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2005 年石炭技術会議 【 講 演 Ⅳ 】 低品位炭改質技術(UBC)の開発について 重久 卓夫 ㈱神戸製鋼所 技術開発本部・石炭・エネルギープロジェクト室長 (1) プロジェクトの背景 プロジェクト背景 1. 石炭資源のベストミックス 2. 捨て灰問題 捨て灰費 1. 原油減産・瀝青炭枯渇 2. 低品位炭有効利用は必須 500億円/年 UBC 3t/d Project 経済的な処理で、熱量向上 自然発火抑制 -IV-1

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Page 1: 2005 年石炭技術会議 ㈱神戸製鋼所 技術開発本部・ …...2005 年石炭技術会議 【 講 演 Ⅳ 】 低品位炭改質技術(UBC)の開発について 重久 卓夫

2005 年石炭技術会議

【 講 演 Ⅳ 】 低品位炭改質技術(UBC)の開発について

重久 卓夫

㈱神戸製鋼所 技術開発本部・石炭・エネルギープロジェクト室長

(1) プロジェクトの背景

プロジェクト背景

1. 石炭資源のベストミックス

2. 捨て灰問題

捨て灰費

1. 原油減産・瀝青炭枯渇

2. 低品位炭有効利用は必須

500億円/年

UBC 3t/d Project

経済的な処理で、熱量向上

自然発火抑制

講-IV-1

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2005 年石炭技術会議

褐炭資源 採炭 流通 消費

切れている

褐炭利用の意義

UBC(改質)

炭鉱会社 流通 需要家

UBCのメリット

未利用資源活用資源価値の創出

商品の多様化及び多量化が可能。

調 達ソースの 拡大と捨灰 コストの削減

UBC ビジネス戦略

 2000  5000 6000         8000

低硫黄・低灰分

灰分・硫黄は通常瀝青炭無煙炭

亜瀝青炭

褐炭

5000億ton1500億ton3000億ton可採埋蔵量

熱量(kcal/kg)

Sales Point発電コスト削減CO2削減

Sales Point燃料選択余地の拡大低硫黄・低灰分混炭

①UBC 成型炭(国際石炭市場)

②UBC 粉炭(山元発電)

UBC

講-IV-2

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2005 年石炭技術会議

UBC技術開発の歴史

0.1t/d BSU(加古川)6t/d Pilot Plant (豪州) 3t/d Pilot Plant パリマナン(ジャワ)

BCL 豪州炭 6t/dパイロットUBC 豪州炭 15L A/C

豪州炭 0.1t/d BSUUBC イ国炭 3t/dパイロット

イ国炭 数100t/d実証イ国炭 5000t/d商業

BCL(Brown Coal Liquefaction)豪州炭を対象とした液化プロジェクトの前処理として開発UBC(Upgraded Brown Coal)豪州炭-->インドネシア炭の改質技術開発

2020プロジェクト 1980 1990 2000 2010

UBC3t/dプラントのプロジェクト展開

0.1t/d-BSU準商業

3t/d実証数100t/d-実証

2000 05 10 151995

5000t/d-商業

UBC

プロジェクト

基礎

•A/C

•BSU

2001 2002 2003 2004 2005

設計・建設

運転

纏め 大型実証計画へ

3t/d実証プロジェクト

5炭種/120トン/800時間 製品評価

PSUとして活用

講-IV-3

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2005 年石炭技術会議

(2) UBC 製造技術

100

1000

10000

100000

0 100 200 300 400 500

Temperature(C)

Pre

ssru

e(K

pa)

A

C

B

飽和水蒸気圧線

反応型非反応型

蒸発

非蒸発コスト大

プロセス条件マップ

低品位炭の改質技術

より高コスト

• 自然発火性あり•エネルギ消費大

UBC はBの下記弱点

を克服するもの

水の飽和蒸気圧

反応の境界線

グループ 蒸発 反応 プロセスの例A × × 加圧脱水B ○ × UBC, チューブラドライヤー, 水蒸気流動層C × ○ フライスナー, 熱水処理, KFUEL+D ○ ○ ENCOAL, SYNCOAL, KFUEL 

講-IV-4

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2005 年石炭技術会議

AsphaltRecycle OilCoal

Recycle OilRecycle Oil

Oil Recovery

Slurry Dewatering

Slurry Making

Coal/OilSeparation(Centrifuge)

Condensate(Waste Water)

UBC Product

UBC Product(Briquette)

UBC Briquetting

UBC プロセスフロー

UBCの改質原理

重質油分が選択的に吸着

安定化

撥水性

表面水

毛管水・結合水

油中脱水前 油中脱水後

重質油分が細孔内に選択的に吸着.

