201507 ドチャベンアクセラレーター 地域協働論

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地域協働論Ⅰ ー地域ビジネスを始める前に知っておくべきことー 2015年7月24日 @tip*s 高知大学 地域協働学部 コミュニティデザイン研究室 講師 須藤 順

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地域協働論Ⅰー地域ビジネスを始める前に知っておくべきことー

2015年7月24日 @tip*s

高知大学 地域協働学部

コミュニティデザイン研究室

講 師 須藤 順

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お願い

■ 聞く

■ 学ぶ

■ 帰る

■ 感じる

■ シェアする

■ 聴き合う

• 「正解」を知りたい

• 自分の意見を通したい

• 結論を出したい

• 他人の意見を否定

• 新しい視点を得たい

• 会話を楽しみ、他人の意見を知りたい

• 意見の違いを楽しみたい

• 自分について「気づき」を得たい

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今日の流れ

自己紹介

ドチャベンとは何か

ドチャベンの事例

ドチャベンにが取り組む地域ビジネスの基本の“き”

ドチャベンの心得

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ドチャベンとは何か

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ドチャベンの定義

ドチャベン【dochaben】

土着ベンチャー(dochaku venture)の略。

地域に根差したベンチャー・起業家。

ちなみに、「三省堂 大辞林」によれば

土着【どちゃく】

その土地に長く住み着いていること。また、その土地に住みつくこと。根付くこと。

ベンチャー【venture】

冒険

ベンチャービジネス【venture business】

新技術や高度な知識を軸に、大企業では実施しにくい創造的・革新的な経営を展開する小企業。 VB 。ベンチャー。

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ドチャベンの定義(僕の意見)

ドチャベン【dochaben】

土着ベンチャー(dochaku venture)の略。

地域に根差したベンチャー・起業家。

DV。

地域と同じ目線になり、地域の想いを受け止めながら、事業を行う起業家。

地域独特のスピード感と、地域が受け継いできた歴史、そして、地域が経験してきた痛みを理解し、地域の人と一緒になって地域のよりよい未来を創り出そうとがむしゃらに、泥臭くチャレンジし続ける起業家。

地域が培ってきた資源(ひと・もの・自然・文化・農産物・想い・希望・夢)を磨き上げ、小さな経済循環を創り出す起業家、及びその仲間たち。

5

上から目線はアウト自己満足の事業で

はない

効率性や合理的には進まない地域の速度

地域のこれまでの物語を大切に尊重し、受け止める

地域はこれまでだまされたり、いいように振り回されてきた 地域の人をどれだけ巻き込んで、

自信と誇りを呼び起こせるか

【事業+地域】の未来を担う

失敗しても何度も這い上がる

地域の“あるもの=根っこ”を土台に創造・行動

大きなビジネスじゃなくていい。地域でお金が回り、みんなが潤う仕組み

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ドチャベンの事例

・株式会社四万十ドラマ(高知県)

・高校生レストランまごの店(三重県)

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四万十川に負担をかけないものづくり [主体:株式会社四万十ドラマ、高知県四万十町]

コンセプト【ローテク・ローカル・ローインパクト】の明確化地域の人を巻き込んだ商品開発地域のファンづくりへ向けた独自のチャネルづくりと地域商社機能の構築

取組成果 地域経済への貢献(4億円近い売上と交流人口の増加) 30名以上の雇用創出 「考え方」を売る、独自のコンセプト提示 1000人を超える会員との商品開発

四万十ドラマは、1994年(平成6年)11月に四万十川流域町村の出資により、「四万十川から豊かな生き方を考えること」「四万十の素材にこだわること」「四万十川の自然を保全し活用すること」を理念に掲げ設立された。

1997年には、風呂場の芳香剤「四万十ひのき風呂」が大ヒットし、1999年には、栗のシロップ漬け「四万十栗」、2000年には、約50年以上前に十和村で発見された香り米を80g小袋に入れた「十和錦・かおり米」、2002年には、四万十流域の茶葉で作った「しまんと緑茶」を地元の茶葉組合と共同開発し、ヒットにつながるなど、次々とコンセプトに沿って、地域の資源を活かし、新たな付加価値を付けた商品開発を展開してきた。

