ユーザーリサーチを用いた...
TRANSCRIPT
ユーザーリサーチを用いた
デザインコンセプト創造に関する研究
デザインジャンプ法(DJ 法)の提案
千葉大学大学院博士後期課程2年
廣瀬優平
目次
1.背景2.課題の確認と解決策の探索3.方法の提案4.実験5.まとめ
背景
ユーザーの経験を考慮したデザインが注目されている
ユーザー理解に基づくデザインの重要性の高まり
ユーザー調査からデザインを導くデザイン手法
ゴールダイレクテッド・デザイン(Cooper,A.,1998)調査結果を基に、ユーザーのアーキタイプとしてペルソナを作成。シナリオを作成するデザインの中でデザイン要件を確定させる方法
シナリオベースト・デザイン(Carroll,M.J.,2000)調査から問題シナリオを作成し、それを解決する活動・情報・インタラクションの各シナリオによりユーザー要求し様を導出する方法
ビジョン提案型デザイン手法(アーゴデザイン部会2008,2009)インタビュー調査から、上位下位関係分析を行い、ユーザーの本質的要求価値を抽出。価値を手がかりに構造化シナリオ法により、デザイン要件を詳細化する。
調査をデザイン要件に変換する事でアイディア(コンセプト)にしようとする方法
手法を活用する際の課題ユーザー調査とデザイン行程のギャップ企業においては実施担当者が変わってしまう事も多く、ユーザー調査とデザインに大きなギャップがある事が指摘されている。*
手法に従うだけでは良いアイディアが創造出来るかは分からない良いアイディアを出す事は、結局デザイナーや企画者の属人性によってしまう。
*出典:Cooper,A.et al.,「About Face 3」,2007ー長尾(訳)『About Face3 インタラクションデザインの極意』,アスキー・メディアワークス,2008
調査 コンセプトデザイン要件
プロセス的な方法の限界があるのではないか?
変換変換
問題意識と本研究で扱う範囲
創造性は属人的である。課題はむしろ、 ユーザー調査に基づいて、 発想する人の発想の方向性・傾向・質などを、ユーザー調査に基づいて、ユーザーに即した発想へと導いて、引き出してあげる方法にあるのではないか?
調査 コンセプトデザイン要件創造性の
サポート
課題の確認と解決策の探索
ワークショップ事例に基づく課題の分析
プロセス的な方法の課題はどこにあるのか?
アイディアは創造性によって、どのように生まれてくるのか?
取り上げたワークショップ事例
テーマ①
エスノグラフィを用いた未来の通学のデザイン
②エクストリームユーザーに着目した
読書の習慣化のデザイン実施期間 2011年 7~9月 2011年 10~12月
参加内訳 大学院生6名(修士2年:1名 修士1年:5名)
大学院生4名(修士2年:1名 修士1年:3名)
概要
ユーザー理解の方法として、エスノグラフィーを用いた。エスノグラフィーの結果を用いて、コンセプトデザインの提案を行った。
アイディアのきっかけを得る為、エクストリーム(極端な)ユーザーに注目してエスノグラフィーを行い、リサーチ結果を基にデザイン提案を行った。
発表場所 人間工学会アーゴデザイン部会コンセプト事例発表会
第二回HCD研究発表会※ポスター発表賞受賞
調査方法:インタビュー・経過の観察
アイディア発想プロセスの感想
”リサーチを上手く活用出来なかった””リサーチとアイディアのつながりが悪かった””アイディア発想の方向性が決められなかった”
”アイディアが深まらなかった”
デザイン要件への変換に課題
アイディアが生まれた際に共通していたプロセス
調査
コンセプト
調査結果から触発された自分自身の経験を語る
周囲の人が理解出来る
議論の活性化
ポイント
共通するプロセス調査結果から触発された自分自身の経験を語る周囲の人が理解出来る議論の活性化
共感
共感のプロセスを促すと創造性をサポートする事が出来るのではないか?
