2012/05/27日本気象学会2012年度春季大会第2日目 msm...

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2012 2012 5 5 6 6 日関東地方における竜巻の 日関東地方における竜巻の 発生環境場とポテンシャル予報について 発生環境場とポテンシャル予報について 2012/05/27 2012/05/27 日本気象学会 日本気象学会2012 2012 年度春季大会第 年度春季大会第2 日目 日目 56日の茨城・栃木の竜巻に関する調査研究報告会 (講演資料の要約) 日の茨城・栃木の竜巻に関する調査研究報告会 (講演資料の要約) 櫻井渓太(日本気象株式会社) 櫻井渓太(日本気象株式会社) 竜巻ポテンシャル予報 竜巻ポテンシャル予報とは... とは... 数値予報 数値予報を用いて, を用いて,積乱雲の上昇流の発達と関係のある 積乱雲の上昇流の発達と関係のある大気の安定度 大気の安定度と, と,積乱 積乱 雲がスーパーセル化することと関係のある 雲がスーパーセル化することと関係のある水平風の鉛直シアーの大きさ 水平風の鉛直シアーの大きさ を環境 を環境 パラメータとよばれる指標で定量的に把握し,それらの組み合わせで表される パラメータとよばれる指標で定量的に把握し,それらの組み合わせで表される合パラメータ 合パラメータ でスーパーセル竜巻の発生可能性を竜巻発生の でスーパーセル竜巻の発生可能性を竜巻発生の数日~数時間前に 数日~数時間前に 予測する手法 予測する手法.竜巻そのものを数値予報で予報することは非現実的だが,強い竜 .竜巻そのものを数値予報で予報することは非現実的だが,強い竜 巻を発生させるスーパーセルの環境場は予測することができる. 巻を発生させるスーパーセルの環境場は予測することができる. 気象庁メソ数値予報モデルGPVMSM-GPVモデル モデル 気象庁メソ数値予報モデル( 気象庁メソ数値予報モデル( MSM MSM領域,格子数(格子系) 領域,格子数(格子系) 日本域, 日本域, 253 × 241 253 × 241(等緯度経度 (等緯度経度 0.1 0.1× 0.125 × 0.125 度) 度) 初期時刻 初期時刻 00, 03, 06, 09, 12, 15, 18, 21 UTC 00, 03, 06, 09, 12, 15, 18, 21 UTC 予報時間 予報時間 時間間隔 時間間隔 15 h (00,06,12,18UTC) 15 h (00,06,12,18UTC)33 h (03,09,15,21UTC) 33 h (03,09,15,21UTC) 3-hourly 3-hourly 5km格子WRFモデル(WRF-5kmモデル モデル WRF-ARW 3.2.1 WRF-ARW 3.2.1 領域,格子数(水平解像度) 領域,格子数(水平解像度) 日本域, 日本域, 466 × 521 466 × 5215 km × 5 km 5 km × 5 km初期時刻 初期時刻 00, 06, 12, 18 UTC 00, 06, 12, 18 UTC 積分時間,出力間隔 積分時間,出力間隔 54 h 54 h1 hourly 1 hourly 大気場入力 大気場入力 MSM-GPV MSM-GPVGSM-GPV GSM-GPV Jkg -1 大気の安定度( 大気の安定度( CAPE CAPE Jkg -1 鉛直シアー( 鉛直シアー( SRH SRHm 2 s -2 複合パラメータ( 複合パラメータ( STP STP2012 2012 5 6 00UTC +3 00UTC +3 時間予報値) 時間予報値) 975hPa 975hPa 相当温位・風 相当温位・風 K500hPa 500hPa 相当温位・風 相当温位・風 WRF-5km WRF-5km2012 2012 5 6 00UTC +3 00UTC +3 時間予報値) 時間予報値) 大きな 大きな CAPE CAPE (> (> 1500Jkg 1500Jkg -1 -1 強い上昇流を持つ積乱雲の発達 強い上昇流を持つ積乱雲の発達 中程度の 中程度の SRH SRH(~ (~ 150m 150m 2 s -2 -2 積乱雲のスーパーセル化 積乱雲のスーパーセル化 関東地方周辺で大きな 関東地方周辺で大きな STP STP 1.5 1.5 3.0 3.0 F2 F2 以上の強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性 以上の強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性 56 日の竜巻事例は, 日の竜巻事例は, MSM MSMWRF WRFのどちらのモデルでも,関東地方付近では のどちらのモデルでも,関東地方付近では下層 下層 の高相当温位の空気 の高相当温位の空気上層の低相当温位の空気 上層の低相当温位の空気による対流不安定が顕著で(左図) による対流不安定が顕著で(左図) CAPE CAPEが非常に大きく が非常に大きく (右図上段) (右図上段) ,風は ,風は下層で南寄り 下層で南寄り高度とともに西向きになって 高度とともに西向きになって おり おりSRH SRHが大きい が大きい(右図中段) (右図中段) 環境場で, 環境場で,STP STPが大きくなっていた が大きくなっていた(右図下段).した (右図下段).した がって, がって,強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性が予測されていた.ポテンシャル予報は, 強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性が予測されていた.ポテンシャル予報は, 竜巻発生の事前把握情報を強化する上で非常に有用であると考えられる. 竜巻発生の事前把握情報を強化する上で非常に有用であると考えられる. MSM-GPV MSM-GPV WRF-5km WRF-5km

