2015 年 11 月号(通巻 第 302 号) 11 月 22 日発行 (毎月 1 回 集談会...

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2015 11 月号(通巻 302 号) 11 22 日発行 (毎月 1 集談会当日発行 練馬集談会機関誌 明 翔 2015 11 月号 ( 302号) 1

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2015 年 11 月号(通巻 第 302 号) 11 月 22 日発行 (毎月 1 回 集談会当日発行)

練馬集談会機関誌

明 翔 2015 11 月号 (302号)

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11月号目次 目次 ················· 2 投稿原稿の枚数について ················· 西 田 尚 史 3 「対人恐怖」 ················· 山 本 和 永 4 同窓会の幹事 ················· 本 田 博 久 7 執着と怒り ················· 星 澤 康 孝 8 自分軸を持つ ················· 高 橋 宏 恵 11 「初一念」と「私メッセージ」 ················· 安 田 広 行 12 心と心の距離を縮める ················· 小 島 徹 14 第 449 回練馬集談会報告 ·················· 阿 曽 由 香 16 原稿募集 ··················· 17 森田理論勉強会のお知らせ ··················· 小 島 徹 18 編集後記 ··················· 小 島 徹 19

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投稿原稿の枚数について 西田尚史

明翔の投稿原稿の枚数は規制がなかった。

最初の規制は 2010 年秋の、 5 枚以上の場合は 2 回に分けるかも

知れないだった。これは 2011 年の 9 月に 4 枚以上の場合に改めら

れた。そして 2012 年の 8 月に、はっきり 4 枚以内に制限された。

続いて 2013 年の 6 月に 3 枚以内に改められた。そして 2 年後の 2015

年 8 月に 2 枚以内とされた。

2015 年 9 月号の記事は多くの方の投稿は 1 枚で、2 枚の方は宮崎

さんと 0129 さんの 2 人だった。その 2 枚の記事は、共に堂々たる

もので、 2 枚で充分であることがよく分かる。

ところで 301 号からはまた 3 枚に戻るとされている。それならば

ここで以前の方式にならってみたらどうか。即ち 3 枚以上の原稿は、

編集長の裁量で 2 回に分けるかも知れないとする。そうしていたら、

そのうち、 2 枚以内と規定できるようになるだろう。

明念さん、小島さんほか、書くことのメリットを述べておられる

が、長い文を書くのではなく、多くの人の参加こそが望ましい。他

の集談会の機関誌を見ていないが、「練馬集談会機関誌」は一人 1

枚もしくは 2 枚、多くの方々の参加でありたい。

301 号 1 頁 西田 本田 とも 高橋 2 頁 福田 小島

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「対人恐怖」 山本 和永 私は、若い時から、対人恐怖で苦しんできた。 それは、70 代の終わりに近づいた今にいたるも、変化していない。

情けないことだが、脳裏に刻みこまれたトラウマは、取り除く事は

できないのである。 私達は「森田理論学習」により、その精神のからくりについて学

んできた。しかし、他人への恐怖を抱く習性は、人生末期まで、も

っていくことになるのだろう。それを、いまさらどうこうしようと

思う事が間違いなので、ありのままに生きる、といえば、まさに森

田的生き方ということで、発見会員の人達からは、ほめられるかも

知れない。反対に、いい歳をしてまだそんなことを言っているのか、

と笑われることなのかもしれない。 ただ、この歳になると、自分の過去を振り返ることが圧倒的に多

く、これから、に想いを馳せたとしても、すぐにいき詰まる。 未来志向で、といってもその未来はほんとに短い気がして、心が 萎えるのである。それでも、ときには、まだまだ、場合によっては、

案外長いかも知れない、との妄想のようなものを抱いたりもする。

まさに混沌である。 私の妄想は、肉体を鍛えて、というものではない。それは、幸い

なことである、と思っている。過去の蓄積が役立っている。 私は、若い時、孤独であった。真の友人といえるような者は一人

もいなかった。何しろ、対人恐怖が強く、いろいろな団体の活動に

参加することもなく、個人的な集いや、趣味を同じくする者たちの

仲間に加わることもなかった。加わったとしても、それになじめな

いため、段々に疎遠になり、やがて忘れられた。 そんな私の唯一の慰めは、読書であった。本の中には、いろいろ

な世界が無限大に広がっている。その世界に入り込めるかどうかは、

それこそ、自分次第なのである。

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他人を気にすることもなければ、自分の能力の無さを嘆くことも

