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シェール革命とは何か -アメリカのシェール革命はどう進展しているか-

NPO法人 環境ベテランズファームセミナー

2014年1月30日

伊原 賢 博士（工学）

シェール（頁岩）

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『新詳地理資料 COMPLETE 2013』 帝国書院 対象：高校地理履修者 発行日：平成25年2月25日

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化石燃料間の大きな差（可採年数、CO2排出量） 石炭130年、石油45年、天然ガス160年（←60年）。 化石燃料の資源量限界論は200年前から存在するが 採掘技術の進展で歴史的にも可採年数は維持・増加 し続けている。

化石燃料

化石燃料 再生可能エネルギー

単位

5 在来型の油やガスの支配状況がもたらす非在来型資源へのシフト

非在来型の油とガスの起源と生産技術

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石油根源岩 全体の80％ 回収率7％ ＝ 5.6％ 在来型油ガス田 全体の20％の内10％が根源岩から移動 回収率35％ ＝0.7％（出所： OGJ 2012.5.7） シェールオイルの可採埋蔵量は開発可能なら、

在来型油田の8倍：米国ノースダコタ州！

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油ガス田の典型的な炭化水素の組成例： 在来型と非在来型に区別なし

モル％ 出所： SPE資料に基づき作成

炭化水素 ドライガス ウェットガス ガス・コンデンセート 揮発性油 安定した重質の油

（ブラックオイル）

メタン 96.30 88.70 72.70 66.70 52.60

エタン 3.00 6.00 10.00 9.00 5.00

プロパン 0.40 3.00 6.00 6.00 3.50

イソブタン 0.07 0.50 1.00 0.80 0.70

ノルマルブタン

0.10 0.80 1.50 2.50 1.10

イソペンタン 0.02 0.30 0.80 0.80 0.40

ノルマルペンタン

0.02 0.30 1.00 1.20 0.40

ヘキサン 0.02 0.20 2.00 2.00 0.90

ヘプタン以上 0.00 0.20 5.00 11.00 27.90

計 99.93 100.00 100.00 100.00 92.50

無機物（窒素、二酸化炭素、水、硫化水素）は除く

8 発行日：2011年9月30日（3刷）

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米国発のシェールガス革命

エネルギー需給の逼迫懸念、開発技術の進歩に伴い、回収が難しいと考えられていた「非在来型」の天然ガスが、米国のシェールガスを中心に注目

2008年、米国の天然ガス日産量56.2Bcf/dの50％も占める （全世界供給量のなんと10％） 2008年米国の非在来型ガス生産量292 Bcm (10.3Tcf , 28.2Bcf/d) Bcm = 10億立方メートル Tcf = 兆立方フィート Bcf/d = 10億立方フィート/日

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シェールガスの存在大

米国におけるシェールガス開発は国内に天然ガス需給緩和の効果をもたらした。需給ギャップを埋めると期待された輸入LNGは経済合理性の観点から、その存在感は小さい。 米国内の非在来型天然ガス供給が堅調増なため、 2008年米国のLNG受入量は能力の10％以下。

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シェールガス構造の確認

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開発技術 シェールガス

水平坑井、多段階の水圧破砕、マイクロサイスミック

水圧破砕における微小地震（マイクロサイスム）の観測イメージ

（出所： SPE 107053論文, ICEP）

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IEAは2012年5月29日、「シェール層から天然ガスを取り出す水圧破砕法は、従来の天然ガス開発よりも環境面で危険性が高く、より厳格なルールが必要」との報告を発表。しかしながら、IEAによると、採掘コストの増加は最大でも7％で済み、必要な対策の実施は十分に可能。

シェールガス開発による周辺環境へのインパクト

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マーシェラス・シェールガス構造におけるフラクチャリングの広がり

