1

岡山醫學會雜誌第三百八十七號

　大

正

十

一年

四

月

三

十

日

發

行

原

著

淡

水

産

魚

類

ヲ

中

間

宿

主

ト

ス

ル

吸

蟲

類

ノ

研

究　

第二

日

本

産　Echinochasmus perfoliatus(Ratz).

京

都帝

國

大學醫

學

部

病理

學教

室

田

部

浩

目

次

緒

言

第

一章　

本蟲ノ構造

第二章　

本蟲ノ發育史

第

一節　

卵子孵化及仔蟲

第二節　

中間宿主

第三節　

被包嚢幼蟲

第三章　

本蟲ノ生態及分布

第四章　

水蟲ノ病源的意義

第五章　

本蟲ト人體トノ關係

第六章　

被包嚢幼蟲ノ抵抗力

第七章　

概括

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

一七五

2

緒

言

余

(21)

ハ先

年岡山

ニ於

テ、猫

ノ小腸

ヨリ

一種

ノ吸

蟲

ヲ發

見

シ、

動物

試驗

ニヨリテ其感

染

ハ一定

ノ淡

水産魚

類

ノ攝

食

ニ職由

ス

ル

コト

ヲ明

カ

ニシ、

之

ガ豫

報

ヲ公

ニセリ。

該

吸蟲

ハ其後

又武藤

博

士

(13)

