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学習院大学 海外協力研修プログラム DISSOLVA ボルネオプロジェクト 活動報告書 2015年度 Vol.4 March 2016 トケコム (右) マレーシア (ボルネオ島) サバ州の地図 (左) クロッカー山脈 国立公園の地図 March 2016 Vol. 4 Contents 02 Our 19 days in Borneo ボルネオ 19 日間の旅 04 Youth & Salt Trail 塩の道ソルトトレイル 08 Jalan-jalan Kg. Buayan ブアイヤン村歴史散歩 12 Bio-budaya and wood block prints 版画と生物文化遺産の家 16 Buayan families ブアイヤン村の家族たち 20 From start to the fete チーム成長の全記録 42 DISSOLVA members’ notes メンバー紹介 66 Acknowledgement 謝辞 96 DISSOLVA research reports 研究報告論文集 トケコム Vol. 4 02 トケコム ケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコム コム トケコム トケ ケコム ケコム トケコム トケコム トケコム ケコム ケコム ケコム ケコトケコム トケコム トケコム トケコム トケコム トケコトケコム トケコ トケコム Vol. Vol. Vol. Vol. Vol. V Vol. Vol. o Vol. Vol o o Vo Vol. ol. . . V V V 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 02 02 02 02 02 02 02 2 02 02 02 2 0 0 0 02 19 08.13  成田空港出発 08.24 タラップリカー・ビーズづくり 25 ティク保育園開園式・トンクゴン 26 パンクロックスラップと版画制作 27 小学校で支援物資のプレゼント 28 Winding Road を歌ってお別れ 29 出村・ソルトトレイル トレッキング START DAY 1 2015.08.13 DAY 12‐16 2015.08.24-28 Buayan 29 イノボン宿泊施設に到着  08.30 コタキナバルへ出発 DAY 17 2015.08.29 Inobong Diverse and 多様で Sustainable 持続可能な Solution- seeking 解決策さがす Voluntary ボランティア Action 活動 03 ボルネオ 19 日間の旅 03 03 03 03 03 03 03 03 03 03 03 03 0 03 03 03 0 03 3 03 3 03 03 03 03 03 0 03 03 03 3 3 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ ボルネオ ボルネオ ボルネオ ボルネオ 1 ボルネオ ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネ ボルネオ 1 ルネオ ボルネオ ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ルネ ボルネオ ボルネ ルネオ ボルネオ 1 ネオ ボルネオ ボルネオ 1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ルネ ボルネオ ルネオ ネオ ボルネオ オ1 ボルネオ 1 ボルネオ 1 ネオ ボルネオ ネオ ボル ネオ ボル ボルネオ ボルネオ 1 ボルネボルネオ ボルネオ 1 ボルネ ボルネオ ボルネオ ボルネオ ルネオ ネオ ボルネ ボルネ ボルネオ ネオ ルネ ボルネオ1 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間 9 日間の旅 9 日間の旅 日間 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の 9 9 日間の 9 日間 9 日間の旅 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 日間の旅 9 日間 間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 日間 日間 間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の旅 9 日間の 9日 9 日間の 日間の旅 間の旅 の旅 9 日間 9日 9 日間の旅 間の旅 間の旅 9 9日 9 日間の旅 間の旅 間の旅 9 9日 9 日間の 9日 9 日間 9 日間の旅 9 9 日間の 08.23 教会のミサ・スポーツ大会 ゴング・スマザオダンス・寸劇 DAY 3-5 2015.08.15-17 DAY 2 2015.08.14 13 コタキナバル空港到着 08.14 マフアの滝見学 ティコロッド村でソンポトンづくり 15 ソルトトレイル トレッキング 15 キオノップ村到着(徒歩 7 時間) 08.16 教会の清掃・水回り整備・植樹 17 ムンバイトギトンの見学・表札づくり 18 キオノップ村出発 18 ブアイヤン村到着(徒歩 3 時間) 08.19 ミーティング・学生による発表 20 ブアイヤン村歴史散歩・地図づくり 21 手すりの設置・白壁塗り 22 流しの設置・回転扉の制作 Kota Kinabalu & Tikolod Kionop DAY 11 2015.08.23 DAY 6-10 2015.08.18-22 Buayan 08.30 ガヤ島・美術館・買い物 31 コタキナバル空港出発 DAY 18 2015.08.30 Kota Kinabalu & Gaya Island GOAL DAY 19 9 2015.08.31

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世界に羽ばたくガクシュウイン生を応援!

学習院大学 海外協力研修プログラム

DISSOLVAボルネオプロジェクト

活動報告書 2015年度

Vol.4March 2016

トケコム

 

トケコム

(右)マレーシア(ボルネオ島)サバ州の地図

(左)クロッカー山脈国立公園の地図

March

2016

Vo

l. 4C

on

ten

ts

02 Our 19 days in Borneo

ボルネオ19日間の旅

04 Youth & Salt Trail

塩の道ソルトトレイル

08 Jalan-jalan Kg. Buayan

ブアイヤン村歴史散歩

12 Bio-budaya and wood block prints

版画と生物文化遺産の家

16 Buayan families

ブアイヤン村の家族たち

20 From start to the fete

チーム成長の全記録

42 DISSOLVA members’ notes

メンバー紹介

66 Acknowledgement

謝辞

96 DISSOLVA research reports

研究報告論文集

トケコム Vol. 4 | 02トケコムケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムトケコムコムトケコムトケ ムムケコムケコムトケコムトケコムトケコムムムケコムケコムケコムケコムトケコムムトケコムトケコムトケコムコムトケコムトケコムトケコムトケコトケコムケ ム Vol.Vol.Vol.Vol.Vol.VoVol.Vol.oVol.VolooVoVol.ol...VVV 444444444444444444444444||||| 0202020200202022020202200002

19日間の旅

08.13  成田空港出発

08.24 タラップリカー・ビーズづくり 25 ティク保育園開園式・トンクゴン 26 パンクロックスラップと版画制作 27 小学校で支援物資のプレゼント 28 Winding Road を歌ってお別れ 29 出村・ソルトトレイル トレッキング

START

DAY 1 2015.08.13

DAY 12‐162015.08.24-28

Buayan

29 イノボン宿泊施設に到着  08.30 コタキナバルへ出発

DAY 172015.08.29

Inobong

Diverse and多様で

Sustainable持続可能なSolution-

  seeking解決策さがす

Voluntary ボランティア

Action 活動

03 |ボルネオ19日間の旅030303030303030303030303003030300330330303030303003030333||||||||||||||ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネオボルネオボルネオボルネオボルネオ1ネルボルネオボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ボルネボルネオ1ルネオボルネオボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ルネボルネオボルネルネオボルネオ1ネオボルネオボルネオ1ボルネオ1ボルネオ1ルネボルネオネネネルネオネオボルネオオ1ボルネオ1ボルネオ1ネオネボルネオネオボル オネオボボルボルネオボルネオ1ボルネオネオボルネオボルネオ1ボルネボルネオボルネオネオボルネオルネオネネオボ オオボルネボルネボルネオネオオルネボルネオ1ボル 9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間9日間の旅9日間の旅日間9日間の旅9日間の旅9日間の99日間の9日間9日間の旅日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅日間の旅9日間間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅日間日間間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の旅9日間の9日9日間の日間の旅間の旅の旅9日間9日9日間の旅間の旅間の旅99日9日間の旅間の旅間の旅日 旅99日9日間の9日 の9日間9日間の旅9 間間間の旅の日9日間の日間 旅ののの旅

08.23 教会のミサ・スポーツ大会 ゴング・スマザオダンス・寸劇

DAY 3 -52015.08.15-17

DAY 22015.08.14

13 コタキナバル空港到着 08.14 マフアの滝見学 ティコロッド村でソンポトンづくり 15 ソルトトレイル トレッキング

15 キオノップ村到着(徒歩7時間) 08.16 教会の清掃・水回り整備・植樹 17 ムンバイトギトンの見学・表札づくり 18 キオノップ村出発

18 ブアイヤン村到着(徒歩3時間) 08.19 ミーティング・学生による発表  20 ブアイヤン村歴史散歩・地図づくり 21 手すりの設置・白壁塗り   22 流しの設置・回転扉の制作

Kota Kinabalu & Tikolod

Kionop

DAY 112015.08.23

DAY 6 -102015.08.18-22

Buayan

08.30 ガヤ島・美術館・買い物 31 コタキナバル空港出発

DAY 182015.08.30

Kota Kinabalu &Gaya Island

GOAL

DAY 199 2015.08.31

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トケコム Vol. 4 | 04

ティコロッド-キオノップ間のトレッキングルートは、最高地点1200m超まで登った後に、川を何度もわたる密林コース。美しいセミやヘビやヒル(⁉)にも遭遇できて、ジャングルトレッキングの醍醐味を味わえる。

ティコロッドは塩の道の端に位置している。宿泊施設のキャパシティが少ないので、大人数では利用できない。シャワーの数も少ないが、清流での水浴びが可能。ワークショップ開催に適した屋外スペースが完備されている。

自然保護区の制定で誰もいなくなった村には、2階建ての建物が1軒だけあり、2階は教会、1階はホールとなっているので宿泊スペースとして利用可能。この地域でキリスト教が普及していたことが分かる。キオノップ村から約2時間のトレッキングでムンバイ山にいくことができる。ムンバイ山には昔、体毛の長い(?)首狩り族が生活していて、現在彼らの住居の痕跡が見られる。

ソルトトレイル Youth & Salt Tra i l

キオノップ

ティコロッド

05 |塩の道ソルトトレイル

州都コタキナバルから近い位置にある。南シナ海とコタキナバルを一望できるスポットがあり、夕方には夕日が、夜になると街の光がきらきら輝き、朝はキナバル山からの日の出が綺麗である。宿泊施設も充実していて、1棟にダブルベット・シングルベットの部屋が計7部屋(全4棟)、温水シャワー、トイレ、キッチンが備わっている。

ブアイヤン-イノボン間のトレッキングルートは、山の稜線をたどるコース。川渡は1回だけの歩きやすい道。途中、野鳥を眺めたり、景色の良い丘を駆け下りたり、起伏に富んでいて楽しい。

宿泊施設としてコミュニティーホールとサバパークのオフィスがあるのに加えて4家庭がホームステイを行っている。村人同士の絆が深く、陽気で暖かく、シャイな人達で、観光客に対しても優しく接してくれるのが特徴である。

