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1.無線通信工学の概要

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1.無線通信工学の概要

1.1 知っておくべきこと

1.2 無線(電波)とは何か1.3 電波の伝搬について(アンテナ、空間伝送路)1.4 無線システムの基本構造・原理1.5 フィルタ、アンプなどデバイスの基本1.6 無線信号の変復調の原理(復習)1.7 雑音の基本(発生要因・特性)1.8 時間と周波数(フーリエ変換)

1.2 無線(電波)とは何か

1.2.1 無線周波数信号

無線通信は、空間(一般には空気中)に信号をアンテナから放射し、別の地点でアンテナにより信号を取り出すことで、ケーブルを用いることなく離れた地点間で情報をやりとりできる。

このとき伝送に使う信号を無線周波数信号と呼ぶ。

この周波数に従った速度で、空気中の電界と磁界が振動

電波は、空気を伝わって広がるので免許や申請が必要

1.2.2 身近にある電波を使った技術

携帯電話地上放送

ラジオ 無線LAN衛星放送 BlueTooth

パルスレーダ

電波天文気象レーダ

測位、測距

放送 通信

1.3 電波の伝播について

1.3.1 アンテナ

アンテナは、放射器といいワイヤー中を流れる電気信号を空間へ放射し、あるいは空間中を流れる電流(空間電流)を導線へ誘導する。

電波は、アンテナによって送受信される

アンテナは、送信も受信もできる

アンテナには非常に多くの種類がある

指向性、サイズ、周波数によって用途が決まる

1.3.2 電波の伝播

信号 信号導線と同じように、離れた場所へ信号を送ると、信号が大きく減衰する。

周囲の反射物や距離、周波数など様々な要因で減衰の量が変化する。

送受信アンテナが移動していると、より受信は困難になる(フェージング)

1.4 無線システムの基本構造・原理

1.4.1 無線通信の流れ

情報 情報源符号化 伝送路符号化 変調

音声データ

音声符号化画像符号化等

誤り訂正符号

送信機

情報 情報源復号 伝送路復号 復調

音声データ

音声復号画像復号

誤り訂正

受信機

伝送

1.4.2 送受信機の基本的な構造

送受信アンテナ

フィルタ

LNA 低雑音増幅器NFが小さい

変復調回路

信号源

発振器

1.5 デバイスの基礎知識

1.5.1 フィルタ

・受信信号から所望の信号を取り出す・送信信号から不要な信号を除去するなど、様々な用途で用いられるデバイス

アナログフィルタ・低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)・高域通過フィルタ(ハイパスフィルタ)・帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)

デジタルフィルタ・トランスバーサルフィルタ

1.5.2 アンプ(増幅器)

無線通信では、フィルタと並んで重要なデバイス。

無線伝送路では、送信信号の電力には制限があり、また信号が大きく減衰するため受信の信号強度は極めて小さい。このため受信機では、まず信号の増幅を行う。

アンプの種類・低雑音増幅器(LNA)・電力増幅器(パワーアンプ)・緩衝増幅器

1.6 変復調の原理

情報を伝送するために搬送波を乗じること

情報信号:g(t)

正弦波搬送波: cos 2 cf t

変調信号: ( ) cos 2

cos 2 ( )c

c

g t f tf t g t

振幅変調

角度変調

1.6.1 変調

( ) cos 2 cg t f t・同期検波

cos 2 cf t

LPF ( )g t

1.6.2 復調(検波)

( ) cos 2 cos 21{1 cos 4 } ( )21 ( )2

c c

c

g t f t f t

f t g t

g t

2倍の周波数成分(LPFで除去)

発振器

乗算

・非同期検波(包絡線検波)

( ) cos 2 cg t f t LPF 2( )g t2乗

2

2

2

{ ( ) cos 2 }1{1 cos 4 } ( )21 ( )2

c

c

g t f t

f t g t

g t

2倍の周波数成分(LPFで除去)

1.7 雑音の基本

1.7.1 雑音と干渉

無線通信では、信号・干渉・雑音の3つで信号品質が決まる。

干渉は、他のシステム、通信機が用いている信号が自身の信号へ重なることで妨害を引き起こすこと。

雑音は、無線機内部や外的要因により不規則な信号変動が発生すること。

雑音はランダム過程なので確率論的に扱う必要がある。

もっとも一般的な雑音は、熱雑音である。

1.7.2 熱雑音

電流

電流が、自由電子の動きで乱される

温度が上がると、電子の動きが活発になり雑音も増加

4N kTB雑音電力 k:ボルツマン定数T:絶対温度B:帯域幅

1.8 時間と周波数

1.8.1 時間信号と周波数信号

通信工学では、信号を時間・周波数の両方で考える必要がある。

時間は「t軸」、周波数は「f軸」である。

両者はフーリエ変換によって相互に変換できる。

フーリエ変換は、時間で表現されている信号を周波数に。

逆フーリエ変換は、周波数で表現されている信号を時間に。

2( ) ( ) j ftS f s t e dt

時間信号s(t)の周波数成分S( f )は

周波数信号S( f )の時間信号s(t)は

(フーリエ変換)

2( ) ( ) j fts t S f e df

(逆フーリエ変換)

1.8.2 フーリエ変換