2014年度秋学期 応用数学(解析) 第3部・微分方程式に関する話題 / 第11回 振動と微分方程式...

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A. Asano, Kansai Univ. 2014年度秋学期 応用数学(解析) 浅野 晃 関西大学総合情報学部 第3部・微分方程式に関する話題 振動と微分方程式 第11回

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関西大学総合情報学部 「応用数学(解析)」(担当:浅野晃)

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Page 1: 2014年度秋学期 応用数学(解析) 第3部・微分方程式に関する話題 / 第11回 振動と微分方程式 (2014. 12. 11)

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

2014年度秋学期 応用数学(解析)

浅野 晃 関西大学総合情報学部

第3部・微分方程式に関する話題 振動と微分方程式

第11回

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A. A

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A. A

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sai U

niv.

今日は 「振動」を扱う微分方程式

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

振動とはある方向に進めば進むほど, 逆向きに進もうとする力が働くときにおきる運動

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

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niv.

振動とはある方向に進めば進むほど, 逆向きに進もうとする力が働くときにおきる運動

釣り合い位置から両方に往復を繰り返す

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

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niv.

質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

ニュートンの運動方程式

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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質点の位置

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2014年度秋学期 

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sano

, Kan

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質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

時刻

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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質点の位置

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質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

時刻

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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質点の位置

質点の加速度

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質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

時刻

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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質点の位置

質点の加速度

質点の質量

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質点の運動方程式質点=質量はあるが大きさはない点  大きさがないので,物体自身の回転などは  考えなくてよい

時刻

質点に働く力

ニュートンの運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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質点の位置

質点の加速度

質点の質量

さまざまな振動について 力がどう表されるかを 考える

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A. A

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単振動

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2014年度秋学期 

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単振動

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

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単振動

原点を釣り合い位置とし,そこからの距離に 比例する復元力が働くとすると

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

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単振動

原点を釣り合い位置とし,そこからの距離に 比例する復元力が働くとすると

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動

原点を釣り合い位置とし,そこからの距離に 比例する復元力が働くとすると

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動

原点を釣り合い位置とし,そこからの距離に 比例する復元力が働くとすると

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置正の定数

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動

原点を釣り合い位置とし,そこからの距離に 比例する復元力が働くとすると

釣り合い位置にもどろうとする力[復元力]

もっとも単純な振動,復元力(下記)のみが働く

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置正の定数

釣り合い位置からの方向の 逆向きの力なのでマイナス

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A. A

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単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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, Kan

sai U

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単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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sano

, Kan

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単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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単振動の運動方程式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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A. A

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, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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斉次形の2階微分方程式

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単振動の運動方程式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

斉次形の2階微分方程式特性方程式は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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斉次形の2階微分方程式特性方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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斉次形の2階微分方程式特性方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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虚数解

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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斉次形の2階微分方程式特性方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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虚数解

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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斉次形の2階微分方程式特性方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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虚数解

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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一般解は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

とおくと

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

斉次形の2階微分方程式特性方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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虚数解

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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一般解は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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三角関数を合成すると

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

三角関数を合成すると

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

三角関数を合成すると

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

三角関数を合成すると

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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より

三角関数を合成すると

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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単振動の式

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の運動方程式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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位置 x は実数だから, C1, C2 とも実数でなければならない

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

より

三角関数を合成すると

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

単振動の式

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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が何ラジアン進むか

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

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振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

が何ラジアン進むか

1往復 = 2π ラジアン進むことそれに必要な時間は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

が何ラジアン進むか

1往復 = 2π ラジアン進むことそれに必要な時間は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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[周期]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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が何ラジアン進むか

1往復 = 2π ラジアン進むことそれに必要な時間は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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[周期]

1秒間に何往復するか?その回数は,周期の逆数

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

単振動の式

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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x 軸上で [–A, A] の範囲を往復する振動

[振幅] [角振動数(角周波数)]時間が1秒進むと,

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

が何ラジアン進むか

1往復 = 2π ラジアン進むことそれに必要な時間は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

[周期]

[振動数(周波数)]1秒間に何往復するか?その回数は,周期の逆数

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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正の定数

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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とおく [抵抗係数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

運動方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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とおく [抵抗係数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動

空気抵抗など

復元力以外に,[抵抗力]がはたらく場合運動が速いほど,それを妨げる力が働く

質点の速度は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

正の定数逆向きで マイナス

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

運動方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

とおく [抵抗係数]

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力が比較的小さい場合

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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抵抗力が比較的小さい場合

は虚数解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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抵抗力が比較的小さい場合

< 0は虚数解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力が比較的小さい場合

< 0は虚数解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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微分方程式の解

