(2000m3/s) 1m 2m h 3m 4m 5.46m 6m 8m 10m …...river engineering research team 留意事項 25 ‐10...
TRANSCRIPT
River Engineering Research Team
河川津波における遡上距離・遡上高の推定手法
寒地土木研究所寒地河川チーム 研究員阿部孝章土研新技術ショーケース2014 in 東京
2014年9月19日(金)一橋講堂
予測・調査技術(16:20-16:45)
River Engineering Research Team
様々な河川流量と津波規模に応じて、河川遡上距離や危険箇所を事前に明らかにしておき、津波来襲時の判断材料を得ておくこ
とが肝要(数値計算が有利)
東日本大震災で更に明確となった河川津波の危険性
国交省河川津波対策検討会では、施設計画上の津波(L1)、最大クラスの津波(L2)に分けて対策実施することを提言(H23.8月)
河川管理上の課題:津波がどこまで河川を遡上するかの予測→樋門操作・河川巡視範囲などの判断
即時的な河川津波予測手法の提案
本手法の計算モデルによる事前検討
‐10
‐5
0
5
10
15
20
25
0 5 10 15 20 25 30 35 40
標高
(m)
距離標 KP(km)
津波予測縦断図(流量2000m3/s)
津波高1m 津波高2m
津波高3m 津波高4m
津波高5.46m(500年間隔) 津波高6m
津波高8m 津波高10m
津波高15m
最深河床高
右岸堤防高左岸堤防高
計画高水敷高
初期水位(2000m3/s)
地震発生
津波規模H河川流量Q
河川津波予測縦断図
遡上距離
遡上高
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River Engineering Research Team
本手法の計算モデルについて
• CERI1D:一次元不定流計算用モデル
– 洪水の計算
– 津波の計算
– 河氷変動計算
– 結氷河川における津波計算
• 2013年4月にiRICソフトウェアに統合
URLhttp://river.ceri.go.jp/ (寒地河川チーム)http://i-ric.org/ja/ (iRICソフトウェア)
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River Engineering Research Team
• 上流流量、下流水位
• 横断データ
• 粗度係数
入力データ
出力データ• 縦断的な水位、流速等
計算の実行
横断データ例:
※全てcsvファイルで用意
計算モデルの概要
データ整理
予測縦断図
※1次元モデルなので高速な計算が可能です
• 寒地河川チームホームページで公開中の「津波河川遡上予測の手引き(案)」にて予測縦断図の作成方法を詳しく解説しております(後ほどご紹介します)。
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iRICソフトウェアの統一化されたGUI上で計算前処理が可能
River Engineering Research Team
CERI 1Dの計算モデルについて
• Aw[m2]:河川水の流積、
• Qw[m3/s]:流量
• Hw[m]:水位
• n[sm‐1/3]:Manningの粗度係数
• uw[m/s]:河川縦断方向の流速
• Sw[m]:潤辺、Rw[m]:径深、 ρw[kg/m3]:水の密度で999.8
5
0
x
Q
t
A ww
031
222
w
wwbww
w
ww
R
SugnH
xgA
A
Q
xt
Q
連続式と運動方程式
計算格子設定点
河道中心・河道端点Hmax
ポイント:横断形状を考慮できる
River Engineering Research Team
2011年東北地方太平洋沖地震津波
6
広域の再現計算(iRICソフトウェアElimoモデルを使用)
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River Engineering Research Team
2011年東北地方太平洋沖地震津波
7
宮城県沖で発生した2011年東北地方太平洋沖地
震津波は北海道にも到達し、全道的に河川遡上が発生(10の1級河川で遡上を確認)・事例1:十勝川(震源から約500km)・事例2:新釧路川(震源から約540km)
新釧路川
十勝川River Engineering Research Team
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
時間 [hour]
水位
[m
]
:観測値 (KP9.3旅来):計算値 (KP9.2地点)
十勝川(KP3.2~KP21.0)2011年 3月11日14:45~3月12日00:45 (計10時間)
事例1:十勝川(3.11)
2011年3月11日~12日における 十勝川の河川津波を再現計算
大津(KP.3.2)~茂岩(KP.21.0)の範囲で解析大津10秒水位を下流端境界条件とした
8※帯広開発建設部様より河道諸元データ・水位記録をご提供頂きました
River Engineering Research Team
KP7.4L, 広里広里水位観測所(3/11 12時‐3/12 12時)
0
0.4
0.8
1.2
1.6
2
3/11 12:00 3/11 18:00 3/12 0:00 3/12 6:00 3/12 12:00
広里1分水位 CERI1D広里1分
標高(m
)
9
River Engineering Research Team
事例2:新釧路川(3.11)
10
KP7.4(広里)
←新釧路川
釧路港(太平洋)
←釧路川
River Engineering Research Team
事例2:新釧路川(3.11)
• 精度の検証
– 広里水位観測所における時系列水位比較
釧路開建治水課様より水位データをご提供頂きました11
0
0.4
0.8
1.2
1.6
2
3/11 12:00 3/11 18:00 3/12 0:00 3/12 6:00 3/12 12:00
広里1分水位 CERI1D広里1分
標高
(m)
River Engineering Research Team
事例2:新釧路川(3.11)
• 精度の検証
– 最大水位と痕跡標高との比較