ない。自分が興味を持てるものから手掛けていけばよいのである。 対人恐怖による孤独は、自己を、根気のある、読書する人間 にしてくれたという一面を持つのである。 読書するという性癖は、今に至るも衰えていない。そして、それ

が、今の自分を支えてくれているのである。 今、私は、二つの読書グループに加入している。また、生活の発

見会、随筆サークル、にも参加していて、稚拙ではあるが、文章も

毎月書いている。そのようなことが出来るのも、若い時に培い、継

続してきた、読書のおかげなのである。 現代は、読書離れが著しい、と有識者をなげかせる状況になって

久しい。そのためもあって、書店が減少し、書籍の展示量も少なく

なる一方である。また、読書サークルにおいても、参加する人が少

なく、高年齢化、女性偏重化も顕著である。私にとっては、心細く

てしかたがない。自分の領域が段々に窄まっていく、最も貴重なも

のが、やがて消えてなくなる、そんな不安にさえ陥るのである。 なんとか、この情況を打破したい。打つ手はないのだろうか? このようなことは、読書サークルに加入している人達の多くが考え

ている事なのである。 去年の 10 月、O市の学習センターにおいて、「まなび・フエステ

ィバル」というイベントが開催された。私の所属する読書サークル

においても、その「まなび・フエスチィバル」に協力しよう、とい

うことで、読書会の会員募集の趣旨もかねた、メッセージを発表し

よう、ということになった。そのための原稿をそれぞれが書いてく

ることになった。私は、次のように書いた。 [ 読書会と私] ・私は、若い時、対人恐怖で苦しみました。 そのため、人との接触を避け、本ばかり読んで過ごした青春だっ

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たような気がしております。 私の人生にとってはマイナスの面が大きかったと思っております

が、すべてを否定すべきもの、と言えない一面があったことに気づ

かされます。それは、今に至るも本を読むことが好きであり、意欲

そのものは、それほどの衰えを感じないからです。 その支えとなってくれているのが、読書会であることは言うまで

もありません。 いくら好きなことであっても、人との接触もなく、

一人で楽しんでいても、そこに真の喜びも発展もない、と思います。 しかし、同じ趣味の人との出会いを作ることは、容易なことでは

ありません。そのため、私は孤立感に苛まれてきました。ところが、 その孤立感を解き放ってくれる場所があったのです。 それが、読書会であったということです。なぜ、もっと早くに参

