2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ...

43
2014 安全報告書

Upload: others

Post on 25-Jun-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

2014 安全報告書

Page 2: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

1.ご利用の皆さまへ 1

2.安全基本方針と安全目標 2

 2-1 安全基本方針

 2-2 安全目標

3.安全管理体制と安全管理方法 3

 3-1 安全管理体制

 3-2 安全管理方法

 3-3 安全管理体制の見直し

4.2013年度安全重点施策の内容と進捗状況 7

 4-1 連続立体化工事の推進

 4-2 地震対策関連工事の推進

 4-3 ATS(自動列車停止装置)の機能向上

 4-4 安全重点施策の見直し

 4-5 その他の施設・設備面での安全性向上

 4-6 安全対策投資

5.安全対策の実施状況 19

 5-1 経営管理層による取組み

 5-2 運転関係係員教育

 5-3 ヒューマンエラー撲滅への取組み

 5-4 緊急時対応訓練

 5-5 鉄道テロ対策

 5-6 その他の対策

6.輸送の安全の実態 33

 6-1 鉄道事故等の発生状況

 6-2 主な輸送障害と再発防止措置

7.お客様・地域の皆さまとの連携 36

 7-1 お客様へのお願い

 7-2 沿線地域との協働

 7-3 人にやさしい鉄道を目指して

8.安全報告書へのご意見募集 41

安 全 報 告 書 目 次

Page 3: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

1

1 ご利用の皆さまへ

いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。

この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

るために講じた措置等を紹介したものです。今回「安全報告書2014」は2013年度に実施

した取組みを公表するものでございます。

当社は、行動指針において「安全・安心」を何より優先すると定めており、私も常日頃から訓

示や文書を通じて、「安全最優先」や「法令等の遵守」について周知徹底してまいりました。こ

れに加え、職場巡視などを通じ、双方向のコミュニケーションにも努めてまいりました。

2013年度は、墨田区内押上線連続立体化工事において、計画上り線の切替が完了し、8月

から京成曳舟駅上り線新ホームを共用開始いたしました。また、デジタルATS(C-ATS)

の設置工事、高架橋等の耐震補強工事など、安全対策を中心とした設備投資を実施してまいりま

した。

一方、昨年度は自然災害による被害も多く発生し、「安全・安心」について改めて考えさせら

れる一年でありました。10月の台風26号では、京成成田駅の法面で土砂が流出し、1番線ホ

ームが使用できない事態となりました。2月の大雪では、各所の転てつ器が正常に動作せず、長

時間に亘る運転休止を余儀なくされました。いずれも大幅なダイヤ乱れによりお客様にご不便を

お掛けしたことにつきまして、お詫び申し上げます。現在では京成成田駅法面の被害箇所は復旧

し、更なる強化を計画しております。また、転てつ器の雪害対策など検討を進めております。

さて当社では、2013年度より中期経営計画E2プラン(2013~2015年度)を遂行

しており、その基本方針の柱の一つとして「安全・安心なサービスの提供」を設定しております。

この方針の下、昨年度の安全目標として「安全管理体制の再確認及び遵守・徹底」を掲げ、「安

全意識の再確認」「ヒヤリハット情報の活用」「内部監査の強化」に取組んでまいりました。

これらの取組みにより、2013年10月には国土交通省から「鉄道等運転無事故事業者表彰」

を受賞しました。また、本年3月に行われた国土交通省による運輸安全マネジメント評価におき

ましては、経営トップをはじめ社員が一丸となって安全確保に取組んでいることを評価していた

だきました。

今後も、皆様のご理解・ご協力を賜りなが

ら、お客様に安心してご利用いただける安全

性の高い鉄道会社を目指してまいります。

皆様の忌憚のないご意見、ご感想をお聞か

せくださいますようお願い申し上げます。

京成電鉄株式会社

代表取締役社長

三枝 紀生

Page 4: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

2

2 安全基本方針と安全目標

2-1 安全基本方針

お客様に安全・迅速・快適に当社線をご利用いただけるよう、私たちは「京成グループ経営理

念」と「京成グループ行動指針」に基づき、本社と各職場が一体となって安全を最優先とする体制

の整備に努めるとともに、鉄道施設、車両等を総合的に活用して輸送の安全を確保します。

京成グループ経営理念

京成グループは、お客様に喜ばれる良質な商品・サービスを、安全・快適に提供し、健全な事業成

長のもと、社会の発展に貢献します。

京成グループ行動指針

【安 全】 私たちは、安全・安心を第一に行動します。

【接 客】 私たちは、あいさつを励行し、お客様の立場にたって行動します。

【成 長】 私たちは、絶えず自己革新し、新たな価値を創造します。

【企業倫理】 私たちは、すべての人を大切にし、法令・規則を遵守します。

【環 境】 私たちは、自然環境に配慮し、行動します。

2-2 安全目標

2013年度より、中期経営計画「E2プラン(2013~2015年度)」をスタートさせました。この中

で、鉄道においては「安全・安心なサービスの提供」を図っていくことを基本方針の柱の一つとしま

した。当社の具体的な取組みは、以下のとおりです。

安全管理体制の再確認及び遵守・徹底

「安全意識の浸透」「ヒヤリハット情報の活用」「安全に関する内部監査の強化」「本社と現場を通

じた一体的な取組み」「異常時における情報提供と対応」及び「異常時体制の再確認」に取り組む

とともに、「作業手順の徹底」など安全管理体制の再確認を実施しました。

このような取組みを「PDCAサイクル」により有効に機能させることで、安全管理体制を充実させ

ていきます。

(PDCAサイクルについては、「3-2 安全管理方法」にて詳しくご説明します。)

