プリント・1 2 人体の構成 - 組織
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11 1.2 組織第1章 人体の構成
多細胞生物においては、発生の進行に伴って細
胞が形態的、機能的に分化し、一般に同じ種類
の細胞が集合して一定の働きを営むように配列
している。このような有機的細胞集団を組織と
いう。
組織には上皮組織、結合組織 ( 支持組織 )、筋
組織、神経組織の4種がある。
・ 上皮組織:被蓋上皮、感覚上皮、吸収上皮、
分泌上皮
・ 結合組織:線維性結合組織、軟骨組織、骨組織、
血液とリンパ
・ 筋組織 :平滑筋、骨格筋、心筋
・ 神経組織:神経細胞、神経膠細胞(グリア細胞)
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の 3 層構造となっ
ている。
・ 表皮は扁平な細胞が積み重なった重層扁平上皮
からできている。細胞どうしが密接して並んで
いるので細胞間基質は少ない(上皮組織)
・真皮は膠原線維(コラーゲン)が豊富で大変丈
夫な層である。この線維成分は線維芽細胞が産
生する。線維成分は非常に豊富だが、細胞成分
は少ない。(密性結合組織)
・皮下組織は線維が疎らで柔らかい。脂肪細胞が
多く、皮膚本体と深層にある骨格や筋の間をゆ
るやかにつなぎ、体熱の喪失を防ぐとともに、
外力に対するクッションの役割を果たす。
(疎性結合組織)※ 人体のどの部位であれ、必ずこの 4 種の組織のいずれ
かに分類される。
− 学習のポイント −1. 人体を構成する4つの組織
上皮組織、結合組織(支持組織)、筋組織、神経組織 上皮組織と結合組織の違いについて
2. 上皮組織の分類と細胞間接着装置単層扁平上皮、単層立方上皮、単層円柱上皮、 重層扁平上皮、多列上皮、移行上皮 タイト結合、接着帯、デスモソーム、ギャップ結合
3. 腺上皮と分泌様式単細胞腺と多細胞腺、外分泌と内分泌 開口分泌、アポクリン分泌、ホロクリン分泌
4. 結合組織の分類と構成線維性結合組織(密性結合組織と疎性結合組織)
線維成分:膠原線維、細網線維、弾性線維、細胞成分:線維芽細胞、大食細胞、肥満細胞、
形質細胞、脂肪細胞軟骨組織:硝子軟骨、弾性軟骨、線維軟骨骨組織:骨の構造、骨化様式、骨の再構築(リモデリング)血液とリンパ:赤血球、白血球、血小板、血漿
5. 神経組織の構成神経細胞:ニューロンの構造、活動電位、シナプス、髄鞘神経膠細胞:星状膠細胞、希突起膠細胞、小膠細胞、 上衣細胞、シュワン細胞
§2. 組織
■ 1. 人体を構成する4つの組織
▶ 上皮組織と結合組織の違いについて組織では、細胞のほかに、細胞の間を埋める物
質、すなわち細胞間質(細胞間基質)がある。
すなわち、組織は細胞と細胞間質ととでできる。
細胞と細胞間質との量的比は組織の種類によっ
て異なる。
・ 上皮組織
体表や器官の表面、管腔などの表面をおおう。
細胞同士が密接して並ぶ
= 細胞間基質が少ない。
・ 結合組織(支持組織)
器官 , 組織、細胞の隙間を埋め、結合する
= 細胞間基質が多い。細胞はまばら
▶ 皮膚の構造を例として(上皮と結合組織)
表皮
真皮
皮下組織
重層扁平上皮
密性結合組織
疎性結合組織
上皮組織
結合組織
線維が豊富で丈夫な層
線維疎らで柔らかい脂肪細胞が多い
細胞がビッシリ並ぶ細胞間質は少ない
細胞はまばら。細胞間質が多い
12 1.2 組織第1章 人体の構成
■ 2. 上皮組織の分類と細胞間接着装置
消化器系(外皮)
口腔・咽頭後部・食道口腔・咽頭後部・食道 胃・十二指腸・空腸・回腸・結腸・直腸上部胃・十二指腸・空腸・回腸・結腸・直腸上部胃・十二指腸・空腸・回腸・結腸・直腸上部 肛門消化器系(外皮) 重層扁平上皮重層扁平上皮 単層円柱上皮単層円柱上皮単層円柱上皮 重層扁平上皮呼吸器系(外皮)
鼻腔・咽頭鼻部・喉頭・気管・気管支・細気管支鼻腔・咽頭鼻部・喉頭・気管・気管支・細気管支鼻腔・咽頭鼻部・喉頭・気管・気管支・細気管支鼻腔・咽頭鼻部・喉頭・気管・気管支・細気管支 肺胞肺胞呼吸器系(外皮) 多列線毛上皮多列線毛上皮多列線毛上皮多列線毛上皮 単層扁平上皮単層扁平上皮泌尿器系(外皮)
腎杯・腎盤 (腎盂)・尿管・膀胱・尿道一部腎杯・腎盤 (腎盂)・尿管・膀胱・尿道一部腎杯・腎盤 (腎盂)・尿管・膀胱・尿道一部腎杯・腎盤 (腎盂)・尿管・膀胱・尿道一部 尿道尿道泌尿器系(外皮) 移行上皮移行上皮移行上皮移行上皮 重層円柱上皮・重層扁平上皮重層円柱上皮・重層扁平上皮女性生殖系(外皮)