塩 の 道

を一望できる輝き、朝はキ1棟にダブルャワー、トイ

山の稜い道。途り、起伏

イノボン

ブアイヤン

トケコム Vol. 4 | 06

ト レ イ ル ガ イ ド の 若 者 た ち

ぼくたちが安全にジャングルで活動できるのは、すべて彼らのおかげです

ネリウス N

erius Sipanis

ガイド頭のネリウスは、10人兄弟の

7人目、26歳。美しい奥さんと2歳

になる子どもと暮らしています。父

アルバートさん、母マチルダさん、

兄レイモンドさんとともに、DIS

SOLVAの活動を支えてきまし

た。とても優しく、頼りになるリー

ダー。

ジェイコブ Jacob Jaim

is

父ジャミスさんは郡庁の土木課で働

き、母ジェベニアさんはブアイヤン

小学校の先生。長男で、下にはヴィ

ナンシーとジェロームという幼い弟

妹がいます。町の中学校中退、反抗

期を経て、今は頼れるガイドとなっ

た17歳。ボボちゃんの愛称で呼ばれ、

みんなの一番の人気者でした。

ブルーノ B

runo Julius

母アイリーンさん、父ジュリウスさ

ん、弟ジョシュアとともに暮らす、

高校を卒業したばかりの18歳。昨年

交通事故で亡くなった兄ケントの

遺志を継いで、村の電気の安定供

給に貢献すべく、地元NPO組織

Tonibung

で水流発電機の技術を学

んでいます。

07 |塩の道ソルトトレイル

Youth & Salt Tra i l

ジャクソン Jackson John

村長さんの息子で7人兄弟の6人

目。22歳。とてもシャイな性格です

が、DISSOLVAのガイド役を

するのは2回目。少しずつコミュニ

ケーションが、積極的になりました。

来年は、OISCA(日本に拠点を

置くNGO組織)の人材育成研修に

参加したいと考えています。

ダニエル D

aniel Lompoduk

兄ルーカスとともに、ご高齢のお母

さんを支えながら、農業を営んで暮

らしています。27歳。村のサッカー

場に隣接する家には、いつも若者た

ちが集い、にぎやかで穏やかな雰囲

気で、ブアイヤン村を盛り上げてい

ます。トレッキング中は、いつも学

生の安全に気を配ってくれました。

ジェイムズ Jam

es Johnius

隣村ポンゴボノンの30歳。サバパー

クでも信頼が厚く、DISSOLV

Aのガイドも3年連続で務め、いつ

もくるくると動き回りながら、他人

の何倍もの仕事をこなします。伯

母アンジェリンさんが病気のため、

ホームステイの面倒もみてくれまし

た。

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トケコム Vol. 4 | 08

ジュリウスさん宅保育園

生物文化遺産の家

アンジェリンさん宅

マランタイ橋トンギライさん宅

SikulBridge

MarantaiBridge

SK Buayan

NurseryMr JuliusMrs AngelineMrs Tongilai

Bio-Budaya

Ja lan- ja lan Kg. Buayan

ジャラン ジャランラブアイヤン村散歩村

09 |ブアイヤン村歴史散歩

ゴルンパンさん宅

教会

公園管理事務所 村長さん宅

シクル橋

Mr GorumpangMr Marius Church

Budu

KetuaKampung

Sabah ParkControl Post

ブアイヤン小学校

トケコム Vol. 4 | 10

生 き 抜 く す べ を 次 世 代 に

トンギライさん 

Tongilai Modilung

「戦争のころは、まだ子どもだったの

で、ほとんど覚えていません。姉(リ

ンギさん)のほうがよく知っています。

たしか一時期、6人の中国人が我家で

寝食を共にして生活していました。そ

の人たちが朝早くに出ていった日、日

本人がその後やってきたと思います。

日本人達は食料や衣料を我々から奪っ

ていきました。日本人がやって来る

と、彼らは田んぼの稲を倒して寝床と

して使っていました。彼らはタピオカ

を奪い、料理して食しました。その上、

我々は彼らが話す言語を理解すること

ができなく、ギナグ氏が彼らのガイド

をしていましたが、彼も日本語を理解

していませんでした。彼もこの村出身

なので、ボディランゲージを使って彼

らとコミュニケーションをとっていま

した。」

リンギさん 

Linggui Lunduan

「私はその話を私の舅から聞きました。

当時日本人が6人やってきたと言いま

す。当時、彼の家には米など食べるも

のがなく、タピオカだけを食べて生活

していたので、彼はその日本人達にタ

ピオカやタロイモを夕食として料理し

食べさせました。早朝になると、彼は

水田を荒らす猿を見張る必要がありま

した。というのも、当時は多くの猿が

水田を荒らしていて、それらを追い払

う道具を持ち合わせていなかったから

です。彼が家に戻ると日本人はすでに

家を立ち去っていて、彼の寝床のマッ

トなどがなくなっていました。彼は、

すぐさま日本人を追いかけ、ドルンガ

ン村で見つけることができました。し

かし、突然、日本人達は銃口をつきつ

けてきました。そのため、彼は怯えそ

の場を立ち去ったと言っていました。」

ゴルンパンさん 

Gorum

pang Matanggim

「3人の日本人がこの村にやってきた

ことがありました。私の父が彼らを連

れてきて、日本人達は小屋の床や屋根

を作るのにシリャウ(竹を観音開きに

開いて板にしたもの)を使っていまし

た。そして、彼らはしばらくの間(数

年)滞在していました。米や野菜は自

分達で栽培していました。しかし、結

局テリヤン村と

ティク村の村人がこ

のことをイギリス人に知らせてしまい

ました。そこには7人の村人がいて

ポーリムとロンタイともう一人の男性

が日本人を連れ去ってしまいました。

当時は、私はまだ若く、日本人がイギ

リス人に代わってしまったことを知っ

てとても悲しくなりました。私は3人

の日本人のことが好きで、名前はヤプ

ク、トゥサン、ユンキムと呼び親しく

しました、3人とも男性でした。」

Q 戦争の記憶を教えてください。

11 |ブアイヤン村歴史散歩

村長ジョンさん 

KK

John Sobitang

「あのこんもりとした山はBudu

とい

う昔の人々が土を運んで作った築山で

す。かつてこのウルパパール地域に住

む村人たちは日々、村の間で紛争を繰

り広げていました。ある日、ブアイヤ

ン村の人々は他の村が攻めてくるとい

う知らせを聞き、村から離れることを

決心しました。そのため、村人達は敵

から自分たちの財産を何とかして隠す

ことにし、逃げる前に、大きな穴を

掘って、米、ゴング、タジャウ(大き

な壺)を埋めました。ある人たちは、

このBudu

が私たちを守ってくれたと

言います。ある日、私と兄がBudu

言い伝えが本当かどうか確かめるた

め、掘り返そうとしたら、大雨と雷が

降りました。私たちは怖くなって、土

を埋め返し、それ以来、Budu

には手

を触れていません。」

ドーリアさん 

Dolia D

ingguon

「踊る動物の話はお年寄りから聞きま

した。米の収穫期に起きた出来事です。

二つの家で、収穫後に、みんなでタパ

イを飲んでいました。ゴングを鳴ら

し、ある人は猫を抱いて踊り、またあ

る人は飼っている猿を連れてきて一緒

に踊らせました。その光景を見た人は

みんな幸せな気持ちになり笑いました

が、そのうち猫と猿は勝手に踊り始め、

人々は驚いてしまいました。この時

に、みんなに加わろうとしない変わっ

た男が、突然猫や猿のダンスを止める

ように忠告してきたのです。もしやめ

ないのなら悪いことが起きるかもしれ

ないと。すると突然雷雨がふり、大き

な耳を持った巨人が家の屋根の上に現

れ、ゆっくりと家の一つを土の中に埋

もれさせ、もうひとつの家を大量の虫

で覆ってしまったと言います。」

Ja lan- ja lan Kg. Buayan

Q 村の民話を聞かせてください。

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トケコム Vol. 4 | 12

みんなの生物文化遺産の家

DISSOLVAで建設作業をつづけてきた生物文化遺産

の家。昨年・一昨年の活動の中では、建物の骨組み作り、竹

の階段、舞台客席作り、トイレの建設、壁の左官、竹編み、キッ

チンの回転扉枠、丸太の階段の作成など、様々な作業に携わっ

てきました。そして、村人の手に渡せるまで完成させること

ができました。しかし、それにもかかわらず、この建物がそ

の後ほとんど使われていなかったことが分かり、原因を考え

ました。生物文化遺産の家は、国立公園内にあるこの地域の

持つ生物多様性や、伝統的ライフスタイルの重要性を、ブア

イヤン村を訪れる外部の人間に伝え、村人自身の自覚、再認

識を促すという役割を持っています。この建物には、この建

物の設計者のエディンバラ大学建築学科の学生やこの計画に

協力してきた建築事務所アーキトレック、ブアイヤン村で長

年活動してきた

のGDF、そして私たちDISSO

LVAによる、「この村が持つ大事なものを守りたい」とい

う想いが込められていました。でも、村の方々の好むデザイ

ンが本当に反映されていたか? 

といえば、まだまだだった

のです。今回は村のみなさんが建物を利用しながら足りない

ところを付けたし改良していくという試みの中で、ベランダ

部分への手すりの設置、雨漏りがしないように軒の屋根の延

長、キッチンの流しの設置、簡略化したデザインの竹編みを

施した扉の設置などを行いました。

伝統を発信する場

Bio -budaya & wood block pr ints

人気アーティストもお手伝い

ブアイヤン村での滞在も最後の頃、マレーシア・サバ州で

人気急上昇中の木版画アーティストのパンクロックスラップ

のメンバーが、やってきました。村の方々や、私たち学生に

木版画の指導をしてくれるということなのです。思い出せば、

小学校の頃に図工の時間に経験した木版画。なにか懐かしい

ような新しくてわくわくするような、不思議な期待感を持っ

て、パンクロックスラップ一行を迎えました。6月のキナバ

ル山地震が発生した際にも、サバの人々の災害時の結束を願

うメッセージを込めた壁画を作成して注目を浴びたアーティ

ストです。ブアイヤン村へは、今後計画が進むかもしれない

カイドゥアンダム建設に対して、村の方々が自分たちのメッ

セージを版画にして発信できるよう、お手伝いをしにやって

きました。私たちも、「自然を守りたい」とか、「ブアイヤン

村を愛している」などという、素直な気持ちをまずデザイン

画に描いて、それからアーティストさんに指導してもらいな

がら、木の板に転写し、そして日本から持ってきた彫刻刀で

一生懸命、丁寧に掘り出しました。夕方までには、なんとか

皆完成させることができて、画用紙に印刷しました。村のみ

なさんは

シャツに印刷し、自分だけのオリジナル

シャ

ツをつくって喜んでいました。私たちも日本に帰ってから、

シャツに刷ってみることにしました。

写真右上から:①生物文化遺産の家/②手すりを設置/③左官作業/④な

たで竹を割く/⑤回転式の大きな扉窓

13 |版画と生物文化遺産の家

トケコム Vol. 4 | 14

世 界 の 人 た ち に 知 っ て ほ し い

村の男性はみなプロの大工。自分の家も村の公共建築も仲間と一緒につくります。

マリウス M

arius Limaat

大工頭のマリウスさんは、やさしい

妻マリアさんとの間に2男と2女を

持つ36歳のお父さん。サバパーク管

理事務所で働いた後、家族とともに

暮らしたいと最近村に戻りました。

DISSOLVAの活動に、高い意

識をもって参加し、若者をリードし

てくれました。

スティーブン S

tephen Gorum

pang

ブアイヤンプロパーと呼ばれる、古

来から人々が居住していた奥地の地

区に、歴史インタヴューに応えてく

れたご高齢のお父さんと暮らす30

歳。とても明るく、世話好きで、料

理も得意。大工仕事も、狩猟採集活

動でも、愉しく盛り上げながら働い

てくれました。

ジェリー Jerry B

ugiad

ブアイヤン村のムニニンバルと呼ば

れるパパール川を渡った向こう岸の

地域で暮らす30歳。最近、オートバ

イを購入し、生物文化遺産の家まで、

エンジン音を唸らせながら原っぱを

横切ってやって来ます。サッカーで

は、いつもゴールキーパーとして、

体当たりのプレーで大活躍。

Bio -budaya & wood block pr ints

人気アーチストと版画制作

Arkitrek 建築家フィルザ Filzah

ルーカスLukas Lompoduk

P a n g r o k S u l a p

アレックスさん Mr Alex

ピーターさん Mr Peter

15 |版画と生物文化遺産の家

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トケコム Vol. 4 | 16

家族がつどう場所

ジェロラインさん Jeroline

ボーイフレンドのサラワク大学講師クリスさんと一緒に数日間里帰りし、食事の用意や学生のお世話をしてくれました。普段は町で看護士の仕事をしています。

アレッキサンダー&アンジェラ夫妻の家族母アンジェラさん Mrs Angela

とても穏やかな方で、来客をとても温かく迎えて下さり、常に気にかけて下さる優しいお母さんです。料理が大好きで、いつも新しい料理法を考案してくれます。

Buayan fami l iesジョン&ヘレナ夫妻の家族

父ジョンさん 

Mr John S

obitang

慣習法上の村長(Ketua Kam

pung

で、この一帯の自然保護区の管理

官。サバ州国立公園局Sabah Parks

の事務所でクロッカー山脈自然保

護区の管理・ガイド・取締りの仕

事をしています。今年は、村内の

歴史や民話に関係する場所へとぼ

くたちを案内してくれて、村の宝

物が埋まったBudu

にまつわる話

をしてくれました(前掲)。

母ヒルダさん 

Mrs H

ilda

8月は田植えなど農作業の忙し

い季節。野菜や鶏を提供してくれ

ました。

パトリシア P

atricia John

7人兄弟の4番目、26歳。ブア

イヤン村の小さな日用品販売店を

管理しています。今年はTOMU

YAの若者たちが中心となって運

営する、狩猟採集活動のリーダー

を務めてくれました。野菜を調達

するだけでなく、他の活動指導員

の手配、お給料の支払いなど、事

務的な仕事をすべてこなし、会計

処理方法についても積極的に学ん

でくれました。数珠玉アクセサ

リーワークショップの指導もして

くれました。今後は、村の女性が

つくる特産品事業を展開していき

たいと考えています。

アンジェリーンさんの家族

ジャムシィ(プテゥ) 

Jamsy (P

utu)

ホームステイ宅を提供して下

さった母アンジェリーンさんは病

気で町の病院に入院していまし

た。兄たちも進学のため街に出て

家におらず、ひとりで暮らすプ

テゥがホームステイの主として頑

張らなければなりませんでした。

まだ14歳。応援に駆け付けてくれ

た、隣村の従兄ジェイムズ(前

掲)、同じく隣村ポンゴボノンの

ムーラン(16歳)、そして姉代わ

りの岩﨑さんが、食事の準備など

を手伝ってくれました。

ふだんから、相互扶助が成り

立っているブアイヤン村なので、

アンジェリーンやお兄さん達がい

なくても近所の若者やお母さん達

が手伝いにきたりと、常に助けて

もらって生活しています。今年

は、岩﨑さんの采配で、生物文化

遺産の家の建築作業に関わってく

れた大工の若者たちに、昼食を振

る舞ったり、夕方にはお酒のタパ

イを振る舞ったり。そのおかげで、

学生たちと若者たちとの交流も自

然と増えました。アンジェリーン

さん不在の中でも、力を合わせて、

上手にホームステイを運営。

17 |ブアイヤン村の家族たち

トケコム Vol. 4 | 18

ジャミス&

 

ジェベニア夫妻の家族

父ジャミスさん 

Mr Jam

is

ピナンパン郡役所で公務員をし

ていて、村には週末に戻ってきま

す。四輪駆動車で、町に出かける

人を送迎したりしてもいます。私

たちに気を配り、家の回りの修理

修繕をしてくれました。

母ジェベニアさん 

Mrs Z

aebenia

ブアイヤン村出身の小学校の先

生で、低学年の子供たちにマレー

語を教えています。2年前に交通

事故で娘さんを亡くし、今回ご一

緒にお墓参りした際には涙ぐんで

おられました。 

ジェイコブ 

Jacob

今年は若者のリーダーとしてた

くさん活動に関わってくれました

(前掲)。お父さんの車も運転でき

るようになった様子。

ジァスリンダ&ケヴィン

 

Jaslinda & K

evin

町で寄宿生活をする中学生。最

後の晩にサヨナラを言いに町から

戻ってきてくれました。

ヴィナンシ―&ジェローム

 

