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RESEARCH 執筆者 Applied Academics マネージング・ディレクター ヨシキ・オオバヤシ yoshiki.obayashi @appliedacademics.com Applied Academics マネージング・ディレクター ジョン・ホワイト john.white @appliedacademics.com S&P/JPX JGB VIX ® 指数と日本円 : 第一部 本論文の主旨 本論文は、円為替レートと JGB ボラティリティー先物との関係性を S&P/JPX 日本国債(JGBVIX 指数を用いて考査した、二部にわたる実証 論文の第一部です。ここでは、金利ボラティリティーと為替リターンと の間の経済的相関の観点から、基本的でありながらも新しい実証的考査 結果を示します。2017 1 月に発表予定の第二部では、これらの考査結 果に基づいた為替取引及びリスクマネジメント方法について言及する予 定です。 要旨 S&P/JPX JGB VIX 指数を参照することにより、インプライド為替 ボラティリティからイールドスプレッド要素を分離してとらえ ることができます 米ドル円為替レートのインプライドボラティリティーの 80%は、 インプライドスプレッド及び日経平均指数のボラティリティー によって説明することができます 米ドル円インプライド・イールドスプレッド・ボラティリティ ーはドル円為替レートの動向予想に非常に有効です 現在のマクロ経済環境 2016 9 21 日に日銀により導入が発表された、イールドカーブ介入 による量的質的緩和政策は、コア CPI インフレ率 2%の数値目標達成及 び、それ以上でインフレ率が安定的に推移するまで、日銀が緩和政策に コミットしてゆくという姿勢を再確認するものでした。しかしながら、 日銀による大量国債買戻しが削減方向にあることから、多くの市場参加 者は、これが日銀が有効な手だてに行き詰まっている表れととらえてい るようです。 1 不安定要素がある現行政策であるため、日銀は今後もし ばらくは現政策を維持すると見込まれますが、手立ての有無にかかわら ず、急激な円高が追加政策の導入を必然とする可能性があることは否め ません。さらに、低迷する日本国債市場の代替投資策として海外投資を 検討する日本の投資家の為替ヘッジコストは、徐々に上昇しており、既 にこのコストが足枷となっている投資例も散見されます。このようなマ 1 出所: 日銀, https://www.boj.or.jp/en/mopo/measures/mkt_ope/ope_f/index.htm/ and http://www3.boj.or.jp/market/en/menu_o.htm. このようなマクロ 経済動向を背景 に、日本国債と為 替円の関係性がよ り注視されている 現状です。

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RESEARCH

執筆者

Applied Academics

マネージング・ディレクター

ヨシキ・オオバヤシ

yoshiki.obayashi @appliedacademics.com

Applied Academics

マネージング・ディレクター

ジョン・ホワイト

john.white @appliedacademics.com

S&P/JPX JGB VIX® 指数と日本円 : 第一部 本論文の主旨

本論文は、円為替レートと JGB ボラティリティー先物との関係性を

S&P/JPX 日本国債(JGB) VIX 指数を用いて考査した、二部にわたる実証

論文の第一部です。ここでは、金利ボラティリティーと為替リターンと

の間の経済的相関の観点から、基本的でありながらも新しい実証的考査

結果を示します。2017年 1 月に発表予定の第二部では、これらの考査結

果に基づいた為替取引及びリスクマネジメント方法について言及する予

定です。

要旨

S&P/JPX JGB VIX 指数を参照することにより、インプライド為替

ボラティリティからイールドスプレッド要素を分離してとらえ

ることができます 米ドル円為替レートのインプライドボラティリティーの 80%は、

インプライドスプレッド及び日経平均指数のボラティリティー

によって説明することができます

米ドル円インプライド・イールドスプレッド・ボラティリティ

ーはドル円為替レートの動向予想に非常に有効です

現在のマクロ経済環境

2016年 9月 21日に日銀により導入が発表された、イールドカーブ介入

による量的質的緩和政策は、コア CPI インフレ率 2%の数値目標達成及

び、それ以上でインフレ率が安定的に推移するまで、日銀が緩和政策に

コミットしてゆくという姿勢を再確認するものでした。しかしながら、

日銀による大量国債買戻しが削減方向にあることから、多くの市場参加

者は、これが日銀が有効な手だてに行き詰まっている表れととらえてい

るようです。1 不安定要素がある現行政策であるため、日銀は今後もし

ばらくは現政策を維持すると見込まれますが、手立ての有無にかかわら

ず、急激な円高が追加政策の導入を必然とする可能性があることは否め

ません。さらに、低迷する日本国債市場の代替投資策として海外投資を

検討する日本の投資家の為替ヘッジコストは、徐々に上昇しており、既

にこのコストが足枷となっている投資例も散見されます。このようなマ

1 出所: 日銀, https://www.boj.or.jp/en/mopo/measures/mkt_ope/ope_f/index.htm/ and http://www3.boj.or.jp/market/en/menu_o.htm.

