「反転授業の研究」オンライン勉強会...

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Copyright © Susumu Yamazaki, All Rights Reserved. IDに基づく学習目標の立て方の実際と 反転授業への応用 「反転授業の研究」第6回オンライン勉強会 北九州市立大学 山崎 1

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For details: 詳しくはこちら. http://zacky-sel.blogspot.com/2014/02/flipped-classroom-with-ID-2.html

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Page 1: 「反転授業の研究」オンライン勉強会 Idに基づく学習目標の立て方の実際と反転授業への応用

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IDに基づく学習目標の立て方の実際と!反転授業への応用「反転授業の研究」第6回オンライン勉強会!北九州市立大学 山崎 進

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イントロダクション!反転授業と教材設計マニュアル✴授業を反転させるのは何のため?!

• 限られた授業時間を有効活用したい"• 講義より演習の方が教育効果が高い"• そこで授業の場では応用演習を行う"• 基礎は自習教材を用いて予習させる""

➡反転授業では自習教材の存在が大前提!• 自習教材の作り方と言えば教材設計マニュアル

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イントロダクション!IDに基づく学習目標の立て方• 教材設計マニュアルで学ぶのはインストラクショナル・デザイン(ID)"

• IDでは学習目標を中心に位置づけている!• 学習目標の立て方を修得するのは難しい!"

➡本講演の学習目標"I. 学習目標の立て方を理解する"II. IDに興味を持つ"

✓あえてあいまいな学習目標にしています(後述)

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ところで みなさん,予習してきましたか?• 予習資料!

• 教材設計マニュアル または 関連ウェブページ"• 予習課題!

1.自分の専門分野のある単元について,学習目標を書いてみましょう。また学習成果の分類で言うとどれに該当しますか?"

2.学習目標が「理解する」ではダメな理由は何でしょうか。その理由に違和感はないでしょうか。みんなで議論してみましょう。"

3.ID の適用事例や反転授業への応用について,期待すること,質問したいことをぜひ書いてください。"

• 詳しくはブログ参照のこと http://zacky-sel.blogspot.jp/2014/02/flipped-classroom-with-ID.html

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この学習目標はどうでしょう?• 電気,機械,ソフトウェアの統合体としての組込みシステムを理解する"""""""""""

✴この学習目標は,実際に私が書いて,ダメ出しを食らったものですw

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学習目標を明確化するための3つのポイント1.行動目標: 学習者の行動で目標を表す!

2.評価条件: 目標行動が評価される条件を示す!

3.合格基準: 学習目標に対する合格の基準を示す!

"• 以上をきちんと書けていれば,事後テスト (学習目標を達成したかどうかを判別するテスト)を定義できるはずです。"

"✴行動目標と目標行動の違い (後述)"

✓練習問題: なぜ「理解する」ではダメなのでしょう?"

✓応用問題: その理由に違和感はありませんか? (後述)

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この学習目標はどうでしょう?• 電気,機械,ソフトウェアの統合体としての組込みシステムを理解する""

1.行動目標になっていますか?"2.評価基準が示されていますか?"3.合格基準が示されていますか?

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学習目標の添削例• 電気,機械,ソフトウェアの統合体としての組込みシステムを理解する"➡組込みシステムが電気,機械,ソフトウェアの統合体であることを資料を見ずに全て記述できる!

• 行動目標: 「記述できる」         ※ 補足事項: 目標行動と行動目標 "

• 評価基準: 「資料を見ずに」"

• 合格基準: 「全て」"

• 想定される事後テスト!次の空欄を埋めよ組込みシステムは (  ),(  ),(  )の (  )である"

"✴この添削例に違和感を持った人いませんか? (後述)

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ガニェの学習成果の5分類• 認知的領域の課題: 「あたま」にまつわる課題"

• 言語情報: 覚えて再び思い出すタイプの課題"

• 知的技能: ある種の約束事を覚えて応用するタイプの課題"

• 認知的方略: 学び方を工夫するタイプの課題"

• 運動領域の課題: 「からだ」にまつわる課題"

• 運動技能: 体を動かして覚えるタイプの課題!