Venancy &

Jerome

小学生。熱心に宿題をしていま

した。相変らず陽気な元気印な二

人です。

ルーカス&ダニエルの家族

兄ルーカス 

Lukas

一時期、シンガポールで働いた

後、村に戻り、充電期間を楽し

んでいます。 

いつも彼の家には、

村の若者たちが安らぎをもとめて

集まり、おしゃべりをしたり、サッ

カーをしたり、タパイというお酒

を飲んだり、楽しんでいきます。

私たちも、最後のお別れパティー

の際に歌うW

inding Road

という

アカペラの歌を、若者たちを交え

て、練習するために彼の家に集ま

りました。お騒がせして、ごめん

なさいと謝ると、「歌声を聴いて、

いつも真っ暗なぼくの心に、光が

射したようだった。どうもありが

とう」と反対に感謝されました。

みんなに慕われるルーカスさんの

人柄が垣間見られました。ムンバ

イ山の案内や、生物文化遺産の家

の建築でも貢献してくれました。

弟ダニエル 

Daniel

兄ルーカスとともに、ご高齢の

お母さんを支えて暮らしていま

す。優しい性格のダニエルさんは、

仲間のサポートが上手で、チー

ムワークのサッカーもゴールキー

パーとしてみんなを支えます。愛

称は、アニール。自分がプレイし

ていない時も、いつも家のベラン

ダから、みんなを見守ります。3

年連続で全行程のサポートをして

くれました(前掲)。

ジュリウス&

 

アイリン夫妻の家族

父ジュリウスさん  

Mr Julius

ブアイヤン村の司祭で、今年も

全般的に関わってくれました。冗

談が大好きで、言葉が通じなくて

も笑いが絶えません。愉快にもて

なしてくれました。

母アイリンさん 

Mrs Irene

同じく村の司祭で、村への来訪

者受入担当。また、幼稚園の先生

も担っていて、毎日とても忙しく

しています。ホームステイの受入

態勢づくりも、村の中心となって

進め、満足度百%の体験と生活環

境を用意してくれました。

ブルーノ 

Bruno

町の高校を卒業し、村に戻りま

した。今回はジェイコブととも

に、お祭りやサッカーのコーディ

ネート、トレッキングや狩猟採集

で大活躍してくれました(前掲)。

ジェシカ 

Jessyca

町で看護の勉強をしています。

今回は後半参加して、料理を手

伝ったり、ガヤ島や町での見学ツ

アーで活躍してくれました。

ジョシュア 

Joshua

ブアイヤン村の小学生。とても

賢くセンスのいいジョシュアは、

写真やビデオの撮影の手伝いで大

活躍。宙返りが得意です。

レイモンド&

 

クリスティナの家族

父アルバートさん  

Mr A

lbert

JKKK(村落安全開発委員会)

の委員長で行政上の村長のような

役割を担っています。私たちの滞

在中は作業現場の事前手配をやっ

てくれたりしました。

母マチルダさん  

Mrs M

atilda

 

慣習上の村長の姉で、行政上

の村長の妻。たぶん村一番の有力

者で、村の女神のような存在でし

た。ご病気の中、昨年の約束通り、

トンクゴンワークショップを大勢

のお孫さん達と開催してください

ました。11月に永眠されました。

心よりご冥福を祈ります。

レイモンド&クリスティナ

 

Raym

ond & K

ristina

婚約者クリスティナとともに次

世代を担う村の若者の代表格。今

年は新しく郡役場に就職して忙し

い中、事前手配のほうで活躍して

くださいました。

ネリウス 

Nerius

ガイド頭として大活躍(前掲)。

アン&ファタ 

Anne &

Kairul-Fattah

サラワク大学の友人でカメラマ

ンのファタと一緒に参加してくれ

ました。マチルダさんのワーク

ショップを手伝ってくれました。

ジブライアン 

Gibrian

たくましい陸上選手の17歳。

19 |ブアイヤン村の家族たち

Buayan fami l ies

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トケコム Vol. 4 | 20

マフアの滝・ティコロッドとキオノップ村滞在Trekking to Kampung Kionop p.24~29

チーム成長の 全記録

ブアイヤン村滞在の12日間12 days in Kampung Buayan p.30~35

イノボン・コタキナバルにてComing back to Kota Kinabalu p.36~37

大学祭Making Asian Noodles at the fete p.40~41

DISSOLVA

出発までの準備&八ヶ岳合宿Preparing for the journey p.22~23

21 |チーム成長の全記録

支援物資回収

7月8日から一週間、本校にて例年行っている村

の子どもたちへの支援物資の回収を行いました。昼

休みやメンバーの空きコマの時間を使い、交代で受

付を担当しました。支援物資回収は事前にチラシ配

布を通して告知してきたものの「異国の子どもたち

に贈るのにこれは使われるだろうか。」などと戸惑

ってしまう方もいらっしゃるのではないか、なかな

か集まらないのではないか、と心配な点もありまし

たが、実際は

盤ハーモニカや筆記用具など子ども

たちが日常的に利用する物資が寄付され、物資をい

ただくたびに村の子どもたちが喜んでいる姿を見ら

れる期待が高まりました。回収された物資は渡航前

にDISSOLVAメンバーで段ボールに梱包し、

村までは車で運びました。因みに過去に寄付された

物資は現地できちんと利用されています。特にサッ

カーボールは人気で、年齢に関係なく村人全員がサ

ッカーを楽しんでいます。後ほど述べるように現地

ではDISSOLVAメンバーとのサッカーゲーム

が連日のように行われました。今年いただいた支援

物資もきっと活躍していることでしょう。また、今

年は支援物資回収と並行してDISSOLVAの過

去の活動を記録した映像を流したり、メンバーとも

交流のあるサラワク大学生カメラマン・カエラルフ

ァタ君の写真を展示したりしました。

事前準備

トケコム Vol. 4 | 22

八ヶ岳トレッキング合宿

現地では行きで7時間、帰りで9時間のトレッ

キングを行うため、事前に体力をつけることと登

山に慣れておくことは不可欠でした。6月後半よ

りD-hike

と呼んでいる毎年恒例の八ヶ岳トレッキ

ングを行いました。山小屋(根石山荘)での泊まり

込みのD

-hike

はトレッキングの訓練は勿論ですが

メンバーとの交流の機会でもあり、夜はくつろぎな

がらDISSOLVAの活動について話し合うなど、

学校とは異なる環境だからこそ生まれるチームワー

クを構築でき、現地でのハードなトレッキングを乗

り越える結束感が生まれました。ボルネオでのトレ

ッキング初日は八ヶ岳トレッキングには無かった川

渡りもあり、覚悟はしていたものの体力的にも精神

的にも相当に消耗するトレッキングでしたが、辛い

ときは我慢しすぎず気軽に声を掛け合い励まし合い

ながら進むことができました。また、現地はぬかる

んだ道が何時間も続いたため、雨天決行のD

-hike

は良い訓練になりました。

八ヶ岳

写真右上から①展示の作業をする長谷川さんと北村さん/②写真

家カイラルファタさん/③目白キャンパス学生ホールで。右から

内記さん、福田さん、長谷川さん/④支援物資を梱包する内記さ

ん、高見沢さん/⑤茅野の畑の間より八ヶ岳遠景/⑥夏沢鉱泉で

カレーライス/⑦苔むした森の中をトレッキング

23 |チーム成長の全記録

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マフアの滝&

ティコロッド村

トケコム Vol. 4 | 24

ボルネオ島到着の翌日から村の若者たちと

の交流が始まりました。ホテルから2時間ほ

ど車に揺られてマフアの滝を訪れました。こ

こは観光地となっており整備が行き届いてい

る場所でした。近くにはレストランがあり、

私たちは初めて現地の食事を頂きました。

成田出発    

 

