2015年jset全国大会 sig-05 sigセッションスライド

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ゲーム学習・ オープンエデュケーションSIG 藤本 徹(東京大学) 重田勝介(北海道大学) JSET全国大会@岐阜大学 2014921

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ゲーム学習・オープンエデュケーションSIG

藤本 徹(東京大学)

重田勝介(北海道大学)

JSET全国大会@岐阜大学2014年9月21日

ゲーム学習の主要テーマ・トピック例

• ゲーム教材の開発・実践

• 教育シミュレーション・ゲーミング研究

• シリアスゲーム研究

• 教育現場へのゲーミフィケーション導入

• ゲーム開発を通した学習

• 遊びのゲーム活動中の学習

ゲーム学習のフィールド

フォーマルな学習環境で利用するゲーム教材の

開発・実践

インフォーマルな学習環境で利用するゲーム教材の開発・実践

フォーマルな学習活動を支援する仕組みのゲーム化(ゲーミフィケーション)

インフォーマルな学習活動を支援する仕組みのゲーム化(ゲーミフィケーション)

学習を意図しない場での学習に関する研究(娯楽ゲームの中の学び)

エデュテインメント1990s’

シリアスゲーム2000s’

ゲーミフィケーション2010s’

ゲーミング・シミュレーション〜1990s’

エンターテインメントエデュケーション

模擬体験・システム的側面を重視

楽しさの要素を重視

ゲームの社会的利用の変遷

シリアスゲーム解説書

2014/2/23 (c) 2014 Toru Fujimoto 5

2013/12/6 (c) 2013 Toru Fujimoto 6

2013/12/6 (c) 2013 Toru Fujimoto 7

近年注目される取り組み

• 教育活動へのゲームデザインの適用

–ゲーム開発者と教育開発者で連携した学習環境デザイン

• 評価ツールとしてのゲーム

–ゲーム環境でのパフォーマンス評価

–プレイログ分析による適応型ゲーム学習環境

• 市販ゲームを利用した教育実践

– SimCityEdu, MinecraftEdu

学習ゲームプラットフォーム開発

教室へのゲームデザイン・ゲーム的手法の導入

• Quest To Learn:ゲームデザイ

ナーと教育専門家チームによる学校カリキュラム開発と学習環境デザイン

• 6年生から12年生対象の

ニューヨーク市の公立学校(中高一貫校、2009年開設)

• 非営利財団の支援を受けた産学官連携の学校改革プロジェクト

2013/3/14 (c) 2013 Toru Fujimoto 10

市販ゲームを利用した教育実践の進展

3D Game Lab: クエスト授業支援SNS

2013/3/14 (c) 2013 Toru Fujimoto 13http://fastapps.hri.uci.edu/files/1311/images/Figure%202(1).png

MOOCで学べるゲーム学習関連講座

オープンエデュケーションとは

• オープンエデュケーションとは–教育を「オープン」にし学習機会を促進する活動

–あらゆる人々が教育・学習に参加

–社会から広い支持を集める(寄付財団の支援)

• オープンエデュケーション誕生の経緯– 1990年代:eラーニングの普及

• 有料モデルの頓挫(大学による教材販売サイトの失敗)

– 2001年:オープンコースウェア(OCW)の開設• オープン教材(OER)を個人や非営利団体の増加

オープンエデュケーションの特徴(1)教材をオープンにする活動

• 無料の教材・教科書をインターネット上で公開

教科書・教材

学びたい人

インターネット上の無料教材・教科書

学びたい人

お金がかかる…

無料で学べる!

OER(Open Educational Resources)

• インターネットで公開された教育用素材

–文書資料、画像、動画、電子教科書

• 「再利用」で多様性を促す

– クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

• 国際的ムーブメントによる普及

– UNESCO 2012 「世界OER議会」

• OERは誰でも作れる

–個人、企業、非営利組織、大学…

オープンエデュケーションの特徴(2)教材を探せるウェブサイト

• 学びたい目的に即して、適切な教材を取得

学びたい人

どれを使えばいいんだ…??

学びたい人

目的に合った教材が探せる!

検索・統合・分類

オープンコースウェア(OpenCourseWare: OCW)

• 正規講義のシラバスや教材、講義ビデオを無償公開 単位認定なし (Publication=出版)

• 世界規模の活動へ

– OCWC

– JOCW

• 発展途上国向けに教材を翻訳(国際教育協力)

iTunes U / Khan Academy

• 企業が開設したサイトで大学の教材を無料公開

• 個人や非営利団体が教材を作り無料公開

オープンエデュケーションの特徴(3)共に学び教え合うコミュニティ

• 学び教え合うことで学習の意欲と成果を高める

学びたい人

学び合う学習コミュニティ

学びたい人

分からない所を聞けない…

一人で学ぶのは大変…

学びたい人一緒に学ぼう!