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

抵抗力が比較的小さい場合

< 0は虚数解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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微分方程式の解三角関数を合成

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

減衰振動の運動方程式

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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これも 斉次形の2階微分方程式

特性方程式は 解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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の場合を考える

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ± i!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("ω20 − µ2t) + C2 sin(

"ω20 − µ2t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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抵抗力が比較的小さい場合

< 0は虚数解

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("ω20 − µ2t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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微分方程式の解

振幅が時間とともに小さくなる [減衰振動]

三角関数を合成

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

Page 78: 2014年度秋学期 応用数学(解析) 第3部・微分方程式に関する話題 / 第11回 振動と微分方程式 (2014. 12. 11)

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動と共鳴

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

運動方程式は

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

運動方程式は

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動復元力に加えて,外部から[強制力]が はたらく場合質点を,角振動数 ω で強制的に振動させる

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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強制力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  2/3 ページ

復元力は

減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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減衰振動

前節では,質点は復元力以外の力を受けないと考えましたが,それ以外に,質点の運動が速ければ速いほど,それをより妨げようとする力が働く場合を考えます。この力は抵抗力とよばれ,空気抵抗などがこれにあたります。

質点の速度は dx

dtで表されますから,抵抗力は aを正の定数として−a

dx

dtで表されます。よって,運

動方程式は

md2x

dt2= −kx− a

dx

dt(6)

となります。ここで,µ =a

2mとおきます。µは抵抗係数とよばれる定数です。さらに前節の ω0も用い

ると,

d2x

dt2+ 2µ

dx

dt+ ω2

0x = 0 (7)

となります。

この方程式も前節と同じく斉次形の2階線形微分方程式です。特性方程式は λ2 + 2µλ + ω20 = 0で,

その解は λ = −µ±!

µ2 − ω20 です。

ここで,µ2 < ω20 の場合を考えます。これは,抵抗係数が小さく,抵抗力が比較的小さい場合にあた

ります。この場合,特性方程式は虚数解をもつことになるので,微分方程式の一般解はC1, C2を定数として

x = e−µt(C1 cos("

ω20 − µ2 t) + C2 sin(

"ω20 − µ2 t)) (8)

となり,前節と同様に三角関数を合成して定数をおきかえると,Aを定数として

x = Ae−µt cos("

ω20 − µ2 t+ φ) (9)

となります。

この運動は,前節の単振動と比べると,振幅が一定値AではなくAe−λtとなっており,時間が進むにつれて小さくなっていきます。この運動を減衰振動といいます。

強制振動と共鳴

振動する質点に,さらに外部から力が働いておきる振動を強制振動といい,外部からの力を強制力といいます。

ここでは,強制力が F cosωtである場合を考えます。これは,質点を強制的に角振動数 ωで振動させることに相当します。復元力と強制力を合わせると−kx+ F cosωtなので,運動方程式は

md2x

dt2= −kx+ F cosωt (10)

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運動方程式は

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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これは 非斉次形の2階微分方程式

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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特殊解をひとつ見つける

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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特殊解をひとつ見つける

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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を入れてみると

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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特殊解をひとつ見つける

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

を入れてみると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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特殊解をひとつ見つける

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

を入れてみると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって,

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

のとき

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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特殊解をひとつ見つける

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

を入れてみると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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よって,

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

のとき

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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非斉次形の一般解は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動の運動方程式

単振動の式と同じ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

対応する斉次形の 2階微分方程式は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

一般解は

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

特殊解をひとつ見つける

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

を入れてみると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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よって,

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

のとき

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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非斉次形の一般解は

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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[固有角振動数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  1/3 ページ

[固有振動数]

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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[固有角振動数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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強制振動

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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[固有振動数]

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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[固有角振動数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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強制振動

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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[固有振動数]

強制振動の角振動数 ω が固有角振動数 ω0 に近づくと 強制振動の項が大きくなる

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

[固有角振動数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

強制振動

強制力のないときの振動 [固有振動]

ω = ω0 のときは発散する

[強制振動]の式

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

強制振動

2014年度秋学期 応用数学(解析) 第11回第3部・微分方程式に関する話題/ 振動と微分方程式

振動は,「ある方向に進めば進むほど,逆向きに進もうとする力が働く」ことによって,釣り合い位置から両方に交互に進む動作を繰り返す現象です。ニュートンの運動方程式によれば,質点 1の運動は,質点の位置を x,質量をm,時刻を t,働く力を F とすると,加速度が位置の2階微分で表されることから

F = md2x

dt2(1)

という微分方程式で表されます。そこで,この方程式で力 F がどう表されるかによって,さまざまな振動を分析することができます。

単振動

質点が釣り合い位置から変位したとき,釣り合い位置に戻ろうとする力を復元力といいます。釣り合い位置を原点とするとき,釣り合い位置からの距離に比例する復元力が働くとすると,復元力F はF = −kx

