0123$45 an analysis of the process of acquiring bodily kno

6
傘回しの䞀人称研究による身䜓知獲埗過皋の分析 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Knowledge of Umbrella Spinning with First-Person’s View 枡邉 暹生 † 小倉 加奈代 ‡ Tatsuki Watanabe, Kanayo Ogura † 株匏䌚瀟リペア ‡ 岩手県立倧孊 REPAIR Inc., Iwate Prefectural University [email protected] 抂芁 本研究では教瀺蚀語化行為が身䜓知獲埗の促進に 繋がっおおり技胜習埗に取り組む人間が意識する課 題や身䜓郚䜍の違いにより成長床合いに倉化が生じる こずを仮説ずし䞀人称芖点での傘回しに関する身䜓 知獲埗における教瀺蚀語化行為の圱響を怜蚎したそ の結果蚀語化行為によっお意識化に該圓する蚘述が 行われた盎埌は前回の成果よりも䜎䞋し無意識化の 厩壊が行われるこず同じ緎習段階でも緎習䞭の意識 察象が異なるこずで成果に幅が生じるこずが確認でき た キヌワヌド身䜓知䞀人称研究蚀語化行為傘回し 1. はじめに 技胜習埗においお䞀人称芖点による蚀語化行為は身 䜓知の獲埗を促進するずされおいる[1]身䜓知の獲埗 過皋を統合倱調症患者の芖芚性倱認の症状を逆に蟿る こずで考察しおいる田䞭らの研究[2]では日垞的な操 䜜無意識䞋で行うこずが可胜な操䜜はできるにもか かわらずその操䜜を意識的に行おうずするずできな いずいう芖芚性倱認の芳点から操䜜の無意識化は意 識化の反芻の先に生たれるものでありたた無意識化 操䜜は新しい意識化操䜜により既存の無意識化が厩 壊し質の高いの無意識化操䜜に繋がるずされおいる たた有富ら[3]は蚀語化行為に぀いお自身のモチベ ヌションが䞊がるようなポゞティブな発蚀や蚘述であ り単玔な筋力や持久力に倧きく圱響を䞎えるずされ る「動機付け」ず自身の操䜜に぀いおの意識的説明で あり粟密性や正確性に圱響を及がすずされる「教瀺」 の 2 皮類に分類できるず説明しおいるしかし教瀺 蚀語化行為ではどの発蚀がどの操䜜に圱響を䞎えお いるかが曖昧であるそのため垞に技胜習埗の成果が 䞊がるわけではない 教瀺蚀語化行為は同じ操䜜を 行っおいる堎合でも個人の心的状態や意識しおいる 身䜓郚䜍や倖郚環境に察する個々の解釈に差異があり 普遍的な解を問うこずは困難である 本研究では教瀺蚀語化行為が身䜓知獲埗の促進に 繋がっおおり技胜習埗に取り組む人間が意識する課 題や身䜓郚䜍の違いにより成長床合いに倉化が生じる こずを仮説ずし䞀人称芖点での傘回しに関する身䜓 知獲埗における教瀺蚀語化行為の圱響を怜蚎する 2. 関連研究 本皿では䞀人称研究の実践䟋に関する研究蚀語化 行為の圱響に関する研究身䜓知習埗過皋における身 䜓図匏に関する研究を取り䞊げる 2.1. 䞀人称研究の実践 山田ら[4]はけん玉の技の䞀぀である「ふり剣」の 習埗を目指しどのように技を習埗しおいくのかを䞀 人称の芖点から蚘録し䞊達過皋を芳察した緎習䞭の 発話に぀いおふり剣詊行を぀の段階に分類した結 果第 1 期ず第 3 期が成功率の停滞期であり軌道に ぀いおの発話が倚く第 2 期ず第 4 期は成功率の䞊昇 時期あり振り出しを意識するこずが倚い事が芳察さ れたこの振り出しぞの意識がふり剣成功の䞻芁なポ むントず考えられる 2.2. 蚀語化行為が運動パフォヌマンスに及 がす圱響 有冚ら[3]は運動技胜習埗ずセルフトヌクの関係に぀ いおクロヌルの 400m のパフォヌマンスにどの様な 圱響を䞎えるかを調査したその結果ポゞティブ感情 生起を目的ずする動機付けセルフトヌクにより実隓 参加者の意図によらず身䜓の運動が亢進される可胜性 があるこず身䜓的運動匷床や疲劎床の知芚を抑え ç·© 和する機胜があるこずが瀺された 2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32 578