OpenStydy / Mozilla Open Badge

• デジタルバッジ(認定証)を交付する仕組み

• 学習経験を示す「リンク」

• 知識技能を示すシグナル

• オンラインで学び教える学習コミュニティ

• OCWと連携 同じ教材を共に使って学ぶ

オープンエデュケーションが広まる背景:「理念」と「実利」の共存

• 社会貢献活動として

–教育格差の是正:発展途上国への「国際教育協力」

• 「知」へのアクセス改善

– 「公共財」としての大学:大学の理念に沿う

• リクルーティング(高校生・留学生・社会人)

–グローバル対応(英語での教材公開)

• コスト削減と質向上

–電子教科書の無償配布

–講義教材にOERを使い授業改善

反転授業(Flipped Classroom)

• 知識習得はオンライン(講義ビデオを視聴)

• 知識確認やディスカッションを教室で行う– ドロップアウト(米国では30%)を低減する効果

– OERやMOOCsを教材として使う

The Flipped Classroom: Turning the Traditional Classroom on its Head - http://www.knewton.com/flipped-classroom/

大学の抱える課題ニーズ増大・学生の変化・持続性

• 大学卒の人財ニーズ急増

–先進国:成人の大学卒人口はまだ1/3程度

–発展途上国:若年人口爆発とキャンパスと教員不足

• 「非伝統的」な学生の増加

–社会人入学・働き家族を養いながら学ぶ

– ドロップアウトの増加

• 米国では非伝統的な学生の修了率が24%

• 米国における大学の持続性への懸念

–公立大への補助金削減→財政悪化と学費高騰

社会が支えるオープンエデュケーション

• 慈善寄付団体– ヒューレット財団・ゲイツ財団など

– 社会貢献事業の一環とし数十億ドル規模を調達

– 大学や非営利団体のオープン化事業を支援

• 政府– 米国:労働省

• 社会人の再教育

– アジア・アフリカ・南アメリカ• 教育機会の不足を補う

• 大学は活動の「媒体」

MOOC(大規模公開オンライン講座)

学習コミュニティ受講者 受講者

講師

数週間の学習コースを共に受講する

認定証

MOOC

• 教材の公開+教育サービスの提供

• MOOCプロバイダ

–教育ベンチャー企業

– Coursera Udacity

• MOOCコンソーシアム

–大学連合

– edX FutureLearn

MOOCの「学習コース」とは?

• テーマ:学部生レベルの入門講義特殊性の高い講義(例:ロボットカー制作)

• 構造:eラーニング教材+コミュニティ機能

–ビデオや資料、クイズを使い順序を追って学ぶ

–シミュレーション教材

–レポートのピアレビュー

–ディスカッションボード

• 修了者に認定証交付

MOOCのアドバンテージ:持続性の高いオープンエデュケーション• ビジネスモデル

–修了証発行による手数料徴収(数十ドル)

–優秀な学生を企業に斡旋(Coursera,Udacity)

• 「Massiveさ」がもたらすメリット–学生獲得の機会に(優秀な受講者を発掘)

–学習履歴データを取得 →ビッグデータ活用

• 企業もMOOCを開設できる–企業内研修(Yahooが社内教育にCourseraを活用)

– Open Education Alliance(企業主体でIT人財育成)

大学単位を取れるMOOC認定証

• Courseraの認定証「Signature Track」–ウェブカメラで写真付き身分証明書を確認

– タイピングのパターン認識によるなりすまし防止

• 認定証で大学単位を取る– ACE Credit (米国大学の単位推薦サービス)

–米国2000の大学で単位に置き換えることができる

–認定証を別の大学の単位を補充する手段に利用できる

MOOCの特徴

• これまでの大学による「eラーニング」との違い–誰でも受講できる(学生である必要はない)

–無料(学費不要)

–単位は与えられない ※例外あり

– コース完了は必須でない(修了率 10%程度)

• 世界規模で拡がる学習コミュニティ–数百万人の学習者が出会う

–世界中で行われるオフ会「ミートアップ」

SPOC(Small Private Online Courses)小規模非公開オンライン講座

MOOC SPOC

だれを教えるのか?

全世界のあらゆる人々 大学または企業の学習者

何を目指すのか?

教育機会の拡大 教育の質向上(反転授業)

メリット受講者のつながり形成広報・リクルーティング

教育ノウハウの蓄積持続性の高さ(効果が見えやすい)

課題持続性

ビジネスモデルオープン性に欠ける

「eラーニング」との違いは?

共通するものオープン(アクセス+ライセンス)な教育コンテンツ

(将来的な)教育コストの削減学習履歴データの取得

SPOCとMOOCの組み合わせが可能?