卵管・子宮卵管・子宮卵管・子宮卵管・子宮 膣膣女性生殖系(外皮) 単層線毛円柱上皮単層線毛円柱上皮単層線毛円柱上皮単層線毛円柱上皮 重層扁平上皮重層扁平上皮循環器系(内皮)
血管・リンパ管・心内膜血管・リンパ管・心内膜 漿膜(中皮)
心膜・胸膜・腹膜心膜・胸膜・腹膜心膜・胸膜・腹膜循環器系(内皮) 単層扁平上皮単層扁平上皮
漿膜(中皮) 単層扁平上皮単層扁平上皮単層扁平上皮
皮膚(外皮)
表皮表皮皮膚(外皮) 重層扁平上皮重層扁平上皮
▶ 上皮組織の形態による分類
▶ 器官別上皮組織の分類
▶ 上皮組織の機能による分類
被蓋上皮 体表や, 器官の表面, 内腔をおおって内部を保護感覚上皮 外界からの刺激を受容し, 神経系に伝達吸収上皮 栄養分や水分を吸収
分泌上皮(腺上皮) 分泌機能をもつ
単層
単層扁平上皮中皮(胸膜, 腹膜,心外膜)内皮(血管内皮), 肺胞など
薄いので物質の交換などに向く。
単層単層立方上皮
甲状腺の濾胞上皮,尿細管など 甲状腺の濾胞細胞など。単
層
単層円柱上皮 消化器系(胃,小腸,大腸)卵管・子宮など
吸収と分泌を行う場所に向く。
重層重層扁平上皮 皮膚, 口腔~食道,
肛門, 膣など
摩擦など機械的刺激に強い。皮膚は角化した重層扁平上皮。口腔~食道、肛門、膣などは角化していない重層扁平上皮である。
偽重層
多列上皮 鼻腔~気管・気管支(気道)
表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。偽
重層移行上皮 腎杯腎盂~尿管~膀胱
(尿路)内容物の量に応じて、伸び縮みすることができる。
13 1.2 組織第1章 人体の構成
コネクソン 2個のコネクソンが連結しチャネルが開通
・心筋細胞で特に発達心筋はギャップ結合により電気的な興奮が1つの細胞より隣の細胞に容易に伝わる。そのため, 多数の細胞から構成される心房・心室はあたかも1個の細胞のように機能する。(機能的合胞体)
・2枚の布を2個のボタンを介して糸で綴じ合わせたような構造・表皮や心筋細胞で特に発達
ボタン型タンパク質
カドヘリンケラチンフィラメント
・デスモソームと同様にカドヘリンという膜タンパク質が接着し細胞をつなぎとめる・カドヘリンはアクチンフィラメントの束と結合している。アクチンフィラメントの束
カドヘリン
上皮組織の特徴は細胞同士が密着して並ぶこと
であるが、その為には細胞同士がくっつかなく
てはならない。( 細胞間接着装置 )
図 16. タイト結合
図 17. 接着帯
図 18. デスモソーム
図 19. ギャップ結合
① タイト結合 ( 密着帯 ) ・隣り合う細胞どうしを強固につなぎ合わせ、
管腔内の物質通過を阻止する。消化管で発達
しているほか、脳内の血管では血液脳関門の
形成にも関与する。
② 接着帯・タイトジャンクションの下で帯状に広がる。
カドヘリンという蛋白質による結合で、上皮
細胞間の結合を強める。
・脳の毛細血管では、タイト結合と星状膠細胞
により血液脳関門が形成される。
※ 血液中にある物質の脳への移行は、脳血管と脳の間の
機能的関門により選択的に行われている.例えば、グ
ルコースは容易に脳に移行するが、高分子タンパクな
どは、ほとんど移行しない.
③ デスモソーム ( 接着斑 ) (p.12)
・二重のボタン型蛋白とカドヘリンによる結合。
表皮や心筋細胞間で発達している。
④ ギャップ結合 (p.12)
・ 2 枚の細胞膜を貫通するイオンチャネルを形
成する結合。心筋細胞で発達し、機能的合胞
体を形成する。
①タイト結合(密着帯)
②接着帯
③デスモソーム
③’ヘミデスモソーム
④ギャップ結合
図 15. 細胞間接着装置
腸管上皮
管腔
タイト結合
・内皮細胞間がタイト結合で結合
・グルコースは, 星状膠細胞のグルコース輸送体を介して神経細胞に運ばれる
・物質を通過させにくい※ 水, CO2, O2, 脂溶性物質は細胞膜を通過できる。
↓
↓
タイト結合
毛細血管内皮
星状膠細胞
周細胞
▶ 細胞間接着装置
膜タンパク質の連なり
隣り合う細胞膜
管腔内の内容物を漏らさない
心筋はギャップ結合により電気的な興奮が1つの細胞より隣の細胞に容易に伝わる。そ の た め、 多 数 の 細 胞 か ら 構 成 さ れ る 心 房・ 心室 は あ た か も 1 個 の 細 胞 の よ う に 機 能 す る。
(機能的合胞体)
14 1.2 組織第1章 人体の構成
細胞内で分泌物を合成し細胞外に出すことを分
泌という。分泌を主な機能とする細胞を腺細胞
といい、それらが集まり腺上皮をつくる。
▶ 単細胞腺と多細胞腺・ 上皮細胞列の中に腺細胞が単独で散在するも
のは単細胞腺という。
(腸や気管の上皮にみられる杯細胞など)
