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令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業 (我が国循環経済構築に向けた調査) 調査報告書 令和 2 年 3 月 有限責任監査法人トーマツ

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令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業

(我が国循環経済構築に向けた調査)

調査報告書

令和 2 年 3 月

有限責任監査法人トーマツ

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1

目次

1 はじめに................................................................................................................................. 3 2 循環経済ビジョンの検討 ....................................................................................................... 5 2.1 1999 年循環経済ビジョンとその成果 ............................................................................ 5

2.1.1 1999 年循環経済ビジョン策定に至る背景 ............................................................. 5 2.1.2 1999 年循環経済ビジョンの概要 ............................................................................ 8 2.1.3 1999 年循環経済ビジョンの達成事項 ..................................................................... 8

2.2 経済社会の変化 ............................................................................................................ 14 2.2.1 人口の増加と経済の拡大 ...................................................................................... 14 2.2.2 資源需要の増加と資源の安定供給リスクの増大 ................................................. 17 2.2.3 廃棄物排出量の増大と中国をはじめとするアジア諸国の廃棄物輸入規制 ......... 18 2.2.4 気候変動等の環境問題の深刻化 ........................................................................... 20 2.2.5 消費者や投資家からの環境配慮要請の高まり ..................................................... 21 2.2.6 ESG 投資の拡大 ..................................................................................................... 24 2.2.7 情報通信技術の発展と新しいビジネスモデルの台頭 .......................................... 25

2.3 諸外国における循環経済政策と国際会議における議論 .............................................. 26 2.3.1 各国の循環経済関連政策の導入 ........................................................................... 26 2.3.2 国際政治における循環経済に関する機運の高まり .............................................. 32

2.4 循環経済への転換とその課題........................................................................................... 36 2.4.1 資源循環の取組がさらに評価される市場や社会への転換 .................................. 37 2.4.2 再生材使用量の増加 ............................................................................................ 38 2.4.3 社会変化に対応した国際的な資源循環システムの再構築 .................................. 40 2.4.4 リサイクル技術による新しい課題の解決 ............................................................ 41

3 国際的な資源循環を巡る外部環境の変化による影響調査 .................................................. 43 3.1 国内の金属リサイクルを巡る課題について調査 ......................................................... 43

3.1.1 銅に関する中国の固体廃棄物輸入規制等の概要 ................................................. 43 3.1.2 銅くずの輸出・国内での取引の変化 .................................................................... 46 3.1.3 雑電線リサイクルに関連する周辺産業の現状と課題 ........................................... 51 3.1.4 雑電線由来の雑ナゲット使用を巡る対策案 .......................................................... 55

3.2 国内の紙リサイクルを巡る課題について影響調査 .......................................................... 59 3.2.1 紙パルプ産業の現状 .............................................................................................. 60 3.2.2 紙パルプ産業取り巻く環境 ................................................................................... 76 3.2.3 古紙リサイクルを巡る課題 ................................................................................... 91

APPENDIX Ⅰ 用語集 .................................................................................................................. 93 APPENDIX Ⅱ 資源循環関連法令等 ............................................................................................ 97 APPENDIX Ⅲ 資源循環に関する主な国際動向 ........................................................................ 100 APPENDIX Ⅳ 循環経済ビジョン研究会 設置概要 ................................................................. 101

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2

免責事項

本報告書は、経済産業省と当法人との間で締結された、令和元年 6 月 24 日付け令和元年内外一

体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業費(我が国循環経済構築に向けた調査)に関す

る契約書に基づいて実施した調査の結果を報告するものであり、保証業務として実施したもの

ではありません。また、本報告書は、調査期間中に入手された情報やヒアリングによる聴取事項

等を基礎として、作成されています。

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3

1 はじめに

我が国は、過去から資源循環分野での取組を進展させ、国際社会をリードしてきた。我が

国では、1990 年代には高度経済成長による所得の増加や、家電の急速な普及、販売方式・

消費行動の変化などにより、大量生産・大量消費・大量廃棄型に変化していった。消費者の

利便性が劇的に向上していく中で、家電製品の大型化や容器包装の種類・使用量の増加等が

進行し、それに伴って適正処理が困難な廃棄物が急増し、これにより直接埋立処分せざるを

得ない廃棄物が増加した結果、既存の最終処分場の残余容量及び残余年数が減少していっ

た。

我が国の資源循環システムは、このような状況下において、大量生産・大量消費・大量廃

棄型の産業構造から、環境制約や資源制約への対応を経済活動の中で考慮した循環経済シ

ステムへ転換する必要に迫られていた。1998 年、循環経済ビジョンの検討を行うべく、産

業構造審議会の地球環境部会と廃棄物・リサイクル部会の下に合同基本問題小委員会(当時)

が設置され、1年間に渡る審議を経て、1999 年、「循環経済ビジョン」が策定された。

1999 年循環経済ビジョンでは、大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済社会から、

環境と経済が統合する循環経済システムに転換することを目指し、従来のリサイクル対策

の強化に加え、廃棄物の発生抑制(リデュース)対策と廃棄物の部品等としての再利用(リ

ユース)対策の本格的な導入を提言した。また、同ビジョンが制定されたことは、我が国の

資源循環関連の法令が整備される一助となった。環境政策の根幹を定める「環境基本法」の

もと、循環型社会形成に向けた基本的な理念や考え方を定めた「循環型社会形成推進基本法」

(循環基本法)「資源の有効な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)及び個別リ

サイクル法が改正又は制定され、我が国の法体系が整備されていった。資源循環関連の体制

整備が整ったことにより、我が国では、高い水準のリサイクルを達成するとともに、ビジョ

ン策定当時の課題であった最終処分量も大幅に削減され、最終処分場の残余年数も改善さ

れた。それに伴い、国内における環境産業も順調に拡大していった。

こうした我が国の資源循環分野での取組や経験は国際社会でも評価された。我が国は、他

国に先駆けて 3R の考え方を政策に取り入れており、2004 年 6 月の G8 シーアイランドサミ

ットでは、我が国の提案を受け 3R行動計画が採択されるなど、同分野において世界をリー

ドしてきた。

一方で、1999 年循環経済ビジョンから 20 年が経過した今、資源循環を取り巻く外部環境

は大きく変化しており、我が国の資源循環を次の段階に昇華させるためには、その変化を捉

えつつ、資源循環の在り方を再検討する必要が出てきている。例えば、国連における「持続

可能な開発目標」(Sustainable Development Goals; SDGs)が中核をなす「持続可能な開発

のための 2030 アジェンダ」の合意、ESG 投資をはじめとして投資家の環境や社会への取組

といった非財務情報が企業を評価するうえで重要な要素となってきたことや社会や消費者

からのグローバルな環境対応要請の高まり、シェアリングエコノミーなど市場ニーズの変

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化、先端素材の開発やデジタル技術の浸透といった技術革新等の様々な変化が国内外で生

じている。

資源循環を取り巻く外部環境が変化する中、国際社会でも動きが活発化してきている。欧

州委員会が 2015 年に公表した循環経済パッケージ政策では、これまで以上に環境負荷低減

と経済成長を同時達成する視点が強調されている。同政策では、これまでの線形型の経済モ

デルから循環型の経済モデルへの転換が示され、最小の資源投入量で最大の付加価値を生

むことによる中長期的な機会獲得とリスク対応について示唆されている。また、中国をはじ

めとした諸外国の固形廃棄物輸入規制導入の動きからも伺えるように、国際的な資源循環

の在り方にも見直しの必要性が生じている。

また、我が国の循環経済の在り方を検討する上では、我が国の強みを最大限生かしつつ、

それを基盤として発展させていく視点が必要である。我が国は、個別リサイクル法の制度や

実績からも見られるように、製品別に最適な資源循環システムが構築されてきた。これらは、

拡大生産者責任の考え方のもと、国内の動脈産業と静脈企業が連携して構築してきた成果

である。我が国は、他の先進国と比較して技術力の高い動脈産業が多数存在しており、それ

らの企業が製品ライフサイクル全体を考慮した製品設計を行うことでシステムを最適化し

てきたという強みを有している。こういった成り立ちは、今後さらに重要視されてくる製

品・サービスの循環性能デザインによって、社会システムを最適化させていく土壌が醸成さ

れていると言え、それは我が国資源循環の強みであり、さらに発展できる可能性を秘めてい

る。

本調査では、我が国の資源循環を次の段階へ発展させるための課題や視点を整理し、我が

国における循環経済の方向性を検討した。

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5

2 循環経済ビジョンの検討

我が国の資源循環政策の方向性を検討するため、過去の廃棄物処理に関する政策の動きを

調査し、その概要や達成事項について取りまとめた。

2.1 1999 年循環経済ビジョンとその成果

2.1.1 1999 年循環経済ビジョン策定に至る背景

我が国の経済システムは、高度経済成長による所得の増加や、家電の急速な普及、スーパ

ーマーケットやコンビニエンスストアの登場などによる販売方式・消費行動の変化などに

より、大量生産・大量消費・大量廃棄型に変化していった。消費者の利便性が劇的に向上し

ていく中で、家電製品の大型化や容器包装の種類・使用量の増加等が進行し、それに伴って

適正処理が困難な廃棄物が急増していった。

図 1:ごみの総排出量と国民可処分所得の推移1

これにより、直接埋立処分せざるを得ない廃棄物が増加した結果、既存の最終処分場の残

余容量及び残余年数が減少した。1990 年代には、多くの一般廃棄物最終処分場の残余年数

は 10年未満となり、産業廃棄物最終処分場については、わずか1~3年となった 。

1 日本の廃棄物処理(環境省)及び国民経済計算統計(内閣府)より作成

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図 2:最終処分場の残余容量と残余年数(一般廃棄物)2

図 3:最終処分場の残余容量と残余年数(産業廃棄物)3

2 環境省(2014)日本の廃棄物処理の歴史と現状:

http://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf 3 環境省(2014)日本の廃棄物処理の歴史と現状:

http://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf

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図 4:産業廃棄物の再生利用率、減量化率、最終処分率の推移4

図 5:一般廃棄物の資源化比率、焼却比率、最終処分比率の推移5

また同時期、1989 年の有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバー

ゼル条約(バーゼル条約)の採択、1992 年の環境と開発に関する国際連合会議(リオサミ

ット)の開催、1997 年の気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(京都議定書)

の採択等を通じて、環境問題は、国際的な枠組みの中で対応すべき課題として認識され始め

るとともに、環境問題に地球規模かつ長期的な視点で取り組むことの重要性が広まった 。

我が国にとって、国内における局所的な産業公害問題として捉えられてきた環境問題が、地

球的規模の空間的広がりを持ち、その影響が長期にわたり持続する時間的広がりを持つ課

4 一般社団法人 産業環境管理協会(2019)リサイクルデータブック:

http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2019.pdf 5 一般社団法人 産業環境管理協会(2019)リサイクルデータブック:

http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2019.pdf

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題であるとの認識が広がっていった。人々の日常生活や経済活動が枯渇の恐れのある資源

に依存する一方で、廃棄物発生量は増大し、廃棄物処分場の残余年数は逼迫し、さらに、一

般廃棄物のリサイクル率は1割、産業廃棄物についても約4割と伸び悩んでいた。最終処分

場の制約という国内の喫緊の課題と、環境問題に関する国際的な取組の方向性を鑑み、大量

生産・大量消費・大量廃棄型の産業構造から、環境制約や資源制約への対応を経済活動の中

で考慮した循環経済システムへ転換する必要に迫られた。

このような状況を受け、1998 年、循環経済ビジョンの検討を行うべく、産業構造審議会

の地球環境部会と廃棄物・リサイクル部会の下に合同基本問題小委員会(当時)が設置され、

1 年間に渡る審議を経て、1999 年、「循環経済ビジョン」が策定された。

2.1.2 1999 年循環経済ビジョンの概要6

1999 年の循環経済ビジョンは、循環経済システムへの移行手段として、資源投入の最小

化と廃棄物の排出の最小化を目指すものであった。資源・エネルギーについては、枯渇性資

源・エネルギーの使用を減らして再生可能な資源・エネルギーを可能な限り導入することと

した。また、喫緊の課題であった最終処分場逼迫の問題への対応については、それまでのリ

サイクル(再資源化)を中心とした取組から、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース

(再使用)を含めた総合的な取組を推進することとした。

取組の中には、3R の取組の実効性・効率性を最大化するため、関係する主体である、事

業者、消費者、国・地方自治体の役割が明示されている。

これらを推進するため、1999 年循環経済ビジョンでは、社会全体としての便益の最大化、

循環型技術体系の確立、新規産業の開拓及び企業の競争力強化の方向性を打ち出した。また、

生産活動を転換するだけでなく、消費者の購買活動や廃棄物排出時の分別 といった、消費

者行動の変革が必要であるとした。1999 年循環経済ビジョンにおける循環経済システムは、

環境と経済の相克を脱し、市場機能のビルトイン等により環境と経済の統合を達成するこ

ととした。ここでは、循環型経済社会活動が市場から適切に評価され、環境コストが社会全

体に内部化される、経済と環境が統合された社会システムの構築を目指した。

1999 年循環経済ビジョンでは、排出量、含有資源の有用性、処理困難性といった分野を

優先分野と位置付けた。

2.1.3 1999 年循環経済ビジョンの達成事項

(1)法体系の整備

1999 年循環経済ビジョンが制定されたことは、我が国の資源循環関連の法令が整備され

る一助となった。環境政策の根幹を定める「環境基本法」のもと、循環型社会形成に向けた

基本的な理念や考え方を定めた「循環型社会形成推進基本法」(循環基本法)、「資源の有効

6 通商産業省(1999)循環経済ビジョン

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な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)及び個別リサイクル法が改正又は制定

され、我が国の法体系が整備されていった。これにより、これまでリサイクル(1R)を中

心に構築されていた我が国の制度は、リデユース、リユースを含めた総合的な 3R を推進す

るものへ移行し、その中で各主体の役割が明確となった。また、消費者の役割も示され、製

品の長期間使用や再生資源又は再生部品を用いた製品の利用、分別回収への協力等が示さ

れた。以下に、我が国における現在の資源循環関連の法体系を記載する7。

図 6:現在の資源循環関連の法体系

このような制度を構築し、それに基づいて、製品別に資源を循環させる仕組みの構築が進

められてきた。例えば、家電リサイクル法では、拡大生産者責任制度に基づいてメーカーが

リサイクル事業者と連携し、製品の回収や質の高いリサイクルを実施しており、使用済み製

品を高度に再資源化して再生材を使用する資源循環システムが整備されている。

この循環システムでは、製品群別、製造事業者別にメーカーがリサイクル企業と連携しな

がら製品・資源の循環を行うため、自社にとってコスト面を含めて最適化したリサイクルや

リユース部品を使用するインセンティブが生まれやすいことや、自社の使用済み製品の排

出・回収段階までトレースすることで再生材の信頼性の担保や質のコントロールが比較的

しやすいといったメリットがある。

7 各法令の詳細は、APPENDIXⅡを参照

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図 7:自動車製造業等における産業廃棄物の発生・再資源化・最終処分の状況(2016 年度)8

(2)廃棄物量の削減とリサイクル率の向上

このような取り組みの結果、我が国の資源循環は大きく前進した。例えば、循環基本計画

では循環型社会の形成の進展状況を数値で把握するため、物質フローを作成し、その3つの

断面である「入口」、「循環」、「出口」を代表する「資源生産性」、「循環利用率」、「最終処分

量」について目標を設定しており、2000 年以降から現在まで着実に進捗している9。

我が国の資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)は、2016 年度の約 39.7 万円/トンであ

り、2000 年度と比べ約 64%上昇、入口側の循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天

然資源等投入量))は、2000 年度と比べ、2016 年度の循環利用率は約 5.4 ポイント上昇、出

口側の循環利用率(=循環利用量/廃棄物等発生量)は、2000 年度と比べ、2016 年度の出

口側の循環利用率は約 7.5 ポイント上昇、最終処分量(=廃棄物の埋立量)は、2000 年度

と比べ、2016 年度の最終処分量は約 75%減少した。

8 一般社団法人 産業環境管理協会(2019)リサイクルデータブック:

http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2019.pdf 9 環境省(2019)令和元年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書

http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19020301.html#n2_3_1_1

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図 8:資源生産性の推移(万円/トン) 図 9:入口側の環利用率の推移(%)

図 10:出口の循環利用率の推移(%) 図 11:最終処分量の推移(百万トン)

また、資源循環システムが構築されたことにより、高水準のリサイクル率で推移している。

例えば、2018 年には、家電リサイクル法のもとでエアコン 93%、ブラウン管式テレビ 71%、

液晶・プラズマ式テレビ 86%、冷蔵庫・冷凍庫 79%、洗濯機・乾燥機 90%の再商品化率が

達成された 。2018 年度には、自動車リサイクル法のもとで、シュレッダーダストのリサイ

クル率は 97~99%、エアバックは 94%に達している 。容器包装リサイクル法のもとでは、

2017 年度においてガラスびん 69%、PET ボトル 85% 、スチール缶 93%、アルミ缶 93%と

高いリサイクル率で推移している。

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12

表 1 我が国におけるリサイクル率(家電、自動車、容器包装)

製品群 リサイクル率

家電(2018)10 エアコン 93%

ブラウン管式テレビ 71%

液晶・プラズマ式テレビ 86%

冷蔵庫・冷凍庫 79%

洗濯機・乾燥機 90%

自動車(2018)11 シュレッダーダスト 97~99%

エアバック 94%

容器包装(2017)12 ガラスびん 69%

PET ボトル 85%

スチール缶 93%

アルミ缶 93%

これらの高いレベルでのリサイクルを通じ、我が国の最終処分場の状況は大幅に改善さ

れた。1999 年循環経済ビジョン策定当時 と 2017 年 を比較すると、最終処分場の残余年数

は、一般廃棄物は 8.5 年から 21.8 年、産業廃棄物は3年から 17年と大きく改善した1314。

(3)環境関連産業の拡大

3Rの推進に伴い我が国の資源循環体制が整っていった中で、国内の環境産業は順調に拡

大している。市場規模で見ると、2000 年の 57 兆 9,259 億円から、2017 年には 105兆 4,495

億円と約2倍になっている。環境産業は、「環境汚染防止」、「地球温暖化対策」、「廃棄物処

理・資源有効利用」、「自然環境保全」の4つに分類され、「廃棄物処理・資源有効利用」が

49 兆 6,150 億円(2017 年)と最も大きい15。他方、当該分野の市場は、2000 年から約 26%

しか増加しておらず、環境産業全体の伸び率と比較すると増加率は限定的である。環境産業

10 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル実績:

https://www.aeha.or.jp/recycling_report/03.html#a02 11 産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG中央環境

審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会(2019)資料4 自動車リサイクル法の施

行状況 http://www.env.go.jp/council/03recycle/y033/mat04.pdf 12 PET ボトルリサイクル推進協議会 http://www.petbottle-rec.gr.jp/data/calculate.html 13 通商産業省(1999)循環経済ビジョン 14 一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター(2017)一般廃棄物最終処

分場の残余容量と残余年数の推移及び産業廃棄物の最終処分場の残容量と残余年数:

http://www.cjc.or.jp/data/main_a04.html 15 環境省(2019)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書:

https://www.env.go.jp/press/files/jp/111901.pdf

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13

における雇用規模は 2000 年には約 180 万人であったが、2017 年には約 280 万人にまで増加

している。こちらも、「廃棄物処理場・資源有効利用」が約 150 万人(2017 年)と最大であ

る。

また、一般社団法人日本経済団体連合会をはじめとする経済団体が、循環型社会形成自主

行動計画を発表する等、民間セクターでの取り組みも進んでいる。同計画では、業種別の自

主的な目標設定や取組の進捗・成果に関する報告・公表がなされている16。この他、セメン

ト業界では、他産業から排出される廃棄物を毎年約 2,800 万トンリサイクルし、新たな天然

資源の投入を削減している17。さらに、再生複写機では、製品重量比平均 80%のリユース部

品を使用し、新造機と比べて製造工程の環境負荷を 79%削減した製品を販売した例もあり、

企業の資源循環に資するビジネスモデルが生まれている。

図 12 環境産業の市場規模18

16 一般社団法人日本経済団体連合会(2019)循環型社会形成自主行動計画:

http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/032.html 17 一般社団法人産業環境管理協会(2019)リサイクルデータブック:

http://www.cjc.or.jp/data/pdf/book2019.pdf 18 環境省(2019)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書より作成

