【1】環境問題の発生原因...1-4.環境問題とは何か?<環境問題とは?>...

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【1】環境問題の発生原因 環境デザイン工学科 「環境計画学」(担当:阿部宏史)

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Page 1: 【1】環境問題の発生原因...1-4.環境問題とは何か?<環境問題とは?> 人間社会が,これを取り巻く外囲としての自然生態系に様々の

【1】環境問題の発生原因

環境デザイン工学科「環境計画学」(担当:阿部宏史)

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【1】環境問題の発生原因

<講義のポイント>

①「持続可能な(開発)発展」の考え方(Sustainable Development)

②「持続可能な発展」を阻害する要因=環境、経済、社会、グローバル化(先進国と開発途上国)

③現代社会を持続可能にするためには何が必要か?

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<辞書による定義>

まわりをとり囲んでいる事物。 特に,人間や生物を取り巻き,

それとある関係を持って,直接,間接の影響を与える外界。

「自然的環境」と「社会的環境」とに大別する。

(出所:Microsoft/Shogakukan Bookshelf)

<法律による定義>

中国「環境保護法」第2条

環境は,人類の生存と発展に影響する各種の「天然要素」,または「人工によって改造された自然要素の総体」を指し,大気,水,海洋,土地,鉱物資源,森林,草原,野生生物,自然遺跡,自然保護区,風景名所,都市及び農村などを含む。

(出所:李志東「中国の環境保護システム」,東洋経済新報社,1999年)

1-1.環境(Environment)の定義

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 (1)自然環境の仕組み (2)人間社会と環境問題 (3)環境を守る技術と社会の仕組み

<地球の仕組み> <人間社会と自然界の関わり> <環境を守る技術>

雨、雪、雲、霧 自然界  ○自然エネルギーの利用技術(自然環境)  ○水質浄化技術

台風 気 圏 竜巻  ○大気浄化技術○自然の利用 ○自然の制御  ○土壌、地下水浄化技術 農業  土木技術  ○廃棄物処理技術

海洋、海流 水 圏 河川、湖沼  工業  建築技術  ○環境保全型建設工法 エネルギー  都市  ○省エネルギー、低公害技術

 交通  ○資源リサイクル技術地殻、火山 地 圏 地震、津波

人間社会断層、温泉 (人工環境)

<環境を守る社会の仕組み>

<生き物の世界> <環境問題の発生>  ○省エネルギーの促進 ○廃棄物リサイクルの促進

樹木、草花 大気汚染 公害問題 水質汚染  ○車利用の抑制 ○環境アセスメント、環境税

動物 生物圏 昆虫 交通混雑 都市環境問題 ゴミ問題  ○資源循環型社会 ○環境共生都市

海生物 地球温暖化 地球環境問題 酸性雨  ○環境倫理、環境教育

1-2.環境科学(Environmental Science)の対象

環境科学の特徴 : 学際的(Interdisciplinary)分野

より重要に

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1-3.環境の機能と経済学的特徴

<環境の基本的機能>

①自然資源基盤 → 自然(環境資源)の破壊

②アメニティ(生活,文化)の供給 → アメニティ破壊

③廃棄物の同化・吸収 → 環境汚染

④生命サポートシステム → 生物種の絶滅

(植田和弘「環境経済学」,岩波書店,1996年)

<環境の経済学的特徴>

①公共財 : 共同消費,非排除性

②地域固有財: 代替不可能な地域固有の特徴を有する。

(自然景観,歴史・文化など)

③不可逆性 : かけがえのない存在

(植田和弘「環境経済学」,岩波書店,1996年)

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1-4.環境問題とは何か?

