1. 配電方式 - mitsubishielectric.co.jp · 22kv 6~3kv 6~3kv 200v 100v 100v 400~200v 100v...

10

Upload: others

Post on 29-Dec-2019

6 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

目次

1. 配電方式 …………………………………………1 1.1 発電所から需要家まで ………………………1 1.2 送配電電圧と方式……………………………1 1.2.1 電圧の種別……………………………1 1.2.2 標準電圧………………………………1 1.2.3 契約電力と受電電圧(供給電圧) ……2 1.2.4 周波数…………………………………3 1.2.5 配電方式………………………………4

6. 電気用語と公式……………………………… 57 6.1 電圧, 電流と抵抗(インピーダンス)……… 57 6.2 直流と交流(正弦波, 歪波, 高調波, 単相,三相)… 58 6.3 瞬時値, 最大値, 実効値, 平均値, 波形率, 波高率… 59 6.4 位相, 位相差, 力率 ……………………… 60 6.5 電力と電力量, 有効電力, 皮相電力, 無効電力… 60 6.6 入力, 出力, 効率 ………………………… 61 6.7 温度上昇…………………………………… 61 6.8 電圧降下…………………………………… 62

付録1. 電気用図記号   (JIS C 0617)抜粋 ……………… 63

付録2. 制御器具番号(JEM 1090)抜粋…… 68

付録3. 配電盤・制御盤・制御装置の用語    および文字記号(JEM 1115)抜粋… 70

2. 配電盤と盤用機器 ……………………………5 2.1 配電盤とは……………………………………5 2.1.1 配電盤の関連規格……………………6 2.1.2 配電盤の種類…………………………7 2.2 盤用機器………………………………………9 2.2.1 盤用機器の関連規格…………………9 2.2.2 盤用機器の種類…………………… 10 2.2.3 機器別の表示と規格……………… 11

4. 保護協調 ……………………………………… 28 4.1 保護協調の考え方………………………… 28 4.2 電線との保護協調………………………… 29 4.3 モータとの保護協調 ……………………… 29 4.4 高低圧機器の保護協調…………………… 31 4.5 各種遮断方式……………………………… 32 4.6 地絡保護協調……………………………… 33 4.7 瞬時停電保護……………………………… 33 4.7.1 瞬時停電保護装置の種類………… 33 4.7.2 瞬時停電保護装置適用上の問題点…… 36 4.7.3 瞬時停電再始動時の突入電流と電圧変動…… 37 4.8 短絡電流の計算…………………………… 40 4.8.1 用語の意味………………………… 40 4.8.2 各インピーダンスとその等価回路…… 42 4.8.3 短絡電流の種類…………………… 44 4.8.4 短絡電流の種類…………………… 46

3. コントロールセンタ………………………… 22 3.1 構造………………………………………… 22 3.2 形式・分類 ………………………………… 23 3.3 機能ユニット ……………………………… 24 3.3.1 構造………………………………… 24 3.3.2 機能ユニットの種類とサイズ …… 24 3.4 電子式マルチリレー ……………………… 25 3.4.1 構成・機能 ………………………… 25 3.4.2 メリット …………………………… 27 3.5 コントロールセンタのメリット …………… 27

5. 電気回路図 …………………………………… 47 5.1 電気回路図の種類………………………… 47 5.1.1 単線接続図(スケルトン図)……… 48 5.1.2 複線接続図………………………… 49 5.1.3 展開接続図(シーケンス図)……… 49 5.1.4 電路接続図………………………… 50 5.2 シーケンス ………………………………… 51 5.2.1 シーケンスの読み方……………… 51 5.2.2 シーケンスの書き方 ……………… 53 5.2.3 シーケンス例(電動機回路の例)…… 56

低圧盤用機器概論

1

1. 配電方式1.1 発電所から需要家までわが国の電力系統の構成は,モデル的に簡略化すると図 1.1 のようになります。家庭で使う電気は 100V とか200V ですが,市街地の変電所から電柱(柱上トランス)までの配電線には 6600V という高い電圧で送られてきています。もっとさかのぼると発電所と変電所を結ぶ送電線では 20kV とか 275kV さらには 50 万 V という非常に高い電圧で電気が送られてきています。これは電圧を高くすることによって限られた電線サイズで効率良く,しかも電圧に比例して多くの電気(電力)を送ることができるからです。したがって,電気を多く使う工場やビルなどの大口需要家には高い電圧で直接電気が供給され,需要家の変電所で安全な電圧に変えてから使用されます。