鉄道施設の安全性と信頼性の向上

災害対策の推進、全線デジタルATS(C-ATS)化などに取り組むとともに、連続立体化工事、

高架橋及び駅の耐震補強工事などを推進しました。これらの工事を推進することにより、鉄道の運

行、それを支える鉄道施設の安全性を更に向上してまいります。

また、輸送の安全確保には鉄道施設等に関するハード面の対策だけでなく、ソフト面の対策とし

て、係員による確実な基本動作の励行等が求められます。引き続き輸送の安全を確保するため、

重大事故等につながる「ヒューマンエラー」の撲滅に積極的に取組んでまいります。

Page 5: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

3

3 安全管理体制と安全管理方法

3-1 安全管理体制

当社は2006年10月に「安全管理規程」を制定し、社長をトップとする安全管理体制を敷いてお

ります。

体制図

安全管理者の役割

社長 輸送の安全の確保に関する最終的な責任を負います。

安全統括管理者 輸送の安全の確保に関する業務を統括します。

運転管理者 安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括します。

乗務員指導管理者 運転管理者又は車両管理者の指揮の下、乗務員の資質の保持に関する

事項を管理します。

施設管理者 安全統括管理者の指揮の下、施設に関する事項(特定工事の土木構造

物新設、改良に関する事項を除く)を統括します。

建設管理者 安全統括管理者の指揮の下、施設に関する事項のうち、特定工事の土木

構造物新設、改良に関する事項を統括します。

車両管理者 安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括します。

計画管理部長 内部監査を実施し、安全管理体制が適切に運営されていることを検証す

るとともに、安全性向上のための施策を安全統括管理者に提言します。

Page 6: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

4

3-2 安全管理方法

安全基本方針及び安全目標の下、輸送の安全を確実に確保、向上するために安全統括管理者

を中心に「PDCAサイクル」により安全管理体制を強化するように取り組んでいます。安全管理の

実効をあげるために、単に安全対策の実施にとどめることなく、その対策の有効性を評価、改善す

ることで、さらなる安全性の向上を目指します。

※ PDCAサイクルとは……

P (Plan 計画) 過去の事例などにより安全管理に係わる計画を作成する

D (Do 実施・実行) 計画に沿って実施・実行する

C (Check点検・評価) 実施・実行した結果を内部監査により点検・評価する

A (Act 処置・改善) 点検・評価の結果を踏まえて、計画どおり実施されなかった箇所又は不

具合な部分を改善する

以上の結果を次の計画に活かし、継続的に安全性を向上していくプロセス(過程)です。

Page 7: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

5

安全推進会議の充実

安全に関する様々な課題を議論し、方向性を決定する機関として、安全統括管理者を議長とす

る「安全推進会議」を毎月開催しています。主に運転事故や輸送障害の原因分析、対応策の検討

をはじめ、ヒヤリハット情報、安全管理体制の見直し、内部監査に関する事項などを審議し、安全

管理体制の更なる充実に努めています。

これらの安全に係わる情報につきましては、適宜社長に報告しております。

運転状況の把握と情報発信

日々の運転状況(遅れ、事故、故障等)は「運輸指令日報」により、翌朝には鉄道本部内関係部

署や安全統括管理者、更には社長まで報告されます。

運輸指令室には情報担当を配置し、通常運行に支障をきたす事象が発生した場合は、直ちに携

帯メール配信により関係者に周知し、速やかに対応する体制を整えています。運行情報は当社ホ

ームページやツイッターを通じて公表・配信されるほか、ご利用のお客様に対しては駅の表示板や

運行情報ディスプレイから他社線の情報を含め提供されます。

運行情報を提供する駅表示板 運行情報ディスプレイ画面

緊急時対応体制

重大事故・災害が発生した場合は、対策本部を設置し、救護措置及び復旧対策にあたる体制を

構築しています。2013年度については、10月の台風及び2月の大雪の際に鉄道本部長(安全統

括管理者)を本部長とした災害対策本部を設置しました。特に10月の台風の際は、災害対策本部

に加え現地災害対策本部も設置し、被災箇所の早期復旧及び二次災害の防止を図りました。ま

た、夏と冬の2回、事故・災害を想定した訓練も実施しています。

安全運動の実施

日々の安全活動に加え、お客様のご利用の多くなる時期に安全運動期間(春の交通安全運動・

夏季輸送安全運動・秋の交通安全運動・年末年始安全総点検)を設けています。期間中は安全意

識の高揚を図るとともに、重点目標を設定し各職場にて総点検を実施しています。

Page 8: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

6

安全の確認体制

安全に関する確認体制については、各部門(運輸、車両、施設、建設)による確認のほか、安

全推進担当による「巡視・内部監査」、更に内部監査部による「内部監査」を実施しており、多角的

に確認する体制をとっております。

内部監査の充実

当社では、京成グループ鉄道各社(新京成電鉄㈱、北総鉄道㈱、関東鉄道㈱)の内部監査員を

当社の内部監査に同席させ、監査終了後に意見交換を行うことで京成グループ全体の監査員の

資質向上に努めるとともに、内部監査の充実を図っております。2008年度迄は特定の項目に焦

点をあてて監査をしていましたが、2009年度から全ての監査項目について監査し、安全管理体

制全般を検証しています。2013年度の内部監査において、是正事項はありませんでしたが、被

監査部門に対し更なる取組みを期待し、指摘を行うことにより各部門の安全管理体制の強化を図

っております。

なお、内部監査の実施にあたっては、客観性の維持に努め、PDCAサイクルが有効に機能して

いることを確認しています。

国土交通省による運輸安全マネジメント評価の実施

2014年3月11、12日の2日間にわたり、国土交通省による「運輸安全マネジメント評価」が

実施されました。社長・安全統括管理者・運転管理者・計画管理部長へのインタビューを中心とし

て実施され、経営トップをはじめ社員が一丸となって安全確保に取組んでいることに加え、

「経営トップが安全管理体制の維持・改善に向けて主体的にリーダーシップを発揮していること」

や「意識調査の実施により社員の安全意識を把握し、課題に対する取組みを行っていること」、

「ヒヤリハットに対する情報収集の活性化及び収集した情報の分析結果を基に事故等の未然防

止に努めていること」について見直し・改善が図られていることを評価していただきました。また、

安全管理体制についての継続的な改善に向けた助言もいただきました。

3-3 安全管理体制の見直し

2009年度迄は、安全管理体制の機能全般に関して、改善の必要性等を毎年、年度末の安全推

進会議で審議していました。2010年度からは安全管理体制の中間見直しを実施し、年2回見直しを

実施しております。2013年度は「異常気象発生時の安全確保」「事故発生時の連絡体制・マスコミ対

応」に加え、インシデントやヒューマンエラーの撲滅を図るための「各作業手順・マニュアル等の再確

認及び遵守・徹底」に取り組んでまいりました。具体的には、異常気象時における安全、安定輸送の

確保に向けた取組みとして気象講習会を昨年に引き続き開催いたしました。今後とも、運輸安全マネ

ジメントの評価を踏まえた上で、引き続き本社と現場が一体となった取り組みを行い、安全管理体制

を強化してまいります。

Page 9: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

7

4 2013 年度安全重点施策の内容と進捗状況

当社では、安全・安心で快適にご利用いただくことを目的に年度ごとに諸施策を実施していま

す。安全輸送の確保に関する計画についても重点施策を定め、進捗状況を確認し推進しておりま

す。

2013年度に実施した主な安全重点施策と進捗状況を紹介します。

4-1 連続立体化工事の推進

道路と立体交差することにより多くの踏切が廃止され、運転保安度の向上につながります。現在2

つの高架化による連続立体化工事を推進しています。

墨田区内連続立体化工事

2008年から工事に着手し、2013年8月23日には計画上り線の切替が完了いたしました。こ

れにより、押上~八広間の踏切の遮断時間が約4割減少しました。現在、新しい計画下り線の高

架橋を造る工事を本格的に進めております。引き続き、連続立体化工事を進めていく予定です。

(押上~八広間の高架化が全て完成することにより、合計8箇所の踏切が廃止になる予定です。)

京成曳舟駅高架化完成予想図

現在の京成曳舟駅周辺

葛飾区内連続立体化工事

用地買収や調査などを実施し、事業の推進を図りました。(四ツ木~青砥間を高架化すること

により、全線178箇所ある踏切のうち、11箇所の踏切が廃止になる予定です。)