と表すことができます(kは正の定数)。釣り合い位置からの方向と逆向きの力が働くので,マイナスがついています。

このとき,運動方程式は

md2x

dt2= −kx (2)

となり,ω0 =

!k

mとすると

d2x

dt2+ ω2

0x = 0 (3)

となります。

この方程式は斉次形の2階線形微分方程式で,第7回で説明した方法で解くことができます。特性方程式は λ2 + ω2

0 = 0で,特性方程式は2つの虚数解 λ = ±iω0をもちます。よって,一般解は C1, C2を定数として

x = C1 cos(ω0t) + C2 sin(ω0t) (4)

と表されます。位置 xは実数ですから,C1, C2はどちらも実数でなければなりません。また,三角関数を合成すると,A =

"C21 + C2

2,φ = − tan−1(C2/C1)として

x = A cos(ω0t+ φ) (5)

と表されます。

つまり,質点は x軸上で [−A,A]の範囲を往復する振動をすることになります。この運動を単振動といいます。時間 tを秒の単位で測るとき,ω0はコサインの引数になっている角度が1秒間に何ラジアン進むかを表し,角振動数とよばれます。また,1往復に必要な時間は,角度が 2πラジアン進むのに必要な時間ですから 2π/ω0で,これを周期といいます。さらに,1秒間に往復する回数は,周期の逆数すなわち ω0/2πで,これを振動数といいます。Aは振幅といいます。

1質量はあるが大きさはないという,力学上の概念としての理想的な物体。

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[固有振動数]

強制振動の角振動数 ω が固有角振動数 ω0 に近づくと 強制振動の項が大きくなる

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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[固有角振動数]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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もう一度もとの方程式に戻る

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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と見当をつけて代入すると

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

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後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

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解は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

解は

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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解は

時間がたつと 振動しながら 発散する

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

共鳴 ω = ω0 のときは強制振動の項が発散する

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

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もう一度もとの方程式に戻る

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

と見当をつけて代入すると

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

よって

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

となります。f =F

mとおき,さらに前々節の ω0を用いると,この方程式は

d2x

dt2+ ω2

0x = f cosωt (11)

と表されます。この方程式は非斉次形2階線形微分方程式です。対応する斉次形の方程式は前々節の (3)

式と同じで,その一般解は x = A cos(ω0t+ φ)です。

一方,非斉次形の方程式の特殊解を求めるため,x = C cosωtとおいて (11)式に代入すると

−Cω2 cosωt+ ω20C cosωt = f cosωt

C(ω20 − ω2) cosωt = f cosωt

(12)

となります。

ω ̸= ω0のとき,C =f

ω20 − ω2

です。よって,(11)式の非斉次形方程式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +f

ω20 − ω2

cosωt (13)

となります。

この解の第1項は,強制力がない時の振動で固有振動といい,ω0

2πを固有振動数といいます。一方,第

2項は強制振動を表す項です。この項は,強制振動の角振動数 ωが ω0に近づくと,どんどん大きくなります。ω = ω0のときは,第2項の分母が 0になるので,この形では解くことができません。この場合は,特殊解を x = t(C1 cosω0t+ C2 sinω0t)とおいて (11)式に代入すると,!−2C1ω0 − tC2ω

20

"sinω0t+

!2C2ω0 − tC1ω

20

"cosω0t+ tω2

0 (C1 cosω0t+ C2 sinω0t) = f cosω0t

−2C1ω0 sinω0t+ 2C2ω0 cosω0t = f cosω0t(14)

となりますから,C1 = 0, C2 =f

2ω0となります。すなわち,(11)式の一般解は

x = A cos(ω0t+ φ) +ft

2ω0sinω0t (15)

となります。この解は,tが大きくなる,すなわち時間がたつにつれ,第2項が振動しながら発散します。この現象を共鳴といい,ときには建造物を破壊するほどの事態をひきおこすことがあります。

問題

単振動において,t = 0のとき x = 0,dx

dt= vのとき,運動方程式の特殊解を求めてください。

参考文献

後藤憲一,力学,学術図書,1999. ISBN978-4873-61040-5

浅野 晃/応用数学(解析)(2014 年度秋学期) 第11回 (2014. 12. 11) http://racco.mikeneko.jp/  3/3 ページ

解は

時間がたつと 振動しながら 発散する

[共鳴]

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2014年度秋学期 

A. A

sano

, Kan

sai U

niv.

今日のまとめ振動を表す微分方程式  単振動  減衰振動  強制振動

2階線形微分方程式で表され, それを解くと振動を表す式が得られる