1.2 送配電電圧と方式1.2.1 電圧の種別電気設備の保安確保のために電気設備技術基準(省令)第 2 条で,電圧は低圧,高圧,特別高圧の 3 種類に分類されています。その区別は表 1.1 の通りです。電圧が高くなれば当然それだけ危険性も増大します。したがって,低圧,高圧,特別高圧という区別によって保安確保のための規制も大きな区分けが行われているわけです。さらに,危険の段階に応じてこれらの電圧を細分して規制が行われています。低圧は一般需要家の屋内電路に使用される電圧です。特に一般の人が触れる恐れがあり,電圧による危険性を考慮しなければならない家庭内の電路や電気機器では,原則として対地電圧を 150V 以下とするように規制されています。高圧は主として電力会社の配電幹線で使用される電圧ですが,大工場の大形電気設備機器にも使用されます。特別高圧は主として発・変電所,送電線路および特定需要家向けの配電線路で使用される電圧です。大都市においてはビルの高層化にともなってビルの受電容量が大容量化するとともに,高層ビルの集中によって電力需要密度が著しく高まっており,この電力需要の過密に対応するために特別高圧による配電を行い,回線数の抑制を図りながら配電容量を増大しています。

1.2.2 標準電圧電線路を代表する線間電圧のことを電路の公称電圧といい,100V から 500kV の範囲内の公称電圧を標準化したのが標準電圧です。標準電圧は JEC 0222 で表 1.2 に示す値に定められています。わが国の送配電電圧は表1.2に示す標準電圧(公称電圧)に統一され,機器類を規格化し,他の送配電線との連係を容易にし,電力系統の単純化を図っています。

低  圧 高  圧 特別高圧

交  流 600V以下

7,000V以下 7,000Vを越えるもの

直  流 750V以下

表1.1 電圧の種別

3,300 6,600 11,000 22,000 33,000 66,000 77,000

110,000 154,000 187,000 220,000 275,000 500,000

1,000Vをこえる公称電圧(V) 1,000V以下の公称電圧(V)

表1.2 標準電圧(公称電圧)

100200

100/200230400

230/400

図1.1 電力系統の構成

火力発電所

水力発電所

火力発電所

水力発電所

原子力発電所

超高圧変電所 一次変電所

中間変電所

154kV

154kV

154~66/77kV

275~500kV

66/77kV 6kV 6kV 66/77kV

22kV

6~3kV 6~3kV

200V

100V 100V 100V 400~200V

100V/200V

配電用変電所 送電線

配電線

小工場~50kW

一般家庭

低圧需要家 高圧需要家

ビル中工場

50~2000kW

自家用 変電所

自家用 変電所

自家用 変電所

大工場高層ビル

2000~10000kW大工場

10000~50000kW

電力会社

需要家

特別高圧需要家

柱上トランス

400 ~200V

400 ~200V

高圧スイッチギヤ キュービクル式高圧受電設備 特高キュービクルおよび特高C-GIS

2

表1.4 契約電力と受電電圧

総容量400VA以下使用負荷機器を設定する。

契約電流 5A電流制限器を設置

所定の算出方式による契約容量の総量が6kVA以上で50kVA以下の電灯または小型機器需要

所定の算出方式による契約電力が50kW以下の動力を使用する需要家

契約電流 10A,15A,20A,30A 40A,50A,60A契約電流に応じた電流制限器を設置

同左

該当なし

同左

契約容量が6kVA以下で,定額電灯対象外の需要家6kVA以下の判別は負荷の実情に応じて窓口協議所定の算出方式による契約容量の総量が6kVA以上で50kW未満の電灯または小型機器需要

T   社 K   社契約種別定 額 電 灯

従 量 電灯 A

従 量 電 灯 B

従 量 電 灯 C

低 圧 電 力

表1.3 契約電力と受電電圧

契  約  電  力

50kW未満

50kW以上2000kW未満

2000kW以上

受  電  電  圧

低圧(一般には200V)

高圧(6kV級)

特別高圧(一部高圧あり)

管  理  方  法

一般用電気設備(電力会社)自家用電気設備

(保安協会などに委託可)(注)自家用電気設備(主任技術者)