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Page 1: 2012/05/27日本気象学会2012年度春季大会第2日目 MSM ...2012年5月6日関東地方における竜巻の 発生環境場とポテンシャル予報について 2012/05/27日本気象学会2012年度春季大会第2日目

20122012年年55月月66日関東地方における竜巻の日関東地方における竜巻の発生環境場とポテンシャル予報について発生環境場とポテンシャル予報について

2012/05/272012/05/27日本気象学会日本気象学会20122012年度春季大会第年度春季大会第22日目日目55月月66日の茨城・栃木の竜巻に関する調査研究報告会 (講演資料の要約)日の茨城・栃木の竜巻に関する調査研究報告会 (講演資料の要約)

櫻井渓太(日本気象株式会社)櫻井渓太(日本気象株式会社)

竜巻ポテンシャル予報竜巻ポテンシャル予報とは...とは...数値予報数値予報を用いて,を用いて,積乱雲の上昇流の発達と関係のある積乱雲の上昇流の発達と関係のある大気の安定度大気の安定度と,と,積乱積乱雲がスーパーセル化することと関係のある雲がスーパーセル化することと関係のある水平風の鉛直シアーの大きさ水平風の鉛直シアーの大きさを環境を環境パラメータとよばれる指標で定量的に把握し,それらの組み合わせで表されるパラメータとよばれる指標で定量的に把握し,それらの組み合わせで表される複複合パラメータ合パラメータでスーパーセル竜巻の発生可能性を竜巻発生のでスーパーセル竜巻の発生可能性を竜巻発生の数日~数時間前に数日~数時間前に予測する手法予測する手法.竜巻そのものを数値予報で予報することは非現実的だが,強い竜.竜巻そのものを数値予報で予報することは非現実的だが,強い竜巻を発生させるスーパーセルの環境場は予測することができる.巻を発生させるスーパーセルの環境場は予測することができる.

気象庁メソ数値予報モデルGPV(MSM-GPV)

モデルモデル 気象庁メソ数値予報モデル(気象庁メソ数値予報モデル(MSMMSM))

領域,格子数(格子系)領域,格子数(格子系) 日本域,日本域,253 × 241253 × 241(等緯度経度 (等緯度経度 0.10.1度 度 × 0.125× 0.125度)度)

初期時刻初期時刻 00, 03, 06, 09, 12, 15, 18, 21 UTC00, 03, 06, 09, 12, 15, 18, 21 UTC

予報時間予報時間時間間隔時間間隔

15 h (00,06,12,18UTC)15 h (00,06,12,18UTC),,33 h (03,09,15,21UTC)33 h (03,09,15,21UTC)3-hourly3-hourly

5km格子WRFモデル(WRF-5km)

モデルモデル WRF-ARW 3.2.1WRF-ARW 3.2.1

領域,格子数(水平解像度)領域,格子数(水平解像度) 日本域,日本域,466 × 521466 × 521((5 km × 5 km5 km × 5 km))

初期時刻初期時刻 00, 06, 12, 18 UTC00, 06, 12, 18 UTC

積分時間,出力間隔積分時間,出力間隔 54 h54 h,,1 hourly1 hourly

大気場入力大気場入力 MSM-GPVMSM-GPV,,GSM-GPVGSM-GPV

(Jkg-1)

大気の安定度(大気の安定度(CAPECAPE))

(Jkg-1)

鉛直シアー(鉛直シアー(SRHSRH))

(m2s-2)

複合パラメータ(複合パラメータ(STPSTP))

((20122012年年55月月66日日00UTC +300UTC +3時間予報値)時間予報値)

975hPa975hPa相当温位・風相当温位・風

(K)

500hPa500hPa相当温位・風相当温位・風

((WRF-5kmWRF-5km::20122012年年55月月66日日00UTC +300UTC +3時間予報値)時間予報値)

大きな大きなCAPECAPE(>(>1500Jkg1500Jkg-1-1))

強い上昇流を持つ積乱雲の発達強い上昇流を持つ積乱雲の発達

中程度の中程度のSRHSRH(~(~150m150m22ss-2-2))

積乱雲のスーパーセル化積乱雲のスーパーセル化

関東地方周辺で大きな関東地方周辺で大きなSTPSTP((1.51.5~~3.03.0))

F2F2以上の強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性以上の強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性

55月月66日の竜巻事例は,日の竜巻事例は,MSMMSMととWRFWRFのどちらのモデルでも,関東地方付近ではのどちらのモデルでも,関東地方付近では下層下層の高相当温位の空気の高相当温位の空気とと上層の低相当温位の空気上層の低相当温位の空気による対流不安定が顕著で(左図)による対流不安定が顕著で(左図)CAPECAPEが非常に大きくが非常に大きく(右図上段)(右図上段),風は,風は下層で南寄り下層で南寄りでで高度とともに西向きになって高度とともに西向きになっておりおりSRHSRHが大きいが大きい(右図中段)(右図中段)環境場で,環境場で,STPSTPが大きくなっていたが大きくなっていた(右図下段).した(右図下段).したがって,がって,強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性が予測されていた.ポテンシャル予報は,強い竜巻を伴う雷雨の発生可能性が予測されていた.ポテンシャル予報は,竜巻発生の事前把握情報を強化する上で非常に有用であると考えられる.竜巻発生の事前把握情報を強化する上で非常に有用であると考えられる.

MSM-GPVMSM-GPV WRF-5kmWRF-5km