Page 10: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

8

4-2 地震対策関連工事の推進

高架橋耐震補強工事の実施

阪神淡路大震災を契機に、上野~青砥間の高架橋耐震補強工事を実施しており、2013年度

も継続実施しました。

なお、東日本大震災を踏まえ、高架橋のほか、構造物の耐震補強についても新たに耐震補強

工事を計画し、地震に対する安全性の向上に努めております。

高架橋耐震補強進捗状況実績 (単位:本)

1996~

2011年度 2012年度 2013年度

1797 104 86

新三河島~町屋間の進捗状況

駅・変電所の耐震補強工事を推進

2006年度から駅部分、2008年度から変電所部分の耐震補強工事にも着手しています。

2013年度は八幡駅、臼井駅、佐倉駅の耐震補強工事を推進しました。

4-3 ATS(自動列車停止装置)の機能向上

2008年度から、ATS(自動列車停止装置)の

保安度を向上させたデジタルATS(C-ATS)の

導入を進めており、既に上野~高砂間、高砂~

金町間、八千代台~成田空港間、成田スカイア

クセス線については導入が完了しています。

なお、2014年6月に高砂~八千代台間につ

いて導入が完了しました。また、高砂~成田間に

ついては、従来のC-ATSの機能に加え、誤っ

て列車が駅を通過したときでも踏切道手前に列

車を停止させるか、列車が踏切に到達する前に

踏切遮断機による遮断を完了させる機能を追加

し、踏切道における保安度の向上を図っておりま

す。今後についてもC-ATSの導入及び機能向

上を順次進めることで列車の安全運行を一層確

実なものにしていきます。

Page 11: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

9

C-ATSの「C」は、乗り入れ各社局で共通(Common)に使え、連続(Continuous)して速度制御(C

ontrol)することから付けられています。

4-4 安全重点施策の見直し

今後も計画した施策を推進するだけでなく、国土交通省等関係機関のご指導・同業他社の事例

を考慮し、随時見直しを行うとともに継続的な改善を実施します。

4-5 その他の施設・設備面での安全性向上

安全重点施策のほかにも、毎日の安全輸送を支えるために、車両・鉄道施設・システム等を最適な

状態に保つよう、保守点検作業の質の向上や設備更新を実施しています。

気象情報の活用

沿線に雨量計・風速計・地震計を設置し、規制値による速度制限や運転休止を実施していま

す。また、気象庁の気象情報の他に、民間の気象情報会社と契約し、沿線の気象状況(降雨・降

雪・風)をきめこまかく把握して、台風などの荒天時の運転の規制・解除に活用しています。

Page 12: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

10

地震情報の活用

当社では、沿線に地震計を12か所設置して状況を把握し、震度4以上の地震を感知した場合

には、安全確保のため列車を停止するなど運転規制を実施しています。

また、2007年10月から早期地震警報システム(初期微動から地震の規模と到達時刻を予測

し、本震が到達する前に全列車を停止させるシステム)を導入し、地震による被害の抑制を図っ

ています。

運転士が列車を停止

大きな揺れの前に列車を停止

気象庁

緊急地震速報

システム

列車無線で警音を送出

地震発生

国内の観測点に

おける初期微動

(P波)の情報 緊急地震速報

当社沿線の震度を予測

大きな揺れ(S波)の到着

地震情報・緊急地震速報の流れ

軌道検査

軌道は、列車の走行に必要なレール・道床・マクラギ等で構成されていますが、繰り返しかかる

列車の重量や気象条件により、日々わずかずつ変形します。そのため、日々の巡回点検をはじ

め、軌道や路盤・分岐器・踏切などについては法令による定期検査、動揺測定等を行い、変形の

発生した箇所は規定の数値に基づき速やかに補修し、列車の安全運行に努めています。

軌道整備作業の状況 軌道の測定状況

Page 13: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

11

電気設備の検査

電気設備には、電車の動力に係わる高圧・変電設備、電線路等のほか、列車の安全運行に欠

かせない信号機や ATS 等の運転保安設備も含まれます。これらの設備機器が常に所定の機能

を維持・発揮できるよう、法令で定められた周期・項目に基づいた定期検査を行い、安全性・信頼

性の確保に努めています。

機器点検 変電設備検査

車両の検査

お客様にご乗車いただく車両は、安全で快適な空間を提供できるように、車両係員が保守点検

を行っています。

車両の分解を伴う全般検査(8年以内)・重要部検査(4年または走行距離60万 km 以内)をは

じめ、車両を分解せずに点検・機能確認を行う月検査(90日以内)、列車検査(10日以内)等、法

令で定められた検査周期・方法で検査し、安全性を確保しています。

列車検査(運転台機器点検) 重要部検査(床下機器点検)

施設及び車両の定期検査履行確認委員会

鉄道の施設や車両は、安全を確保するために定期的に検査をしています。検査が適正に行わ

れているか、周期、内容及び記録状況を本委員会にて確認し、必要に応じ安全に係わる業務を

改善しています。

Page 14: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

12

駅構内の安全対策

非常通報ボタン装置の設置

お客様が線路に転落した場合等の緊急時に、接近する列車に異常をお知らせいただくための

非常通報ボタン装置については、2011年度で全駅への設置が完了しております。

また、非常通報ボタンを目立たせるために、ゼブラ表示のシート貼付を順次行っております。

非常通報ボタン装置とゼブラ表示シート

内方線付点状ブロックの設置

全駅に点状ブロックを設置しておりますが、利用者数1万人以上の駅に、視覚に障がいをお持

ちのお客様が駅ホームから転落することを防止するため、ホーム内側部分に線状の突起を付

け、ホームの内外を知らせる「内方線付点状ブロック」を優先的に設置しております。また、利用

者数1万人未満の駅についても、ホームの改修に併せて「内方線付点状ブロック」を順次設置し

ています。

2013年度末現在で、利用者が1万人以上の37駅中16駅について、整備が完了しています。

Page 15: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

13

ホーム狭小箇所注意喚起シートの貼付

ホーム上において狭くなっている箇所について、ホームに黄色いラインを引くことでお客様に注

意喚起を行っています。

車両間転落防止用ホロの設置

ホーム上のお客様が車両の連結部から線路に転落するのを防止するために、車両連結間にホ

ロを設置しています。

2013年度末現在で、528両に設置しており、設置率は88%となっています。

Page 16: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

14

踏切の安全対策

踏切事故を未然に防ぐために、様々な機器を設置し安全対策を実施しています。対策として

は、踏切内に支障物(自動車など)が取り残されないように、また、取り残された時には列車運転

士に異常を知らせる機器を設置し、踏切内の安全確保に取り組んでいます。

なお、当社線における現在の踏切数は178箇所です。

踏切のさまざまな安全設備(例:八幡第3号踏切)

警報機

赤色の閃光灯と警報音により、列車の接近を知らせる装置です。列車の進行方向を表示する

列車進行方向指示器や、踏切保安設備の故障を知らせる故障表示器などが設備されています。

踏切があることを遠くから視認できるよう、道路上に張り出して閃光灯を設置した「オーバーハン

グ型警報機」を設置している踏切もあります。

また、全ての方向から閃光灯が見える、全方位型閃光灯の設置を進めており、現在21箇所に

設置しております。

オーバーハング型踏切警報機 全方位型閃光灯

警報機

(音・赤色灯)