注.保安協会などへの委託は契約電力に関係なく,高圧受電であれば可能。

1.2.3 契約電力と受電電圧(供給電圧)電力を供給する場合,契約電力の大小に応じて,合理的,経済的な受電電圧がほぼ一義的に決まってきます。たとえば,契約電力が 5000kW の需要家に 100V の低圧で供給すると大電流を流す必要があり,この大電流に見合った極めて太い配電線が必要となり技術的にも,経済的にも大きな問題となります 。 これとは反対にきわめて小容量の一般家庭に高い電圧で供給すると,消費電力に不相応な変圧器が必要になったり,危険防止のために相当な電気技術の知識が必要になります。このように契約電力の大きさと供給電圧の間には,主として経済的理由にもとづく一定の関係があります。そんなわけで表 1.3 に示すように契約電力の kW 数に応じて低圧,高圧,特別高圧に区分され,設備の管理方法も異なります。低圧供給と高圧供給の境界は,契約電力 50kW となっています。

なお,低圧の契約種別は,電灯需要(定額電灯,従量電灯,臨時電灯,公衆街路灯),電灯電力需要(業務用電力),電力需要(低圧電力,高圧電力,特別高圧電力,臨時電力,深夜電力,農事用電力,自家発補給電力,予備電力)などがあり,低圧受電では表 1.4 のとおりです。

3

図1.2 電力会社別電力供給区および周波数分布

(平成6年3月末現在)

北海道

北海道電力

岩手

茨城

静岡

長野岐

三重

滋賀

奈良

愛媛

宮崎

熊本

福岡

長崎

大阪和歌山

沖縄

沖縄電力

九州電力

四国電力

関西電力

北陸電力

中部電力

東京電力

東北電力

中国電力

石川

千葉

栃木群

宮城

山形

新潟

秋田

青森

福島

山梨

富山

福井

京都兵庫

鳥取

島根 岡山広島

山口

大分

鹿児島

佐賀

高知徳島香川

愛知

埼玉

東京神奈川

50Hz 地区

60Hz 地区

50Hz,60Hzの主な混在地区 

1.2.4 周波数わが国の電力系統の周波数は 50Hz と 60Hz の2種類が用いられています。日本列島のほぼ中央部,静岡県の富士川付近を境にして東側の東京・東北・北海道電力管内は 50Hz,西側の中部・北陸・関西・中国・九州・沖縄電力管内は 60Hz です。これは電気事業が開始された当初,東京では 50Hz 系のヨーロッパから機器を輸入し,大阪では 60Hz 系のアメリカから機器を輸入したことによるものです。新潟県と長野県では両周波数が混在しています。周波数の違いは,全国的に電気を融通させようという場合には大きな障害となります。現在では静岡県の佐久間発電所,東清水変電所と長野県の新信濃変電所に周波数変換装置を置いて,東西の電気が融通できるようになっています。周波数が違うと,使えなくなる電気機器が多くありますが盤用機器も例外ではありません。例えば,モータやモータの原理を使った電気機器(電力量計,タイマー)では,回転速度が周波数に比例し,駆動力が周波数の影響を受けるため,正しく働かなくなります。また,コイルを使った電気機器も磁束密度や励磁電流が周波数の影響を受けるため,電磁力や発熱,効率がちがってきます。例えば,電磁開閉器の操作コイルでは,発注時に周波数の指定が必要です。

4

1.2.5 配電方式わが国における一般の低圧配電方式には表 1.5 のものが使われています。

5

2. 配電盤と盤用機器配電盤(ここでは閉鎖配電盤,低圧閉鎖配電盤,コンビネーション・スタータ盤,制御盤,分電盤などを総称しています。)は多くの人になじまれ,素人の人でも口にするほど一般化しています。配電盤の機能を一言でいえば,「給電の安全と連続性(信頼性)」の維持にあるといえます。また,この機能を果たすために配電盤に組込まれる機器,すなわち,電力回路を保護・開閉,制御,変成,監視する電気機器が盤用機器といえます。配電盤の機能は非常に簡単な言葉で要約されますが,用途に応じて,この機能を果たすため,配電盤の種類は多種,多様です。大別しますと監視制御を主とする配電盤,すなわち電気諸系統の機器や回路を監視制御するために計器,操作スイッチ,継電器,調整器などを1箇所に集中装備した配電盤(監視制御盤)と,主回路機器(遮断器,断路器など電力開閉器,計器用変成器など)を収納する配電盤とになります。近年,配電盤を構築する盤用機器での大きな変化は絶縁技術の発達による機器の小形化とエレクトロニクスの導入による高機能,高精度,多機能化であり,プラスチックが多用されるようになったことです。この結果,盤の縮小化,集中化,グラフィック化,ディスプレイ/タッチパネル化など盤の形態が変わってきました。また,これらの盤用機器をネットワークし,コンピュータと組合わせ,規模に応じて保護,監視,制御,検針などのシステムが構築され,より迅速,より正確な動作とともに,配電盤運用面での大幅な省力化が計られています。本編では,盤用機器ごとの詳細な説明に先だって,予備知識として,配電盤と盤用機器の基礎的な知識を習得していただき,配電盤と盤用機器全般をマクロ的に理解していただくために,種類,用途,役割,位置付け,関連規格などについて要点をしぼって説明します。