そして、2005年には、地域住民や四万十ドラマを応援する人々、220名1,200万円出資し、完全民営化を果たし、2007年7月からは、「道の駅とおわ」の指定管理を受託し、更なる事業発展を遂げ、2010年には3.3億円の売上を生み、首都圏への販路開拓も積極的に進めている。

道の駅とおわ とおわ市場

写真:http://shimanto-towa.jp/より

地元生産者と協働した商品開発 しまんと新聞バック

栗や紅茶の再生を目指した商品開発 shimantoおちゃくり café

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循環型のものづくり

8写真:http://shimanto-towa.jp/より

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出所:http://socialbusiness-net.com/contents/news2871

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高校生が活躍できる舞台づくりを軸にした地域づくり [主体:高校生レストランまごの店、三重県多気町]

地域住民が輝ける仕組み(舞台)づくり「あるもの」を活かした地域づくり外部専門家に依存しない自律的協働誰でもまちづくりに関われる場(まちづくり仕掛人塾)の運営

取組成果 地域経済の活性化(まごの店 年間5,000万円、せんぱいの店 年間1億円)

関係人口、交流人口の増加 メディア露出により知名度、地域のブランド力向上

高校生レストランまごの店は、食材の仕入れから調理、盛り付け、接客、配膳、会計、メニュー開発のすべてを高校生が行う、全国でも話題のレストランとして知られている。

2002(平成14)年10月、本物の現場で生徒を育てたい三重県立相可高校(食物調理科調理師コース)、地元農産物のPRや地域活性化の起爆剤を作りたい多気町役場、高校生を応援したい五桂池ふるさと村の協働により取り組みがスタートした。

高校、地元企業、地元生産者、JA多気郡、三重大学、多気町役場、地域住民が協働し、地元農産物や人を活かしてメニュー開発、商品開発を展開し、地元農家の手取り収入の増加、観光客・交流人口の増加、併設する観光施設の来場者数・売上の向上、町の知名度アップ、地域経済の活性化へ寄与している。

2008年8月には、株式会社を設立し、卒業生が働く惣菜店を立ち上げ、現在では5店舗を経営するまでに成長した。さらに、多気町モデルを他地域(北海道三笠市など)へ移転し、全国にネットワークを広げている。

まごの店の外観

せんぱいの店で働く卒業生

料理をつくる相可高校の生徒たち

地域食材を使った惣菜

地元企業と連携して化粧品づくりを行う高校生(NPO法人)

地元の資源を活用したハンドクリームの開発販売10

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多気町まちづくり仕掛人塾

生産者

多気町有機農業研究会アグリメイツ地元JA

高校生レストランまごの店

NPO法人植える美ing

地元企業

万協製薬川原製茶

せいわの里まめや

販売先

おばあちゃんの店(産直)

地元生協ドラッグストア(全国)

地域外企業

近江兄弟社イオングループサークルKサンクスあら竹商店

協力・支援機関

多気町役場三重大学

(株)相可フードネットせんぱいの店

地域住民・観光客

商品・サービス提供

原材料供給

購入

原材料供給

技術提供

共同開発製造委託

弁当・化粧品・

加工品販売

購入

活動コーディネートサポート

連携・協働プロモーション

連携協働

連携・協働

共同開発販売

店舗出店

購入・

プロモーション

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地域ビジネスとは

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地域内 地域外

市場(顧客)

資源調達地域

地元企業地域内地場産業自前企業

大企業生産関連

全国企業地域外

地域ビジネスの位置づけ(イメージ)