ニヨリテ京

郡府

下

佐山

村産

ノ猫

ニ於

テ見

出

サ

レ、且同

地

方

巨椋

池産

魚類

ノ試食

ニヨリ犬

ニ寄

生

ヲ見

ル

コトヲ證

明

サ

レタ

ルガ、

余

ハ尚

先年

來本

吸蟲

ニ關

シテ諸般

ノ攻

究

ヲ續

行

スルト

コ

ロア

リ、

茲

ニ闡

明

セ

ル爾後

ノ知見

ヲ

一括増

補

スルト共

ニ前

報所

見

ノ

一部

ヲ訂

正

シ、

本

報

ト

シテ詳

述

セ

ント

ス。

第

一章　

本

蟲

ノ

構

造

一、外形。

本蟲

ハ形態細長

ニシテ稍扁平、生鮮ナルモノ

ハ淡紅色乃至白色

ヲ呈ス。

體

ノ前端

ニハ前腹方

ニ向

ツテ球状

ニ突隆

スル口吸盤

アリ。其周圍

ニハ他

ノ體部ト明

カ

ニ區別サ

ルヽ腎臟形

ノ肉質隆起部

(Kopfkragen)アリ、其背側

ハ平滑

ナ

レド

モ、腹

側

ハ正中線上

ニ於

テ溝状

ノ陷凹

ヲ呈

シ、其左右

ニ於

テ所謂隅葉

(Ecklappen)ヲ形成

セリ。之

ニ續

ク頸

部

ハ稍細狹

ナ

ルモ以下次第

ニ幅徑

ヲ増

シ、腹吸盤以後

ニアリテ

ハ略、太キ圓〓状ヲ呈

シ、鈍圓

ヲ以テ終

ル。

横斷面

ハ前體部

ニテ

ハ背面膨隆

シ腹

面稍陷凹

セルモ、後體部

ニアリテ

ハ橢圓形ヲ呈

セリ。

二、

大

サ。

ヨク成育

セル蟲體

ハ生

鮮状態

ニ於

テ長

徑四

・六

○

○(四

・○

一四-

五

・四三

○)粍、

腹

吸盤

ノ高

サ

ニ於

ケ

ル幅

徑

○

・九

六五

(○

・八五

○

-

一・一○

九

)粍

ヲ有

ス。

腹

吸盤

以後

ノ幅

徑

ハ略

、同

大ナ

レド

モ睾

丸

ノ附

近

ニ於

テ時

ト

シテ最廣

ナ

ル

コト

アリ。

肉質

隆

起部

ノ幅

徑

ハ○

・四

九五

八

-○・五

九〇

○粍

ナ

リ。

又昇汞

飽和

水溶液

ニテ固定

ヲ施

シタ

ル

モノ

ハ、

長

徑三

・六

二二(三

・二三五

-四

・二九

七

)粍

、幅

徑腹

吸盤

ノ高

サ

ニ於

テ○

・六○

九

(○

・五七四-

○

・六

四四

)粍、

睾九

ノ

田部-淡水産魚

類

ヲ中間宿

主ト

スル吸蟲

類

ノ研究

一七六

3

高

サ

ニ於

テ○

・六

九

一(○

・六四

四-

○

・七七

〇)粍

ヲ算

ス。

三、體表。

角皮層

ハ厚徑○・○

一五-○・○

二二粍

ヲ有

シ、多數

ノ皮棘

ヲ有

ス。

皮棘

ハ幅廣キ鱗片状

ニシテ其横面

ハ牛角形ヲ

呈セリ。角皮

ノ全層

ヲ貫

キテ、斜

ニ後方

ニ向

キテ發生

シ、先端鋭利

ニシテ稍内方

ニ曲

ル。

大サ、頸部

ニ發生セ

ルモ

ノハ長徑○・○

一二二-○・○

一七

一粍、幅徑○・○

一四三-○・○

一七

一粍

、

根部

ノ厚徑○・○○四九-○・○○七三

粍ナ

レド

モ、後方

ニ至

ル

ニ從

ヒテ次第

ニ大サヲ増

シ、

前睾丸附近

ニ發生

セルモノハ長徑○・○

二二○-○・○二六九

粍、厚徑○・○○七三-○・○○九八粍

ニ及ブ。皮棘

ハ頸部以後

ニ發生

シ、肉質隆起部

ニハ之

ヲ認メズ。

咽頭附近

ニ

於

テ最密生

シ前後各棘間

ノ距離○・○二四五-○・○三六七粍

ニ過ギザルモ、以後次第

ニ疎トナリ、

腹

吸盤附近

ニア

リテ

ハ其間隔○・○八四-○・一四○粍

ニ及ビ、後睾九以後

ニ於

テ

ハ全

ク皮棘

ヲ認

メザ

ル

ニ至

ル。

蟲體前端

ニハ長大ナル頭刺

アリ。先端

ヲ後外方

ニ向ケテ肉質隆起部

ノ外縁

ニ並行

シ、整然

タル

一列

ヲナ

ス。

其數

一定

ニシテ二十四本

アリ。

背面正中線上

ニ於

テ中斷

セラ

レ左右各十

二本宛

ノ刺

列

ニ分

タル。背面

ニ發生

セル頭刺

ハ

著

シク體

ノ前端

ニ接近

シ、

口吸盤

ノ背側

ニ位

スルモ、腹面

ニ發生

セルモノ

ハ略、咽頭前端

ノ高

サ

ニ

一致

シテ左右隅

葉

ニ在

リ。

左右刺

列

ノ背側中斷部

ニ於ケ

ル距離

ハ○・○五六-○・一五四粍ナ

リ。頭刺

ハ稍屈光性

ニ富メ

ル硝子様同

質性

ヲ呈

シ、先端尖鋭

ナル殆ト正シキ楔状

ヲナス。其大サ長徑○・○五三九-○・○七三五粍、根部

ノ幅徑○・○

一四

七-○・○

一九六粍

ニシテ各刺殆ト大差ナキ

モ、腹側

ノ刺

ハ背

側ノ刺

ニ比

シテ僅

ニ小ナルコト多

シ。敍上左右

ノ刺列

中腹側隅葉

ニ各三本

ノ角刺

(Eckstachel)アリ。

コハ比較的幼若ナ

ル蟲體

ニ於

テ

ハ顯著

ニ認メラ

ル、モ、成育

ニ伴

ヒ

漸次角刺

ノ特長ヲ失

フ

ニ至

ルコト多

シ。

即、背端

ヨリ起算

シ第九刺及第十

一刺

ハ其大サ

ニ於

テ隣接

ノ諸刺

ト甲乙ナ

キ

モ、位置

ハ其等

ノ諸刺列

ヨリ

ハ稍前方

ニ挺出

ス。

又第十

二刺

ハ之

ニ反

シ諸刺列

ヨリ著

シク後方

ニ偏在

シ、大サ特

ニ細

小

ニシテ、長徑○・○三九二-○・○四四

一粍、幅徑○・〇

一二二粍ヲ有

スル

ニ過

ギズ。

田部-

淡水産魚類

ヲ中間宿主

ト

スル吸蟲類

ノ研究

一七七

4

肉質隆起部

ヨリ頸部

ニ亙リテ、皮下

ニ多數ノ棘腺

アリ、腹吸盤以後

ニハ極メテ乏

シ。

屈光性強

キ紐状

ヲ呈

シ、頸

部

ニァリテ

ハ其開口端

ニ於

テ、長徑

約○.○○八五

-○

・○

一一四

粍

ノ細棘

ニ連

ルヲ認

ム。

四、

吸盤

。

口吸盤

ハ稍前腹側

ニ面

シテ球状

ニ隆起

ス。生鮮状態

ニ於

テ、直徑

○・二三六

一(○・一八八八-○・二五九七

)粍、昇

汞固定標本

ニ於

テ直徑○・一四八四(○・一二六

〇

-○・一六八

○)粍

ヲ有

ス。腹吸盤

ハ前者ヲ

距

ル

コ

ト

○

・五

一九

-

○

・

八七三粍

ニシテ、正圓形乃至横短橢圓形

ヲ呈

シ、著

シク大

ナ

リ。

生

體

ニ於

テ縦徑

○

・四

○○

○(○・三

七七

八-

○

・四

二五

〇

)粍、

横

徑○

・四

一九○

(○

・四

〇

一四-

○・四

四

八六)粍、昇汞固定標本

ニ於テ縦徑○・二九

二六(○・二五二〇-

○・三五〇〇)粍、横徑○・三〇八○(○・二八○○-○・三

五

〇〇

)粍

ナ

リ。

五、消化器。

口吸盤内

ニ漏斗状

ノ口腔アリ。厚

キ筋壁

ヲ有

スル、長徑○・一○

一五-○・二○三○粍

ノ前咽頭

ヲ經

テ咽頭

ニ連

ル。

咽頭

ハ橢圓形

ニシテ強大ナリ、生體

ニ於テ長徑○・二二四三(○・一八

九○-

○

・二三

六○

)粍、

幅

徑○・二○○六(○・

一八

八八

-

○・二

一二五

)粍

、

昇汞固定標本

ニ於テ長徑○

・一七

八五(○

・一五

四○-

○・一九

六○

)粍、

幅

徑

○

・一五

二

二(〇

・一四

○

○-

○

・一八

二○

)粍

ヲ算

ス。

食道

ハ長徑○・二

一二五-○・三○六九粍

、

前端稍膨隆シ陰莖嚢

ノ直前

ニ

於

テ兩腸脚

ニ分岐

ス。腸管

ハ體側

ヲ後走

シ左右

ノ盲端

ハ後端

ニ近

ク相竝

べリ。

六、排泄器。

左右體側

ニ各

一條

ノ排泄管走行

シ、殆

ト蟲體後端

ヨリ前端

ニ達

ス。

共間

ニ於テ多數ノ樹枝状ヲ呈スル毛細管

ヲ受

ケ

タ

リ。排

泄管

ハ多數

ノ顫

毛

Cilien

ヲ有

ス。

咽頭附近

ヨリ後睾丸ノ稍後方

ニ及

プ間

ニ於

テ殊

ニ著明ナリ。顫毛

ハ長

サ○

・〇

二

二八-

○

・○

二五七

粍

アリ、

管

壁

ニ沿

ヒ約

○

・○○八

五-

○

・○

一

一四粍

ノ範圍

ニ限局

シテ馬尾状

ニ多數集

束

ス。

其先

端

ハ前方

ニ向

ヒ、

生體

ニアリ

テ

ハ常

ニひらひらト活溌ナル焔状運動

ヲ營メリ。

此顫毛群

ハ排泄管壁

ノ兩

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

　一七八

5

側

ニ規則正

シク交互對向

シテ發生

シ、各群間ノ距離

ハ略、〇・○三四三-○・○三七

一粍

ヲ算

ス。

排泄嚢

ハ極メテ強

ク發育

シ、蟲體最背側

ヲ殆

ト全身

ニ亙

リテ分布

セリ。

體尾中央

ニ存在

スル排泄孔

ヨリ後睾丸ノ

後緑

ニ至

ル間

ハ比較的廣

キ管腔

ヲ形成

スルモ、之

ヨリ左右兩脚

ニ分岐

シ體側

ヲ前走

シ、

口吸盤

ノ背側

ニ於

テ各敍上

左右

ノ排泄管

ニ連

ル。此排泄嚢脚

ハ頸部

ニ於テ殊

ニ著

シク、迂曲

スルノ外、兩側

ニ多數

ノ樹枝状岐別

ヲ出

セリ。

七、神經。

肉質隆起部

ノ前端

ニ近

ク左右腦神經節

アリ。口吸盤

ノ直後

ニ接

シ、前咽頭

ノ背

側ヲ通

ジテ相連結

ス。

腦神經節

ノ

前端

ニハ小突起

アリ、後方

ニ向

ツテ

ハ強大ナ

ル神

經ノ發走

スルヲ認

ム。

八、生殖器。

雄性生殖器

ニハ睾丸

・輸精管及陰莖嚢

アリ。

睾丸

ハ體長中三分

ノ

一部

ヨリ稍後方

ニアリ、兩者接

着相前後

シテ存

ス。

圓形又

ハ不正長圓形

ヲ呈シ、兩者

ノ接觸

面

ハ壓

セラ

レテ稍扁平ナル

コトアリ。

表面

ハ通常平滑ナ

ルモ、極メテ稀

ニ淺

キ截痕状皺襞

ヲ認

ムルコトアリ。生體

ニ於

ケ

ル大

サ

ハ前睾丸縱徑○・六○五九(○・四七二二-○・七三

一九)粍、横徑○・六

一三八(○・四七二二-○・七○八

三)粍、後睾丸縱徑○・六八四六(○・四七三

・○・九九

一六)粍、横徑○・五五六○(○・三五四

一-○・六六

一○

)粍ナ

リ。

又昇汞固定標本

ニ於

テ

ハ、前睾丸縱徑○・四三○八(○・三五○○-〇

・五七四○)粍、横徑○・三九三五(○・三二

二○-○・四七六○)粍、後睾丸縱徑○・四八六五(○・三九二○-○・六

一六○)粍、

横徑○・三六七五(○・二九四○-

○・四二○○)粍

ヲ算

ス。

輸精管

ハ前睾

丸ノ左前側及ビ後睾丸

ノ右前側

ヨリ發

シ、共

ニ體

ノ背側

ヲ前走

シ、

兩者相合

シテ陰莖嚢

ノ後

端

ニ入

ル。陰

莖嚢

ハ腹

吸盤

ノ前背側

ニ接

シテ存

ス、其後端

ハ腹吸盤ノ後縁

ヲ越

エズ。

腹吸盤

ノ稍前方腸分岐部

ノ直後

ニ位

ス

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

　一七

九

6

ル生殖孔

ニ開

ク。形態橢圓

ニシテ筋壁稍厚

ク、大サ生體

ニ於

テ長徑○・四

一三

二(○・三五四

一-○

・六六

一〇

)粍、幅

徑○・二三九○(○

・一四

一六-

○・三五四

一)粍、

昇汞固定標本

ニ於

テ長

徑○・二三三三(○・一六八○-○

・三七八○

)