0

20

40

60

80

100

120

市場

規模

(兆

円)

環境汚染防止 地球温暖化対策 廃棄物処理・資源有効利用 自然環境保全

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14

図 13 環境産業の雇用規模の推移19

2.2 経済社会の変化

2.2.1 人口の増加と経済の拡大

世界人口は堅調に増加しており、2000 年の 61 億人から 2019 年には 77 億人までに増えて

いる20。この傾向は今後も続くことが予測されており、2030 年には 85 億人に、2050 年には

97 億人に到達するとの予測もある21。

他方、国によっては将来的に人口が減少する国も出てくる。我が国は、すでに深刻な人口

減少と少子高齢化に直面している。2000 年には1億 2,692 万人だった人口は、2018 年には

1億 2,644 万人まで減少している。将来予測によると、2053 年には1億人を割り、9,924 万

人となると予想されている。

19 環境省(2019)環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書より作成 20 United Nations(2019)World Population Prospects 2019:

https://population.un.org/wpp/Publications/Files/WPP2019_Volume-I_Comprehensive-

Tables.pdf 21 United Nations(2019)World Population Prospects 2019:

https://population.un.org/wpp/Publications/Files/WPP2019_Volume-I_Comprehensive-

Tables.pdf

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

雇用

人数

(千

人)

環境汚染防止 地球温暖化対策 廃棄物処理・資源有効利用 自然環境保全

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15

図 14 世界人口の予測22

図 15 日本の人口予測23

22 United Nations(2019)World Population Prospects 2019 より作成 23 国立社会保障・人口問題研究所(2017)日本の将来推計人口(平成 29 年推計)より作成

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

2000 2005 2010 2015 2019 2020 2025 2030 2040 2050

世界

人口

(百

万人

0

20

40

60

80

100

120

140

2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055

日本

人口

(百

万人

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16

図 16 15-64 歳の労働人口の割合(日本)24

主に労働力人口に該当する15-64歳人口の割合は2018年に59.7%と過去最低を記録した

(1950 年以降)25。さらに、2050 年には 51.8%になると予測されている26。このため、人口

構成の変化による社会的な影響を注視していく必要があると考えられる27。

経済面については、我が国の実質 GDP は、2000 年度の 464.2 兆円から 2018 年度の 533.7

兆円に拡大した28。内閣府の推計によると、2029 年度の名目 GDP は 637.5 兆円になると試算

されている29。

24 国立社会保障・人口問題研究所(2017)日本の将来推計人口(平成 29 年推計)より作成 25 総務省統計局(2018) 人口推計(2018 年(平成 30 年)10 月 1 日現在):

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/index.html 26 国立社会保障・人口問題研究所(2017)日本の将来推計人口(平成 29 年推計):

http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf 27 総務省統計局(2018)人口推計(2018 年(平成 30 年)10 月 1 日現在):

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/index.html 28 内閣府 国民経済計算(GDP 統計):https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html 29 内閣府(2020)中長期の経済財政に関する試算:

https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/r2chuuchouki1.pdf

51

52

53

54

55

56

57

58

59

60

2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

人口

率(%

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17

図 17 世界 GPD の推移30

世界の総生産は、2000 年の 33.59 兆米ドルから、2018 年には 85.91 兆米ドルとなり、2

倍以上拡大している。他方、貿易の伸び自体は鈍化しており、これには近年の中国経済の緩

やかな減速や、米中間の関税率引き上げの動きの影響等が起因しているとの指摘がある。31

また、2020 年 1 月の英国の EU離脱や昨今のコロナウイルスによる世界規模の混乱等、世界

経済の情勢は不確実性を有しており、今後の動向に留意する必要がある。

2.2.2 資源需要の増加と資源の安定供給リスクの増大

特に途上国を中心とした高い経済成長と人口増加によって、世界経済と人口は拡大して

おり、これにより資源需要は国際的に増加し続けている。2000 年の全世界の資源採掘量は

530 億トンであったが、2017 年には 921 億トンにまで増加した32。特に、近年は資源採掘率

の伸び率が高くなっており、具体的には、1970 年から 2000 年までは世界の資源採掘率は年

2.3%の増加であったが、2000 年から 2017 年には年 3.2%まで増加している33。現在の資源

利用のトレンドが継続した場合、世界の資源採掘量は、2015 年における 880 億トンから 2060

年には 1,900 億トンへと2倍以上に増加すると予想されている34。他方、資源効率性の向上

等の取り組みがなされた、持続可能なシナリオの下では、同様な経済成長を達成しつつ、

30 世界銀行ウェブサイトより作成 31 内閣府(2019)令和元年度年次経済財政報告:

https://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html 32 IRP(2019)Global Resources Outlook 2019: Natural Resources for the Future We

Want: https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/27517/GRO_2019.pdf 33 IRP(2019)Global Resources Outlook 2019: Natural Resources for the Future We

Want: https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/27517/GRO_2019.pdf 34 IRP(2019)Global Resources Outlook 2019: Natural Resources for the Future We

Want: https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/27517/GRO_2019.pdf

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

GDP(

兆ド

ル)

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18

2060 年の資源採掘量は 1430 億トンまで抑えられると予測している。

資源の埋蔵量は有限であることから、需要の増加によって価格が上下する。例えば、ベー

スメタルの一つである銅については、2000 年初頭から中国の需要が伸びて価格が高騰した

が、2015 年からは中国の景気後退により価格が低迷した。その後、2016 年後半に米国の景

気刺激策への期待や大規模銅鉱山でのストライキ等を背景に上昇したが、2018 年以降、米

中貿易摩擦等による需要減少の懸念から、再び下落基調に転じている35。また、現在の消費

量の増加が継続した場合、2030 年までに銅の国際的な需要が供給量を上回るとの予測もさ

れている36。

また、農業用の肥料の製造に使用されるリンや自動車排気ガスの有害物質を無害化する

自動車触媒で多く使用されるパラジウム、ロジウムについても、近年は需要の増加から価格

が安定していない37。今後、国際的に資源への需要が一層高まることで、採算性の観点から

従来は採掘されていなかった資源も採掘され、資源採掘現場でこれまで以上の環境問題を

引き起こす可能性も否定はできない。

我が国は、鉱物資源のほとんどを輸入に頼っているため38、将来的に、拡大が見込まれる

電気自動車等の製造に欠かせないレアメタルや銅をはじめとした資源については、将来的

に国際的な資源獲得競争が激化する可能性がある。このため、資源の安定確保に向け各国の

動向を注視していく必要がある。

2.2.3 廃棄物排出量の増大と中国をはじめとするアジア諸国の廃棄物輸入規制

近年、中国や東南アジア諸国において、廃棄物の輸入に関する規制が強化されている。特

に、中国はこれまで多くの廃棄物を受け入れてきていたが、2017 年より廃棄物の輸入規制

を始めている。これに付随するように、東南アジア諸国でも規制が強化されてきている。以

下に、各国の政策動向をまとめた。

表 2 中国および東南アジア諸国の廃棄物輸入規制394041

35 資源エネルギー庁(2018)世界の産業を支える鉱物資源について知ろう:

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/anzenhosho/koubutsusigen.html 36 UNEP(2017)Resource Efficiency Potential and Economic Implications:

http://www.resourcepanel.org/reports/resource-efficiency 37 資源エネルギー庁(2018)世界の産業を支える鉱物資源について知ろう:

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/anzenhosho/koubutsusigen.html 38 資源エネルギー庁(2018)世界の産業を支える鉱物資源について知ろう:

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/anzenhosho/koubutsusigen.html 39 経済産業省・環境省(2019)自動車リサイクル制度をめぐる各種 取組状況について:

https://www.env.go.jp/council/03recycle/y033/mat03_1.pdf 40プラスチックを取り巻く国内外の状況(環境省):

https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-05/y031205-s1r1.pdf 41 JETRO(2019)東南アジア諸国が廃プラスチック輸入規制を強化、日本の輸出量は減少:

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19

国名 廃棄物輸入規制の主な内容

中国 2017 年:非工業由来のプラスチック等の環境への影響が大きい廃棄物

の輸入を禁止。

2018 年:工業由来のプラスチックくず、プレスされた廃車等が輸入禁

止。

2019 年:木くずや鉄鋼くずの輸入禁止

マレーシア 2018 年:国内におけるプラスチック廃棄物保管場所の収容能力の証明書

や輸入されたプラスチック廃棄物の売り先リストの提出を廃棄物輸入

業者に対して要求。

タイ 2018 年:電子廃棄物やプラスチック廃棄物の輸入制限を強化し、輸入事

業者に対するプラスチックごみの輸入ライセンスの新規発給停止

ベトナム 2019 年:廃棄物の輸入許可基準を改め、輸入廃棄物を使用する製造施設

を有する組織または個人に廃棄物輸入業者を限定

インド 2019 年:プラスチック廃棄物の輸入禁止

この他に、中国はリサイクル率の目標等も定めはじめており、2025 年までに電気電子機

器廃棄物のリサイクル率を 50%に、再生材の使用率を 20%とすることを目標として掲げて

いる4243。

アジア・太平洋地域は将来的に廃棄物の排出量が増加することが予測されており44、2050

年の廃棄物排出量が大陸別で最も多くなるとの予測もあるため45、各国の廃棄物輸入規制の

流れは将来的にさらに強化される可能性がある。

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/32168afb4b8f0bfe.html 42 中国政府(2016)拡大生産者責任制度の推進方案:

http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-01/03/content_5156043.htm 43 World Economic Forum (2018) Recovery of Key Metals in the Electronics Industry in

the People’s Republic of China: An Opportunity in Circularity:

http://www3.weforum.org/docs/Recovery_Key_Metals_Electronics_light.pdf 44 UNEP (2015) Global Waste Management Outlook:

https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/9672/-

Global_Waste_Management_Outlook-

2015Global_Waste_Management_Outlook.pdf.pdf?sequence=3&%3BisAllowed= 45 世界銀行(2018)What a Waste 2.0 : A Global Snapshot of Solid Waste Management to

2050 :http://hdl.handle.net/10986/30317

Page 21: # ) í S( Fû ¥FáFï1* H >Ì - METI\7 ) í1* 2 >& C @ \ # ) í S( _ ¥ E S1* >' _6õ M Î(Ù i _ ö Y 8 Z K S1* b) Ý Ì M v b [ 6 ~ 0É » \ K Z K S v b [ c 6 ~ r O r S Ì i c 1*

20

図 18 地域別の廃棄物排出量の予測46

2.2.4 気候変動等の環境問題の深刻化

2016 年には世界の平均気温が観測史上最高を記録する47等、国際的に気候変動への関心が高ま

っている。また、近年、気候変動が一因と考えられる異常気象が世界各地で発生している48。

日本でも、国内の歴代最高気温の上位 3 位までを 2018 年に記録する等、気温上昇の傾向が現

れている。また、2018 年は「平成 30 年7月豪雨」によって 2000 名近くが被災し、250 名を超え

る死者が出た49。これらの災害によって 200 億米ドル以上の被害がもたらされたとの指摘もある

50。また、2019 年 12 月の平均気温が全国的に高くなる等、国民生活へ影響を及ぼしかねない気

46 世界銀行(2018)What a Waste 2.0 : A Global Snapshot of Solid Waste Management to

2050 を基に作成 47 気象庁(2020)世界の年平均気温:

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html 48 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書では、地球規模で観測されている

極端な日別気温の頻度と極端さの度合いの変化に人為起源の強制力が寄与した可能性は非常に

高い、人為的影響が一部の場所における熱波の発生確率を有意に引き上げた可能性は高い、温

暖化とともに極端な降水現象の強度が平均降水量を十分に上回る率で増加することに高い確信

度がある、等と示されている。 49 内閣府(2018)平成 30 年7月豪雨による被害状況等について:

http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon7/pdf/310109_1700_h30typhoon7_01.pdf

内閣府(2018)平成 30 年台風第 21 号に係る被害状況等について:

http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon21/pdf/301003_typhoon21_01.pdf

内閣府(2018)平成 30 年台風第 24 号に係る被害状況等について:

http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon24/pdf/301003_typhoon24_01.pdf 50 平成 30 年7月豪雨、平成 30 年台風 21 号及び平成 30 年台風 24 号の被害の合計。

Aon plc(2019)Weather, Climate & Catastrophe Insight 2018 Annual Report:

https://www.aon.com/global-weather-catastrophe-natural-disasters-costs-climate-

0

100

200

300

400

500

600

700

800百

万ト

ン/ 年

2016 2030 2050

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21

象現象が発生し始めている。このため、今後は地球温暖化に伴って拡大する可能性がある災

害51への対応を検討していく必要がある。

2015 年 12 月の第 21 回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択され、2016 年 11

月に発効したパリ協定は、産業革命以前と比較し、世界平均気温の上昇を2℃または 1.5℃

以内に抑えること、そのために、今世紀後半に温室効果ガス(GHG)の人為的な排出と吸収

を均衡させることを掲げている。

また、生物多様性といった問題も深刻化している。2019 年5月に生物多様性及び生態系

サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)が公表した報告書では、約 100

万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、今後、何らかの対策が取られなければ、その多く

は今後数十年以内に絶滅する可能性があると指摘している。また、生物多様性の損失が国際

的な食糧危機のリスクを招く可能性も指摘している52。

2.2.5 消費者や投資家からの環境配慮要請の高まり

このような環境問題の表面化により、民間セクターでも自主的な取り組みが始まっている。

例えば、イギリスのエレンマッカーサー財団は、世界経済フォーラムや個別企業、国連機関

等と協力し、循環経済に関する普及啓発や研究・技術開発等の取組を行っている。この他に

も、様々な民間団体が循環経済に資する取組を行っている。以下に、それらの取組をまとめ

た。

表 3 民間組織による循環経済に資する取組

取組主体 概要

持続可能な開発のため

の世界経済人会議

(WBCSD)

Factor10 というプログラムを立ち上げ、事業の種類

に応じたビジネス機会の分析や経営者向けの CE ガ

イドラインを発表。2017 年に発表されたガイドライ

ンでは、CE に関するビジネスモデルとして、

①Circular Supplies (再生材利用等)、②Resource

Recovery(有用資源の再利用等)、③Product Life-

Extension、④Sharing Platform、⑤Product as a

change-annual-

report/index.html?utm_source=Aon&utm_medium=website&utm_campaign=Milestone%20Moments&

utm_term=NatCat%202019&utm_content=Insights 51 気象庁(2018)平成 30 年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因につい

て:https://www.jma.go.jp/jma/press/1808/10c/h30goukouon20180810.pdf 52 IPBES(2019)Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services:

https://ipbes.net/global-assessment

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22

取組主体 概要

Service の 5 つに分類し、それぞれの分類について

ビジネスの事例をまとめている5354。

World Economic Forum

SCALE360 というパートナーシップを設置し、CE を

実現する新しい素材、ビジネスモデルや廃棄物を減

らす方法を検討。特に、アパレル、食品、電子機器

等のバリューチェーン上の環境影響を減らす点に

着目。最初の取り組みは UAE で開始。SCALE360 は

PACE の一部として活動55。

World Economic Forum

UNEP

GEF

エレンマッカーサー

財団

International

Resource Panel(IRP)

Platform for Accelerating the Circular Economy

(PACE) を立ち上げ、①電子機器、②プラスチック、

③食品とバイオ経済、④ビジネスモデルと市場の 4

つの分野でプロジェクトを実施56。直近では、「The

Next Frontier: Natural Resource Targets Shaping

a Competitive Circular Economy within Planetary

Boundaries」という報告書を発表。天然資源利用に

関する直近の議論をまとめ(世界的に資源の 9%し

か再利用されていない)、気候変動対策で進められ

ている Science Based Target (SBT)を成功事例と

して、CE を進める上でも科学的なアプローチが重要

と指摘57。

エレンマッカーサー

財団

New Plastic Economy というイニシアティブを立ち上

げ、不必要なプラスチック包装の排除、100%リサイク

ル可能(コンポスト含む)なデザイン等の取り組みを

実施。2018 年には、UNEP と協力し、Global Commitment

53 WBCSD, Factor 10:

https://www.wbcsd.org/Programs/Circular-Economy/Factor-10 54 WBCSD (2017)CEO Guide to the Circular Economy:

https://www.wbcsd.org/Programs/Circular-Economy/Factor-10/Resources/CEO-Guide-to-the-

Circular-Economy 55 World Economic Forum(2019) New Partnership Aims to Accelerate Technology

Innovations and Scale-Up the Circular Economy:

https://www.weforum.org/press/2019/11/new-partnership-aims-to-accelerate-technology-

innovations-and-scale-up-the-circular-economy/ 56 PACE, Platform for Accelerating the Circular Economy:https://pacecircular.org/ 57 IRP, PACE, World Economic Forum (2019) The Next Frontier: Natural Resource Targets

Shaping a Competitive Circular Economy within Planetary Boundaries:

http://www3.weforum.org/docs/WEF_The_Next_Frontier_Natural_Resource_Targets_Report.pd

f

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23

取組主体 概要

を発表。2019 年 10 月時点で、世界の 200 社以上の民

間企業が賛同(世界の 20%以上のプラスチック袋使用

量をカバー)58。

エレンマッカーサー

財団

CE100 というネットワークを立ち上げ、参加企業の技

術開発や知見の共有を促進。Co.project では、参加

企業に対して、新たな技術開発や調査関する資金を援

助59。

エレンマッカーサー

財団

2018 年に Circular Fibers Initiative の第 2フェー

ズとして、Make Fashion Circular を公表。民間企業

と協力し、リサイクル素材を使用した洋服の製造、中

古品の販売や洋服のリサイクルを促進。2017 年に

は、A New Textile Economy という報告書を UNEP や

NIKE との協力で発表し、現在のアパレル産業では、

1%しかリサイクル素材が使用されていない点を指摘

し、洋服の短期間レンタル事業の拡大や製品デザイン

の変更を提唱6061。

Alliance to End

Plastic Waste(AEPW)

自然界における廃プラスチックをなくすという明確な

ミッションに取り組む包括的な業界横断型バリューチ

ェーンイニシアティブ。62 日本の大手化学会社も参

加。この枠組みに参加する 40 社が5年間で合計 15 億

ドルを出資し、廃棄物管理のインフラ整備やリサイク

ルしやすい製品開発やその普及、さらには海洋や河川

でのゴミ回収などの浄化活動に取り組む構想を発表

63。

58 エレンマッカーサー財団(2019)THE NEW PLASTICS ECONOMY GLOBAL COMMITMENT 2019

PROGRESS REPORT:https://www.ellenmacarthurfoundation.org/assets/downloads/Global-

Commitment-2019-Progress-Report-Summary.pdf 59 エレンマッカーサー財団 CE100:https://www.ellenmacarthurfoundation.org/our-

work/activities/ce100 60 エレンマッカーサー財団 Make Fashion Circular:https://www.ellenmacarthurfoundation.org/our-

work/activities/make-fashion-circular 61 エレンマッカーサー財団(2017)A NEW TEXTILES ECONOMY: REDESIGNING FASHION’S FUTURE: https://www.ellenmacarthurfoundation.org/assets/downloads/A-New-Textiles-Economy_Full-