Upload: others

Post on 15-Jan-2022

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

傘回しの䞀人称研究による身䜓知獲埗過皋の分析 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Knowledge

of Umbrella Spinning with First-Person’s View

枡邉 暹生†小倉 加奈代‡ Tatsuki Watanabe, Kanayo Ogura

†株匏䌚瀟リペア

‡岩手県立倧孊

REPAIR Inc., Iwate Prefectural University [email protected]

抂芁 本研究では教瀺蚀語化行為が身䜓知獲埗の促進に

繋がっおおり技胜習埗に取り組む人間が意識する課題や身䜓郚䜍の違いにより成長床合いに倉化が生じるこずを仮説ずし䞀人称芖点での傘回しに関する身䜓知獲埗における教瀺蚀語化行為の圱響を怜蚎したその結果蚀語化行為によっお意識化に該圓する蚘述が行われた盎埌は前回の成果よりも䜎䞋し無意識化の厩壊が行われるこず同じ緎習段階でも緎習䞭の意識察象が異なるこずで成果に幅が生じるこずが確認できた キヌワヌド身䜓知䞀人称研究蚀語化行為傘回し

1. はじめに

技胜習埗においお䞀人称芖点による蚀語化行為は身

䜓知の獲埗を促進するずされおいる[1]身䜓知の獲埗

過皋を統合倱調症患者の芖芚性倱認の症状を逆に蟿る

こずで考察しおいる田䞭らの研究[2]では日垞的な操

䜜無意識䞋で行うこずが可胜な操䜜はできるにもか

かわらずその操䜜を意識的に行おうずするずできな

いずいう芖芚性倱認の芳点から操䜜の無意識化は意

識化の反芻の先に生たれるものでありたた無意識化

操䜜は新しい意識化操䜜により既存の無意識化が厩

壊し質の高いの無意識化操䜜に繋がるずされおいる

たた有富ら[3]は蚀語化行為に぀いお自身のモチベ

ヌションが䞊がるようなポゞティブな発蚀や蚘述であ

り単玔な筋力や持久力に倧きく圱響を䞎えるずされ

る「動機付け」ず自身の操䜜に぀いおの意識的説明で

あり粟密性や正確性に圱響を及がすずされる「教瀺」

の 2 皮類に分類できるず説明しおいるしかし教瀺

蚀語化行為ではどの発蚀がどの操䜜に圱響を䞎えお

いるかが曖昧であるそのため垞に技胜習埗の成果が

䞊がるわけではない 教瀺蚀語化行為は同じ操䜜を

行っおいる堎合でも個人の心的状態や意識しおいる

身䜓郚䜍や倖郚環境に察する個々の解釈に差異があり

普遍的な解を問うこずは困難である 本研究では教瀺蚀語化行為が身䜓知獲埗の促進に

繋がっおおり技胜習埗に取り組む人間が意識する課

題や身䜓郚䜍の違いにより成長床合いに倉化が生じる

こずを仮説ずし䞀人称芖点での傘回しに関する身䜓

知獲埗における教瀺蚀語化行為の圱響を怜蚎する

2. 関連研究

本皿では䞀人称研究の実践䟋に関する研究蚀語化

行為の圱響に関する研究身䜓知習埗過皋における身

䜓図匏に関する研究を取り䞊げる

2.1. 䞀人称研究の実践

山田ら[4]はけん玉の技の䞀぀である「ふり剣」の

習埗を目指しどのように技を習埗しおいくのかを䞀

人称の芖点から蚘録し䞊達過皋を芳察した緎習䞭の

発話に぀いおふり剣詊行を぀の段階に分類した結

果第 1期ず第 3期が成功率の停滞期であり軌道に

぀いおの発話が倚く第 2期ず第 4期は成功率の䞊昇

時期あり振り出しを意識するこずが倚い事が芳察さ

れたこの振り出しぞの意識がふり剣成功の䞻芁なポ

むントず考えられる

2.2. 蚀語化行為が運動パフォヌマンスに及がす圱響

有冚ら[3]は運動技胜習埗ずセルフトヌクの関係に぀

いおクロヌルの 400m のパフォヌマンスにどの様な

圱響を䞎えるかを調査したその結果ポゞティブ感情

生起を目的ずする動機付けセルフトヌクにより実隓

参加者の意図によらず身䜓の運動が亢進される可胜性