このようなマクロ経済動向を背景に、日本国債と為替円の関係性がより注視されている現状です。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 2

クロ経済動向を理由に、日本国債と為替円の関係性がより注視されてい

る現状です。

為替レートと金利

S&P/JPX JGB VIX 指数と円為替レートとの関係性を明らかにするにあたっ

て、為替と金利の基礎理論からみてゆきます。為替クロスレートの動き

は、2通貨の金利差に左右されるという仮説に基づく、カバー無しの金

利パリティー(UIP)をみてみましょう。UIP に基づくことによって、ボ

ラティリティーとしてとらえる為替リスクを、金利スプレッドリスクと

リスクプレミアムを足し合わせた値に置き換えることが可能です。この

ように、金利スプレッドが為替リスクの説明因子の一つであることから、

S&P/JPX JGB VIX 指数が為替動向の予測指数として有効な物差しになると

言えます。

カバー無し金利パリティー

2 種類の為替が異なった金利下にある場合、高金利通貨は想定投資期間

内のイールドスプレッドを相殺するまで売られる、と投資家が押しなべ

て予測する、という仮説に UIP は基づいています。UIP はさらに、仮に

この仮説が正しくない場合、合理的な投資家は期待リターンを得るため

に低金利通貨を売り、UIP が成立するまで為替スポットレートを押し下

げると推測しています。

この理論はさらに、為替に対するエクスポージャーをとることによって

生じるリスクプレミアムの存在も示しています。金融危機などの「悪環

境」に陥った場合に、急激に増価する日本円のような「セーフヘイブン

(安全避難先)」通貨は、マイナスリスクプレミアムを有します。何故

ならば、相対する投資家は、セーフヘイブン通貨の保険のような特性に

対して、その対価の支払いを相手投資家に要求するためです。リスクプ

レミアムが存在する場合、想定される高金利通貨の減価幅は、2 通貨の

金利差を完全に相殺するまでには至りません。

簡略的に、UIP は以下のように示されます。

為替スポットレートの期待変動 = 2 通貨の金利差 + リスクプレミアム

計量経済学的に厳格に定義された UIP 理論は複雑なものであり、その定

義を議論することはこの論文の主旨から逸れますが、上記の関係式は、

為替リスクの主要牽引要素である金利スプレッドと変動リスクプレミア

ムを識別するという目的を満たすには、十分なものであると言えるでし

ょう。

以下に示す散布図は、為替レートと金利の相関性は高い(カバーあり金

利パリティー)ものであると同時に、相関から逸脱する(カバー無し金

利パリティー)特性も有していることを示しています。緑色の点は、3

か月ドル円イールドスプレッドと、3か月為替フォワードレートによっ

このフレームワークを用いて、特定為替のエクスポージャーをとることが抱える、リスクプレミアムを認識することができます。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 3