粍、幅

徑○・一五四○

(○・一二六○-○・一八

二○)粍ナ

リ。

内

ニ二室

ノ貯精嚢、攝護腺及ビ短小薄壁

ノ射精管

ヲ有

シ、陰莖

ヲ認メズ。

雌性生殖器

トシテ卵黄腺

・卵集・受精嚢

・めーりす氏腺・らうれる氏管及ビ子宮

ヲ有

ス。

卵黄腺

ハ全

ク後體部

ヲ充

タシ、前

ハ腹吸盤中央ノ高サ乃至腹吸盤

ノ前縁ヲ超

エテ陰莖嚢

ノ高

サ

ニ達ス。

卵黄管

ハ

前睾丸直前

ヲ背面

ニ近

ク左右

ヨリ横走合致

シ腹側

へ走

ル。

卵巣

ハ前睾丸ノ前

ニ於

テ稍右背

側

ニ偏

セリ。

形體卵圓、邊縁平滑、大サ生體

ニ於テ長徑○・三四○六

(○・二五九

七-○・四九五八

)粍、幅徑○・一七五三(○・一四

一六

-○・二三六

一)粍、

昇汞固定標本

ニ於

テ長徑○・一八五五(○・

一六八○-○.二

一○○

)粍、幅

徑○・一四○○

(○・一一二○-○・一八

二○)粍ナリ。迂曲後走

スル太キ輸卵管

ヲ出

ス

。めーりす氏腺

ハ卵巣

ノ左側

ニアリ、略

ホ圓形

ヲ呈

ス。

此附近

ニ至リ輸卵管

ハ略

ホ直角

ニ屈曲左走

シ、卵黄總管

ト

合

シ、らうれる氏管

ヲ受

ケ、受精嚢

ト連結

シ子宮上腔

ニ移行

セリ。

受精嚢

ハ卵巣

ノ後腹側

ニアリ、横長圓形

ヲ呈

ス。其形態大サ

バ内容

ノ多少

ニヨリテ

一定

セズ。

子宮

ハ極メテ短

ク蹄係僅ナリ。約四囘曲折

ノ後、腹吸盤ノ後側

ヨリ左背側ヲ前走

シ、

陰莖嚢

ノ左方

ニ竝ビテ生殖

孔

ニ開

ク。卵手

ノ數

ハ比較的少

シ。

九、卵子。

形態。卵圓形若

ク

ハ長橢圓形ナ

リ。

時

トシテ

一側

ハ他側

ニ比

シテ強

ク彎曲

シ稍不正ナ

ル卵圓

形

ヲ呈

ス

ル

コト

ア

リ。 田

部-淡水産魚類ヲ中間宿主トルス吸蟲類ノ研究

一八○

7

大

サ。長

徑

○・一一三

四(○

・○

九八○-

○

・一二四

九)粍

、幅徑

○

・○六八

○(○

・○五八

八-

○

・○七三

五)粍ナ

リ。

卵殼。色淡黄

ニシテ、透明菲薄、甚狭

キ二重界線

ヲ示

ス。

前極

ニ小蓋

アリ、其接合線

ハ正圓形

ニシテ甚ダ明瞭

ナ

リ。

直

徑

○・○

二三

○

(○

・○

一九六-

○・○

二五○

)耗

ヲ有

ス。

卵殼

ノ口縁

ハ甚ダ細微ナ

ハ鋸齒状

ヲ呈

スハモ、肥厚

若

ク

ハ隆起

ヲ認

メ

ズ。

後

極

ハ稍

狭

鋭

ニシテ、

僅

ニ増厚

ス、

時

トシテ著

シキ肥厚

乃至

結節

ヲ認

ム

ハ

コトア

リ。

内容。

一箇

ノ卵細胞

ト多數

ノ卵黄細胞

トヲ有

ス。

卵細胞

ハ正圓形

ニシテ大

サ直

徑○

・○

一二

二-

○

・○

一七

一粍

ア

リ、稍屈

光

性

ニ富

ミ主

ト

シテ前

極

小蓋

ニ近

ク位

セリ。

卵黄細胞

ハ圓形或

ハ相壓

セラ

レテ不正圓形乃至多角形

ヲ呈

シ、

多數桑實状

ニ集

合

セリ。

大サ小ナ

ル

ハ直徑

○・○

一二

二

-

○

・○

一七

一粍

ニシテ、

大

ナ

ル

ハ直徑

○

・○

一九六

-

○・○

三

一八

粍

ニ及ブ。

時

ト

シテ更

ニ著

シク膨

大

ナ

ルヲ見

ハ

コト

アリ。

内

ニ屈

光性強

キ核

(直徑

○

・○○四

九-

○

・○

○七

三粍)及ビ卵黄顆粒ヲ有

ス。

從來本邦

ニ於

テ人體

ニ見出サ

レタ

ル蟲卵

中

、本

吸

蟲卵

ニ最

モ酷似

シ鑑

別

ヲ要

ス

ル

ハ、

肥

大吸蟲

Fasciolopsis buski

ノ卵子ナリ。

同蟲卵

ニ比

スレバ、本吸蟲卵

ハ形態及ビ内容

ニ於

テ類似

スレトモ、大ナ稍小ナ

ハト卵殼著

シク菲薄ナ

ル點

ニ於

テ差違

ヲ有

セリ

敍

上

ノ體

制

ヲ通

覧

ス

ル

ニ、

本

吸蟲

ハ

Echinochasmus屬

ノ

一種

ナ

ルコト明

カナ

リ。

余

(22)

ハ大

正八

年五

月京

都醫

學

會

ニ於

テ本吸蟲

ノ分類學的觀察

ヲ試

ミ、本吸蟲

ハ

Echinochasmus perfoliatus(Ratz)

ニ近似

シ恐

ラ

ク其變

種

ナ

ラ

ン

ト

思

ハル

、モ、

未

グ

Ratz氏

ノ原著

ヲ手

ニシ得

ザ

ルガ故

、確

實

ナ

ル

同

定

ハ之

ヲ

保

留

シ

、

Echinochpsmus perfoliatus var.

japonicus

ト命

名

セ

ル旨

ヲ

發

表

セ

リ

。

然

レ

ト

モ其後、五島博士滞歐中ノ好意

ニヨリ

Ratz氏

論著

摘要

竝

ニ圖

譜

ヲ調

査

シ

得

ル

ニ及

ビ

、

本

吸

蟲

ハ正

ニ

Echinochasmus perfoliatus(Ratz)

ト

同

一種

ト

目

ス

べ

キ

モ

ノ

ナ

ル

コ

ト

明

カ

ト

ナ

レ

リ

。

今海外

ニ於

ケル本種發見

ノ歴史

ヲ囘顧

スルニ、

一九○

二年

M

otas

及

ビ

Straulescu

ハ

ル

ー

マ

ニ

ア

・

ブ

カ

レ

ス

ト

獸

醫學校

ニ於

テ、

二頭ノ独犬

ノ小腸

ヨリ初

メテ本吸蟲

ヲ採

集

シ

タ

レ

ト

モ、

氏

等

ハ當

時

之

ヲ

D

istomum echinatum

ト

同

田部-淡水産魚類チ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

　一八

三

8

視

セ

リキ。

其

後

St. v. Ratz(19)

ハ

一九

○八

年何

牙

利

ニ於

テ、

犬

猫

ノ小腸

ヨリ本

吸蟲

ヲ得

テ

Echinostomum perfoliatum

ト命

名

報

告

セリ。

次

デ

一九

○九年

Railliet及

ビ

Henry(18)

ハ前

記

Motas等

ノ得

タ

ル吸

蟲

標本

ヲ檢

シテ、

新

種

ナ

リ

ト

シ

Echinostoma gregale

ナ

ル名

稱

ノ下

ニ之

ヲ記載

シタ

レト

モ、版

成

リテ後

Raizノ報

告

ア

ルヲ知

リ、其

兩

者

ノ同

種

ナ

ル

コトヲ肯

定

セリ。

尚

ホ又

Ciurea(1)(2)