地元企業型:地元資源で地元市場に供給する地域社会密着

地場産業型:産地形成し、広い市場に供給する地場産業

自前企業型:市場は広く、地場資源を用いる企業

全国企業型:資源に依存しない偶発的企業

大企業生産関連型:立地する全国企業に材料供給する企業

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地域や社会の課題解決

福祉

待機児童、病児保育、育児放棄、介護、孤独死

医療・健康

生活習慣病、医療格差、医師・看護師不足、社会的入院、エイズ、感染症、受動喫煙/禁煙

食・農業

食料自給率、農業後継者不足、食の安全性、アトピー

環境

温暖化、廃棄物、排水、ごみ処理、不法投棄、ポイ捨て、絶滅危惧種、外来種繁殖

教育

学力・やる気の低下、ニート、引きこもり、うつ、自殺、理科離れ、オーバードクター、教育格差、モンスターペアレント、校内暴力、いじめ、差別

職場・家庭

雇用格差、ワーキングプア、セクハラ、パワハラ、虐待、DV、ホームレス

犯罪

オレオレ詐欺、痴漢、飲酒運転、ひき逃げ、薬物、エセ科学、個人情報漏えい、スパムメール

地域活性化

シャッター街、スラム化、過疎、地域格差、地方の自立

14出所:炭谷俊樹(2010)『ゼロからはじめる社会起業』日本能率協会マネジメントセンター.

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地域資源の活用

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地域資源(2007年6月施行「地域資源法(中小企業地域産業資源活用促進法)」第二条のニ)

一.自然的経済的社会的条件からみて一体である地域(以下単に「地域」という。)の特産物として相当程度認識されている農林水産物又は鉱工業品

二.前号に掲げる鉱工業品の生産に係る技術

三.文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源として相当程度認識されているもの

資 源 内 容

人材 人、出会い、交流、体験、創作、知財

歴史・文化 伝統文化、行祭事、イベント、生活文化、史跡、社寺

産業 既存産業、企業、技術、生産物、特産品

自然・環境 自然、景観、都市、空間、水、動植物

事業 アミューズメント、飲食、ショッピング、遊び、スポーツ、ボランティア

都市機能 都市施設、文化施設、レジャー施設、知的施設

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持ち出せない資源と持ち出せる資源

持ち出せない資源地域の風景や歴史遺産、伝統文化など

人をその場に呼び寄せる必要がある

持ち出せる資源地域内で生産・加工された農産物や伝統工芸、特産物や情報など

商品化することで、地域外へ売り込むことが可能な資源

販路先は地域内外に広がる

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これからの地域づくり、地域ビジネスの発想の

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古くから言われてきたことを、もう一度、真正面から見る時期に来た

Jane Jacobs

都市の発展におけるイノベーションの重要性を指摘

輸入置換 (import-replacing):輸入置換とは、他地域から輸入していた財を自力で生産する財に置換すること、輸入置換が次から次へと起こることで都市は発展

条件:「臨機応変の改良 (improvisation) 」

宮本憲一

地域自治時代の地域開発は、「内発的発展」

特徴:1) 外来的開発と違い、外部の企業とくに大企業に依存せず、住民自らの創意工夫と努力によって産業を振興していること、2) 地域内需給に重点をおいて、全国市場や海外市場の開拓を最初から目ざさないこと、3) 個人の営業改善からはじまって、全体の地域産業の改善へすすみ、できるだけ地域内産業連関を生み出すようにしていること、

3原則:1) 住民の参加と自治、2) 目的の総合性、3) 特定業種に限定せず複雑な産業構造、地域内産業連関

19

Jacobs, Jane (1984) Cities and the Wealth of Nations: Principles of economic life, New York: Random House. (中村達也訳『発展する地域衰退する地域:地域が自立するための経済学』ちくま学芸文庫, 2012.)

宮本憲一 (1982)『現代の都市と農村』日本放送出版社.

宮本憲一 (1989) 『環境経済学』岩波書店.

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インフラ整備(公共投資)

企業・工場の誘致

大型ショッピングセンター

等の誘致

専門家派遣・移住政策

外発的発展

外発的発展から、内発的発展へ

内発的発展

地域資源の活用

地域住民自らが学習

地域内需要に先ずは重点化

小商い(生業)の束づくり

地域内取引の重視

イニシャルコストが莫大得られた富が地域外へ流出景気による撤退リスクイノベーション活動の不活発技術蓄積による地域貢献が乏しい安易な成功モデルの横展開(模倣)

↓外部依存・トップダウン

地域に富を留める仕組み地域との相性を大事にする地域内の相互作用(=協働)の増加住民参加による自治力向上目に見えない経済の存在地域の教育機能、知識創造

↓地域主体・ボトムアップ

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ドチャベンが取り組む地域ビジネスの基本の“き”