列車進行方向指示器

故障表示器

(通常の表示)

遮断桿かん

(反射材・警告票・垂ベルト付き)

自動障害物

検知装置

(レーザ式)

折損防止器

踏切支障報知装置

(非常ボタン)

踏切遮断機

警報機「全方位型」

(赤色灯)

Page 17: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

15

踏切遮断機

列車が通過する際、遮断桿によって踏切を遮断する装置です。垂れベルト、警告標(赤色の反

射材)、安全確認幕を取り付け、視認性向上を図っています。

なお、万一自動車が踏切内に取り残されたときは、そのまま遮断桿を押して脱出してください。

遮断桿が斜め上に跳ね上がり、より安全に脱出できる「折損防止器」を備えた踏切もあります。

踏切支障報知装置(非常ボタン)

自動車の脱輪などにより踏切道を支障した場合、このボタンを押すと、後述する特殊信号発光

機が明滅し、列車の運転士に異常を知らせます。2013年度は、8箇所に新設し、合計177箇所

となり、設置対象となる全踏切道への設置を完了しました。

自動障害物検知装置

列車が接近してきた際に、 踏切内に支障物(自動車など)を検知した場合に、列車の運転士に

異常を知らせる装置です。障害物を検知すると、後述する特殊信号発光機が明滅します。

検知方式によって光式、レーザ式等があり、2006年度から新型の装置(3次元レーザレーダ

式)も導入しました。2013年度は、4箇所で更新工事を実施し、合計29台稼働しています。

踏切支障報知装置(非常ボタン)と

自動障害物検知装置

自動障害物検知装置

(3次元レーザレーダ式)

Page 18: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

16

踏切動作反応表示灯

踏切動作反応表示灯は、踏切遮断機が完

全に降下し、踏切内に異常がないことを列

車の運転士に知らせるものです。踏切遮断

機が降下完了すると、×字形の表示灯が点

灯します。

踏切動作反応表示灯

特殊信号発光機

非常ボタンを操作した場合や自動障害物

検知装置で異常を検知した場合、2灯の赤

色灯を同時に明滅させて列車の運転士に

異常を知らせます。

特殊信号発光機 (動作イメージ)

緩急行選別装置

駅近くの踏切など、普通列車と優等列車等で踏切に接近する速度が異なる列車がある場合、

警報開始から踏切到達までの時間に大きな差が出ないよう、緩急行選別装置によって警報を開

始するタイミングを調整し、踏切遮断時間の適正化を図っています。

えき

優等列車(高速列車))

の警報開始地点

普通列車(低速列車)

の警報開始地点

列車妨害対策

置石をはじめとする列車妨害に対処するため監視カメラや立看板を設置しております。監視カメ

ラにつきましては2009年度から順次設置しており、現在171箇所の踏切に設置しています。一

部の監視カメラについては、ネットワーク化をしており、遠隔操作することで速やかに画像を確認

することが可能です。また、地元警察と連携を強化したこともあり、列車妨害の件数を減らすな

どの効果が見られました。

監視カメラ 立看板

Page 19: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

17

軌道・土構造物の安全対策

道床厚増加(延長約819m)の実施

砕石で構成されている道床は、通過する列車の重量を支え、路盤に分散して伝えるクッションの

役割を果たすとともに、マクラギを支持し軌道(線路)がズレて変形しないようにする大切な役割を

担っています。この道床を厚くすることにより、軌道の支持力強化を図りました。

【実施区間】 谷津~津田沼、幕張構内、勝田台~志津、八千代台構内、佐倉~大佐倉

法面補強の実施

鉄道線路は、平坦部、高架橋、盛土部、掘割部等さまざまな区間があり、そのうち盛土部、掘割

部の線路脇には法面(のりめん)と呼ばれる斜面が設けられます。大雨等によってこの法面が崩れ

る土砂災害を防止するため、勾配の強弱によってコンクリート枠ブロック、コンクリートブロック等を

施工しています。これにより、法面を雨に強い構造物とし、運転保安度の向上を図りました。

【実施区間】 ユーカリが丘~臼井、津田沼~幕張本郷、検見川~稲毛、稲毛~みどり台

京成成田駅、災害復旧工事

2013年10月15日、大型で強い台風26号が日本の南海上を北上し、16日午前に強い勢力を

保ったまま関東地方に上陸しました。その台風26号に伴う大雨によって、京成成田駅南側法面の

土砂が流出し、1番線の使用が不能となりました。

鉄道本部では、速やかに現地対策本部を設置し、二次災害の防止を図ると共に、施設を管理す

る部門をはじめ鉄道に関わる全ての社員が一丸となって被災箇所の早期復旧に努めました。その

結果、災害発生から115日後の平成26年2月8日に1番線の営業運行を開始、通常ダイヤに復

帰することとなりました。なお法面の復旧に合わせ、被災したとき以上の大雨や地震にも耐えうる

施設に強化しました。

成田駅南側法面の土砂が流出 営業運行を再開した成田駅1番線

Page 20: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

18

4-6 安全対策投資

当社では安全対策を最も重要な施策として位置付け、毎年実施しています。輸送の安全を強化する

ため、例年、安全対策には鉄道事業の設備投資額の約8割を充てております。

2013年度は、駅部や高架橋の耐震補強工事、ATSの整備、連続立体化工事、踏切の安全対策な

どを実施しました。

鉄道事業設備投資総額・安全投資額(実績) (単位:億円)