アスファルト

講-IV-5

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2005 年石炭技術会議

(3) UBC 3t/d プラントと成果

成型

油分回収

固液分離

スラリー脱水

粉砕

○安定操業・残油分<1.0%・高熱流束.#400

評価

熱間成型 (>120℃)、

高速成型 (10rpm)

#500

固形分中油分<40%, 清澄液中の粉濃度制御

#300

安定スラリー運転・脱水率>95%・

高熱流束・廃水汚染度の制御

#200

スラリー送液に支障のない粉砕#100

スケールアップデータ採取

処理コスト10ドル/製品トン

全般

目標セクション

3t/d プラントの目標

講-IV-6

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2005 年石炭技術会議

アスファルト循環油石炭 l

循環油 循環油

油分回収

スラリー脱水

スラリー調製

凝縮液(廃水)

UBC製品(粉)

UBC製品(ブリケット)

UBC 成型

固液分離(Centrifuge)

UBC製造技術ポイント(開発成果)

①脱水平衡・速度データ②廃水データ

粉炭制御

残油制御

①脱油平衡・速度②安定

操業 ①熱間成型②高速成型③圧壊強度

①スケールアップデータ

②F/Studyの確認スラリー送液性と粒径分布

(4) 利用技術の検討

Kobe Steel Ltd. IPP 700MW*2 in Kobe City

講-IV-7

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2005 年石炭技術会議

UBC Utilization StudyUBC プラント

(2)UBCの熱量(4)粉炭問題(9)パイリング試験

石炭ハンドリング系(4)粉炭問題(7)ホッパー排出性(8)粉砕性試験(9)パイリング試験(11)自然発火

ボイラー(2)UBCの熱量(3)燃焼試験(10)炉内汚れ(12)蒸気管磨耗・腐食

火炉

集塵器脱硫

貯炭

荷揚げ搬送 節炭器

脱硝酸

船舶輸送(1)UBCのかさ密度(4)粉炭問題(9)パイリング試験(11)自然発火

煙突

排煙系(6)集塵特性

Total System(5)経済性

過熱/再熱器

空気加熱器

ガス熱交

ガス熱交

粉砕

原料生炭とUBCの比較

CoalSample No. Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC Raw Coal UBC

TM wt% ar 32.4 2.0 22.6 1.9 36.2 2.0 21.0 2.3 24.5 5.0Ash wt% db 3.0 2.9 4.4 4.8 4.3 3.5 4.3 4.2 4.2 4.9VM wt% db 50.1 49.9 46.4 46.9 49.7 49.6 47.8 48.0 53.8 52.5FC wt% db 46.9 47.2 49.2 48.3 46.0 46.9 47.9 47.8 42.0 42.6F/Ratio - 0.94 0.95 1.06 1.03 0.93 0.95 1.00 1.00 0.78 0.81Calorie kcal/kg ar 4253 6441 5202 6687 4093 6680 5460 6996 4403 5818

kcal/kg db 6291 6573 6721 6816 6415 6816 6912 7160 5832 6124

D EBA C

水分(↓)、熱量(↑)、自然発火性(↓)向上その他の物性は変化無し

講-IV-8

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2005 年石炭技術会議

製品の嵩密度(UBCと水蒸気処理法の比較)

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

0% 20% 40% 60% 80%

Raw Coal Moisture(%)

Den

sity

(m

3/t)

PRB(Fleissner)

Chuitna(Fleissner)

Wakefield(Fleissner)

Yallourn(Fleissner)

Loy Yang(UBC)

SM(UBC)

GB(UBC)

Berau(DK)

SM(KSLExperiment)

UBC

水蒸気処理法

UBCのかさ密度

石炭 かさ密度

UBC-A 0.96UBC-C 0.91瀝青炭 0.92

輸送効率は瀝青炭とほぼ同じ

文献値

実測値

UBCの熱量

Calorie Up by UBC Processing

4000

4500

5000

5500

6000

6500

7000

7500

8000

2000 4000 6000 8000

Raw Coal Calorie(kcal/kg) AR

UB

C (

kcal

/kg

) A

s Equ

ilibi

rium

BSU(E)

3t/d(E)

BSU(I)

3t/d(I)

Base Line

UBC Just After

Production (I)

I: 処理直後

E: 平衡状態

UBC After Agingat Pile (E)

