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施設紹介 NHO 北海道がんセンター 臨床検査科 臨床検査技師長  三 嶋 秀 幸 北海道がんセンターは、人口約 193 万人の都市札幌にあり、JR 札幌駅から地下鉄で約 10 分、地下鉄菊水 駅下車徒歩 3 分という交通の便がとても良いところにあります。また、これまで狭かった駐車場も昨年隣接 する土地を購入し駐車場を増やしたため、患者さんからの「狭い、狭い・・・」という不満の投書もなくなり、 ほっとしているところです。札幌といえば、 2月に行われる「さっぽろ雪まつり」が有名ですが、春には、 「さっ ぽろライラックまつり」(ライラックは「札幌の木」に選定)、 「札幌祭り」(北海道神宮例祭)や「YOSAKOI ソーランまつり」など、多くのお祭りがあります。夏には、「北海道マラソン」や「サマージャンプ大会」、「花 火大会」などが行われ、また、有名な観光スポットもたくさんある楽しい街です。 当院の歴史は古く、明治 29 年札幌陸軍病院として創立。戦後、昭和 20 年 12 月厚生省に移管され 、国立 札幌病院として発足しました。昭和 42 年には北海道地方がんセンターが併設され、その後平成 16 年に独立 行政法人への移行に伴い「独立行政法人 国立病院機構 北海道がんセンター」と改称されました。平成 17 年 1 月にはがん対策基本法により「地域がん診療拠点病院」に、平成 21 年 2 月には各都道府県に概ね 1 カ所設置される「都道府県がん診療連携拠点病院」として国からの指定を受け、今日に至っております。26 診療科、一般病床数 520 床で病院機能評価 Ver.6.0 の認定を受けており 7、8 年後に完成予定の新病院建て替 えに向けて職員一同頑張っているところです。また、関係する複数の診療科が診療から治療まで同時に関わ るチーム医療を行うため、院内センター化も進められており昨年 6 月に呼吸器センター、10 月にサルコーマ センター、高度先進内視鏡外科センター、今年 1 月には内視鏡センター、外来化学療法センターが設置され ました。昨年末には、手術支援ロボットダヴィンチも導入され、高度先進内視鏡外科センターの活躍が期待 されます。また、院内では鬱々としがちな患者さん達に楽しんでいただこうと「オカリナ演奏」 「オペラショー」 「落語会」などの催し物や市民の健康チェックに役立てていただこうと前立腺がん(PSA)検診、肺年齢、 血糖値測定、頸動脈エコーなど検査科も参加しての「がんと闘う医療フェスタ」や「医療安全祭」などのイ ベントも行なわれています。 さて、我々が所属する臨床検査科は、病理医である検査科長の下、臨床検査技師 20 名、検査助手 1 名の 総勢 21 名にて業務を遂行しています。 生 化 学・ 免 疫・ 血 液 検 査 部 門 で は、 主 な 機 器 と し て、AU5810( ベ ッ ク マ ン・ コ ー ル タ ー 社 )、 TBA2000FR(東芝メディカルシステムズ社)、コバス8000 eシリーズ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、 ARCHITECT i2000SR(アボットジャパン社)、全自動糖分析装置 GA09(A&T社)、HCL 723 G9(東ソー - 29 -

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Page 1: 施設紹介 NHO北海道がんセンターkokurinkyo.jp/top/80/80-7.pdfコバス TaqMan 48(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、AUTION MAX AX-4030(アークレイ社)

■ 施設紹介 ■

NHO 北海道がんセンター

臨床検査科 臨床検査技師長 三 嶋 秀 幸

北海道がんセンターは、人口約 193 万人の都市札幌にあり、JR 札幌駅から地下鉄で約 10 分、地下鉄菊水駅下車徒歩 3 分という交通の便がとても良いところにあります。また、これまで狭かった駐車場も昨年隣接する土地を購入し駐車場を増やしたため、患者さんからの「狭い、狭い・・・」という不満の投書もなくなり、ほっとしているところです。札幌といえば、2 月に行われる「さっぽろ雪まつり」が有名ですが、春には、「さっぽろライラックまつり」(ライラックは「札幌の木」に選定)、「札幌祭り」(北海道神宮例祭)や「YOSAKOIソーランまつり」など、多くのお祭りがあります。夏には、「北海道マラソン」や「サマージャンプ大会」、「花火大会」などが行われ、また、有名な観光スポットもたくさんある楽しい街です。