と帯水層には垂直方向に少なくとも4,000フィートの距離

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大手石油会社も続々参入 国際石油会社がパートナーシップ

Shell-EnCana（2007）

BP, Statoil-Chesapeake（2008）

Total-Chesapeake（2010）

ExxonMobil XTOを410億ドルで買収

（2009.12）

自らも、非在来ガス開発を強化

ConocoPhillips

（北米各地でシェールガス事業を操業中）

Devon 米国内ガス開発に経営資源集中（2009.12）

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Barnettシェール開発の進展

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米国のチャタヌーガ堆積盆地

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ロシアや中央アジアの力は下がる： 欧州ではLNG・天然ガスのスポット物価格と石油価格準拠の長期契約価格の乖離が大きく広がり、ドイツなどの需要家を中心に石油価格準拠の廃止を求める声が起こっている。これは構造的問題。石油価格準拠の合理性の大半は失われたが、今後欧州にシェールガス革命が伝播すれば決定的となろう。

LNG・ガス市場の価格体系

シェールからの生産技術の進歩が価格に影響

北米からのLNG輸出計画の背景：価格差

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原油価格にリンクする日本のLNG価格

（ドル/原油換算バレル）

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日本へのLNGルート

天然ガス・ウィンドウ

（CO2と天然ガスの価格における競争力） 先進国での政策バイアスがない場合

CO

2 価格（$/トン）

天然ガス価格（$/百万Btu）

50

100

０

石炭 ($100/トン前提）

天然ガス

石炭＋CCS

再生可能エネルギー

（原子力）

天然ガス＋CCS?

（Booz &Co.の図を大幅修正）

・現在の日本 ・現在の米国

・現在のEU

$16 $4

シェールガス革命？

2017年以降

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広がるタイトオイル開発 （出所： JOGMEC調査部）

（2011年6月日揮、2012年8月石油資源開発）

25 水圧破砕の理論的根拠と候補の選択は水圧破砕を施すことによって、どの位SRV（Stimulated Reservoir Volume）を拡大できるかにかかってくる

水圧破砕シミュレーション

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プロッパント

シェールオイル開発の場合、油価が50ドル/バレル以上だと、内部利益率は急に上昇。

プロッパントの坑井内での特性把握（プロッパントからの細粒の発生とそのフラクチャー流路内の移動、プロッパントの強度、流路の広がり/有効性、フラクチャリング流体の地表への戻りとフラクチャー内のプロッパントの再配置、プロッパントによる坑井内でのスケール発生）には、一層の技術開発が必要。