• 情意領域の課題: 「こころ」にまつわる課題"

• 態度: 気持ちを方向付けるタイプの課題

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知的技能の下位分類一口に知的技能と言っても多様なレベルがある"• 弁別: 具体例の違いを区別できる"

• 具体的概念: 具体例を元に分類できる"

• 定義された概念: 抽象的な定義で具体例を分類できる"

• ルール: 具体的な事例にルールを適用できる"

• 問題解決: 高次な問題を解決する新たなルールを編み出せる

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学習成果の5分類と指導方略・評価方法• 学習成果の分類によって"

• 教え方(指導方略)"

• 学び方(学習方略)"

• 評価方法が異なります"• 詳しくは教材設計マニュアル第4-5章を参照してください"

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✴例: 言語情報と知的技能�11

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添削例への疑問✴この添削例に違和感を持った人いませんか?"

• 電気,機械,ソフトウェアの統合体としての組込みシステムを理解する"➡組込みシステムが電気,機械,ソフトウェアの統合体であることを資料を見ずに全て記述できる"

"• 「~を理解する」という言葉に込めた意味合いは,もっと深いものである。"

• 単に暗記したことを復唱できるだけでは不十分"• 本当は,背景にある原理を深く理解し,具体的な事例について,自力で問題解決できるレベルまで出来るようになって欲しい"

• さらに言えば,理解することを通じて知的好奇心を喚起したい

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事例!「学習目標の立て方を理解する」• 言語情報"

• ガニェの学習成果の5分類を列挙できる"

• 知的技能(弁別)"• 学習成果の分類について2つが同じで他の1つが異なる組み合わせで学習目標の例を与えられたときに,分類が異なる学習目標を指し示すことで区別できる"

• 知的技能(具体的概念)"• 10個の学習目標の例が与えられたときに,同じ学習成果の分類の学習目標を指し示すことで同定できる"

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• 知的技能(定義された概念)"• 10個の学習目標の例が与えられたときに,学習成果の5分類にしたがって分類できる"

• 知的技能(ルール)"• 10個の学習目標の例が与えられたときに,学習目標の分類に適した学習方略を例示できる"

• 知的技能(問題解決)"• 学習者の専門分野のある授業について,

IDに基づいた学習目標を自力で定義できる

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ポイント: どのレベルの学習目標を目指しているのかを明らかにする

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多重に統合された目標の事例!本講演の学習目標について• 最終的な目標!

学習者の専門分野のある授業について,IDに基づいた学習目標を自力で定義できる(知的技能・問題解決)"

I. 学習目標の立て方を理解する!I.1.学習目標を明確化するための3つのポイント(行動目標・評価条件・合格基準)とそれぞれの概要を列挙できる (言語情報)"

I.2.学習目標を明確化するために,なぜ目標行動を明示すべきか概要を説明できる (言語情報)"

I.3.ガニェの学習成果の5分類(言語情報,知的技能,認知的方略,運動技能,態度)を列挙できる (言語情報)"

I.4.知的技能の下位分類(弁別,具体的概念,定義された概念,ルール,問題解決)を列挙できる (言語情報)"

I.5.講演で紹介された,曖昧な認知的領域の学習目標を下位分類まで分類した事例を説明できる (言語情報)"

I.6.講演で紹介された,曖昧な学習目標を多重に統合された目標として分解した事例について,概要を説明できる (言語情報)"

II. IDに興味を持つ!II.1.自分の授業に取り入れることを目指して

ID について学び続けることを選択する(態度)

�14ポイント: 大目標を学習成果の観点から個々の学習目標に分解し関連づける

※ I と II は双子の目標 ※予習と授業の分配

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おわりに!IDの道は一日にして成らず• オンライン勉強会の20分間という限られた時間では,ID全体はおろか,学習目標の定義に絞ったとしても修得することはできないでしょう"

• 日々の授業実践の中で,たとえば学習目標の明確化を意識することで,だんだん出来るようになっていきます"

• 自分の授業に取り入れることを目指して ID を学び続けましょう!!

• 現在,私たちは ID のオンライン講習会などを企画しています"ぜひともご参加ください!"

• また,より本格的にIDを深めたい場合には,熊本大学教授システム学専攻で学ぶ選択肢もあります"

• 本講演がIDを学ぶきっかけになれば幸いです"

• ともに研鑽していきましょう!

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おわりに!アンケートへのご協力の依頼• このたびは本講演に参加いただき,ありがとうございました"• 授業研究や今後のオンライン勉強会企画のため,アンケートにご協力ください"

• 個人情報が明らかになる形での公開はしませんのでご安心ください"• 詳しくはブログを参照ください

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