ボルネオへ  

その後向かったティコロッド村では村の

伝統的な楽器の作り方を習い、笛の演奏を

体験しました。伝統的な楽器は主に竹から

作られます。日本の平安時代の楽器も、琴

や笙など竹を使った楽器が様々思い浮かび

ます。私たちがアジアという枠組みでひと

つであり、国境は人為的なものにすぎない

という当たり前のことを自覚した経験でし

た。その夜は村の簡易宿泊施設で、若者た

ちが作った夕食を食べ、星やホタルを眺め

て過ごしました。到着日は中心地に近いホ

テルでの宿泊だったので、ティコロッド宿

泊から異国での生活が始まる実感が湧きま

した。

泊か

異国での生活が始まる実感が湧きま

した。

25 |チーム成長の全記録

生物多様性に包まれて

長く暗い鬱蒼とした森を抜けたところから突然突き

抜けるような青空とともに現れたのがキオノップ村で

した。その光景は7時間のトレッキングで疲れ切った

私たちに安堵と解放感をもたらしてくれました。キオ

ノップ村には現在住民はいませんが教会やわずかな家

屋が残っており、そこに人々の暮らしがあったことが

窺えます。すっぽり自然に覆われた土地で電気は通ら

ず、メンバーは日本からはずっと遠いところまで来て

しまったという思いを抱え、初日は気持ちが落ち着か

ないものでした。また、この日は8月15日で日本でい

えば終戦記念日でした。その夜にDISSOLVAメ

ンバーや現地ガイドの方と戦争や平和について意見を

交換しました。ボルネオ島は日本軍が上陸した土地で

もあります。そこで日本人である私たちが戦争を考え

ることは現地の方にとっても私たちにとっても意味の

あることでした。日本にいると原爆などの被害を受け

た敗戦国日本から見た戦争を語りがちです。また、た

いてい戦争を経験していない世代である「私」として

の立場から主張せざるをえません。しかし、そのとき

のメンバーの意見は直接的な当事者ではないものの一

人の日本人として戦争責任を考えていました。それは

ほとんどのメンバーにとっては初めての経験であり、

自分たちの未来を考えてゆくうえでためになるもの

だったでしょう。

自然に囲まれた静謐な佇まい

キオノップ村

トケコム Vol. 4 | 26

必要なものはすべて手作り

キオノップ教会に一晩泊まった翌朝には教会でのお

祈りとともに学習院の学生たちで作った千羽鶴を捧げ

ました。そして村の若者には村の方から日本が終戦記

念日であったことが説明されました。彼らにとっても

同様に平和について考えるきっかけになったことと思

います。お祈りのあとは村の若者たちとの交流を兼ね

てグループワークを行いました。村の若者とともに竹

を採りにいくチーム、教会の看板を創るチーム、果物

の木を目印に食材を探しに行くチームに分かれ、それ

ぞれのアクティビティに取り組みました。山から採っ

てきた竹を使って村の若者たちは水場の土台をつくっ

たり、教会の看板をつくるチームのために細い竹で筆

をつくってくれました。村の人はこのように必要なも

のを手元にあるもので簡単に作り出してしまいます。

彼らの器用さや知恵には驚かされました。日本人は必

要なものは何も考えずに金銭で簡単に手に入れること

が出来ます。しかし、彼らの場合、物を買うというこ

とは村から離れた町でしかできないことなのです。必

要なものは少し工夫して作ってしまえばいいのです。

日本人は急かされて生きている分、そのような時間は

持てず、金銭による時短は不可欠です。でも日本の古

くからの技術を現代に活かすことを考えても、わずか

な材料で少しの工夫をして生きるということにもう少

し目を向けても良いのかもしれません。

27 |チーム成長の全記録

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果物の木が目印

夜は村の若者が現地の伝統的なスマザオダンスを伝

統的な楽器であるゴングとともに踊って見せてくれま

した。ゴングは銅製の丸い楽器を太い木の棒でたたく

一見単純な奏法ですがリズムが独特で難しく、私たち

も挑戦したのですが彼らに認められるような演奏をで

きた人はいませんでした。キオノップ教会にもう一泊

した翌朝、急峻な丘を越えて、ムンバイトギトン山に

登りました。かつてまだ首狩りの風習が実際に行われ

ていた時代には、外敵から身を潜めて、山の上に集落

があったと言い伝えられています。今は山頂は鬱蒼と

した森になっていて、人が住んでいたとは思えません。

ただ、マンゴーの木など、何本も生えている果樹が、

昔ここに人が住んでいたことを証拠立てています。

地に足がつく体験

キオノップ村の生活は朝日や鳥の鳴き声とともに起

き、食材を採集し食事をすることが中心に回っていま

した。これは非常に単調に思えるかも知れません。し

かし、先述のようにそこで何か必要なものがあれば

作ったり、天候の変化の激しい空のもと狩猟採集に出

かけるのです。衣食住ひとつひとつの行動の密度が非

常に高く、これを単調と呼ぶことはできないでしょう。

そして、常に足が地についていて着実な日々を送って

一彫り

一筆に

心込めて

トケコム Vol. 4 | 28

います。私たちはインスタント食品があれば食事は準

備を含めて数分で済んでしまいます。午後も忙しいか

ら昼食はコンビニ、移動中も次の仕事、明日の準備で

頭がいっぱいなことも多いでしょう。もしかしたら、

せっかくの食事の時間だって同じようなことを考えて

いっぱいいっぱいだったかもしれません。私たちは急

ぎ過ぎたり、逆に考えすぎて過去に執着したりして足

が地から浮いていると言っていいのかもしれません。

地に足をつけ、感情と現実をすり合わせることで多く

の気づきがあるのではないか、そんな思いを起こさせ

た滞在でした。

29 |チーム成長の全記録

自然と調和した生活

12

日間滞在したブアイヤン村はクロッカー山脈自然保護区に

隣接する国立公園内のパパール川流域に位置し、キオノップ村か

ら3時間ほどトレッキングしたところにあります。

にキリスト教が布教されたといわれ、日曜日のお祈りはとり行わ

れますが、人々やその暮らし、思想などに強い宗教色は見られま

せん。また、農業においては稲、タピオカ、野菜などの輪作を行

います。実際、村人に会ってみると、村を囲う自然と調和してシ

ンプルにしなやかに生きてきたという印象を受けました。

到着は昼となり食事のあとはゆったりと過ごしました。夜は毎

年ホームステイ先にしていただいているアンジェラさん宅で歓迎

パーティーを開いてくださりました。パーティーの料理は魚や醤

油の味付けで日本人の口に合うものでした。村に滞在中の食事は

日本食のようでありながらも現地でしか食べられないようなイノ

シシのお肉などがおうちの方から振る舞われ、毎日3食ともおい

しく沢山いただき、食事においても心に残る時間でした。私たち

も食材の狩猟採集や調理にも携わりましたが、日本ではパッケー

ジ詰めされて商品としか見なされないような食材が、本来は生き

た動物や植物であることが実感され、食べ物のありがたみ、そし

て「いただきます」という日本語の重みやすばらしさを知ること

ができました。アンジェラさん宅でのパーティーのあと外に出る

と空一面に星が広がっていました。それから滞在最終日の朝まで

天候のせいで星を見られなかったことを思うと、あのとき私たち

を歓迎してくれていたのではないかと思ってしまいます。

「いただきます」の重みを知る

ブアイヤン村

トケコム Vol. 4 | 30

異文化に興味を抱く大切さ

翌日は村長さんが村の案内をしてくださり、村を周りながらそ

の地に伝わる物語や歴史を教えてくださりました。そのひとつに

ブアイヤン村では動物を躍らせると祟りが起きるという伝承があ

ります。昔、酔っぱらった男たちがふざけて自分の手で猫や猿の

手足を動かしていると動物は自ら踊りだし、それを祟りのサイン

だと忠告した男を無視したところ、酔っぱらい達のいた家が巨人

によって埋められてしまったというものです。このようにユニー

クな伝承が数多く存在します。また、伝承だけでなく、第二次世

界大戦中に兵士がやってきた話などもオーラルヒストリーの形式

で伝えられています。私たちも数軒の方から戦時中の話を伺い、

様々な出来事が存在したことがわかりました。しかし、これら伝

承と歴史は口頭で伝えられ文字による記録が残されていないこと

から風化や記憶違いによる話の歪曲の恐れがあります。そのた

め、これからは村の若者が主体となってそれらの歴史などを知り

記録することが重要です。それには若者が村の歴史や伝統に興味

を抱き、誇りを持たなくてはなりません。そのためにも私たちが

村長さんから村の話を興味深く聞く機会というのは大切です。な

ぜなら村の若者が私たちが興味を持って村のことを知る姿を目に

し、村の人間以外が村の歴史などに興味を持っていることを知る

ことは結果的に彼らが村の伝統に目を向けるきっかけとなるから

です。このように私たちが異文化を経験しながらも村の若者も過

去という異文化に触れる機会になりました。

写真右から①ブアイヤン村の朝もや/②木版画Tシャツ「ダム建設はうそうそ」

/③リニギさん/④田植えの済んだ水田。

31 |チーム成長の全記録

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村のニーズにあった発表

ブアイヤン村では鳥の鳴き声とともに起き、村の若者との狩猟

採集のあと食事をするパターンはキオノップと変わりませんでし

たが、加えてこのプロジェクトで毎年行っていた「生物文化遺産

の家」の建設作業、村の事業に関する具体案の発表準備などを行

いました。「生物文化遺産の家」は村のコミュニティーホールで、

年目から建築に着手し、村の方々と協力し

て今年完成させたものです。村の伝統的な家づくりでは欠かせな

い竹を主に使い、村の雰囲気に馴染むデザインです。毎年異なる

プログラムが多い中、2年前から受け継いで取り組んできたの

で、

メンバーにとっては集大成のようなもの

です。今回の工程が完了したときはメンバーの顔に達成感があり

ました。日曜日には伝統的な楽器であるゴングを演奏したり、私

たちが準備してきた村の運営における事業の提案を発表したりし

ました。提案はいくつか用意し、①村で採れる果物タラップをお

酒に漬けたタラップリカーの販売、②タラップリカーのボトルの

ラベル貼付について、③村の植物(数珠)を乾燥させて作ったビー

ズによるアクセサリー作りのワークショップや商品の販売、④ス

マートフォンによる会計管理の方法、⑤ネットを使った商品のデ

リバリー、⑥村を含んだ地域周辺のマップ作り、⑦村の伝承や歴

史をまとめた本の作成を提案し発表しました。村の方が特に興味

を持ってくださったのは村の歴史をまとめた挿絵や写真入りの本

の作成です。現在は村中に逸話や歴史が風化しないように、伝承

の民話を集めて文章にし始めている段階にあります。今回の本の

提案は村の方のニーズに合ったものでした。

雰囲気になじむ伝統的でモダンなデザイン

トケコム Vol. 4 | 32

日本の琴に似た形の楽器

先述の発表のタラップリカーづくりと植物によるアクセサリー

作りも行いました。タラップリカーの工程はシンプルです。村

で採れるタラップという植物を

㎖ボトルに半分ほど詰め、

果実酒を残り半分ほど加えたらあとは2、3か月おいておくと完

成です。お酒が大好きな村の方には手軽に作れて魅力的だったよ

うです。その日の午後に行ったアクセサリーづくりは基本的なこ

とから始まります。ビーズができる植物(数珠)を乾燥させたも

のを集め、茎から数珠玉を取ります。数珠玉は、よく見ると、す

でに穴が二つ空いていて糸が通せる状態になっています。糸を通

して完成です。通し方を知っていればブレスレットでも複雑なデ

ザインにすることができます。さらに数珠玉の色の違いを生かせ

ばより素敵なアクセサリーを作ることができます。翌日の午後に

は、昨年素敵な音色を奏でてくださったマチルダさんの指導で村

の伝統楽器であるトンクゴン作りも経験しました。竹にナイフで

切れ目を2本ずつ入れ糸のようになった部分に正方形の木片を入

れて弦を作ります。最終的に日本の琴に似た形になります。繊細

な作業ですこし集中力が途切れると竹に切れ目を入れすぎたり、

音を正確にだせなかったりします。指導してくださったマチルダ

さんが竹をじっと見つめ集中して作業をしていた姿や作業を終え

て顔を上げた時に優しく微笑む姿が印象的でした。彼女の作った

トンクゴンの音色は美しくきめの細かいものでした。

写真右から①生物文化遺産の家で学生達の発表を見る子どもたち/②タラップの

実を開くと、白いライチのような粒の実が密集している。/③マリウスさんの赤

ちゃん。建築仕事を見守っていた。/④トンクゴンを竹から作り、音を奏でるマ

チルダさん。

33 |チーム成長の全記録

子どもたちも一緒にステージに

別の日には渡航前に収集した支援物資の贈呈のためにブ

アイヤン村の小学校と近くにあるティク村の幼稚園を訪問

したりました。ブアイヤン村の小学校はホームステイ先の

子どもたちの多くが通う小学校です。小学校は数年前に建

て替えられ、さらに今年は昨年まではなかったネーム入り

の制服を揃えて町の小学生と遜色ない姿となり、ここでも

村の変容が感じられました。支援物資を渡すと小学生たち

は順番に握手してくれ、そのあとは学習院の支援者のみな

さんにいただいたバトミントンや縄跳びなどで一緒に遊び

ました。私たちが行事を行うたびに子供たちは参加してく

れ、遊ぶ機会が多く、滞在中はメンバーも子供たちも名前

を覚えて呼び合うほどでした。さらに空き時間には毎日、

毎年恒例となったサッカーを楽しみ、日曜日には村の若者

メンバーでの対戦をしました。対戦

日に向けて両チームとも練習を重ねていたので、かなりの

村の方が観戦し大盛り上がりでした。この日はサッカーの

試合終了後に用意してきた事業の提案をわかりやすく伝え

るため、劇やマジックを行いました。村の若者も参加した

劇は子どもたちも笑ってくれ、最後にメンバーで披露した

ダンスも最後には子どもたちもステージに上がって一緒に

踊って楽しみました。

自分にもっと優しくなろう

トケコム Vol. 4 | 34

日常ではあり得ない心の動き

キオノップ村でも述べましたが、移動時間などの日本で

は取るに足らないようなことでさえ心に残ることがありま

した。道中で果物の木があれば村の若者が採ってくれて一

緒に食べたり、伝統的な一枚布のサロンを腰にも頭にも巻

いた女性がのどかな田園風景のなか稲作をしている姿を眺

めながら歩いたり、噛まれたら危険かもしれない虫にびく

びくしながら大木を横切ったり、立ち寄った家で家の方が

ベランダに招き入れてくださり採れたてのフルーツをごち

そうしてくださったり。思いがけない人との出会いや日常

ではあり得ない心の動きがあり、毎日定まったプログラム

以上のことがありました。日本にいるときも淡々と過ぎる

日なんてあるはずがないのに小さな変化に気付けないほど

あくせくしている自分にもっと優しくなろうと東京に戻っ

ても思えるほど、村の包容力は大きなものでした。私たち

の宿泊先は民家でしたが、そこのホームステイマザーをは

じめ、家族の方は心から優しく、家族には現地のドゥスン

語しか話さない方もいらっしゃいましたが、言語が通じ合

わないからと言って困ったりぎくしゃくしたりしたことは

ありませんでした。そんな村での別れ際は寂しいものでは

ありましたが、確実にパワーをもらって前向きに旅立つこ

とが出来ました。

写真右から①にわとりも一緒にサッカー。/②田んぼを耕すタンバヤン

さん。/③支援物資をもらう小学生たち。/④ブアイヤン小学校の教員

住宅は、周りの家とは違うプレハブ建築だ。

35 |チーム成長の全記録

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州都コタキナバルへ

村を離れた私たちの活動拠点は州都コタキナ

バルに移りました。村の雰囲気とは一転した都

会でも活動の目的は変わりません。村の若者た

ちとの観光客が多く集まる観光地を一緒に訪問

することで、村の観光ツーリズムを考えるきっ

かけを与え、若者主体の村の運営を目指す意図

がありました。トレッキングの後、イノボン村

に一泊したのですが、イノボンは比較的町に近

く、国立公園の宿泊施設には富裕層の観光客も

おり、コンクリートで舗装された道には街灯も

建っていました。ブアイヤン村で最低限のもの

で生活できていた私には久しぶりに見るオレン

ジ色に光る街灯に違和感を覚えました。私たち

にはイノボンでの一泊が村から街での生活に戻

る洗礼の儀式のようでした。翌朝は町の店から

オーダーした宅配の料理を食べました。メン

バーは長いこと日本人の口に合う村の料理を食

べてきたので久しぶりのジャンクフードのよう

な料理になかなかなじめませんでした。食事を

終えるとすぐにイノボンを離れ、久しぶりの車

でコタキナバルへ向かいました。

ガヤ島でトレッキング

最初に向かったガヤ島はコタキナバルの港か

人と車の行き交う中で││

    