2011年度 2012年度 2013年度 3カ年合計

設備投資総額 78 98 106 282

安全対策投資 64 81 82 227

※ 2014年度における安全投資額は87億円を予定しています。

Page 21: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

19

5 安全対策の実施状況

当社では、安全重点施策および日々の対策としての施設・設備の維持管理のほか、乗務員など

の安全輸送を支える係員の養成・指導等を行っています。係員の養成・指導については、長年の

経験と実績の積重ねを踏まえるとともに、新しい技術や方法を取り入れるなど、輸送の安全の水準

を維持・向上してきました。

5-1 経営管理層による取組み

現場巡視

社長、安全統括管理者及び各管理者は、更なる改善点を探るため、随時、現場の第一線に出

向き、輸送の安全確保の状況確認や係員とのコミュニケーションを図っています。

社長による巡視は概ね2ヶ月に1回のほか、大晦日終夜運転の際にも実施し、巡視先の所属員

とのコミュニケーションを図っています。併せて鉄道施設の工事進捗状況の視察や、営業線上の列

車や車庫への出入庫車両への添乗を行い、安全性などの状況を確認しています。

社長の巡視状況

5月 京成立石駅・京成小岩駅・町屋駅・日暮里駅・

京成上野駅

7月

成田駅・東成田駅・空港第2ビル駅・成田空港駅

湯川施設区・成田湯川駅・印旛日本医大駅

新鎌ヶ谷駅・北総鉄道総合指令所

9月

京成曳舟駅・墨田区内連続立体化工事進捗状況・

青砥駅・電力指令所・電車区・運輸指令室・

機械軌道区・高砂保線区・高砂電力区・

高砂信号通信区・京成八幡駅

東京外郭環状道路建設工事進捗状況・

10月

※台風26号災害箇所

京成成田駅・京成成田~駒井野間・

公津の杜~京成成田間・京成臼井~京成佐倉間

11月

学園前駅・千原線電気区・千原線工務区・

京成千葉駅・京成稲毛駅・津田沼保線区・

津田沼電力区・津田沼信号通信区

12月 大晦日終夜運転状況

1月

京成佐倉駅・津田沼電力区佐倉支所・

津田沼信号通信区佐倉支所・佐倉保線区・

宗吾検車区・工場・車掌区宗吾支所・京成成田駅

3月 東中山駅・青砥駅・京成関屋駅・京成上野駅 2013年大晦日社長巡視状況

Page 22: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

20

安全統括管理者と現業長との意見交換会の実施

2008年度から、年2回、安全統括管理者と現業長との意見交換会を運輸部・車両部・施設部

の部門を対象に実施しています。これは、現業長との意見交換を通して、各種示達事項の真意を

正確に伝えるとともに、業務遂行上での疑問点を互いに直接確認することなどによって、安全管理

体制が強化されることを目的とするものです。特に2014年3月及び4月には、2月の大雪での対

応と課題について部門を超えて意見交換を行いました。

5-2 運転関係係員教育

輸送の安全確保は車両、鉄道施設の充実だ

けでは実現できません。それを操作する人間が

安全意識・必要な知識技能を備えて初めて可能

になります。当社では、運転士だけでなく、安全

輸送を支える係員に対しても専門技能の習得

や安全意識の向上を図るための教育訓練を実

施しています。

教育訓練については、「教育訓練及び適性検

査に関する実施基準」等に基づき体系的に実施

しております。安全輸送を担う委託会社の管理

者に対しても必要な教育等を実施し、技能保有

状況を確認してから業務に就かせています。

主な運転関係係員教育

現業長 管理職研修・職場内教育・

運転取扱教育訓練・連動訓練

助役 監督者研修・職場内教育・

運転取扱教育訓練・連動訓練

運転兼

駅務主任 運転取扱教育訓練・連動訓練

信号士

運転士 動力車操縦者養成

集合教育・少人数研修・追指導教育

車掌 集合教育・接遇研修・少人数研修・

追指導教育

技術職

限定動力車操縦者養成

職場内教育・部門別集合教育

KYT(危険予知訓練)教習

請負業者

脱線復旧などの各種訓練

工事安全推進協力会

鉄道工事管理者講習会

安全講習会

Page 23: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

21

動力車操縦者(運転士)の養成

列車を運転する乗務員は、国家資格である「動力車操縦者運転免許」を取得して初めて運転が

許されます。当社研修所は、国土交通大臣の指定を受けた指定養成所であります。運転法規や運

転理論、車両の構造等の学科講習を4ヶ月、実車での運転見習い教習を5ヶ月、計9ヶ月を経た後

に行われる試験に合格した者が「動力車操縦者運転免許」を取得できます。研修所では免許取得

後1年、3年経過後にも追指導教育を行い、知識・技能のフォローアップに努めています。

運転士教習 運転士教材(シミュレーション)

乗務員の点呼

点呼は、安全を確保するための原点です。乗務前の点呼において監督者から指示・伝達、乗務

員の健康状態などの確認を行うほか、2006年12月から全乗務員を対象にアルコール検知器に

よる測定(2008年9月から写真記録付で対応)を実施しています。また、乗務終了後は当日の作

業状況の報告を行います。

乗務員の点呼 写真記録付アルコール検知器による測定

Page 24: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

22

技術職の KYT(危険予知訓練)活動

鉄道施設・車両の保守部門では、作業を安全確実に実施するために KYT 活動を実施していま

す。KYT 活動とは、作業前に危険要因を予知し、作業時に指差喚呼等によりヒューマンエラーによ

る事故や災害を未然防止するものです。あわせて KYT 活動の推進者となる「KYT トレーナー研修

会」にも参加しています。

安全確認

作業前の準備体操 「ゼロ災でいこう ヨシ」タッチ&コール

「安全意識調査」の実施

2011年度に、安全に関する各種取組みの有効性を確認するため、鉄道本部所属員及び請負

会社員約2,500名に対し、「安全意識調査」を実施しました。この結果、「組織における安全管理活

動に対する管理者と従業員の意識・理解のずれ」を把握できました。これをふまえ、2012年度に

は各部において部長と助役クラスによる部長懇談会を開催し、意識の統一を図る取組みを実施し

ました。

「安全推進かわら版」の発行

2011年4月から、鉄道本部所属員向けに安全に関する情報を記載した「安全推進かわら版」を

発行し、安全意識の向上を図っています。

月 内容

4月 安全講演会拡大開催について

5月 減件目標達成職場(施設部 電気)

6月 「ヒヤリハット情報」の紹介(車両部 整備課)

7月 体調管理で安全確保

8月 マニュアル ~?なぜやる?~

9月 スマートフォンを使用した画像配信

10月 台風26号災害情報

11月 安全講演会の開催

12月 異常時総合訓練の実施

1月 危険はどこに潜んでる?

