 授業での学習内容理解

• 国家試験既出問題を出題

– 授業の印象を得る

• 投票: – 授業翌日、30分間、1回

• 回答数: – 約30名

• アクセス途中で切断例があり、正確な数字不明

Page 39: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後アンケート回答1

• 問)今回の授業で印象に残ったのはなにか?

– 一方的でない授業-----8.5%

– 考える授業-----40.4%

– 生理学の重要性-----23.4%

– 患者安全の重要性-----7.5%

– 日本の医師国家試験のみを目指すことの危うさ-----20.2%

39

Page 40: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後アンケート回答2

• 問)今回の授業で改善すべき点は?

– 得られた知識量が少ない-----12.5%

– 授業の資料が不適切----- 10.7%

– よく理解できなかった----- 3.6%

– 時間が長く感じられた----- 1.8%

– 特に改善点は思いつかない----- 71.4%

40

Page 41: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後アンケート回答3

• 問)今回の授業後、あなたの気持ち・態度は?

– つまらなかった-----1.7%

– 何も変わらない----- 17.2%

– 学習に意欲が出た----- 60.3%

– このような授業を、他の先生にもやって欲しい----- 20.7%

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Page 42: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後、自発学習の場を提供

• 「臨床につながる生理学」学習会の開設

• 要領

– 曜日不定期、週1回、19時頃から90分間程度

– 開催予定はfacebookで通知

– テキスト: “principles of physiology for anaesthetists, 2nd ed”

• 第1回 学習会 2011年12月1日開催

– 以後、継続中(毎回5名程度参加)

42

Page 43: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

「臨床につながる生理学」 学習会後、学生からのメール

• 私は暗記が推奨されている医学部の勉強に途中嫌気がさしてしまい・・・

• 講義もろくに出ていませんでしたし。

• しかし来年4年生で臨床医学を学ぶことを考えたとき、生理学からきちんと結び付けられればどんなに楽しいことだろう、と考えておりました。

• 先生の学習会で暗記ではなく活きた医学を学ぶ姿勢を身につけたいと考えております。

43

Page 44: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業後、投票システムの 応用例と効果

• 応用例

– 理解確認クイズ

– アンケート

– 試験

• 効果

– 学習効果確認、復習

– 授業満足度確認

– 試験採点

44

Page 45: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

小まとめ3:授業後の工夫

• 効果的学習:

– 授業中の学習目標にそったクイズ

• 魅力的学習:

– 授業満足度の把握

– 学生に、自主的学習の場を提供

• ITの利用:携帯端末投票システム

– クイズ解答

– アンケート回答

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Page 46: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

昨年の私の授業の特徴と要因

• 特徴

– 授業内容を学生の興味に沿わせた。

– 授業中の居眠り、退出が少なかった。

– 授業後、自主的学習会ができた。

• 要因

– 携帯端末集計システムで興味・関心の把握

– 学生自身で問題解決させ、学生と議論を実施

– 学習する必要性、意欲を刺激

46

Page 47: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

効果的な授業とは

47

Page 48: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

「学習効果がある」、とは?

• 古典的定義:自発的行動の持続的変容

– 分からないこと→分かるようになる

– 出来ないこと→出来るようになる

• 社会文化的定義:コミュニティーとの関わり

– 新参者から一人前に

– (学習と教授の理論、鈴木栄幸)

48

Page 49: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

「講義」は、物まねではないのか?

1350年代の講義 説教、演説と類似

49

(ボローニャ大学:創立1088年)

Page 50: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

「講義」は、物まねではないのか?

1350年代の講義 説教、演説と類似

50

(ボローニャ大学:創立1088年)

1)貴重な、価値ある情報・知識を、 2)憧れの、尊敬する講師が語れば、

3)人は、学ぶ 本当?

Page 51: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

教室での情報/知識は貴重か?

昔:教室に情報が集中

Page 52: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

教室での情報/知識は貴重か?