加しなかったのだろう、と後悔しております。それだけに、沢山の

本を図書館で借りていかれる人を見るにつけ、読書会に加入してく

ださり、これまでに蓄積された知識を活かしていかれるなら、私達

にとって、また、ご本人にとっても、どれほど大きな刺激になるこ

とか、と思われてなりません。]・ 私の書いた原稿は、最終的に採用されなかった。個人的なことが、

表面に出過ぎていたからである。 それでも、書いたことについての後悔はない。

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同窓会の幹事

本田博久 「明翔」2015 年 10 月号において、山本和永さんが「明翔」300 号の私の

文章について取り上げて下さり、とてもありがたく、嬉しく感じました。ま

た、同号で山本さんが書いておられた雑誌「PHP」10 月号の裏表紙の「記

録」というテーマの文章は、私も心にとても残っていたものでした。 ところで、「PHP」11 月号の裏表紙の文章は、「喜び」というテーマでし

た。そこには、「何より嬉しいのは、自分の行いが人の役に立ち、喜んでもら

えたと実感できることである。(略)どうすれば周囲の人に喜んでもらえるか

を常に考え、行動する、一人ひとりのそうした行き方が、それぞれの生きる

励みにつながっていく。」とありました。 「人の役に立つ喜び」は、集談会に参加するうえでの大きなテーマですが、

私にとっては、発見会に参加する前から大事なことでした。その一例として、

同窓会の幹事をあげたいと思います。 私は、大学のクラブで指揮者をしました。一奏者でよかった頃は自己中心

的な発言ばかりでしたが、いざ自分が指揮者になったら、いかに奏者と心を

合わせた合奏を作るかに悩むことになりました。結局、そこで取り組んだの

は、同級生を中心に奏者一人ひとりの声を聴くことと、そのうえで自分の気

持ちも伝えることでした。互いの思いがわかった後は、以前とまったく違う

合奏になり、感動を分け合うことができました。私は、奏者の皆さんに心か

ら感謝を覚え、この人たちに喜んでもらうにはどうしたら良いか、をこころ

がけるようになります。その一つが、同窓会の幹事だったのです。 同窓会の幹事は、会の企画から、場所取り、連絡、出欠の確認、当日の司

会、会費収集と支払まで、事務がたいへんなのですが、私は上記のような経

過から、進んで引き受けました。その結果、参加者の皆さんには、毎回たい

へん喜んでいただき、それが私の大きな喜びになりました。回数をこなすほ

どに事務にも慣れて効率化も覚え、さほど苦にならなくなりました。今でも、

会の終わりに「君のおかげで、今日は楽しかった。」「本当にご苦労様、あり

がとう。」と言ってもらうと、調子に乗って「次は何をしたら喜んでもらえる

かな」と、また企画を考えてしまう私です。

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執着と怒り 星澤 康孝

怒り、はろくなもんじゃない、と分かっていてもついつい怒ってしまう

のが、大方の人ではないだろうか。世の中、思い通りにならない事ばかり。

それがわかっていても、フラストレーションの芽は、瞬間瞬間わきあがる。

電車の中での一瞬の出来事でも、いろんな怒りが観察できる。自分の苦

手な匂いが立ち現れたら、嫌悪感という怒りが起きる。電車の急ブレーキ

で、思わず倒れそうになる。この倒れそうになったことで、他の人に当た

ってしまうのではないか、という怒り。はたまた、当たってしまったら当

たってしまったで、その人と揉めてしまうのでは、という恐怖感という名

の怒りもある。また、その倒れ方のあまりの大きな動きに、恥ずかしい、

という名の怒りも起きる時もある。要するに、人は、イレギュラーな事が

起きると、怒りに包まれやすいということだ。

もっと小さな怒りに注目してみよう。腰が急に痛くなったらそれも小さ

な怒りに転じることもある。今、この文章を作っている間にも、パソコン

の打ち間違いで何度か小さなフラストレーションを感じた・・・それも怒

り。文章構成が上手くいかない、それも小さな怒り。来る予定のメールが

まだ来ていないというザワザワ感、それも小さな怒り。期せずして、電球

がきれて、作業が中止になった時の「ああっ」という小さなため息(笑)

も、小さな怒り・・・。

怒り、というと、血相かえて怒っているシーンばかりを想像すると思う

が、割と、ほんと小さな日常に、小さな怒りが、いろいろ潜んでいるもの

だ、と発見できる。これもまた生活の発見なり(笑)

もっとやっかいなのが、「自分のイメージ」とやらから発信される怒りだ。

自分はこんな事できるはずなのに、実際やってみたらできなかった、と

いう怒り。自分はこの服似合うかな、と思っていたら、「その服、あんま

り似合わないね」と突然、彼女に言われた時の悲しみ、という怒り(笑)。

神経症でお悩みの方は、○○恐怖、という概念を、そのまま受け取って

おられると思うが、それは、怒り、という表現でも、置換できる気がする。

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対人恐怖の人は、「自分が人の前で堂々としていられる」という「自分イ

