1-methylcyclopropene(1-mcp)による果実の鮮度保持...1-mcp の処理方法と処理効果...
TRANSCRIPT
– 68 – – 69 –
■ はじめに1-methylcyclopropene(1-MCP)は、1996 年に米国
で開発された強力なエチレン作用阻害剤です。収穫後の果実に処理することにより、貯蔵中の果肉軟化、果色の変化(クロロフィルの分解)等エチレンに起因する品質劣化を顕著に抑制し、果実の日持ち性を向上させます。すでに、米国、EU諸国、オーストラリア、中国等
31ヶ国で使用が認可されています。日本では、リンゴ、ニホンナシ、カキを対象に現在農薬登録申請中です。
■ 1-MCPの処理方法と処理効果1-MCPは常温、常圧では気体です。1-MCP処理は、
密閉容器に果実を入れて12~24時間密閉して行います。
■ 我が国の出荷形態に合った処理技術の開発我が国では小規模な選果場が多く、直販等個別出
荷する生産者も多いことから、諸外国のように大規模な貯蔵庫等を利用した処理技術だけでは対応が困難です。そこで、我が国の出荷形態に合った処理技術を開発しました。
1.処理時間を大幅に短縮可能な減圧処理技術1/8気圧以下の減圧下で処理することにより、数分間
の処理で 12~ 24時間かかる通常処理と同等な鮮度保持効果が得られることを明らかにしました(特許技術)。
2.機能性段ボール箱を使用した処理技術密閉容器の代わりにガス透過性の低い市販の段ボー
ル箱を使用することにより、通常処理と同等な鮮度保持効果が得られることを明らかにしました。
Fig.3 減圧下 1-MCP処理がリンゴ “ジョナゴールド” の果肉硬度に及ぼす影響(20℃に 4週間貯蔵)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
Fig.1 1-MCPの処理方法
0
4
8
12
16
20
4 6
1-MCP
Fig.2 1-MCP処理がリンゴ “ジョナゴールド” の果肉硬度に及ぼす影響(20℃に貯蔵)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
Fig.4 機能性段ボール箱を利用した 1-MCP処理の様子とリンゴ“王林”の果肉硬度に及ぼす影響(20℃に 3週間貯蔵)
TXテクノロジー・ショーケースin つくば 2009
P-66食品
1-methylcyclopropene(1-MCP)による果実の鮮度保持
代表発表者 羽山 裕子(はやま ひろこ) ■キーワード : (1)果樹(2)鮮度保持(3)植物生育調節剤
所 属 (独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所 果実鮮度保持研究チーム
問 合 せ 先 〒 305-8605 茨城県つくば市藤本 2-1TEL: 029-838-6502, FAX: [email protected]