<環境問題とは?>

人間社会が,これを取り巻く外囲としての自然生態系に様々の

変化を与え,これが再び人間や社会に悪影響をもたらす事象で,

そのような社会と環境との「関係性」のことである。

(土木学会環境システム委員会編「環境システム」,共立出版,1998年)

環境問題は,狭義に解釈すれば,人間自身が引き起こした社会問題である。

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1-5.人間社会と自然界の関係

自然破壊

環境汚染

資 源

再 生

資源採取

生 産

消 費

廃棄物

<自然界> <人間社会>

循環の維持

<動脈側>

<静脈側>

持続可能な開発(Sustainable Development)の達成

適正な資源循環(自然資本の保全)

小さく

小さく

再生可能か不可能か

太陽

化石資源原子力

持続不可能

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1-6.Sustainable Development(持続可能な開発(or発展))

国連「環境と開発に関する世界委員会」

(ブルントラント委員会,1987年)

“Development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs.”

「将来世代が,自身の要求を満たそうとする能力を

損なうことなく,現在の人々の要求を満たしうる

発展。」

・世代間(現在世代と将来世代) の衡平(公平)性

・世代内(社会階層,地域,国家)の衡平(公平)性

Our Common Future,Oxford Paperbacks. Oxford Univ Press, 1987/05

1992年地球サミット:「アジェンダ21」採択

1993年:国連が「持続可能な開発委員会」設置

「持続可能な開発」が国連政策の中心課題に

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<補足>岡山大学の理念・目的を知っていますか?

1.岡山大学の理念

「高度な知の創成と的確な知の継承」

人類社会を安定的、持続的に進展させるためには、常に新たな知識基盤を構築して

いかねばなりません。岡山大学は、公的な知の府として、高度な知の創成(研究)と

的確な知の継承(教育と社会還元)を通じて人類社会の発展に貢献します。

2.岡山大学の目的

「人類社会の持続的進化のための新たなパラダイム構築」

岡山大学は、「自然と人間の共生」に関わる、環境、エネルギー、食料、経済、保健、

安全、教育等々の困難な諸課題に対し、既存の知的体系を発展させた新たな発想の展開

により問題解決に当たるという、人類社会の持続的進化のための新たなパラダイム構築

を大学の目的とします。

このため、我が国有数の総合大学の特色を活かし、既存の学問領域を融合した総合大

学院制を基盤にして、高度な研究とその研究成果に基づく充実した教育を実施します。

人類社会を安定的、持続的に進展させるためには、常に新たな知識基盤を構築して

いかねばなりません。岡山大学は、公的な知の府として、高度な知の創成(研究)と的確

な知の継承(教育と社会還元)を通じて人類社会の発展に貢献します。

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1-7.戦後の経済発展と地域づくりの課題・環境問題

②高度経済成長期(1955年頃~1973年)

・年平均経済成長率 約9%・重化学工業(鉄鋼,石油化学工業)・臨海工業地帯の建設(新産業都市など)

<1973年 第1次石油危機>

①戦後復興期(1945年~1955年頃)

・第2次世界大戦による国土の荒廃・治山治水,電源開発,食糧増産

③安定成長期(1973年~1992年)

・年平均経済成長率 約4%・加工組立型工業(自動車,電気機械)・高速交通網の建設(新幹線,高速道路,空港)

<1985年 プラザ合意 → バブル経済の形成と崩壊>

④バブル崩壊後の低迷期(失われた20年~アベノミクス)

・年平均経済成長率 約0.8%(1992~2009年度)・少子化,高齢化,人口減少<→限界都市,地方消滅>・高度情報化,グローバル化,サービス経済化

<→AI, IoT, Society5.0>

高速道路,空港建設による加工組立型工業の地方展開

・テクノポリス構想

グローバル化,少子・高齢化,サービス経済化に対応した大都市の再生,地方都市の中心市街地再生・市街地再編

臨海コンビナート建設による重化学工業の地方展開

・新産業都市・工業整備特別地域

<地域づくりの課題>

産業公害問題

都市・生活型環境問題

地球環境問題

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地球環境問題 <1990年代~>

狭域 広域<空間軸>

<時間軸>

短期

長期

<環境問題の質的変化と社会への影響>

時間軸 → 次世代への影響(世代間の衡平性)