があるこず身䜓的運動匷床や疲劎床の知芚を抑え緩

和する機胜があるこずが瀺された

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

578

Page 2: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

2.3. 身䜓知習埗過皋における身䜓図匏

田䞭ら[2]は身䜓運動の蚘述に必芁な぀の抂念(身䜓図匏身䜓むメヌゞ指向匓)を析出しメルロ=ポン

ティの考察を順序立おお逆方向に蟿るこずで運動孊習

の過皋を再考しおいるその結果運動習埗過皋におい

お⟝䜓むメヌゞ→⟝䜓図匏の型が圓おはたりスポヌ

ツ等においおコツず呌ばれるものは無意識化で⟏われ

るものがほずんどでありそれらの定着には類䌌の環

境の経隓その反埩が䞍可✋であるず述べおいる

3. 傘回しの身䜓知獲埗のための実践

本研究では本研究を遂行する男子倧孊生20 代

1名が傘回しスキルを習埗する傘回しは開いた和傘

の䞊に手毬を茉せお萜ずさないように回す芞である

今回傘回しを遞んだ理由は傘回し緎習者以䞋緎

習者が傘回しに取り組んだこずがないこず傘回し

の䞀連のスキルが単玔でありスキル自䜓が䞀意であ

るためであるたた今回傘回しに䜿甚する和傘は党長

89cm盎埄 90cm芪骚 40 本重量 300g手毬は盎埄

10cm である

3.1. 緎習方法

パフォヌマヌによる傘回し解説動画[5]にある 9 ぀の

段階に分割し衚 1STEP9 の乱回しを最終目暙ずし

STEP1 から順番に 1 回に぀き玄 30 分週 3 回皋床緎

習したなお緎習時には他者からの助蚀はもらわな

いこず過去のテスト蚘録埌述は閲芧しないこずず

した è¡š 1 傘回しの 9 ぀のステップ

段階 操䜜内容

STEP1 傘䞊で手毬を前埌に動かしバランスをずる

STEP2 傘䞊で手毬をマスず぀動かす

STEP3 傘䞊で手毬を数マス動かしお止める

STEP4 傘䞊に手毬をのせた状態で右手を巊右に振る

STEP5 顔の高さで傘䞊に手毬をのせた状態で回す

STEP6 傘䞊に手毬をのせた状態で頭䞊に持ち䞊げる

STEP7 傘䞊に手毬をのせた状態で手毬ず右手の䜍眮

を固定したたた頭䞊で傘を回転させる

STEP8 傘䞊に手毬をのせた状態で傘を回しながら頭

䞊に持ち䞊げる

STEP9 乱回しSTEP7+手毬回転

図 1 STEP9乱回しの撮圱内容

è¡š 2 自己評䟡項目

評䟡項目 内容

項目 1 傘の軞がぶれない

項目 2 傘止たりの接地面が氎平

項目 3 傘の回転がなめらか

緎習埌はビデオカメラによる撮圱(図 1)を行いなが

らその日に緎習した STEP のテストを 3 回行い成功

回数STEP5,6 は秒数を蚘録したたた自己評䟡項

目(è¡š 2をそれぞれ 5 段階1できなかった2:あた

りできなかった3:普通4:十分にできた5:完璧にで

きたで評䟡した最埌にその日の緎習テスト含む

に぀いお緎習䞭に行った動䜜に぀いおの蚘述や動䜜䞭

の自身の心情その倉化の過皋動䜜によっお生じる傘

の動きや鞠の動きに぀いお次回の実践で自身が意識

を向けるべき課題に぀いお蚀語蚘録を䜜成した衚 3 緎習段階の移行に぀いおは自己評䟡 3 項目をそれ

ぞれ点数化し平均点が 4 点以䞊になったずころで次

STEPぞ移行するこずずした

è¡š 2 蚀語蚘録䟋

䟋1

球の軌道が読めるようになっおきた。足も䜿いバランスを

厩した時に察応が取れるようになった。出来るだけ芖線を

キヌプするように意識し、球が転がる先をむメヌゞしおあ

る皋床傟きを保぀ようにした。(2020/6/18)

䟋2

前回ず比べ傘の角床をうたく保おるようになり、萜䞋がか

なり少なくなった。回す䜍眮は奥偎で回すこずは䞍可胜だ

が、止めお手前に戻すこずは可胜。 手前の䞭でも回しやす

いのは正面、右、巊の順だった。(2020/8/2)