‐2.0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0
HZmax 平均河床高 寒地痕跡調査左岸堤防高 右岸堤防高 初期水位河川事務所痕跡調査
標高
(m)
河口からの距離(km)12
60
River Engineering Research Team
事例3:鳴瀬川(東北地方)
鳴瀬川流下方向
※ここでご紹介する鳴瀬川への適用事例は,寒地土木研究所月報2013年度5月号(2013/5/10発刊)に掲載中 13
鳴瀬川
KP9.0R,鹿島台
KP4.2R,小野
KP0.5R,野蒜
※東北地方整備局様より河道諸元・痕跡データ等ご提供頂きました
River Engineering Research Team
KP4.2, 小野
計算期間 3/11 0時‐3/15 0時-小野観測所(東北地整)-シミュレーション
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River Engineering Research Team
‐1
0
1
2
3
4
5
6
0 1 2 3 4
水位[m
]
日数[days]
観測値(KP9.0鹿島台)
計算値(KP9.0)
• 各水位観測所での水位時系列比較
‐1
0
1
2
3
4
5
6
0 1 2 3 4
水位[m
]
日数[days]
観測値(KP4.2小野)
計算値(KP4.3)観測値は3日目途中で欠側
鹿島台(KP9.0)
小野(KP4.2)
■4.2km, 9.0kmの2地点で水位記録と定量的に良好な一致が確認されました
事例3:鳴瀬川(東北地方)
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River Engineering Research Team
‐4
‐2
0
2
4
6
8
10
12
14
16
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000
標高(m)
追加距離(m)
4kmまでは堤内地も浸水
小野水位観測所
鹿島台水位観測所
野蒜水位観測所
• 精度の検証(鳴瀬川)– 最大水位の計算結果と痕跡調査との比較
事例3:鳴瀬川(東北地方)
※再現計算に関する詳細は寒地土木研究所月報(伊藤ら, 2013年5月号)にて紹介しております。http://thesis.ceri.go.jp/center/doc/geppou/kasen/00160920401.pdf
※東北地方整備局様より河道諸元・痕跡データ等ご提供頂きました
計算水位 平均河床 左岸痕跡 右岸痕跡
左岸築堤高 右岸築堤高 初期水位 観測所
良好な再現性が確認された
※計算は河口から0.5km~24.6km区間で実施
16
River Engineering Research Team
遡上距離・遡上高推定手法
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River Engineering Research Team
‐10
‐5
0
5
10
15
20
25
0 10 20 30 40
標高
(m)
河口からの距離(km)
津波予測縦断図(流量2000m3/s)
津波高1m 津波高2m 津波高3m
津波高4m 津波高5.46m 津波高6m
津波高8m 津波高10m 津波高15m
最深河床高
右岸堤防高
左岸堤防高
計画高水敷高
初期水位(2000m3/s)
河川津波来襲時の判断材料を提供
地震発生時、津波高の情報が得られれば、予め作成しておいた予測縦断図の近い流量のグラフを元に河川縦断的な最高水位を瞬時に予測可能
※本予測図は流量のケース数分作成します
18
61
River Engineering Research Team
既往手法との比較
19
‐2.0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0
HZmax 平均河床高 寒地土研痕跡調査
左岸堤防高 右岸堤防高 初期水位
開発局痕跡調査 簡易推定手法
標高
(m)
河口からの距離(km)簡易推定手法の値は津波の河川遡上解析の手引き(案)・国土技術研究センター:参考資料‐2簡易推定手法を元に作成→上流へ行くほど痕跡値から乖離
River Engineering Research Team
(財)国土技術研究センターによる簡易推定手法
20
千葉ら2008, 河川技術論文集14巻
River Engineering Research Team
平面2次元計算モデルとの比較
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‐5
‐3
‐1
1
3
5
0
40
80
120
160
200
0 1800 3600 5400 7200 9000 10800
上流端流量 下流端水位
上流端
流量
[m3/s]
経過時間 [s]
下流端水
位[T.P.m
]
CERI1D Nays2DFlood計算モデル 1D不定流 2D不定流
入力データ間隔[s] 15 15シミュレーション時間[s] 10800 10800マニングの粗度係数 0.025 0.025
最小水深hmin[m] 0.01 0.01
計算時間間隔[s] 自動算出 0.1
CERI1D計算メッシュ Nays2DFlood計算メッシュ
River Engineering Research Team
一般断面1次元モデル
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‐5
‐3
‐1
1
3
5
0
40
80
120
160
200
0 1800 3600 5400 7200 9000 10800
上流端流量 下流端水位
上流端
流量
[m3/s]
経過時間 [s]
下流
端水
位[T.P.m
]
水深
River Engineering Research Team
平面2次元モデル
23
‐5
‐3
‐1
1
3
5
0
40
80
120
160
200
0 1800 3600 5400 7200 9000 10800
上流端流量 下流端水位
上流端
流量
[m3/s]
経過時間 [s]
下流
端水
位[T.P.m
]
水深
River Engineering Research Team
平面2次元計算モデルとの比較
24
2
480