て示される将来のポットレートとの間の関係を表しています。これらは、

カバーあり金利パリティー(CIP)で予測されるように、ほぼ直線を描

く関係にあるます。このことは、裁定取引が無いことを条件として成り

立つ UIP の論拠より説明力が高く、リスクプレミアムの影響を受けない

ことを意味します。

図表 1: インプライド 3 か月為替先物リターン 対 実現 3 か月為替リターン

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説に

基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に関す

る詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

紫色の点は、先と同様に、イールドスプレッドとスポット為替リターン

の連続する 3か月の相関をみてみたものです。ここでは点が広範囲に分

散していることから、UIP が示すように、ドル円のスポットリターンが

リスクプレミアムに大きく影響を受けていることがわかります。また、

45 度線上からの乖離幅に着目すると、このリスクプレミアムは時間と

ともに変動するともとれます。以下に述べる、ドル円キャリートレード

の観点より、このことは合理的な解釈であることがわかります。

投機的通貨フローと金融政策

為替レートは将来を予測するのが非常に困難なものであり、他に代表さ

れる資産クラスと比較しても、実証研究を行うだけの要素が限られてい

る市場です。このことは、為替投資戦略を語るうえで多用されてきた、

モメンタム、購買力平価、ボラティリティー、カレンダースプレッド、

そして金利差などが、正のキャリートレードバスケットを維持するよう

にバイアスがかかっていることを示しています。仮にそうでなければ、

投資判断シグナルは、負のキャリートレードを回避するに足りる精緻な

将来予測の裏付けが必要になるはずです(実際には困難)。ゆえに、日

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連続

3か月

為替

リター

ン及び為

替フ

ォワード

プレ

ミアム

為替イールドスプレッド

Subsequent 3-Month FX Return

FX Forward Premium

為替レートは将来を予測するのが非常に困難なものであり、他に代表される資産クラスと比較しても、実証研究を行うだけの要素が限られている市場と言えます。

連続 3 か月為替リターン

為替フォワードプレミアム

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 4

本円のような伝統的な調達通貨と米ドルのような投資通貨間のイールド

スプレッドが、キャリ-トレードのみならず投機取引の大部分を牽引す

るものとなっていると言えるでしょう。この投機取引は、UIP理論の本

質部に不透明ではありますが重要な影響を与えているものと思われます。

さらに為替と金利の関係を複雑にしているのは、2008 年の金融危機以来、

各国の中央銀行によって導入されている、前例のない金融政策です。米

国連邦準備銀行と日銀によって度々導入されてきた量的緩和政策は、上

図にあるように、イールドスプレッドの低下と変動幅の縮小を招きまし

た。また、日本の金利市場は今年、イールドカーブの大部分が 0%以下

にシフトするという前例のない事態となりました。このような中央銀行

の介入策が市場にもたらした大幅かつ持続的な変化は、以前は有効であ

った為替投資戦略の優位性を失わせました。事実、これまで新たな金融

政策の導入都度、投資戦略の変更を行ってきたいくつかの投資ファンド

は、対応の糸口を見つけられずに閉鎖となったことが、為替特化型ファ

ンドのストラテジストとの意見交換から判明しています。今後の投資を

考えるうえで、金利スプレッドが将来どのように変化していくかが重要

な鍵となるでしょう。

図表 2:ドル円為替レート及びドル円 3 か月預金レート

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説に

基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に関す

る詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

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3 か月

預金

レートスプレ

ッド

ドル円為替

レート

USD/JPY

3-Month Yield Spread

米国利上げ

2004年~ 2006年

相関係数: 0.54

リーマン

ショック

米連邦準備銀

行による量的

緩和開始

さらに為替と金利の関係を複雑にしているのは、2008年の金融危機以来、各国の中央銀行によって導入されている、前例のない金融政策です。

3 か月イールドスプレッド

USD/JPY

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 5

外国為替と金利ボラティリティー

ここまでは、為替投資リターンと金利間の経済的な関係性を明示するた

め、既に多く議論されている実証理論の要旨に言及してきたに過ぎませ

ん。しかしながら、為替及び金利のボラティリティー、及びそれらが有

する為替投資収益の予測性能についての議論は、あまりされてこなかっ

たと言えるでしょう。これは、株式インプライドボラティリティーであ

る CBOE VIX®指数を投資シグナルとして用いることに関する、数多くの

論文や投資商品が存在することと対照的であるといえます。これは、

VIX を用いたベンチマーク指数が、債券市場に導入されてから歴史がま

だごく浅いためかもしれません。

これらに関する学術的な論文としては、G10 通貨間の分散リスクプレミ

アムを用いてクロスセクションの為替収益の予測を行う、Della Corte,

Ramadorai, and Sarno (2016)が挙げられます。同じく為替ボラティリティー

と収益率の相関に着目した文献として、メリルリンチ証券のレポート

“Yen Volatility Nexus” (2006)が挙げられます。この文献では、ドル円キャ

リートレードの投資判断シグナルとして、インプライド為替ボラティリ

ティー修正後のイールドスプレッドを用いています。いずれの文献も、

為替ボラティリティーから抽出したイールドスプレッドを、将来予測に

用いることには言及していません。本レポートではこの点に着目します。

何故イールドスプレッド・ボラティリティーが為替収益の予測に有効と

なりうるかを、厳格な理論を用いて解説することは、当該レポートでは

行いません。しかしながら、以下に示す実証に基づく考査結果から、金

利が為替市場で担う様々な役割は着目に値するといえるでしょう。

実現ヒストリカル・ボラティリティー

まず、イールドスプレッド・ボラティリティーの定義を明示します。厳

密に UIP に基づくと、スプレッドレベルのパーセンテージ・ボラティリ

ティーが用いられますが、我々は、金利トレーダーがリスクを計る際に

より一般的に用いる、スプレッドの変化のベーシスポイント・ボラティ

リティーを用います。

以下の図は、ドル円スポットリターンの月次ローリング実現ボラティリ

ティーと、ドル円の 3 か月イールドスプレッドの変動を表したものです。

両者はいくつかのピーク部分と全体的なトレンドを共有しますが、両者

が同じリスク要因に基づいては変動していないことがみてとれます。ス

ポットリターンの実現ボラティリティーとイールドスプレッドの間の相

関に基づく、調整済み決定係数は 24%に過ぎません。前に示した散布

図の紫色の点の分散度合の大きさは、リスクプレミアムが、高い可変性

と大きな影響力有することを示しているため、これは想定内といえます。

スプレッドレベルのパーセンテージ・ボラティリティーを参照するかわりに、スプレッドの変化のベーシスポイント・ボラティリティーを用います。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 6