ハ

一九

一五

年

ルー

マ

ニア産

仔豚

ニ於

テ本吸蟲

ノ寄

生

ヲ認

メ、

更

ニ

一九

二○年

ダ

ニュー

ブ河産

魚

類

ノ攝

食

ニヨリ本吸蟲

ノ寄

生

ヲ見

ル

コト

ヲ動物

試驗

ニヨリテ證明

シ之

ヲ報告

セ

リ。

第

二

章　

本

蟲

ノ

發

育

史

第

一

節　

卵

子

孵

化

及

ビ

仔

蟲

本蟲

ノ卵子

ハ蟲體内

ニアリテ

ハ未ダ孵化

ヲ始メズ。

糞

便

ニ混ジテ宿主體外

ニ排泄

セラ

レシ後、數日

ヲ經

ルモ依然

トシテ舊態

ヲ變

ゼズ。

此等卵子

ニ清水

ヲ加

へ、毎日

一囘換水

シ、其

一半

ヲ攝氏十五度乃至二十五度

ノ室内

ニ、又他

半

ヲ攝氏三十七度孵卵器内

ニ放置

セ

ル實驗

ニヨレバ、

前者

ハ二週間ヲ經

ルモ、卵細胞微

ニ膨大

スルノ外何等

ノ變化

ヲ呈

セザ

リシ

ニ反

シ、後者

ハ速カ

ニ發育

ヲ開始

シ、

一週日

ニシテ仔蟲完成

シ、其或

ルモノハ卵殼

ヲ脱

シテ水中

ニ游

泳

スルヲ認メタリ。

由是觀之、本蟲卵子

ノ孵化發育

ニハ勿論

一定ノ要約

ヲ必要トシ、殊

ニ適當

ナル環境竝

ニ温度

ハ

其發育

ヲ著

シク促進

セシムルコト明カナリ。

本蟲卵子發育

ノ初期

ニ於

テ

ハ、卵細胞

ハ全面

ニ鮎線状

ノ規則正

シキ紋理

ヲ現

ハシ、直徑約○・○二粍

ノ大サ

ニ膨大

ス。卵黄細胞亦多少増大

シ、其包有

スル細微顆粒

ハ分子運動著

シ。

卵細胞

ノ表面

ニハ次第

ニ二三

ノ小隆起

ヲ現

ハシ

來

ル。

是、分胞

ノ初期

ニシテ、顯微鏡加温装置ノ下

ニ之

ヲ窺

ヘバ、卵細胞著

シク延長

シテ瓢箪形

ヲナシ、中央漸次

ニ強

ク括

レテ、數分間

ニシテ全

ク分胞完了

スルヲ觀察

シ得

ベシ。

斯

クシテ孵卵器内

ニ於

テ

ハ二十四時間

ニ數箇

ノ細

胞

ヲ生ズ。

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

一八二

9

二日目

ニハ分胞更

ニ著

シク進

ミ、多數

ノ細胞

ハ桑實状

ニ集合

シ、直徑約○・○三四粍ノ團塊ヲ呈

ス。

三日目

ニハ細胞團更

ニ増大

シ、略

ホ卵殼ノ形態

ニ一致

シテ長形

トナリ、

大サ長徑約○・○四四-○・〇四七粍、幅

徑約

○・○三九粍

ニ及

ブ。其細胞

ハ大圓形ノ

モノト小顆粒状

ヲナ

スモノトノ二群

ニ分

レタリ。卵黄細胞

ハ界明瞭

ニシ

テ周邊

ニ殆

ト單層

ヲナ

シテ並列

ス。

四日目

ニハ中央細胞團

ノ長徑○・○四六-○・○六

-粍

ニ達

シ、其

一端

ニ大ナ

ル半月状嚢樣

ノ殼膜細胞出現

ス。

多

數

ノ卵黄細胞

ハ尚

ホ之

ヲ圍繞

シテ原形

ヲ保テリ。

五日目

ニハ細胞團

ノ増大更

ニ著

シク、二箇

ノ大ナ

ル殼膜細胞

ト共

ニ卵殼内

ノ大部分

ヲ占

ムル

ニ至

ル。

卵黄細胞

ハ

殆

ト融解消失

セリ。

六日目

ニハ若

キ仔蟲

ノ形成

ヲ見

ル。

仔蟲

ハ菲薄

ナル殼膜

ニヨリテ包

マレ、略、橢圓形

ニシテ長徑○・○六四-○・

○八八粍、幅

徑○・○四

一-○・○四九粍

ノ大サヲ有

ス。時

々蠕動運動ヲ呈

ス、體表顫毛

ハ長

サ約

○・○○五耗ナリ。

七日目、仔蟲完成

ス。

卵殼内側

ニハ相連接

セル二箇

ノ殼膜細胞アリ。細胞體

ハ大嚢胞状

ヲ呈

シ、無色透明ナ

ル油

状液

ヲ充タ

ス。核明カ

ニ認メラル。

該細胞

ノ

一部

ハ即チ極メテ菲薄ナ

ル硝子樣透明

ノ殼膜

ヲ形成

シ仔蟲

ヲ完全

ニ被

包

ス。殼膜内

ニハ其他多少

ノ卵黄顆粒

アリ。

仔蟲

ハ卵殼内

ニ於

テ時

々盛ナ

ル伸

縮若ク

ハ蠕動的運動

ヲ營

ミ形態

一定

セズ、長圓形、徳利形、或

ハ紡錘形等種

々ノ姿態

ヲ呈

ス。長徑○・○九○六-○・〇九五〇粍、幅徑○・○四

一六-○・

○五三九粍

アリ。體表顫毛

ハ時

々尾方

ニ向

ツテ活溌ナ

ル波状運動

ヲ起

ス。

發育完成

セル仔蟲

ハ自

ラ卵殼小蓋

ヲ内

ヨリ押開キテ、外界

ニ脱出

ス。

水中

ニ在

リテ

ハ、盛ナル顫毛運動

ニヨリ長

軸

ヲ中

心トシテ廻轉

シツ

ヽ前進

シ、活溌

ニ游泳

ス。

脱殼

セル仔蟲

ハ形態略

ホ紡錘形若

ク

ハ前端尖鋭ナ

ル圓〓形

ヲ呈

シ、無色ナリ。大サ長徑○・一四七-○・一五九粍、

幅

徑○・○五八-○・○六

一粍

ヲ有

ス。體表

ニハ多數

ノ顫毛上皮細胞

アリ。

前後

ニ四列

ヲナ

シ、略、規則正

シク連接

田部-淡水産

魚類ヲ中間

宿主ト

スル吸蟲類

ノ研究

　一八

三

10

並列

シ、同

一列

ノモノハ各殆ト同形同大ナリ。

前端

ノ第

一列細胞

ハ約六箇、細長ナ

ル二等邊三角形状

ヲ呈

シ、各頂

點

ハ前端

ニ近

ク集

レリ。第

二列

ハ約八箇、略、隅角鈍圓ナ

ル長方形状

ヲ呈

ス。

第三列

ハ約六箇

ニシテ前列細胞

ヨリ

稍短キ長圓形

ヲ呈

ス。第四列

ハ約三箇

ニシテ仔蟲後端

ヲ包

ム。此等細胞

ノ表面

ニハ無數

ノ顫毛密生

ス、其長

サ約

○・

○

一粍孰

レモ殆

ト同

長ナ

リ。各、上皮細胞中層

ニ規則正

シク並列

セル基底顆粒

ヨリ發生

セリ。

細胞各列

ノ界

ニハ細

狭ナ

ル無毛ノ間隙

アリ、表面平滑、輕ク外方

ニ突隆

ス。前端中央

ニ嘴

(Rostellum)アリ、乳頭状

ニ突出

ス。之

ニ續

キテ腸竝

ニ頭腺

アリ。

X字状

ヲ呈

スル眼點

ニハ黒褐色

ノ顆粒集在

シ、前端

ヲ距

ル約○・○

一七-○・〇三○粍後方

ニ

位

ス。其稍後方

ニ巨大ナ

ル神經節

アリ。

略、體

ノ中央

ニ當

リテ二箇

ノ終末細胞對稱的

ニ並在

ス。後方

ニハ數箇

ノ胚

細胞認メラル。

第

二

節　

中

間

宿

主

大正

四

年余

(21)

ハ本

吸蟲

ノ中

間宿

主

ト

シテ、

岡山産

お

いかは屬

二種

ノ魚類

ヲ擧

ゲ

タ

ルガ、

武

藤博

士

(13)