メージ」を持っていて、それが、そのイメージ通りにいかないという所で、

赤面なり不適応行動が出てしまう。それは、「自分のイメージ」から発信

される怒りに分類されると思う。

強迫恐怖の人だってそう。その状況が、自分の思い描いている通りにな

るハズだ、と思いこんでおり、その通りになるかならないのか、ずっと気

にしてしまう点、つまり、「その状況が上手くいく自分」というイメージ

を前提にしている点、やはり、「自分のイメージ」から発信される怒り、

にあたると思う。

今回のテーマ、「執着と怒り」というテーマは、神経症者や、○○恐怖症

者にとっても、かなり根本的なテーマになるかな、とも思う。

マインドフルネス、という手法が流行っている。どんな手法かというと、

瞑想により、「今、その瞬間に起きている心にそのまま気づく」ことがで

きる、というものだ。それを訓練し、洗練させていくことで、瞑想以外の

どんな日常の瞬間でも、「その瞬間の心」に客観的に気づく事ができる。

そして、その客観性を持ち得ることで、その瞬間の心に捉われず巻き込ま

れない、という効果がある。(フォーカシングとか、アウェアネスとか、

まぁ、いろんな横文字で表現されている。)

最近では、大手 IT 企業の Google、がこのマインドフルネスをかなり押し

ている。それくらい、ポピュラーになりつつある。その方法を一言でまと

めると、「常に集中し今この瞬間の心に常に気づく」、ということになる。

このマインドフルネス、という方法は、今回の、テーマである、「執着と

怒り」を、鋭く観察するために、とても有効だ。

「怒りの奥には執着あり」

この原則を、マインドフルネスにより実践的に観察してみよう。 たとえば、ある人の言葉にカチン、ときたとする(よくある話ですね)。

この人の言葉は、ただの言葉なのに、大概の人は、この言葉に左右されて

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しまう。それは、どうしてだろう。 それは、その奥に「こうあって欲しい」という執着があるからだ。「この

シチュエーションでは、こうあるのが普通」と考えるのが大方の人でしょ

う。その「こうあって欲しい」の予測を離れて、違うことが起きると大概

の人は、怒り、に転じることが多いと思う。それが、カチン、の大概の原

因ではないか??? つまりは、「こうあって欲しい」が執着。その「こうあって欲しい」が“裏

切られた”ことによる、カチン=怒り。方程式としては、このような図式

で集約できるかと思う。 だからこそ、 「怒りの奥に執着あり」 の原則(方程式)なのだろう。 マインドフルネスをし、常に集中力を保っていると、これに気づくこと

ができる。「あっ、怒り」と思って気づく。その怒りは、森田の感情の法

則ではないが、気づけば、勝手に流れて行く。そこまででも、まぁ OK!。

しかし、マインドフルネスを利用して、さらに、もうちょい奥まで踏み込

むと、「あっ、こうあって欲しい、って思ってて、それが叶わなかったか

ら怒ったんだぁ~」と、仕組みを理解できるようになる。これが、最大の

学習!そして、「怒り減少」&「妄想手放し」などに効果的に作用する! 大概、人は「こうあって欲しい」と妄想しているものだ。それが、「妄想

だったんだ!」と素早く気づくことが、怒りから離れるコツ! 森田的な「観念的理想主義」も「妄想」と気づくと、怒りや恐怖(恐怖

は怒りの一種だと思う)の奥にある仕組みに“気づき”、どんどん妄想を

手放すハズ!その切り替え力を訓練すれば、怒りに支配される事も減る。 「いかりをりかいに!」と語呂合わせ的に暗記してください! 私もまだまだ修行中(笑)ですが、この仕組みの“りかい”はおススメ! 皆さん、実践で“りかい”してみてください! 幸せでありますように。

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自分軸を持つ 高橋 宏恵 今から2年前、占い師でカウンセラーでもある人のカウンセリングを受け たことがあります。 その時に言われたことの中で「あなたは、人に気を遣い すぎて、自分のエネルギーを人に貸して(預けて)いて、あなた自身のエネル ギーが枯渇している」というものがありました。そして「自分軸を持ちまし ょう。」とも言われました。「自分軸」という言葉がしっくりこなくて、自 分の意見、自分の意思という言葉に置き換えて考えてみたら、いつも「自分 軸」がなかった自分を思い出しました。 特に子供の頃ですが、様々な場面で正直に自分の思いを口にした結果、 嫌われたり恥をかくことが多かったので、もうそんなの嫌だと思い、中学 生辺りから、自分を抑える方向に向かいました。心の中では否定していても 「私もそう思う」と同意してみたり、私自身は嫌いではない人の悪口に同調 してしまったり、と本心とは違うことをして人に合わせてばかりいるうちに 、自分の好き嫌いや意見、意思というものがどんどんわからなくなっていき ました。就職して、仕事をするようになると、一個人の感受性などよりも仕 事が進んでいく方が大事でしたから、ますます、その状態が続いていきました。