ー多くの事例に共通する視点ー

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①多様な主体による協働が価値を生み出す

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地域協働とは

「協働」とは

「自律した人や組織同士が立場や利害を越えて共に考え行動し、単独では解決できない共通の課題を解決し、新しい価値や創造物(成果)を産み出す関係や行動様式(営み)」

「地域協働」とは

「地域社会が抱えている諸課題を調和的に解決し、地域社会の再生と持続的な発展を図るための多様な地域主体(人や組織)間の協働」

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多様性ある主体が共創することを意識

「孤高の天才などというのは神話にすぎない。画期的なイノベーションを生み出すのは、グループゆえに生まれる天才的発想『グループ・ジーニアス』なのである」「イノベーションを生み出すのは、常に閃きの連鎖によってであり、一度限りの閃きではない」(Sawyer,2007)

具体的な価値の例

新たなアイデア・知識の創造

販路情報の共有

信用付与

労働力の確保

調達コストの低下 など

Sawyer, Keith. (2007). Group Genius: The Creative Power of Collaboration , BasicBooks.(金子宣子訳『盆栽の集団は孤高の天才に勝る』ダイヤモンド社,2009)

加工流通業者 農林漁業者

卸売業者 小売業者

地域住民

行政

支援機関

専門家研究機関

産業技術センター

地元メディア

地域金融機関

JA/JF

ドチャベン

まちづくり団体

ソーシャルビジネス事業者

物産協会・観光連盟

商工会議所・商工会

地域エコシステム

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②社会的価値と経済的価値のバランス

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<経済的価値>

売上/事業収益の増加雇用創出新商品開発新事業創出

活動を拡大する原資をストックすること地域経済の活性化

<社会的価値>

地域の活性化地域課題の解決

地域/地域住民の顔が見える地域の魅力発信・ブランド化

担い手の確保地域への愛着形成地域に対する誇り連携の促進

経済的価値と社会的価値のバランスを意識

※重要なのはバランス※どちらが絶対正しいということではない

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③地域ビジネスを進めるには土台作りが重要

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地域との信頼関係の構築が鍵

クラック

クラック

クラック

キャズム(溝)

準備期(1~3年) 起業・事業化期

①地域内からの信頼獲得②地域内のソーシャルキャピタル醸成

①事業発展②地域外市場の掘り起し③外部ネットワークとの協業④地域内経済への貢献⑤内部人材の育成

必要なサポート

①地域から信頼を得る&地域内の社会関係資本を蓄積するための支援②事業計画の重要性は低く、小さなプロジェクトを回しながら、着実に力をつけていく必要あり③地域から信頼を得ている組織やメンターが自分の信用を貸しながら育てる

必要なサポート

①起業・事業化に向けてのイニシャルコストのフォロー②事業運営に必要な財務・労務等のバックオフィス業務のサポート③地域外のネットワークへのコネクト④心理的なサポート(モチベーションup、コーチング)※ただし、0→1フェーズと、1→10・100フェーズでは必要な支援が異なることを注意

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地域ビジネスの発展段階

第一段階:地域との信頼関係の構築/地域の社会的関係性(ソーシャル・キャピタル)醸成

創造的人材と地域住民、地元団体との顔の見える関係づくりと信頼関係の構築する 地域の外から移住してきた創造的人材と地域内の創造的人材の協働が始まる 協働を通じた地域資源の再評価、再定義、目指すべき活用方針の共有・創造する 地域内の強いつながりと地域外の弱いつながりの統合による地域の社会的関係性(ソーシャル・キャピタル)を醸成する

第二段階:プロジェクト・事業の実践による小さな成功の積み重ね

第三段階:創造的活動の持続的展開

社会的関係性(ソーシャル・キャピタル) を基盤に、具体的なプロジェクトや事業を実践する 本格的な事業化に取り組む前に、スモールチーム(3-5人)で実験的なプロジェクト・事業を試行する 小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に、地域内の創造的人材や地域住民、地元団体を巻き込む 複数のプロジェクトを立ち上げ、それぞれの関心に沿って地域住民が主体的に関われる環境を整える