ハ大

正

七年京

都府

下

巨椋

池産

ノ魚

類

、

かま

つか

Pseudogobio esocinus及

ビな

がた

な

ご

Acheilognathus elongatusノ二種

ヲ試

食

セ

シ

メ

タ

ル犬

ニ本

吸蟲

ノ寄

生

ヲ證明

セ

ル

コト

ヲ報

シ、

又

Ciurea(2)

ハ

一九

二〇年

ダ

ニュブー河

産

鯉科

魚類

七種

(Scardinius

erythrophthalmus, Abramis brama, Tinca tinca, Esox lucius, Aspius aspius, ldus idus, Blicca bjorkna)ヲ以

テ犬猫

ニ試

食

實驗

ヲ行

ヒ、本

吸

蟲

ヲ得

タ

ル

コトヲ記載

セリ。

尚

ホ余

ハ大

正八年

前

報

ニ次デ十

六種

ノ魚

類

ヲ追

加

シタ

ルガ、其

後此

等

魚類

ヲ中

間宿

主

トス

ル

Echinochasmus屬

吸蟲

ハ二種

ニ區

別

ス

ベク、即

、

本吸蟲

ノ外

ニ余

ガ別報

スべキ

一新種

ノ存

在

ス

ル

コト闡

明

セ

ルヲ以

テ、余

ハ更

ニ此

等魚

類

ニ就

テ鑑別

的檢

査

ヲ反

覆

シ、

犬

猫

ニ於

ケ

ル試食

實驗

成績

竝

ニ後述

被

包嚢

幼

蟲

ノ檢

出

ニヨリ、本

吸蟲

ノ中

間宿主

ナ

ル

コト

ヲ證

明

シタ

ル

ハ左

記十

一種

ノ淡

水産魚類

ナ

リ。

田部-淡

水産

魚類

ヲ中間宿主

ト

スル吸蟲類

ノ研究

一八四

11

備考。

採集

セ

ル所

ハ主ト

シテ東京

市外隅

田川支流

・京都府下巨椋池

・岡山市外西川支流

・滋賀縣琵琶

湖ナリ。

田部-淡水産魚類

ヲ中間宿

主ト

スル吸蟲

類

ノ研究

一八五

12

此等魚類

ニ於ケ

ル被包嚢幼蟲寄生

ノ程度

ニ就

テ

ハ、

同

一種

ノ魚

ニアリテモ其棲息地ヲ異

ニス

ルニ從

ヒ大差

ア

ルガ

故、固

ヨリ

一定

ナラザ

レトモ、ぎ〓・やりたなご・どんこ

ニ於

テ殊

ニ甚著

シキ寄生

ヲ見

タルコトアリ。

中

間宿主

ニ於

ケ

ル被包嚢幼蟲

ノ寄生部位

ハ專ラ鰓葉

ニシテ、其中軸附近或

ハ之

ニ接

シテ存在

ス。

鱗若

ク

ハ爾他

ノ

臟器

・組織等

ニハ之

ヲ認メズ。

第

三

節　

被

包

嚢

幼

蟲

余

ガ前報所載

ノ被包嚢幼蟲

ハ既報

ノ如

ク

一新吸蟲

Stamnosoma　armatum

ニ屬

スルコト明カトナ

レリ。余

ハ其後前

述魚類

ノ鰓葉

ニ屡、

一種

ノ被包嚢幼蟲存在

スルヲ認メ、犬及ビ猫

ニ試食實驗

ヲ行

ヒ本吸蟲

ノ寄生ヲ證明

シタリ。

包嚢

。

橢圓

形

ヲ呈

シ、無

色硝

子樣

、稍強

屈光

性ナ

リ。

ヨク成熟

セ

ル

モノ

ハ大

サ長

徑○

・○

九

二

一

-○

・一三

四

二粍、

幅

徑○

・○七

一三-

○

・○

九七

一粍

ヲ有

ス。

幼蟲。包嚢内

ニアリテ

ハ多

ク

ハ體軸

ヲ包嚢長軸

ニ一致

セシメテ短縮静止

スレトモ、

時

トシテ體

ヲ著

シク伸展屈折

セシメ或

ハ伸縮運動

ヲ呈

スルコトアリ。

包嚢

ヨリ取出

セル幼蟲

ハ橢圓形乃至長圓形

ヲ呈シ、長徑○・○九七-○・一

四

二粍、幅徑○・○七

-○・一○三粍

ヲ有

ス。蟲體

ハ無色ナ

レト

モ時

トシテ淡黄色

ヲ呈

スルコトアリ。眼點・色素顆粒

等

ヲ認メズ。肉質隆起部

ハ淺

キ截痕

ニヨリテ體部

ト明カ

ニ區別

セラル。體表

ハ角皮膚薄

ク皮棘密生

セリ。

肉質隆起

部

ニハ左右各十

二本宛

一列

ヲナ

ス頭刺

アリ、左右

ノ刺

ハ背側正中線上

ニ於

テ約○・○三三粍

ノ間隔

ヲ有

ス。背側

ニ在

ル頭刺

ハ最大

ニシテ約

○・○

一二粍

ニ及ブ。角刺著明

ニ認メラル。口吸盤

ハ稍腹側

ニ開

キ正圓形乃至橢圓形ヲ呈

ス。

縱徑○・○四〇-○・○四六粍、横徑○・○四三-○・○五三粍

アリ。

腹吸盤

ハ略、體

ノ後

三分

ノ

一部

ノ前界

ニ在

リ、

圓形乃至横橢圓形

ヲ呈ス。

縱徑○・○四三-○・○四九粍、幅徑○・○四三-○・○五七粍

ヲ有

ス。口吸盤

ニ續

キテ極

メテ短小ナ

ル前咽頭

アリ。

咽頭

ハ長圓形乃至橢圓形

ニシテ、

縱徑○・○二五七-○・○三

一四粍、

幅徑○・○

二○-

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

一八六

13

○・〇

二七粍

アリ。食道

ハ細長

ニシテ腹吸盤直前

ニ於

テ兩腸脚

ニ分岐

シ後體部

ニ及ブ。食道及ビ腸

ノ内容

ハ時

ト

シテ

帯黄色

ヲ呈

スルコトアリ。

排泄嚢

ハ殆、蟲體

ノ全長

ニ亙

リ、特異ナ

ル叉状

ヲ呈

ス。後體部中央

ニ於テ

ハ廣

キ嚢腔ヲ

形成

シ尾端

ニ開

口

スルモ、前

ハ略、腹吸盤直後

ニ於

テ兩脚

ニ分岐

シ、

共

ニ體側

ヲ前行

シテ咽頭兩側

ニ至

レバ細管状

トナリ、

口吸盤兩側

ニ終

レリ。

此前端

ニ於

テ、尾端附近

ニ發

シ體側

ヲ前走

スル左右各

一條ノ排泄管

ニ連

レリ。排泄

嚢

ハ多數

ノ顆粒

ヲ充滿

ス。顆粒

ハ圓形乃至橢圓形

ヲ呈スル強屈光性

ノ小體

ニシテ、厚

キ二重界線

ヲ示

ス。

大サ直徑

凡○・○○三-○・○

一四粍

ヲ有

シ、後端

ニ近

キ

モノ

ハ概

ネ小形ナ

リ。

其數約

二十乃至五十餘

ニシテ、排泄嚢

ノ走行

ニ從

ヒテU字形

ニ羅列

シ、殊

ニ腹吸盤附近

ニ密集

セリ。

尚

ホ

Ciurea(2)

