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●フロート板ガラス(フロート法)錫とガラスの比重差を利用し、溶融した錫の上に溶融したガラスを浮かべて製板する方法です。約1600℃まで加熱し、溶融されたガラスを溶融錫の敷かれた炉(フロートバス)に流し込みます。ガラスは溶融錫の上に浮かびながら広がり、流れながら溶融錫の平面をガラスに写しとり、徐々に冷却しながら成形した板ガラスを連続的に引き出します。この引き出し速度を調節することで所定の厚みの平滑なフロート板ガラスが製造されます[図1]。
●型板ガラス(ロールアウト法)溶融したガラスを2本の水冷ロールの間に通して製板する方法です。2本のロールの下側のロールに彫刻した模様が施されており、ガラスを2本のロールの間に通します。連続して模様を転写されたガラスは、徐冷窯に送られ一定の寸法に切断されます[図2]。
2 板ガラスの製造法
●反射膜加工ガラスフロートライン上のガラスに直接成膜する方法(オンライン)、一旦製板されたガラスに成膜するスパッタリング法(オフライン)と鏡をつくる化学メッキ法があり、ガラスの表面に特殊な薄い金属膜をコーティングして製造します。特に近年普及の著しいLow-Eガラスの製法でオンラインChemical Vapor Deposition
(CVD)法とスパッタリング法を説明します。オンラインCVD法とは、フロートライン上でガラスがまだ熱い状態で気体原料から化学反応を経てガラス表面に金属薄膜をコーティングする方法です[図3]。スパッタリング法とは、真空にした容器の中に特殊ガスを極微量注入し、電圧をかけることでガラス表面に金属薄膜を成膜する方法です[図4]。双方のLow-Eガラスは、注文に応じて、切断・面取り加工工程を通って製品化します。
原料
原料貯蔵 溶 融 成 形(フロートバス)
溶融窯
フロートバス
徐冷窯
徐 冷 洗 浄 切 断 出 荷
溶融錫
原料
ロールアウトマシン(型・網入れ)
溶融窯徐冷窯
原料貯蔵 溶 融 成 形(ロールアウト) 徐 冷 洗 浄 切 断 出 荷
[図1]フロート法
[図2]ロールアウト法
板ガラスの成形に必要な熱エネルギーを利用してガラス表面にLow-E膜を形成する、大面積・大量生産に適した成膜技術です。
原料
溶解炉 フロート(スズ)バス徐冷ゾーン
自動切断台
コーティング
[図3]オンラインCVD製法
NS S
真空室
排気
電子
金属原子ガス注入
Ar正イオンAr分子
水冷ボックスマグネット陰極ターゲット
磁場
陽極
金属薄膜基板(板ガラス)
[図4]スパッタリング法
2章
板ガラスの製造法
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●複層ガラス一般的に2枚の板ガラスをスペーサー(アルミ等)で一定間隔に保ち、その周囲を封着材で密封します。スペーサーには吸湿剤が封入されており、内部の空気が乾燥状態に保たれるようになっています。近年は乾燥空気のかわりに不活性ガス(アルゴン、クリンプトン)を封入したものや、3枚の板ガラスを用いた3層複層ガラスもあります[図5]。
●合わせガラス2枚またはそれ以上のガラスの間に、接着力の強い樹脂膜(中間膜と称す)をはさみ、オートクレーブ窯に入れ、高温高圧下で圧
着し製品化します。着色された中間膜を使用することで乳白膜などの色つきの合わせガラスも製造可能です[図6]。
●熱処理ガラス板ガラスを強化炉に入れ、ガラスの軟化温度近くの650~700℃まで加熱し、ガラス両面に空気を一様に吹き付けて急冷することで、ガラス表面に圧縮応力層ができます。その冷却法を調整することで倍強度ガラス、強化ガ
ラス、耐熱強化ガラスと用途に応じた強度のガラスを製造します。強度は、フロート板ガラス < 倍強度ガラス < 強化ガラス < 耐熱強化ガラスです
[図7]。
2 板ガラスの製造法
板ガラス
素板受入
切 断
洗浄乾燥
ペアリング
二次封着材注入
養 生
封着材 ガ ス
一次シール
二次シール
包 装 客 先
出 荷
スペーサー
加 工
枠組み
一次封着材塗布
製品検査(寸法・外観)
乾燥剤封入(封入量点検)
不活性ガス
[図5]複層ガラスの製造工程
素板受け入れ 切断
エッジ研磨 検査
マーク打刻 包装 出荷洗浄・乾燥
中間膜の挿入 脱気と予備圧着
圧力容器(オートクレーブ)
貼合せ 仮接着 本接着
[図6]合わせガラスの製造工程
素板受け入れ 切断
エッジ研磨 包装検査 出荷
マーク打刻
洗浄乾燥 加熱
水平強化炉
加熱炉(約700℃)
ガラス内部の欠点により市場で破損に至る強化ガラスを熱処理することで取り除く
ヒートソーク炉
加熱
急冷
[図7]熱処理ガラスの製造工程
2章
板ガラスの製造法