村の未来を考える

トケコム Vol. 4 | 36

でした。別れの寂しい雰囲気の中、村の男の子

ジェイコブが突然誕生日ケーキを取り出しまし

た。どうやら彼の誕生日が近かったようで、最

後に私たちと祝おうとして街で買ってきたよう

です。ホテルの方に許可をいただき、みんなで

少し早い誕生日を祝いました。誕生日が近いと

はいえまだ日にちがあるのにも関わらず私たち

と祝おうとしてくれたことは村で築いた絆を感

じる出来事であり、彼の誕生日でしたが私たち

にとって素敵なサプライズでした。寂しさは

あったもののこうして心に残る思い出を残して

私たちは別れ、村の若者たちとの日々が終わり

ました。

ら水上ボートで15分のところにあり、美しい

ビーチが特徴でヨーロッパ系の観光客が目立つ

観光地でした。海辺のレストランにはアジア系

の観光客も多く、アジア系の女性のほとんど全

員か頭まで覆い顔の部分だけ空いた水着を身に

着け食事をしていました。彼女たちは当たり前

のこととして身に着けているかもしれません

が、その姿は普段は宗教というものへの意識の

薄い私たちには不思議なものでした。ガヤ島は

エメラルドビーチだけでなく観光客向けに整備

された山道で1時間ほどトレッキングを楽しめ

ます。私たちも村の若者たちと自然を見ながら

トレッキングしました。

普段、村と町を行き来するためのトレッキン

グは村の若者たちにしてみれば日常的なことで

す。しかしガヤ島でのトレッキング経験を通じ

て、それが観光客からみるとレジャーになると

いうことを知ってもらえば、村の経済を支える

活動として具体的に観光ツーリズムを考える

きっかけにもなります。このようにこの日は

として活動を行いつつ、メ

ンバーは村人との交流の最終日を楽しみまし

た。伝

統美術への誇り

サバ・アート・ギャラリーではボルネオを

テーマに画家だけでなく学生の描いた絵も数多

く展示販売されています。村の若者が伝統や美

術に誇りを持ち、それを商品化することで経済

活動の手段として考えていくきっかけになるの

ではないだろうかと考え訪問を企画しました。

ボルネオの自然に心打たれ、それを絵にしてい

るのが村の若者と同年代の若者であることも彼

らには刺激になったのではないでしょうか。村

の若者と話しながらゆっくりと絵を見て楽しむ

時間は私たちにとっても思い出に残りました。

最後の夜のサプライズ

その後はコタキナバルでのショッピングを楽

しみました。コタキナバルは世界的ブランドの

チェーン店や日本製の電化製品店が並び大量の

車が走る一方で、多くの地元の食料や衣装の

マーケットもあり、アジア独特の都市の風景が

見られました。ホテルのロビーが村人との別れ

写真右上から①コタキナバルのマーケット。村で自由に

採って食べていたフルーツが商品化されて売られていま

す。洋服も売られ、日用品の多くが手に入ります。/②サ

バ・アート・ミュージアムの作品。写真を撮ることができ

ます。絵は田園風景をモデルにしており、ブアイヤンの雰

囲気と似ています。

ました。

37 |チーム成長の全記録

東京にも近くあった山村の暮らし

私達はボルネオから帰国した10月に藤野を訪問しまし

た。神奈川県の北西端に位置している地域であり、近

年、相模原市に編入され、多くの芸術家を輩出している

ことで有名です。私達がここを選んだ理由は、トランジ

ションタウン運動が活発に行われているからです。「移

行」は英語で「

」と言います。ここで指す「移

行」とは、エネルギーを大量に消費する社会から、地域

の人々と密接に繋がり、協力し合う社会へと「移行」し

ていくことを意味しています。都会に住んでいる私達は、

物に溢れている日々を当たり前のように過ごしています。

しかし、このような社会に生活していると、ブアイヤン

村での経験や本当の豊かさを忘れてしまいがちです。日

本でも足元にある地域の恵みを享受し、地域の仲間と共

に地元の資源を使うことによって、無駄の少ない社会へ。

このような活動こそが、持続可能な社会の実現に対する

第一歩と言えるのではないでしょうか。

森の木の根に風を送り込む草の根運動

藤野では主にワークショップを行い、実際に体験し、

住民の方のお話を聞きました。初日は、森部のお手伝い

をさせていただきました。グループを2つに分けて、薪

割り体験をするチームと、水脈整理をするチームに分か

れ、里山生活を垣間見ることができました。森部の活動

は、主に、放置された人工林での間伐、水脈整備、フィ

藤野合宿

トケコム Vol. 4 | 38

ールドでの実習を通じた講座の開講と多岐に渡っていま

す。藤野は、ボルネオの大自然にも似ていて、全体の約

8割を森林が占めています。でも、その多くが杉や檜の

人工林、薪炭用の落葉広葉樹林です。そのため、人手の

入らず放置された人工林では、荒れた森林が目立ってし

まいます。日本の森を再生に導くために、誰かが主体的

に行動をおこしていく必要があります。経済発展が進む

中、人間と森との繋がりが薄くなっているのも事実です。

この活動を通じて、豊かな里山作りを実現しようとする

住民の方たちの熱意に圧倒されました。まさに、このよ

うな活動こそが、「草の根運動」のあり方なのだと思い

ます。

助け合いを促すよろづ通貨

藤野にて実施されている、特色のある活動の1つに地

域通貨としての「よろづ通貨」というものがあります。

これは、お金が流通する「経済社会」ではなく、心が流

通する「循環社会」の実現を目指して行われている活動

です。私達は実際に、その通貨のやり取りに関する話を

聞くことができました。そこで感じたことは、「お互い

様の精神」です。ボルネオでの暮らしのように、市場経

済が発展するまでは物々交換が当たり前でした。しかし、

私達は、市場に支配されているかのように暮らしている

ことを実感せずにはいられません。この体験を通じて、

貨幣のあり方を考え直したいと思いました。

生きていくのに本当に大切なもの?

39 |チーム成長の全記録

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夏だけでは終わらない…続く村への支援

眞嶋ゼミでは学校祭でも村の人々との繋がりを

忘れません。

メンバーとゼミ生

は、売上金を村の若者委員会

への寄

付金とする、毎年恒例のアジアンヌードルの店の出

店と、夏の活動報告を行いました。アジアンヌー

ドルはマレーシア風のスープヌードル(

)です。10種類ほどの香辛料を磨り潰す

作業から取り組み、前日のニンニクチップの油あげ

作業、当日朝の鶏ガラをたっぷり入れたスープの煮

込み、そして涙が出る唐辛子の輪切り作業など、す

べてにおいて本格派で、丁寧に作りこんだだけあっ

て今年度も自信作でした。アジアンヌードルを買っ

てくださったお客さんには私たちがホームステイ先

でもよく飲んだサバティーの無料券を配布しまし

た。私たち自身が大学祭を楽しみたい気持ちがあっ

たため、早朝からの仕込み作業などは大変ではあっ

たものの全員真剣に取り組み、呼び込みの担当者は

2日目の雨の中も必死で学校中を回りました。お客

さんからの味の評判も良く、売り上げは3日間で

杯を売り上げました。実のところ売り上げ

は昨年に及ばなかったため悔しさは残りましたが、

メンバーひとりひとりが遣り甲斐を感じることがで

きました。

大学祭

University Autumn Festival

トケコム Vol. 4 | 40

ボルネオでの経験を伝える

展示部門では『ボルネオカフェ』を開き、映像や

コルクボードによる

の活動報告、

村の現状などを伝えるゼミ生作成のポスター展示を

行いました。また、アジアンヌードルを召し上がっ

たお客さんへの無料のサバティーの提供もここで行

いました。映像は過去4年間の様子を流し、コルク

ボードでは現地で村人に紹介した村を運営するため

の経済活動を説明しました。ゼミ生のポスターの内

容は①ブアイヤン村におけるコミュニティツーリズ

ムについて②ブアイヤン観光 

おすすめパッケージ

プラン、③コミュニティ・ベイスト・ツーリズムと

してのホームステイ事業、④山間部におけるインタ

ーネット利用、⑤お金を管理するための組織作りと

会計に関して、⑥ボルネオ島先住民ドゥスン族のア

イデンティティの形成、⑦ブアイヤン村のオーラル

ヒストリーに関して、調査発表したものです。出入

口には現地の美しい自然や人々の姿を映した写真を

展示し、いらっしゃった方の目を引き付けました。

お客さんには質問をしてくださった方が多く、それ

に答えることで現地で思ったことや考えたことをま

とめることができ、

での経験や

知識を発展させることができました。

41 |チーム成長の全記録

チーム メンバー の紹介

プロヴィジョンズ 金鐘珉 & 内記久美子Provisions leaders p.56~59

フィルム リーダー 北村知大 & 金鐘珉 Film leaders p.60~63

報告書 リーダー 後藤崇介 & 野村梨世Essay report leaders p.64~67

DISSOLVA

トケコム Vol. 4 | 42

引率教員・大学院生からのメッセージMessages from the tutors p.44~47

統括 リーダー 福田鵬仁 & 高見沢美咲Group leaders p.48~51

コミュニケーションズ 長谷川信寿 & 宮野直行Communications leaders p.52~55

43 |メンバー紹介

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■異文化の違いを超える 

第4弾

グローバル人材の育成を目的とする学習院大

学の国際交流協力特別事業の一環として、途上

地域支援を行うボランティアグループがDIS

SOLVAです。多様で持続可能な解決策を模

索するボランティア活動をはじめて、「とけこ

む」というチームコンセプトのもと、それぞれ

が尊重し合って、異文化の違いを超えたいと思

って続けてまいりましたが、今回はもはや家族

の一員としてコミュニティに受け入れていただ

けたという実感を学生たちひとりひとりが抱く

ことができるようなプログラムとなりました。

豊かなジャングルに囲まれた、ボルネオ島北

部のサバ州ブアイヤン村では先住民のドゥスン

族の人々が自然と共に生きる伝統的な生活を

続けています。ユネスコ人と生物圏(

保護地域に認定されたクロッカー山脈にあり、

里山が守られています。狩猟採集生活がいまだ

に息づいているこの小さな村で、学生たちは滞

在期間中の食糧を山や川から得て、自然と共生

する生き方を学びました。ドリアンやランブー

タン、ランサット、そしてボルネオ島特有のタ

ラップ。果物の種類の多さ、その豊富さにも、

学生たちは心奪われ、森からの恵みに日々感謝

していました。

■若者たちのビジネスアイデア

昨年に引き続きプロジェクト目標として、ソ

フト面での支援を掲げました。ブアイヤン村の

若者たちにDISSOLVAの受け入れ活動の

中心になってもらい、学生たちとともに村の未

来のビジネスアイデアについて語り合う機会を

増やすということでした。今年は、高校を卒業

したばかりの、フレッシュな若者達が、トレッ

キングや狩猟採集活動、建設作業、文化交流会

で大活躍してくれました。現地のフルーツ・タ

ラップを使ったお酒を考えたり、数珠玉を使っ

たアクセサリーをつくったりと、将来的にはN

GOなどの仲介なしに自立したコミュニティビ

ジネスの運営ができるよう、現地の素材を生か

した新しい試みに自信をつけていった様子です。

来年は、若者たち主体の環境保護活動を共に考

えていき、大自然の中でのトレッキングと植林

活動とをセットにした、環境教育プログラムを

将来的にブアイヤン村で提供できるよう、若者

たちによる組織システム作りをお手伝いしてい

きたいと思います。

■家族を大切にするということ

2年前に未舗装の道路がブアイヤン村まで開

持続可能な未来家族の大切さ命の尊さを感じて

M e s s a g e f r o m S h i n o b u M a j i m a

眞嶋 史叙(学習院大学経済学部教授)専門はグローバル経済史。先史時代から現代までの経済発展について研究。

トケコム Vol. 4 | 44

通して以来、町との行き来が随分自由になりま

した。子だくさんの家族が多いブアイヤン村で

すが、若者たちの多くは、進学や就職、結婚を

機に町に出て行ってしまい、なかなか山を越え

て戻ってくることも難しいです。でも、交通手

段が整っている日本の私達よりも、頻繁に家族

が集まり、お互いの大切さを確認しあっている

ように感じます。8月のプログラムの最中も、

それぞれ子供を4〜5人持つ姉妹兄弟が一堂に

集まり、お父さん、お母さんとともに、一週間

ほどにぎやかに暮らしている家族がありました。

今回、ガイド頭をつとめてくれたネリウスさん

の家族です。昨年から、ネリウスさんは中古で

手に入れた4輪駆動車を運転して、大所帯の家

Message from the tutors

族を送迎しています。子どもたちもニコニコで、

車の荷台に乗せてもらい、歩かずとも山奥の村

に来られるようになりました。ただ、山道の運

転は危険もあります。道が開通したばかりのこ

ろには、死亡事故もあり、今回は学生たちもそ

のお墓参りに参列させていただきました。生活

環境の変化が、村の方々の命にも影を落として

いると実感する機会になりました。この夏にぎ

やかだった大家族のお母さんは、11月にご病気

で急逝され、命の尊さをまたより深く感じずに

はいられません。村の女神のようであったマチ

ルダさんのご冥福を心より祈っています。

学習院大学経済学部の有志を中心にボランティア活動を企画・実践

アカデミックカウンターパートのマレーシアサバ大学社会科学部より教員・学生を現地に派遣・村の方々との仲介

若者たち中心にボランティア活動受入やホームステイを準備 BUAYAN

生物文化多様性保護活動として長期にわたり村を指導

建築家を派遣

45 |メンバー紹介

幸いなことに毎年参加する機会を頂き、今年

で4回目の参加となりました。今年はサバ大学

に進学したことにより、現地からサポートさせ

て頂く形になりました。受け入れ準備のため、

村の方々への伝達や旅行会社様とのミーティン

グ、物資の運搬などと、例年とは違った形でD

ISSOLVAの活動に携わらせて頂きました。

さらに、ブアイヤン村にては、病気で療養中の

お母さんに代わり、ホームステイの運営を手伝

ったり、イベントの調整、歴史研究のマレー語

通訳などと、個人の活動の幅が増え、学生とし

て、運営側として、受け入れ側として、様々な

サイドで携わることができ、自分自身の将来を

考える上でもとても勉強になりました。

今年度は、これまでの活動で学んできたブア

イヤン村の環境・生活・文化を踏まえ、将来を

見据えたビジネスを提案しました。村にあるも

のを使った商品の開発へ向け、タラップ酒造り

やスマートフォンを使ったその輸送、販売、会

計管理方法などと村で生活しながらできるビジ

ネスアイデアを村の方と共有しました。私の研

究テーマの一部でもあるように、村内で現金収

入を得ることは難しく、村の方々は仕事や学

校、結婚などの理由で村を離れ町で暮らす人々

が多々おります。町から村への道路は繋がって

いるものの、舗装されておらず、雨が降ると土

砂崩れが起き、村と町を頻繁に行き来するのも

危険な状態であります。そのような状況の中で、

学生さん方が土地柄を意識したアイデアを提案

し、共有することは村の方々が将来を考える上

で何らかのヒントになりうるかもしれません。

来年は5か年計画の最後の年になります。こ

れまで築き上げてきた村の方との信頼関係を基

に、これまでやり残していた自然・環境保護を

意識した活動に力を入れていきたいと思います。

私自身も、来年はブアイヤン村にて半年のフィ

ールドワークを実施する予定ですので、村のよ

り奥深くを知り来年のプログラム作りに貢献さ

せて頂ければと思います。

様々なサイドから見てみよう経験を集約したプログラム作り

M e s s a g e f r o m U M S S t u d e n s t s

FUYUKO IWASAKI学習院大学経済学部を2013年に卒業。DISSOLVAには立ち上げから参加し、今年で4回目の参加。2015年からマレーシア・サバ大学の社会学・社会人類学コースにて、社会人類学を専攻。研究テーマは、ウル・パパール地域に暮らすドゥスン族の婚姻と移住。

トケコム Vol. 4 | 46

今回は私の祖母(リンギさん)を含め、村の長老たちの話を聞くチャンスになりました。これから、サバ大学の大学院で歴史研究を続け、ブアイヤン村の歴史を文字にして、残していきたいと願っています。