ハ一九

二○年ダ

ニューブ河産魚類

ヲ犬猫

ニ試食

セシメ、本吸蟲

ノ寄生ヲ證明

シタ

ルガ、

又此等魚類

中最良ナル中間宿主

ト認メラ

ル

、

Tinca tinca及ビ

Idus idusヲ檢

シテ其鱗殊

ニ側線管内

ニEchinostomum

被包嚢幼

蟲

ノ

一種

ヲ發見

シ、其

恐ラク本吸蟲ノ幼蟲ナ

ルべキ

コトヲ記載

セリ。

該被包嚢幼蟲

ノ包嚢

ノ大サ長徑○・一九七粍、

幅徑○・一四七粍

ニシテ、包嚢

ヨリ取出

セル幼蟲

ハ長徑○・一九七粍、幅徑○・○八八粍

アリ。肉質隆

起部

ニハ單列

二

十七本

ノ頭刺

ヲ有

シ、背

側

ニ於

テ中斷サ

レズ。

斯

ノ如ク該幼蟲

ノ頭刺數竝

ニ發生状態ガ本吸蟲

ニ於ケ

ル所見

ト

一致

セザル點

ハ同氏

モ既

ニ疑義

ヲ懷キタ

ルト

コロナルガ、余

ガ敍上

ノ本吸蟲

ノ幼蟲ト比軟

スルモ、

構造

上全ク異種ナ

ル

コト明カナリトス。

第

三

章　

本

蟲

ノ

生

態

及

ビ

分

布

本吸蟲

ノ終末宿主

トシテ、歐洲

ニ於

テ報告

セラ

レタル

ハ犬猫及ビ豚

ナリ。

本邦

ニ於

テ余ガ當初認メタル宿主

モ亦

猫

ニシテ、魚類試食實驗

ニ徴

スル

ニ犬及ビ猫

ハ孰

レモ本吸蟲

ノ良好ナ

ル宿主

タルヲ知

ル。

武藤博士

ハ京都府下佐山

村産

ノ猫

ニ於

テ本吸蟲

ノ寄生ヲ見タ

ルコトヲ謂

ヘルガ、余

ハ又岡山縣下三蟠村産猫三頭及

ビ妹尾

町産猫二頭

ニ於テ、

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

　一八

七

14

本吸蟲

ノ自然的寄生

ニ遭遇

セリ。

蓋、本吸蟲

ハ猫

ニアリテ

ハ地方的

ニ比較的屡自然的

ニ見

ラル

ヽモノナ

ルガ如

シ。

本吸蟲

ノ人體寄

生性

ニ關

シテ

ハ後章

ニ讓

ル。

終末宿主

ニ於ケ

ル寄生部位

ハ、小腸

ニシテ主

トシテ其中央部以下

ニ集在

ス。

宿主死亡後

ニハ腸粘膜表層

ニ現

ハレ

來

レトモ、常態

ニアリテ

ハ多

ク

ハ深

ク絨毛間

ニ進入介在

シ、吸盤

ヲ以

テ固

ク粘膜

ニ吸着

セリ。

此際肉質隆

起部

竝

ニ

頭刺

ハ傘

ノ如

ク開

キテ蟲體

ノ後退

ヲ防

グガ故

ニ、蟲體

ヲ分離

スルコト甚ダ困難ナ

リ。

分布。本吸蟲

ノ分布

ハ其中間宿主タ

ル魚類

ノ分布

ト密接ナ

ル關係

ヲ有

スル

ハ勿論

ナリ。

海外

ニ於

テ本吸蟲

ノ發見

セラ

レタル地方

ハルー

マ

ニア及ビ匈

牙利

ニシテ、其

ダ

ニューブ河流域

ニ多カ

ルベキ

ハ

Ciurea

ノ研究

ニ由

ルモ明カナ

リ。

本

邦

ニアリテ

ハ武藤博士

ハ京都府下

ニ於テ、西尾恒敬氏

ハ宮城縣下

ニ於

テ本吸蟲

ヲ得

タ

ルコトヲ記

セルガ、余

ハ既記

ノ如

ク岡山

ノ外、東京・京都・滋賀各地方産魚類

ヲ以

テスル試食實驗

ニヨリテ、本吸蟲

ノ寄生

ヲ證明

シタリ。

第

四

章　

本

蟲

ノ

病

源

的

意

義

本吸蟲

ハ宿主腸壁

ニ於

テ絨毛間

ニ深

ク進入介在

スルコト多

キ

ハ既述

ノ如

シ。

斯カ

ル部分

ヲ組織的

ニ檢査

スル

ニ、

粘膜

ハ細血管

ノ充盈著

シク、粘膜上皮及ビ固有層

ハ蟲體

ノ吸看

ニヨリテ乳頭状

ニ強ク吸盤内

ニ吸入緊約

セラ

レ、

蟲

體

ノ深部

ニ強

ク介入

セル周園

ノ粘膜上皮

ハ著

シキ壓迫萎縮

ヲ來

セルコトアリ。

其他特

ニ著

シキ組織

ノ荒蕪

・缺損等

ヲ認メザ

ルガ、右

ノ所見

ニ徴

スルモ、

斯

クノ如キ吸盤吸着及ビ蟲體殊

ニ體表

ノ強

大ナ

ル頭刺及ビ皮棘

ノ機械的刺戟

ハ、恐ラ

クヨク腸壁粘膜

ノ機能障碍若

ク

ハ炎性變化

ヲ惹起

シ得

べキ

ハ疑

ナキト

コロナ

リ。

實驗的

ニ本吸蟲

ヲ寄生

セ

シメタ

ル犬猫

ニアリテ

ハ、蟲體少數ナ

ルトキ

ハ外觀上殆、何等

ノ障碍

ヲ認メザ

ルニ反

シ、

寄

生著

シキトキ

ハ屡、粘

液血便

ヲ漏

ラシ頑固ナ

ル下痢

ヲ來

スヲ見

ル。其腸壁ヲ開檢

スル

ニ高度ナ

ル加答兒性炎症ヲ呈

スルコト多

シ。

尚

ホ極

メテ多數

ノ本吸蟲被包嚢幼蟲

ヲ與

ヘタ

ル生後三箇月

ノ小猫三頭

ハ、

孰

レモ急怪腸炎

ノ症状

ノ下

ニ高度ナ

ル貧血及

ビ

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

一八八

15

羸

痩

ヲ伴

ヒテ、

試食

後

二十三

日

ニシテ衰

脱斃

死

セルヲ見

タリ。

又既

ニ

Railliet及

ビ

Henryノ記載

スルト

コロ

ニ由

ル

モ、

一九

〇

二年

Motas及

ビ

Straulescu

ガ

ルー

マ

ニア

・ブカ

レスト

ニ於

テ剖

檢

セ

ル二頭

ノ犬

ニハ、

小

腸粘膜

ヲ全

ク

被

覆

ス

ル程

多數

ナ

ル本

吸蟲

ノ寄

生

アリ、

其

一頭

ハ急性

腸炎

ニヨリ、

又他

ノ

一頭

ハ舞

蹈病

及

ビ赤痢

ヲ伴

ヘル麻

痺

症

ニ

ヨリテ死亡

セ

シ

モノナ

リト云

フ。

由

是觀

之、本

吸蟲

ノ宿主

ニ對

スル病

源的作用

ハ主

ト

シテ寄

生

ス

ル蟲

體

ノ數

ニ關係

アリ。蟲

體

ノ寄

生少

數

ナ

ルトキ

ハ、殆

、無

害ナ

リト謂

ヒ得

べシト雖

、其

比較

的多

數

ニ來

レ

ルトキ

ハ、

腸

壁

ノ高

度

ナ

ル炎症

ヲ惹

起

シ、甚

シキ

ニ至

リテ

ハ全身

的障

碍

ヲ招

來

シテ、

ヨク宿主

ノ生命

ヲ奪

フ

ニ足

ルモノナ

リ。

第

五

章　

本

蟲

ト

人

體

ト

ノ

關

係

本吸蟲

ハ既述

ノ如

ク犬猫等肉食哺乳動物

ニ寄生

スルガ、

尚

ホ余

ハ其人體

ニモ亦寄生

シ得

ルモノナ

ルヤ否

ヤヲ檢

セ

ント欲

シ、余自體

ニ就キテ下

ノ實驗

ヲ試

ミタリ。

即、余

ハ京

都府下巨椋池産はす

ノ鰓葉

ヨリ本吸蟲

ノ被包嚢幼蟲

六

箇

ヲ分離

シ、之ヲ清

水ト共

ニ嚥下

シタリ。

然

ル後

二十二日目

ヨリ隔日檢便ヲ行

ヒタルニ、三十

六日目

ノ糞便

ニ於

テ

二箇

ノ本吸蟲卵

(長徑○・一一二二粍、幅徑○・○七

一四粍及ビ長徑○・一一九○粍、幅徑○・○六四六粍

)ヲ檢出

シ得

タルガ、爾後續

イテ九十

二日目迄

ニ八囘

ニ亙リテ十七箇ヲ證明

セリ。

以上

ノ所見

ニヨレバ、本吸蟲

ハ人體

ニ亦寄生

可能ナ

ルコト明カナ

リ。

飜

ツテ本吸蟲

ノ中

間宿主

タル魚類

ハ、此等

ヲ採集

セル既記

ノ地方

ニアリテ

ハ、

日常人

ノ屡食用

ニ供

スルトコロナ

ル

コトヲ考

フレバ、

人體

ニ於ケ

ル本吸蟲寄生

ノ、事實

ニ於

テ甚

ダ稀ナ

ラザ

ルべキ

ハ推測

スル

ニ難カラザ

ルト

コロナ

リ。

既

ニ武藤博士

(13)