小さな成功体験の積み重ねによって自信を獲得した地域住民が創造性を高めていく 地域住民がジブンゴトとして地域にコミットし、具体的アクションを起こし始める 創造的人材と地域住民が、地域の抱える諸課題の解決へ向けて協働を自発的に展開する 地域外の創造的人材が次々と地域に移住を始め、地域住民との協働を行う

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地域ビジネス展開の基本パターン

パターン1

パターン2

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STEP①

移住

STEP②

地域コアメンバー・地域住民との協働

STEP③

地域からの信頼獲得

STEP④

事業化

STEP⑤

事業拡大

STEP①

地域コアメンバーとの協働

STEP②

地域住民との協働

STEP③

地域からの信頼獲得・移住

STEP④

本格事業化

STEP⑤

事業拡大

準備期 事業化期

小さなプロジェクト・事業の実践(イベントなど)

準備期&プレ事業化期 事業化期

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④“ないものねだり”から“あるもの探し”への発想転換

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足元にあるものを活かすという視点!

地域の”宝”の創造

地域の”誇り”を創る

地域の”魅力”の創造

地域資源の”発掘・活用”(人、モノ、自然、歴史、文化etc)

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あるもの探しからはじめる視点・方法

新しいことを始める場合、新しいものを創造する場合

ないものねだりはしない!(継続性、ストーリー性など)

理由: お金がいる + リスクが伴う → 続きにくい

イニシャルコストは、フォローが必要! ランニングコストのかからない仕組みが必要!

ないものねだりから、あるもの探しへ!

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① 地域に残って暮らすチャンス(=選択肢)のある地域を創る

② 視点は内向き(=地域のことを見る)、他の地域をうらやましがる必要はない

③ 主役は、若者や彼らを応援する地域住民④ 嘆くのではなく、自分たちで考え、地域の価値、誇りを

創り、残していく

考え方

自分たちで故郷を創っていく、運営していくという意識

地域に残りたい人が残れる仕組みをビジネスとして創る

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⑤小さくはじめ、改善を繰り返す

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小さく生み、徹底的にユーザーの声を拾い、改善する(リーンスタートアップ的)

いきなり成功、大きなことを目指さない

→失敗の要因を取り除いていく

一番大事なのは、本当のユーザーの声

→本当のユーザーでなければほとんど意味はない

試作品ができたらとにかくまず、実際の市場に出し、反応を見る

→実際に市場に出してはじめてわかることがある

その声を基に、躊躇なく改善をする

→失敗するなら早い方がいい、そして、失敗から学ぶ

このプロセスを通じて、顧客と信頼を獲得する

→消費者とサービス提供者が一緒に作るという意識を持つ

合意形成アイデア創出

試作品試行的実践

顧客の生の声把握

フィードバック改善

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⑥小さな経済を創る

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これまで:100億円の企業を1つ作る

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1社で、100億円の売上をあげる企業

拡大に従って、次第にマーケットも広がり、地域に立地することの意義は薄れる可能性がある

大きくなれば地域からの資源供給では間に合わなくなるため、資源獲得地域も徐々に地域外へ

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これから:小・中規模な売上の企業の束を作る

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売上1000万程度の小商い、1億から5億程度のスモールビジネスなど、大きさではなく、多様な形、規模の企業の集積が重要

その際、それらの間での取引関係、相互作用を意図的に構築地域のエコシステム(生態系)が、セーフティネットにもなるお互い様精神あふれる、地域の小さな経済圏(血の通った地域経済)を作ること

でレジリエントな状況を生み出す「何かやってみようかな」という人を増やし、それを支援し合う環境を生む

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さいごに・・・

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根っこが“地域にあること”

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地域=自分たちの立ち位置・発想・創造性の起点・安心・安全な場・あるがままを受け入れる・地域と共に生きる・暮らす

地域・都会・世界=プロジェクト・事業

深く根を張ることで、地域からの栄養を吸収できるそのことが、事業の持続性を支えるのではないか厳しい環境だからこそ、根を張ることが大事なのかもしれない