Report_Updated_1-12-17.pdf 62 Alliance to End Plastic Waste, AEPW 概要:https://endplasticwaste.org/ja/1017-2/ 63 経済産業省(2019)METI Journal 業界の垣根や国境を越えて:https://meti-

journal.jp/p/7331/

Page 25: # ) í S( Fû ¥FáFï1* H >Ì - METI\7 ) í1* 2 >& C @ \ # ) í S( _ ¥ E S1* >' _6õ M Î(Ù i _ ö Y 8 Z K S1* b) Ý Ì M v b [ 6 ~ 0É » \ K Z K S v b [ c 6 ~ r O r S Ì i c 1*

24

日本でも、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、官民が連携したクリーン・オーシャ

ン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)が 159社・団体の参加の下、設立された。CLOMA で

は、①プラスチック使用量削減、②マテリアルリサイクル率の向上、③ケミカルリサイクル

技術の開発・社会実装、④生分解性プラスチックの開発・利用、⑤紙・セルロース素材の開

発・利用をキーアクションとして掲げている。2020 年 1月時点で、CLOMA の会員企業・団体

は 300 社を超えている64。具体的な活動としては、(1)素材の提供側と利用側企業の技術・

ビジネスマッチングや先行事例の情報発信等を通じた情報の共有、(2)研究機関との技術交

流や技術セミナー等による最新技術動向の把握、(3)国際機関、海外研究機関等との連携や

発展途上国等への情報発信などの国際連携、さらに、(4)プラスチック製品全般の有効利用

に関わる多様な企業間連携の促進が掲げられている65。

この他にも、循環経済に資する民間の取り組みは従来より行われてきた。例えば、日本経

済団体連合(経団連)は 1997 年に、廃棄物対策に係る「環境自主行動計画」を策定してい

た。これには 35 業種が参加し、各業種で数値目標を設定し、具体的な対策と照らしながら、

進捗状況を確認している。2007 年には、この環境自主行動計画が拡大され、循環型社会の

形成と言った、より大きな社会的な目的を持った、環境自主行動計画(循環型社会形成編)

へと改編された。2019 年4月に発表された、循環型社会形成自主行動計画では、海洋プラ

スチック問題の解決に向けて、新規に業種別プラスチック関連目標を設定している66。この

他にも、全国清涼飲料連合会が 2030 年度までにペットボトルの 100%有効利用を目指すこ

とを発表する等、国内の民間組織でも資源循環に資する取組が進められている67。

2.2.6 ESG 投資の拡大

民間セクターでは、例えば金融市場で近年、ESG 投資が拡大している。2016 年から 2018

年の2年間で、世界の ESG 投資は 34%増加し、約 30 兆 7,000 億ドルに達したとの報告もあ

る。現時点では、欧州や米国の市場が大きいが、2016 年から 2018 年の伸び率では日本国が

一番高い。これは、年金積立金管理運用独立行政法人が ESG 投資の取り組みを開始した影響

もある。以下に地域別の ESG 投資の状況を整理した。

64 CLOMA (2020) 会員一覧:https://cloma.net/memberlist/ 65 経済産業省(2019)「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」が設立されまし

た:https://www.meti.go.jp/press/2018/01/20190118007/20190118007.html 66 一般社団法人日本経済団体連合会、環境自主行動計画:

https://www.keidanren.or.jp/policy/vape.html#vape 67 全国清涼飲料連合会(2018)清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言 http://j-

sda.or.jp/environment/circulation-society04.php

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表 4 ESG 投資の地域別の動向(2016‐2018 年)68

地域・国 2016 年投資額 2018 年投資額 伸び率

欧州 12 兆ドル 14 兆ドル 約 1.2 倍

米国 8 兆ドル 12 兆ドル 約 1.2 倍

日本 4,740 億ドル 2 兆 1,800 億ドル 約 4倍

カナダ 1 兆ドル 1.7 兆ドル 約 1.7 倍

オーストラリア/

ニュージーランド

5,160 億ドル 7,340 億ドル 約 1.4 倍

2.2.7 情報通信技術の発展と新しいビジネスモデルの台頭

情報通信技術の発展により従来の製品販売ではなく、シェアリングやリース等のコト売

り69が進展している。我が国において、リユース市場は、2015 年の3兆 1,424 億円から、

2018 年には3兆 2,492 億円に拡大しているとの推計もある70。リースについても、公益財団

法人リース事業協会によると、同協会の加盟企業の売上は、2015 年の4兆 6,562 億円から

2018 年には4兆 9,302 億円と増加している71。

シェアリング等のコト売りが進展した背景として、近年の消費者の価値観の変化がある。

近年の消費者は、物の豊かさよりも心の豊かさを重視する傾向があり、72物質的な欲求より

も必要な時に必要なだけ利用することや体験にお金をかけるといった傾向がみられる。情

報通信技術の発展は、そのような消費者ニーズを満たす一助となっている。情報通信技術の

発展により資産の所有権と利用権の分離が容易となり多様な製品や消費者のニーズに対応

することが可能となった。例えば、車のライドシェアビジネスの事例では、個人が所有する

稼働率の低い資産の利用権を提供して収入を得ることが出来、買い手はサービスを短い期

間・安い価格でなど手軽に利用することが出来る。

また、コト売りビジネスは B to B でも進展している。例えば、あるタイヤメーカーでは、

新品のタイヤを大口ユーザーである物流会社に年単位一括で貸出し、メンテナンスを請け

負うビジネスモデルを構築した。タイヤメーカーは、タイヤがすり減った際のリトレッドの

ほか、交換やトルクの締め付け、空気圧の管理など、運用・維持に必要な作業を担う。また、

68 Global Sustainable Investment Alliance(2019)2018 Global Investment Sustainable

Investment Review:http://www.gsi-alliance.org/wp-

content/uploads/2019/06/GSIR_Review2018F.pdf 69 従来のモノの販売(モノ売り)によって顧客価値が「モノの所有」により実現される形か

ら、サービス等の提供(コト売り)によって顧客価値が「機能の利用」や「体験の享受」によ

り実現されること、またそのビジネスモデルのこと。 70 環境省(2018),リユース市場規模調査報告書:

https://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_01.pdf 71 公益財団法人リース事業協会,リース産業の現況調査:

https://www.leasing.or.jp/statistics/genkyo.html 72 内閣府(2018 ),国民生活に関する世論調査

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タイヤの状態について全車両ごとに調査し、燃費を向上させるような運転の仕方なども助

言する。物流会社としては、サービス料が含まれるのでタイヤを購入する時より同社に支払

う金額は増えるが、管理費用の低減で補えることに加え、整備不良による事故を減らせる利

点もある。

上述したようなコト売りのビジネスモデルでは、資産を最大限活用する(稼働率向上)こ

とと資産を長期的に安定して使用する(長期安定利用)といった基本アプローチで収益性を

向上させており、それらは結果として資源効率を向上させる。

稼働率向上の観点では、稼働率の低い資産を複数消費者でシェアすることで、長期安定利

用の観点では、モニタリングによる故障予測やメンテナンス、修理による製品の延命によっ

て資源効率を向上させている。

また、コト売りビジネスは、資源効率向上によって環境負荷低減に寄与する側面のみなら

ず、消費者がコストを分散して負担することによって高性能な環境製品の導入を促進する

といった側面もあり、気候変動といった分野への貢献も期待できる。

2.3 諸外国における循環経済政策と国際会議における議論

我が国の循環経済政策を検討するため、循環経済に関する国際動向を調査した。特に、G

7等の主要国会議、循環経済に関する取り組みを強化している欧州連合(EU)の動向、廃棄

物の輸入規制を強化しているアジア各国の動向、循環経済に関する ISO の規格化の流れ、民

間セクターでの取り組みについて、取りまとめた。

2.3.1 各国の循環経済関連政策の導入

欧州連合(EU)は特に 2010 年以降から、循環経済に関する施策を推進してきている。EU

の施策の特徴としては、環境規制といった側面ではなく、サーキュラー・エコノミーを推進

することが EU経済全体の成長に繋がるという視点を強く持っている点である。また、気候

変動対策の一環としてのアプローチもされている。以下に、近年の EU の施策をまとめた。

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表 5 EU のサーキュラー・エコノミー関係の施策

施策 年 内容

EUROPE 2020 2010 資源効率を7つのフラッグシップイニシアティ

ブの1つに定めた73。

The Roadmap to a

Resource Efficient

Europe

2011 生産性の向上による経済成長と資源利用の切り

離しの方向性が示された74。

Circular Economy

Package

2015 サーキュラー・エコノミーに関する 54 の取組か

らなる行動計画と廃棄物関連指令の目標の見直

しがなされた75。

The European Green

Deal

2019 経済成長を図りつつ、2050 年に、温室効果ガス

(GHG)の実質的な排出をゼロすることが掲げら

れた76。

2011 年の資源効率に関するロードマップは、2014 年9月に進捗評価がなされ、3Rが直面

している障害を取り除き、廃棄物から資源を生み出していく(turn waste into a resource)

重要性が示された。このために、ライフサイクル全体でアプローチし、低品位材としての再

利用(cascading use of resources)することや残渣廃棄物(residual waste)をゼロに近

づけるという視点を持って、循環経済への転換が必要であることが報告されている77。2015

年に発表されたサーキュラー・エコノミーに関する行動計画は、2019 年3月に、その実施

状況に関する包括的なレビューが行われ、報告書が公表されている。同報告書と併せて、循

環経済における持続可能な製品に関する取組や、化学物質・製品及び廃棄物の法令間の調和

(interface)を図る取組のワーキングドキュメントも公表された78。

73 European Commission (2010) Euro 2020:

https://ec.europa.eu/eu2020/pdf/COMPLET%20EN%20BARROSO%20%20%20007%20-%20Europe%20202

0%20-%20EN%20version.pdf 74 European Commission (2011) Roadmap to a Resource Efficient Europe:https://eur-

lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52011DC0571 75 European Commission (2015) EU action plan for the Circular Economy:https://eur-

lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52015DC0614 76 European Commission (2019) The European Green Deal:

https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/european-green-deal-communication_en.pdf

https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/european-green-deal-communication_en.pdf 77 European Commission (2014) COMMISSION STAFF WORKING DOCUMENT Progress Report on

the Roadmap to a Resource Efficient Europe Accompanying the document:https://eur-

lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52014SC0206R(01) 78 European Commission (2019) Report on the implementation of the Circular Economy

Action Plan:https://eur-lex.europa.eu/legal-

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(1)欧州グリーンディール

2019 年 12 月、欧州委員会は欧州グリーンディールを発表した。この中では、2050 年に、

温室効果ガス(GHG)の実質的な排出をゼロすることが掲げられる等、気候変動対策の強化

に関する内容が多い。しかし、この目標を達成するために、多くの施策が検討されている。

以下に、サーキュラー・エコノミーに関する記述を抜粋した。

表 6 欧州グリーンディールの主な内容(サーキュラー・エコノミー関係)79

分野 主な内容

サーキュラー・

エコノミー

2020 年3月に新たな行動計画を発表するとしている。この中では、「持

続可能な製品(Sustainable product)」に関する政策が導入されるこ

ととなっており、全ての製品のサーキュラー・デザインを共通な手法・

原則に基づいて支援するとしている。また、リサイクルより、リデュー

スとリユースを優先すること、環境に悪影響を与える製品への規制を

導入すること、拡大生産者責任をさらに強化することが掲げられてい

る。また、新しい行動計画では資源をより多く使用している産業への対

策を重視するとし、繊維、建築、電子、プラスチック産業等が挙げられ

ている。

容器包装 EU 市場の全ての容器が経済的に実現可能な方法で、再使用・リサイク

ル可能となるように、欧州委員会が 2030 年までに要件をまとめるとし

ている。この他に、ワンウェイプラスチックに関する政策を実行するこ

とも述べられている。

廃棄物処理 基本的に EU 域外への廃棄物の移動に反対することが述べられている。

このため、再生材市場を強化することが指摘されており、欧州委員会が

法的要件を検討するとしている。

この他、2030 年までに鉄の製造からの炭素排出をゼロにするために、EUが財政支援をす

ること、2020 年に循環型のバッテリーチェーンを担保する法律を提案することが掲げられ

ている。

また、これらの政策を実現するために、欧州委員会は年間 2600 億ユーロ(2018 年の GDP

の 1.5%)の投資が必要になると試算している。このため、EUの予算措置を変更することが

検討されており、新たな財源として、リサイクルされていないプラスチック包装廃棄物や二

酸化炭素の排出量取引が掲げられている。更に、政策転換の影響を受けやすい地域や産業を

支援するために、新たな枠組みとして、Just Transition Mechanism が設立され、1000 億ユ

content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:52019DC0190&from=EN 79 EU Commission (2019) The European Green Deal:

https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/european-green-deal-communication_en.pdf

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ーロを拠出している80。

(2)エコデザイン指令

EU はエコデザインに関する取り組みを 2005 年から始めていたが、当時は主にエネルギー

効率の観点からの施策であった。しかし、2016 年に発表された作業計画では、循環経済に

貢献する取組として、修理可能性、アップグレード可能性、耐久性、リサイクル可能性等の

資源効率性に資する設計要求が新たな論点として追加された81。これを受け、2019 年 10 月

にはエコデザインに関する要件が定められ、10 の家電製品に対して、修理可能性やリサイ

クル性等の基準を定める措置が採択された。対象となる 10の家電製品と要件の例は以下の

通りである82。

表 7 エコデザインの対象製品と要件の例

対象家電 家庭用冷蔵庫、照明機器、電子ディスプレイ(テレビ含む)、食洗器、洗濯

機、電動モーター、外付けバッテリー、商業用冷蔵庫、変圧器、溶接機

要件の例

(冷蔵庫:ス

ペアパーツ)

サプライヤーは、同一モデル商品の最後の市場投入から最低でも7年間ス

ペアパーツを確保し、修理業者からスペアパーツ提供の依頼があった場

合、15 日以内に提供する必要がある83。

要件の例

(冷蔵庫:修

理情報)

同一モデルの最初の市場投入から2年以内に、サプライヤーは、修理に関

する情報を登録修理業者に提供することが求められている。提供しなけれ

ばならない情報には、製品の分解図、配線図、接続図等が含まれる。また、

サプライヤーは、事前に登録した修理業者 より修理情報提供の依頼を受

けた場合、1日以内に返答しなければならない84。

(3)プラスチック戦略

プラスチックは EUのサーキュラー・エコノミー政策の中でも重要しされており、2015 年

発表のサーキュラー・エコノミー行動計画では、優先分野の1つとされている。また、2018

80 EU Commission (2019) Just Transition Mechanism

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/fs_19_6716 81 European Commission (2019) Ecodesign Working Plan 2016-2019:

https://ec.europa.eu/energy/sites/ener/files/documents/com_2016_773.en_.pdf 82 European Commission (2019) The new ecodesign measures explained:

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_19_5889 83 European Commission (2019) ANNEXES to the COMMISSION REGULATION (EU) .../...

laying down ecodesign requirements for refrigerating appliances pursuant to

Directive 2009/125/EC of the European Parliament and of the Council and repealing

Commission Regulation (EC) No 643/2009:

https://ec.europa.eu/energy/sites/ener/files/documents/c-2019-

2120_1_en_annexe_acte_autonome_part1_v4.pdf 84 同上

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年1月には、プラスチック戦略が策定され、従来のプラスチックの使用・製造・廃棄方法で

は循環利用による経済的恩地を十分に発揮できず、環境影響を引き起こしているとし、リユ

ース・リペア・リサイクルを考慮したプラスチック製品の設計と製造等を促進するとしてい

る85。また、同戦略に基づき、2019 年5月に、特定プラスチック製品の環境影響減少に関す

る指令が EU 理事会で採択された。これにより、様々なプラスチック製品に対して、新たな

規制や目標が導入された。以下に、その主な内容をまとめた。

表 8 「特定プラスチック製品の環境影響減少に関する指令」の対象と主な内容86

対象製品 食料容器、食品包装(食品を包むラップ等)、3リットルまでの飲料容器、

コップ、軽量のプラスチック製袋、ウェットティッシュ、風船、フィルタ

ー付タバコ、漁具

主な内容 ・2021 年までのワンウェイプラスチック製品の使用禁止

・2025 年に飲料ペットボトルのリサイクルプラスチックの使用目標 25%

・2030 年に飲料ペットボトルのリサイクルプラスチックの使用目標 30%

・2025 年までにリサイクルプラスチックを 1,000 万トン使用

これらの取り組みは産業界からも支持されており、Circular Plastics Alliance87 は2025

年までに 1000 万トンのリサイクルプラスチックを使用することを目指し、2019 年9月にプ

ラスチックの分別回収やリサイクルのための製品デザイン等を促進するとした宣言を発表

し、この宣言に対して 100 以上の企業及び組織が署名した88。

この他、リサイクルプラスチックの使用を促進するため、EU は廃棄物枠組指令を改正し

た。これにより、加盟国は、環境に配慮した製品を製造しているメーカーに対して、経済的

インセンティブを与える仕組みを導入することが可能となった89。これを受け、包装廃棄物

指令では、加盟国に対して、2024 年末までに国内で環境に配慮した包装製品を製造してい

るメーカーのリサイクル委託料を下げる制度を設置することを求めている90。

85 European Commission (2018) A European Strategy for Plastics in a Circular

Economy:https://eur-lex.europa.eu/legal-

content/EN/TXT/?qid=1516265440535&uri=COM:2018:28:FIN 86 European Union (2019) DIRECTIVE (EU) 2019/904 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF

THE COUNCIL on the reduction of the impact of certain plastic products on the

environment:https://eur-lex.europa.eu/legal-

content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32019L0904&qid=1573896780703&from=EN 87 Circular Plastics Alliance:プラスチックに関連する官民のステークホルダーが集まり自

主的な行動を促進し、リサイクルプラスチック使用のさらなる促進を目的に設立された。 88 EU Commission (2020) List of signatories CPA:

https://ec.europa.eu/growth/industry/policy/circular-plastics-alliance_en 89 European Union (2018) DIRECTIVE (EU) 2018/851 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF

THE COUNCIL of 30 May 2018 amending Directive 2008/98/EC on waste:https://eur-

lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1528981579179&uri=CELEX:32018L0851 90 European Union (2018) DIRECTIVE (EU) 2018/852 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF

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31

中国

近年、中国政府は循環経済やプラスチックの利用規制に関する政策を強化してきている。

以下に、それらをまとめた。

政策 年数 概要

循環型経済の発展加速に関

する国務院の若干の意見

2005 当時の資源利用率が低いことや環境汚染が深刻

であることを指摘し、新たなタイプの工業化に向

け、資源の節約、環境の保護に資する生産方式と

消費方式を形成すること、技術革新の加速、管理

の強化、資源利用効率の向上、廃棄物の排出の削

減を図るとしている91。

循環経済促進法 2009 循環経済の促進、資源の利用率向上、環境保護、

持続可能な発展を実現するために定められた。同

報では、循環経済を生産・流通・消費過程におけ

る、(資源利用量および廃棄物の)減量化、(廃棄

物の直接的な)再利用、資源化活動(廃棄物の再

資源化)の総称としている92。

循環経済発展戦略及び短期

行動計画

2013 循環型の産業体系を構築することを目指し、循環

型の工業体系、農業体系、サービス体系を構築す

るとしている。このため、再生資源の回収体系を

整備し、再生資源利用の産業化を進めるとしてい

る9394。

プラスチック汚染対策の一

層の強化に関する意見

2020 2020 年、22 年、25 年までの目標が示された。具

体的には、2020 年までに一部地域でのプラスチッ

ク製品の生産・販売・利用の禁止または制限、2022

年までにワンウェイプラスチック製品の消費量

THE COUNCIL of 30 May 2018 amending Directive 94/62/EC on packaging and packaging

waste:https://eur-lex.europa.eu/legal-

content/EN/TXT/?qid=1528981579179&uri=CELEX:32018L0852 91 日中友好環境保全センター(2005)国務院、循環型経済の発展加速に関する若干の意見

http://www.edcmep.org.cn/japan/old/bf/CNE/down/3_2_2_054.pdf 92 日本貿易振興機構(2009)中華人民共和国循環経済促進法:

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/law/pdf/invest_043.pdf 93 国家発展改革委員会経済体制管理研究所(2016)中国循環型経済「十三五」

政策方向及び主要制度 94 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社(2018)資源循環を巡る国際動向:

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/junkan_keizai/pdf/001_s

02_00.pdf

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政策 年数 概要

の減少や代替製品の普及推等、2025 年までにプラ

スチック製品の循環管理制度の整備、代替製品の

研究開発の促進、プラスチック汚染の防止等を目

標として定められている95。

また、上記以外に中国政府は、廃棄物輸入規制を含めた環境関連の取組を急速に進めてお

り、2025 年までに電気電子機器廃棄物のリサイクル率を 50%に、再生材の使用率を 20%と

することを目標として掲げている9697。さらに、電気自動車に使用されるリチウムイオン電

池については、メーカーに製品情報の登録と回収の義務化を求め、国内での循環制度を構築

している。

2.3.2 国際政治における循環経済に関する機運の高まり

近年、G7 や G20 と言った主要国の国際会議では、循環経済に関係する議題が取り扱われ

ている。以下に、近年の国際会議における、循環経済に関する論点をまとめた。また、この

他にも、プラスチック廃棄物の輸出入の規制を強化する議論も、国際的に行われている。

2019 年5月にはバーゼル条約の改正が行われ、リサイクルに適さない汚れたプラスチック

を同条約の新たな規制対象とすることとなった。

95 みずほ総合研究所(2020)プラスチック汚染防止のさらなる強化に関する意見:

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/china-bri/cb200221.pdf 96 中国政府(2016)拡大生産者責任制度の推進方案

http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-01/03/content_5156043.htm 97 World Economic Forum (2018) Recovery of Key Metals in the Electronics Industry in

the People’s Republic of China: An Opportunity in Circularity

http://www3.weforum.org/docs/Recovery_Key_Metals_Electronics_light.pdf

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表 9 主要国際会議における循環経済に関する議論

会議 循環経済に関する論点

G7エルマウ・サミット

(2015 年 6 月)

資源効率性のための G7 アライアンスが設立され、優

良事例の共有等、資源効率に関する取組が強化された

98。

G7伊勢志摩サミット

(2016 年 5 月)

資源効率性を改善するため、企業及びその他のステー

クホルダーと共に取り組むことが述べられた99。

G7富山環境大臣会合

(2016 年 5 月)

資源効率性・3Rのために率先して継続的に取り組

み、経済成長と天然資源利用との分断(デカップリン

グ)を促進することで一致した。共通のビジョン、G

7各国による野心的な行動、グローバルな取組の促

進、着実なフォローアップを含む「富山物質循環フレ

ームワーク」を採択した100。

G7ボローニャ環境大臣

会合(2017 年 6 月)

資源効率性に関する共通の活動の推進を目指す、「ボ

ローニャ・5ヶ年ロードマップ」が採択された。また、

「持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組み」

に全面的に参加するよう努力することで参加者が一

致した101

G20 ハンブルクサミット

(2017 年 7 月)

G20 資源効率性対話の設立が合意された。同対話では、

ライフサイクル全体にわたる天然資源利用の効率性、

持続可能性の向上や持続可能な消費生産形態の促進

に向け、G20 各国間のグッド・プラクティスや各国の

経験が共有される102。

G20 持続可能な成長のため

のエネルギー転換と地球

環境に関する関係閣僚会

合(2019 年 6月)

循環経済が経済成長と環境保全に資するものとの認

識が示された。また、各国の取り組みを報告・共有す

る枠組みである「G20海洋プラスチックごみ対策実

施枠組」に合意した103。

98 外務省(2015)2015 G7 エルマウ・サミット首脳宣言(仮訳)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_001244.html 99 外務省(2019)G7 伊勢志摩首脳宣言(仮訳):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160267.pdf 100 環境省 3R や資源効率性に関する G7/G8 の取組:

http://www.env.go.jp/recycle/circul/3r_g7g8.html 101 環境省(2017)G7 ボローニャ環境大臣会合結果について:

https://www.env.go.jp/press/104177.html 102 外務省(2017)G20 ハンブルク首脳宣言(仮訳):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000271331.pdf 103 経産省(2019)G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会

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34

会議 循環経済に関する論点

G20 大阪サミット(2019 年

6 月)

2050 年までに海洋プラスチックごみによる追加的な

汚染をゼロにまで削減することを目指す、「大阪ブル

ー・オーシャン・ビジョン」が共有された104。

G7ビアリッツ・サミット

(2019 年 8 月)

「気候、生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長

総括」の中で、循環経済等を通じた海洋・陸上生態系

の保護について言及された105。

国際連合

国連の関係機関も、循環経済への取り組みを進めている。この中で、2007 年には国際資

源パネル(IRP)が国連環境計画(UNEP)によって設立され、様々な報告書を公表している。

UNEP 国際資源パネルは、36 名からなる専門家により構成され、事務局を UNEP が務めてい

る106。また、2018 年から 2021 年の優先分野分野として、現在および将来の天然資源の展望、

資源効率性と気候変動、天然資源利用による社会経済的な意味合い、持続可能な資源管理と

移民・紛争の関係性が挙げられている107。

2015 年の G7エルマウ・サミットにおいて、UNEP 国際資源パネルに対して、資源効率性

向上のポテンシャルとそれを実現するための解決策を示した統合報告書の作成が招請され

た。これを受け、2016 年に「資源効率性:潜在的可能性及び経済的意味」が公表され、同年

に開催された G7富山環境大臣会合でも、その内容が報告がされている。同報告書は、ヘッ

ドラインメッセージとして、「協調行動による資源効率性向上のポテンシャルは著しく、経

済及び環境に多大な便益をもたらす」と指摘している。また、5つのキーメッセージとして、

「環境保護と開発を両立させる持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、資源 効

率性の大幅な増加が不可欠である」、「気候変動目標をコスト効率良く達成するには、資源効

率性の向上が不可欠である」、「資源効率性は経済成長と雇用創出の促進に貢献し得る」、「多

くの分野において資源効率性を向上する機会が存在する」、「資源効率性の向上は実際に達

成可能である」ことを指摘している108109。

合閣僚声明(仮訳)https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190618008/20190618008_15.pdf 104 外務省(2019)G20 大阪首脳宣言(仮訳)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/g20/osaka19/jp/documents/final_g20_osaka_leaders_d

eclaration.html 105 外務省(2019)気候,生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括(仮訳)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000512675.pdf 106 UNEP-IRP The Panel:https://www.resourcepanel.org/the-panel 107 環境省、UNEP 国際資源パネル:https://www.env.go.jp/recycle/circul/unep.html 108 環境省、UNEP 国際資源パネル(IRP)G7 統合報告書 政策決定者向け要約 「資源効率性:

潜在力及び経済的意味」概要:http://www.env.go.jp/press/files/jp/102876.pdf 109 UNEP(2016)Resource Efficiency: Potential and Economic Implications Summary for

Policy-Makers:https://www.resourcepanel.org/file/441/download?token=3IPv9vDL

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また、IRP はデカップリングについて、早くから注目されており、2011 年にはデカップリ

ングに関する報告書が発表されている。同報告書では、デカップリングを資源デカップリン

グ(Resource Decoupling)と影響デカップリング(Impact Decoupling)の 2つの側面に分

けて分析をしている。資源デカップリングとは単位生産当たりの資源利用量を減らすこと

であり、影響デカップリングとは経済活動からの負の環境影響を減らすこととしている110。

また、同報告書では、20 世紀中は経済成長と人口増加により、環境影響が大きくなって

いったが、天然資源の使用量の増加率は世界の経済成長率を下回っており、ある程度のデカ

ップリングが実現されてきたと指摘している111112。

しかし、2016 年に発表された「資源効率性:潜在的可能性及び経済的意味」の中では、世

界の資源採掘量は増加し続けており、特に 2000 年以降は世界の GDP の上昇率を上回る形で、

資源採掘量が上昇していることを指摘している。また、地球上の資源が有限であることから、

デカップリングが必要であると主張している113。

図 19 デカップリングの考え方

110 UNEP (2011) Decoupling natural resource use and environmental impacts from

economic growth:https://www.resourcepanel.org/file/401/download?token=jVNsDH_8 111 UNEP-IRP、デカップリング 天然資源利用・環境影響と 経済成長との切り離し:

https://www.resourcepanel.org/sites/default/files/documents/document/media/decoupling

_factsheet_japanese_0.pdf 112 UNEP (2011) Decoupling natural resource use and environmental impacts from

economic growth:https://www.resourcepanel.org/file/401/download?token=jVNsDH_8 113 UNEP(2016)Resource Efficiency: Potential and Economic Implications Summary for

Policy-Makers:https://www.resourcepanel.org/file/441/download?token=3IPv9vDL

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国際標準化の動向

循環経済の分野でも国際標準化の動きが出てきている。フランス規格協会(Association

française de normalisation:AFNOR)からの提案に基づき、国際標準化機構(ISO)におけ

る循環経済の規格化のための委員会(ISO/TC323 Circular Economy)が設置され、2019 年

5月から議論が始まった。同委員会には、65 か国以上から専門家が参加し、国際的に合意

できる循環経済の原則や用語、枠組みを議論した。今後は、マネジメントシステムの基準を

開発することを目指している。また、循環経済に資する代替的なビジネスモデルや循環性の

計測・評価手法も検討される予定である114。2020 年6月には、日本で第2回総会開催が予

定されている。

2.4 循環経済への転換とその課題

・1999 年循環経済ビジョン策定以降、我が国では循環システムが構築され、廃棄物の最終

処分量が大幅に削減される等、数多くの成果があった。最終処分場の逼迫という当初の社会

的課題に対応するため、1999 年ビジョン策定以降、資源有効利用促進法の制定や各種リサ

イクル法の整備等の規制的手法を活用しつつ、3R の取組を進めてきた。こうした制度・取

組の結果、エアコン、テレビ等の家電、自動車部品、びん・缶等の飲料用容器については、

7割から9割という高いリサイクル率を達成した。これらの背景には、国政府や地方自治体、

産業界並びに個別企業、さらには消費者も一体となった取組と各主体間のきめ細かな連携

があり、社会としてのシステム構築が進展した。このような社会システムが醸成されたこと

により、廃棄物量が大幅に削減されるとともに、資源の循環利用量も増加してきており、世

界的にもトップランナーの 3Rを実現してきている。

一方で、最終処分場の残余年数や循環利用率はここ数年、横ばいで推移している。例えば、

プラスチック廃棄物の排出量を見ると、2001 年から 2017 年の間で一般廃棄物はピーク時と

くらべ約 28%削減されたが、産業廃棄物の排出量は横ばいであった115。また、国内のマテ

リアルフローをモニタリングするための指標である資源生産性(GDP/天然資源投入量)は、

2000 年から 2009 年の間で 53%向上したが、2009 年以降は横ばいとなっており、最小の資

源投入で最大の付加価値を創出することによる資源効率の向上に向けて、我が国の資源循

環は更なる改善の余地がある116。我が国の資源循環を取り巻く環境は、国際的な広がりの中

で、国や地域それぞれの特性を反映しながら、例えば新興国における経済の成長と我が国に

おける人口構造の変化、AI や IoT 等のデジタル技術の発達と普及、そして消費者のニーズ

や価値観の多様化等、加速度的に変化している。これらの変化がもたらすリスクと機会を分

114 ISO (2019) Connecting the dots in a circular economy: a new ISO technical

committee just formed:https://www.iso.org/news/ref2402.html 115 プラスチック循環利用協会(2019)プラスチックリサイクルの基礎知識:

http://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf 116 環境省(2018)平成 30 年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書

http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h30/html/hj18010102.html

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析・把握し、我が国の資源循環を次の段階に成長させるために、次のような視点から検討す

る必要がある。

2.4.1 資源循環の取組がさらに評価される市場や社会への転換

我が国では、環境に配慮した製品の購入を促進する取組を行ってきた。例えば、国等の公

的機関の調達基準を定める「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリー

ン購入法)において、ライフサイクル全体の環境負荷の低減を考慮して環境物品を調達し、

その際には物品そのものの環境負荷だけではなく、物品等の設計・製造・販売等を行ってい

る事業者による環境マネジメントや情報公開等の取組にも配慮することを求めている。

しかし、企業がコストをかけて資源循環の取組や再生材を使用したとしても、それらが市

場や消費者から適切に評価されにくい傾向は、依然として存在する。そのため、取組を実施

するインセンティブが働きづらく、資源循環の取組をさらに進展させる上では課題となり

うる。

(1) 資源循環に関する取組が評価される仕組みの構築

SDGs や ESG 投資の拡大を背景として、各企業が独自に資源循環の取組を評価し、開示す

る動きが広がりつつある。しかし、現時点では、企業の資源循環・資源効率に資する行動を

評価する評価軸や測定方法が統一されておらず、横並びでの評価が困難である。

(2) 資源循環に貢献する投資を生み出す仕組みの整備

気候変動の分野では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のような情報開示の

枠組みが存在し、企業の取組を推進する手法として注目を集めている。しかし、循環の分野

では、現在のところ関係者間で合意された投資を呼び込むような仕組みは、本格的に整えら

れていない。

(3) 資源循環に関する新たな市場の創出(リユース、リース、シェアリング等)

リユースに加えてリース、シェアリング等新たな市場の創出が見込まれる。我が国におい

て、リユース市場は、2015 年の3兆 1,424 億円から、2018 年には3兆 2,492 億円に拡大し

ているとの推計もある117。リースについても、公益財団法人リース事業協会によると、同協

会の加盟企業の売上は、2015 年の4兆 6,562 億円から 2018 年には4兆 9,302 億円と増加し

ている118。

しかし、7割の消費者がリユース品を購入した経験がないとの指摘119や、カーシェアリン

117 環境省(2019)平成 30 年度リユース市場規模調査報告書

https://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_01.pdf 118 公益財団法人リース事業協会(2019)リース産業の現況調査:

https://www.leasing.or.jp/statistics/genkyo.html 119 環境省(2019)平成 30 年度リユース市場規模調査報告書:

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グの認知度がレンタカーに比べて低く、利用意欲を持っている消費者が1割程度に留まっ

ているとの指摘もある120。リース、リユース、シェアリングといった資源循環に資する市場

には、新たなプレーヤーの参入促進や消費者の意識改革も含めた取組みが必要である。

2.4.2 再生材使用量の増加

再生材使用については、マテリアルリサイクルによる廃棄物量の削減、CO2 削減効果や資

源代替効果などの環境負荷の低減が期待され121、一部の製品等で積極的に活用されている事

例もある。

金属については、日本には世界的に見ても豊富な都市鉱山を有しているとの指摘もあり、

その活用も求められる。例えば、金は 6,800t が都市鉱山として国内に埋蔵されているとの

指摘もあり、これは世界の埋蔵量の 16%に相当する122。また、生産工程で発生する副産物

の利用も進んでいる。例えば、鉄鋼業では鉄鋼製造工程で発生する鉄鋼スラグの利用が進ん

でおり、高炉スラグでは 2017 年度に 2,300 万トン生産され、そのほとんどが利用されてい

る123124。

また、市場や投資家が環境配慮への関心を高めていることから、民間企業がより積極的に

再生材を利用する傾向が見られる。例えば、ペットボトルを 2030 年までに 100%有効利用

すること目指す事例もある125。しかし、プラスチックについては、現状まだ再生材の利用が

限られている。具体的には、国内の樹脂投入量が 2017 年には、978 万トンであったが、そ

のうち再生樹脂投入量は 62 万トンであり、全体の投入量の 10%に届いていない126。EU で

も、2016 年のプラスチック需要が 5,000 万トンであるのに対し、リサイクルプラスチック

https://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_1.pdf 120 一般社団法人 日本自動車工業会(2018)2017 年度乗用車市場動向調査:

http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/pdf/2017PassengerCars.pdf 121 マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と環境負荷の削減に向けて~素材別リサイクル

戦略マップ策定に向けた調査・検討の中間報告~(低炭素型 3R 技術・システムの社会実装に

向けた素材別リサイクル戦略マップ検討会)

http://www.env.go.jp/press/files/jp/102960.pdf 122 独立行政法人物質・材料研究機構(2008)「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」

https://www.nims.go.jp/news/press/2008/01/200801110/p200801110.pdf 123 鐵鋼スラグ協会(2019)鉄鋼スラグ統計年報 鉄鋼生産及び鉄鋼スラグ需給の推移:

http://www.slg.jp/pdf/FS-169-02.pdf 124 鐵鋼スラグ協会(2019)鉄鋼スラグ統計年報 高炉スラグ利用統計表:

http://www.slg.jp/pdf/FS-169-03.pdf 125 全国清涼飲料連合会(2018)清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言 http://j-

sda.or.jp/environment/circulation-society04.php 126プラスチック循環利用協会(2019)プラスチックリサイクルの基礎知識:

http://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf

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の使用量は 400 万トン(8%)以下同様に進んでいない127128。

(1) 回収量と品質について

我が国では自動車、家電等の個別リサイクル法の対象製品を中心に、特定の製品群につい

ては、動脈企業が静脈企業と連携して使用済み製品を回収する循環システムが構築されて

いる。社会全体として、再生材の使用量をさらに向上させるためには、静脈企業は用途や仕

向け先を拡大するとともに、動脈企業が求める量や品質に応じた再生材を安定的に供給す

る必要がある。しかし、静脈企業は、事業規模が小さいことによる特性を活かした優れた活

動も多いが、その活動領域が地域や特定の製品に限定されていること等により、その要求を

満たせるだけの使用済み製品や廃棄物の量や品質を確保するのが困難であるという課題を

抱えている。

容器包装リサイクル法や家電リサイクル法では、一般家庭の製品を制度対象としている

ため、同じような製品でも事業活動から排出されるものは取り扱っていない。また、個々の

静脈企業が多様な事業系廃棄物等の回収及び再資源化に取り組むためには各種許認可等を

含め広域な活動が必要であるが、多くの企業は十分に対応できておらず、回収量を確保でき

ていない状況にある。これらを踏まえると、使用済み製品や廃棄物の回収における静脈物流

の役割は重要であり、静脈物流の効率化がこれらの様々な課題の解決策となりえ、回収量の

確保にも繋がる。

(2) 主体間でのコミュニケーションの強化

家電や自動車と言った個別リサイクル法の下でリサイクルされる製品については、製品

を製造しリサイクルに責任を持つ動脈企業とリサイクル技術を有する静脈企業の間で自主

的に情報交換が行われている。このため、製品の設計段階から製品寿命を迎えた時の再生材

使用を念頭に置いた取り組みが、実施されている。一方で、個別リサイクル法の対象外の製

品については、リサイクルの責任は動脈企業により自主的に行われるため、動脈・静脈企業

間のコミュニケーションを促進し、リサイクルの対象商品を拡大、またはより高度な資源循

環システムを確立するインセンティブが生まれづらい。また、動脈産業は、再生材に対して

127 Plastics – the Facts 2018(Plastic Europe):

https://www.plasticseurope.org/application/files/6315/4510/9658/Plastics_the_facts_20

18_AF_web.pdf

Assessment report of the voluntary pledges under Annex III of the European Strategy

for Plastics in a Circular Economy(European Commission):

https://ec.europa.eu/environment/circular-

economy/pdf/assessment_voluntary_pledges.PDF 128 日本はプラスチック製造の素材となる樹脂の重量を推計している。一方で、EU では、製造さ