図表 3:実現スプレッド・ベーシスポイント・ボラティリティー 対

実現為替スポットボラティリティー

v 出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

イールドスプレッドのインプライドボラティリティー

ここまでで、為替ボラティリティーとは明らかに異なるリスクドライバ

ーを、イールドスプレッド・ボラティリティーが有している、という

我々の直観を実証的に確認できました。次に、スプレッドボラティリテ

ィの将来予測手法を、多くの資産クラスや地域に渡って拡大傾向にある

様々な VIX指数を用いて構築してみます。VIX 指数群で参照されている

インプライドボラティリティーは、将来のボラティリティーのフェアマ

ーケットバリューをなぞるというその特性上、実現ボラティリティー及

びモデルに基づくボラティリティー予測値とは異なる値を示します。

S&P/JPX JGB VIX 指数は、大阪証券取引所で取引されているオプションに

基づいて、日本長期国債先物の 30日フォワード・インプライドボラテ

ィリティーを算出しています。米国では同様なものに、CBOE/CBOT 10-

Year US Treasury Note Volatility IndexSM (TYVIXSM)が挙げられます。この指数は

シカゴマーカンタイル取引所(CME)グループのシカゴ商品取引所

(CBOT)にて取引されているオプションをベースに算出されています。

下図は、自国のマクロ経済動向に大きく依存する、これら 2 つのベンチ

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実現

スプレ

ッド・ベ

ーシ

スポイント・ボ

ラテ

ィリテ

ィー

実現

為替スポットボラ

ティ

リティー

Realized FX Spot Volatility

Realized Spread BasisPoint Volatility

相関係数: 0.49

実現為替スポット

ボラティリティー

次に、スプレッドボラティリティの将来予測手法を、多くの資産クラスや地域に渡って拡大傾向にある様々な VIX 指数を用いて構築してみましょう。

実現スプレッド

ベーシスポイント

ボラティリティー

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 7

マーク指数の過去の推移を示しています。本論文末にある、実証論文一

覧を含むより詳細な情報を参照下さい。

図表 4: TYVIX 指数 対 S&P/JPX JGB VIX 指数

: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過去のパフォーマンスは将来の結果を保

証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説に基づく過去パフォーマンスを表してい

ます。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に関する詳細については、本論文末のパフォ

ーマンス開示情報を参照ください。.

これらの 2 指数をもとに、イールドスプレッド・インプライドボラティ

リティ(SpIV)を算出する前に、JGB VIX と TYVIXをパーセンテージ・ボラ

ティリティーからベーシスポイント・イールドボラティリティーに変換

します。これは、債券価格ではなく、利回りの期待ボラティリティー値

を計ることを意味します。多くの算出方法が存在しますが、我々は最割

安銘柄のスイッチリスクが最小であるという仮定のもとに以下の簡略式

を用います。

ベーシスポイント・イールドボラティリティー

= 100 x 価格ボラティリティー(%) / 修正デュレーション

ベーシスポイント・イールドボラティリティー算出式を用いることによって、先に述べたドル円のベーシスポイント・イールドスプレッド・ボラティリティの将来予測が可能となります。

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指数

レベル

(%)

TYVIX

S&P/JPX JGB VIX

リーマン

ショック東日本大震災

日銀の債券購入

による刺激策史上初:日本長期国

債がマイナス金利で

引ける

ブラックマンデー:S&Pの米国債レーティング下げの翌日

2009年5月29日:米国債券の

激しい売り

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 8

ベーシスポイント・イールドボラティリティー算出式を用いることに

よって、先に述べたドル円のベーシスポイント・イールドスプレッ

ド・ボラティリティの将来予測が可能となります。

SpIV = 100 × Var Δ(y$ − y¥)

= 100 × Var(Δy$) − 2Cov(Δy$, Δy¥) + Var(Δ_y¥)

= 100 ×TYVIX

D− 2

TYVIXD

JGBVIXD

ρ +JGBVIX

D

上式で DTY及び DJGBは、米国債先物または日本国債先物それぞれの修正

デュレーションを表します。また、ρはそれぞれの CTD利回りの変化

(Δy$及び y¥)間の相関係数です。モデル中立的なインプライド相関値

を予測するのに必要である、市場取引されているオプションが参照先と

して存在しないため、実現 CTD利回りの 6か月ローリング相関値を代替

値として扱います。

以下の図に、過去の SpIV の推移及び、CMEで取引されているオプショ

ンに基づいて算出される、ドル円先物の 30 日フォワード・インプライ

ドボラティリティーをなぞる、CBOE/CME FX Yen Volatility IndexSM (JYVIXSM)

指数の推移を示します(全項で示したように、インプライドボラティリ

ティーは実現ボラティリティーと相似します)。尚、S&P/JPX JGB VIX指

数の取得可能過去データで最も遡ることができる、2008年 1 月を開始基

準とします。

図表 5: SpIV 指数 対 JYVIX 指数

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説に

基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に関す

る詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

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2008年

1月15日

2008年

6 月15日

2008年

11月

15日

2009年

4 月15日

2009年

9 月15日

2010年

2月15日

2010年

7 月15日

2010年

12月

15日

2011年

5月15日

2011年

10月

15日

2012年

3 月15日

2012年

8月15日

2013年

1 月15日

2013年

6月15日

2013年

11月

15日

2014年

4 月15日

2014年

9 月15日

2015年

2 月15日

2015年

7 月15日

2015年

12月

15日

2016年

5 月15日

2016年

10月

15日

JYV

IX

SpI

V

SpIV JYVIX

ρとしては、実現CTD 利回りの 6 か月ローリング相関値を代替値として扱います。

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RESEARCH 9

まず、実証分析の観点から以下の自己相関関数(ACF)分析から分かる

ことは、過去の SpIVの推移は、将来の JYVIX の変化に明らかに相関して

いるということです。

図表 6:JYVIX 変動と SpIV 変動との相関性

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

この相関タイミングのズレは、因果関係については明らではありません

が、情報伝達という点に関しては明らかにしています。つまり、認知不

確実性(perceived uncertainty)は、金利マーケットから為替マーケットの

方向へと伝播するということです。2011年 8 月 8日月曜日(週明け前金

曜日に S&P による米国ソブリン債格付け引き下げをきっかけとして金

融混乱が起こったことから、俗にブラック・マンデーと言われます)、

SpIV は 17.64%急騰した一方で JYVIX には殆ど影響がありませんでしたが、

翌日の火曜日に JYVIX は急上昇しました。

図表 7:ブラックマンデーをうけた SpIV 指数、 JYVIX 指数、 及び ドル円為替の変動

日付 SPIV 変動率 JYVIX 変動率 USD/JPY 変動率

2011年 8月 8日 17.64% 1.23% -0.8%

2011年 8月 9日 -1.3% 19.3% -1.0%

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説に

基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に関す

る詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

日米間の指数の相関タイミングを検討するうえでは、時差や市場取引時

間帯のずれを考慮しなければなりません。JGB VIXは日本市場取引時間

帯に算出され、TYVIX と JYVIX は米国市場取引時間帯に算出されている

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

AC

F

ラグ

Corr( ΔJYVIX(t), ΔSpreadVol(t-lag) )