2.1 配電盤とは配電盤は,電気機器,電力回路などを監視し,これらを確実に制御し,かつ異常状態においては迅速,適切にこれらを保護するために必要な器具類を集中装備するもので,その設備のいかんは電気機器,電力回路などの運用にきわめて重大な影響をあたえるものです。したがってこれの計画にあたっては,機器,回路の特性,運転条件,設備場所などあらゆる条件を慎重に検討し,これを決定しなければなりません。一般に配電盤として具備すべき条件をあげると

(1)運転および操作の信頼度の高いこと。(2)監視,制御が便利であること。(3)操作および取扱いが簡単で安全であること。(4)耐久性に富むこと。(5)設備場所の特殊性に合致すること。(6)保守,点検が容易で完全であること。(7)外観,体裁の良いこと。(8)据付が簡単で据付面積,容積が小さく廉価であること。(9)改修,更新に当って,その取扱工事が容易であること。などをあげることができます。

6

名          称電気用図記号シーケンス制御用展開接続図キュービクル式高圧受電設備住宅用分電盤キャビネット形分電盤標準電圧試験電圧標準インパルス電圧・電流試験一般制御器具番号配電盤・制御盤・制御装置の用語および文字記号配電盤・制御盤の盤内低圧配線用電線配電盤・制御盤の配線方式交流の相および直流の極性による器具および導体の配置と色別配電盤・制御盤およびその取付器具の色彩配電盤・制御盤用模擬母線配電盤・制御盤用ねん回形スイッチのとっての形状配電盤・制御盤取付用銘板コントロールセンタ配電盤・制御盤用操作スイッチの展開図示方法高圧コンビネーションスタータ低圧金属閉鎖形スイッチギヤおよびコントロールギヤ配電盤・制御盤の保護等級配電盤・制御盤の図面の種類配電盤・制御盤の接地配電盤・制御盤の絶縁距離受変電設備機器の色彩展開接続図の様式配電盤・制御盤の故障表示方式配電盤・制御盤の試験用端子金属閉鎖形スイッチギヤおよびコントロールギヤ配電盤・制御盤の構造および寸法配電盤・制御盤の定格および試験キャビネット形動力制御盤高圧受電設備用開放形配電盤キュービクル式高圧受電設備通則分電盤通則キャビネット形分電盤(Ⅲ06-1)・(Ⅲ04-2)汎用形分電盤Ⅰ・Ⅱ

規 格 番 号 JⅠS C 0617 JⅠS C 0401 JⅠS C 4620 JⅠS C 8328 JⅠS C 8480 JEC 0222 JEC 0102 JEC 0202 JEM 1090  JEM 1115 JEM 1122 JEM 1132 JEM 1134 JEM 1135 JEM 1136 JEM 1137 JEM 1172 JEM 1195 JEM 1218 JEM 1225 JEM 1265 JEM 1267 JEM 1268 JEM 1323 JEM 1334 JEM 1387 JEM 1404 JEM 1406 JEM 1407 JEM 1425 JEM 1459 JEM 1460 JSⅠA 113 JSⅠA 114 JSⅠA 200 JSⅠA 300 JSⅠA 302・303 JSⅠA 305・306

(2)規格一覧表

2.1.1 配電盤の関連規格配電盤の範囲は広く,概念がつかみにくいものですが,機能面や構造面の区分により,JIS,JEC,JEM の各種関係規格が作られてきました。配電盤に関連する規格は数多くありますが,おもに盤の製作上必要なものは下記の通りです。