れた全てのプラスチック製品の中に使用された再生プラスチックの重量を推計しているため、

再生樹脂と再生プラスチックを直接比較することはできない。

Page 41: # ) í S( Fû ¥FáFï1* H >Ì - METI\7 ) í1* 2 >& C @ \ # ) í S( _ ¥ E S1* >' _6õ M Î(Ù i _ ö Y 8 Z K S1* b) Ý Ì M v b [ 6 ~ 0É » \ K Z K S v b [ c 6 ~ r O r S Ì i c 1*

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もバージン材と同水準の品質を求める傾向があり、前述した理由と合わせて、静脈企業が再

生材を安定的に供給する上で課題となっている。

再生材の取引の拡大に向けては、再生材市場としての透明性や信頼性を十分に担保する

観点から、売買の判断に必要な品質や由来、製品特性等の情報提供が重要となってくる。ま

た、現状の再生材市場に参入している企業は比較的事業規模が小規模であることから、小規

模事業者にとっては、物流コスト等が事業運営上の制約となり、広範囲での活動が困難とな

っているケースが多い。このため、再生材市場が比較的小規模な地域単位で存在しているこ

とが多い。

しかし、地域の需要者と供給者を広域的かつ効率的にマッチングし、再生材の量や品質の

確保にすることが可能となれば、再生材市場がさらに拡大する可能性がある。このためには、

動脈企業と静脈企業の間で再生材の製造を行う素材メーカーの役割が重要である。今後、再

生材市場をさらに拡大するためには、動脈、静脈企業だけでなく、素材メーカーも含めた関

係事業者間の効果的なコミュニケーションの促進が求められる。

2.4.3 社会変化に対応した国際的な資源循環システムの再構築

我が国は、廃棄物・リサイクル分野において国際協力を進めてきた。具体的には、リサイ

クル関連技術・システム及び政策ツール等のノウハウを活用し、それらの有効性を可視化す

ることで、相手国側と共にアジアにおける資源循環システムの構築を進めてきた。

しかし、近年の近隣諸国における廃棄物輸入規制や廃棄物排出量の増加によって、国内外

の循環システムの見直しに迫られている。我が国は、国際的に見ても高いリサイクル技術や

制度、経験を有しているが、シュレッダーダストやミックスメタル等の国内の処理能力は切

迫してきている。また、今後、人口増加や大量消費経済への移行が見込まれる新興国等を巻

き込んで、国際的な資源循環はより重要な問題となる。

(1) 海外輸出を含む資源循環体制の再構築

中国および東南アジア各国において、国内の環境問題への対応から、廃棄物輸入に関する

規制が強化されている。これによって、これまで日本から輸出されていた年間 100 万トン以

上のプラスチックをはじめとする廃棄物は日本国内で処理されることとなる。

しかし、国内で発生した廃棄物を全て廃棄物、有価物の別を問わず国内処理することは、

現時点の設備能力や再生材の需要規模を考慮すると、経済的に合理的ではない場合もある

129。例えば、雑電線等の雑品スクラップについても、同様の問題が顕著化しており、国内で

処理するための設備の処理能力が限られている。また、処理した場合でも、一部を除いて再

生材に対する需要先が不足しており、プラスチックについても双方の拡大が急務である。

129 環境省(2019)外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響 等に 関する調査結果:

http://www.env.go.jp/press/files/jp/112747.pdf

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(2) 資源循環に関する国別評価方法の策定

人口増加や経済成長を背景として新興国における資源の使用量が増加していくことで、

国際的な資源循環はより大きな問題となってくる。各国の取組について、社会経済状況や活

用可能な最良な技術等を考慮して評価することが、国際的な資源循環の促進につながると

考えられるが、現在、そういった評価方法は存在していない。我が国は国際的にみても高い

水準で資源循環に関する技術や制度、経験を有しており、評価方法の検討、導入に当たって

は率先的に貢献していくことが考えられる。

(3) 我が国の資源循環システムの海外展開

我が国では、廃棄物・リサイクル分野の国際協力を通じて、アジア圏を中心としてリサイ

クル技術の移転を進めてきた。しかし、近年の諸外国の廃棄物輸入規制や将来的な廃棄物排

出量の増加等を鑑みると、各国での適正処理・再資源化に加えて、国際的な資源循環システ

ムを構築していく必要性が高まりつつある。

我が国が培ってきたリサイクル関連技術・システム及び政策ツール等のノウハウを相手

国へ展開し、我が国産業の発展も視野に入れつつ、透明性が高く効率的な多国間での資源循

環システムを構築していく視点が必要である。

2.4.4 リサイクル技術による新しい課題の解決

リサイクル技術については、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

(NEDO)や国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)等の国内の研究機関によって、

センサーを活用した光学選別等の高度選別130や再資源化に関する開発が進められてきた。ま

た、政府においても、企業に対して高度化技術導入のための財政支援を行ってきた。

一方、素材産業等における技術の進化によって、新しい素材や製品が登場し、排出される

廃棄物が多様化しており、従来の技術では対応が困難なものが増えつつある。また、将来の

人口減少等を見据えると、複雑なリサイクル工程を人に依存している現状のリサイクル技

術では、十分に対応できなくなる可能性がある。さらに、現状で把握できる情報では、最適

なリサイクルの手法を選択できていない可能性もある。

これらの課題を克服するためには、今後想定される課題に対応した技術革新が必要であ

り、従来の枠組みに囚われずに新たな技術の開発や導入の推進が求められる。

(1) リサイクル技術の開発と導入促進

我が国では、静脈企業に対する高度化技術導入のための財政支援等を通じて、関連産業の

高度化を図ってきた。我が国のリサイクル企業は、各社処理プロセスを工夫して組み合わせ、

法令等に基づいて有害物質を適正に処理することやトランプエレメント131・忌避物質を除去

130 用語集参照 131 スクラップを再生利用して鋼を製造する場合に分離できず、有害かつ除去困難な不純成分の

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する技術・ノウハウを強みとして有している。また、家電リサイクルでは、民間主導でのリ

サイクル技術開発も進展しており、例えば、薄型テレビの自動分解技術が開発され、活用さ

れている他、AI やロボットを活用した無人化の解体プロセスの開発もすすんでいる。

一方、社会の変化に目を向ければ、人口減少や少子高齢化が進行し、静脈企業でも労働力

不足の問題が起きている。この傾向は、今後さらに顕在化することが見込まれ、技術革新に

よる克服が望まれる。

静脈企業における現行の作業工程では、人への依存しているマニュアル工程が存在して

おり、自動化技術の導入等による解決が望まれる。また、静脈物流においては、回収ルート

の重複解消や最適化等、デジタル技術を活用することで物流コストの改善や CO2 の削減効

果も期待できる。

(2) 新しい製品の登場とともに発生した処理困難物への対応

我が国では、これまでもリサイクルに関する技術開発を行っており、加えて、現行制度の

下構築された資源循環システムと相まって、高いリサイクル率を達成している。

一方で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の高機能素材分野において日本企業は高い

競争力を有しているが、そうした素材のリサイクルが課題となっている。軽量で耐熱性に優

れた強固な素材である CFRP は、その特性から既存の処理プロセスでは適正処理が困難であ

るが、自動車をはじめとして今後の更なる需要の増加が見込まれている。また、自動車、家

電、小型家電等、多くの製品に使われているリチウムイオンバッテリーが、リサイクルの現

場で発火や事故の原因となり、リサイクルの阻害要因になるという事態も発生している。

(3) 環境と経済側面を考慮したリサイクル手法の分析の必要

資源循環の更なる推進においては、環境配慮の取組と経済成長を両立させる必要があり、

リサイクルにかかる環境負荷とコストを包括的に評価する方法の確立が求められる。

我が国では、法制度に基づくマテリアルフローのモニタリングが行われているところであ

るが、製品横断的かつ資源別で、全体を俯瞰した定量的なマテリアルフローの把握には至っ

ておらず、結果として最適なリサイクル手法等の選択が難しい状況にある。例えば、家電と

小型家電で同じ素材がリサイクルされているが、両者の包括的な資源の流れを把握、評価す

ることは困難である。

また、資源リサイクルの観点から見ると、各製品に共通に使われている素材に着目し横串

をさした回収・運搬・リサイクルの検討も必要と考えられる。

ことを言う。部品の小型化や非金属材料の使用比率増大などにより鋼材品質の低下をきたす問

題として認識されている。(日本鉄源協会)

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43

3 国際的な資源循環を巡る外部環境の変化による影響調査

3.1 国内の金属リサイクルを巡る課題について調査

近年の中国の固体廃棄物輸入規制導入等による資源循環に関連する制度変化(国内にお

けるバーゼル法の改正及び中国等の固体廃棄物の輸入規制導入)によって、国内の金属リサ

イクル、特に雑電線の処理のフローに変化が起きている。

資源循環に関連する制度変化において、銅くず等の輸出量、輸出金額及び仕向地及びマテ

リアルフローの変化を把握したうえで、国内の金属リサイクルに関連するリサイクラー、非

鉄製錬事業者及び伸銅メーカー等の関係者への影響を調査し、国内資源循環のボトルネッ

クとなりえる課題を抽出することを目的として調査を実施した。

なお、本調査では、統計情報、文献調査及び関係者へのヒアリングの方法によって実施し

た。

3.1.1 銅に関する中国の固体廃棄物輸入規制等の概要

近年、国際的な資源循環にかかる規制導入が進んでいる。我が国への輸入に関しては、電

子機器由来の電子基板のリサイクル目的での輸入について、OECD 国に限らず発展途上国か

らの輸入についてもバーゼル法の規制対象外とし、輸入手続きの簡素化を図っている。これ

については、2018 年 10 月 1 日から施行されたものの、非鉄製錬事業者からはすでに電子基

板の輸入量が増加しているという声が聞かれた。

一方、我が国からの輸出については、中国の固体廃棄物輸入規制が導入されたことによっ

て、国内の銅の資源循環のマテリアルフローに変化が見られている。

表 10:バーゼル法及び中国固体廃棄物に関する制度変化の概要132

132 JETRO

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/0a81da1f65d47788/20190001.pdf

経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h16fy/161007-

2_ees_1.pdf

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44

(1)中国の固体廃棄物輸入規制の背景と目的

中国では 1980 年代以降、中国国内における原料不足解消のために、原料として使用可能

な固体廃棄物を輸入してきた。また、この廃棄物の輸入と併せて、環境汚染の防止を目的と

して「固体廃棄物輸入管理制度」が構築された。制度構築を進める一方で、諸外国の廃棄物

を違法に輸入する事案が後を絶たず、国民の健康と生態環境に重大な危険を及ぼしている

実態があった。

そのような状況を受け、中国は 2017 年 7 月に諸外国廃棄物の輸入禁止と固体廃棄物輸入

管理制度改革の実施計画を制定した。同計画は、①諸外国の廃棄物の全面的な輸入禁止、②

固体廃棄物の輸入管理制度の改革、③国内における固体廃棄物の無害化とリサイクルの促

進、④生態環境の安全性と国民の健康の保護を目的としている。

なかでも、固体廃棄物の輸入管理制度の改革に関しては、国民の健康に大きな影響を与え

る固体廃棄物の輸入を 2017 年末までに全面的に禁止したうえで、国内の資源で代替可能な

ものについては 2019 年末までに輸入規制を段階的に導入している。その第一段として 2017

年 8 月に「輸入廃棄物管理リスト」を公開した。同リストは、以下の 3つのリストで構成さ

れている。

リスト名称 内容

輸入禁止固体廃棄物リスト 輸入を全面的に禁止している品目

輸入制限再利用可能固体廃棄物リスト 条件付きで輸入が許可されている品目

輸入非制限再利用可能固体廃棄物リスト 輸入が制限されていない品目

(2)銅スクラップに関連する中国の固体廃棄物輸入規制

銅スクラップに対する規制については、「輸入制限再利用可能固体廃棄物リスト」にて、

下記 2 品目が記載されている。この 2 品目には、中国の国家基準である環境保護制限基準

が適用され、これを満たす製品でないと輸入することができない。輸入規制対象、規制内容、

該当 HS コード、分類及び中国環境保護制限基準の関係は以下のとおりである。

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45

表 11:銅スクラップに関連する中国の固体廃棄物輸入規制133

※輸入制限:2019 年 7 月 1 日より適用された銅くずの輸入制限には環境保護制限基準

GB16487.7 が適用される。本基準の例として、混入物(廃プラスチック等)は輸入する非鉄金属

の重量の 2%を超えてはいけない等の基準が制定されている。

中国政府は、2018 年 4 月に輸入廃棄物管理リストを更新することを発表した。この更新

では、「主に銅を回収するための廃棄電気機械等(廃棄電気機械、電線、ケーブル、金属電

気機械を含む)」が「輸入制限再利用可能固体廃棄物リスト」から「輸入禁止固体廃棄物リ

スト」に移行され、輸入禁止となった(2018 年 12 月末施行)。

加えて、中国政府は 2018 年 12 月には更なるリストの更新を発表した。それでは、「その

他の銅のくず」が「輸入制限再利用可能固体廃棄物リスト」にリストアップされ 2019 年 7

月 1 日より輸入を制限された。

環境保護制限基準では、混入を禁止する成分や物質などの基準が制定されている。例えば、

銅くずに適用される GB16487.7 では、輸入する非鉄金属(銅くずなど)のうち、その他の廃

棄物(木材廃棄物、古紙、廃プラスチック、廃ゴム、廃ガラス、粒子サイズが 2mm 以下の粉

末など)の混入総重量は全体の 1.0%を超えてはならず、中でも 2 mm 以下の粒子を含む汚

染粒子を含む粉末(ダスト、スラッジ、結晶性塩、金属酸化物、繊維粉末など)の混入総重

量は全体の 0.1%を超えてはならないといった制限が定められている。

また、上記の輸入廃棄物管理リストによる輸入制限に加えて、中国のいくつかの自治体で

は現在銅スクラップを輸入するにあたって、固体廃棄物輸入制限許可ライセンス制を導入

している。この固体廃棄物輸入制限許可ライセンス制では、輸入ライセンスを取得した企業

のみ、銅スクラップを輸入できる仕組みとなっている。

133 JETRO

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/0a81da1f65d47788/20190001.pdf

経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h16fy/161007-

2_ees_1.pdf

中国生態環境部 http://www.mee.gov.cn/ywgz/fgbz/bz/

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46

3.1.2 銅くずの輸出・国内での取引の変化

財務省貿易統計を基に、2015 年前期から 2019 年後期の期間における日本からの銅くずの

輸出の変化を見ていくと、中国の輸入規制に反応していることが読み取れる。中国の輸入規

制が導入された 2018 年 12 月(廃棄電気機械の輸入禁止適用)に輸出が急落、その直後、マ

レーシア等の第三国への輸出が急増しており、中国の減少分を代替している。

銅くずの輸出国の構成比推移を見ていくと、2015 年には中国向けが全体の 95%、中国以外の

国向けが 5%だったのに対し、中国規制後の 2019 年には、中国向け構成比が 40%まで減少し、

中国以外の国向けが 60%まで増加した。

中国以外の国で 2019 年の統計で輸出量が多いマレーシア、香港、大韓民国及びタイで構

成比の推移を見ていくと、2015 年にはほとんど輸出されていなかったが、2019 年の銅くず

輸出先の構成比はマレーシア 37%、香港 9%、大韓民国 6%、タイ 5%と推移しており、規

制前に中国向けに輸出されていた銅くずは、主にマレーシア向けにシフトしていったこと

が伺える。

2015 2016 2017 2018 2019

中国 95.0% 95.6% 93.5% 80.4% 39.7%

中国以外 5.0% 4.4% 6.5% 19.6% 60.3%

図 20:輸出先構成比の変化(中国・中国以外)134

134 財務省貿易統計よりトーマツ作成

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47

2015 2016 2017 2018 2019

中国 95.0% 95.6% 93.5% 80.4% 39.7%

マレーシア 0.4% 0.3% 0.4% 9.7% 36.6%

香港 2.5% 1.9% 2.1% 2.9% 8.5%

大韓民国 0.9% 1.1% 2.4% 3.4% 5.6%

タイ 0.0% 0.0% 0.4% 1.2% 4.6%

その他 1.2% 1.1% 1.2% 2.4% 5.0%

図 21:輸出先構成比の変化(中国・マレーシア、香港、大韓民国、タイ、その他)135

中国向けの銅くずの輸出量は、2015 年に 248,047 トンで、その後は 2018 年 12 月の規制

強化の後の2019年には126,058トンと、2017年後期と比較すると5割近くまで減少(121,988

トン減少)している。なお、2017 年に中国向けの輸出量が増加してピークを迎えているのは、

規制前の駆け込みによる輸出量増加と推定される。

一方で、中国以外の国への輸出が増加している。中国以外の国への銅くずの輸出量は、

2015 年に 13,053 トンで、2019 年には 191,755 トンとなり 2015 年比で約 14.6 倍まで輸出

量が増加している。

中国以外の輸出先としては、特にマレーシア向けの輸出量が大きく増加しており、2015 年

には 933 トンで、中国規制後の 2018 年には、27,199 トン、2019 年には 116,419 トンと、

2015 年比で約 124.7 倍まで増加している。マレーシアに次いで、輸出量が多い国としては、

大韓民国、香港、タイが挙げられる。

135 財務省貿易統計よりトーマツ作成

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48

2015 2016 2017 2018 2019

中国 248,047 247,352 293,797 225,598 126,058

中国以外 13,053 11,324 20,405 55,011 191,755

輸出合計 261,100 258,676 314,202 280,609 317,813

図 22:銅くずの輸出数量の推移(中国・中国以外)(トン)136

図 23:中国以外への銅くずの輸出数量(トン)137

136 財務省貿易統計よりトーマツ作成

2017 年に中国向けの輸出量が増加しているのは、規制前の駆け込み輸出量と推定される。 137 財務省貿易統計よりトーマツ作成

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49

輸出先 2015 2016 2017 2018 2019 中国 248,047 247,352 293,797 225,598 126,058

マレーシア 933 818 1,278 27,199 116,419 香港 6,447 4,815 6,586 8,067 27,114

大韓民国 2,323 2,973 7,468 9,402 17,669 タイ 104 72 1,351 3,296 14,558

その他 3,246 2,646 3,721 7,047 15,995 輸出合計 261,100 258,676 314,202 280,609 317,813 図 24:銅くずの輸出数量の推移(中国・マレーシア・香港・大韓民国・タイ・その他)(トン)138

一方で、同期間の日本から中国向けに輸出された銅くずの 1 ㎏あたりの金額の推移について

は、輸出量がピークであった 2017 年に 375 千円/トン、2018 年 12 月の規制強化後の 2019 年で

509 千円/トンとなり単価が上昇している。

また、同様に同期間中の中国以外の国への輸出量と輸出金額を比較してみると、2017 年

では 375 千円/トンであったが、規制強化を受けて年々増加し、2019 年には 208千円/トン

と単価が減少していることがわかる。

上記から、中国規制以降、中国向けの銅くずは高品位なものが主に輸出されるようになり、

中国以外の国に低品位・中品位の銅くずが流れるようになったことが伺える。

これらの輸出原単位の変動を国内で取り扱われている 1号銅線・黄銅削粉・並青銅鋳物の

金額の平均値と比較してみると、2015 年から 2017 年までは中国および中国以外への輸出額

原単位と 1 号銅線・黄銅削粉・並青銅鋳物の価格は同じ傾向で推移しているが、2018 年以

降は、中国以外向けの輸出金額は、国内価格動向と乖離して低下する変化が起こっており、

低品位の銅くずが中国以外の国に輸出されていることが顕著に表れている。

138 財務省貿易統計よりトーマツ作成

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50

また、中国以外の輸出先としては、マレーシア向けが大幅に増加しているにもかかわらず、

2017 年後期の 485 千円/トンから 2019 年後期の 188 千円/トンと約 60%減少している。他の 3 ヵ

国別の 1 トンあたりの輸出金額は、香港は横ばい、タイは増加し、特に大韓民国は 2017 年後期

の 574 千円/トンから 2019 年の後期は 292 千円/トンと半分程まで下がっており、中国に輸入規

制後、マレーシアと大韓民国には低品位の銅くずの輸出が増加している。

2015 2016 2017 2018 2019

中国 286 225 280 331 509

中国以外) 366 303 375 272 208

国内取引価格139 495 409 522 537 673

図 25:1トンあたりの輸出金額と国内取引価格(中国・中国以外・国内)(千円/トン)140

図 26:マレーシア、香港、大韓民国及びタイ銅くずの1トンあたりの輸出金額(千円/トン)141

139 1 号銅線・黄銅削粉・並青銅鋳物の国内取引価格の平均 140 財務省貿易統計及び鉄鋼新聞よりトーマツ作成 141 財務省貿易統計よりトーマツ作成

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3.1.3 雑電線リサイクルに関連する周辺産業の現状と課題