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

579

Page 3: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

4. 傘回しの身䜓知獲埗過皋の分析

傘回しスキル獲埗のための緎習ず蚘録は2020幎6月1 日から 9月 14 日の期間に蚈 35 回行われた前述の

緎習段階で区切るずSTEP1(1 回)STEP 2(3 回)STEP 3(3 回)STEP 4(6 回)STEP 5(2 回)STEP 6(4 回)STEP 7(1 回) STEP 8(1 回)STEP 9(14 回)であったSTEP 4ず STEP 9 に぀いおは操䜜自䜓の難易床が他の STEPよ

りも高く緎習日数が増える結果ずなった蚀語蚘録で

もミスに぀いおの蚘茉が倚く芋られ衚 3緎習者の

感芚ずしおも高難易床であったこずがわかる

è¡š 3 STEP49 の蚀語蚘録䞀郚抜粋

STEP4(2020/6/24)

Step4に入った。巊右に振るこずを初めお行ったので初期

の印象を蚘述する。バランスの乱れが倧きくなった。特に

今たでは傘の軞の自分偎で球を回しおいたが、奥偎でバラ

ンスをずるこずが倚々あった。奥偎はかなりの角床を぀け

ないず埩垰が難しいため、そのような意識の必芁がある。

STEP9(2020/8/13)

あたり成長を感じられなかった。目暙は乱回しを連続しお

するこず。珟状ではただ回転させおはバランスを立お盎

しお、ずいう感じだった。傘の傟け方、角床にムラがある

せいで回転が䞍自然なのではないかず感じた。

4.1. 自己評䟡スコア掚移

図 2 は緎習期間の自己評䟡スコア前章の 3 ぀の自

己評䟡項目を緎習日の最埌に 3 回テストした際の 5 段

階評䟡の平均倀の掚移を衚したものである詊行日数

の倚かった STEP46月 24 日〜7月 6 日や STEP98月 10 日〜9月 14 日はスコアの䞊䞋が倧きく特に

STEP9 は他の STEP ず比范しおスコアの䜎さや停滞が

確認でき難易床が高かったこずがうかがえる

図 2 緎習期間䞭の自己評䟡スコアの掚移

4.2. 蚀語蚘録の分析

蚀語蚘録内容を衚 4 の項目別に分類した

è¡š 4 蚀語蚘録の分類項目 項目 内容

掚枬 蚘録された内容が自身の掚枬

によるものか

タむミング 傘回し操䜜のどのタむミング

で行われるものか

䜕をしたするか 自身が意識的に行った操䜜

䜕が起きるか 自身以倖(傘や球)の事象の倉化

䜕ができるようになったか 自身に身に぀いた達成された

ずされる事柄

意識察象 傘球身䜓郚䜍

STEP9 の蚀語蚘録内容を分析したものが衚 9論文末である「䜕をした(する)か」は緎習䞭に自身が意

識的に行った操䜜に぀いおの蚘述で田䞭らの研究[2]でいう「意識化」ず呌ばれるものに該圓するたた「䜕

ができるようになったか」は自身に身に぀いた達成し

たずされる蚘述で「無意識化」ず呌ばれるものに該圓す

る蚀語化蚘録の分析では意識化に぀いおの蚘述が行

われた埌にそれらが達成される無意識化の蚘述が行わ

れる流れが芋られたしかし䞀郚で意識化に぀いおの

蚘述が行われたのにも関わらず無意識化の蚘述では

該圓する蚘述が芋られない郚分も䞀郚芳察された 意識察象に぀いおは傘球身䜓郚䜍の 3 項目に蚭

けおはいたものの球を意識察象ずした蚘述はほずん

ど芋られなかったたた身䜓郚䜍に関しおは手銖や前

腕腕党䜓等意識の察象が期間ごずによっお異なっお

いるこずがわかった傘に぀いおの意識はしばしば芋

られたが身䜓郚䜍ぞの意識ほどの蚘述が少なくたた

傘ぞの意識的操䜜を行う身䜓郚䜍ぞの意識的操䜜など

は身䜓郚䜍ぞの意識ずしお分類したこずも芁因の䞀

぀ずしお考えられる

4.3. テスト結果掚移

難易床が高く詊行日数が倚かった STEP9 のテスト

結果を図 3 に瀺すなお考察の際にテスト結果を 8月 8 日から 8月 23 日たでの 8 回を STEP9 前期8月25 日から 9月 14 日たでの 6 回を STEP9 埌期ず 2期に

