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授業日:2011/4/19 4.フーリエ・スペクトル 11TA345A 吉成菜々子 4.6 フーリエ級数 理論的な一般性を目的とし、現象を時間軸の負の範囲まで拡張して考えている。また、フ ーリエ級数展開について述べている。 4.7 フーリエ積分 時間領域と周波数領域に関して、有限フーリエ近似、フーリエ級数の展開、フーリエ積分 との関係について述べている。 4.8 フーリエ・スペクトルの意義 フーリエ・スペクトルの 2 つの重要な意義をあげ、その後フーリエ解析の問題点と対策に ついて述べている。 4.9 フーリエ位相スペクトル 位相スペクトル、位相波、位相差分スペクトルに関して定義している。

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授業日:2011/4/19

4.フーリエ・スペクトル

11TA345A 吉成菜々子

4.6 フーリエ級数

理論的な一般性を目的とし、現象を時間軸の負の範囲まで拡張して考えている。また、フ

ーリエ級数展開について述べている。

4.7 フーリエ積分

時間領域と周波数領域に関して、有限フーリエ近似、フーリエ級数の展開、フーリエ積分

との関係について述べている。

4.8 フーリエ・スペクトルの意義

フーリエ・スペクトルの 2 つの重要な意義をあげ、その後フーリエ解析の問題点と対策に

ついて述べている。

4.9 フーリエ位相スペクトル

位相スペクトル、位相波、位相差分スペクトルに関して定義している。

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4.6 フーリエ級数

これまで、標本値がとびとびなものを取り扱ってきたが、ここでは、その標本値の間隔 t を

0t とするとどうなるか考える。

まず、 2/2/ TtT において、複素フーリエ系数kC を定義すると、

mx のフーリエ変換、

フーリエ逆変換は、

フーリエ変換:

2/

12

)/2(1 N

Nm

Nkmi

mk exN

C (4.57)

フーリエ逆変換:

2/

12

)/2(N

Nk

Nkmi

km eCx (4.58)

2/,...1,0,...,22/,12/, NNNmk

となる。

式(4.57)を

2/

12

}/)(2{)(1 N

Nm

tNtmki

mk etxtN

C (4.61)

と変形し、 tNT (一定)、 N 、 0t として考える。

すると、 ttm 、 dttxtxm )( となり、

式(4.61)は

2/

2/

)/2()(1 T

T

Tkti

k dtetxT

C )( k (4.62)

式(4.58)も同様に

2/

12

}/)(2{)(N

Nk

tNtmki

k eCtmx

k

Tkti

keCtx )/2()( (4.63)

となる。

なお、式(4.63)は 2/2/ TtT における関数 )(tx のフーリエ級数展開という。

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4.7 フーリエ積分

時間領域:現象を時間によって変わる量としてとらえた領域。

周波数領域:現象の特性を周波数に依存する量としてとらえた領域。

リンク効果:

有限フーリエ近似、フーリエ級数展開は図 4-9(a)のように、周期 T をもって無限に繰り返し

ている現象のうちの一周期分を対象としている。つまりは図 4-10 であらわすことのできる

波形を取り扱ってきた。図 4-11 は例題波(実線)を頭と尾を図 4⁻10 のようにつなげる際に標

本値が変化する(破線)ことを示している。この現象をリンク効果と呼ぶ。

フーリエ積分では、継続時間 T )( t を取り扱う。

式(4.63)をT

eTCtxk

tTki

k

1)()( })/(2{

と変え、

振動数 f とし、 T とすれば、 fTk / , dfT /1 となり、 )( fFTCk となるの

で、

dfefFtx fti )2()()(

(4.66)

式(4.62)も同様に

2/

2/

})/(2{)(T

T

tTki

k dtetxTC

T となり、

dtetxfF fti )2()()( (4.67)

となる。

なお、式(4.67)の関数 )( fF を関数 )(tx のフーリエ積分といい、式(4.66)をフーリエ逆変換と

いう。

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4.8 フーリエ・スペクトルの意義

地震波をフーリエ・スペクトルで表わすことの重要な2つの意義

・時刻歴に含まれている振動数成分の検出

・時間領域から周波数領域への変換

フーリエ・スペクトル:波の振動数と振幅の大きさを示すもの。

地震波が構造物に与える影響を推察することが可能

卓越振動数(周期):波のフーリエ・スペクトルの中で特に大きい振幅の成分があった場合、

それをさす。

時間領域における波形と周波数領域における波形は持っている情報は等しい。

ただし、周波数領域はフーリエ振幅スペクトルとフーリエ位相スペクトルが併せ備わって

時間領域と対等となる。

フーリエ解析の問題点と対策

問題点 1:データ数が 2 の累乗でないと高速フーリエ変換ができない。

対策 1:データの後続に 0 をくっつけ、データ数を 2 の累乗個にする。

⇒リンク効果を断ち切り、現実波により近くなる。

問題点 2:フーリエ・スペクトルは、継続時間中を通じてどの成分もスムーズに続いている

場合でないと、その意味が異なってくる傾向がある。

対策 2:時間幅を区切り、その時の間隔をずらしながら、次々にそれぞれの部分について

求めた一連のスペクトル(ランニング・スペクトル)を利用されることが多い。

図 4-17 のような形で表す。

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図 4-17 ランニング・スペクトル

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4.9 フーリエ位相スペクトル

(1)位相スペクトル

式(4.26)より

12/

1

2/2/0 2cos

2)2cos(

2)(

N

k

NN

kkk tfX

tfXx

tx (a)

各成分波の振幅 )2/,...,2,1,0( NkX k

各成分波の時間軸上のずれを表す位相角 )12/,...,2,1( Nkk

フーリエ振幅スペクトル:振幅kX (の 2/T 倍)を振動数

kf に対してプロットしたもの

フーリエ位相スペクトル:位相角k を振動数

kf に対してプロットしたもの

(2)位相波

式(a)の 00 X とおき、2/2/ 2/ NN XX とすると

2/

1

)2cos()(N

k

kkk tfXtx ただし 02/ N (4.72)

ここで 1)2/,...,2,1( NkX kとおいて、振幅の影響を無視する、

2/

1

)2cos()(ˆN

k

kktftx (4.73)

この波 )(ˆ tx を式(4.72)で与えられたもとの波 )(tx に対する位相波と呼ぶ。

(3)位相差分スペクトル

位相差分:kkk 1 )0222/,...,2,1( kNk 、 (4.74)

位相差分スペクトル: 20~ の間における位相差分k の頻度分布[例図 4-20(c)]

図 4-20(c) 位相差分スペクトル