(何度か仕事を辞めた時の数ヶ月の休職期間などは、その状態が一時中断され、

自分らしい感覚を取り戻せるのに、新たに仕事を始めると、また元のその状態

に戻ってしまうのが、いつも残念でした。)「自分を出せば嫌われる」「自分を

出せば変に思われる」と強く信じていたので、嫌われて変に思われたくなかっ

た私は、人前では自分を出さないようにして、人に合わせてばかりいました。

それで苦しくなって、カウンセリングに行き、上記のように言われました。 今は、日々、自分なりにリハビリをしている感じです。「自分は本当はど う思うか」というのが常に頭の中にあります。例えば外食のときに、主人か ら「何にする?(どこで食べる?)」と聞かれ、以前だったら「何でもいいよ」 と答える割りには、主人の決めたお店に内心不満でモヤモヤしていたのです が、最近では自分の食べたいものや行きたいお店を素直に答えられるように なってきました。他には、自分はこうしたい、こう思うというのを以前より 口にするようになりました。その結果、自分でも数年前の自分とは違って きていると感じています。良い変化だと思うので、このリハビリを、もうし ばらく続けていこうと思います。自分軸を持っていると、もっと自覚できる ようになるために。

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「初一念」と「私メッセージ」 安田広行 皆様こんにちは。初めて投稿をさせていただきます安田と申します。 平成 8 年に生活の発見会に入会し、これまで船橋、名古屋、和歌山集談会

でお世話になり、現在は沖縄集談会に出席しております。 突然ではございますが、以前から関心を抱いていたことで、どうしても詳

しく知りたいと思うようになったことがあり投稿させていただきました。 いつの記事だったかは思い出せないのですが、毎月送られてくる発見誌の

中で「私メッセージ」を大事にしよう、というような記事が何度かありま

した。 「私メッセージ」というものを以前から私は知っていて、はて?森田理論

と私メッセージはどのように関連しているのかな、とその頃から関心を抱

いておりました。 そして先日、ある本の中でこの私メッセージが詳しく書かれている本に出

会い、衝撃を受けました。 その本は昭和 45 年アメリカで出版された、「Parent Effectiveness Training」=訳題:親業(おやぎょう)=という古い本で、親とこどもの

コミュニケーションの取り方について書かれた本です。 著者のゴードン博士がこの本の中で「私メッセージでは話し手の”第一次

的感情”を伝えることが重要である」と述べています。第一次的感情とい

うのは、物事に対して話し手が最初に感じる素直な感情と説明しています。 例えば、迷子になった我が子を見つけた親が、通常最初に感じる素直な感

情は、「ああ見つかった!無事だった!よかった!」という安堵の感情で

あるのに、子供にぶつける言葉は往々にして「どこに行ってたの!?ちゃ

んとついてきなさいと言ったでしょ!!」などという怒りの感情で、これ

は安心のあとで湧き上がる第 2 次的な感情であると。 ここでは「ああ見つかってよかった!ママ安心したわ!」「○○ちゃんが

いなくなってママは本当に心配したのよ」という素直な感情をまず伝えれ

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ば(=私メッセージ)、こどもは自分の行動を自ら反省し始め、こどもの