空間軸 → 他地域への影響(地域間(世代内)の衡平性)

産業公害問題 <1960年代>

都市・生活型環境汚染問題

<1980年代~>

<ほぼ解決>

1-8.環境問題の質的変化

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環境問題拡大の原因

(1)人口増加

・開発途上国の人口爆発

・都市人口の増大

(2)資源・エネルギー消費の増大

・工業化の進展

・生活の高度化,多様化

(3)経済社会活動の拡大

・都市の成長

・経済活動のグローバル化

環境負荷の構成要素

I=P×A×T

I:人間活動による環境負荷の総量

P:人口

A:平均的な人間が消費する資源量(1人当たり消費量)

T:科学技術の環境負荷指数(逆に見ると「利用効率」)

1-9.地球環境問題の主要因

人口増加を抑える。1人当たりの消費を抑える。利用効率を高める。

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1-10.世界人口の長期的推移:紀元前1万年~2050年

世界人口の長期的動向:紀元前1万年~西暦2050年

1 5 7 27 100 150 190 190 207 226 301 400 443 425 470 6291128

17502070

2400

3707

5278

6847

8241

9338

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

-10000

-6500

-4000

-2000

-500

-200

200

500

700

900

1100

1250

1340

1500

1650

1750

1850

1910

1930

1950

1970

1990

2010

2030

2050

西暦年

世界人口 百万人

(資料:アメリカ合衆国統計局ホームページ)

・農業社会の間は低人口増: 1.7億人(紀元0年) → 6.3億人(1750年) <年率0.075%>

・産業革命後の人口急増 : 6.3億人(1750年) → 25億人(1950年) <年率0.692%>

・開発途上国の人口爆発 : 25 億人(1950年) → 57億人(1995年) <年率1.848%>

農業社会

産業革命後

第2次大戦後

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1-11.世界人口時計

<出所> U.S. and World Population Clock: https://www.census.gov/popclock/

2019年4月11日9時14分

<1分後>

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<1950年~2050年の人口増加の内訳>

・世界全体 : 25.2億人 → 95.5億人 (+70.3億人)

・先進国 : 8.1億人 → 13.0億人 (+ 4.9億人)

・開発途上国: 17.1億人 → 82.5億人 (+65.4億人)

1-12.世界の人口:先進国と開発途上国の比較

先進国と開発途上国の人口の推移:1950年~2050年(データ出所:総務省統計局HP・世界の統計2014)

8.1 10.1 11.5 12.4 13.0 13.0

17.1

26.8

41.7

56.8

71.382.5

0億人

20億人

40億人

60億人

80億人

100億人

120億人

1950年 1970年 1990年 2010年 2030年 2050年

先進国 開発途上国

25.2

36.9

53.2

69.2

84.3

95.5

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1-13.エネルギー資源は何年もつのか?

<出所>資源エネルギー庁HP:https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2018html/2-2-2.html

「可採年数」=「確認可採埋蔵量」

/「年間生産量」

5.8%可採年数153年

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1-14.地球温暖化と世界各国のCO2(≒エネルギー使用量)

2011年人口13.49億人

3.10億人

12.24億人1.43億人1.27億人0.82億人

出所:全国地球温暖化防止活動推進センターHP

地球温暖化によるリスク

人口1億人当たり1.99%

5.35%

0.47%3.71%2.91%

2.68%

人口1億人当たりの差に注目!