▶ 外分泌腺と内分泌腺・ 外分泌腺は導管と分泌部に分かれ、管腔や体
表に分泌する。
▶ 分泌物の種類による外分泌腺の分類
・漿液腺: さらさらした液体を分泌。膵外分泌腺や耳下腺、
涙腺など。
・粘液腺:ねばねばした液体を分泌する。杯細胞など。顎
下腺、舌下腺は粘液細胞と漿液細胞が混じった
混合腺である。
・脂 腺 :主に脂質を分泌する。皮脂腺は導管が毛包に付
属している。
▶ 参考)形態による外分泌腺の分類
・ 内分泌腺は導管がなく、毛細血管にホルモン
を分泌する。
※ 内分泌腺の腺細胞は一般に上皮に由来する(上皮性)が、
副腎皮質、精巣、卵巣などは結合組織に由来する(間
葉性)。また、松果体や下垂体後葉、副腎髄質は神経性
由来の内分泌である。
・ 多数の腺細胞が集まって分泌を行うのが多細
胞腺である。
① 開口分泌
細胞内の分泌顆粒の膜が細胞
膜と癒合し内容物が放出され
る。小汗腺 ( エクリン汗腺 )
など
② アポクリン分泌 ( 離出分泌 )
細胞の表面近くに分泌物が
あつまり、風船のよう膨出し
て、根本がちぎれて分泌さ
れる。大汗腺 ( アポクリン汗
腺 )、耳道腺、肛門周囲腺や
乳腺など。
③ ホロクリン分泌 ( 全分泌 )
細胞内部が分泌物で充満し、
細胞全体がそのまま分泌物
となり放出される。脂腺に
みられる。
▶ 分泌の様式 (p.12-13)
外分泌の様式として、開口分泌、アポクリン分
泌、ホロクリン分泌がある。
導管
分泌部
■ 3. 腺上皮と分泌様式
腸絨毛
杯細胞
杯細胞
杯細胞は腸管と気道の粘膜上皮にみられる分泌細胞。粘液 (ムチン) を分泌。
上皮由来の腺細胞が結合組織に陥入し外分泌腺となる
発生段階で導管が消失し内分泌腺となる
e 複合管状胞状腺d 不分枝単一管状胞状腺
c コイル状の単一管状腺b 分枝単一管状腺
導管
分泌部
A 不分枝単一管状腺腸腺(リーベルキューン腺)
など小汗腺(エクリン汗腺)
など胃底腺, 子宮腺
など
胃の幽門腺など
顎下腺, 舌下腺, 膵臓 など
15 1.2 組織第1章 人体の構成
・結合組織は全身に広く分布し、上皮組織、筋
組織、神経組織などを互いに結び付け、それ
らに養分を補給するなどの役割を果たす組織
をいう。
・結合組織は、細胞が比較的まばらで、細胞間
質が豊富。
・ 結合組織は (1) 線維性結合組織、(2) 軟骨組織、
(3) 骨組織、(4) 血液に分けられる。
※ 狭義の結合組織としては、線維性結合組織のことを指
すが、広義には軟骨、骨、血液も含める。(すべて細胞
がまばらで細胞間質が多いという特徴がある)
線維性結合組織は、細胞と細胞間質よりできる。
細胞間質は線維と基質(無定型質)よりなる。
① 膠原線維
膠原線維 ( コラーゲン ) はもっとも基本的な線
維成分で、線維芽細胞により産生される。煮る
と膠を生じる 。引っ張る力に強い。
③ 弾性線維
エラスチンを主成分
とし、ゴムのような
弾力性に富む線維。
大動脈、動脈の弾性
板、項靱帯、脊椎の
黄色靱帯 などに多く
含まれる。また、弾性線維が豊富な軟骨を弾性
軟骨といい、喉頭蓋軟骨、耳介軟骨などがそれ
に含まれる。
② 細網線維
網目構造に多数の大食細胞
やリンパ球が存在。
異物を除去し、生体を防御
する。細網組織は脈管系に
多く、細網内皮系とも言わ
れる。リンパ節、脾臓、骨髄、
肝臓の洞様毛細血管の外側 ( ディッセ腔 ) など
にみられる。
・線維性結合組織とは、線維を生み出す細胞、
免疫を担当する細胞、脂肪細胞、に線維芽細
胞が産生した線維、タンパク質・多糖類など
をふくめた構造。
・線維細胞が活性化し、線維芽細胞となり膠原
線維(コラーゲン線維)を作り出す。
・膠原線維の含有率により密性結合線維と、
疎性結合線維にわけられる。
- 密性結合組織(線維成分が多い)
線維配列方向が一定:靱帯、腱
線維配列方向が不定:真皮、強膜、筋膜など
■ 4. 結合組織の分類と構成
■ 線維性結合組織 (密性結合組織と疎性結合組織)
▶ 線維性結合組織の構成
▶ 線維成分
- 疎性結合組織(線維成分がまばら)
皮下組織、粘膜固有層 など
膠原線維
線維芽細胞
弾性線維 肥満細胞
大食細胞
好酸球ラット皮下組織
腱の電子顕微鏡像 筋膜
膠原線維
腱細胞
膠原線維
コラーゲン線維の走査電子顕微鏡画像 (肺組織)
細胞
細胞間質
線維 基質 ① 膠原線維 ② 細網線維 ③ 弾性線維
② 大食細胞 ③ 肥満細胞 ④ 形質細胞 ⑤ 脂肪細胞
タンパク質 多糖類
① 線維細胞
水分 等
+
16 1.2 組織第1章 人体の構成
▶ 参考)抗体の働き
① 線維芽細胞