IMELDA TAMBAYANGブアイヤン村出身。マレーシアサバ大学では歴史学を専攻。今回はお年寄りのインタヴュー取材で大活躍でした。

このプログラムに参加しようと思ったきっか

けは、指導教官であるポール・ポロドン先生に

プログラムに参加してみないかと言われたこと

でした。これまで、研究室の先輩や同期はボル

ネオプロジェクトに参加しており、ブアイヤン

村のことや活動内容に関することを聞いていた

ので、以前からとても興味を持っていました。

私も実際に6月に行われた眞嶋先生との視察に

参加させて頂いたことで、塩の道のトレッキン

グとブアイヤン村に魅力を感じ、参加すること

を決意致しました。

まず、私は学習院大学の学生に出会うことが

できて、心より嬉しく感じました。学生さん方

はとても友好的で明るく親切でしたので、私も

すぐに打ち解けられ、快く活動に参加すること

ができました。そして村の方々もとても親切で、

彼らを巻き込んで活動するこのプログラムのあ

り方が交流する機会を増やして下さいました。

日本人学生と違う地域に住むドゥスン族の方々

と文化交流をすることで、私自身も多くの新し

いことを学ぶことができました。このプログラ

ムを通して、より実用的な知識を学ぶことがで

きたので、とても貴重な経験になりました。ま

ずは、プログラムの運営において、それぞれの

活動に対して事前準備がきちんとなされており、

そのことにより各活動で十分な時間を確保する

ことができており、感激しました。また、生物

文化遺産の家における建築活動やタラップ酒造

り、トンクゴン作りなどを通して色々な技術も

学ぶことができました。さらにブアイヤン村の

ライフスタイルを見ることで環境維持の大切さ

を学びました。私の村は、狩猟や採集は未だ残

っているものの、お米や魚、時には野菜なども

ほとんど町で購入したものばかりです。ブアイ

ヤン村の生活を目にしたことで、自然に感謝し

維持していくことの重要性も学ぶことができま

した。

将来は、大学の講師、もしくは教育の分野に

関する仕事をし、これまで培ってきた知識や経

験を次の世代へと共有していきたいです。また、

研究を続け、研究分野の発展にも貢献したいと

思っております。

自然に感謝することが大切日本人学生とブアイヤン村の生活を初体験

M e s s a g e f r o m U M S S t u d e n s t s

RONNIE STEFHANNIE NASIRINサバ州タンパルリ出身のドゥスン族。マレーシア・サバ大学では、社会学・社会人類学コースにて、人類学とエスノグラフィー(民族誌学)を専攻。研究テーマは、サバ州ウル・キナバタンガン川地域に暮らすスンガイ族の婚姻における慣習法。

Message from the tutors

47 |メンバー紹介

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福田Fukuda

鵬仁Tomohito

髙見沢Takamizawa

美咲Misaki

GroupLeaders

未知の世界に触れたい

気持ちの赴くままに動き、自然と周りに貢献できるのがリー

ダー福田鵬仁さんの特徴です。所属する英語部ではみんなで楽

しく盛り上がれる空間が好きなことから、OB会の委員長とし

て携わっています。DISSOLVAでも仕事という義務から

のリーダーではなく、気持ちから自然とリーダーになれる彼は

現地でも信頼できる存在でした。今まで以上に眞嶋ゼミにコミ

ットしたい、自分の長所、短所を知りたい、大きな役割の仕事

をし、自由にプロジェクトを行いたい。そんな気持ちをもって

参加しました。

価値観の変化

リーダーを務めてくれた福田さんは、初めは参加することに

非常に迷いがあったそうですが、今では参加してみて良かった

と心から思っているといいます。DISSOLVAに参加した

ことによって、自分の見識を広げられた上、眞嶋ゼミに、より

コミットできるようになったそうです。小見出しにもあるよう

に自分の中で大きく価値観が変わったそうです。具体的に踏み

込んで価値観の変化を考えてみると、ブアイヤン村での生活が

本来の人間としての暮らしなのではないのだろうかと感じたそ

うです。道具に依存せず、人間が持つ力を最大限に活用しなが

らの自給自足の生活、死に近い日常、そして特に村全体の人々

の繋がりの強さ、温かさに胸を動かされたと熱く語ってくれま

した。村での経験の1つ1つが新鮮で、また今までの日本での

生活を振り返るきっかけを、ブアイヤン村は彼に与えてくれた

DISSOLVA MEMBER'S NOTE 1

トケコム Vol. 4 | 48

そうです。ここで筆者である僕から見れば、ブアイヤン村は各

メンバーそれぞれに違った価値観を与えてくれ、それぞれを成

長させてくれているように感じられました。次に印象的な思い

出について尋ねてみたところ、両足の親指の爪が剥がれてしま

ったことだそうです。彼は3日目のティコロッド村からキオノ

ップ村までのトレッキングで爪が剥がれかけてしまったのです

が、さすがリーダー、爪が剥がれかけていてもブアイヤン村で

の大きなイベントの1つであるサッカー大会には出場し好プレ

イを連発してくれました。しかし、その後完全に剥がれてしま

ったそうです……。(現在は順調に生えてきているそうです。)

普通だったら痛くて、出たくはないはずですが、リーダーとい

う事もあるためか、みんなに迷惑はかけまいと、そのような素

振りは全く見せずにいたところが頼もしいなと感じました。最

後に自分の中でもう少し頑張れたこと、足りなかったことを尋

ねてみたところ、もっとリーダーとしてみんなを引っ張ってい

くべきだったと答えてくれました。原因は爪だそうです。やは

り、本人にとってその怪我で村の外での活動やトレッキング等

が別行動になってしまったことは心残りだったそうです。しか

し、他のメンバーは口を揃えて福田さんのリーダーとしての活

動を讃えるでしょう。何故ならDISSOLVAのリーダーは

そう簡単に務められるわけではないだろうし、毎年続いている

活動であり前年と比較もされるので年々良くしていかなければ

ならないというプレッシャーは大きかったと思うからです。そ

れをやり遂げたことは彼にとってこれからの人生において大き

なプラスになるはずです。

49 |メンバー紹介

 

自分の能力を試したい

このように志望動機に書いてくれたのは、もう一人のリ

ーダーである高見沢美咲さんです。

高見沢さんは2度の留学経験があり、その中で語学の壁

にぶち当たったり、今までに体験したことがなかった習慣

や、違った価値観に触れてきたりしたことで、未知の場所

へ行くことの楽しさや、知らない人々と触れ合うことの楽

しさを知ったようです。彼女はDISSOLVA以前には

マレーシアは行ったことがなく、そこで自分の知っている

ことがどこまで通用して、どこまでがしないのか。果たし

てボディーランゲージでどこまで話せるのか。現地の人々

と心を通わすことはできるのだろうか。そういったことで、

自分の能力を試してみたいという事が主な動機だそうです。

また、人と話すのが好きだという高見沢さんはDISSO

LVAを通して、自分とは価値観の違う人と仲良くなり、

一生続くような友人関係を築いていきたいとも考えたそう

です。

都会では薄れていた感情

参加してみて本当に楽しかった、と高見沢さんは言いま

す。言葉が通じなくても名前を呼び合うだけで楽しかった

うえ、言葉だけがコミュニケーションのツールではないと

気づかされたそうです。つまり、音楽やスポーツ、マジッ

クも異国の地ではコミュニケーションツールになるという

事です。また、自分の食事がどこから来ているのかをしっ

TOMOHITO FUKUDA (トッティ)学習院大学経済学部経済学科3年高校まではサッカー部のレギュラーとして活躍。後輩にも優しくまた明るい性格の持ち主なので彼の周りには自然と人が寄ってくる。現地ではリーダーとして積極的に意見を発信し、みんなを引っ張ってくれた。あだ名はトッティー。

トケコム Vol. 4 | 50

かり理解し、命の大切さを再認識し、同時に自分1人では

生きてはいけないんだなとも認識させられたといいます。

つまり、都会に住む我々には薄れていた感情を認識できた

んだと高見沢さんは語ってくれました。印象に残った思い

出としては、1つにはトンクゴンやソンポトンなどの楽器

作りだそうです。実際、自分たちの手で一から作り、微妙

な音調節をするのにはみんなとても苦労していました。2

つ目は村の子供たちとハンモックでランブータンを食べた

こと。自他ともに認める子供好きの高見沢さんにとってこ

れは一生忘れられない思い出の一つになったといいます。

3つ目は川での飛び込み。アクロバティックな技をみんな

に披露してくれました。ボルネオの大自然を肌で感じられ

たのではないでしょうか。帰国してからは、また今後留学

したいという気持ちにもっと火が付いたそうです。誰とで

も分け隔てなく話せる高見沢さんですからどこの国に行っ

たとしても上手くやっていけるのではないかと思います。

しかし現地では、英語をもっと上手く話したかったともい

っていました。英語だけに限らず、現地の言葉も積極的に

話していたように見えた高見沢さんでしたが、向上心が強

いためか更なる飛躍を目指してのコメントです。留学に向

けて英語力により磨きをかけてほしいと思います。

前頁写真右上から①子供と一緒に植物の実を摘む高見沢さん/②トンク

ゴンを演奏する福田君/③サッカーをかっこよくプレイする福田君/④

鶏肉を切ろうと頑張る高見沢さん/⑤竹を薄く真剣に削る福田君/⑥ガ

イドさんとブアイヤン村でする劇の内容について打ち合わせる福田君/

⑦子供たちに伝統音楽のプレゼン説明する高見沢さん/⑧子供たちにア

ルプス一万弱を教え一緒にやる高見沢さん

MISAKI TAKAMIZAWA (たこ)学習院大学経文学部心理学科3年所属サークルはtwinkle。子供大好き、歌うの大好き、トリリンガルな3年生リーダー。あだ名はたこ、前髪など。何事にも積極的でいつもみんなを引っ張ってくれる存在。村ではいつも子供たちが周りにいた。

51 |メンバー紹介

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Communications Leaders

宮野直行・長谷川信寿Miyano Naoyuki          Hasegawa Shinju

現地の人の力になりたい

コミュニケーションリーダーの長谷川信寿さんは現地での建

築活動などを通じて少しでも村の人々の力になりたいと思った

そうです。また、自分にしかできない事を現地の人に提供した

いとのことで、幼いころから続けてきたマジックを披露してく

れました。マジックは人を笑顔にし、楽しみをお互いに共有で

きると彼は考えています。新しいことにチャレンジしたいとい

う事も志望動機の一つ。過去にニュージーランドやアメリカを

訪れた経験や国内でのボランティアの経験があっても、海外で

のボランティアは今回が初めてでした。今まで訪れた所は会話

が比較的簡単に成り立つ国でしたが、今回訪れる村はマレー語

やドゥスン語。不安はあったものの、彼は逆にそれをチャレン

ジと捉え、言葉以外の方法で心を通じあわせたいと思いました。

チャレンジ精神旺盛なコミュニケーションリーダーで私たちに

はとても心強かったです。

部長の経験を活かしたい

長谷川さんに続き、もう⒈人のコミュニケーションリーダー

が山と野球をこよなく愛する宮野直行さんです。宮野さんは高

校時代に、野球部と共に、山岳部にも所属していてそこで部長

も務めていました。宮野さんによると、決して山岳部は過酷で

はなかったそうですが、唯一大変だった事があったそうです。

それは、登山には一人一人のペースがあり、部員全員のペース

を見て行動しないといけない事だったそうです。高校時代には

そのような難しいリーダーの務めを上手くこなせたという自信

DISSOLVA MEMBER'S NOTE 2

トケコム Vol. 4 | 52

もつきました。その気持ちからこのDISSOLVAでもその

経験を活かしたかったそうです。昔から抱いていた海外への憧

れ、大学生の長い夏休みを有効に使いたいという思いも彼を参

加に導きました。入学の際には、登山部入部を目指していた宮

野さんには、学習院大学山岳部の事故を受けて、同じ山を登る

人間としての決意を尋ねてみました。「同じ登山家として、ま

た同じ大学の学生として、忘れてはいけない事故と思う。この

ような事故になった原因(山行ルートの間違いなど)を自分達

が登山する上で同じ事故が起きないように考えていきたい」と

話してくれました。

豊かさのものさし

長谷川さんは参加してみて、川での網漁や、イノシシ、ジャ

コウネコなどの日本ではあまり市場に出回っていない食べ物が

食べることができたこと、鶏の血抜き作業などの日本では滅多

に出来ない体験が興味深かかったそうです。また、トレッキン

グツアーを村人に提案できたことも有意義な体験だったそうで

す。是非実際にブアイヤン村などの地域での修学旅行などが実

現することを期待しているそうです。印象に残った思い出とし

ては、マジシャンらしく、マジックに関する面白い話をしてく

れました。今までは日本人に対してしか披露してこなかったマ

ジックを、今回初めて村の人に披露したことで、反応の違いに

気付いたそうです。日本のような比較的豊かな国では、メディ

アなどからの刺激が強いせいか、純粋に楽しんでくれるという

よりは、タネを知りたがる傾向があり、楽しませるのが難しい

そうです。しかし、それに対し村人は、周りに余計な刺激がな

53 |メンバー紹介

いためか、タネがどうこうよりも、ありのまま

のマジックを見てくれて、純粋な反応を肌で感

じられたことが印象深かったと語ってくれまし

た。次に、参加してみて変わったことについて

尋ねてみました。これが、タイトルにもあるよ

うに、「豊かさのものさし」です。長谷川さん

は参加する前までは、豊かさはお金でしか買え

ないと思っていたといいます。特に、上京して

きてからそれをひしひしと感じたようです。D

ISSOLVAに参加してみてその考えが覆さ

れました。つまりお金持ちが豊かであるとは限

らないと思うようになったそうです。豊かさの

基準は健康、愛、富など人それぞれですが、長

谷川さんは、自分自身が豊かだと感じた瞬間か

らその人は豊かであるのでは、と説明してくれ

ました。村人自身がどう思っているかは別とし

て、少なくとも長谷川さんの視点からは村の人

は豊かな人生を送っていると見えたようです。

今回のDISSOLVAへの参加は長谷川さん

にとって、豊かさとは何かを考えさせてくれた

とともに、それに関連してマジックの反応の違

いも発見できたということもあり、充実したも

のになったのではないのでしょうか。

行って初めて気が付いたこと

宮野さんは、旅の前ではボルネオ島の村々が

SHINJU HASEGAWA (しんじゅ)学習院大学経済学部経営学科1年 所属サークルは東大奇術愛好会。いつもトランプを持っていて暇があればマジック披露し、周りをあっと言わせている。村でもマジックを1つのコミュニケーションツールとして使いたくさんの人と打ち解けた。