2月 大雪による災害情報

3月 災害用備蓄品 ~配備状況の確認~

Page 25: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

23

「安全教習」の実施

2009年度から開始した「安全教習」は「安全意識の更なる向上」を目的として、安全推進担当

が直接、現業員全員及び請負社員を対象に実施し、2013年度は約2,500名が受講しました。

独自の教習資料により、安全の重要性を社員一人ひとりに伝え、安全管理体制が浸透するよう努

めました。教習後に行ったアンケートの結果より、「安全への関心」や「安全方針」についての理解

度が90%を超えていることや、「同業他社で発生した事故事例」についての関心が高いことが確

認されました。今後も引続き内容を見直しながら実施する予定です。

「安全講演会」の実施

株式会社 JR 東日本パーソネルサービスの関口雅夫氏を迎え、2013年11月には「一瞬の

『魔』を突く事故」という演題で「安全講演会」を実施しました。講師自身が長年、現場で培った貴

重な体験をふまえ、分かりやすい言葉で講演をしていただきました。この安全講演会は、2009

年度から現業長を対象に実施しておりましたが、安全意識の統一化・向上を図るため、2010年

度からは助役職、2012年度は現業員へと拡大し、2013年には新たに57名が受講しました。

Page 26: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

24

「事故事例展示パネル」の制作

鉄道の安全に関わる規定類や設備の多くは、過去の事故を教訓として定められ、又は設置さ

れています。一方、過去の事故を知るベテラン職員の退職が進む中で、如何にして知識や技術を

若い世代に伝承していくかが課題となっています。当社では、過去の事故の教訓を風化させない

語り部の役割を担うものとして、事故事例展示パネルを研修所内に導入しています。なお事故事

例については、当社の事例に加え、社会的な影響が大きかった事例を取り上げています。

事故事例展示パネル 教育風景

Page 27: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

25

5-3 ヒューマンエラー撲滅への取組み

ヒヤリハット情報の活用

見過ごすと事故につながるおそれのある事象を把握するため、2007年12月から「ヒヤリハット

情報」を収集しています。6年目を迎え、提出の少ない部門に対しヒヤリングを実施したうえで意

見交換し、収集の推進を第一として取り組んできましたが、昨年と比べ約28%の減となりました。

現在までに提出されたヒヤリハットによる事象の発生頻度と影響度を視覚的に認識し、自分自

身の行動や旅客への案内に反映させるべく、部門ごとに「リスクマップ」を作成し取り組むべき課

題の検討を行っています。

また、2009年9月から社内ネットワーク上でデータベース化し、全ての職場で常時閲覧できる

ようにしました。関係用語などのキーワードを入力することにより、関係事例も検索できるようにし

ており、以前に発生した事例が再発することのないよう、努めています。

事故・故障等減件目標達成職場の表彰制度の設定

事故・故障等を減らすための目標件数は、従来各部門が独自に設定していましたが、ヒューマ

ンエラー等に関してはとかく目標を「ゼロ」とするなど形式的、精神論的なものになりがちでした。

こうした状況を改め、各部門が目標達成のために具体的な計画を立てて取り組むよう促すた

め、2008年度から新たに明確な目標設定方法を定め、それを基に安全推進担当が各部毎の減

件目標を設定・提示することにしております。

目標達成時には「表彰状・賞金」をもって表彰されます。

ヒューマンエラーの重点項目の設定及び巡視

2012年度に発生したヒューマンエラーを分析し、「運転士の基本動作欠如に係るヒューマンエ

ラー」、「駅連動訓練においての基本動作欠如に係るヒューマンエラー」、「各施設(電気、保線等)

の夜間作業に係るヒューマンエラー」の3項目を2013年度の「ヒューマンエラー重点項目」として

設定しました。この3項目について、安全推進担当が立会いを行い、必要に応じて助言や指導を

行うことにより、発生件数が減少するなど、成果をあげています。

Page 28: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

26

5-4 緊急時対応訓練

異常時総合訓練

2013年12月12日(木)に車両部宗吾車両基地(千葉県印旛郡酒々井町)において、「年末

年始輸送安全総点検」を推進する一環として、鉄道本部から約170名が参加し、佐倉警察署の

協力を得て下記のとおり訓練を実施しました。

・事故復旧訓練

○事故想定内容

踏切において、柵を壊して侵入してきた普通乗用車と接触し、先頭車両が脱線、乗客6名が

負傷した。なお、乗用車運転手は自動車内に閉じ込められている。

○訓練内容

事故対策本部、現地対策本部の設置/列車防護、連絡通報、負傷者救出、旅客の誘導案

内/報道対応手順/スマートフォンを使用した画像配信/緊急出動と復旧作業/事故車両

の収容(搬送用台車による推進運転)/現場検証(佐倉警察署)