過去の SpIV の推移は、将来のJYVIX の変化に明らかに相関しているといえます。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 10

ため、我々は米国市場が引けた時点で、断続的なデータから類推するこ

となく、連続データをもとに SpIV と JYVIX を同時に検証することが可能

です。

回帰分析

回帰分析に基づいて、為替レートと金利スプレッドのインプライドボラ

ティリティーの相関をより詳細にみていきます。まず、JYVIX と SpIV の

回帰分析により、修正決定係数 60%を得ました。これは、SpIV が JYVIX変動の半分以上を説明する要因であることを意味します。リスクプレミ

アムが実現為替スポットリターンの主要牽引因子であるという、イール

ドスプレッド以外の要素に言及した前項までの議論からみると、これは

予想外に高い値といるでしょう。

図表 8: 残差 対 VNKY

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

次に、SpIVで説明されない JYVIX の残要素について VIX を用いて回帰分

析を行いました。VIX は、市場全体のリスク回避指数であると一般的に

とらえられていて、UIPで明示されているドル円為替リスクプレミアム

の要素としてとらえるのには適切な指数であると思われるため、分析に

用いました。この分析から得られた修正決定係数は、4%にすぎません

でした。しかしながら、VIX を日経平均株式指数の ATM オプションのイ

ンプライドボラティリティー(IV)に置き換えてみると、32%の結果を

得ました。これはトレーダーが好んで行う、ドル円為替レートと日経平

均株価の変動相関を追うという行動を彷彿とさせます。ドル円為替と日

経平均株価がなぜ相関性が高いのかは、ファンドフローの議論から説明

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

12

14

16

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2008年

1月15日

2008年

5月15日

2008年

9月15日

2009年

1月15日

2009年

5 月15日

2009年

9 月15日

2010年

1月15日

2010年

5月15日

2010年

9月15日

2011年

1月15日

2011年

5 月15日

2011年

9月15日

2012年

1月15日

2012年

5月15日

2012年

9月15日

2013年

1月15日

2013年

5 月15日

2013年

9 月15日

2014年

1 月15日

2014年

5月15日

2014年

9月15日

2015年

1 月15日

2015年

5 月15日

2015年

9 月15日

2016年

1月15日

2016年

5月15日

2016年

9月15日

残差

VN

KY

VNKY Residual

SpIV が JYVIX 変動の半分以上を説明する要因であることを意味します。

残差 VKNY

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 11

がつくと思われますが、これについてはまた別の機会に議論するとしま

す。

より精緻な結果を得るために、我々は SpIV と日経株価平均 ATM IVを用

いて重回帰分析を行った結果、修正決定係数 78%を得ました。このこ

とから、インプライド金利スプレッドと日本株式ボラティリティーが、

インプライド為替ボラティリティーの変動の大部分の説明要因であると

結論づけることができます。注意点としては、S&P/JPXJGB VIXと TYVIX

双方が長期国債先物の 30日インプライドボラティリティーをなぞって

おり、前述の関係性は金利ボラティリティー面(volatility surface)に沿っ

ていずれかの指数が移動することにより、変化することが想定されます。

よって、この解釈は一般論ではなく限定的な解釈ととらえられるべきで

しょう。

SpIV とドル円為替リターン

次に、この論文内で最も興味深い SpIVの実証分析結果に議論を移すと

しましょう。SpIVを組み込んだ原則的な投資判断シグナルモデルを通し

て、為替リターンを予測することが可能です。尚、このモデルは、イン

プライドボラティリティー指数を用いてレジームを決定する手法である、

Stabilis指数群のボラティリティーベースのアセットロテーション戦略

(asset rotation strategies) を参照して構築されています。これは、投資判断

シグナルの 6か月ローリング分位交差点から判断され、「高い」レジー

ムとはそのシグナルが上昇方向に 60%の四分位点を超えたことを指し、

「低い」レジームとは下降方向に 40%の四分位点を切ったことを指し

ています。ここでは、SpIVを用いた投資判断レジームが為替リターンを

判別できるか、という点を考査することを目的とします。

メリルリンチ執筆の 2006 年のレポートに基づき、我々は様々なリスク

修正済みイールドスプレッドシグナルに基づいたモデルレジームを構築

しました。一般的なキャリートレードでは、金利差は固定されており、

それ以外のリスクは高利回り通貨の減価分に相当するものである、とい

う定義が、為替インプライドボラティリティーを用いた背景にあります。

つまり、為替ボラティリティー調整済スプレッドが大きければ、より多

くの投資家がその取引を行い、下降圧力を日本円に対してかけることと

なります。我々はこの論理的根拠に同意しますが、イールドスプレッ

ド・ボラティリティーにおいても、スポットまたはキャリートレードの

リターンの予測能力を有するものであると考えます。何故ならば、イー

ルドスプレッドは、前述のバイ・アンド・ホールドのキャリートレード

のみならず、為替レートに様々な要因を通して影響を与えているからで

す。

以下に、イールドスプレッドを様々なボラティリティー値で割ることに

よって為替リターンを分位考察(前述参照)した結果を示します。修正

