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平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(1 枚目/全 2 枚) 2012.11.27 解答と配点 14. 代謝 【1】 ADP のリン酸化 (ATP 合成 ) 反応の標準自由エネルギー変化 G o ' 30.5kJ/mol である。 (1) ○○○○: 5 、○○○○ X 3 、それ以外○> X 1 (2) ○○: 5 、○ X 3 (1)次の 1 8 のリン酸化合物のうち、標準状態で ATP 合成できるものの番号を○で囲 め。( )内はリン酸基の加水分解に伴う自由エネルギー変化である(単位 kJ/mol )。 1 .ホスホエノールピルビン酸(- 61.9 2 .グルコース 6- リン酸(- 13.8 3 .アセチルリン酸(- 43.1 4 .グルコース 1- リン酸(- 20.9 5 .ピロリン酸(- 19.2 6 1,3- ビスホスホグリセリン酸(- 49.4 7 ATP (- 30.5 8 .ホスホクレアチン(- 43.1 (2)“生化学的標準状態”について述べた次の文章のうち正しいものの番号を○で囲め。 1 .温度 273K 、圧力 1 気圧、 pH0 、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での G 2 .温度 273K 、圧力 1 気圧、 pH7 、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での G 3 .温度 298K 、圧力 1 気圧、 pH7 、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での G 4 G o ' は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、全条件で G はこの値をとる。 5 G o ' は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、 G は温度のみの関数である。 6 G o ' は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、 G は濃度により変化する。 (3)ある中間代謝物 X ATP でリン酸化し、 XPi なる化合物を生成する反応を考える。 X をリン酸化する反応( X + Pi XPi )の標準自由エネルギー変化は 13.8kJ/mol とする。 解答以外の数値は部分点なし。 1 ATP X をリン酸化する反応の反応式を書け。 5 X + ATP XPi + ADP 2 .その時の標準自由エネルギー変化を求めよ。 10 G 0 '(kJ/mol) X + Pi XPi +13.8 ATP ADP + Pi - 30.5 X + ATP XPi + ADP - 16.7 左の反応式から、 X のリン酸化反応 ATP の加水分解反応のそれぞれの 標準自由エネルギー変化を加え合わ せたものが ATP による X のリン酸化 反応の G 0 ' となる。したがって、 G 0 '= - 16.7 kJ/mol 3 [ATP] = 3.5 mM [ADP] = 0.7 mM [Pi] = 4.0 mM [X] = 0.8 mM [XPi] = 0.5 mM ときのこの反応の自由エネルギー変化を求めよ。 ただし、温度は 37 ℃とする。 20 ! = ! ! + !"ln [ADP][XPi] [ATP][X] = 16.7×10 ! + 8.3145×310 ×ln 0.7×10 !! ×0.5×10 !! 3.5×10 !! ×0.8×10 !! = 16700 5359 = 22059 22 kJ mol

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平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(1枚目/全 2枚) 2012.11.27 解答と配点 14.代謝 【1】 ADP のリン酸化 (ATP 合成 )反応の標準自由エネルギー変化 ∆G o 'は 30 .5kJ /mol である。

[ (1) ○○○○: 5、○○○○X: 3、それ以外○> X: 1、 (2)○○: 5、○X: 3] (1)次の 1~ 8 のリン酸化合物のうち、標準状態で ATP 合成できるものの番号を○で囲め。( )内はリン酸基の加水分解に伴う自由エネルギー変化である(単位 kJ /mol) 。

1.ホスホエノールピルビン酸(-61 .9) 2.グルコース 6 -リン酸(-13 .8)

3.アセチルリン酸(-43 .1) 4.グルコース 1 -リン酸(-20 .9)

5.ピロリン酸(-19 .2) 6. 1 ,3 -ビスホスホグリセリン酸(-49 .4)

7. ATP(-30 .5) 8.ホスホクレアチン(-43 .1)

(2)“生化学的標準状態 ”について述べた次の文章のうち正しいものの番号を○で囲め。

1.温度 273K、圧力 1 気圧、 pH0、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での ∆G

2.温度 273K、圧力 1 気圧、 pH7、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での ∆G

