歯車の加工、加工精度、加工寸法管理 及び歯面修整に...
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歯車の加工、加工精度、加工寸法管理 及び歯面修整について
1. 歯車の歯の加工方法
2. 歯車の加工精度
3. 歯車の加工寸法の管理
4. 歯車の歯面修整
歯車の加工方法(1):ホブギリ加工
標準歯の加工:ラックの創成運動により歯が加工される⇒創成法
ラックの構造
ホブカッタの写真 平歯車加工の様子
(1) はすば歯車のホブ切り法:
メリット:快速加工、大量生産に適切
デメリット:加工精度が悪い(JIS4~6級)。
ホブをギヤに対してある角度を傾かせると、平歯車ははすば歯車になる。
(2) ホブギリの特徴:
はすば歯車加工の様子
歯車の加工方法(2):ピニオンカッタによる加工
特徴:内歯車の歯切りに適切
加工精度は(JIS2~4級) 欠点:加工時間が長い。
ピニオンカッタ 別名:シェーピング
歯車の加工法(3):研磨加工
特徴:高精度・高コスト
精密加工の場合に使用
4.歯車の歯の加工映像: 歯の創成運動
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/23/Profile_shift.gif
http://www.nissei-gtr.co.jp/gear/tec/process.html
http://www.youtube.com/watch?v=PjLk4QaP9eE
歯車の加工精度
1. 単一ピッチ誤差
2. 隣接ピッチ誤差
3. 累積ピッチ誤差
4. 歯形誤差
5. 歯溝のフレ
JIS B1702 平歯車及びはすば歯車の精度
JIS B1752 平歯車及びはすば歯車の測定方法
歯車は動力と回転を伝達する機械要素である。この歯車に要求される性能としては、(1)より大きな動力を;(2)できる限り小さな歯車で;(3)静かに;(4)正確に伝達することである。これらの要求を満足させるには、歯車の精度を高めることがどうしても必要となる。
歯車加工精度の評価項目:
(1)歯形誤差:
三次元測定機による歯形測定結果
ホブ切り歯車の歯面形状の測定結果:
歯車精度測定機による歯形測定結果
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0
5
10
15
20
Hob-cutting Pinion
Pro
file
devi
atio
n μ
m
Tooth
pro
file d
imen
sion
Tooth longitudinal dimension
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0
5
10
15
20
25
30
Tooth
pro
file dim
ensio
n
Tooth longitudinal dimension
Pro
file
devi
atio
n μ
m
Hob-cutting gear
歯車1の歯形誤差
歯車2の歯形誤差
全歯形誤差 F a
全歯形誤差とは、決められた歯形検査範囲で、実歯形を挟む設計歯形線図間の距離である。
図4 全歯形誤差F a
歯先
歯元
単一ピッチ誤差 ±f p t
単一ピッチ誤差とは、隣り合った同じ側の歯面のピッチ円上における実際のピッチと、理論ピッチとの差である。
図1 単一ピッチ誤差 fpt
(2)歯のピッチ誤差:
累積ピッチ誤差 F p
累積ピッチ誤差とは、歯車全歯面領域での最大累積ピッチ誤差であり、累積ピッチ誤差曲線の全振幅で表現される。
図3 ピッチ誤差の例 図2 累積ピッチ誤差 Fp
全歯すじ誤差 Fβ
全歯すじ誤差とは、決められた歯すじ検査範囲で、実歯すじを挟む二つの設計歯すじ間の距離である。 この全歯すじ誤差は、歯当たりに影響する。 この誤差が大きいと歯幅端部に歯当たりが集中する悪い歯当たりとなる。 このような歯当たりをさけるためには、クラウニングとかエンドレリーフなどの歯すじ方向の修正を行う必要がある。
図5 全歯すじ誤差 (Fβ)
歯すじ方向
(3)歯筋誤差:
歯溝の振れ許容値 Fr (μm)
図8 歯数16の歯みぞの振れ
歯みぞの振れの値は、歯車の全歯みぞに測定子(玉、ピン等)を順次挿入し、 測定子半径方向位置の最大値と最小値との差である。
この歯みぞの振れは、歯車の騒音などに悪い影響を与えるもので、 歯車加工または研削するときの取付具の振れがそれに大きく影響する。 最近では機械の精度が向上しているから、歯みぞの振れを小さくするには、 良い取付具を使って歯車を加工または研削しなければならない。 図8に歯みぞの振れ線図を示す。歯みぞの振れの中には、偏心が含まれる。
(4)歯溝の振れ誤差:
両歯面全かみあい誤差 (Fi " )
両歯面全かみあい誤差とは、被検査歯車の両歯面を同時に親歯車の両歯面に接触させた状態で被検査歯車を完全に1回転させたとき、 中心距離の最大値と最小値の差である。
図6 両歯面全かみあい誤差線図
(5)かみあい誤差:
かみあい誤差の実測値の一例
回転角度(度)
かみあい誤差
(um
)
歯車加工精度のJIS規格
JIS B 1702-1: 1998 円筒歯車-精度等級
第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値
精度等級
基準円直径 モジュール 誤差の許容値 N4 N5 N6 N7 …. N12
50<d≦125
0.5<m≦2
単一ピッチ誤差 3.8 5.5 7.5 11 …. 61
累積ピッチ誤差 13 18 26 37 …. 208
全歯形誤差 4.1 6 8.5 12 …. 66
全歯筋誤差
全かみあい誤差
歯溝の触れ 10 15 21 29 …. 167
2<m≦3.5
単一ピッチ誤差 4.1 6.0 8.5 12 …. 66
累積ピッチ誤差 13 19 27 38 …. 214
全歯形誤差 5.5 8 11 16 …. 89
全歯筋誤差
全かみあい誤差
歯溝の触れ 11 15 21 30 …. 171
歯車精度の測定機
大阪精密機械(株)製
ホブ切リ歯車の加工誤差測定結果の一例
歯溝の振れ誤差
歯形誤差 ピッチ誤差
歯溝の振れ誤差
歯形誤差 ピッチ誤差
研磨加工歯車の加工誤差測定結果の一例
歯車加工寸法(バックラッシュー) の管理法:
歯厚マイクロメータによる歯厚測定
(内歯車と外歯車に適用) マタギ歯厚の計算式
マタギ歯数
マタギ歯厚
5.0180
11
zz c
m
5.0180
22
zz c
m
})5.0({cos 111 cmcm invzzmS
})5.0({cos 222 cmcm invzzmS
(1) マタギ歯厚測定法
偶数歯 奇数歯
内歯車の場合
外歯車の場合
(内歯車と外歯車に適用)
md p 47606.11
md p 47606.12
ピン径の計算(圧力角度20°)
オーバピン径寸法
オーバピン径寸法の計算式
cos
cos1
11
c
pm
mzdd
cos
cos2
22
c
pm
mzdd 偶数歯:
)90
cos(cos
cos
1
1
11z
mzdd c
pm
)90
cos(cos
cos
2
2
22z
mzdd c
pm
奇数歯:
標準歯車の場合には、Φ=αc=20°
(2) オーバピン径寸法測定法