中国の固体廃棄物輸入規制を受けて、金属リサイクラー、非鉄精錬事業者及び伸銅メーカ

ー等の関係者にヒアリングを実施し、周辺産業への影響について調査を行った。

市中にて発生した雑電線は、回収業者や流通業者によって回収され、海外に輸出するか、

国内リサイクラーに引き渡される。同ヒアリング調査を踏まえて、国内リサイクラーに引き

渡された後の雑電線の国内リサイクルフローとそれに紐づく課題を整理した。

非鉄精錬事業者に卸されたナゲットは、投入される炉の種類によって異なるが、電気銅の

原材料として使用されるほか、炉内温度の低減を狙って投入されており、製造された電気銅

は伸銅メーカー等に卸されている。ただし、現在雑ナゲットを率先して使用している非鉄精

錬事業者は見当たらなかった。理由としては、雑ナゲットに含まれる不純物による取り扱い

の難しさや、ナゲットの形状を原因としたハンドリングの難しさ、雑ナゲットの使用コスト

が挙げられた。

非鉄精錬で製造された電気銅の多くは伸銅・鋳造メーカーに卸される。また伸銅・鋳造メ

ーカーには、数は少ないが電気銅の他にナゲット等の銅スクラップを直接購入して製品の

原材料として使用する事業者もおり、溶解や原料調整、鋳造、圧延等のプロセスを経て、伸

銅・鋳造品に加工される。伸銅・鋳造メーカーでも雑ナゲットを現在使用しているまたは使

用できるというメーカーが数多くは存在しない理由としては、銅純度が高い製品が求めら

れており、不純物の混入が嫌われるため、品質管理コストが増加するなど雑ナゲットが胡銅

等他の銅リサイクル原材料と比較してコストがかかるためという点が挙げられた。

ヒアリングによって聴取した内容の詳細は、以下のとおりである。

※カッコ内はヒアリング先

<中国規制後の商流の変化>

元々中国向けに雑電線を輸出していたが、中国の輸入規制後は国内にて加工を加えたも

のを輸出している(リサイクラー)。

中国の輸入規制を受けて東南アジアを中心とした中国以外の国への低品位・中品位の銅

くずの輸出が増えた(リサイクラー)。

中国の輸入規制後、雑電線はマレーシア向けが、真鍮やモーター等の雑品スクラップは

タイへ向けが多くなった(リサイクラー)。

マレーシアへ輸出された雑電線はマレーシアで加工され、中国に輸出されている(リサ

イクラー)

中国の輸入規制後、多少リサイクラーへの雑電線の持ち込み量は増加した(リサイクラ

ー)。

現段階では、国内で雑電線をはじめとする銅スクラップが滞留しているという事象は見

受けられない(リサイクラー)。

ただし、中国以外の国でも、今後輸入規制を強化しようとする動きがある。(リサイクラ

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ー)。

非鉄製錬事業者や伸銅・鋳造メーカーでは、雑電線そのものを取り扱っている量がほと

んどないことや、原料の受入基準を設けており、基準を満たさないものはそもそも受け

入れていないため、中国規制による大きな影響は、今のところない(非鉄製錬事業者、伸

銅・鋳造メーカー)。

<中国規制によるプレイヤーの変化>

インゴットであれば中国も輸入できるため、中華系の業者からのインゴットの購入が増

加した(伸銅・鋳造メーカー)。

図 26:雑電線の国内リサイクルフロー142

<リサイクラー:選別工程後>

リサイクラーに持ち込まれた雑電線は、選別・破砕といった工程を経て、導体と被覆に分離

され、雑ナゲットへと加工される。(リサイクラー)。

ナゲット加工によって発生した被覆残渣は主に産業廃棄物として管理型最終処分場で処分

されているが、処理コストが高騰しており経済的な負担が大きくなっている(リサイクラ

ー)。

142 ヒアリングに基づきトーマツ作成

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53

被覆残渣のリサイクルは技術的には不可能ではないが、安定的な需要先を見込めず、結果設

備投資が進まない(リサイクラー)。

非鉄製錬、伸銅・鋳造メーカーは、混入物がない等高品位の銅スクラップを求めており、リ

サイクラーでは非鉄製錬の受入基準を満たす雑ナゲットが製造できていない(非鉄製錬事

業者、伸銅・鋳造メーカー)。

雑ナゲットに混入している不純物には、非鉄製錬や伸銅・鋳造メーカーにとっての忌避物質

が含まれている可能性が有り、雑ナゲットをリサイクル原材料として受け入れるにはこれ

らの物質の排除および銅分の引き上げが課題となる(非鉄製錬事業者、伸銅・鋳造メーカ

ー)。

雑ナゲットの品位を上げるためにも、回収するスクラップを精度良く選別することが重要

である(リサイクラー)。

現状銅の価格、需要共に低位で安定に推移しているため、雑ナゲットを製造しても需要がな

い(リサイクラー)。

ナゲット加工の問題点としては、被覆の処理費が高いことが挙げられる(リサイクラー)。

<非鉄製錬:前処理前~前処理>

雑ナゲットに含まれている不純物が引き起こす問題や除去にかかるコストを鑑みると、同

じ銅スクラップであれば胡銅を使用する(非鉄製錬事業者)。

雑ナゲットは製造コストが高いため、他の銅スクラップよりも取引価格が高いが、不純物や

ハンドリングのしづらさといったリスクがあるため、市場では安い価格で取引されている

のが実状である。また、使い勝手の悪さから、安価であっても雑ナゲットを使用するに至っ

ていない(非鉄製錬事業者)。

コストについては、雑ナゲットはその製造に当たり剥線等の手間を要するため、胡銅など

の銅スクラップより価格が高い場合もある(非鉄製錬事業者)。

雑電線を取り扱い出来る炉もあるが、採算があわない(非鉄製錬事業者)。

雑ナゲットは冷材など限られた用途で使用されているため需要量が小さい(非鉄製錬事業

社)。

<非鉄製錬:精錬時>

雑ナゲットに混入している不純物によっては、炉に投入した際に爆発する恐れや設備にダ

メージを与える可能性があり、取り扱いが難しい(非鉄製錬事業者)。

精錬工程で発生する副産物を商品として販売しているが、不純物が含まれていることで商

品価値が下がるリスクがある(非鉄製錬事業者)。

ナゲットは粒状で、軽く小さいために、炉に上から投入した際に舞ってしまう危険があ

り、ハンドリングし辛い。異物を混入させずにブリケット状などハンドリングしやすい性

状に加工することが必要である(非鉄製錬事業者)。

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54

<伸銅・鋳造メーカー:原料調整前>

伸銅・鋳造品については、雑ナゲットでも使用できるものもあるにも関わらず発注元より電

気銅を提供されているという実態がある(伸銅・鋳造メーカー)。

伸銅品は高性能な商品へと加工されるため、高純度の銅が求められ、不純物の混入は許容で

きないため、不純物の含まれる雑ナゲットは使用できない(伸銅・鋳造メーカー)。

黄銅品であれば、銅 60%、亜鉛 40%程度の合金比率であるため、雑ナゲットの混入物の内

容によっては使用できる可能性もある(伸銅・鋳造メーカー)。

伸銅品においても、需要減かつ銅の供給が足りており、雑ナゲットの購入には至らない(リ

サイクラー)。

<伸銅・鋳造メーカー:溶解・鋳造>

伸銅品で雑ナゲットを使用すると、銅分の低さを補うために電気銅と併せて使用する必要

があり、最終的なコストが高くなってしまうという問題もある(伸銅・鋳造メーカー)。

不純物の混入は設備故障の原因となりうるため、雑ナゲットは使用しづらい(伸銅・鋳造メ

ーカー)。

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55

抽出した課題については、リサイクラー、製錬事業者及び伸銅メーカーで共通部分も多く

見られた。課題の共通項は大きく①受入基準②雑ナゲット使用にかかるコスト、③需要先の

不足に 3つに分類した。

表 12:雑電線リサイクルを巡る課題143

3.1.4 雑電線由来の雑ナゲット使用を巡る対策案

3.1.2 で述べた貿易統計の考察でも先述したように、比較的安価な銅くずは、中国の固形

廃棄物輸入規制が導入された後、中国以外の東南アジア諸国において一定程度受け入れら

れている状況である。

しかしながら、雑電線等の生産者においては、その生産した製品が使用され、廃棄された

後においても、当該製品の適正なリユース、リサイクル、処分について一定の責任を負って

いる観点から、国内で雑電線を一次処理し高品質化したうえで国際的に循環、ないしは国内

循環させる循環フローへの転換は、資源を諸外国からの輸入に頼る我が国においてますま

す重要な課題となっていくものと考えられる。

そのような循環フローを構築するためのボトルネックを解消するため、リサイクラー

は、非鉄製錬事業者、伸銅・鋳造メーカーの要求に応じた原材料品質を担保すること、雑

ナゲットの有用性を需要家に必要にして十分な理解を求め、需要を開拓することが必要で

ある。そのための示唆となりえる、雑電線由来の雑ナゲット受入先候補である非鉄製錬事

業者と伸銅・鋳造メーカーの受入に関する要求や許容範囲についてヒアリングを通じて抽

出した結果を以下にまとめる。

143 ヒアリングに基づきトーマツ作成

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56

表 13:非鉄製錬事業者の雑ナゲット受入に関する要件等144

受入基準項目

①混入物

②銅純度

③性状

忌避物質 水銀、カドミウム、鉛、アンチモン、ニッケル、塩素、アルミニウム、クロム、ベ

リリウム、ヒ素、フッ素、可燃性物質(プラスチック)

銅純度 高純度なものを求めているわけではない

※個社ごとに異なるが、60%以上を目安として挙げる会社もあった

性状 ・ナゲットのままではハンドリングが難しい

・ブリケット状(油分は含まない)が好ましい

理由

<忌避物質>

・水銀やヒ素は有害ガスが発生する

・塩素、クロム、フッ素は設備にダメ―ジを与えるリスクがある

・プラスチックは炉の中の温度が高くなりすぎる

・副産物の商品価値が下がる(硫酸への着色・ガスへの煤の混入)

<性状>

・ナゲット状では軽量であるため、上昇気流に乗って炉に投入することが困

難になる。また、集塵機等設備の故障に繋がる恐れがある

受入可能な物質

鉄、アルミ

電解工程で分解できるため受入れ可能である

・ニッケル、錫

電解工程でも分解出来ないが、雑電線に大量に混入しているとは考えられ

ないため、雑電線由来ナゲット受け入れの場合は大きな問題ではない

※個社ごとに受入可否は異なるが、一部の事業者より受入可能と言われた

物質

144 ヒアリングに基づきトーマツ作成

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57

表 14:伸銅・鋳造メーカーの雑ナゲット受入に関する要件等145

受入基準項目 ①銅純度

②混入物

忌避物質 鉄、アルミニウム、プラスチック

※鉄以外の混入物でも何が含まれているかは明確でないとならない

銅純度 ・純銅品→99%以上

・黄銅品→60%以上"

性状 粒状で問題ない

・ブリケットは溶けにくいため使用しづらい

理由

<忌避物質(混入物)>

・製品品質が管理できない

・製造工程での故障の原因となる

・プラスチックを溶解すると有害物質が発生し、従業員の健康に悪影響を及

ぼしてしまう

受入可能な物質

・プラスチック

技術的には、溶解工程で燃焼されるため受入れ可能である。ただし、従業

員の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるため、受け入れていない。

・亜鉛、ニッケル

製造する製品によっては受入れ可能である

※個社ごとに受入可否は異なるが、一部の事業者より受入可能と言われた

物質

145 ヒアリングに基づきトーマツ作成

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58

前述の非鉄製錬事業者、伸銅・鋳造メーカーの受入要件をベースラインとしつつ、雑ナ

ゲットの循環フローを構築するにあたっては、以下の方向性が考えられる。

(1)忌避物質除去技術の開発

製品の品質を担保するため、原材料に含まれているおそれのある鉄、アルミニウム、プ

ラスチック、有害物質等といった忌避物質を除去するための技術開発が必要である。それ

を通じ、製造コストを削減するとともに雑ナゲットの付加価値を高めることが必要とな

る。

(2)リサイクラーによる雑電線の買取基準の規格化

一部の黄銅品や鋳造品については、JIS で許容される範囲内であれば混入物があっても

使用できるため、混入している不純物が何かを把握・伝達する仕組み作りも有益であると

考えられる。そのため、リサイクラーが回収する際の引き取りに係るルールを規格化し、

回収時に含有している不純物の内容を把握することで雑ナゲット加工に係るコントロール

することが必要となる。

(3)動静脈産業連携の促進

雑電線リサイクルを巡っては、リサイクラー、非鉄精錬事業者、伸銅・鋳造メーカー間

で雑ナゲットに含有している物質が大きな論点となっている。多様な排出源から回収され

る雑電線の成分を正確に把握することは困難である一方で、リサイクラー、電線、伸銅・

鋳造メーカーがリサイクルにおける諸課題についてコミュニケーションを開始し、当該課

題を踏まえて製品設計することで、当該製品に含まれる成分を把握又は予測することが可

能となり、資源循環を推進することができるようになる。

(4)被覆残渣処理技術の開発

国内のプラスチック処理コストが高騰する中では、雑電線処理で発生する被覆残渣の処

理費用を削減する視点も必要である。そのために、剥線した後のプラスチック類のリサイ

クルを可能とする高度選別技術の開発が必要である。一部のリサイクラーにおいて、被覆

材を適切に選別して、再利用するための技術開発を進めている向きもあり、この取組を引

き続き推し進めることが重要である。

(5)需要の開拓

需要の面で挙げられた課題としては、雑ナゲットの品質でも使用できる場合でも、電気

銅を使用して商品を製造している事例があるとの意見もあった。そのため、伸銅・鋳造メ

ーカー等に対して、当該製品のコスト競争力強化に資する材料調達の選択肢として、雑ナ

ゲットの品位と性能に関する十分な理解を促し、国内の雑ナゲットの需要先を開拓するこ

とが重要である。

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59

3.2 国内の紙リサイクルを巡る課題について影響調査

我が国の紙パルプ産業は、少子高齢化やデジタル化の進展等構造的要因により、新聞用紙

や印刷・情報用紙を中心として、紙内需の減少が続いている。

また、近年では、中国における固体廃棄物輸入規制の強化や米中貿易摩擦による世界経済

の景気後退等、これらは紙・板紙の需要のみならず、製紙原料となる古紙にも影響し、輸出

量をはじめとする需給にも大きな変動を与えている。特に、中国は 2020 年末までに固体廃

棄物の輸入を限りなくゼロにするという政策目標を掲げており、事実、古紙の輸入ライセン

ス枠については段階的な縮小が行われ、我が国においても、2019 年より古紙余剰の傾向が

強まりつつある。

このように、紙パルプ産業の需給は、今まで以上に海外の環境政策や経済政策といった外

的要因が与える影響が大きくなってきているところ、こうした環境の変化が、チップや古紙

といった製紙原料、紙146・板紙147の需給にどのような影響を与えるのか等を精査し、今後の

紙パルプ業界の課題とは何かを改めて整理していく必要がある。

本調査では、こうした趣旨に則り、我が国の紙パルプ産業の需給動向、国内外の環境変化や

古紙のサイクルを巡る課題について、その概要を取りまとめた。

146 紙とは、新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、雑種紙をいう。 147 板紙とは、段ボール原紙、紙器用板紙、その他板紙をいう。

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60

3.2.1 紙パルプ産業の現状

<紙・板紙の国内生産量の推移>

紙パルプ産業は、新聞用紙、印刷・情報用紙等の情報表示・伝達用、段ボール原紙、クラ

フト紙等の包装用、トイレットペーパー、ティシュペーパー等の衛生用、電気絶縁紙等の工

業用、といった多種多様な機能を有する紙を供給することで、各種産業活動や家庭生活を下

支えしている産業である。

我が国の紙・板紙の生産量は、2000 年の 31,827 千トンをピークに概ね横ばいで推移して

いたが、2008 年秋以降はリーマンショックの影響により大きく減少。その後も、少子高齢

化やデジタル化の進展等といった構造的な要因を背景に、新聞用紙や印刷・情報用紙を中心

に紙の需要回復が見られず減少傾向が続いている。

その一方で、板紙は比較的堅調に推移。飲料・加工食品向けを中心に段ボール原紙が増加

傾向である他、包装用紙では、一部プラスチック代替等の動きも期待される。

2018 年の紙・板紙の生産量は 26,057 千トンと 2000 年のビーク時に比べると約 18%減少

している。

図 27:紙・板紙国内生産量の推移(品目別積み上げ)148

148 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/paper/index.html よりトーマツ作成

3,579 3,381 3,699 3,759 3,349 3,305 3,247 3,181 3,033 2,926 2,777 2,609

9,239 10,716 11,866 11,993

9,949 9,676 9,531 9,231 8,893 8,670 8,434 8,019

8,443

9,020

9,392 9,342

8,728 8,684 8,788 8,877 8,884 9,022 9,204 9,314

31,827

25,95726,057

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

新聞用紙 印刷・情報用紙 包装用紙 衛生用紙

その他用紙 段ボール原紙 紙器用板紙 その他板紙

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61

2018 年の紙・板紙別の生産量構成比率は、紙 14,008 千トン(約 54%)、板紙 12,049 千

トン(約 46%)とわずかに紙の生産量の方が多いが、紙については減少の一途を辿ってお

り、数年後には逆転する可能性もある。

図 28:紙・板紙国内生産量の推移(紙・板紙別合計)149

149 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/paper/index.html よりトーマツ作成

16,429 17,470

19,037 18,900

16,387 15,068 15,182 15,117

14,830 14,706

14,581 14,008

11,657 12,193

12,790

12,051 10,976

10,889 11,059 11,361

11,398 11,571 11,931 12,049

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

紙計 板紙計

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62

<紙・板紙の輸入量の推移>

紙・板紙の輸入量は、2012 年の 2,220 千トンをピークに減少傾向。2018 年には 1,071 千トン

とピーク時に比べると約 52%の減少している。

品種別では、2012 年以降、塗工印刷用紙が紙の輸入量減少に大きく影響している。

図 29:紙・板紙輸入量の推移(品目別積み上げ)150

150 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/paper/index.html よりトーマツ作成

435 580 613

376

138 54 53 53 49 24 11 5

13

52

247

418

457 605 577 539 547 511 510 469

122

257

301 554

684

977

680 628

487

372 353

194

119

80

125

188 243

248

266

254

267

267 262

249

1,035

2,220

1,071

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

新聞用紙 上級印刷用紙 塗工印刷用紙 包装用紙

その他用紙 段ボール原紙 紙器用板紙 その他板紙

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63

2018 年の紙・板紙別の輸入量構成比率は、紙 75.8 万トン(約 71%)、板紙 313 千トン

(約 29%)。ピーク時である 2012 年の紙 1,831 千トン(約 82%)板紙 389 千トン(約

18%)と比べると緩やかに紙の輸入比率は減少傾向にある。

図 30:紙・板紙輸入量の推移(紙・板紙別合計)151

151 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/paper/index.html よりトーマツ作成