3.温度 298K、圧力 1 気圧、 pH7、反応式に現れる化合物の濃度全て 1M での ∆G

4. ∆G o 'は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、全条件で ∆G はこの値をとる。

5. ∆G o 'は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、 ∆G は温度のみの関数である。

6. ∆G o 'は化学反応の自由エネルギー変化の基準点で、 ∆G は濃度により変化する。

(3)ある中間代謝物 X を ATP でリン酸化し、 XPi なる化合物を生成する反応を考える。X をリン酸化する反応( X + P i → XPi)の標準自由エネルギー変化は 13 .8kJ /mol とする。

※解答以外の数値は部分点なし。

1. ATP で X をリン酸化する反応の反応式を書け。[ 5]

X + ATP XPi + ADP

2.その時の標準自由エネルギー変化を求めよ。[ 10]

∆G0 '(kJ/mol) X + Pi XPi +13.8

ATP ADP + Pi -30.5

X + ATP XPi + ADP -16.7

左の反応式から、X のリン酸化反応と ATPの加水分解反応のそれぞれの標準自由エネルギー変化を加え合わせたものが ATPによる Xのリン酸化反応の∆G0 'となる。したがって、

∆G0 '=-16.7 kJ/mol

3. [ATP] = 3 .5 mM 、 [ADP] = 0 .7 mM、 [P i ] = 4 .0 mM、 [X] = 0 .8 mM、 [XPi ] = 0 .5 mM のときのこの反応の自由エネルギー変化を求めよ。ただし、温度は 37℃とする。[ 20]

∆! = ∆!!′ + !"ln[ADP][XPi][ATP][X]

= −16.7×10! + 8.3145×310

×ln0.7×10!!×0.5×10!!

3.5×10!!×0.8×10!!

= −16700 − 5359 = −22059

∴ −22 kJ mol

平成 24 年度 M1「代謝生化学A」 定期試験(1)・田原担当(2枚目/全 2枚) 2012.11.27 解答と配点 14.代謝 (4)細胞内で A から D を生成する経路が、連続する3つの化学反応 A→ B、B→ C、C→ D

から成るとする。各化学反応を触媒する酵素を順に X, Y , Z とする。

1.3つの各化学反応の単独の標準自由エネルギー変化が順に-10、+10、0 .1(単位 kJ /mol)であるとき、調節段階となる可能性の高い反応は何番目の反応か。・・・1番目[ 3]

2. A から D をつくる経路が細胞内で実現しているとき、細胞は 2 番目の反応を何らかの方法で自発的に進めていると考えられる。その方法を1つ考え、簡潔に述べよ。[ 12]

① 多量にBを供給して (Cを消費して )2番目の反応の実際の ∆Gを負にする

② 2 番目の反応と ATP 加水分解を共役させ、合計の ∆G を負にする。等 【2】シトクロム( cy t)c の一電子酸化還元反応の標準酸化還元電位 E o 'は 0 .235V である。一方、 NADP+ の E o 'は-0 .320V である。

(1)以下のそれぞれの反応式を書け。cyt c は酸 化 状 態 がわかるように書 くこと。[各 5]

cy t c の半反応 cyt c(Fe3 + , 酸化型 ) + e- cyt c(Fe2 + , 還元型 )

NADPH の半反応 NADP+ + 2e- + H+ NADPH

(2)(1)の2つの半反応を共役させて反応式を完成させよ。またこのたとき酸化剤(電子受容体)と還元剤(電子受容供 与 体)は何か。[各 5]

酸化剤 : cyt c(Fe3 +) 還元剤 : NADPH

(3)反応で移動する電子の数に注意して、この反応の標準自由エネルギー変化 ∆G o 'を求めよ。有効数字 3 ケタ。ファラデー定数 F=96485J /mol・KV。[ 20]

反応に伴う ∆E 0 'は、

∆!!! = !!"#  !!’ − !!"#$%!’

= 0.235 − −0.320 = 0.555

このとき、標準自由エネルギー変化は、

∆!!′ = −!"∆!!!

= −2×96485×0.555 = −107098  (J mol)

∴ −107   kJ mol