線維芽細胞は細長い紡錘形の細胞で、膠原線維
を産生する。線維芽細胞は創傷治癒でも重要で
あり、外傷などで組織が欠損した場合、線維芽
細胞が増殖をし傷口を膠原線維で埋める。
③ 肥満細胞
肥満細胞は大量のヒスタミンを含む顆粒を抱
え、丸く大きく太っている。肥満細胞に IgE 抗
体と抗原が結合するとヒスタミンを放出する。
ヒスタミンは毛細
血管を拡張し、そ
の透過性を高める
作用がある。
(花粉症などに代表
さ れ る I 型 ア レ ル
ギー)
④ 形質細胞
形質細胞は B 細胞より分化し、抗体を産生する
細胞。抗体は免疫グロブリン(γ - グロブリン)
とも呼ばれる。抗体は特定の抗原と結合する能
力をもつ。最近などの抗原と抗原抗体複合体を
作って凝集させたり、ウイルスなどの抗原に結
合して、その感染力を失わせる。
⑤ 脂肪細胞
大量の中性脂肪を蓄えた細胞。
エネルギー貯蔵、皮膚に柔軟
性を与える、熱の放散を防ぐ
等の働きがある。
② 大食細胞 ( マクロファージ )
血液中の単球が血管外に遊走しマクロファージとな
る。食作用により異物を取り込み、処理する。
処理した異物の種類をリンパ球に教える(抗原提示)
マクロファージは貪食能を
有し、細胞内に豊富なリソ
ソーム酵素をもつ。細菌な
どの異物をマクロファージ
が貪食する。
ライソソームにより取り込
まれた異物は細胞内消化さ
れ、細かい断片に分けられ
る。
マクロファージの提示した抗原の情報を読み取ったヘルパーT細胞はサイトカインを放出し、他の免疫細胞を活性化させる。
▶ 細胞成分
マクロファージが異物を貪食する
ライソソーム
クラスII MHC(主要組織適合遺伝子複合体)
消化した異物の断片をMHCに結合して提示する
抗原提示
ヘルパーT細胞
活性化したヘルパーTは種々のサイトカインを放出。他の免疫担当細胞を活性化する。
サイトカインヘルパーTが異物の断片の情報を読み取る
分解された異物
取り込まれた異物がライソソームと融合
ウイルスなどの抗原に結合しその感染力を失わせる
抗体ウイルス
細菌などの抗原と抗原抗体複合体を作り凝集させる
抗体
細菌
毒素の中和
抗体
毒素食作用の促進(オプソニン作用)
食細胞
抗体
細菌
補体の活性化補体
抗体
細菌
NK細胞の活性化NK細胞
抗体
細菌
※ 補体は免疫・炎症などに関与して活性を示す血清中の蛋白質。食作用の促進・炎症・細胞膜破壊などの機能を発揮する。
17 1.2 組織第1章 人体の構成
■ 軟骨組織軟骨組織は軟骨細胞と細胞間質(軟骨基質と線
維成分)からなり、線維性結合組織の特殊化し
た形と考えられる。
軟骨は軟骨基質の性状により 3 種にわけられ
る。以下に3種の軟骨組織のまとめを記す。
※ 硝子軟骨は最も基本的な軟骨で、一般に軟骨といえば
硝子軟骨のことをいう。弾性軟骨と線維軟骨は場所が
限られるので、よく試験にでる。
軟骨組織
軟骨細胞 細胞間質
線維成分軟骨基質膠原線維弾性線維
コンドロイチン硫酸
産生
A) 線維A) 線維
① 膠原線維
膠原線維はもっとも基本的な線維成分。腱・靱帯は膠原線維の一定の方向に集まったもの。筋膜・真皮は膠原線維が交叉している。骨や軟骨にも大量に含まれている。 引っ張る力に非常に強い。膠原線維が豊富な軟骨は線維軟骨といい、椎間円板や恥骨結合、関節円板、関節半月にみられる。
② 細網線維網目構造に多数の大食細胞やリンパ球が存在。異物を除去し、生体を防御。 細網組織は脈管系に多く, 細網内皮系とも言われる。リンパ節,脾臓,肝臓の洞様毛細血管の外側(ディッセ腔),骨髄などにみられる。
③ 弾性線維エラスチンを主成分とする。ゴムのような弾力性に富む。動脈の弾性板, 大動脈(弾性動脈), 項靱帯, 脊椎の黄色靱帯 などに多く含まれる。弾性線維が豊富な軟骨は弾性軟骨といい、喉頭蓋軟骨や耳介軟骨などがある。
B) 細胞B) 細胞
① 線維細胞活動状態は線維芽細胞となり、膠原線維をつくる。創傷治癒の過程でも重要。外傷などで組織が欠損すると、線維芽細胞が傷口を膠原線維で埋める。
② 大食細胞マクロファージと呼ばれる。食作用により異物を取り込み、ライソソームで細胞内消化する。消化した異物の断片を膜外に出し、ヘルパーT細胞に提示する。(抗原提示)
③ 肥満細胞大量の顆粒を含んで丸々と太っている。顆粒にはヒスタミンが含まれる。抗原に反応しヒスタミンを放出する。ヒスタミンは毛細血管を拡張し、その透過性を高める作用がある。I型アレルギーに関与する。
④ 形質細胞形質細胞はB細胞より分化し、抗体を産生する細胞。抗体は免疫グロブリン(γ-グロブリン)とも呼ばれる。抗体は特定の抗原と結合する能力をもつ。最近などの抗原と抗原抗体複合体を作って凝集させたり、ウイルスなどの抗原に結合して、その感染力を失わせる。