ハ大正七年京

都府久世郡佐山村産猫ノ腸管

ヨリ本吸蟲

ヲ得、同村民大人

一名及ビ小學校生徒

一

名

都合

二名

ノ糞便内

ニ同吸蟲卵

ト全

ク

一致

スル蟲卵

ヲ認メタル

コトヲ報告

セルハ極メラ興味

ア

ルコトナリ。

文獻

ニ徴

スル

ニ、

從來本邦

ニ於

テ、肥大吸蟲卵

ニ類似

スル

一種不明

ノ大型蟲卵

ノ邦人糞便

ニ於テ認メラ

レタ

ルモ

田部-淡水産魚類

ヲ中間宿

主ト

スル吸蟲類

ノ研究

一八九

16

ノ數例

アリ。北村・大石兩氏

(8)

ハ大正二年福岡

ニ於

テ、日本人三名

ノ糞便中

ニ肥大吸蟲卵

ニ酷似

ス

ル少數

ノ蟲卵

(大

サ長徑○・一○-

〇・一四粍、幅徑○・○六-

○・○七三粍)ヲ發見

シ、肥大吸蟲驅除

ニ有效ナ

ル「チ

モー

ル」又

ハ柘榴根

皮煎加綿馬越幾斯

ヲ投ジテ驅蟲

ヲ試

ミ檢索

シタ

レト

モ、遂

ニ母

蟲

ヲ捕捉

シ得ザ

リシコトヲ報

ゼリ。

又北村博士

(9)