716

1,070

1,247

1,439

1,397

1,831

1,472

1,388

1,227

1,061 1,034

758

319 205 223

315 395 389 371 348 322 322 314 313

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

紙計 板紙計

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64

<紙・板紙の輸出量の推移>

紙・板紙の輸出量は、2012 年の 806 千トンから徐々に増加傾向。2018 年の輸出量は

2012 年比で約 2.5倍の 2,020 千トンとなった。

品種別では、2012 年以降、飲料・加工食品向けの段ボール原紙が板紙の輸出量増加に大

きく影響している。

図 31:紙・板紙輸出量の推移(品目別積み上げ)152

152 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/paper/index.html よりトーマツ作成

126 100 139 216 58 9 7 8 6 5 4 4

203 113

150 155

143 104 108 121 136 183 190 253

291

254

441 429

866

358 463 445

536 571 605

731

68 117

295 99

70

55

163 258

307

392

565

559

903

1,463

806

2,020

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

新聞用紙 上級印刷用紙 塗工印刷用紙 包装用紙

その他用紙 段ボール原紙 紙器用板紙 その他板紙

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65

2018 年の紙・板紙別の輸出量構成比率は、紙 1,395 千トン(約 69%)、板紙 625千トン

(約 31%)。輸出量が最も落ち込んだ 2012 年の紙 718千トン(約 89%)、板紙 88千トン

(約 11%)と比べると緩やかに板紙の輸出比率は増加傾向にある。

図 32:紙・板紙輸出量の推移(紙・板紙別合計)153

153 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulpwood/index.html よりトーマツ作成

704

628

944

1,056

1,347

718

864 904 1,010

1,117

1,180

1,395

199 285

488

184

116 88

198 297

346 437

623 625

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

千トン

紙計 板紙計

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66

<製紙原料の消費推移>

2018 年の製紙原料として消費されるパルプは約 26.5 百万トンとなった。内訳は、パル

プが 35.6%、古紙・その他の比率が 64.4%であった。

図 33:製紙原料の消費推移154

154 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulp/index.html よりトーマツ作成

28.4 29.6

31.7 31.1

27.9 26.5 26.7 26.9 26.6 26.7 26.9 26.5

48.3% 46.4% 42.8% 39.5% 37.4% 36.2% 36.0% 36.0% 35.6% 35.6% 35.7% 35.6%

51.7% 53.6% 57.2% 60.5% 62.6% 63.8% 64.0% 64.0% 64.4% 64.4% 64.3% 64.4%

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

90年 95 00 05 10 12 13 14 15 16 17 18

百万トン

パルプ 古紙・その他

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67

<パルプ生産・輸入推移及び輸入依存率>

2018 年のパルプ生産量は約 8.8 百万トン。また、パルプの輸入量は約 1.7 百万トンとな

っており、輸入依存率は 16.9%となった。最もパルプ輸入が多かったのは 1995 年の約 3.6

百万トンで、輸入依存率は 24.4%もあったが、2000 年以降は、紙・板紙生産量の減少に伴

い、パルプ生産、輸入ともに減少傾向にある。

図 34:パルプ生産と輸入推移及び輸入依存率155

155 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulp/index.html よりトーマツ作成

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68

<パルプ輸入先>

パルプは、主に北米からの輸入が約 54%(米国約 31%、カナダ約 23%)、次いで、南米か

らが約 25%(ブラジル 17%、チリ 8%)であり、北米と南米でパルプ輸入は全体の約 79%とな

る。

図 35:パルプ輸入先(2018 年)156

156 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulp/index.html よりトーマツ作成

米国31%

カナダ23%

ブラジル17%

チリ8%

ニュージーラ

ンド5%

インドネシア5%

ロシア4%

その他7%

合計

170 万トン

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69

2018 年のパルプ材消費量は、国産材が約 4,480 千 BDT、輸入材が約 11,720 千 BDT である。ま

た、パルプ材全体における輸入材の割合は約 72.4%である。

図 36:パルプ材消費量推移157

157 古紙再生促進センター 古紙ハンドブック 2019(p48)

http://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/handbook2019.pdf よりトーマツ作成

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70

<パルプ材の原料ソース別構成比(2018 年:国内材)>

2018 年のパルプの原料となる木材(パルプ材)の国産材は 456.1 万トンとなった。このうち

74%が針葉樹チップ、26%が広葉樹チップである。針葉樹チップは、国産材全体の 42%が製材残材、

25%が人工低質材等として使用されており、広葉樹チップは、25%が天然林低質材等として使用

されている。

図 37:パルプ材の原料ソース別構成比(2018 年:国内材)158

158 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulpwood/index.html よりトーマツ作成

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71

<パルプ材の原料ソース別構成比(2018 年:輸入材)>

2018 年のパルプの原料となる木材(パルプ材)の輸入材は 1,173.6 万トンとなった。こ

のうち 13%が針葉樹チップ、87%が広葉樹チップである。針葉樹チップは、輸入材全体の 9%

が製材残材、4%が人工低質材等として使用されており、広葉樹チップは、86%が人工林低質

材等として使用されている。

図 38:パルプ材の原料ソース別構成比(2018 年:輸入材) 159

159 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulpwood/index.html よりトーマツ作成

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72

<チップ輸入先>

2018 年の針葉樹チップは米国からの輸入が約 5割を占め、次いで、豪州、フィジーの

順。広葉樹チップは、ベトナムが 5年連続でトップシェアとなっており、10 年前と比較す

ると、豪州、チリから、地理的に近いベトナム、タイ等のアジア地域からの輸入割合が増

加している。

図 39:パルプ材(チップ)輸入先160

160 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/states/pulpwood/index.html よりトーマツ作成

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73

<古紙利用率の推移と古紙利用率目標>

紙パルプ産業では、1991 年に初めて「再生資源の利用の促進に関する法律」161に基づく省令

で古紙利用率の向上に向けた目標を設定している(初めて設定された古紙利用率目標は 1994 年

度までに 55%)。

1994 年度については、バブル崩壊や円高による景気後退等で、紙・板紙生産の伸びが鈍

化し、利用率の伸びも低調で目標未達成となったが、2000 年度の 56%目標以降は、着実

に目標を達成している。

現行では、2020 年度までに 65%とする目標を掲げているところ、中国における古紙輸

入規制の強化や米中貿易摩擦の影響に加えて、新型コロナウィルス感染拡大の影響による

世界経済の景気後退や輸出入の停滞、各種イベントの延期や中止、在宅勤務の導入等とい

った新たな要因がどれだけ紙・板紙の需要や古紙回収、古紙利用に影響を与えるのか、今

後注視していく必要がある。

図 40:古紙利用率の推移と古紙利用率目標162

161 現在の「資源の有効な利用の促進に関する法律」のこと。 162 日本製紙連合会 https://jpa.gr.jp/file/release/20160401000000-1.pdf よりトーマツ

作成

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74

<紙・板紙の古紙消費量、古紙回収量、古紙利用率、古紙回収率の推移>

1990 年代後半から、地方自治体において古紙等の資源物回収が導入されたことを契機に

古紙回収が活発化。2000 年代には、古紙回収量が古紙利用量を上回り、余剰古紙について

は中国を中心にアジア諸国への輸出が拡大していった。

2018 年度の古紙回収率は 81.7%、古紙利用率は 64.3%で、国内外で古紙価格や需給変動

が大きい中にあっても、過去最高水準を維持している。

図 41:紙・紙国内消費量、古紙消費・回収量、古紙利用・回収率の推移 163

163 古紙再生促進センター http://www.prpc.or.jp/document/ よりトーマツ作成

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75

<紙・板紙別の古紙利用率の推移>

紙・板紙の古紙利用率は、2011 年度に 63%を超えて以降、8 年あまり概ね横ばいの 63~64%

を推移している。

紙・板紙別での古紙利用率は下図 16 のとおり。直近の 5年(2014~2018 年)を見て

も、板紙分野の古紙利用率は 93%前後を推移しているものの、紙分野の古紙利用率は約

40%から約 37%と減少している。

先述のとおり、紙・板紙の国内生産量は、紙が年々減少する中、古紙利用率の高い板紙

の生産比率は高まりつつある。

近年では、板紙分野の古紙利用率は 93%を上回り、横ばい傾向が続いていることからも、ほ

ぼ限界値に達していると考えられる。また、紙分野においても、現状の日本の設備レベルにお

いて品質的に利用可能な上質古紙は量的に限定されていることから、これ以上の利用率の向上

は技術的、経済的にも極めて困難だと考えられる。164

図 42:紙用・板紙用別古紙利用率の推移165

164 関係者へのヒアリング結果より 165 古紙再生促進センター http://www.prpc.or.jp/document/ よりトーマツ作成

12.2 15.4

20.0 25.6 26.7

32.1 37.5

40.5 40.2 37.3

58.9 62.6

70.2

79.4

87.7 89.5 92.6 92.8 93.5 93.4

34.0 36.6

41.5

49.3 53.4

57.0 60.3 62.5 64.3 64.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

19

70年

197

5

198

0

198

5

199

0

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

201

5

201

6

201

7

201

8

%

紙分野 板紙分野 合計

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76

3.2.2 紙パルプ産業取り巻く環境

近年、紙パルプ産業を取り巻く社会状況は大きく変化しており、これら対応できなければ産業

競争力が低下する可能性がある。紙パルプ産業を取り巻く外部環境の概要は以下のとおりであ

る。

図 43:紙パルプ産業を取り巻く外部環境の概要

(1)政治・規制

日本の近隣国であり、古紙の最大輸出国である中国は、近年、固体廃棄物の輸入規制強化を実

施している。古紙に関しては、2017 年 12 月 31 日から、未選別古紙が輸入禁止となり、2018 年

3 月 1 日からは輸入古紙の品質基準が強化された。また、米中貿易摩擦では、2018 年 8 月以降、

中国は米国から輸入される古紙に対して追加関税を課す等、海外における環境政策、経済政策は、

日本の古紙輸出量、古紙価格に大きな影響を及ぼしている。

<中国の固形廃棄物輸入規制の概要>

中国の環境問題を背景に、資源として海外から輸入していたごみの輸入を禁止する。

外国ごみの輸入禁止と固体廃棄物輸入管理制度改革の実施計画

中国国務院は 2017 年 7 月 27 日、外国ごみの輸入禁止と固体廃棄物輸入管理制度改革

の実施計画を発表

背景

中国は、1980 年代ごろから原料不足解消のため、世界各国から廃棄物の受け入れを開

始した。一方で、1992 年に発効した、有害廃棄物等の国境を越える移動や処分を規制す

る国際的枠組みである「バーゼル条約」(注)へ発効時から参加し、廃棄物の輸出入に対

する管理制度を段階的に構築してきた。

しかしながら、中国の急速な経済成長下においては、廃棄物について資源としての需要

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77

も大きかったため、未選別の有害廃棄物が、資源ごみと偽って輸入される等の問題が後を

絶たず、国民の健康と国内の生態環境を脅かす事態になっていった。

2010 年代に入ると、大気汚染、水質汚染、土壌汚染等の環境問題が全国で深刻化し、

国民の不安・不満を招く状況となる中、2010 年代半ばからは、「環境保護法」「大気汚染

防止法」「水汚染防止法」等の主要な環境関連法令が大幅に改定される等、環境問題に対

する規制が強化される動きが続いた。

上記を踏まえ、中国国内の環境に悪影響となっていた海外からの輸入ゴミを禁止する

方針をとった。

内容(一部)

2017 年 8 月 16 日、環境保護部、商務部、国家発展改革委員会、税関総署、国家質検総局

の 5 部門が新たな輸入ごみ管理リストを公開。廃プラスチック 8 品目、未選別古紙 1 品目、

繊維系廃棄物 11 品目、バナジウムスラグ 4 品目の計 4 種類 24 品目を 2017 年 12 月 31 日

から輸入禁止とした。

・2017 年 12 月 31 日~ 未選別古紙の輸入禁止

・2018 年 3 月 1 日~ 輸入古紙の品質基準の強化

図 44:古紙の輸入規制を巡る日中の動向166

166 JETRO

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/0a81da1f65d47788/20190001.pdf

公益財団法人 古紙再生促進センター

http://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/china-import_2017.pdf

中国国务院办公厅 輸入規制について(原文)

http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-07/27/content_5213738.htm

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78

<中国の古紙輸入ライセンス発行状況>

2018 年の中国政府の古紙輸入ライセンス認可量は 1,870 万トンであったが、2019 年は

1,095 万トンと、前年より約 41%の減少となった。

中国は 2020 年末までに固体廃棄物の輸入量を限りなくゼロとする政策目標を掲げており、

古紙についても、段階的にライセンス認可量を減少させている。

図 45:中国の古紙輸入ライセンス発行状況(2018 年以降)167

167 生态环境部固体废物与化学品管理技术中心

http://www.mepscc.cn/wsjssh/spgs/xzjklgsjsp/gsb/

1,870

1,095

319

0 0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2018年 2019年 2020年 2021年

万トン

※現2020年1月24日時点

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79

<2020 年第 1 弾メーカー別古紙輸入ライセンス認可量>

中国政府が発表した 2020 年の第 1 弾古紙輸入ライセンス認可量は 23 社で計 278 万トン

であった。ライセンス認可量の上位 5社で全体の約 86%を占めている。

図 46:2020 年第 1 弾メーカー別古紙輸入ライセンス認可量168

168 生态环境部固体废物与化学品管理技术中心

http://www.mepscc.cn/wsjssh/spgs/xzjklgsjsp/gsb/

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80

<米中貿易摩擦>

米中貿易摩擦により、2018 年以降、中国政府は米国から輸入される古紙等に対して追加

関税を課す決定を下した。

2017 年の中国の古紙輸入量は、約 2,572 万トンであったところ、米国から輸入された古

紙は約 1,169 万トンであり全体の約 45%を占めていた。

図 47:中国の紙・板紙、古紙の対米追加輸入関税169

169 各種公表資料、調査資料を基にトーマツ作成

国务院关税税则委员会(中国政府)古紙追加関税原文

http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201808/t20180808_2983770.html

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81

(2)経済・市場

紙出版市場は、若者を中心とした雑誌離れ、スマートフォンの普及によるデジタル化の

台頭等、ICT 化の進展に伴う情報収集ツールの変化による構造的な要因を背景として減少

傾向が続いている。

<国内の紙出版・電子出版市場の推移>

2018 年の紙出版の市場規模は約 1兆 3,000 億円と、2015 年の約 1 兆 5,200 億円に比べ

て約 15%減少している。一方、2018 年の電子出版の市場規模は約 2兆 5,000 億円と、2015

年の約 1兆 5,000 億円に比べて約 165%増加し、拡大傾向にある。

図 48:国内紙出版・電子出版市場推移170

170 全国出版協会 レポートの一部を基にトーマツ作成

15,220 14,709

13,701 12,921

1,502 1,909 2,215 2,479

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2015 2016 2017 2018

億円

紙出版 電子出版

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82

<A 社(新聞業者)の購読数・会員数推移>

特定の新聞社(A社)の購買数を集計・推計し、その推移をグラフに示している。A社

の新聞販売数は減少傾向にあり、2018 年の朝刊販売部数は約 297 万部であった。一方で、

電子版会員数は増加傾向にあり、2018 年の無料登録会員を含む電子版会員数は約 423万人

であった。

図 49:購読数・会員数推移171

171 特定の新聞社が公表している購買部数を基にトーマツ作成

273 273

250 236

45 50 56 65

297

335

384

423

318

323

307 297

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

2015 2016 2017 2018

朝刊販売部数 電子版有料会員数

無料登録会員を含む電子版会員数 本紙・電子版購読数合計

※2018年電子版有料会員数はデジタル購読数(電子版有料会員数、紙面ビューアー契約数など)

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83

<EC の市場規模の推移>

EC(E コマース)の市場規模は年々拡大傾向にあり、2018 年の市場規模は約 18 兆円と、

2010 年の約 8 兆円に比べて約 230%増加した。2018 年の EC 化率(全ての商取引額(商取引

市場規模)に対する電子商取引市場規模の割合)は 6.22%と、2010 年の 2.84%と比べて約

2.85%に比べ約 3.38 ポイント増加した。

図 50:EC 市場規模推移172

172 経済産業省 データ駆動型社会に係る基盤整備を基にトーマツ作成

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/H30_hokokusho_new.pdf

8 8

10

11

13

14

15

17

18

2.84%3.17%

3.40%3.85%

4.37%4.75%

5.43%5.79%

6.22%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

10.0%

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

兆円

年Eコマース EC化率

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84

<日本の段ボール原紙の増産計画>

紙の需要は、新聞用紙や印刷・情報用紙を中心として減少しているが、減少幅は今後増大

していく可能性が高い。一方で、板紙については、段ボール原紙の最大需要分野である飲料・

加工食品向け需要が堅調であり、また、EC 拡大による通販向けの段ボール需要も堅調に伸

びている。段ボール原紙等産業資材については、増減はあるものの、当面、微増基調が続く

と考える。

世界における段ボール原紙の需要は、今後、確実に拡大すると見込まれているところ、世

界の製紙メーカーでは、需要がシュリンクする新聞用紙、情報・印刷用紙から、段ボール原

紙への生産シフトが進んでいる。

日本においても同様に、洋紙マシンから板紙マシンへの転抄等、需要に見合う生産体制の

構築が進めてられている。現在では、2021 年までに合計約 92 万トンの段ボール原紙の増産

計画が見込まれている。

図 51:日本の段ボール原紙増産計画173

173 設備投資ジャーナル、その他各種資料を基にトーマツ作成

https://www.setsubitoushi-

journal.com/search/?searchKeyword=%E6%AE%B5%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB

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85

<中国・東南アジア・南アジア等における段ボール原紙の増産計画>

世界において板紙需要が堅調なことに加え、中国における古紙の全面輸入禁止に備え

て、中国及び東南アジア・南アジア諸国等では段ボール原紙の増産、工場の新設が急増。2025

年までに合計約 2,187 万トン/年の増産計画が見込まれている。

図 52:東南アジアの段ボール原紙増産計画174

174 設備投資ジャーナル、その他各種資料を基にトーマツ作成

https://www.setsubitoushi-

journal.com/search/?searchKeyword=%E6%AE%B5%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB

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86

<段ボール原紙の増産計画>

中国・東南アジア等における段ボール原紙の生産能力と日本の段ボール原紙の生産能力

及び国内需要の推移を以下に示す。

各種資料より収集した増産計画のデータを積み上げると、2018 年から 2025 年にかけて、中

国・東南アジア等では段階的に 2,187 万トンの生産能力が増加する。日本においては、2025 年

までに 91.7 万トン生産能力が増加し、既存の生産能力とあわせて 1,105 万トン以上になると考

えられる175。また、段ボール原紙の国内需要については、2025 年までに 13 万トン増加し、既

存の内需とあわせて 952 万トン176に達すると推計した。

以上から、国内の生産能力と国内需要のギャップは、153 万トン程度あると推計した。

図 53:段ボール原紙増産計画177

175 一部企業が公表している増産計画等の情報に基づきトーマツ作成 176 輸出は考慮しない。 177各種資料を基にトーマツ作成

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87

<世界の実質 GDP 成長率の推移と見通し>

国際通貨基金(IMF)によれば、2018 年の世界の実質 GDP 成長率(以下、成長率)は前

年比+3.6%であった。これは、2011 年以来最も高い成長率を記録した 2017 年の+3.8%に

次ぐ高さであった。※2019 年、2020 年は見通しである。

図 54:世界の実質 GDP 成長率の推移と見通し178

178経済産業省 通商白書 2019

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2019/2019honbun/i1110000.html