トケコム Vol. 4 | 54

どのような状態なのか把握していなかったけれ

ども、実際に参加し村で生活してみて気づくこ

とがたくさんあったといいます。例えば自給自

足で生計を立てていること、村の中心で若者が

活躍しているという事、村人同士との人間関係

など、日本では気づかないことがたくさんあっ

たそうです。次に印象に残った思い出について

尋ねてみると、村人たちが日本人に対して分け

隔てなく接してくれたことだそうです。参加し

てみて変わったことについて尋ねてみると、世

界には様々な人種や民族がいるという事が分か

ったといいます。また、村人たちは町の人々と

は少し格差があるかもしれないが、同じ人間で

あり、尊重するべきだと語ってくれました。村

人と生活するうえで自分のすべき事や次にやる

べき事をあまり把握できていなかったと少し後

悔しているようでしたが、トレッキング隊長と

してみんなを安全に目的地までサポートしてく

れた功績は大きかったのではないかと思います。

前頁写真右上から①長谷川君と宮野君が二人で地図を考え

ている写真/②木の蓄えた水を切った部分から飲む宮野君

/③壁のセメントを一生懸命塗る宮野君/④ジョシュアに

トランプマジックを披露する長谷川君/⑤子供たちの顔に

トッティと遺書になって落書きをする長谷川君/⑥バイオ

ブダヤの装飾に色を塗る長谷川君/⑦プトゥからサッカー

の賞を受け取る宮野君/⑧セメント作りに必要な土を内記

さんと一緒に集める宮野君

NAOYUKI MIYANO (ナオ)学習院大学経済学部経済学科1年 所属サークルはJOYTHULLとあるける同好会。持ち前の山の知識でトレッキングの時はみんなをリードしてくれる頼れるトレッキングリーダー。小学校の頃から野球を続けている。

55 |メンバー紹介

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Provisions Leaders

金鐘珉・内記久美子Kim Jongmin           Naiki Kumiko

2年目の決意

金さんは今年のメンバーの中で唯一過去にDISSOLV

Aへの参加経験のある頼れる先輩です。そんな金さんはどん

な思いを胸に2年目の活動に参加したのでしょうか。出発前

は、

年度のDISSOLVAの思い出が良かったか

ら、また、その時に行なった活動の成果を確認したかったから

と、そして今年の活動では彼の関心のある商社と金融分野にD

ISSOLVAを結びつけて活動に貢献したいと説明してくれ

ました。商社分野では、ブアイヤン村ならではの資源を活用し、

それを商品化してインターネットで販売すること、金融分野で

は、低金利、長期貸出を前提とした融資の提案を考案しました。

金さんは2年目の参加というだけあり、このように具体的な活

動方針を提示し、ブアイヤン村を今まで以上に発展させようと

いう強い決意が感じられました。

自分の視野を広げたい

このように行く前の志望動機に書いてくれたのは、文学部英

語英米文化学科1年の内記久美子さんです。19日間というとて

も長い期間を慣れない環境で家族以外の人と協力して生活し、

様々な活動を行っていくことには辛いことや困難も伴うと思う

けれど、そこでできた人と人との繋がりはただ普通に大学4年

間を過ごすのでは得られないようなものがありそうだったため

参加を決意したと語ってくれました。内記さんは、世界共通語

である英語の文化背景を理解した上で英語を話せるようになり、

世界のあらゆる文化を知り人々とコミュニケーションを取れる

DISSOLVA MEMBER'S NOTE 3

トケコム Vol. 4 | 56

ようになり、世界を取り巻くあらゆる問題を、その問題の大小

に関わらずできるだけ認識し解決することに関わりたいと思っ

ていると話してくれました。複雑に発展した日本の社会の中で

自分がどのような立ち位置に立ってどこを向いてどこに向かっ

て行けばよいのか全く分からない将来について、ボルネオとい

うシンプルな経済形態の中で自分の行ったことが直につながっ

ていくという事を感じ取ることができそうだと思ったそうです。

将来の自分の姿を思い描く一つの手がかりになるのではないか

と思ったそうです。加えて、彼女は小学生の頃に山口県で自然

豊かな環境に育ち、外でたくさん遊んでいたせいもあるのか、

トレッキングが楽しみで、途中で大変に感じることもあるかも

しれないが、楽しんで取り組みたいとポジティブなコメントを

くれました。

再会と感動

2年ぶりに村人と再会を果たした金さん。帰国後の感想では、

自分のことを時間が経っても覚えていてくれたのが一番感動し

たと言っていました。また、自分のプロジェクトであった会計

アプリを上手く村人に伝えることができたことや村の事情を前

回より深く理解することができたことも今回の成果だと満足気

に話してくれました。次に印象に残った思い出を聞いてみると、

これは本人に限らずメンバー全員の頭にも焼きついていること

ですが、彼は滞在途中に胃腸炎にかかり、町に降りることにな

ったことだと答えました。これをきっかけに、村人の生活と町

の人の生活が比較でき、村人の生活水準を理解することにも繋

がったと説明してくれました。また、トレッキング中に大規模

57 |メンバー紹介

な伐採が行われている光景をみて、経済発展が自然

環境より優先されていたり、2年前には電気もない

村だったのに今年来たときには電柱が立っていて村

の発展スピードに驚いたといいます。一方、村なら

ではの伝統的な生活様式がなくなっていくことの有

難さも感じたそうです。最後に自分の中でもう少し

頑張れたこと、足りなかったことを聞いてみると、

体調管理であったと答えてくれました。海外では日

本での生活と違い慣れない事もたくさんあるので体

調管理は難しいです。そのことを金さんは体を張っ

てみんなに伝えてくれたのかもしれません。

今までの自分から脱却

内記さんに、参加後、感想を聞いてみました。海

外にいってボランティアというと、あれこれやって

と毎日を日本にいる時と変わらず目まぐるしく活動

しなければいけないと思っていたけれども、村人と

生活を共にすることにより、大自然に囲まれ現代の

目まぐるしい生活環境から切り離されていたという

こともあって、予想以上にゆったりと19日間を過ご

すことができ、自分をあらゆる違った視点から見つ

め直すことができたということでした。次に印象に

残った思い出を聞いてみました。内記さんにとって、

どれも印象深い思い出だったそうですが、中でも特

に印象深かったのは、9時間もトレッキングして着

いた村で、普通にスマホが使われていたことです。

JONGKIN KIM (ミンちゃん)学習院大学経済学部経済学科3年 今年のメンバーの中で唯一のDISSOLVA経験者。マイペースな雰囲気と言動でみんなを和ませてくれるムードメーカー的存在。人生経験豊富なので、時には良きアドバイスもしてくれてとても心強い。噂では少女時代のダンスを踊れるらしい!?

トケコム Vol. 4 | 58

現代社会ともっとかけ離れていると思っていたそう

です。また、車を使い頻繁に町との間を行き来して

いるということも印象に残ったといいます。内記さ

んがこのDISSOLVAを通して変わったことは、

変に縮こまらずに、ありのままの自分を出していこ

うと思えたことでした。これは、村人たちが大きな

声で恥ずかしがらずに歌を歌う姿から感じたことだ

といいます。これからは、今までの変に周りを意識

し、縮こまる自分から脱却し、色々なことに挑戦し

ていきたいと言っています。また、彼女の反省点は、

本人曰く、事前準備不足で、わざわざ日本から行っ

ているのに、村人の期待に応えられなかったんじゃ

ないかと思っていることだそう。村人やその子ども

たちと積極的に関わっていた内記さんが準備不足だ

ったとは誰も思ってはいないと思いますが、もし自

分の中で引っかかるものがあるとするならば、来年

のDISSOLVAも是非参加してもらいたいと思

います。

前頁写真左下から①レイモンドの家の窓から顔を覗かせる金さ

ん/②川に勢いよく飛び込む内記さん/③子供に両腕をつかま

れ遊びをせがまれる内記さん/④サッカーで勢いをつけて蹴り

をいれようとする金さん/⑤エドナを抱きしめて笑顔の金さん

/⑥村人に会計アプリの使い方を説明する金さん/⑦サッカー

ボールを味方に投げる内記さん⑧ジェリーとツーショットをと

る内記さん

KUMIKO NAIKI(くみ)学習院大学文学部英語英米文化学科1年 所属サークルはDTMとSILVER。容姿端麗でスポーツ大好き、おいしいもの大好きな1年生。虫にも動じないメンタリティーの持ち主。高校3年間はダンス部に所属しており、その腕前は村での劇の時も発揮された。誰もが認めるミス天然。

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Film Leaders

北村知大・金鐘珉Kitamura Tomohiro     Kim Jongmin

純粋な興味にそそられて

今年のDISSOLVAで朝から晩まで肌身離さずビデオカ

メラを持っていたのではと感じるほど積極的にフィルムリーダ

ーの仕事に打ち込んでいた経済学部経済学科3年北村知大さん。

現地に行って具体的に何がしたいのかというと、初めてやる穴

掘りや、建築作業の力仕事に加え、大自然の中の未開の地で

人々がどのように暮らしているのか、何を幸福として生きてい

るのか、どんな結婚観、倫理観をしているのかについて調べた

いそうです。北村さんの純粋に、村の状況が知りたい! 

とい

う思いがDISSOLVAの参加を自分の中で決意させたそう

です。

多くの初体験が自分を変えるきっかけに

ブアイヤン村での多くの初体験が自分を変えるきっかけにな

ったと説明してくれた北村氏。村のお年寄りから聞いた戦時中

の話、蛭にかまれたこと、川で魚を取るという経験。初めての

ことが目白押しでとても面白かったと語ってくれました。しか

し興味を持って深く突き詰めていくことができなかったとも言

っていました。印象に残った思い出について聞いてみると、ケ

ンのお墓に行った時、神父のお父さんの顔が朗らかだったのが

印象的だったといいます。亡くなったのが昨年の8月ごろだっ

たはずなので、悲しくないはずはありません、事実、泣いてい

る親族の方はいました。神父さんとしての役目を終えて、自宅

に戻ってからはふと悲しそうなお顔をされていたようにも感じ

ました。伝統楽器トンクゴンを教えてくれたマチルダさんも50

DISSOLVA MEMBER'S NOTE 4

TOMOHIRO KITAMURA(カイ)学習院大学経済学部経済学科3年 中学、高校の6年間バレーボールに打ち込んでいた実はスポーツマン。通称・北村氏またの名をカイ。サイゼリアでのバイト経験を持つ、普段は寡黙なカイだが一度話してみるとそのイメージは覆されるほど、話が弾む。少しシャイな一面も持つ頼れる3年生。