無しのイールドスプレッド単体でも、ドル円為替の分位値年率平均リタ

ーン 5.95%について、年率平均リターン-2.55%の低レジームと年率平均

実現ボラティリティーで修正すると分位値は低下し、JYVIX を用いたときも同様に低下します。

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RESEARCH 12

リターン+3.40%の高レジームに分離することができます。さらに、SpIVでリスク修正することにより、その分位値を 10.41%まで向上させるこ

とができます。これに反して、実現ボラティリティーで修正すると低下

し、JYVIX を用いたときも同様に低下します。同じ傾向は下表の SR(L)値

及び SR(H)値についても言えます。

図表 9: リスク修正済イールドスプレッド体系

レジーム シグナル 詳細

リターン (L) (%)

リターン (H) (%)

SR (L) SR (H) DAYS (L) DAYS (H)

イールドスプレッド

(無修正) -2.55 3.40 -0.22 0.33 1126 1027

イールドスプレッド / SpIV

-5.58 4.83 -0.44 0.52 939 1214

イールドスプレッド / Spread RV

-0.86 1.23 -0.07 0.12 968 1185

イールドスプレッド / JYVIX

-0.74 1.26 -0.06 0.14 1044 1109

イールドスプレッド / VIX

-3.62 3.20 -0.30 0.32 920 1233

イールドスプレッド / 日経平均 ATM IV

-3.18 2.89 -0.25 0.31 922 1231

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。 【注】 (H):高レジーム、 (L):低レジーム、 SR: リスクフリーレートを排除せずにリターンを

ボラティリティーで割った値

これらの分析結果は、S&P/JPX JGB VIXと TYVIXに基づく将来予測イール

ドスプレッド・ボラティリティーを用いて、為替のインプライドボラテ

ィリティーに埋没してしまっている収益牽引要素を分離することができ

るという、我々の推測と一致していることが分かります。

S&P/JPX JGB VIX 指数の過去データが 2008年までしか遡れないため、経

済危機の最中から我々の分析がスタートしていることを嘆く読者もいる

ことでしょう。一方で、アメリカと日本双方の金融政策が、今日まで続

く長引く量的緩和政策にシフトし始めた時期と、分析データのスタート

時期が一致していることを興味深いととらえる方もいるでしょう。これ

らの新規に導入された金融政策の影響を分離してみるために、2010 年を

スタートとして前出の表と同じ分析を行った結果が以下の表となります。

この表からは、前述の定量的分析結果が維持されていることが分かりま

す。これは、ゼロ金利状況下に置かれている為替及びマクロストラテジ

ストにとって、説得力を持つ結果といえるでしょう。

図表 10: リスク修正済イールドスプレッド体系

レジーム シグナル 詳細

リターン (L) (%)

リターン (H) (%)

SR (L) SR (H) DAYS (L) DAYS (H)

イールドスプレッド

(無修正) 0.86 5.43 0.09 0.55 888 767

イールドスプレッド / SpIV

-2.08 7.34 -0.20 0.86 766 889

イールドスプレッド / Spread RV

0.97 4.74 0.10 0.51 774 881

イールドスプレッド / 1.93 4.11 0.18 0.53 859 796

将来予測イールドスプレッド・ボラティリティーを用いて、為替のインプライドボラティリティーに埋没してしまっている収益牽引要素を分離することができるという、我々の推測と一致していることが分かる。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 13

JYVIX

イールドスプレッド / VIX

-0.04 5.37 0.00 0.58 732 923

イールドスプレッド / 日経平均 ATM IV

2.52 3.37 0.23 0.42 759 896

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。 【注】 (H):高レジーム、 (L):低レジーム、 SR: リスクフリーレートを排除せずにリターンを

ボラティリティーで割った値

後日発表を予定している第二部では、これらの実証結果をどのように投

資戦略に活用するかに焦点を当てる予定ですが、以下にその一部を紹介

します。

SpIV 基準のレジームを用いたキャリートレード戦略

以下の図は、一般的なドル円キャリートレードの収益を示しています。

過去数年間、このキャリートレードのリターンは為替リターンに牽引さ

れていると思われてきました。薄緑色の斜の部分は、SpIV で修正したイ

ールドスプレッド投資判断シグナルの高レジームを表します。もちろん

このシグナルは、すべてを正確に予測する水晶玉では決してなく、すべ

ての増益タイミングをとらえ、また減損をすべて回避することは出来ま

せん。しかしながら、この図から、分位分析が意図することを視覚的に

とらえることは出来るでしょう。

図表 11: ドル円キャリートレード

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

-40.00%

-30.00%

-20.00%

-10.00%

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

非年

複累

積リタ

ーン

Adjusted Spread Low Adjusted Spread High Carry Trade ReturnUSDJPY Spot Return Spread

このシグナルは、すべてを正確に予測する水晶玉では決してなく、すべての増益タイミングをとらえ、また減損をすべて回避することは出来きません。しかしながら、この図から、分位分析が意図することを視覚的にとらえることは出来るでしょう。