I=P(人口)×A(1人当たり)×T(技術)

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1-15.エコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint)

地球の環境容量をあらわす一つの例として,エコロジカルフットプリントがある。エコロジカルフットプリントとは,カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で開発された指標であり,WWF(World Wide Fund for Nature 世界自然保護基金)では,この指標を用いて地球の環境容量を計算した。エコロジカルフットプリントは,人々の資源消費量と自然の生産能力とを比較したものである。右図の地域別では,北アメリカが も高く,日本の場合には,それぞれ4.77グローバルヘクタール,0.71グローバルヘクタールであり,日本はその生産能力の約7倍の資源を消費していることになる。

出所:平成13年度版・環境白書,及び平成15年度版・環境白書より

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不特定多数限定原因者と被害者

困難可能技術的解決

長期短期~中長期影響期間

物質そのものによる被害ではなく,間接的な被害の恐れ

物質が直接人体に影響する恐れ対象地域

産業公害問題 → 都市・生活型環境問題 → 地球環境問題

不特定多数限定原因者と被害者

困難可能技術的解決

長期短期~中長期影響期間

物質そのものによる被害ではなく,間接的な被害の恐れ

物質が直接人体に影響する恐れ対象地域

産業公害問題 → 都市・生活型環境問題 → 地球環境問題

1-16.地球環境問題とその特徴

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1-17.地球環境問題の原因:開発途上国と先進国の関係

(出所:坂田俊文監修「ジオカタストロフィ」,NHK出版)

開発援助

(環境配慮の不足)

開発途上国 経済活動

海洋汚染 の公害問題 の拡大

窒素酸化物 酸性雨

硫黄酸化物 砂漠化 過放牧 人口急増

過耕作業

高度な 化石燃料 炭酸ガス等 地球温暖化

経済活動 の使用 熱帯雨林 焼畑移動 貧困と

の減少 耕作等 対外債務

化学物質 フロン オゾン層

の使用 破壊 有害廃棄物

野生生物種 の越境移動

国際取引 の減少

:主な地球環境問題

開発途上国

先進国

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1-18.先進国と開発途上国の状況

出所:岡山市京山地区ESD推進協議会第4回岡山市京山地区ESDフェスティバル

環境・経済・社会的公正

先進国と開発途上国の対立

ローカルとグローバルの関係

地球環境問題

先進国

開発途上国

飢餓衛生問題

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1-19.先進国と開発途上国の持続不可能性

・高価な工業製品

・経済進出、援助(→経済支配)

・安価な一次産品

(農林漁業,鉱業)

<先進国>

・高所得,少子化,高齢化・大量生産,消費,廃棄・エネルギー多消費

<開発途上国>

・低所得,貧困(絶対的貧困)・低寿命,人口爆発・自然破壊

先進国と開発途上国の対立・紛争

①経済的な要素 ②社会的な要素 ③環境的な要素

①~③の関連性

先進国と途上国が抱える持続不可能性の原因

豊かさの中で進む

持続不可能性

貧しさの中で進む

持続不可能性

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1-20.国連ミレニアム・サミット(2000年9月)

①極度の貧困と飢餓の撲滅・2015年までに1日1ドル未満で生活する人口比率を半減,飢餓人口を半減。

②普遍的初等教育の達成・2015年までに全ての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了。

③ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上・2015年までに全ての教育レベルにおける男女格差を解消する。

④幼児死亡率の削減・2015年までに5歳未満児の死亡率を3分の2減少させる。

⑤妊産婦の健康の改善・2015年までに妊産婦の死亡率を4分の3減少させる。

⑥HIV/エイズ,マラリアその他疾病の蔓延防止・HIV/エイズの蔓延を2015年までに阻止し,その後減少させる。

⑦環境の持続可能性の確保・2015年までに安全な飲料水と基礎的な衛生施設を利用できない人々の割合を半減。

⑧開発のためのグローバル・パートナーシップの推進・開放的で差別のない貿易及び金融システムの構築。・ 貧国の特別なニーズに取り組む。

国連ミレニアム開発目標:8つの目標・21のターゲット・60の指標

開発途上国の課題解決に重点

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1-21.国連持続可能な開発サミット(2015年9月25日~27日)