分けた

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

580

Page 4: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

図 3 STEP9 のテスト結果掚移

STEP9 前期は STEP9 埌期ず比范するずテストの成

功回数が少なく最高で 13 回連続で成功1 日の平均

倀では 7 回が最も高い倀であったたた成長の過皋ず

しおは 8月 10 日8月 14 日のように前回の結果より

も䜎䞋する日が芋られ8月 14 日以降は䞊昇を続け

以降STEP9 前期期間䞭テスト結果の䜎䞋はなかった STEP9 埌期は STEP9 前期ず比范するずテストの成

功回数が倚く最高で 101 回連続で成功1 日の平均倀

では 35.3 回が最も高い倀ずなった成長の過皋では 8月 25 日ず 8月 26 日の 2 日間にかけお前回の結果より

も䜎䞋する傟向が芋られ以降は倧幅な䞊昇を芋せた

8月 28 日は䞀床 100 回以䞊の結果が芋られたがその

日の他の結果や暙準偏差を芋おもわかるように䞀時

的なもので平均倀ずしおは倧きく倖れる倀ずなっおい

るSTEP9 埌期の方が STEP9 前期よりも結果䜎䞋埌

の䞊昇が倚くなっおいるこずも確認できた

4.4. 蚀語蚘録内容ずテスト結果の盞関

本実隓の STEP9 の緎習過皋を STEP9 前期ず STEP9埌期に分けたがそれをテスト結果の過皋から8月 8日から 8月 13 日たでを STEP9 前期停滞期8月 14 日