当院の歴史は古く、明治 29 年札幌陸軍病院として創立。戦後、昭和 20 年 12 月厚生省に移管され 、国立札幌病院として発足しました。昭和 42 年には北海道地方がんセンターが併設され、その後平成 16 年に独立行政法人への移行に伴い「独立行政法人 国立病院機構 北海道がんセンター」と改称されました。平成17 年 1 月にはがん対策基本法により「地域がん診療拠点病院」に、平成 21 年 2 月には各都道府県に概ね 1カ所設置される「都道府県がん診療連携拠点病院」として国からの指定を受け、今日に至っております。26診療科、一般病床数 520 床で病院機能評価 Ver.6.0 の認定を受けており 7、8 年後に完成予定の新病院建て替えに向けて職員一同頑張っているところです。また、関係する複数の診療科が診療から治療まで同時に関わるチーム医療を行うため、院内センター化も進められており昨年 6 月に呼吸器センター、10 月にサルコーマセンター、高度先進内視鏡外科センター、今年 1 月には内視鏡センター、外来化学療法センターが設置されました。昨年末には、手術支援ロボットダヴィンチも導入され、高度先進内視鏡外科センターの活躍が期待されます。また、院内では鬱々としがちな患者さん達に楽しんでいただこうと「オカリナ演奏」「オペラショー」

「落語会」などの催し物や市民の健康チェックに役立てていただこうと前立腺がん(PSA)検診、肺年齢、血糖値測定、頸動脈エコーなど検査科も参加しての「がんと闘う医療フェスタ」や「医療安全祭」などのイベントも行なわれています。

さて、我々が所属する臨床検査科は、病理医である検査科長の下、臨床検査技師 20 名、検査助手 1 名の総勢 21 名にて業務を遂行しています。

生 化 学・ 免 疫・ 血 液 検 査 部 門 で は、 主 な 機 器 と し て、AU5810( ベ ッ ク マ ン・ コ ー ル タ ー 社 )、TBA2000FR(東芝メディカルシステムズ社)、コバス 8000 e シリーズ(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、ARCHITECT i2000SR(アボットジャパン社)、全自動糖分析装置 GA09(A&T 社)、HCL 723 G9(東ソー

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Page 2: 施設紹介 NHO北海道がんセンターkokurinkyo.jp/top/80/80-7.pdfコバス TaqMan 48(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、AUTION MAX AX-4030(アークレイ社)

社)、XE-5000、SP-1000i、HEG-L、XT-4000i、CS2100i(シスメックス社)などがあり、5 名配置しています。当院はがんセンターであるため、多項目の腫瘍マーカーを自施設で行い多数の至急検体を処理しているので、どの施設でも同じですが午前中は猫の手も借りたいほどの忙しさです。また血液内科を有しているため、昨年認定血液検査技師の資格を取得し、ルーチン業務に役立てております。

輸血検査部門では、専従として 1 名配置しています。Auto Vue(オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社)にて血液型、抗体スクリーニング、交差試験を行い、輸血管理料Ⅰ並びに輸血適正使用加算を取得しています。また、昨年からはアルブミン製剤も検査科で一元管理するようになりました。

細菌・一般検査部門では、機器として BD フェニックス(BD 社)、バクテアラート 3D(シスメックス社)、コバス TaqMan 48(ロシュ・ダイアグノスティックス社)、AUTION MAX AX-4030(アークレイ社)などがあり、4 名配置しています。

生理検査部門では、超音波検査装置 Vivid E9、Logiq S8、Logiq P5 (GE 社)3 台、肺機能検査装置FUDAC-77N(フクダ電子社)などがあり、5 名配置しています。超音波検査士の認定取得者が 3 名(消化器 2、循環器 2、体表臓器 1)おり、超音波検査件数もこの数年激増しているため、1 名増員が認められ臨床の要求に応えようと必死になっています。また、超音波検査技師の育成に日々取り組み、指導する先輩も指導される新人も躍起になって頑張っております。

病理細胞検査室は、病理診断科の病理医 3 名と検査技師 5 名で構成されており、病理組織診断における生検・手術検体の標本作製、および治験や臨床研究への協力を行っています。また、細胞診断は、細胞検査士4 名が担当しており、特に早期から Liquid-based cytology を取り入れることにより診断精度を向上させ、さらに術中迅速診断(センチネルリンパ節診断等)に応用してきています。また、分子生物学的検索への準備も進めており、嬉しいことにここでも 1 名増員が認められました。

そのほか午前中の忙しい中、外来の採血業務に検査技師 1 名を派遣して看護部門との連携、相互協力に一役買っています。また、ICT、NST、医療安全管理チーム、褥瘡対策チーム、治験業務などにも積極的に参加しチーム医療のさらなる発展、向上にも取り組んでおります。

最後に、北海道がんセンターはこれからも病に苦しんでいる患者さんに思いやりを持って寄り添い、またより良い医療を提供できる病院、必要とされる検査室を目指し頑張っていきたいと思います。

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