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)の採択

- 2016年~2030年に達成すべき「17の目標」と「169のターゲット」を設定

2015年を 終年とした「ミレニアム開発目標」の成果を土台に、経済成長、社会的包摂、環境保護という相互に関連する要素に配慮しながら、2030年までに達成すべき地球規模の課題を掲げた行動計画である。(中略)途上国のみならず、先進国も含め、世界中の一人ひとりに関わる取組であり、2016年1月1日から実施が開始された。

<出所>国連広報センターHP:http://www.unic.or.jp/

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<補足>持続可能な開発目標(日本語訳)

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<補足>岡山大学のSDGsへの取り組み

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<補足>岡山ESDプロジェクト(2005年~)

世界中のESD実践者にとってより良い取組に挑戦する動機付けと,優れた取組を世界中に広めることを目的として,2015年に日本政府の財政支援により創設された国際賞である。2015年~2019年の間で世界から毎年3件のESD取組が選定される。

<受賞理由:岡山ESDプロジェクト>

様々な分野における団体・組織が緊密に連携し,地域全体でESDを推進している他に類を見ない取組である。他の地域でも応用可能な手法であることが立証されており,持続可能な社会の構築を目指す全世界の地域・都市にとっての素晴らしいモデルである。

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1-22.成長の限界論:環境破綻による人類危機への警鐘

アル・ゴア「不都合な真実」(2007年)

人類文明はエネルギーを消費し発展し続けてきたが,反面それは地球環境を汚染する歴史でもあった。45年後には世界人口が90億人に達すると予測されている今日,地球温暖化による危険信号が世界中で点っている。北極の氷はこの40年間に40%縮小,今後50~70年で北極は消滅し,水位は6m上昇する。この四半世紀の間に発生した鳥インフルエンザやSARSといった奇病,猛威を振るったハリケーン・カトリーナは,偶然起きたのではない。

ロバート・マルサス「人口論」(1798年)

人口は,制限されなければ幾何級数的に増加する。生活物資は算術級数にしか増加しない。多少なりとも数学を知っていれば,前者の力が後者のそれに比してどれほど大きいものか,直ぐにも理解できるであろう。

ローマクラブレポート・「成長の限界」(1972年)

ローマクラブの委嘱によりマサチューセッツ工科大学のデニス・メドゥズを主査とする国際チームがシステム・ダイナミックスの手法を使用してとりまとめた研究で,1972年に発表された。全地球的システムのモデル化を行い,人口と工業投資がこのまま幾何級数的成長を続けると,地球の天然資源は枯渇し,環境汚染は自然の許容範囲を超えて進行することになり,100年以内に成長は限界点に達するという結論を得た。

ジオカタストロフィ/人類滅亡のシナリオ/破局回避のシナリオ(1992年)

日本の科学者グループがまとめた地球環境の破綻による人類社会滅亡のシナリオとそれを回避するための提言書。1992年の地球サミット時に出版された。

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国連人間環境会議(United Nations Conference on the Human Environment)

1972年6月に世界113ヶ国の代表が参加して,ストックホルムで開催された環境問題についての 初の世界的なハイレベル政府間会合。会議テーマ「かけがえのない地球(Only One Earth)」は,環境問題が地球規模,人類共通の課題になってきたことを表すものとして有名。また,26項目の原則からなる「人間環境宣言」および109の勧告からなる「世界環境行動計画」は,同年に発表されたローマクラブによるレポート「成長の限界」とともに,世界の環境保全に大きな影響を与えた。(ECIネットHPより)

1-23.1972年の国連人間環境会議に向けた2つの書物

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現状から将来への方向

資料:三橋規宏「地球の限界とつきあう方法」(日経ビジネス人文庫)に基づいて作成。

生活の豊かさ 生活の豊かさ自然の利用量 自然の利用量

生活の 生活の豊かさ 豊かさ

自然の 自然の利用量 利用量

時間 時間現在 将来 現在 将来

なり行きに任せる

利用効率を高めるムダな消費を止める

自然の環境容量を考慮した経済社会の再構築

1-24.私たちは何をすべきか?(2つの選択肢)

社会の限界 持続可能社会への道