修正スプレッド低

ドル円スポットリターン

修正スプレッド高

スプレッド

キャリートレード

リターン

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 14

図表 12: キャリートレードのパフォーマンス比較

レジームシグナル 年率リターン (%) 年率ボラティリティー

(%) リターン/

ボラティリティー

キャリートレード 0.64 10.91 0.06

為替 0.23 10.91 0.02

スプレッド 0.42 0.03 12.72

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

様々なボラティリティー修正済イールドスプレッドシグナルを用いて、

キャリートレードとキャッシュ間の資産分散を決定する戦略例として、

以下を示します(図表 13参照)。

図表 13:マーケットタイミングとキャリートレード比重

マーケットタイミング基準 キャリートレード比重

修正済スプレッド <= 20% 四分位値(過去 6 か月間) 0%

20% 四分位値 < 修正済スプレッド <= 40%四分位値(過去 6 か月) 25%

40% 四分位値 < 修正済スプレッド <= 60% 四分位値(過去 6か

月) 50%

60% 四分位値 < 修正済スプレッド <= 80% 四分位値(過去 6か

月) 75%

修正済スプレッド > 80%四分位値(過去 6か月) 100%

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

図表 14は、様々なキャリートレード戦略の収益を表しています。前述

のごく粗い比重決定スキームにもかかわらず、SpIVを用いたトレードの

リターンが他すべてのトレードを凌駕していることが分かります。

JYVIX による修正を行ったトレードが、通常のキャリートレードのパフ

ォーマンスを下回っていることは、金融危機以前の 2006年に執筆され

たメリルリンチのレポートの結論付けとは相反していることは注目に値

するでしょう。ボラティリティー修正によるマーケットタイミング投資

戦略全般に言えることは、ドローダウンを回避できるという点です。こ

れは、Stabilis 指数と同様の特性を持つものといえ、評価できる点です。

図表 14:タイミングを計ったキャリートレードのパフォーマンス

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RESEARCH 15

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

-40%

-30%

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

非年

複累積

リター

Carry Trade Signal: SpIV-Adjusted SpreadSignal: Spread RV-Adjusted Spread Signal: JYVIX-Adjusted Spread

前述のごく粗い比重決定スキームにもかかわらず、SpIV を用いたトレードのリターンが他すべてのトレードを凌駕していることが分かります。

キャリートレード

シグナル:RV修正スプレッド

シグナル:SpIV修正スプレッド

シグナル:JYVIX修正スプレッド

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 16

図表 15: タイミングを計ったキャリートレードの年率リターン、ボラティリティー、

および最大ドローダウン

レジームシグナル 年率リターン

(%) 年率ボラティ

リティー (%) リターン /

ボラティリティー 最大ドローダウ

ン(%)

キャリートレード 0.64 10.91 0.06 -30.43

SpIV修正 1.58 6.73 0.30 -14.38

スプレッド RV修

正 0.70 6.37 0.11 -16.24

JYVIX修正 -0.15 6.11 -0.03 -15.36

出所: S&P Dow Jones Indices LLC、Bloomberg、及び JPX。 2016年 10月 31日付のデータに基づく。過

去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。図表は本文説明補助のために作成され、仮説

に基づく過去パフォーマンスを表しています。バックテストによるパフォーマンス固有の制約に

関する詳細については、本論文末のパフォーマンス開示情報を参照ください。

結論 及び 第二部について

S&P/JPX JGB VIX と日本円の相関に関する、二部にわたる実証論文の第一

部である本論文では、インプライド・イールドスプレッド・ボラティリ

ティーの為替リターン予測能力について、有用な分析結果を示しました。

第二部では、これらの分析結果を為替リスク管理にどのように適用する

ことが可能かという観点から、より詳細な分析を示します。

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

RESEARCH 17

参考文献

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CBOE (2015). Compendium of Empirical Findings. http://www.cboe.com/micro/volatility/tyvix/pdf/tyvixguidepart3.pdf

Merrill Lynch FX Strategy Group (2006). The yen-volatility nexus.

Pasquale Della Corte, Tarun Ramadorai, and Lucio Sarno (2016). Volatility risk premia and exchange rate predictability. Journal of Financial Economics, Volume 120, Issue 1, Pages 21 – 40.

S&P Dow Jones & Japan Exchange Group (2015). S&P/JPX JGB VIX Methodology. https://spindices.com/documents/methodologies/methodology-sp-jpx-jgb-vix.pdf http://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/sp-jpx-jgb-vix/nlsgeu0000017vg5-att/WhitePaper.pdf

S&P Dow Jones & Japan Exchange Group (2015). S&P/JPX JGB VIX: Basic Empirical Properties. http://www.spindices.com/documents/research/research-jpx-jgb-vix-basic-empirical-properties.pdf

TYVIX. Online primer on TYVIX. http://www.tyvix101.com

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RESEARCH 18

PERFORMANCE DISCLOSURE

The S&P JGB VIX was launched on October 2, 2015. All information presented prior to an index’s Launch Date is hypothetical (back-tested), not actual performance. The back-test calculations are based on the same methodology that was in effect on the index Launch Date. Complete index methodology details are available at www.spdji.com.