⑤ 脂肪細胞
大量の中性脂肪を蓄えた細胞。 エネルギー貯蔵, 皮膚に柔軟性を与える, 熱の放散を防ぐ等の働きがある。※ 近年ではレプチンというホルモンを分泌することが知られている。レプチンは視床下部の受容体を介して強力な摂食抑制やエネルギー消費亢進をもたらすことより, その作用不足は肥満の成因に重要な役割を有する。
▶ 線維性結合組織の構成成分まとめ
硝子軟骨 最も普通に見られる軟骨。関節軟骨・肋軟骨・気管軟骨など
弾性軟骨 弾性線維が豊富。耳介軟骨・鼻軟骨・喉頭蓋軟骨など
線維軟骨 膠原線維が豊富。脊柱の椎間板・恥骨結合・関節円板・関節半月など
18 1.2 組織第1章 人体の構成
■ 血液とリンパ結合組織としての概念で言えば、細胞要素が血球で、基質にあたるのが血漿である。ここでは細胞
要素が基質を作り出したのではないが、便宜的に結合組織に分類される。
血液中の細胞成分には赤血球、白血球、血小板があるが、全ての細胞成分は骨髄にある多能性幹細
胞より分化する。
血液(細胞成分と血漿)まとめ
細胞成分(40~45%)
赤血球酸素の運搬を担う無核の細胞。 ヘモグロビンを含む。 直径 約7~8μm, 厚さ 約1~2μmの円盤状。赤血球の数:血液1μl中に男子で500万個, 女子で450万個。
酸素の運搬を担う無核の細胞。 ヘモグロビンを含む。 直径 約7~8μm, 厚さ 約1~2μmの円盤状。赤血球の数:血液1μl中に男子で500万個, 女子で450万個。
酸素の運搬を担う無核の細胞。 ヘモグロビンを含む。 直径 約7~8μm, 厚さ 約1~2μmの円盤状。赤血球の数:血液1μl中に男子で500万個, 女子で450万個。
細胞成分(40~45%)
白血球食作用や抗体産生などの生体防御を担う。白血球の数:血液1μl中に5,000~9,000個。好中球が最も多く(50~70%)、ついでリンパ球(30%)、単球(5%)
食作用や抗体産生などの生体防御を担う。白血球の数:血液1μl中に5,000~9,000個。好中球が最も多く(50~70%)、ついでリンパ球(30%)、単球(5%)
食作用や抗体産生などの生体防御を担う。白血球の数:血液1μl中に5,000~9,000個。好中球が最も多く(50~70%)、ついでリンパ球(30%)、単球(5%)
細胞成分(40~45%)
血小板出血部位を塞ぐ 無核の細胞。血小板は, 骨髄にある巨核球という大型の細胞の細胞質が細かくちぎれてできる無核の細胞。血小板の数: 血液1μl中に 25~40万個。
出血部位を塞ぐ 無核の細胞。血小板は, 骨髄にある巨核球という大型の細胞の細胞質が細かくちぎれてできる無核の細胞。血小板の数: 血液1μl中に 25~40万個。
出血部位を塞ぐ 無核の細胞。血小板は, 骨髄にある巨核球という大型の細胞の細胞質が細かくちぎれてできる無核の細胞。血小板の数: 血液1μl中に 25~40万個。
血漿(55~60%)
水 (約 90%)水 (約 90%)水 (約 90%)
血漿(55~60%)
電解質 (約 0.9%)電解質 (約 0.9%)電解質 (約 0.9%) 大部分は Na+, Cl-
血漿(55~60%)
有機物タンパク質( 7% )
アルブミン最も多い血漿タンパク質。膠質浸透圧の維持、細胞へのアミノ酸供給。
血漿(55~60%)
有機物タンパク質( 7% ) グロブリン
α, βグロブリンはホルモン、ビタミンなどの運搬。γグロブリンは抗体として免疫反応に関与(免疫グロブリン)
血漿(55~60%)
有機物タンパク質( 7% )
フィブリノゲン 血液凝固作用に関与。
血漿(55~60%)
有機物
その他(糖質・脂質・老廃物)その他(糖質・脂質・老廃物)
多能性幹細胞骨髄系幹細胞 リンパ系幹細胞
網状赤血球 巨核球
赤血球 血小板 好酸球 好塩基球 好中球 単球 T細胞 B細胞
マクロファージ 形質細胞
赤芽球 巨核球 骨髄芽球 単芽球 Tリンパ芽球
Bリンパ芽球
脱核
顆粒球 血管外へ遊走
19 1.2 組織第1章 人体の構成
① 赤血球
・直径約 7~8 μm , 厚さ 約
1~2 μmの円盤状。両面
の中央がくぼんだ形。
・赤血球の数:血液 1 μ l (mm3) 中に
男子で 500 万個 , 女子で 450 万個。
・赤血球には核がない。
(赤芽球より脱核して作られる)
・酸素の運搬を行うヘモグロビンを含む。
④ 血漿
血液から有形成分すなわち血球(赤血球、白血球、
血小板)を除いた液体成分を血漿という。
また、血漿成分から凝固因子であるフィブリノー
ゲンを除いた物は血清とよばれる。水分、たん