から 8月 23 日たでを STEP9 前期䞊昇期にわけSTEP9埌期を 8月 25 日から 8月 26 日を STEP9 埌期停滞期

8月 27 日から 9月 14 日たでを STEP9 埌期䞊昇期にわ

けそれぞれの期間の蚀語蚘録ずの察応を分析した

4.4.1. STEP9前期停滞期

STEP9 前期停滞期の蚀語蚘録を衚 5 に瀺すSTEP9前期停滞期ではタむミングに関しお回し始めでの感

想が倚く芋られた意識察象は傘ず手銖に぀いおで特

に手銖の柔軟性を意識するこずを重芖しおいたたた

䞀床結果が䞊昇した8月12日は意識しおいた内容が䜓

に銎染んできたずいうような蚘茉も芋られた党䜓的

には乱回し始めたおの期間であったためミスに぀いお

の蚘茉が目立ち傘を回転させる際のバランスに苊戊

する箇所が倚く芋られた è¡š 5 STEP9 前期停滞期の蚀語蚘録項目分類埌

4.4.2. STEP9前期䞊昇期

STEP9 前期停滞期の蚀語蚘録を衚 6 に瀺すSTEP9前期䞊昇期では意識した内容よりも乱回しの操䜜自

䜓に慣れおきたような蚘述が倚かった前期停滞期ず

比べ「䜕ができるようになったか」の無意識化にあたる

郚分の蚘茉が増加したが逆に意識しおいた内容には

ばら぀きがあり意識察象も最終日以倖は蚘茉が芋ら

れなかった

è¡š 6 STEP9 前期䞊昇期の蚀語蚘録項目分類埌

4.4.3. STEP9埌期停滞期

STEP9 埌期停滞期の蚀語蚘録を衚 7 に瀺すSTEP9埌期停滞期では意識した内容が限定されおおり腕党

䜓で回すずいう意識の蚘茉が䞀貫しお行われおいた

腕党䜓で回すずいう意識は前期䞊昇期の最終日から続

けお行われおおり䜓に身に぀いおいないためか「力

加枛」に関しおの蚘述が倚く芋られた埌期停滞期最終

日は感芚ずしお䜕か掎んだような蚘述は芋られたが

結果自䜓には反映されおいなかった è¡š 7 STEP9 埌期停滞期の蚀語蚘録項目分類埌

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

581

Page 5: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

4.4.4. STEP9埌期䞊昇期

STEP9 埌期䞊昇期の蚀語蚘録を衚 8 に瀺すSTEP9埌

期䞊昇期では意識的な蚘述が極端に枛っおいたが身に

぀いた動䜜に぀いおの蚘述が増加し埌期停滞期で意

識内容の䞻だった「腕党䜓から回す」ずいう意識からき

おいる蚘述が倚く芋られたたた連続で成功するこず

に安定しおきおいた時期では技術的説明である教瀺

の蚀語化行為よりも筋肉疲劎などの物理的な疲れや

続ける粟神力などに぀いおの蚘茉が増加した

è¡š 8 STEP9 埌期䞊昇の蚀語蚘録項目分類埌

4.5. 考察

前述の結果より身䜓知習埗過皋における成果の停

滞期では教瀺蚀語化行為においお自身が意識する事

象や察象に぀いおの蚘述が倚く䞀定の期間同様の意

識を持぀こずが確認された逆に䞊昇期では意識する

事象や察象に぀いおの蚘述がたばらであったりそも

そも蚘述がない堎合も芋られたりした䞊昇期では自

身の身䜓的操䜜の慣れに぀いおの蚘述が倚く芋られる

ようになり意識化の操䜜が無意識化の操䜜に倉化し

たこずが考えられる意識化の操䜜が行われおいる段

階では成果の停滞が芋られ無意識化の操䜜に倉化し

た埌は成果の䞊昇が芋られたSTEP9 前期で無意識化

された操䜜は STEP9埌期に行われた別の意識化操䜜に

よっお既存の無意識化操䜜が厩壊し䞀時的に成果が

萜ちおいた たたSTEP1~STEP8 の蚀語蚘録に぀いおSTEP9 の

ような停滞期ず䞊昇期が芋られなかったこれらの理

由ずしおは傘回しの䞭でも䞀郚の限定的な操䜜であっ

たこず難易床が䜎く意識の違いによった成果の倉化

が少なかったこずが考えられる STEP9前期の身䜓知習埗の過皋ずSTEP9埌期の身䜓

知習埗の過皋での意識化を行う事象や身䜓郚䜍に぀い

お前期は「手銖の柔軟性」に぀いお倚く意識を持っお

緎習を行っおおりSTEP9 埌期は「腕党䜓で回す」こ

ずに぀いおの意識で緎習が行われおいたSTEP9 前期

で無意識化された操䜜は STEP9埌期の新しい意識化操

䜜により意識化の厩壊が行われたず考えられる

STEP9 前期ず STEP9 埌期で意識化操䜜の違いがあり

たたそれらの無意識化によっお埗た成果にもそれぞれ

違いが芋られ前期よりも埌期の無意識化操䜜が倧き

く成果をあげたこのこずから意識化操䜜の意識察象

の違いによっおその無意識化操䜜の成果にも違いが生

たれその過皋に盞関があるず考えられる

5. おわりに

本研究では実際に蚀語化行為の身䜓知獲埗過皋を

分析し実際に蚀語化行為によっお意識化に該圓する

蚘述が行われた盎埌は前回の成果よりも䜎䞋し無意

識化の厩壊が行われたず考えられる流れが確認できた たた教瀺の蚀語化行為における意識箇所の差異ず身

䜓知獲埗の成果の成果に盞関がみられるずいう仮説に

おいお教瀺蚀語化行為の意識箇所の差異分析から芋

た身䜓知獲埗過皋の掚移成果の掚移の盞関に぀いお

調査を行った最終的な目暙に蚭定された乱回しの緎

習段階では実際に蚀語化行為を行った緎習で成果の流

れに差異がみられさらにその意識察象が異なるこず

で成果にも幅があるこずが確認された 本研究では傘回しのスキル習埗を 9 段階に分類しお

緎習を行いその郜床テストや蚀語蚘録䜜成を行っお

きたが最終目暙である乱回しの STEP9以倖の緎習段

階では成長の過皋に倧きな䞊䞋が芋られなかったこ

れらの理由ずしおは䜎難易床であったがために自己

評䟡や成果が初めから高かった次段階ぞの移行を䞀

定期間ではなく自己評䟡を基準ずしおおり十分な緎

習期間が蚭けられなかったこずが考えられる

参考文献 [1] 堀内隆仁 諏蚪正暹走りを远求するアスリヌトの物語

-身䜓で実践し気づき考え解り実践する-, 人工知

胜孊䌚第 30回党囜倧䌚, 1M4-OS-14a-5, 2016. [2] 田䞭地吟運動孊習におけるコツず⟝䜓図匏の機胜バむ

オメカニズム孊䌚誌, Vol37,No.4,pp.205-210, 2013. [3] 有冚公教倖山矎暹沢宮容子セルフトヌクが運動パフ

ォヌマンスに及がす圱響スポヌツ心理孊研究Vol40pp.153-163, 2013.

[4] 山田陜平盞田優垌けん玉の技を習埗する過皋の研究

日本認知科孊䌚第 36 回倧䌚予皿集pp.675-678, 2019.

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

582

Page 6: 0123$45 An Analysis of the Process of Acquiring Bodily Kno

è¡š 9 蚀語蚘録の分類結果STEP9

2021幎床日本認知科孊䌚第38回倧䌚 P2-32

583