この訓練は、社員一人ひとりが安全及び危機管理意識の高揚に努め、輸送の安全確保と異常

時対応能力の向上を図ることを目的に毎年実施しています。

2013年度は事故想定の見直し、夕方から夜間にかけての視界の悪い時間帯における訓練を

初めて実施しました。

Page 29: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

27

京成・北総異常時合同訓練

2013年8月1日(木)に北総鉄道㈱印旛車両基地において、北総鉄道線での事故想定に基づ

く合同訓練を実施し、当社、北総鉄道㈱合同で約80名が参加しました。

○訓練内容

北総・京成両対策本部の設置/AE形、印西牧の原車庫への回送/事故発生時の初動連

絡体制の確認/AE形非常梯子取扱い及び乗客降車/AE形と北総一般車の推進運転協

力/AE形連結器の取扱い訓練/バス代行輸送手配/マスコミ(記者会見)対応

この訓練は、2010年の成田スカイアクセス開業に伴い、運行を担っている京成電鉄(株)と北

総鉄道(株)との間で開催された安全統括管理者会議において、合同訓練を実施することとなっ

たことから、2012年に引き続き実施されたものです。

非常召集訓練

事故発生時の正確な情報収集と、的確迅速な情報伝達を行う体制を確認するため、2013年

9月26日(木)早朝に非常召集訓練を実施しました。これは、「秋の全国交通安全運動」の一環と

して、災害想定と列車の不通区間(谷津~船橋競馬場駅間)を設定、現業及び本社社員が伝達

された情報をもとに不通区間を迂回して所定の場所に集合し、到着時刻や連絡伝達方、及び状

況に対する指示などを確認しました。

なお、本社被災を想定し、災害対策本部設置場所を車掌区に設定し、実施しました。

Page 30: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

28

5-5 鉄道テロ対策

テロを未然に防ぐ、或いは被害を軽減するために、テロに繋がるような異常を発見できるよう事前

に対策を講じるとともに、テロ発生時に即座に判断、対処できるように鉄道テロ対策に取り組んでいま

す。

当社では、駅構内や列車内の巡視、車内放送による啓発放送など、テロ対策の警備を実施してお

ります。

防犯カメラの設置

全駅の構内に防犯カメラを設置し、不審

者等の監視をしています。

車両基地等においてもカメラ監視による警

備強化のほか、周辺道路において不審者・

不審自動車等の発見に努めています。

テロ対策合同警備訓練

◎2014年1月9日(木):車両部整備課高砂検車区「テロ対策合同訓練」

目 的 : 初動措置訓練を実施し、警察との連携強化を図る

訓練内容 : 爆発物判別訓練、防爆マット展張訓練、発火物に対する消火訓練

協 力 : 葛飾パートナーシップ、葛飾警察署、警視庁警備部警備課危機管理室、

公安機動隊

当社ではテロ対策を実施しておりますが、万全を期すために、今後もこのような訓練を実施してい

く予定です。

Page 31: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

29

その他のテロ対策

国土交通省等の指導の下、テロ対策に取り

組んでいます。

1.不審物の発見等に関するご協力のお

願い放送を実施しています。

2.警備員や従事員が「警備」の腕章を着

用し、駅構内等を巡回警備していま

す。

3.中が見えるゴミ箱を使用しています。

5-6 その他の対策

異常時におけるお客様の誘導対策

2013年度には、夜間の異常時対応として、全駅にLEDヘッドライトを配備いたしました。また、

災害や事故等により、列車が駅間で長時間停車した際のお客様の避難誘導用として、非常用セ

ーフティライトを全駅に、列車降車用の非常梯子を主要駅にそれぞれ配備しております。

LEDヘッドライト セーフティライト 非常梯子

緊急時支援活動ワッペンの作成

社員が通勤及び私用で当社線を利用している時に、大規模災害や事故に遭遇し、急遽支援活動

を行う場合に使用するワッペンを作成し配布しております。

緊急時支援活動ワッペン

Page 32: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

30

画像配信システム

災害や事故等の発生時、動画で現場の状況を対策本部等に配信するシステムを導入しており

ます。現場に派遣された社員が撮影した映像を映し出すことにより、正確で、より迅速な判断や処

置が可能となります。撮影端末は主要駅や施設基地に配備し、異常時にはこの端末を携帯し、現

場へ駆けつけます。

平成25年10月の台風26号の経験を踏まえて、送信用の撮影端末(スマートフォン)を56台か

ら85台へ増備しました。

スマートフォンにて送信する画像 運輸指令室等で受信する画像

Page 33: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

31

運行情報ディスプレイ

列車の運行情報や大規模災害時の緊急放送などを表示する「運行情報ディスプレイ」を改札

口付近に設置し、最新情報を視覚的に提供することで、お客様案内サービスの向上を図っており

ます。自社線や近隣の他社線で運転見合わせ等の運行支障が発生した際、文字情報と路線図

にて支障区間などを2カ国語(日・英)で表示することができ、また、NHKによる非常災害時緊急

放送を放映することができます。

2013年度中に6駅12カ所に設置いたしました。なお、2014年8月12日までに新たに5駅5カ

所について、設置を完了しております。

運行情報ディスプレイ ディスプレイ画面

京成グループ技術発表会(電気部門)

京成グループ4社(京成電鉄・新京成電鉄・北総鉄道・京成電設工業)では、各社間の技術交

流を目的とした京成グループ技術発表会を実施しています。実技による作業内容を発表し、相互

に評価を行うことで、技術力の向上と連携の強化を図っています。

Page 34: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

32

帰宅困難者への対応

当社では、内閣府が取り纏めた「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会最終報告」に基づ

き、震災等の大規模災害が発生した際の帰宅困難者対応について取り組んでいます。具体的に

は、沿線自治体との協議会の中で、異常時の連絡体制の確認や発災時の避難誘導施設の選定

等について順次打合せています。また平成26年2月には、「船橋駅・西船橋駅周辺帰宅困難者

等対策推進協議会」主催の帰宅困難者訓練に参加し、関係各所との情報伝達訓練及び避難誘

導訓練を実施しました。

駅における備蓄品の配備

全ての駅において、大規模災害時に帰宅が困難になったお客様に対し、特に援護が必要と思

われる高齢者や障がい者、乳幼児、妊婦等向けの備蓄品を配備しています。

2013年度については、備蓄品の拡充を行い、飲料水とアルミブランケットの数量を増やすと共

に、食料品と簡易トイレを新たに配備しました。

Page 35: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

33

6 輸送の安全の実態

鉄道事故等は以下のように分類されています。

鉄道事故等の分類

◆鉄道の事故

・鉄道運転事故

列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、鉄道人身障害事故、

鉄道物損事故

・輸送障害

鉄道による輸送に障害を生じた事態であって、鉄道運転事故以外のもの

・電気事故

◆災害

◆インシデント

鉄道運転事故が発生するおそれがあると認められる事態

6-1 鉄道事故等の発生状況

2013年度において発生した鉄道事故等は以下のとおりです。

鉄道運転事故

2013年度に発生した鉄道運転事故は、踏切障害事故5件、鉄道人身障害事故が6件の合計

11件でした。原因別の発生件数は以下のとおりです。

(事故件数は省令に基づき、国土交通省に届出を行った鉄道事故の件数です。)

