2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度...

23
2016 年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼──ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より 2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所 最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ で随時確認するようにしてください。

Upload: others

Post on 20-Jun-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

2016 年度

表象・メディア論系

論系ゼミ要項

想像力の眼──ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620 年頃)より

2015 年 9 月 (作成)早稲田大学文学学術院事務所

最新情報は、論系ゼミ/ゼミ論文/卒業研究 Web ページ

で随時確認するようにしてください。

Page 2: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

1

授業内容

【3 年生】写真、映画、テレビといったメディアが社会をどのように形作ってきたのかを、そしてメディ

アの側がいかに人びとの欲望に規定されてきたのかを、メディア史・メディア論、社会学、都市論など

の文献を中心に勉強する。その後で、メディア研究に関する共通の研究目的をたてて、共同で調査・研

究を行う。

【4 年生】3年生で行った共同研究の成果を踏まえた上で、個々人が自分の関心のあるメディアと社会に

関わる独自の卒業研究テーマを立てる。授業では、互いの研究を報告しあって議論を行う。

シラバス

【3 年生】

春学期 メディア史、メディア論、文化社会学に関する基礎知識を文献を通して学習する。続いてゼミ

共通の研究テーマを立てて、グループに分けて分担を決め、調査・研究を行う。

秋学期 グループごとの研究成果をゼミで報告し、そのときに議論を下にして報告書を作成する。

1期生テーマ「NHKのドキュメンタリー番組に関するやらせ事件の研究」 ネパールのムスタン王国

を取材したテレビ番組に起きた「やらせ事件」を取り上げて、さまざまな視点から分析した。

2期生テーマ「ディズニーランドの考古学と考現学」ディズニーランドの客たちがどのように遊園地を

楽しんでいるかを、その行動の軌跡を地図化することで明らかにした。

3期生テーマ「メディアにおける投稿文化の研究」新聞やラジオへの投書、動画投稿サイトや食べログ

やツイッターなどインターネット上の投稿、など投稿文化を多角的に分析した。

4期生テーマ「テレビ ある平凡な30分」2012 年 11 月 14 日の午前 11時と午後 11 時からの 30分を全

局録画して、番組単位ではなく、テレビショッピングとCM、料理の扱われ方などの視点から分析した。

5 期生テーマ「盛らせ場・お台場」お台場が、フジテレビというテレビ局のイメージなしには盛らすこと

ができない特異な盛り場であることを、メディアと都市の両方の視点から調査して明らかにした。

6 期生テーマ「駅ナカのメディア的開発」鉄道移動の通り道にすぎなかった「駅」が、いま資本主義的開

発の対象となって、きれいにデザインされた店舗を並べている。そうした駅のメディア的変容を探る。

【4 年生】

春学期 3年生のメディア研究の議論に関わりながら自らの認識を深める。自分のゼミ論文テーマに関

する研究を報告しあい、議論する。

秋学期 ゼミ論文の論文執筆。

教科書

【3 年生】長谷正人・太田省一『テレビだョ!全員集合』青弓社、吉見俊哉『都市のドラマトゥルギー』

河出文庫、北田暁大『広告都市・東京』ちくま学芸文庫、黄菊英・長谷正人・太田省一『クイズ化する

テレビ』青弓社、國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版社、長谷正人『悪循環の現象学』ハーベス

担当教員 科目名

長谷 正人

メディア社会論ゼミ

副題:

プログラム:メディア論

1定員

15 名

Page 3: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

2

ト社、太田省一『社会は笑う』青弓社、など。

【4 年生】

4年生は独自の共通の教科書は決めない。ただし3年生の授業に参加する。

参考文献

【3 年生】【4 年生】(共通)

吉見俊哉『メディア文化論』有斐閣

M.マクルーハン(栗原裕・河本仲聖訳)『メディア論──人間の拡張の諸相』みすず書房

W.ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(1935)(浅井健二郎編訳『ベンヤミン・コレクションⅠ』