オープンエデュケーションがもたらす「ボーダレスな教育」の実現

• 複線的なキャリアや学び直しを前提とする

• 制度の「外側」を支えるオープンエデュケーション

• 誰でも「自由に教え・自在に学べる」社会へ

オープン教材を用いた教育実践の意義

• Project Kaleidoscope(米複数大学)

–教員グループがSTEM(理数教育)教材を制作 教材の評価や改善を継続

–授業改善(FD)・教育の質向上に寄与

• dScribe (米ミシガン大学)

–学生が教材を制作し使う

–教材を制作することで学生が学ぶ

• Open Education “Practices”

–教育の質向上、多様化が期待される

オープンエデュケーション研究のチャレンジ

• 適用範囲の広さ–学校・大学におけるOER活用(反転授業)MOOC開講

– インフォーマルラーニングにおける教育実践

• 効果と意義の検証–オープンエデュケーション実践の学習評価

– ラーニングアナリティクス

–高等教育・社会との効果的な接続の提案(実践)

–教育におけるオープン性の理論構築

ゲーム学習 x オープンエデュケーション

• オープンエデュケーション環境での学習継続支援

–オープンバッジシステム

– MOOCにおけるオンラインゲーム教材活用

• ゲーム学習プラットフォームのオープン化

–開発した教材や授業計画の共有

活動方針

• 情報発信

–テーマ:両分野の最新動向と研究の可能性

–国内外の先端事例レビューと調査分析→社会的意義、関心の高い研究トピックを抽出

• 研究領域の確立

– 「ゲーム学習×オープンエデュケーション」で創発する新しい研究領域

• 研究者コミュニティの形成

事例:EDUCAUSE Horizon Report

Horizon Reportのトピック

• 2012– Mobile Apps / Tablet Computing / Game-based

Learning / Learning Analytics / Gesture-based Computing / Internet of Things

• 2013– MOOC / Tablet Computing / Games and Gamification

/ Learning Analytics / 3D printing / Wearable Technology

• 2014– Flipped Classroom / Learning Analytics / 3D Printing /

Games and Gamification / Quantified Self / Virtual Assistants

活動スケジュール

今年の全国大会 研究会

来年の全国大会

・自己紹介・キーワードの抽出

・作業割り振り・構成の決定

編集会議

本日

来年へ繰り返し

SIGレポート

夏頃発行

興味関心の共有

制作に着手

成果発表次期の企画

年明け

※来年度以降の

研究会で研究発表を企画?

来年

SIGメンバーに期待すること

• 趣旨と方針に賛同して参加いただく方は

どなたでも歓迎

– 「情報の発信者」として一緒に活動できる方

–研究・実践コミュニティ形成、研究領域確立

– 「道を切り拓く楽しさ」

• 具体的な研究成果を出すべく活動します

–レビュー論文発表

–共同研究グループ結成

–研究資金獲得

ワーク

• 問題意識・関心の共有

– これまでの活動

– これまでの経験(調査/開発/評価/実践)

–関心のある研究テーマ・研究キーワード

• 研究としてこの分野で取り組んでいきたいこと

• 誰のどういう学習や問題に対する

テーマ・キーワード

• 作ったものの評価• 制作(作ること)の技術• 授業設計 面白くするvs効果• ゲーム開発のデザイン手法• ポートフォリオ• 学習意欲、継続 動機付け• コンテンツ活用• MOOCと大学の違い• MOOCを面白くする工夫• ゲーム(学習)の知見• 学校放送・通信教育との関連• 企業内教育、ポスト大学教育、他領域との教育(道徳、福祉)• ゲーミフィケーションの活用• Why Open? 原点共有• ゲーム専門家と教育学者とのコラボレーション

ニーズ

• 方法論を知りたい

• 隣接分野を知りたい

• 事例集がほしい

• メンバーリストがほしい

レビューのテーマ案• 講義映像の画面構成分類

– 学習内容(知識取得型、など)とのマッチング

• 今に至るまでの「歴史」• 内発的動機付けにつなげるための工夫?• 様々な学習領域におけるゲーム• ゲーム適用にあたっての調整?について• メディアの変遷 ラジオ、テレビ‥

– これまでのメディアにおける手法の整理

• ゲーム活用の教育評価(体系化)• MOOCの教育・キャリア接続の事例• 学習動機の継続方法• 「見取り図」 概要、変遷‥ 一目でみて分かるもの• 海外の主要カンファレンスのテーマから見た最新動向• 事例集• MOOCから見たゲーム学習、ゲーム学習から見たMOOC• ゲーミフィケーションの有用性 教える側にとってのメリット• 教育内容・手法につきまわる「世界観」• ゲーム学習からみた教育研究、教育研究からみたゲーム学習