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
CERI1D
Nays2DFlood
シミュレーションに要した時間 [s]
計算時間は0.5%以下
1Dモデル 2Dモデル
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River Engineering Research Team
留意事項
25
‐10
‐5
0
5
10
15
20
25
0 5 10 15 20 25 30 35 40
標高(m)
距離標 KP(km)
津波予測縦断図(流量120m3/s)
津波高0.5m 津波高1m 津波高2m津波高3m 津波高4m 津波高5.46m津波高6m 津波高8m 津波高10m津波高15m
最深河床高
右岸堤防高
左岸堤防高
計画高水敷高
初期水位(120m3/s)
‐10
‐5
0
5
10
15
20
25
0 5 10 15 20 25 30 35 40
標高
(m)
距離標 KP(km)
津波予測縦断図(流量2500m3/s)
津波高2m 津波高3m 津波高4m
津波高5.46m 津波高6m 津波高8m
津波高10m 津波高15m
最深河床高
右岸堤防高
左岸堤防高
計画高水敷高
初期水位(2500m3/s)
小流量
大流量
• 実際の河川では流量によって初期水位が変化し、遡上距離も変化します(例:右図)
• 波高の他に流量を変化させた解析を行うことも可能です
River Engineering Research Team
予測縦断図の活用について
!!
!
!
!
■樋門閉扉操作■避難用道路の使用可否判断
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River Engineering Research Team
予測縦断図の活用について
■堤防越流範囲
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River Engineering Research Team
本推定手法のマニュアル化を実施
• 河川津波計算
• 津波予測縦断図の作成
これらの基本的な流れを「津波河川遡上予測の手引き(案)」として公開中です
※寒地河川チームホームページ > 「ツール」コーナーよりダウンロードして頂けます
URL: http://river.ceri.go.jp/28
River Engineering Research Team
本手法の使用方法
• 入手、使用方法
– 計算モデル・マニュアルは無償でwebからダウンロード可能
– 計算実施のための掲示板でのサポートあり
– 河川の地形データが必要
• 国交省「河川定期縦横断データ作成ガイドライン」に沿ったデータ
• 事前に必要な手続き
– 特になし
– まずはご相談下さい
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River Engineering Research Team
本モデルの頒布について
• “iRIC”で検索
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River Engineering Research Team
本モデルの頒布について
• iRICプロジェクトのWEBサイトよりダウンロード可能
– CERI1DはiRICインストーラに同梱
– Solver ManualとExamples・事例集は別途ダウンロード
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第1章河川における洪水時不定流計算例
第2章河川における津波遡上計算例
River Engineering Research Team
最近の事例紹介
• 2014年イキケ地震(英語:2014 Iquique earthquake)
• 2014/4/2 8:46(日本時間)頃発生
• Mw=8.2,チリで死者6名,日本では4/3, 3:00‐18:00まで津波注意報
32‐1.5
‐1
‐0.5
0
0.5
1
1.5
2
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000
平均河床高
初期水位
最大波高10cm
最大波高20cm
最大波高30cm
最大波高40cm
最大波高50cm
最大波高60cm
北海道S川
River Engineering Research Team
予測縦断図(平水流量、潮位=0)
• 最新の測量データに基づく予測計算
• 流量や潮位を変更すれば様々なパターンを想定可能
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‐2
0
2
4
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0 5000 10000
初期水位(平水)
平均河床高
H=3m
H=5m
H=10m
標高[m
]
河口からの距離[m]
北海道S川
River Engineering Research Team
まとめ
河川津波における遡上距離・遡上高の推定手法
• 河川津波の遡上距離・遡上高を地震発生後、津波が河川を遡上するまでの間に瞬時に推定する手法です
• 河川管理者や自治体の防災担当者が緊急時の判断を行うための支援となります
• 堤防越流範囲推定、避難用道路の判断、注意報解除後の点検範囲設定が迅速に行えるようになります
• 河川内の津波遡上を精緻に予測する他の2次元モデル等に比較し、計算が高速・条件設定が容易・環境が無償であるという特長があります
• 計算ソフト・マニュアルはWEBで無償公開中です
• まずはご相談ください34
River Engineering Research Team
寒地技術推進室(技術相談窓口)
・・・本技術全般や導入について
寒地河川チーム
・・・計算モデル詳細や今後の普及について
(担当:柿沼・阿部)
TEL 011‐841‐1639
お問い合わせ先
技術相談窓口
寒地土木研究所のホームページ
寒地河川 検 索
※お問い合わせメールフォームよりお願い致します。 35
River Engineering Research Team
ご清聴ありがとうございました!
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