ちくま学芸文庫)1995 年

吉見俊哉・若林幹夫・水越伸『メディアとしての電話』弘文堂、1992 年

V.シヴェルブシュ(加藤二郎訳)『鉄道旅行の歴史』法政大学出版

ジョナサン・クレーリー(遠藤知巳訳)『観察者の系譜─視覚空間の変容とモダニティ』以文社、1997 年

P.ヴィリリオ(本間邦雄訳)『電脳世界』産業図書、1998 年

評価方法

【3 年生】

授業への参加度による。

【4 年生】

授業への参加度と卒業研究の評価。

授業実施曜日・時限(予定)

月曜日 5,6 限。3 年生は 5 限、4 年生は 6 限に登録されますが、基本的に合同で授業を行うことが多い

ので 5 限と 6 限の両方の時間を空けておくことを望みます。

ゼミ紹介

夏休みの終わり頃(9月半ば)に合宿を行います。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にする(しかし必ずしも成績の良い人だけを求めているわけではありま

せん)

・面接を行う

Page 4: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

3

授業内容

メディアテクノロジーと社会と人間の相互関係によって生じる文化の諸様相について、メディアと表

現の問題を中心に扱う。インターネット、ソーシャルメディア、ゲーム、広告、映像をはじめ、われわ

れの日常に深く入り込んだデジタルメディアは、表現やコミュニケーション、さらに文化のあり方その

ものを変えつつある。デジタルメディアの本質を理解し、主体的にメディアと向き合う力をつけ、各自

が自分の視点を構築することがこのゼミの目標の一つであり、その足がかりとして研究と実践を並行し

て行う。研究と制作の双方についてグループ活動と個人の活動の両方を行い、実践を踏まえた理論構築

と、メディアを単に消費するのではなく創造していく力をつけることを目指す。

研究テーマはデジタルメディアと社会、メディアアートと表現、メディア利用の歴史的展開、の3つ

の軸を主として考え、ゼミではこれらに関する研究・制作と活発な議論を通じて学び合うことを目指す。

ゼミ生は最終的にこれらに関連したテーマを選んでゼミ論を書く・あるいは制作することを目標とする。

最初から特定のテーマにのみ関心を持つのではなく、ゼミを通じて幅広い視野を身につけた上で、プレ

ゼンテーションへの反応や担当教員との相談を通じて個別のテーマを決める。

デジタルメディアの在り方は、現実世界の表現やコミュニケーションの在り方と密接につながってい

る。多様な実験を可能にする現実の場としてゼミを活発で豊かなコミュニティにすることはゼミの活動

内容の重要な要素である。ゼミではプレゼンテーションとディスカッションを重視し、研究プロジェク

ト、制作プロジェクト、ワークショップ、個別研究、論文執筆を通じて、相互に協力・刺激しあいなが

ら理解を深める。写真は電子工作ワークショップ(醤油をつけると光る寿司)、制作プロジェクト打ち合

わせ、プレゼンテーション、期末発表会の作品(プロジェクションマッピング、インタラクティブ映像)

担当教員 科目名

草原 真知子

デジタル・メディア論ゼミ

副題:デジタル文化とメディア表現

プログラム:メディア論

2定員

15 名

Page 5: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

4

活動計画(予定。変更する場合あり)

春期

他人の作品紹介プレゼンテーション(3 年生)、ゼミ論テーマ案発表(4 年生)

グループ研究プロジェクト(3,4 年合同)

グループ制作プロジェクト(3,4 年合同)

ワークショップまたはゲスト講義

研究プロジェクトは期末近くに発表、制作プロジェクトは期末最終週に発表会を行う

秋期:

ブックデザイン(3 年生)、ゼミ論中間発表及び個別相談(4 年生)

リサーチプロジェクト (3 年生)

グループ制作プロジェクト(3,4 年合同)

ゲスト講義またはワークショップ

リサーチプロジェクトは 12 月に発表、制作プロジェクトは期末最終週に発表会を行う

参考文献

開講後に指示。

評価方法

各期の評価はゼミへの出席、課題あるいは研究報告、ディスカッションの参加やフィードバック、研究

及び制作プロジェクトへの取り組みなどの状況を総合的に評価する。

3年生:出席、プレゼンテーション、ディスカッション及びグループプロジェクトへの貢献度、課題等か

ら、総合的に判断する

4年生:出席、プレゼンテーション、ディスカッション及びグループプロジェクトへの貢献度、課題、ゼ

ミ論への取り組み等から、総合的に判断する

授業実施曜日・時限(予定)

木曜日、3年生・4年生合同で5・6限連続で実施するので5,6限とも他の授業を入れないでください。

ゼミの選考方法

以下を提出。面接を行う。2年前期までの成績を参考にする。ディスカッションやグループ活動が多いの

で、主体性とコミュニケーション能力と積極性を備えた、やる気のある人求む!