トケコム Vol. 4 | 60

代で亡くなっています。兄弟姉妹が多いことも含め、先生の言

っていたことではあるけれど、「意外と死が隣り合わせにある

んだな」と思ったそうです。また、雨の日に、ぼんやりしなが

ら、サッカーフィールドの小屋やジャムシロイの家のベンチで

佇んでいるのはなかなか楽しかったと言います。また、早朝に

サッカーフィールドの小屋で本を読んだりしてました。通学す

る子供たちもおり、「朝早くから大変だな、あんな通学路で服

が汚れないのかな」と思っていたと振り返りました。村独特の

死生観や生活風景を北村氏は感じ取っていたようです。また、

都会の食事よりも村の食事の方が美味しかったとも言っていま

した。これは、他のメンバーも同じことを言っており、現に執

筆者自身もそのように感じています。

DISSOLVAを通して、日本での生活がどれ程恵まれて

いるかが身に染みて体感できたようです。最後に、もう少し頑

張れた事、足りなかったことを聞いてみたところ、自分に協調

性がないことを、まざまざと感じさせられたといいます。村人

と会話できなかったし、感謝を伝えることすら出来なかったと

残念に思ってそうです。ただ、どうやって他人と接すればいい

か考えるいい機会にはなったと答えてくれました。

*金鐘珉さんの紹介については、前項「メンバー紹介3」を

ご覧下さい。

写真右上から①バイボブダヤにて作業の休憩中、腰を下ろして休憩する金さん

/②ビデオをとるための三脚片手にみんなの後ろを歩く北村さん/③Jaso

n(子供)とともにビデオを録画する北村さん/④金さんと北村さんが村の真

ん中の小屋で仲良く写真をとっている

61 |メンバー紹介

野村梨世Nomura Rise

後藤崇介Goto Shusuke

Essay Leaders

ジャングルにあこがれて

まだ一年生の後藤くんは、眞嶋先生の一般経済史の授業にて

ビデオを鑑賞し、このプロジェクトの一員として参加したいと

思ったと言っていました。そんな彼は、間接的に海外に触れる

だけでなく、実際に現地に赴き現地の人と交流したいと高校の

頃から思っていたようです。しかし、参加を決意する決め手は

そこではありませんでした。年々周囲から失われて行く自然。

対して、ボルネオ島のサバ州では自然を守るため漁の制限区域

を設定したり家を建てる際持続可能な素材を使ったりしていま

す。その地域の未開発のジャングルでは、普段の生活ではめっ

たに感じられない生物多様性を肌で感じることができる。彼は

ここの部分に一番魅力を感じ、参加を決意したそうです。

海外に対する好奇心から

こちらもまた一年生の野村さん。彼女は好奇心旺盛な人。そ

して、何より真面目。そんな野村さんが今回このプロジェクト

に参加した主な理由は二つあるそうです。まず、彼女は海外へ

の関心が強く、異文化交流を図りたいと中学時代から考えてい

ました。また、世界の人々が心理的に深くつながり合っている

ということを自覚し、世界各地の暴力や武力に訴える解決を憎

まなくてはならないと考えていました。そこから、この先の世

代が文化的社会的違いを早くから理解し、徐々に相互理解へと

近づかせていくことが重要だと考えました。ボルネオ島はその

第一歩であると。しかし、それでも応募をするかどうか野村さ

んは迷っていたようです。応募の後押しをしたのは、ボランテ

DISSOLVA MEMBER'S NOTE 5

トケコム Vol. 4 | 62

ィア論の講義での、「ボランティアとは自分の関心あることを

社会貢献に結び付けること」という教授の言葉。そこで野村さ

んは初めてボランティアに対して気構える必要がないと分かり、

こうして彼女はボルネオプロジェクトに参加することになった

のです。

異文化交流とサバイバル

後藤くんは、トレッキング含む19日間、本当に経験したこと

のない新鮮なことを体験したと語りました。もともと体が大き

くトレーニングルームにも行っていた後藤くん。そのたくまし

い体を生かしてトレッキング中は、女子の荷物を持ったり手助

けをしたりと、優しい面を前面に出してくれました。しかし、

そんな彼でもブアイヤン村の漁に参加したときは苦労したよう

です。「網とおもりしか使わないで漁するって難しいよ。川の

流れが速くて村人についていくのがやっとだったし。ま、やろ

うと思えばできたけどね?」と、彼は冗談めかして悔しがって

いました。後藤くんは、自分の歌に対しても自信満々。村人に

アカペラを披露するための練習でも、「まあ、俺が一番うまい

から」と冗談めかして周囲を笑わせてくれました。後藤くんの

すごいところは、周りに全く怒らないところ。そして、自分が

仮にストレスを感じていたとしてもそれを周囲に感じさせない

ところです。きっと、それは心の中に余裕を持っているからな

のでしょう。だから彼は現地でも、村人とすぐに仲良くなるこ

とができました。言葉はあまり通じずとも村人たちと一緒にな

ってサッカーを楽しみ、笑っている姿をよく見かけました。

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Page 17: 04 Youth & Salt Trail20070019/dissolva/src/pdf/... · イノボン ブアイヤン トケコム Vol. 4 | 06 トレイルガイドの若者たち ぼくたちが安全にジャングルで活動できるのは、すべて彼らのおかげです

「いまではスマホ越しの会話を、当人との会話よりも多く

する。確かに離れていてもいつでも会話できるのは便利で

いいことなのかもしれないと思う。でも、やっぱりそっち

がメインになっていって面と向かって会話することが減っ

ていくのは、違うと思った」。彼はボルネオプロジェクト

で時間を過ごすうちにそう再認識するようになっていった

そうです。また、ブアイヤンでは楽しいことばかりではあ

りませんでした。ブアイヤン村を散策していた際に、焼き

畑を発見した彼は、「自然をもとの状態に戻すのは難しい

けれども、破壊するのは簡単なんだなぁとしみじみと感じ

た」と悲しそうに話しました(実は循環型焼畑農法は環境

にやさしい)。彼にとってボルネオプロジェクトに参加し

たことは、自然に対する意識や、普段の生活がどれほど恵

まれているのかなどを考える機会となったようです。

マイペースに過ごせた19日 

野村さんは出発日、小さい背中にパンパンの小さなリュ

ックを背負って空港に来ました。聞けば荷物はそのリュッ

ク一つだけだといいます。村での彼女は、その小さい体の

どこに入っているんだというほど多い量の食事をもりもり

と食べる姿が印象的です。小さな体に似合わずパワフルな

彼女は、トレッキングの最中、ヒルに足や手などに貼りつ

かれ、すっかりトラウマになってしまいました。ガイドさ

んがそれをからかいわざと野村さんにヒルを見せたりして

いた時の、本当にいやそうな顔は、きっと日本では見られ

なかったことでしょう。対して、村ではのんびりとお湯を

RISE NOMURA(リセ)学習院大学文学部心理学科1年身長百五十センチの小人さん。体は小さいのにとてもパワフルで弁論部と自転車部に所属している。パッキングがとても上手。いつも冷静で大人びているが、今回のトレッキングにてヒル恐怖症になる。そんな頭が良くて好奇心旺盛な彼女はドリアンが大好き。

トケコム Vol. 4 | 64

飲んでぼうっとしたり、歴史をいろんな人に聞きに行った

りと、好きなことをして過ごせたようです。女子だけでビ

ーズを作っていた時などは、「あ、こういう作業私好きだ」

といって夢中になっていました。最終日、みんなとの挨拶

の時、あまり人に頼ることのなかった彼女がこんなことを

話してくれました。「私は今まであんまり人と、深くかか

わらないっていうか、そんな感じだったんですけど、今回

向こうで過ごして、村人と、みんなと過ごして、もうちょ

っと人を信頼してみてもいいのかなって感じました。共同

生活だったのにあんなにマイペースに過ごせたのはみんな

のおかげでした。ありがとう」。彼女は真面目ゆえに自分

に厳しいところがありました。しかし、このプロジェクト

を終えて彼女は、「自分をより客観視できるようになった。

自分に少し優しくなったかも。あと、自分の好きなことや

興味のあることが他にもっとあるんじゃないかといろいろ

チャレンジしたくなった」と、自分の内面の変化を語って

くださいました。その一方で、村人とのコミュニケーショ

ンへの積極性と、自分から何かをはじめることへの積極性

が少し足りなかったと反省しているようです。しかし、野

村さんがここで得られた内的変化は、きっとこの先の人生

の、宝物となることでしょう。

前頁写真右上から①ボールを村人にパスしようとする後藤くん/②バイ

オブダヤにて日記を書く野村さん/③ティク村の幼稚園にて園長さんの

お話を聞く野村さん/④村人にタラップリカーの作り方を説明する後藤

くん/⑤パンクロックスラップの版画作りを眺める野村さん/⑥朝食を

食べ終えぼうっとする野村さん/⑦子供たちと戯れる後藤くん/⑧怖い

ながらも岩の上から川へと飛び込む後藤くん

SHU GOTO(しゅう)学習院大学経済学部経済学科1年PANTHER所属で身長百八十越えの巨体を持つ。写真に写るときは必ずキメ顔。力があり女子の荷物も積極的に持つよと言ってくれる優しいくまさん。そんな彼には足のつかない川を泳ぐのが怖いというかわいい一面も(笑)。

65 |メンバー紹介

学習院院長先生 および 常任理事の先生方

学習院国際交流基金理事の先生方

学習院大学学長先生 および 各学部学部長先生方

川嶋辰彦先生(学習院大学名誉教授)学習院大学で長年続けてこられた GONGOVAのご経験に基づき、DISSOLVAの立上げ時から有益なご助言をくださり温かく見守ってくださいました。

伊藤由紀子先生(学習院女子大学教授)

山本博之先生(京都大学地域研究統合情報センター)

奥田丈二先生(日比谷クリニック院長)DISSOLVA参加者に A型肝炎と破傷風の予防接種を施し、適切なトラベルアドヴァイスをくださいました。

白石克己さん(元 JICA コタキナバル職員)

宮入邦男さん(元NHKメディアプロデューサー)

ポール・ポロドン先生  Dr Paul Porodong(マレーシアサバ大学教授)DISSOLVA立案時からアカデミックカウンターパートとして協力してくださり、大学院生を派遣してくださいました。

マリーナ・アマン・シャムさん Marina Aman Sham(GDFコミュニケーション部長)Bio-cultural Heritage Centre建設のコーディネーターとして、協力体制、村での受入れ準備のサポートをしてくれました。

イーアン・ホールさん Ian Hall (Arkitrek 代表)「生物文化遺産の家」の建築デザインを一昨年のエディンバラ大学生と考案し、今年は Pangrok Sulapのグループや、現地旅行会社の Sticky Rice Travelを招いてくれました。

フィルザ―・ジャム・ジャムさん Filzah(Arkitrek 建築専門家・指導員)ブアイヤン村では 12日間にわたり、建築指導員・通訳として、生物文化遺産の家の建設・生活指導全般でご助力くださいました。

秋澤未央さん(HIS 法人東京担当者)

沢井藍里さん(HIS コタキナバル店担当者)

アルストンさん Alston(HIS コタキナバルガイド・写真撮影担当) 長距離にわたるトレッキング行程を含め、全行程でガイド同行してくださいました。ジャングルの中の秘境・キオノップ村での滞在を含め、たくさんの貴重な写真も撮影してくれました。サバ州のドゥスン族の村のご出身で、日本語とマレー語・ドゥスン語の通訳としても大活躍してくださり、本当に頼れるガイドさんです。

眞嶋叙脩 Joshu(ICUハイスクール・写真撮影担当)

DISSOLVAがお世話になった方々

この場を借りて心より深く感謝申し上げます

With sin

ce gratit

ude

トケコム Vol. 4 | 66

学習院大学海外協力研修プログラムDISSOLVAボルネオプロジェクト福田鵬仁 [email protected]: http://www-cc.gakushuin.ac.jp/̃20070019/dissolva/src/Facebook: http://www.facebook.com/dissolva

To Be Continued …DISSOLVA ボルネオプロジェクトは 来年も8月に実施予定です。5月にメンバー募集をおこないます。

国際NGO団体 Global Diversity Foundation広報担当Marina Aman Sham [email protected]: http://www.global-diversity.org/Facebook: http://www.facebook.com/globaldiversity

建築集団 Arkitrek コタキナバルIan Hall [email protected]: http://arkitrek.com/home/Facebook: https://www.facebook.com/pages/Arkitrek

● 編集後記 ●

トケコムを通してブアイヤン村などの地域を初めて知ったという方がほとんどだと思います。そして、この冊子を手に取る人がまず感じることは好奇心だと思います。それに応えることはできたでしょうか。読者の方に村のことを知っていただくことは第一のことです。しかし、それに留まらず読者の方にはその興味を通して村での問題やDISSOLVA の目的まで深く関心を持っていただきたいと着任当初から考えておりました。現地で村の若者と共に村の自治を考えたように、読者の方とも村の未来について共に考えることができればと願っております。私は主に全記録の項を担当しております。私の意図を文面からお伝えできていれば幸いです。最後になりましたが、トケコム作成にご協力くださった方々に感謝申し上げます。私にとってトケコムは現地で何を思い感じたかを自由に発信させていただける最高の機会でした。そのような機会を与えてくださり有難うございました。 報告書リーダー 野村梨世

今回、トケコムを編集するに当たり心がけていたことはそれぞれのメンバーの思いを余すことなく伝えようということでした。DISSOLVA を通して考えさせられたことは人それぞれ違うものなので、それらをメンバー内だけではなく、お世話になった関係者の方々や来年度の希望者にも知って欲しいという思いで文章を書かせていただきました。メンバー紹介のページを担当していたので、それぞれを分かってないとなかなか難しいですが、なんとか期日ギリギリに入稿できたので、今では安堵と達成感でいっぱいです。最後になりましたが、お世話なった眞嶋先生、ゼミ生の方々、メンバーのみんな、その他関係者の方々、本当にありがとうございました。 報告書リーダー 後藤崇介

トケコム編集作業は、私にとって、向こうでの暮らしを思い出し、それを自分なりに考え消化するいい機会となりました。もしトケコムの編集作業に携わらなければ、真剣にメンバーのことを考えることもなかったと思います。トケコムの編集作業をするにあたり、普段過ごしているだけでは考えないような相手の性格について考えました。明確に言葉にしていくことで、自分の中の相手に対する曖昧さが少し消えたような気がします。少し気恥ずかしさもありましたが、このおかげで知っていたけれども気づかなかったメンバーの一面を明確にすることができました。また、写真選びは思い出に浸りつつ、楽しく選ばせていただきました。 統括リーダー 高見沢美咲

基本データ

事業名 学習院大学 海外協力研修プログラムDISSOLVA ボルネオプロジェクト

英語名 DISSOLVA – Diverse and Sustainable Solution-seeking

Voluntary Action

所在地 学習院大学 経済学部 眞嶋史叙研究室内

設立年月日 2011年 4月 20日

2015年度データ

チーム名 DISSOLVA 2015

結成年月日 2015年 6月 10日

参加学生数 9名(学科別:経済 5名,経営 1名,心理 2名,英文 1名)

代表者名 福田鵬仁(統括リーダー)

活動期間 (現地活動)2015年 8月 13日~ 8月 31日(19日間)(学内活動)2015年 6月 10日~ 3月 21日(活動頻度:ほぼ毎週)

活動場所 マレーシア・サバ州・ピナンパン郡・ブアイヤン村 他

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