昔:教室に情報が集中 現代:教室外にも情報は豊富

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Page 53: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

「講義」を研究した結果

• 「知識を与える」場として、貢献していない

• 以下において効果的でない

– 概念の促進、態度の変容、行動技能教育

• 講義始まって25分で注意力が低下

• 講義が進むと、学生はノートを取らない

• 少人数議論で小休止をすると集中力が回復 – [Donald A. Bligh: What's the Use of Lectures?, Jossey-Bass,

2000]

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Page 54: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

講義での知識は、ビデオで学べる

54

Page 55: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

Khan Academy ビデオ教材単元

55

Page 56: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

Khan Academy ビデオ教材単元

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【提案】 大学での講義を

ビデオ教材にして、 学生が自分のペースで 学習するシステムを開発

Page 57: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

授業の効果は、 情報・知識を与えることである

1. 全くそう思わない(0)

2. 10/100(かなり否定)

3. 30/100(少し否定)

4. 50/100(ときには)

5. 70/100(少し肯定)

6. 90/100(かなり肯定)

7. 非常にそう思う(100)

0

8

7

9

4

0

1

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0

0

0

0

0

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0

1

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1

0

0

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0

0

0

0

0

0

1

2

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5

6

7

教職員 教職員でない医療関係者 学生 その他

57 0:30 投票数: 38

Page 58: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

魅力的授業とは

58

Page 59: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【私見】自立した学習者

• 自分はその場で、「どう、あるべき」か、把握

• 自分で目標を設定

• 「分からないこと」、「出来ないこと」など改善

• 場で活動して、自分を見つめ直す

59

Page 60: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【私見】自立へ今一歩の組織学習者

• 環境や熟達者を観察しない

• 評価(試験)がないと学べない

• 「一人前」で進歩がとまり「熟達者」にならない

• 組織を発展させようとしない

60

Page 61: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

【データ:麻酔部若手へのアンケート】 試験がないと学ばない傾向ありますか?

1. 全くそう思わない

2. あまりそう思わない

3. どちらでもない

4. かなりそう思う

5. 非常にそう思う

61

0 5 10

1

2

3

4

5

Page 62: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

あなたは、いつ頃、 自立した学習者になりましたか?

1. 学童期以前

2. 高等教育期間

3. 社会人として一人前になる頃までに

4. まだ、自立していない

5. 分からない

1

7

14

4

2

0

0

0

0

0

0

0

0

2

0

0

0

0

0

0

1

2

3

4

5

教職員 教職員でない医療関係者 学生 その他

62 0:30 投票数: 37

Page 63: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

医療組織で、 自立しない学習者が増えると

63

組織の能力

低下

•現場で熟達者になれない

業務が増加 •現場外での「講義など」が必要に

患者・家族への過誤・事故

•未熟な医療者増加

•指導者層の疲労・ストレス

Page 64: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

医療組織で、 自立しない学習者が増えると

64

組織の能力

低下

•現場で熟達者になれない

業務が増加 •現場外での「講義など」が必要に

患者・家族への過誤・事故

•未熟な医療者増加

•指導者層の疲労・ストレス

魅力的な授業などの教育で、 慈恵医大の学生を、学生の間に

自立的学習者に成長させることが、本学教職員の使命と、私は考えます。

Page 65: 投票システム・聴衆反応システムを応用した大学授業 (classrooms with voting systems in university)

魅力的授業とは、 学びへの動機を与えることである

1. 全くそう思わない(0)

2. 10/100(かなり否定)

3. 30/100(少し否定)

4. 50/100(ときには)

5. 70/100(少し肯定)

6. 90/100(かなり肯定)

7. 非常にそう思う(100)

0

0

1

1

7

10

10

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

2

0

0

0

0

0

0

0

0

1

2

3

4

5

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教職員 教職員でない医療関係者 学生 その他

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学びの場の創り方、学べます

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ibstpiインストラクターコンピテンシー

• ibstpi:The International Board of Standards for Training, Performance and Instruction

– 研修・職能・教育に関する国際標準委員会

• インストラクター

– 成人学習指導者,組織学習支援者

• コンピテンシー

– 適格な組織人の在り方

– 高い成果を示す組織人の在り方

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ibstpiインストラクターコンピテンシー

• ibstpi:The International Board of Standards for Training, Performance and Instruction