・踏切障害事故

踏切道に取り残された事象 5件

・鉄道人身障害事故

ホーム上で接触した事象 6件

踏切には自動障害物検知装置等を、ホームには非常通報ボタンを設置し、お客様の安全確保

に努めています。

Page 36: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

34

輸送障害

2013年度に発生した輸送障害は18件です。原因別の発生件数は以下のとおりです。

運転を見合わせた時間

鉄道運転事故、輸送障害にともない、2013年度に運転を見合わせた時間を上記の原因別で分

けると以下のとおりです。

設備の故障など

3件

第三者による事故など

9件

自然災害

6件

輸送障害の原因別の件数と内訳

輸送障害

総件数

18件

第三者による事故など

6時間58分

設備の故障など

10時間46分

自然災害

22時間45分

運転を見合わせた時間の原因別の内訳

運転を見合わ

せた総時間

40時間29分

「運転を見合わせた時間」とは、直接の原因

となった列車が、その発生から運転再開まで

に要した時間です。

Page 37: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

35

インシデント

2013年度は2件発生しました。

6-2 主な輸送障害と再発防止措置

台風26号による運転見合わせについて

2013年10月16日(水)台風26号の接近に伴い、京成線各所に設置されている雨量計及び

風速計が速度規制値及び運転休止規制値を観測したため運転規制を実施し、始発時より全線に

渡り大幅な列車遅延と運休が発生しました。また、京成成田駅において、1番線軌道脇法面の土

砂が流出したため、安全確認及び復旧作業の為、16日は終日にわたって1部区間において運転

を見合わせました。翌17日からは運行を開始したものの、1番線を使用停止した臨時ダイヤによ

る運行となり、お客様には大変なご不便をおかけしました。

なお、台風26号が接近した15日に災害対策本部を本社に設置し、また、16日には現地対策

本部を京成成田に設置し、対応体制を整えました。

京成成田駅の土砂が流出した法面については、復旧工事を行い、被災したとき以上の大雨や

地震にも耐えうる施設に強化しました。その他の法面についても、引き続き法面の補強工事に取

り組んでまいります。

大雪に伴う運転見合わせについて

2014年2月8日(土)積雪の影響により、京成線内の連動駅各所にてポイント不転換が発生、

各所除雪を行いましたが復旧せず、18時40分より全線において運転を見合わせました。翌9日

についても前日の積雪の影響により引き続き始発時より京成線全線で運転を見合わせ、その後

試運転列車を運行させ安全確認を行った区間より順次運転を再開しました。試運転終了後、17

時10分より全線で運転を再開しましたが、お客様には大変なご不便をおかけしました。

一方、2月14日(金)の降雪の際は、早めの警戒体制を執り、除雪要員を的確に確保すると

共に、一部ポイントの固定等を行うことにより、適切に列車の運行を継続しました。引き続き、ポ

イントの雪害対策等の検討を進めてまいります。

Page 38: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

36

7 お客様・地域の皆さまとの連携

皆さまのご協力も安全確保には欠かせません。

朝夕ラッシュ時の整列乗車、駅ホームや踏切での非常ボタンによる通報など皆さまの行動によ

り事故が防止されています。これらにより安定輸送も確保されています。引き続き安全輸送への

ご理解ご協力をお願いします。

7-1 お客様へのお願い

当社では、事故防止のために、放送・掲示物などを通して皆さまのご協力をお願いしております。

列車妨害行為の禁止について

線路上に石等を置いたりする列車妨害行

為が少なからず発生しています。線路上に

石を置いたり、列車にものを投げたり、落書

きなどのいたずらをすることは大変危険で

あり、法に触れる犯罪行為です。

これらの行為を目撃された場合は、最寄り

の駅又は警察にお知らせください。

ホーム上でのお願い

かけ込み乗車は、思わぬ怪我をすること

があります。危険ですので次の電車をご利

用ください。また近年、酩酊者や、携帯電話

等に気をとられたお客様がホームから軌道

に転落する事故が増えています。大変危険

ですので、ホームでは電車から離れて歩い

てください。なお、ホーム上で列車を緊急に

止める必要があると判断したときは「非常通

報ボタン」を押し、係員にお知らせください。

Page 39: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

37

踏切でのお願い

踏切事故の大半は無理な横断によるもの

です。踏切を渡るときには無理をせず、ま

た、電車が通過した後も反対側からの電車

が来ないか、特に注意してください。列車を

緊急に止める必要があると判断したときは、

「踏切支障報知装置(非常ボタン)」を押して

ください。

列車内でのお願い

列車内で不審物を発見した場合は、手を

触れず直ちに駅係員又は乗務員までお知ら

せください。また、非常の場合にも車内の

「非常通報ボタン」を押し、乗務員にお知ら

せください。

また、お子様が戸袋に手を引き込まれる

事故が多くなっていますので、ご注意して下

さい。

お客様が皆様、安心して、かつ安全にご利用いただけるよう、安全輸送への、お客様お一人お一人

のご理解・ご協力をお願いいたします。

7-2 沿線地域との協働

こども110番の駅

全国の鉄道事業者と共同で、全駅で「こども110番の

駅」の取組みを行っています。「こども110番の駅」のステ

ッカーを見て、お子様が助けを求めてきた場合、お子様を

保護し、お子様に代わって110番通報を行うなどの対応

により安全を確保するのが目的です。

被害に遭った時だけでなく、日頃から安全・安心への配

慮に心がけ、安全・安心な地域づくりに貢献するとともに、

こどもにとって楽しく、フレンドリーなやさしい駅を目指して

います。もしお子様が、駅やその周辺、電車の中などで身

の危険を感じたら、すぐに近くの駅係員に知らせるよう、常

日頃から教えてあげてください。

Page 40: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

38

「一日駅長」(春の交通安全運動の一環として)

2013年4月12日(土)、公津の杜駅で小学生による交通安全キャンペーン「一日駅長」を実施

しました。当日は成田市立加良部小学校の児童45名にご協力をいただきました。代表3名が制

服姿の一日駅長、助役に扮したほか、他の児童にも駅務員として券売機室等駅施設の見学やホ

ームの安全監視、構内放送実施等の駅業務、非常通報ボタンや踏切支障報知装置押しボタンの

模型を用いた操作体験をしていただきました。また、ご利用のお客様に、踏切事故防止のチラシ・

ポケットティッシュを配布し、交通安全をPRしました。

宗吾車両基地 親子見学会の実施

日頃よりご乗車いただいている沿線のみなさまへの感謝をこめ、宗吾車両基地にて親子見学会

を実施し、約300名の親子にご参加いただきました。軌道用保守車両の展示や保存車両の見

学、非常通報ボタン装置の体験や洗車機通過体験など、普段見学することのできない車両基地

で貴重な体験ができるイベントを実施することで、沿線のみなさまと直接触れ合い、鉄道事業へ

の理解を深めていただきました。

啓発活動の実施(春の交通安全運動の一環として)

沿線の自動車学校(23校)に踏切事故防止の指導方についての啓発活動を行いました。また、

沿線の小学校(123校)に踏切の安全通行等について、児童への指導のお願いをするとともに、

小学生新入生児童に安全標語等をデザインした下敷きを配布し、踏切事故防止についての啓発

活動を実施しました。

Page 41: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

39

7-3 人にやさしい鉄道を目指して

「サービス介助士」

当社では2005年度から「サービス介助士」の資格取得を推進して

います。2013年度末現在、資格取得者が475名となり、京成線各駅

に配置しています。資格取得者配置駅には、駅長室ドア入り口に「安

心のサービス介助マーク」を掲出しています。

この資格は、ご高齢のお客様やお身体のご不自由なお客様に対し、

適切かつ安心していただけるサービスが提供できるよう、介助に関し

ての基礎的な知識と技能を習得するもので、NPO法人「日本ケアフィ

ットサービス協会」が認定する民間資格です。

AED(自動体外式除細動器)設置

お客様に安心してご乗車いただくための

取組みとして、2006年度からAED(自動体

外式除細動器)の設置を推進し、2008年

度に京成線全駅への設置が完了しました。

また、新型スカイライナーには全編成に搭

載しております。

AEDは、突然の心停止(心臓突然死)から

命を救うための機器で、救急車が到着する

までの間に、AEDを使用して救急処置を施

し、救命率を向上させることを目的として設

置しているものです。

駅構内触知図の設置

目の不自由なお客様にも安心して駅をご

利用いただけるよう、駅構内触知図の設置

を推進しています。(全65駅中51駅に設置

済です。)

Page 42: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

40

施設のバリアフリー化

バリアフリー設備の設置により、ご高齢のお客様やお身体の不自由なお客様をはじめ、全ての

お客様に快適に駅をご利用いただけるよう、エレベーター・エスカレーターの設置等、駅のバリア

フリー化を進めています。(一日当りの乗降客数が3,000人以上の駅58駅中、2013年度末現

在で51駅が移動円滑化基準に適合しています。)

ウォークインタイプのお客様案内カウンターの導入

2013年度に京成八幡駅の耐震補強及びリニューアル工事を行い、当社としては初めてウォー

クインタイプのお客様案内カウンターを導入しました。ガラス張りで開放感を持たせると共に、間

接照明で落ち着いた空間を演出しました。これにより、お客様とより接した身近なご案内が可能に

なったほか、複数名のお客様に対しスムーズなご案内も可能となりました。

今後も、お客様に良質なサービスを提供できるよう、利便性の向上に努めてまいります。

Page 43: 2014安全報告書2014 京成電鉄株式会社 1 1 ご利用の皆さまへ いつも京成電鉄をご利用いただきありがとうございます。 この「安全報告書」は、鉄道事業法第19条の4に基づき、当社における輸送の安全を確保す

安全報告書 2014 京成電鉄株式会社

41

8 安全報告書へのご意見募集

京成グループをご利用いただいた際に、お客様が感じた様々なことがらをお聞かせいただき、さ

らなる安全とサービスの向上を図るために「ご意見・ご要望箱」を開設しています。

「ご利用上の注意」をご確認のうえ、下記の専用メールアドレスからご送信ください。

なお、安全報告書に関するご意見やご感想につきましても、今後の安全に関する取組み及び報

告書の内容に活かしてまいりたいと考えておりますので、ぜひお聞かせくださいますようお願いし

ます。

ご利用上の注意

○ ご送付頂きましたメールの内容は平日の営業日に確認させていただきます。また、回答させて

いただく場合、送付いただきました内容につきまして、担当部署において事実確認・調査を行う

ため、ご回答までにお時間を頂戴することがあります。

○ 弊社より送付した電子メールの内容を、弊社の許可無く転用・二次使用することは固くお断りし

ます。

○ 頂戴したメールに記載されたお客様の個人情報は、当社「個人情報保護方針」に従い、お客様

との連絡以外の目的では、使用いたしません。

E-Mailアドレス >> [email protected]