主体的な行動に、今後いい影響を残すことができます。 しかし素直な感情でなく 2番目に湧き上がった怒りの方をこどもに最初に

ぶつけると、こどもの方も素直になれず、その場で親子ゲンカになり、さ

らには今後も問題行動は解決されず繰り返される、ということなのです。 これを読んだときに突然、森田理論の「初一念」が頭に思い浮かび、はっ

としました。詳しくはわからないのですが、私メッセージと初一念(森田

理論)には、何か重要なつながりがあるのではないかと。 最初に感じる素直な感情を相手に伝える、まさに感じる力を育てることそ

のものではないかと。 だからこそ発見誌に「私メッセージを大事にしよう」というような記事が

あったのではないかと。 そこでもし皆様がご存知でしたら、この「私メッセージ」が森田理論の中

で活用されているとしたら、どのように活用されているのかをお教えいた

だけないでしょうか。 またこれに関する書籍や発見誌などの記事、文献がありましたら是非手に

取ってみたいのですがご存知でしょうか。 また私としては、この「Parent Effectiveness Training」メソードのイン

ストラクターを現在目指しており、私メッセージをもっと生活に活用して

いきたいと考えております。 その中でもし森田理論との関連性が発見できましたら、また改めて投稿さ

せていただき、この場で報告させていただきたいと思います。 今後ともどうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。

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心と心の距離を縮める力 小島 徹

私の務めている会社で、先日、解約抑止の勉強会がありました。 いかにして解約を抑止するかを学んだのですが、その内容が、集談会活動にも

役に立つように感じましたので、そのことを書かせていただきます。 私の会社では、定期的に顧客を訪問する仕事が多いのですが、顧客は、20 年、 30 年と、非常に長く、私の会社と契約をしてくれています。 でも、たとえ 30 年の付き合いがあっても、「今日で解約します」と言われれば、

その時点で、そのお客さんとの付き合いは、消滅してしまいます。 ですので、解約を防ぐことは、非常に重要な意味を持っています。 私の会社の顧客は、法人も個人も多いのですが、この勉強会では、主に個人の

顧客の解約抑止について学びました。 個人の顧客は、担当の営業所が、定期的に訪問をしますが、それとは別に、コ

ールセンターが設けられていて、顧客は訪問している営業所に関係なく、コー

ルセンターに連絡することができます。 したがって、解約の連絡もコールセンターに多く入ります。 コールセンターに電話が入った時、その顧客とオペレーターは、もちろんなじ

みなどなく、初めて話をすることになります。 解約を決めて、電話してきた顧客に、初対面のオペレーターが電話だけで対応

して、解約を思いとどまらせようというのですから、それは至難の業に思えま

す。 しかし、努力と研究の結果、15%の顧客の解約を抑止できた実績が上がってい

るとの報告がありました。 解約の意志を持って電話をしてきた顧客 100 人のうち、15 人に意志を変えて、

「契約を継続しましょう」と言わせたのですから、それは、驚愕すべきことだ

と思います。 この勉強会では、そのテクニックを学んだわけです。 解約を申し出る顧客には、さまざまな理由があります。 なかでも「毎月の支出がきびしくなった、もうその商品を使わなくなった」な

どの理由が多いように思います。

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先ほども書きましたように、顧客とオペレーターは、初対面ですので、心と心

の距離は、かなり離れているはずです。 心の距離が離れている時に、顧客の申し出に、「そのくらいの支出をしても、私

どもの商品には価値があると思いますが、考え直していただけませんか」と応

えたとしても、それは、顧客の心に届くとは考えにくいです。 この勉強会では、解約抑止のために共感が一番重要だと教えています。 まず、共感して、心と心の距離を縮めないことには、何も始まらないというの

です。 逆の見方をしますと、共感することが心と心の距離を縮める、最も有効な方法 ということになります。 ここで言う共感とは、まず、顧客の申し出を受け入れることです。 「毎月の支出がたいへん」という申し出に、「そうですね、いろいろ支出が多く

てたいへんですね」と、理解を示し、受け入れることです。 『そのことで、顧客との心の距離が縮まりやすくなり、顧客が話をしやすくな

る』とテキストには書かれています。 その後で、できるだけ顧客と会話をして、解約の手続きの案内もします。 一旦、解約を受けますという姿勢をみせることは、さらなる共感と顧客は受け