ぱく質のほか脂肪、塩類、糖類などから成る。
② 白血球
--- 顆粒球 ---
好中球・好酸球・好塩基球は細胞質内に多数の
顆粒を含むため顆粒球と呼ばれる。
③ 血小板
・出血部位を塞ぐ 無核の細胞。一次止血を担う。
・血液 1 μ l 中に 25 〜 40 万個 含まれる。
--- 単球 ---
単球は血管から組織中にでてマクロファージと
なる。マクロファージは貪食により取り込んだ
異物の断片を抗原としてリンパ球に提示し、リ
ンパ球に抗原を認識・記憶させる働きを持つ。
(抗原提示細胞)
--- リンパ球 ---
リンパ球は白血球のうち 20~40% ほどをしめ
る。T細胞、B 細胞、NK 細胞などの種類がある。
▶ 血液の細胞成分
▶ 血液の液体成分
単球3~8%
マクロファージ
血管外へ遊走貪食・抗原提示
肝臓:クッパー細胞 肺胞:肺胞マクロファージ 皮膚:ランゲルハンス細胞
貪食した異物を細胞内消化し、断片をクラスIIMHCに載せ提示(抗原提示)
B細胞
NK細胞
ヘルパーT細胞
キラーT細胞
(CD4陽性)
(CD8陽性)
マクロファージ抗原提示
活性化
形質細胞抗体産生(液性免疫)ウイルス感染細胞
がん細胞などを直接攻撃
活性化
活性化
抗原提示により活性化したヘルパーTはサイトカインを放出、他の免疫細胞を活性化させる
B細胞は形質細胞に分化し、抗体を産生するようになる。
ウイルス感染細胞などは抗体が届かないので、キラーT細胞が直接攻撃する
T細胞の指令が不要。MHC分子を発現していない異常細胞を直接攻撃する
(細胞性免疫)獲得免疫
自然免疫
好中球
好酸球
好塩基球
60~70%
2~4%
0.5~1%
白血球の中で最も多い。顆粒は溶菌酵素リゾチームの一種であり、つよい貪食・殺菌能をもつ。
アレルギー疾患や寄生虫病のときに数が増す。抗原抗体複合物を貪食し、ある種の寄生虫を殺す。
ヘパリン、ヒスタミン、セロトニンを放出し、アレルギー反応を起こす。炎症反応全体を促進する。
T細胞
ヘルパーT細胞
免疫系の司令官として機能し、免疫応答を増強。異物の刺激に応答し、Bリンパ球の増生や抗体産生を促したり(液性免疫)、マクロファージやキラーT細胞を活性化する(細胞性免疫)。T細胞
キラーT細胞
ウイルスに感染した自己の細胞を認識して破壊する。また、臓器移植などの際の拒絶反応にも係わる。(細胞性免疫)
B細胞→形質細胞 に分化
抗原の侵入により分裂、形質細胞に分化し抗体を産生する。Bリンパ球が分裂、分化するためにはTリンパ球の助けが必要。(液性免疫)
NK細胞NK細胞キラーT細胞と同様、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を障害する。(細胞性免疫)
血管内皮が損傷すると血小板は損傷部位に集まり、偽足を出して粘着する。
血小板により傷口がふさがれ、一次止血が完了する。
フィブリノーゲンがフィブリンとなり血小板にからみついて強固な血栓となる(二次止血)
20 1.2 組織第1章 人体の構成
▶ 神経細胞(ニューロン)の構造
▶ 有髄神経の神経線維
・髄鞘(ミエリン鞘) 軸索を巻く絶縁性の被膜。髄鞘で覆われた神経を有髄神経と呼ぶ。
・ランビエ絞輪 髄鞘の切れ目。有髄神経の興奮 ( 活動電位 ) は、ランビエ絞輪を次々と跳んでいく。( 跳躍伝導 )
・神経細胞体 細胞核のある部分。神経細胞の粗面小胞体はニッスル小体と呼ばれる。
・樹状突起 求心性伝達。他の神経細胞の神経終末から信号を受け取りシナプス電位を発生する。
・軸索 遠心性伝達。興奮を遠くへ伝導し、その終末は別の神経細胞の樹状突起あるいは筋細胞などとシナプスを形成。
--- 静止電位 ---・細胞外は Na+ が多い・細胞内は K+ が多い・細胞内はマイナスに帯電している
--- 活動電位 ---・刺激が加わり閾値に達する → Na+ チャネルが開く→ 細胞内に Na+ が大量に流入→ 細胞内はプラスに帯電(活動電位)→ 活動電位は次々と隣へ伝播していく→ K+ チャネルが開き、細胞内の K+ が細胞外に流出→ プラスに傾いた電位が元に戻る
+
++
++
+
+
+
+
+ +
+
+
+
+
+
+
+
+
+
Na+K+
閉じた K+
チャネル閉じた Na+
チャネル
軸索の細胞膜
軸索内
軸索外
++
++–
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
インパルスの方向
開いた Na+
チャネル開いた K+
チャネル
・ 神経組織は情報伝達を働きとする組織で、神
経細胞と神経膠細胞(グリア細胞)よりなる。