S&P Dow Jones Indices defines various dates to assist our clients in providing transparency. The First Value Date is the first day for which there is a calculated value (either live or back-tested) for a given index. The Base Date is the date at which the Index is set at a fixed value for calculation purposes. The Launch Date designates the date upon which the values of an index are first considered live: index values provided for any date or time period prior to the index’s Launch Date are considered back-tested. S&P Dow Jones Indices defines the Launch Date as the date by which the values of an index are known to have been released to the public, for example via the company’s public website or its datafeed to external parties. For Dow Jones-branded indices introduced prior to May 31, 2013, the Launch Date (which prior to May 31, 2013, was termed “Date of introduction”) is set at a date upon which no further changes were permitted to be made to the index methodology, but that may have been prior to the Index’s public release date.

Past performance of the Index is not an indication of future results. Prospective application of the methodology used to construct the Index may not result in performance commensurate with the back-test returns shown. The back-test period does not necessarily correspond to the entire available history of the Index. Please refer to the methodology paper for the Index, available at www.spdji.com for more details about the index, including the manner in which it is rebalanced, the timing of such rebalancing, criteria for additions and deletions, as well as all index calculations.

Another limitation of using back-tested information is that the back-tested calculation is generally prepared with the benefit of hindsight. Back-tested information reflects the application of the index methodology and selection of index constituents in hindsight. No hypothetical record can completely account for the impact of financial risk in actual trading. For example, there are numerous factors related to the equities, fixed income, or commodities markets in general which cannot be, and have not been accounted for in the preparation of the index information set forth, all of which can affect actual performance.

The Index returns shown do not represent the results of actual trading of investable assets/securities. S&P Dow Jones Indices LLC maintains the Index and calculates the Index levels and performance shown or discussed, but does not manage actual assets. Index returns do not reflect payment of any sales charges or fees an investor may pay to purchase the securities underlying the Index or investment funds that are intended to track the performance of the Index. The imposition of these fees and charges would cause actual and back-tested performance of the securities/fund to be lower than the Index performance shown. As a simple example, if an index returned 10% on a US $100,000 investment for a 12-month period (or US $10,000) and an actual asset-based fee of 1.5% was imposed at the end of the period on the investment plus accrued interest (or US $1,650), the net return would be 8.35% (or US $8,350) for the year. Over a three year period, an annual 1.5% fee taken at year end with an assumed 10% return per year would result in a cumulative gross return of 33.10%, a total fee of US $5,375, and a cumulative net return of 27.2% (or US $27,200).

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S&P/JPX JGB VIX 指数と日本円:第一部 2016 年 12 月

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GENERAL DISCLAIMER

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It is not possible to invest directly in an index. Exposure to an asset class represented by an index is available through investable instruments based on that index. S&P Dow Jones Indices does not sponsor, endorse, sell, promote or manage any investment fund or other investment vehicle that is offered by third parties and that seeks to provide an investment return based on the performance of any index. S&P Dow Jones Indices makes no assurance that investment products based on the index will accurately track index performance or provide positive investment returns. S&P Dow Jones Indices LLC is not an investment advisor, and S&P Dow Jones Indices makes no representation regarding the advisability of investing in any such investment fund or other investment vehicle. A decision to invest in any such investment fund or other investment vehicle should not be made in reliance on any of the statements set forth in this document. Prospective investors are advised to make an investment in any such fund or other vehicle only after carefully considering the risks associated with investing in such funds, as detailed in an offering memorandum or similar document that is prepared by or on behalf of the issuer of the investment fund or other vehicle. Inclusion of a security within an index is not a recommendation by S&P Dow Jones Indices to buy, sell, or hold such security, nor is it considered to be investment advice.

These materials have been prepared solely for informational purposes based upon information generally available to the public and from sources believed to be reliable. No content contained in these materials (including index data, ratings, credit-related analyses and data, research, valuations, model, software or other application or output therefrom) or any part thereof (Content) may be modified, reverse-engineered, reproduced or distributed in any form or by any means, or stored in a database or retrieval system, without the prior written permission of S&P Dow Jones Indices. The Content shall not be used for any unlawful or unauthorized purposes. S&P Dow Jones Indices and its third-party data providers and licensors (collectively “S&P Dow Jones Indices Parties”) do not guarantee the accuracy, completeness, timeliness or availability of the Content. S&P Dow Jones Indices Parties are not responsible for any errors or omissions, regardless of the cause, for the results obtained from the use of the Content. THE CONTENT IS PROVIDED ON AN “AS IS” BASIS. S&P DOW JONES INDICES PARTIES DISCLAIM ANY AND ALL EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, ANY WARRANTIES OF MERCHANTABILITY OR FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE OR USE, FREEDOM FROM BUGS, SOFTWARE ERRORS OR DEFECTS, THAT THE CONTENT’S FUNCTIONING WILL BE UNINTERRUPTED OR THAT THE CONTENT WILL OPERATE WITH ANY SOFTWARE OR HARDWARE CONFIGURATION. In no event shall S&P Dow Jones Indices Parties be liable to any party for any direct, indirect, incidental, exemplary, compensatory, punitive, special or consequential damages, costs, expenses, legal fees, or losses (including, without limitation, lost income or lost profits and opportunity costs) in connection with any use of the Content even if advised of the possibility of such damages.

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