Kcal/kg

Time

Processing

I

Raw Coal UBCUBC E

生炭

製造直後は、絶乾状態 パイリングで若干の再吸湿あり。

講-IV-9

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2005 年石炭技術会議

UBCプロセスの廃水 (CODMn)

UBCの廃水は、他の反応型プロセスより汚染度が低い

0.001

0.010

0.100

1.000

10.000

100.000

1000.000

0 50 100 150 200 250 300 350 400

temperature(C)

CO

DM

n(g

/kg

-coal

)

MW

YLN

LY

EC

W

B

BT

SB

SM

BL

BB

A

B

C

D

E

F

G

232C(Estimation)

Yallourn(Fleissner)

UBC 1hr

other coal

Victoria Coal

Fleissner & HWT

COD of Waste Water(UBC&HWT, Flieissner)

By NBCL, KHI, Mitsui Coal Mine.

232℃

2.0g/kg

UBC燃焼試験 (100kg/h)

NOX & Unburnt (at A/C=2.2, O2=6%)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

0 100 200 300 400 500

NOX(ppm) O2=6%

Car

bon C

onte

nt

in A

sh (

%)

UBC-A

UBC-B

UBC-C

Bituminous

100kg/h バーナー炉(電中研)

低未燃分 高NOx

低NOx 高未燃分

低NOX・低未燃分が両立

NOx & 未燃分

瀝青炭

UBC

講-IV-10

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2005 年石炭技術会議

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

瀝青

炭B

瀝青

炭W

UBC平

亜瀝

青炭

豪州

褐炭

瀝青

+UB

C(50%

混炭

P2O5

SO3

TiO2

灰性状と炉内汚れ K2O

Na2O

MgO

CaO Fe2O3

Al2O3

SiO2

UBC市場はまずは、混炭から

炉内汚れ試験 (30kg/h炉:豪州乾燥褐炭)

瀝青炭 100%

LY 炭 100%

混炭 50/50%

TCTC

Coal Hopper

C

Air Cooled Test Bank

講-IV-11

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2005 年石炭技術会議

自然発火性試験

Self Heating Bench Test

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

UBC-A UBC-B UBC-C KPC HunterValley

Tim

e m

in

50→150℃

50→80℃

UBC

HTR

N2

DRY AIR

Sample

106Ox350H

Constant Temperature Box

KPCやハンターバレーより安定

低温酸化時間

粉砕試験:HGI測定

50

60

70

80

90

100

110

120

0 20 40 60 80 100

Briquette Blend Ratio(%)

HG

生炭 100% UBC-A 100%

混炭割合と線形関係

HGI

講-IV-12

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2005 年石炭技術会議

(5) UBC製造コスト

UBC 商業基フローシート

生炭

循環油

スラリー調製

廃水 改質炭

スラリー脱水

固液分離

油分回収 成型改質炭

成型

Asphalt

Recycle Oil

プロセス各種用役

ボイラー+発電水処理ヤード 等

講-IV-13

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2005 年石炭技術会議

UBC Processing Cost

0

2

4

6

8

10

12

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

Moisture Content of Raw Coal(%)

$/t-

UB

C, $/t-

Raw

Coal

$/t-UBC

$/t-RawCoal

UBC処理コスト(除く生炭コスト)

生炭の水分(%)

製品あたりの処理費

生炭あたりの処理費

(6) 結言

講-IV-14

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2005 年石炭技術会議

結言

1

2

3

UBC製造技術は、 3t/d の規模で実証に成功した。

5tonサンプルによる製品評価の結果はほぼ良好であった。

処理コストは $8-10/ton-UBC ($5-6/ton-生炭)と推定された。

4 今後の展開 数100t/d規模の大型実証を計画中

講-IV-15

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2005 年石炭技術会議

しげひさ たくお

氏 名 重久 卓夫 ㈱神戸製鋼所 技術開発本部

石炭・エネルギープロジェクト室・室長 最終学歴 東京大学化学工学科修士修了 〔 学 位 〕 工学修士

〔学位取得年〕 1981 年(昭和 56 年)

主要経歴 1981 年 神戸製鋼所 石炭液化推進室 入社 石炭液化パイロットプラントの設計(NEDO 事業) 1990 年 日本褐炭液化出向 石炭液化パイロットプラントの運転 1991 年 神戸製鋼所 石炭液化推進部 課長 石炭液化連続反応装置(BSU)の設計建設 1998 年 神戸製鋼所 石炭・エネルギープロジェクト室 次長 低品位炭改質技術の開発 2001 年 石炭・エネルギープロジェクト室 室長 石炭液化国際協力事業 低品位炭液化技術開発に関する研究協力

講-IV-16