4.1

1.7

3.2

2.7

-3.3

1.7 1.4

2.3 2.2 1.7

5.8

4.6

7.9 8.4

2.8

6.4

5.1

4.3 4.5 4.8

-4.0

-2.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

世界 先進国 新興国・途上国

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88

<主要新興国の経常収支と財政収支(対 GDP 比)>

各国の経常収支と財政収支の状況を見てみると、2018 年に経常収支と財政収支の対 GDP

比がともにマイナスの国は、アルゼンチン、インド、インドネシア、トルコ、ブラジル、

フィリピン、南アフリカ、メキシコである。

一般的に、財政収支や経常収支が赤字の国は、通貨下落により対外債務の返済が困難と

なり、経済危機に陥るリスクが高いとみられていることから経済ファンダメンタルズや外

部ショックへの耐性について注目度が高い。

図 55:主要新興国の経常収支と財政収支(対 GDP 比)179180

179経済産業省 通商白書 2019

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2019/2019honbun/i1210000.html 180 財政収支と経常収支は対名目 GDP 比。テーパー単トラムの発生した 2013 年と 2018 年の

数値を比較。

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89

(3)社会

<日本の人口動態>

日本の人口は 2017 年から減少傾向が続き、2055 年には 1 億人を割り込む見込みである。

図 56:日本の人口推移181

181内閣府 高齢社会白書

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html

8,411

11,194

12,693 12,671

11,092

8,808

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000万人

0~14歳 15~64歳 65~74歳 75歳以上

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90

日本では高齢化が進み、2025 年には全人口の約 3 割が 65 歳以上になると見込まれる。

図 57:日本の高齢化率182

182内閣府 高齢社会白書

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html

4.9 5.3 5.7 6.3 7.1 7.99.1

10.312.1

14.617.4

20.2

23

26.627.7

28.930

31.232.8

35.336.8

37.7

38 38.1

38.4

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50%

年65歳以上割合

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91

3.2.3 古紙リサイクルを巡る課題

我が国の紙パルプ産業は、少子高齢化やデジタル化の進展等の構造的要因により、新聞

用紙や印刷・情報用紙を中心に、紙需要の減少傾向が続いている。特に、印刷・情報用紙

は東京オリンピック・パラリンピックによるチラシやチケット等の需要の増加要因を考慮

しても期待されるほど生産量の増加として表れない等、厳しい状況が見込まれている。

また、紙・板紙の増加要因として、包装用紙等の一部製品についてはプラスチックから

の紙への代替素材としての需要増加が期待される。その一方で、代替された紙製品は、今

のところ、フレッシュパルプやリサイクルが技術的に困難な加工紙を多く使用した製品が

主である。このため、紙・板紙の需要増加による古紙利用率向上の連動性は、極めて限定

的であると考えられる。

板紙については、段ボール原紙の最大需要分野である飲料・加工食品向けに加え、EC 拡

大による通販向けが堅調であり、需要の増加が期待され古紙回収量の増加が見込まれるも

のの、中国における固体廃棄物輸入規制の強化や米中貿易摩擦等諸外国の政策が、今後も

我が国の段ボールの古紙輸出量や古紙価格や古紙輸出量に大きな影響を与えると見込まれ

る。特に、中国の需要低迷や輸入ライセンス枠の段階的な縮小の影響を受け、国内では古

紙の需給バランスが徐々に崩れるとともに、行き場を失った古紙が余剰在庫として滞留す

るといった事案もでてきている。このように、紙パルプ産業は景気変動等の影響を受けや

すく、さらに、古紙回収・リサイクルといった静脈産業にとっては、より一層最終的な社

会的負荷を受けやすい構造となっていると考えられる。

紙・板紙の需要が落ち込み、古紙輸出が滞り古紙回収も冷え込むという板挟みの状況に

あっては、これまで築いてきた我が国の紙リサイクルシステムの円滑な運用と存続に支障

をきたす可能性があり、結果として、古紙利用率等の目標を達成することをより一層困難

にするといった悪循環を引き起こす可能性がある。

我が国の紙リサイクルシステムは、近年の激しい外部環境の変化の中で紙パルプ産業を

存続し発展させていくには、資源循環の重要性に軸を置きつつ、紙リサイクルにかかるコ

スト負担の在り方等、持続可能な社会システムを維持するための見直しが必要であると考

えられる。

これらの状況を踏まえ、紙リサイクルを巡る課題と考えられる対応策案について取りまとめた

結果は以下のとおりである。

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92

図 58:紙リサイクルを巡る課題と考えられる対策案183

183ヒアリングを基にトーマツ作成

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93

APPENDIX Ⅰ 用語集

用語 本報告書内での意味

ESG 投資 従来の財務情報だけでなく、(Environment)・社会(Social)・ガバ

ナンス(Governance)要素も考慮した投資。

一般廃棄物 「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。

環境配慮設計

(エコデザイン)

製品の環境負荷低減を目的として,設計及び開発プロセスに環境

側面を統合するための体系的アプローチ。

拡大生産者責任制

拡大生産者責任制度とは、生産者の製品に対する責任が製品ライ

フサイクルの消費後の段階まで拡大する環境政策アプローチであ

る。実際には、生産者に対して、使用済み製品の収集と、最終処分、

もしくは理想的にはリサイクルの前の分別に対して責任を負わせ

る仕組みである。拡大生産者責任制度では、生産者が、リサイクル

システムの運営に必要な金銭的資源の提供、容器包装の事例など

で見られるようにシステムそのものの運営・組織面での責任を自

治体などから引き受けることなどを通じて、責任を果たすことと

なる。

逆有償取引 逆有償とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡すること

ができないために不要となった物の取引をいう。物の取引だけで

はなく、売却先への運搬費等に係るコストまで加味して、売却側が

全体として損をしている状況をいう。総合判断説における、取引価

値の有無の視点での判断に属する。

コト売り MaaS に代表されるようなサービスを含む付加価値を提供するビ

ジネスモデルである。製品(モノ)とサービスを組みわせることに

よるソリューション提供や、製品(モノ)そのものの機能をサービ

スとして提供することをいう。このようなビジネスモデルでサー

ビスを提供することにより、新たな付加価値を獲得するとともに、

顧客の活動状況を深く知る機会を得ることが可能になる。

産業廃棄物 次に掲げる廃棄物をいう。

一 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、

廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

二 輸入された廃棄物

使用済製品 一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された物

品(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。

3R 3R(スリーアール)は、環境と経済が両立した循環型社会を形成

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94

用語 本報告書内での意味

していくための3つの取組の頭文字をとったものである。3Rは、

リデュース(廃棄物の発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル

(再資源化)の順番で取り組むことが求められている。

鉄鋼スラグ 鉄鋼スラグとは、鉄鋼製造工程において発生する副産物である。鉄

鋼スラグは、高炉スラグと製鋼スラグに大別される。

廃棄物 ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、

動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状の

もの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をい

う。

副産物 製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給又は土木

建築に関する工事に伴い副次的に得られた物品(放射性物質及び

これによって汚染された物を除く。)をいう。

MaaS Maas:IoT や AI の活用によって提供が可能となる新しいモビリ

ティサービス(Mobility as a Service)。

PaaS 製品がサービス化され、管理されていくこと(Product as a

Service)。

資源循環システム 3Rによって資源が循環している社会システム。

循環経済システム 資源循環システムに価値の循環が結びつくことで、経済発展と環

境負荷低減が同時達成される社会システム。

マテリアルリサイ

クル

使用済み包装材料を、製造プロセスを用いて、製品、製品を構成す

る部品又は二次(リサイクル)原材料にする再生処理。エネルギー

回収及び製品の燃料としての使用を除く。

ケミカルリサイク

加水分解、グリコリシス、メタノリシス、触媒反応、熱反応、その

他の化学処理によって、使用済み製品から有用な化学物質を回収

する原材料にする再生処理。

処理 廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等をいう。

処分 廃棄物を物理的、化学的又は生物学的な手段によって形態を、外

観、内容等を変化させること。中間処理と最終処分の総称。

中間処理 廃棄物を最終処分や再生するまでの途中で行う処分をいう。焼却、

破砕、中和、脱水などの様々な方法がある。

有価物 総合判断説*に基づいて、廃棄物ではないと判断されたものをいう。

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95

用語 本報告書内での意味

※「行政処分の指針」(平成 25年 3月 29 日付け環廃産発第 1303299

号本職通知の中で示されている、廃棄物かどうかの判断基準をい

う。総合判断説の主な視点としては、①物の性状、②排出の状況、

③通常の取扱い形態、④取引価値の有無、⑤占有者の意思の 5 つ

がある。

最終処分 処理の最終工程をいう。埋立又は海洋投入処分といった方法があ

る。

高度選別技術 廃棄物をその種類に応じて、例えば、より正確に、あるいはより早

く、あるいはより細かく選別する技術のことをいう。選別技術に

は、渦電流選別、重液選別、磁力選別、光学選別などがある。

選別 廃棄物や使用済製品を、素材、品種、品質別などでより分けるこ

と。

分別 廃棄物や使用済製品を、種類によって分けること。区別すること。

海洋プラスチック

ごみ

人々が製造、使用した固体物が海洋や海岸に廃棄されたものを海

洋ごみという。なかでも、プラスチック素材の海洋ごみを海洋プラ

スチックごみという。

再生材 使用済物品又は副産物に価値を高めるための処理(破砕、選別、洗

浄)を行うことで有用な原材料として利用することができるもの

をいう。

【参考】

再生資源:使用済物品等又は副産物のうち有用なものであって、原材

料として利用することができるもの又はその可能性のあるものをい

う(出典:資源の有効な利用の促進に関する法律)。

資源効率 地球上の限られた資源を、環境へのインパクトを最小化し、持続可

能な形で利用すること。より少ない資源投入で、より大きな価値を

生み出すこと

循環経済 資源の効率的な利⽤により最⼤限の付加価値を⽣み出す経済政策と

しての資源循環。

動脈産業/静脈産

資源を加工して経済に投入される有用な財(素材・部品・製品・サ

ービス)を生産する諸産業を、動物の循環系になぞらえて動脈産業

といい、経済や産業から排出された不要物や使い捨てられた製品、

循環資源を集めて、それを社会や自然の物質循環過程に再投入す

るための事業を行っている産業を、静脈産業という。

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96

用語 本報告書内での意味

廃棄物等 一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄され

た物品(現に使用されているものを除く。) 又は製品の製造、加工、

修理若しくは販売、エネルギーの供給、土木建築に関する工事、農

畜産物の生産その他の人の活動に伴い副次的に得られた物品 (前

出の廃棄物を除く。)

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APPENDIX Ⅱ 資源循環関連法令等184

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)185(1971 年)

廃棄物の排出抑制、適正な処理(運搬、処分、再生など)、生活環境の清潔保持により、

生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的として、制定された。

この法律では、廃棄物の定義、廃棄物処理業者に対する許可、廃棄物処理施設の設置許可、

廃棄物処理基準の設定などを規定している。また、廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」

の2つに区分し、産業廃棄物については、排出事業者が処理責任を有すること、一般廃棄物

については、市町村が処理計画を定めなければならないこととしている。さらに、市町村が、

処理計画に従って一般廃棄物を収集運搬し処分しなければならないと定めている。

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)186(1995

年)

容器包装廃棄物の排出抑制及びリサイクルの促進を通じて、廃棄物全体の量を削減する

ことを目的として、制定された。当時は、急増する廃棄物の中でも、容器包装廃棄物が容積

比で家庭ごみの約 60%占めていた。

この法律では、消費者の分別排出、市町村の分別収集、事業者(容器の製造事業者・容器

包装を用いて中身の商品を販売する事業者)の再商品化、と各主体の役割が明確化されてい

る。

特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)187(1998 年)

テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品(家電4品目)は、高度成長期以降、幅広

く普及してきたが、大型で重量があることから適正処理が困難であり、大部分が埋め立てられて

いた(当時)状況を踏まえ、制定された。

この法律では、消費者、小売事業者及び製造業者・輸入業者の役割が定められている。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)188(2000 年)

食品関連事業者などから排出される食品廃棄物の発生抑制と減量化により最終処分量を減少

させるとともに、肥料や飼料等としてリサイクルを図ることを目的として、制定された。

184 日本の廃棄物処理の歴史と現状(環境省) 185 廃棄物処理法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/index.html 186 容器包装リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/04/ 187 家電リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/05/index.html 188 食品リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/06/index.html

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98

この法律では、食品の売れ残りや食べ残し、製造・加工・調理の過程において生じたくずを対

象とし、各主体による食品廃棄物等の発生抑制と減量、及び食品廃棄物等のうち有用なもの(食

品循環資源)の再生利用・熱回収に関する基本的な事項が定められている。

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律189(建設リサイクル法)(2000 年)

建築物などの解体工事などに伴って排出されるコンクリート廃材、アスファルト廃材、廃

木材の分別及びリサイクルを促進することを目的として、制定された。

この法律では、建設解体業者による分別解体及びリサイクル、工事の発注者や元請企業な

どの契約手続きなどが規定されている。また、特定建設資材(コンクリート塊、アスファル

ト・コンクリート、木材など)を用いた建築物等に係る解体工事またはその施工に特定建設

資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、そ

の受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けている。

資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)190(2001 年)

世界的に進行する資源の枯渇の問題などを背景に、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社

会システムからの脱却が求められていたため、資源の有効な利用の確保を図るために制定

された。

この法律では、事業者による製品の回収・再利用の実施などリサイクル対策を強化すると

ともに、製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制(リデュース)、回収した製

品からの部品などの再使用(リユース)のための対策を新たに行うことにより、循環型経済

システムを構築することを目指している。

例えば、3Rの取組が必要となる業種や製品として、10 業種・69品を指定し、製品の設計・

製造段階における環境への配慮、事業者による自主回収やリサイクルシステムの構築など

を規定している。

循環型社会形成推進基本法(循環基本法)191(2001 年)

天然資源の消費が抑制され、環境負荷が低減されるという循環型社会の姿が明示されて

いるとともに、資源の循環的利用と廃棄物処理についての優先順位(①発生抑制、②再使用、

③再生利用、④熱回収、⑤適正処分)の法定化など、循環型社会の形成に向けた基本原則が

示されている。

189 建設リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/07/index.html 190 資源有効利用促進法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/ 191 循環型社会形成推進基本法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/01/index.html

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99

循環型社会形成推進基本計画192(第一次計画 2003 年閣議決定、第四次計画 2018 年閣議決定)

循環基本法に基づき、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図る

ために、定められた。資源生産性(入口)、循環利用率(循環)、最終処分量(出口)の数値

目標が掲げられている。

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)193(2002 年)

自動車は鉄などの有用金属から製造されているため、そのほとんどがリサイクルされて

いた。循環利用が困難なシュレッダーダスト(解体・破砕後に残るプラスチックくずなど)

については、主に埋立処分されていたことから、最終処分場の処分費用の高騰などを要因と

した廃車の不法投棄・不適正処理が懸念された。

この法律では、処理困難で不法投棄につながる懸念のあった 3 品目(シュレッダーダス

ト、フロン類、エアバッグ類)を適正処理することや、リサイクルの費用は、リサイクル料

金として自動車の所有者が負担することが定められている。

使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法) 194(2013 年)

携帯電話、デジタルカメラ、音楽機器などの小型家電は、鉄、アルミ、銅、貴金属などの有用

金属が多く含まれている。しかし、有用な金属以外はほとんどがリサイクルされずに埋立処分さ

れるか、違法に海外輸出され現地で不適正な処分がされていた。関係者(消費者、事業者、市町

村、小売業者、認定事業者など)が協力して、自発的に回収方法やリサイクルの方法を工夫しな

がら実施する促進型の制度を構築するために、制定された。

192 循環型社会形成推進基本計画(環境省)

https://www.env.go.jp/recycle/circul/keikaku.html 193 自動車リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/in

dex.html 194 小型家電リサイクル法(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/11/index.html

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100

APPENDIX Ⅲ 資源循環に関する主な国際動向

1992 年 国連環境開発会議

(リオデジャネイ

ロ)195196

環境と開発に関するリオ宣言の諸原則を実施するための行

動プログラムであるアジェンダ 21 が採択された。その中で、

消費パターンの転換としてエネルギーと資源の効率的使用

として容器包装の削減が取り上げられた。

2002 年 持続可能な開発世

界サミット(ヨハ

ネスブルグ)197

「持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画」が採択さ

れた。「第Ⅲ章持続可能でない生産消費形態の変更」では、世

界規模で持続可能な開発を達成するため、資源の利用と生産

の効率性の向上、資源の劣化、廃棄物の軽減を示した。

2012 年 国連持続可能な開

発会議(リオ+20)

198

成果文書「我々の求める未来」が採択された。その中で、資

源効率と環境上適正な廃棄物管理のための政策の更なる開

発と実施や更なる廃棄物の 3R とともに廃棄物からのエネル

ギー回収へのコミットなどが取り上げられた。

2015 年 G7 エルマウ・サミ

ット199

資源効率性のための G7 アライアンスが設立され、優良事例

の共有等、資源効率に関する取組が強化された。

2019 年 G7 ビアリッツ・サ

ミット200

「気候、生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括」

の中で、循環経済等を通じた海洋・陸上生態系の保護につい

て言及された。

2019 年 G20 大阪サミット

201

G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関

する関係閣僚会合においても、循環経済が経済成長と環境保

全に資するものとの認識が示された。

195 THE RIO DECLARATION ON ENVIRONMENT AND DEVELOPMENT (1992) THE EARTH SUMMIT AND

AGENDA 21 :http://www.unesco.org/education/pdf/RIO_E.PDF 196 United Nations Conference on Environment & Development Agenda 21:

https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/Agenda21.pdf 197 持続可能な開発に関する世界首脳会議

持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画(外務省):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/wssd/pdfs/wssd_sjk.pdf 198 国連持続可能な開発会議(リオ+20)(外務省):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/rio_p20/gaiyo.html

成果文書概要:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/rio_p20/pdfs/gaiyo2.pdf 199 2015 G7 エルマウ・サミット(外務省):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000084024.pdf 200 気候,生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括(外務省):

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000512675.pdf 201 G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合閣僚声明:

https://www.g20karuizawa.go.jp/assets/pdf/Communique_provisional%20translation.pdf

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101

APPENDIX Ⅳ 循環経済ビジョン研究会 設置概要

設置目的

近年の資源効率・循環経済に関する状況や政策動向は、大きく変化しており、我が国とし

ても当該分野での方向性を検討するため、「循環経済ビジョン研究会」を設置し、検討を行

う。同研究会は、欧州の循環経済パッケージ等の資源循環政策に係る国際動向、人口減少・

高齢化等の社会構造の変化、モノからコトへといった消費・ビジネス構造の変化を調査し、

それを踏まえた今後の資源循環政策のあり方について中長期的視野での議論を行い、方向

性に係るビジョンを取りまとめる。

研究会委員

循環経済ビジョン研究会は以下の委員構成で開催された。

委員名 所属

細田 衛士(座長) 中部大学 経営情報学部 教授

今井 佳昭 リバーホールディングス株式会社

新事業開発室 室長

小野田 弘士 早稲田大学大学院

環境・エネルギー研究科 教授

喜多川 和典 公益財団法人日本生産性本部

エコ・マネジメント・センター長 主席コンサルタント

嶋村 高士 トヨタ自動車株式会社

環境部企画室 担当部長

田島 章男 パナソニックETソリューションズ株式会社

企画部 総括部長

馬場 研二 白井グループ株式会社 顧問

張田 真 ハリタ金属株式会社

代表取締役社長

平野 二十四 株式会社タイボー

代表取締役社長

村上 進亮 東京大学大学院

大学院工学系研究科 准教授