とるように思います。 このようにして、心の距離が縮まったところで、「最後に、ご提案なのですが」

と言って、解約抑止のための提案をします。 心の距離が縮まっていない時に、解約抑止の提案をしても、聞く耳は持っても

らえないと思います。 でも、心の距離が縮まった時に、新しい提案をすれば、それを受け入れてもら

える可能性が大きくなると思います。 顧客に受け入れてもらえる新しい提案には、商品知識や提案力、電話での短い

会話からの情報収集能力が必要です。 これらがなければ、解約は解約のままだと思います。 でも、いくら知識やテクニックがあっても、共感して心と心の距離を縮めるこ

となしに、解約を抑止することはできないのです。 共感は、心と心の距離を縮め、相手を変える力を持っているのです。

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自由投稿 【あなたは何を伝えたいですか】

あなたの中にある、さまざまな思いを文章にしてみませんか! 題材は、何でもかまいません。書いているうちに、書く楽しみ

を味わえると思います

『明翔』は、あなたの自己表現の舞台です

* 『明翔』では、原稿依頼を一切しておりません。原稿ができましたら、

どなたでも、いつでも投稿して下さい

* 『明翔』は、電子メールによって、大勢の読者に配信されています

* 練馬集談会ホームページがリニューアルされ、リニューアル版では、『明翔』

のすべてのページを発見会会員は、誰でも読めるようになりました。そのこ

とを、ご承知おき下さい

* 練馬集談会以外の、みなさまの投稿も、大歓迎です

原稿は、B5 サイズの用紙を使用して下さい。

(上下左右に 1.5 ㎝以上の余白を取って下さい) ※ 原稿は、手書きでも、ワープロでもかまいませんが、横書きで、お願いしま

す。 ※ 原稿は 3 枚以内でお願いします。 下記の宛先まで、お送り下さい。

〒179-0071 練馬区旭町1-36-1

小島 徹 ☎ 03-3930-2520 Eメール [email protected]

E メールでの投稿締切 12 月 17 日(木) 必着

郵送での投稿締切 12 月 12 日(土) 必着

原稿が遅れそうな時は、連絡をお願いします

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毎月、第2土曜日の夜に、森田理論勉強会を行っています。 参加者は、10 名前後で、発見会歴を問わず、自由に気軽に、感じた

こと、考えていることなどを発言できる場です。 現在の勉強会は、読書会です。 実質、7時から9時まで、森田正馬全集第5巻を読んでいます。 森田先生の生の言葉に触れることで、癒されたり、背中を押された

り、元気づけられたりします。 この本は、一人で読むのは、やや難しいですが、読書会ですと、理

解しやすいですし、気づきを得ることも多くあります。 わからないことは、その場で、質問してもらい、全員で、考えます。 森田を深めるため、共に学んでいきましょう 12 の開催予定 日時 12 月 12(土) 午後7時~9時 場所 サンライフ練馬(西武池袋線中村橋駅近く) 会費 300 円

テキストは、こちらで準備しております。 参加に際して、連絡の必要はありません。 11 月の参加者 13 名(女性 7 名) 神経質が治るのは、欲望と恐怖との調和によってであるが、大西君

は論文を出すのが恥ずかしい、という恐怖一方に執着して、欲望の

方を顧みるにいとまがないので、まだ赤面恐怖が治っていない状態

である。 普通の人ならば、大学を 1 年落第するという事は、親に対しても気

の毒であるし、先生や友人に対しても恥ずかしくなくてはならない

事である。大西君は、論文を出すのは恥ずかしいが、出さなければ

恥ずかしくないと思っている。ほんの子供のような目先ばかりの恥

ずかしさである。「頭隠しの尻隠さず」である。 子供 の羞恥心 は、人前 が恥ずかしけ れば、逃 げ込んで 出てこない 。

極め て単純で ある。少 し大きくなれ ば、逃げ るのが恥 ずかしくて 、

もじもじと畳などをいじっている。もっと年長すれば、恥ずかしく

ないふりをしておうように構えている。つまり欲望と恐怖との拮抗

作用の調和が、しだいに発達するのである。 大西君も 15 にもなれば、逃げるのは、きまりが悪い、論文を出さ

なければ恥ずかしいという事に 、気 づ か なけ れば な らぬ は ずで す 。 (笑声) ( 5 巻 304 ページ)