リサーチ結果への共感・
チームメンバーへの共感
方法の提案
分析を基にした方法の要件
1.自分の経験の掘り起こしユーザー調査と同じテーマについて、デザイナー自身の経験をアイディア発想を行う前にあらかじめ思い出しておく。
2.具体的なアイディアのメタファーになりうるモチーフ探し体験という触れられないものだけでなく、具体的に触れる事が出来るものも、共感の鍵になると考えられる。
3.経験を議論の活発化へとつなげる経験談がしっかりと議論の中で活用する事が出来る様にする。
事前にカードを作成する
経験を外化するフォーマットの作成
カードフォーマット
友人の結婚式翌日
友人が東北で結婚式をあげた。泊まりがけなので関東勢は行き帰り共にバスに乗った。帰りに寄ったサービスエリアで軽食を取る。行きはまだお互いよそよそしかったが、もう皆すっかりリラックスして、快晴の下で 鮎の塩焼き、玉こんにゃく、思い思いのものを買ってほおばる。そんな幸せな時間の中、私は初めて飲んだレモン牛乳の美味しさにびっくり。思わずお土産用にも購入。
快晴の青空の下、幸せな気分で皆で食べるサービスエリアの軽食。もう大人だけど、気分は遠足。
爽やかな甘みのレモン牛乳に感動!
カードフォーマット
友人の結婚式翌日
友人が東北で結婚式をあげた。泊まりがけなので関東勢は行き帰り共にバスに乗った。帰りに寄ったサービスエリアで軽食を取る。行きはまだお互いよそよそしかったが、もう皆すっかりリラックスして、快晴の下で 鮎の塩焼き、玉こんにゃく、思い思いのものを買ってほおばる。そんな幸せな時間の中、私は初めて飲んだレモン牛乳の美味しさにびっくり。思わずお土産用にも購入。
快晴の青空の下、幸せな気分で皆で食べるサービスエリアの軽食。もう大人だけど、気分は遠足。
爽やかな甘みのレモン牛乳に感動!
1.テーマに活用出来そうな“感動した体験”を思い出す。2.写真を撮る写真1(タイプA)感動した“体験”のシーンが分かる様な全体像を写した写真
写真2(タイプB)その体験の中で、重要な“モノ”の写真
3.カードに(タイトル/体験の説明/感動のポイントを記入する。4.写真を貼る
A
B
KPカード(感動・共感ポイント共有カード)
期待される効果
これで正しい方向にジャンプ出来る▶デザインジャンプ法でDJ法!!
調査
コンセプト
調査結果から触発された自分自身の経験を語る
周囲の人が理解出来る
議論の活性化
テスト
実験内容
ワークショップ形式によるリサーチ結果を用いたコンセプトの提案リサーチ結果は事前に、実験者が用意したものを用いた。
■被験者:同じ研究室のデザイン系学部3年生 4名■テーマ:料理体験■時間 :2時間
カードあり カード無し
事前情報
被験者内訳
テーマとKPカードの作成 テーマのみ
女子 2名 男子 1名女子 1名
実験内容
■評価方法ワークショップにおけるアイディア創造のプロセスを観察を行った。ワークショップ終了後に、参加者に対してコンセプトが創造されるまでのプロセスの振り返りのインタビューを行なった。
カードあり カード無し
事前情報
被験者内訳
テーマとKPカードの作成 テーマのみ
女子 2名 男子 1名女子 1名
使用した調査結果情報
P?�X�4~g{dps���
�>�s���
^[f[Wv=t�����q'V~�]{���
�Mp�~Guc{��!
/E)~({��!
=5~_ajn{��!
al_c~�]{��!
• �ot3�P?1T~_cq[��!• �ot yq[dps��!• �hrg{���
• 1T~_cq[��!• 0?s6�z~C{��!• �&o�&^[f[��!• =�~�1RLg{!�e~C{��!
• [}[}qP?9~DEfnwjbq{��!
• P?��~JZi}]jbq{��!• F2yf[S�~�\dps��!
