1 ㎏のロール原紙 フォークリフト用アタッチメントで 荷役作...
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重さ200㎏のロール原紙ロールクランプで荷下ろし
向島流通サービス㈱は,倉庫業や流通加工など様々な物流関連事業を手掛ける会社で,グループ会社の向島運送㈱と連携した輸配送サービスも展開している。
今回取材で訪れた栃木営業所(栃木県芳賀郡市貝町)❶では,隣接する大手化粧品・トイレタリーメーカーの協力会社として業務を行っている。オ
ムツなどの製造に使う原材料の受け入れが主な仕事で,同社の倉庫で原材料を一時保管し,必要に応じて供給する。また工場から出荷される商品の保管・配送も行う。工場では,フ
ォークリフト作業並びに生産業務の一部を請負っており,「工場物流の1から10までと言っても差し支えない」(同社常務取締役・須藤英一氏)ほど,幅広いサービスを提供している。
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第138回
フォークリフト用アタッチメントで荷役作業の安全性・効率性を向上取材協力 向島流通サービス㈱,カスケード(ジャパン)リミテッド
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原材料で最も多いのが紙で,ロール原紙と呼ばれる大きなロールに巻かれた状態で届く❷。複数の種類があるが,重量は1本当たり約150~200㎏のロール紙が多く,最大約1tと非常に重い。その多くは港から海上コンテナに積まれて営業所に届く。コンテナ内は,ロール原紙がぎっしりと直積み・縦積みされた状態で,パレタイズされていない。
これをどうやって荷下ろしするか。同社では,カスケード(ジャパン)リミテッド製アタッチメントの「ペーパーロールクランプ」を装備した7台のフォークリフトで対応している。2本のアームでロール原紙をしっか
化によりフォークリフトの許容荷重を向上させている。
原綿の荷下ろしにも活用回転させてからの保管も
ロール原紙に次いで多い綿繊維の固まり(原綿)の運搬にも,アタッチメントが活用されている。綿といっても侮れない。ベール化(圧縮梱包)されて届くので,1個当たりの重量は約200㎏に達する❺。
原綿もロール原紙と同じく,海上コンテナで届く際,パレタイズされていない。そこでカスケード製の「ベールクランプ」❻を取り付けたフォークリフトを使って,両脇から挟み込んで把持し荷下ろしする。現在,6台が稼働中。ペーパーロールクランプと同じく,安全性・効率性の確保に貢献している。
りつかみ,パレットに移し替える❸❹。ロール原紙専用に開発されたアタッチメントなので,ロール原紙を傷つけることもない。
ペーパーロールクランプ導入前は,通常のフォークリフトに人手でロール原紙を載せ,荷下ろししていたという。危険も伴う大変な重労働だったが,ペーパーロールクランプの導入で安全性が向上し,大幅な労力の削減になった。
なお,営業所に導入したモデルは,従来モデルより本体をスリム化した新型で,視界性が格段に改善された。操作がしやすくなり,その点でも安全性が高まった。さらに大幅な軽量
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穴澤 陽所長
飯田 晃取締役 部長
須藤英一常務取締役
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原綿の荷下ろしについては,カスケード製の「アペンディングクランプ」❼も試験導入中だ。原綿が横積みになっていた場合に,そのまま原綿を掴んで取り出し,パレット手前で回転させて載せる❽~�。
カスケードの製品ラインナップには存在しないアタッチメントだが,向島流通サービスの要望を受け,既存のアタッチメントをカスタマイズした。ベールクランプに使い慣れた現場であることも考慮し,同じような操作感覚で使えるように工夫したという。
ベールクランプやアペンディングクランプの導入は,業務品質の向上にも貢献している。同社取締役 部長(栃木担当役員)の飯田晃氏は,「通
常のフォークリフトでの運搬では,リフト本体のチェーンのグリスが原綿の包装紙に付着することがありました。包装紙といえども商品の一部ですから汚すわけにはいきません」と話す。
また,請負事業部 課長(兼)栃木営業所 所長の穴澤陽氏は,「人手による荷扱いでは,勢い余って包装紙が
破れることもありました」と指摘する。
テレスコピックフォークが50台,パレットを2枚同時に運搬
パレタイズ以降の作業でもアタッチメントは活躍する。カスケード製
「テレスコピックフォーク」では,フ
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ォーク部分を伸縮可能にすることで,フォークリフトの運搬能力を大幅に向上した��。フォークを伸ばせば,パレットを同時に2枚運べる。
写真�はフォークを伸ばしてパレットを2枚持ち上げている様子。そのままトラックまで運んで積み込みを行う�。次々と積み込まれる訳だ
が,残りのパレットが上下1枚ずつになったらどうするか。フォークを縮めて上の1枚を下ろし,フォークを伸ばして再度2枚運ぶ�~�。取材では一連の作業が手際よく進んでいく様子が見て取れた。
須藤氏は「かなりの省力化になりました。パレットを2枚運んでも単純に作業時間が半分になるわけではありませんが,もしテレスコピックフォークがなかったら,今の1.5倍以上のフォークリフトとオペレーターが必要になったと思います」と語る。
同営業所で稼働中の152台のフォークリフトのうち,実に50台にテレスコピックフォークが装備済み。導入に当たっては,断面の薄いスリムタイプを採用した。その理由について須藤氏は「薄い方がパレットに挿入しやすいからです。前に使っていた別会社のフォークで木製パレットを運ぼうとすると,フォークが接触し
て木屑が出ることがありました」と指摘する。原材料の衛生確保を考えれば,木屑を出さないことも重要だ。
また,積み込みにかかる作業時間が短縮されると,副次的な効果も大きい。須藤氏が「トラックの台数がさばけて回転が効く」と指摘するように,トラック滞留時間の短縮につながる。これは待機スペースの削減,周辺道路の渋滞緩和にも貢献するはずだ。
少し見にくいかも知れないが,写真のフォークオペレーターが女性ばかりなのにお気付きだろうか。同社全体で150人在籍するオペレーターのうち約半数が女性だ。同社は社内に社員専用託児所を設置するなど女性の活用に積極的。上記アタッチメント導入により荷役作業を大幅に減少させたことが,女性オペレーターの増加を後押ししていることは確かだろう。
須藤氏は「女性は繊細なので,荷物の汚れにも気づいてきれいにしてくれます」と,その仕事ぶりを高く評価する。作業の様子を見ていてもフォークの下ろし方が丁寧で,地面に打ち付けるようなこともない。フォークリフト本体の傷も少ない印象を受けた。アタッチメントの導入は,物流現場の人材不足の問題解決にも有効なのだ。 MF
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