ハ

大正五年大阪市及ビ福岡縣

ニ居住

セシ患者

二名

ノ糞便中

ニ肥大吸蟲卵

ニ酷似

スル

一種固有

ノ不明蟲卵

(大

サ長

徑○・

○八七-○・一〇

六粍、幅徑○・○五五-○・○六七粍)ヲ見出

シ、其

一名

ノ患者

ニ就キテ、

三囘驅除療法

ヲ試

ミ爾後

糞

便中

ニ該蟲卵

ヲ認メザ

ル

ニ至リタ

レトモ、遂

ニ其母蟲

ヲ捕

フルコト能

ハザリシコトヲ記載

セリ。

敍上

ノ報告

ニ記述

サ

レタル蟲卵

ノ性状

ハ、本吸蟲卵

ノ夫

レニ酷似

セリ。

殊

ニ後者北村博士

ノ詳細ナ

ル記載竝

ニ實

物爲眞圖

ニヨルニ、其所

謂

「ファスチオロ

プシス」型不明蟲卵

ハ明カ

ニ全

ク、本吸蟲卵

ト相

一致

セルヲ見

ル。由是觀

之、該蟲卵

ノ母蟲

ハ恐ラク本吸蟲ナ

リシコト、殆、疑

ヲ容

レザ

ルトコロナ

リト信

ズ。

之

ヲ要

スル

ニ本吸蟲

ハ既記淡水産魚類

ヲ生鮮若ク

ハ不充分ナ

ル調理煮焼

ノ下

ニ食用

ニ供

スルトキ

ハ、

人體

ニモ亦

感染寄生

ヲ見得

ルモノ

ニシテ、又敍上魚類

ヲ嗜食

スル世人

ノ習慣

ニ顧

ミルトキ

ハ、

本吸蟲

ノ人體

ニ於

ケ

ル寄生

ハヽ

蓋

シ甚ダ稀ナ

ラザ

ルベキヲ注意

セント

スルモノナ

リ。

第

六

章　

被

包

嚢

幼

蟲

ノ

抵

抗

力

食物調理法

ニ對

スル被包嚢幼蟲ノ抵抗力ヲ檢

センガ爲、豫

メ本被包嚢幼蟲ノ存在

ヲ確メタル魚類ヲ以

テ、

左

ノ實

驗

ヲ行

ヒタリ。

一、やりたなご三尾

ヲ約攝氏七十度

ノ熱湯中

ニ十分間投ジタル後、猫

一頭

ニ與

へ二十五日後

ニ剖檢

セルニ、

本蟲

ノ寄生

ヲ認メタリ。

又やりたな

ご七尾ヲ攝氏百度

ノ沸湯中

ニ十分間熱

シ、猫二頭

ニ分チ與

へ二十五日後

ニ剖檢

シタ

ルモノハ、孰

レモ寄生陰性ナリキ。

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

　一九○

17

二、もろ

こ及ビやりたな

ご十二尾

ヲ通常食用

ニ供

スル程度

ニ、兩面

ヲ強

ク炙焼

シテ

一頭

ノ小犬

ニ與

へ、

四十

二日

ニシテ剖檢

セル

ニ本蟲體ヲ認メズ。

又同魚類八尾

ヲ半面

ハ強

ク半面

ハ輕

ク不充分

ニ炙焼

シテ犬

一頭

ニ與

へ、四十六

日目

ニ剖檢

シタルモノ

ハ少數

ノ蟲體

ヲ得

タリ。

三、

も

ろ

こ及

ぜやり

たな

ご

ノ鰓葉

ヲ分離

シ、

(甲)食酢

ニ三十分間浸漬

シタ

ルモノ、(乙)醤油

ニ三十分間浸漬

シタルモ

ノ

、

(丙)味噌

中

ニ

一時

間

混

ジ

タ

ル

モノノ三

者

ヲ各

、

一頭

ノ小猫

ニ與

へ、

二十

六

日後

ニ剖

檢

シタ

ル

ニ孰

レモ多

數

ノ本吸

蟲寄生

ヲ見タリ。

以上ノ所見

ニヨレバ、

本被包嚢幼蟲

ハ高熱

ヲ加

ヘタルトキノ外、低温竝

ニ酢・醤油

・味噌等

ニ對

シテ

ハ抵抗強

ク、

ヨク其生活力

ヲ保持

スルモノナリ。

第

七

章　

概

括

一、本吸蟲

ハ其體制上、

一九○八年

Ratzガ匈牙利

ニ於

テ發見記載

シタル、Echinochasmus perfoliatus(Ratz)ト

同

一種ナ

リ。

二、本蟲卵

ハ肥大吸蟲卵

ニ酷似

スルモ、大サ稍小ナ

ルト卵殻著

シク菲薄ナ

ル點

ニ於テ差違

ヲ示

セリ。

三、本蟲卵

ハ攝氏三十七度孵卵器内

ニ於テ、速カ

ニ發育

ヲ開始

シ

一週日

ニシテ仔蟲完成

ス。

四、本邦

ニ於

テ余

ガ證明

セル本吸蟲

ノ中間宿主

ハ十

一種

ノ淡水産魚類ナリ。

五、本吸蟲

ノ被包嚢幼蟲

ハ專

ラ魚類

ノ鰓葉

ニ寄生

ス。

六、魚類試食實驗

ニ徴

スル

ニ、犬及ビ猫

ハ本吸蟲

ノ良好ナ

ル宿主

ニシテ、

殊

ニ猫

ニ於テ

ハ屡、自然的寄生

ヲ認メ

ラ

ル。

七、終末宿主

ニ於ケル寄生部位

ハ小腸

ニシテ、主

トシテ其中央部以下

ニ集

マレリ。

常態

ニアリテ

ハ、多

ク

ハ深

ク

田部

-淡

水産魚類

ヲ中間

宿主

ト

スル吸蟲類

ノ研究

一九

一

18

絨毛間

ニ進入介在

シ、吸盤

ヲ以

テ固ク粘膜

ニ吸着

セリ。

八、余

ハ岡山・東京・京都・滋賀各地方産

ノ魚類

ヲ以

テスル試食實驗

ニヨリテ、本吸蟲

ノ寄生

ヲ證明

シタリ。

九、本吸蟲

ノ宿主

ニ對

スル病源的作用

ハ、主

トシテ寄

生ス

ル蟲體

ノ數

ニ關係

アリ。

蟲體少數ナ

ルトキ

ハ殆、無害

ナ

リト謂

ヒ得

べシト雖、其比較的多數

ニ來

レルトキ

ハ、腸壁

ノ高度ナ

ル炎

症ヲ惹起

シ、

甚

シキ

ニ至

リテ

ハ全身的障

碍

ヲ將來

シテ、

ヨク宿主

ノ生命

ヲ奪

フ

ニ足

ルモノナリ。

十、余自體

ニ於

ケ

ル被包嚢幼蟲試食實驗

ノ成績

ニヨレバ、本吸蟲

ハ人體寄生可能性

ヲ有

ス。

即、本吸蟲

ハ既記淡

水産魚類

ヲ生鮮若

ク

ハ不充分ナ

ル調理煮焼

ノ下

ニ食用

ニ供

スルトキ

ハ、人體

ニモ亦感染寄生

ヲ見得

ベシ。

十

一、本被包嚢幼蟲

ハ高熱

ヲ加

ヘタルトキノ外、低温竝

ニ酢・醤油・味噌等

ニ對

シテ

ハ抵抗強

ク、

ヨク其生活カ

ヲ

保持

ス

ルモノナリ。圖

解

第

一圖　

Echinochasmus Perfoliatus成蟲

(約二〇倍大)。

第

二圖　

同

上。

第

三圖　

同

上、成蟲頭刺

第

四圖　

同上、卵子

(約

二五〇倍大)。

第

五圖　

同上、若キ仔蟲

ヲ有

スル卵

子

(約

二五〇

倍大)。

第

六圖　

同

上、犬感染後

二日目

ノ幼若蟲

(約

二五〇倍

大)。

第

七圖　

同

上、被

包嚢

幼蟲

(約

二〇〇倍大

)。

第八圖　

犬小腸壁

ニ寄生

スル

Echinochasmus Perfoliatus(斜斷面)。

田部-淡水産魚類ヲ中間宿主トスル吸蟲類ノ研究

一九二

19

文獻

1) C

iurea, J.;

Un

Echinostom

e dans l'intestin

du porc.

Centralbl.

f. B

akt. etc.

I. A

bt. O

rig. B

d. 75,

s. 392,

1915

2) •V

Sur la

source d'infection

du chien

et du

chat avec l'echinochasm

us perfoliatus

(v. R

atz) et

la question

d'infection de l'hom

me

avec les

distomes

de la

famille

des E

chinostomides.

The

Journal of

Parasitology, V

ol. V

I, N

o. 4,

1920.

3) D

ietz, E

.; D

ie E

chinostomiden

der V

ogel. Z

ool. A

nz. V

ol. 34,

N.

6, 1909.

4) •V

Die

Echinostom

iden der

Vogel.

Zool.

Jahrb. Suppl.

12, 1910.

5) 福

田謙

之;肥

大吸

蟲.東

京醫

學會

雜誌

第二

十一

巻第

二十

二號

。

6) Johnston,

S. I.; O

n the Trem

atodes of Australian

Birds.

Journal and Proceedings of the Royal

Society of N. S. W

ales, Vol. L

, 1916.

7) Jordan,

Tanaka &

Snyder; A

Catalogue of the Fishes

of Japan. Journal of the C

ollege of Science, Imperial

University of T

okyo, Vol. X

XX

III,

A

rt. 1, 1913.

8) 北

村勝

藏,大

石敏

夫;十

二指

腸蟲

卵ト誤

認セ

ヲレ易

キ「ス

トロ

ンギ

ルス

、ズブ

チリス」蟲

卵及

ビ日本

人ニ見

出セ

ル肥

大吸

蟲々卵

ニ就

テ.東

京

醫事

新誌

第一

八○

九號.大

正二

年三

月。

9) 北

村勝

藏;一

二不

明人體

寄生

蟲卵

ニ就

テ.實

驗醫

報第

二年

第十

六號.大

正五

年一

月。

10) 小

泉丹;人

體寄

生動

物學.第

二版

。

11) L

ooss, A.;

Weitere B

eitrage zur

Kenntnis

der T

rematoden-Fauna

Aegyptens,

zugleich V

ersuch einer naturlichen G

liederung des G

enus D

is

tomum

Retzius.

Zool. Jahrb., A

bt. f. Syst. Bd. X

II, 1899.

12) L

uhe, M.;

Parasitische Plattw

urmer.

I: T

rematodes.

Die Sussw

asserfauna Deutschlands.

Herausg. von B

rauer. Heft

17, 1909.

13) 武

藤昌

知;京

都府

下巨

椋池

畔ノ魚

類ヲ中

間宿主

トス

ル一

吸蟲

ニ就

テ。日本

消化機

病學會

雜誌

第十

七巻

第五

號.大

正七年

九月

。

14) N

icoll, W.;

The

trematode parasites

of North Q

ueensland. II.

Parasites of birds.

Parasitology Vol. V

II, No. 2, 1914.

15) 西

尾恒

敬;新

吸蟲

管見.千

葉醫

學専

門學校

雜誌

第一

一一

號.大

正八

年四

月。

田部-淡

水産魚類

ヲ中間宿主

トス

ル吸蟲類

ノ研究

一九三

2016)

Odhner, T

h.;

Nordostafrikanische Trem

atoden, grosstenteils vom W

eissen Nil. I. Fascioliden. Jagerskiold:

Results of the Sw

edish Zoological E

xpedition to Egypt and the W

hite Nile 1901, N

o, 23A.

17) Fasciolopsis buski, ein bisher w

enig bekannter Parasit des Menschen in O

stasien. Centralbl. f. B

akt. etc. Bd. 31, 1902.

18) R

ailliet, A. et H

enry, A.;

Sur un Echinostom

e de l'intestin du chien. Paris C

. R. Soc. B

iol. 66, 1909.19)

Ratz, St. v.;

Husevokben elo Trem

atodak (In Fleischfressern lebende Trem

atoden). A

llattani kozlemenyek. V

II. kotetenek I. fuzetebol. 1908 (U

ngarisch mit kurzem

deutschen Resum

e).20)

佐々木

秀一,今

井忠

宗;肥

大吸

蟲ニ就

テ。醫

學中央

雜誌

第八

巻第

一號.明

治四十

三年

七月

。21)

田部

浩;淡

水産

魚類

ヲ中間

宿主

トス

ル新

吸蟲

ニ就

テ.岡

山醫

學會雜

誌第

三〇

五號

.大正

四年

六月

。

22) 同;淡

水産

魚類

ヲ中間

宿主

トス

ル吸蟲類

ノ研

究第

二報

告(學

會).京

都醫

學雜

誌第

十六

巻第

七號

.大正

八年

七月

。

23) 同;

淡水産

魚類

ヲ中間

宿主

トス

ル吸

蟲類

ノ研

究第

一.新

腸寄

生吸蟲Stamnosoma

armatum n. g

. n. sp.京都醫

學雜

誌第

十九

巻第

三號

.

大正

十一

年三

月。

24) 田

中正鐸;肥

大吸

蟲ニ就

テ.東

京醫

學會

雜誌

第二

十一巻

第十

八號

.明治

四十年

。

田部-淡

水産

魚類

ヲ中間宿主

トスル吸蟲類

ノ研

究 一九

四

第一圖第二圖

第三圖

第四圖第五圖

第六圖

第七圖

第八圖