・神経細胞は、刺激により活動電位を発生させ、
他の細胞に情報を伝達する
・神経細胞はニューロンと呼ばれる。ニューロ
ンは神経細胞体、軸索、樹状突起よりなる。
・神経膠細胞は神経細胞の支持・栄養・代謝な
どに関わり、神経細胞の働きを助ける。
▶ 活動電位神経細胞、筋線維などの興奮性細胞において、
脱分極がある一定値(閾値)を超えると、膜電
位は細胞内が負の状態(静止電位)から急に正
の値に達し、再び静止時の電位に戻る。このよ
うな膜電位の変化を活動電位とよぶ。
※ 神経細胞の活動電位は、刺激が閾値を超えれば反応し
活動電位が発生する。活動電位の大きさは一定で、そ
れ以上に刺激を強めても反応は大きくならない。また
閾値に達しない場合は一切活動電位は生じない。
これを「全か無の法則」という。
■ 5. 神経組織の構成
神経細胞体
樹状突起
軸索
髄鞘 ランビエ絞輪
軸索末端
髄鞘 (ミエリン鞘)
ランビエ絞輪シュワン細胞
軸索
21 1.2 組織第1章 人体の構成
▶ 髄鞘と跳躍伝導・活動電位が伝導する速度は、ミエリンをもつ
有髄線維では無髄線維に比べてずっと速い。
・有髄神経では、髄鞘 ( ミエリン ) で覆われた
部分は絶縁されており、活動電位は髄鞘が途
切れいている場所 ( ランビエ絞輪 ) の部分を
次々とジャンプしながら伝わっていく。
これを 跳躍伝導 という。
・軸索を伝播してきた活動電位が神経終末部のカルシ
ウムチャネルを開く
→ シナプス小胞に含まれる神経伝達物質がシナプス
間隙に放出される。
→ 神経伝達物質がシナプス後膜の受容体に結合する。
→ シナプス後細胞のイオンチャネルが開き、ナトリ
ウムイオンが流入。
→ 新たな活動電位が発生する。
表 36. 運動ニューロンの模式図
神経線維の分類 (生 p.166)
・伝導速度は、無髄線維でも有髄線維でも、線
維の直径が大きいほど速い。
・髄鞘を形成する細胞は中枢神経系と末梢神経
系で異なる。
中枢神経系:希突起膠細胞
末梢神経系:シュワン細胞
神経伝達物質が蓄えられている
軸索
ミトコンドリア
神経終末
シナプス後膜 神経伝達物質
シナプス小胞
シナプス間隙
受容体
+
活動電位
+––
––++
––++
––++
––++
––++
––++
++––
––++
––++
––++
++––
++
++–
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
インパルスの方向
・無髄神経
髄鞘無し
・有髄神経
種類種類種類 直径 μ/m 速度 m/s 伝える情報
有髄
A
α 12~20 60~120
<求心性> 筋紡錘からの求心性情報:筋の伸長 [Ia群求心性神経]
有髄
A
α 12~20 60~120 <求心性> 腱紡錘からの求心性情報:筋の聴力 [Ib群求心性神経]
有髄
A
α 12~20 60~120
<遠心性> 骨格筋の支配 [α運動神経]
有髄
A β 8~10 30~80<求心性> 触覚・圧覚 [触圧覚神経]
有髄
A β 8~10 30~80<求心性> 腱紡錘からの求心性情報:筋の伸長 [II群求心性神経]
有髄
A
γ 2~8 15~30 <遠心性> 筋紡錘への遠心性情報:筋紡錘の感度調節 [γ運動神経]
有髄
A
δ 1.5~3 6~30<求心性> 痛覚 [高閾値侵害受容器からの速い痛み]
有髄
A
δ 1.5~3 6~30<求心性> 温覚・冷覚 [特に冷覚]
有髄
BB 1~3 3~15 <遠心性> 自律神経節前線維
無髄
CC 0.2~1 0.3~2
<求心性> 痛覚 [ポリモーダル侵害受容器からの遅い痛み]無髄
CC 0.2~1 0.3~2 <求心性> 温度覚 [特に冷覚]無髄
CC 0.2~1 0.3~2
<遠心性> 自律神経節後線維
▶ シナプスの構造と働き
シナプス
シナプス前細胞
シナプス後細胞
神経細胞と神経細胞または筋細胞などの他の細
胞との接合部をシナプスという。シナプスでは
軸索を伝わってきた電気信号が神経伝達物質を
介する化学信号となり、次に伝えられる。
22 1.2 組織第1章 人体の構成
・血管内皮細胞間はタイト結合で結合し、物質を通過させにくい。 ( 水、CO2、O2、脂溶性物質は通過しやすい )
↓・神経細胞と血管の間に星状膠細胞が介在。血液脳関
門を形成。↓
・星状膠細胞は毛細血管よりグルコースを選択的に取り込み、神経細胞に送る。
▶ 星状膠細胞 (p.26)
脳内の血管を取り囲み、血液脳関門を形成。
神経系の中でニューロンの隙間を埋め,それら
ニューロンの代謝の仲介をすると共に,支持組
織としても働いているのが神経膠細胞である.