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28 発行日：2012年8月14日（3刷）

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シェールガスで変わるエネルギー政策・安全保障 ①

– ガソリン車、電気自動車 対 天然ガス自動車（NGV普及促進法の米国連邦議会提出 2011年4月）

– 2025年までに石油輸入量の3分の1削減計画（BLUE PRINT FOR A SECURE ENERGY FUTURE 2011年3月）

– 米貿易赤字の半分は原油輸入 －＞ 米の消費エネルギーに占める輸入の割合は2010年 22％から2035年 13%に低下

– 21世紀に入って始まった「米国のシェールガス革命」 －＞ 石油輸入量の急減、天然ガス自給率の急上昇 －＞ 米国の「石油社会」から「ガス社会」への舵切り

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シェールガスで変わるエネルギー政策・安全保障 ②

– 日本の自動車産業の動き： 米国でのNGVへの対応は万全か（ガスエンジンのコア技術）

– ガスエンジンの転換への流れ： 舶用エンジン（2015年IMOの硫黄分規制1％）、ジェットエンジン

– IT（クリントン 1993年～2001年） －＞ ガス（オバマ 2009年～2017年）

– 米国の石油からガスへのシフト

1）エネルギーコスト下げ、ガス関連技術獲得、製造復活の道筋（石油化学）

2）貿易収支と経常収支の改善、財政収支の均衡が視野

3）シェールオイルによる中東への石油依存の低下、中東での軍事プレゼンスやシーレーン防衛の重要度？、安全保障費の引き下げ

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シェールガスで変わるエネルギー政策・安全保障 ③

– 中東での軍事プレゼンスやシーレーン防衛の重要度？、安全保障費の引き下げ ー＞ シーレーン防衛に関する米国と中国が太平洋とインド洋を役割分担の可能性

– 「米国はLNGをある程度は輸出するだろうが、LNGの大輸出国になる可能性は低い」との推断：エネルギー安全保障、FTA ー＞ 大統領選後のLNG輸出争奪戦

– TPPへの参加問題： 輸出企業と農業の綱引き

1）米国からのLNG輸入： 「ガスか米か」

2）TPP論議は米国からのLNG輸入を一刻も早く盛り込んだ上で再開すべき

– 「シェールガス革命とは何か」 原発再稼働の是非や電力・エネルギー問題を語る上での前提かつ必須知識

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2035年までの石油天然ガス展望（EIA, ExxonMobil, IEA, OPEC）

一次エネルギーの伸びは年率1.2％～1.7％： 2035年の一次エネルギー需要は2010年の32％～54％増

化石燃料の時代継続： 2010年81％～87％、2035年75％～82％

石油、天然ガスの需要増： 年率0.7％～1.0％、年率1.6％～2.3％

シェールオイル：2011年120万バレル/日、 2012年200万バレル/日 2021年米国280万バレル/日（EIA）、2025年米国300万バレル/日（OPEC）、2025年世界430万バレル/日（IEA）、2040年世界570万バレル/日（ExxonMobil）

オイルサンド： 2035年430万バレル/日（IEA）、 2035年600万バレル/日（OPEC）、 2040年850万バレル/日（ExxonMobil）

シェール革命が世界のエネルギー勢力図を変化

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34 発行日：2012年12月25日

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米国のシェールガス革命と自動車

– ガソリン車、電気自動車 対 天然ガス自動車（NGV普及促進法の米国連邦議会提出 2011年4月）

– 日本の自動車産業の動き： 米国でのNGVへの対応は万全か（ガスエンジンのコア技術）

– 2025年までに石油輸入量の3分の1削減計画（BLUE PRINT FOR A SECURE ENERGY FUTURE 2011年3月）

– 米貿易赤字の半分は原油輸入 －＞ 米の消費エネルギーに占める輸入の割合は2010年 22％から2035年 13%に低下

– 21世紀に入って始まった「米国のシェールガス革命」

－＞ 石油輸入量の急減、天然ガス自給率の急上昇

－＞ CNGトラック、CNGハイブリッド、ピックアップトラック

自動車燃料の比較評価

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自動車燃料サバイバル ① 単位熱量あたりで比べると、2013年12月時点で価格が原油の四分の一以下のシェールガスは自動車の燃料としても使える。但し、トラックやバスといった商用車に限られよう。乗用車への普及には、CNGタンクの低コスト化と燃料供給インフラの整備というハードルが立ちはだかる。

水素は天然ガスよりもエネルギー密度が低いため、ハードルは更に高い。GTL軽油はディーゼル車の燃料として競争力が見込めるが、供給量が絶対的に足りない。

一方でシェールオイルの増産が北米から世界に展開して原油の生産量が仮に増えれば、ガソリン価格の低下も期待できる。ガソリン価格が下がれば、低燃費に対するニーズは減退し、エコカーの存在危機が揺らぐ可能

性がでてくる。

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自動車燃料サバイバル ②

米国では自動車燃料の主役は、しばらく従来のガソリンと軽油で変わりないと見るのが妥当だろう。

エコカーで先んじたハイブリッド車（HV）、電気自動車（EV）に加え、水素を燃料とする燃料電池車（FCV）が次世代自動車の覇権争いをしている構図は2013年11月に開催された東京モーターショーやロサンジェルスモーターショーでも明らかとなったが、シェールガス革命の米国から世界への進展度合いを見極めないと、自動車燃料の覇権争いは理解できないだろう。今後の次世代自動車の開発・普及の動向が注目される。

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