– 研修・職能・教育に関する国際標準委員会

• インストラクター

– 成人学習指導者,組織学習支援者

• コンピテンシー

– 適格な組織人の在り方

– 高い成果を示す組織人の在り方

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「この記述が、教授システム学(ISD: Instructional Systems Design)に

基づいている」、と知り ISDの医療者教育への応用を目指した

心肺蘇生術の指導者養成の探求で 出会った1冊の本

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プロフェッショナルとしての基礎 1. 効果的なコミュニケーションを行う。 2. 専門分野の知識やスキルを常に磨いておく。 3. 規定の倫理や法を順守する。 4. プロフェッショナルとしての信用を確立する。 企画と準備 5. インストラクションと方法と教材を企画準備する。 6. インストラクションに必要な具体的な準備をする。 方法と戦略 7. 受講者が意欲的に、集中して学べるように働きかける。 8. プレゼンテーションを効果的に行う。 9. ファシリテ-ションを効果的に行う。 10. タイミングよく的確に質問をする。 11. 明確な説明とフィードバックを与える。 12. 学んだ知識やスキルが持続するように働きかける。 13. 学んだ知識やスキルが実際に使えるように働きかける。 14. メディアやテクノロジーを使って学習効果を高める。 評価 15. 学習成果とその実用性を評価する。 16. インストラクションの効果を評価する。 マネジメント 17.学習効率と学んだことの実践を促進する環境を維持する。 18.適切なテクノロジーを使って、インストラクションのプロセスを管理する。

ibstpi インストラクターコンピテンシー

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プロフェッショナルとしての基礎 1. 効果的なコミュニケーションを行う。 2. 専門分野の知識やスキルを常に磨いておく。 3. 規定の倫理や法を順守する。 4. プロフェッショナルとしての信用を確立する。 企画と準備 5. インストラクションと方法と教材を企画準備する。 6. インストラクションに必要な具体的な準備をする。 方法と戦略 7. 受講者が意欲的に、集中して学べるように働きかける。 8. プレゼンテーションを効果的に行う。 9. ファシリテ-ションを効果的に行う。 10. タイミングよく的確に質問をする。 11. 明確な説明とフィードバックを与える。 12. 学んだ知識やスキルが持続するように働きかける。 13. 学んだ知識やスキルが実際に使えるように働きかける。 14. メディアやテクノロジーを使って学習効果を高める。 評価 15. 学習成果とその実用性を評価する。 16. インストラクションの効果を評価する。 マネジメント 17.学習効率と学んだことの実践を促進する環境を維持する。 18.適切なテクノロジーを使って、インストラクションのプロセスを管理する。

ibstpi インストラクターコンピテンシー

18項目を実践できれば、 “学びの場”を効果的・効率的・魅力的に

創る早道になります。

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日本語でお読みになりたい方へ

• 論文「インストラクターコンピテンシーの医療者教育への応用」

– ibstpi インストラクターコンピテンシーの解説と応用提案

• 資料「ibstpi インストラクターコンピテンシー 第4章」

– 18項目の粗訳

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日本語でお読みになりたい方へ

• 論文「インストラクターコンピテンシーの医療者教育への応用」

– ibstpi インストラクターコンピテンシーの解説と応用提案

• 資料「ibstpi インストラクターコンピテンシー 第4章」

– 18項目の粗訳

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「国際標準の指導者技能」に基づいた、 ICLS指導者養成ワークショップや AHA コアインストラクターコース

開催可能ですので、ご相談ください

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結語

• 「知識授与」重視の講義を見直しませんか

– 効果的授業・効率的授業・魅力的授業の追求へ

• 以下のITが役に立ちます

– 携帯端末集計・投票システム

– 聴衆応答システム

• 学生の間に「自立的な学習者」を育てましょう

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ガリレオ ガリレイ

"You cannot teach a man anything, you can only help him to find it

for himself.“ 人を教えることはできない、

ただ自悟させる 手助けをするにすぎない。