4r {!
al_c! • W�_y�8~({��!• �$���o:�����!• ��������;Q��!• #aqxs~Wvn%hrq{��!• .`W�~^[fbg{��!• ;Q����R���
• Hr*|ehq[��!• I�s�r7s�`K@]{��!
Wv{,��
�B+ps�U~�Rg{����Ax0?o"~�Ob����I�o {dps���
!
! ! !
�! !�! !�!
�! !�! !�! !�! !
�! !
�! !�! !
!
! �! !�! !�! !�! !�! !�!
�! !�! !
実験のプロセス
1.ユーザーリサーチ結果の提示2.アイディアの決定3.ユーザーリサーチの結果に対応した既存の商品情報の提示4.具体的なデザインのモチーフの決定5.モチーフに沿ったデザインの展開6.プレゼンテーション
実験の各プロセスで使える情報
カード有り カード無し
リサーチ結果の提示 結果とカードA リサーチ結果のみ
アイディアの決定 結果とカードA リサーチ結果のみ
既存製品情報の提示 結果とカードB リサーチ結果のみ
具体的なデザインモチーフの決定 結果とカードB リサーチ結果のみ
モチーフに沿ったデザインの展開 結果とカードB リサーチ結果のみ
プレゼンテーション 結果とカードA,B リサーチ結果のみ
DJ法あり
経験中心のデザイン
DJ法なし
モノ中心のデザイン
結果のまとめ
手法の要件①自分の経験の掘り起こし②具体的なアイディアのメタファーになりうるモチーフ③経験を議論の活発化へとつなげる
達成出来たもの①”事前に準備した事で、素直に話が出来て気論が盛り上がった” ”自分の体験から新しいもの作るのは楽しかった”
③”相手の言っている事が理解しやすく、意思疎通がしやすかった” ” 関連する話をする余裕があった”
結果のまとめ
手法の要件①自分の経験の掘り起こし②具体的なアイディアのメタファーになりうるモチーフ③経験を議論の活発化へとつなげる
達成出来なかったもの②具体的なアイディアのメタファーになりうるモチーフ今回の実験では、アイディアが決まった時点で具体的なカタチの創造へスムーズにすすんだため、具体的なモチーフとして採用される事は無かった。これは、今回の被験者がデザイン学生であったためとも考えられる。初学者には効果的になる事も考えられる。
まとめ
DJ法アイディアを発想する人の発想・ディスカッションのサポートの為の手法、DJ法を提案した。
結果やその発想プロセスには明確な違いが見られた一回の実験ではあったが、 DJ法を用いたグループは、体験に基づいた提案がなされ、最終案に至るまでのアイディアに多様性が見られた。
今後の課題様々なレベルの対象者に実験を行い、有効性を調べる事が必要。
KA法とは
2010/06/04
Copyright*©*2010.*Masaya*Ando,*All*Rights*Reserved.*
- 44 -
����� ������������ �������# ���� � !��������"�
���������4<"kZ��4<"�Si;TP;ACj�b����U[e��4
<"�`\>a�b�U[e��� kZdY J��4<"2*6:
��g�U[e� 3 LF���������4<"�`\>a�b����W[��!:)�#'3�7*"�: @h����
���� � ��������
���������������
� lIc[n�: <+o�� B?mVn�:%.3<o�� /�<�#�7<1n�7<1;�:%.3<o�� /�+�($��/�+&��6<�
����������
� �#-�5/�� n/�<7,9<�qgGjNo�� H=jN
� !:)�#+;�:%.3<n������������� �o�� ?O^��<�#7<p4<".6)�5�:,)<07�� f]jN;.*� ��jN�
��������
� !:)�#'3�7*"�:�9<�2*7EX�� tr[� nMQRKD_[o�� ts[�� �5�:*(,;$�6<;�18<'n���o�
���������� �
�� ���������
ユーザモデリングの3階層
×
KA法の手順
カードの作成 カードの整理
カードの作成①出来事の記述 フォトダイアリー/contextual inquiry 状況/動機/行為/結果 30文字程度
②ユーザの心の声の導出 状況の理解 口語的な表現
③価値の抽出 出来事と心の声から ポジティブな表現