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練馬集談会ホームページ http://homepage3.nifty.com/kyoukan/ 西田さんは、ずっと短い文章を支持していましたね。 そのことを主張するように、西田さんの原稿は、常に、1 枚か 2 枚でした。 たしかに、短い文章でも、自分の思いを十分伝えることができると思います。 というより、短い文章にまとめたものの方が、ストレートに思いが伝わるのかもし

れません。 西田さんの提案のように、今すぐ、3 枚の原稿を、編集長の裁量で、2 回に分けて

の掲載にするつもりはありません。 ただ、投稿する人が増えれば、『明翔』のぺージ数を、増やすことには限度があり

ますので、必然的に、原稿は 2 枚以内にする日が来るかもしれません。 山本さんは、『他人への恐怖を抱く習性は、人生末期まで、もっていくことになる

だろう』と書かれています。 この言葉から、持って生まれた素質を変えることが、どれほど難しいかがわかりま

す。 私も対人恐怖ですが、未だに、人を恐れる感情を強く持っています。 自分を生きにくくしている素質を変えることができないのは、残念で恨みたくもな

りますが、その事実は受け入れるしかないのだと思います。 でも、『山本さんは、対人恐怖による孤独は、自己を、根気のある、読書する人間

にしてくれた』と書いています。 山本さんを苦しめている恐怖も、悪いことだけではなく、山本さんを読書に出会わ

せてくれたのですね。 そして、読書が生涯、山本さんを支えることになったのですね。 私は、毎月、森田理論勉強会で、森田正馬全集第五巻を読む読書会に参加していま

す。 そこで、読書会の素晴らしさと森田先生の言葉の奥深さを、毎月、体験しています。 本田さんが指揮者として、一人一人の声を聞き、そのうえで自分の気持ちを伝えた

こと。そして、互いの思いがわかった後の合奏が以前とはまったく違うものになっ

たという体験は素晴らしいですね。 合奏においても、お互いの思いを知っているか知らないでいるかは、大きな違いな

のですね。

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さらに、本田さんは、奏者のみなさんに感謝を覚え、この人たちに喜んでもらうに

はどうしたら良いかを考えて、同窓会の幹事を引き受けたのですね。 「人の役に立つ喜び」が、本田さんの大きなテーマだったということですが、その

テーマを見事に実践して、多くの人に喜んでもらっているのですね。 「人の役に立つ喜び」は、一人本田さんだけではなく、私達の大切なテーマでもあ

ると思います。 思いがそこに行っている時、自己中心から解放されて、活き活き行動できるのだと

思います。 星澤さんは、怒りという視点で、私達の日常、体験することを説明して下さいまし

た。「こうあって欲しい」が執着で、それが裏切られたことで怒りが起きてくるの

ですね。 この事実を知っていることが大切なのだと思いました。 高橋さんは、いつも自分を抑えていたので、自分の感情、自分の意見、意思がわか

らなくなっていったのですね。 私も、自分を抑えるタイプですので、自分を信じられなくなっていきました。 でも、高橋さんは、そのことに気づいて、「自分は本当はどう思うか」ということ

を意識して生活するようになったのは、とても、良かったと思います。 自分は何を食べたいかを、ご主人に伝えるという卑近なことから始めたのもいいで

すね。 感情も、意見も、初めから押さえ込んでしまわないで、一度、直面してみて、それ

から、どうするかを考えることが大切なのだと思います。 安田さん、沖縄から原稿をありがとうございました。沖縄にも『明翔』の読者がで

きたことが、うれしいです。これからも、よろしくお願いします。 安田さんが書かれたように、迷子の我が子が見つかった時、私がどう感じたかを伝

えることが、最も子どもの心に響くのだと思います。 心に響けば、反省は深いものになるでしょうし、今後にも良い影響を与えるのだと

思います。 逆に、あたなメッセージを子供に伝えようとすると、往々にして、攻撃や叱責にな

ってしまうのだと思います。 そのような言葉は、相手の心には響かないですね。 安田さんの要望に答えられる人がいましたら、私宛てに連絡をいただければ、安田

さんに、お伝えします。

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