(1)規格と制定団体と略号 日本工業規格(電気)    日本国政府(経済産業省) JIS C □□□□ 電気学会標準規格     電気学会(電気規格調査会) JEC □□□ 日本電機工業会標準規格 日本電機工業会 JEM  □□□□ 日本配電盤工業会規格 日本配電盤工業会 JSIA  □□□□

(2)規格一覧表

7

図2.1 キュービクル式高圧受電設備

単線結線図

屋内用屋外用屋内用屋外用

4000kVA以下

300kVA以下

CB形

PF・S形

形  式 受電設備容量

キュービクル式高圧受電設備キュービクル式高圧受電設備とは配電盤,保安開閉装置などの受電設備,変電設備およびこれに伴う機器一式を,接地された金属箱内に収めたものをいいます。

ZCT

VCT

VT

F F

DS

VCB

OCRCT

TC GR

Wh

V

A

V

T T T

A

V

A

V

A

SRX

SC

LBSPF付 PF付 PF付 PF付

LBS LBS LBS

MCCB MCCB MCCB

CT CT CT

I

I

CB形単線接続図

3

2.1.2 配電盤の種類(1)キュービクル式高圧受電設備高圧需要家が,電力会社から受電するために用いる受電盤で,公称電圧 6.6kV,系統短絡容量 12.5kA 以下の回路に用います。受電設備容量 4000kVA 以下の受電設備に適用されます。主遮断装置の違いによって CB 形,PF・S 形の 2 種類があります。CB 形は主遮断装置として高圧交流遮断器(CB)を用いる形式です。最近では高圧交流遮断器として真空遮断器が多く使用されています。遮断器には,計器用変成器(変流器,零相変流器),過電流継電器,地絡継電器が組合わされ,短絡,過負荷,地絡事故のときに遮断器を動作させて回路を保護します。PF・S 形は,受電設備から計器用変成器,保護継電器を省略して極力簡素化し,経済化を図ったもので,300kVA 以下の小さな設備に適用されます。主遮断装置としてヒューズ付き高圧交流負荷開閉器を使用したもので,高圧限流ヒューズ(PF)で事故電流を限流したのち,高圧交流負荷開閉器(LBS)によって回路を切り離して,回路を保護するものです。

(2)パワーセンタ(ロードセンタ)一般工場,または,ビルなどの低圧動力回路あるいは抵抗負荷(電灯)などを集中使用する場所に多く用いられます。変圧器容量が 1500kVA に達するものがあり,600V 以下の負荷の中心,または,低圧電源の中心に置かれ,電源トランス,気中遮断器,計器用変成器や監視,制御器具類を集中装備したキュービクル配電盤です。

図 2.2 400V 低圧パワーセンタ

8

(3)コンビネーションスタータ(コントロールセンタ)600V 以下の低圧モータや抵抗負荷(電灯)などの電路開閉および保護をするもので,多数のユニットを集中的にまとめたものです。配線用遮断器と電磁開閉器を主体とし,監視制御器具を一体化してユニットとし,これらの複数個のユニットを自立盤に組み込んだ多段積配電盤です。多数の負荷を一箇所または数箇所で集中制御する場合に使用されます。

(4)分電盤電路制御のため,開閉器・配線用遮断器・漏電遮断器・ヒューズ・計器・継電器などの器具をまとめて取り付けたものが配電盤です。屋内配線では,幹線から分岐回路の分かれるところには,配線用遮断器や漏電遮断器やヒューズやスイッチを取り付けます。これら諸器具を取り付ける配電盤を特に分電盤といいます。また,負荷の種類により電灯分電盤や動力分電盤があります。主に住宅などの引込口装置として使用する分電盤を住宅用分電盤(ホーム分電盤)と呼び,キャビネットの内部に主開閉器,分岐開閉器,安全ブレーカ,漏電遮断器などの全部または一部を組み込んだもので,電流制限器 (リミッター)の設置場所を設けたものと設けないものがあります。

図 2.3 低圧コントロールセンタ(例)

図 2.4 分電盤

(5)制御盤電動機を自動または手動で制御するのに必要な諸器具を取付けた配電盤を,特に制御盤といいます。壁掛形・自立開放形・キュービクル形などがあります。制御盤は用途によって,ポンプ・送風機・空調装置・エレベータなどの電動機に対するものがあり,配線用遮断器・漏電遮断器・電磁開閉器・ヒューズ・計器・液面継電器などを取付けます。

図 2.5 制御盤

操作ハンドル

制御回路端子台 デバイスパネル