▶ 希突起膠細胞(中枢神経系)軸索に巻き付いて髄鞘 ( ミエリン鞘 ) を形成。
一つの希突起膠細胞が複数の線維の髄鞘節をつ
くる。
▶ シュワン細胞(末梢神経系)末梢神経の髄鞘はシュワン細胞がつくる。ひと
つのシュワン細胞が一つの髄鞘節をつくる。
※ 脳室壁のところどころには、特殊な器官があり、そこ
では血液脳関門の働きが欠如している場所がある。た
とえば第 4 脳室底にある嘔吐中枢の化学受容体 CTZ は
血液脳関門によって保護されておらず、さまざまな血
液を介した物質の刺激にさらされていて、センサーの
役割を果たす。
末梢の無髄神経はひとつのシュワン細胞が複
数の神経線維をつつむ。これはシュワン鞘と
呼ばれる。有髄神経ではシュワン細胞の細胞
膜の部分が幾重にも巻いた部分が髄鞘、外側
の細胞質を含む部分がシュワン鞘である。
▶ 神経膠細胞
中枢神経系の神経膠細胞(グリア細胞)中枢神経系の神経膠細胞(グリア細胞)
星状膠細胞神経細胞と血管との間に介在し、血液脳関門を形成。血液中の有害物質が脳内に侵入するのを阻止し、栄養分を神経細胞に送る。
希突起膠細胞 中枢神経系の神経細胞の軸索を巻いて髄鞘を形成。
小膠細胞 マクロファージと同じく食作用を持ち異物や有害物質の除外にあたる。
上衣細胞
脳室、脊髄中心管の表面をおおう単層立方もしくは単層円柱上皮。脈絡叢では脳脊髄液を分泌する脈絡叢上皮に分化している。
末梢神経系の神経膠細胞末梢神経系の神経膠細胞
シュワン細胞末梢神経系の神経細胞の軸索を巻いて髄鞘を形成。
星状膠細胞
血管内皮
周皮細胞
軸索
シュワン細胞
シュワン鞘
髄鞘(ミエリン鞘)
シュミット・ランターマン切痕
軸索
有鞘有髄線維 末梢神経
シュワン鞘+髄鞘。末梢の脳脊髄神経の大部分髄鞘はシュワン細胞が形成する。(A線維、B線維)
有鞘無髄線維
末梢神経シュワン鞘のみ。末梢の自律神経節後線維など(C線維)
無鞘有髄線維 中枢神経
中枢神経の白質の大部分。有髄神経。髄鞘は希突起膠細胞が形成する。
無鞘無髄線維
中枢神経中枢神経の灰白質の部分に多い。無髄神経。
希突起膠細胞
ランビエ絞輪
軸索
無髄神経(シュワン鞘)
有髄神経(シュワン鞘+髄鞘)
ランビエ絞輪
シュワン細胞シュワン細胞
23 1.2 組織第1章 人体の構成
問題 1-13 細胞間基質に富むのはどれか。(あマ指 -11-16)
1.上皮組織 2.神経組織 3.筋組織 4.支持組織
問題 1-14 弾性軟骨があるのはどれか。(あマ指 -11-21)
1.下鼻甲介 2.軟口蓋 3.気管支 4.喉頭蓋
問題 1-15 線維軟骨を有するのはどれか。(あマ指 -12-16)
1.耳介軟骨 2.肋軟骨 3.椎間円板 4.関節軟骨
問題 1-16 線維軟骨からなるのはどれか。(あマ指 -15-16)
1.肋軟骨 2.耳介軟骨 3.関節軟骨 4.関節半月
問題 1-17 弾性軟骨はどれか。(鍼灸 -13-22)
1.喉頭蓋軟骨 2.甲状軟骨 3.輪状軟骨 4.気管軟骨
問題 1-18 部位と組織との組合せで誤っているのはどれか。(あマ指 -2-16)
1.血管内皮 –––– 移行上皮 2.腸粘膜上皮 –––– 単層円柱上皮 3.椎間円板 –––– 線維軟骨 4.耳介軟骨 –––– 弾性軟骨
問題 1-19 上皮と器官との組合せで誤っているのはどれか。(あマ指 -8-16)
1.重層扁平上皮 –––– 皮膚 2.移行上皮 –––– 尿管 3.多列線毛円柱上皮 –––– 小腸 4.単層円柱上皮 –––– 胃
国家試験問題
24 1.2 組織第1章 人体の構成
問題 1-20 表皮はどの上皮に属するか。(あマ指 -5-17)
1.移行上皮 2.単層円柱上皮 3.多列上皮 4.重層扁平上皮
問題 1-21 最も伸縮性の高い上皮はどれか。(鍼灸 -13-15)
1.単層扁平上皮 2.重層扁平上皮 3.単層円柱上皮 4.移行上皮
問題 1-22 線毛上皮を有する器官はどれか。(あマ指 -6-16)
1.血管 2.大腸 3.気管 4.子宮
問題 1-23 髄鞘を形成する細胞はどれか。(鍼灸 -5-28)
1.星状膠細胞 2.プルキンエ細胞 3.シュワン細胞 4.線維芽細胞
問題 1-24 神経組織の構成に関与しない細胞はどれか。(鍼灸 -7-15)
1.ニューロン 2.グリア細胞 3.シュワン細胞 4.クッペル星細胞
問題 1-25 血液脳関門の形成に関与するのはどれか。(鍼灸 -13-16)
1.上衣細胞 2.希突起膠細胞 3.星状膠細胞 4.小膠細胞
問題 1-26 疎性結合組織はどれか。(柔整 -2005-2)
1.腱 2.真皮 3.皮下組織 4.靱帯
国家試験問題