1.このゼミを選ぶ理由と、自分の関心事、やりたいこと(申請フォームから)

2.今まで演習などで研究したテーマ、それによって何がわかったか(申請フォームから)。

3.自分がこのような分野に関心を持つ理由や今までにやったことなど、補足資料があればメール送付

または持参も可。

<注> 当ゼミは2018年度以降は開講しないので、留学を予定している場合は事前に相談してください。

Page 6: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

5

【作品研究とは何か】

幻影論ゼミは、<作品研究>を行なうゼミです。テレビ番組・演劇・映画が主な研究対象となりますが、

メンバーの関心に応じて、小説・アニメ・マンガ・写真など多様なジャンルの作品を取り上げます。

作品研究とは、初めてその作品に出会ったときの驚きや感動、違和感、怒りなど、自分自身の素朴な

心の動きを見つめることからスタートして、作品をできる限り豊かに味わうために作品を考察する作業

です。私たちが1回きりの作品鑑賞で受け取ることのできる情報量は限られています。作品研究は、作

品を繰り返し読む/視聴することを通じて、1 回目の鑑賞で受け取り損ねた要素を改めて発見し、その発

見を手がかりに作品を多角的な視点から分析し、より深く考察し、言語化する行為です。芸術家は言語

で表現できないものを作品として提示します。だから作品研究とは、言語で表現できないものを言語化

するという無謀な試みであり、その意味で作品とのバトルでもあります。そうしたバトルを通じて、私

たちは一つの作品からより多くの情報を受け取れるようになれるはずです。

作品研究の目的とは、作品をできる限り豊かに理解し、正当に評価することにあります。こうした作

業を通じて、世間一般の評価とは異なる評価軸で優れた作品に新たな光を当てることが可能になるでし

ょう。また、各自の作品の見方を鍛えることにより、作品を細やかに感じ取る力や想像力を養い、作品

を初見で深く鑑賞しうる力を養うことも目指します。

作品はただ楽しめばいい、それ以上の解釈はこじつけや無駄な深読みであると思う人にはこのゼミは

向きません。もちろん作品を楽しむのは素晴らしいことです。けれども、ただ楽しんだだけの作品の印

象と、作品と格闘し深い分析を経た後で見えてくる作品像はまったく違うものになるでしょう。それは

感動的な体験です。その体験をしてみたいと思う人を、幻影論ゼミでは歓迎します。

【過去にとりあげた作品(例)】

●2015 年度: 前川知大(劇団イキウメ)『聖地 X』、山田太一『時は立ち止まらない』

細田守『時をかける少女』(夏合宿)

●2014 年度: キューブリック『時計仕掛けのオレンジ』

野田秀樹『半神』、宮崎駿『崖の上のポニョ』(夏合宿)

ベケット『クワッド』(演劇博物館でパフォーマンス映像上映)

いとうせいこう『想像ラジオ』、岩井秀人(劇団ハイバイ)『て』

●2013 年度: 吉田大八『桐島、部活やめるってよ』、宮崎駿『風の谷のナウシカ』(夏合宿)

ベケット『ゴドーを待ちながら』

寺山修司『毛皮のマリー』(演劇博物館ギャラリーでリーディング公演)

岡田惠和『泣くな、はらちゃん』、澤井信一郎『Wの悲劇』

●2012 年度: 松井周『自慢の息子』(みんなで観劇+作品研究)

ゴダール『気狂いピエロ』、クリストファー・ノーラン『インセプション』

宮沢章夫『トーキョー/不在/ハムレット』

渡辺あや脚本『その街のこども』

●2011 年度: イーストウッド『ヒアアフター』、柴幸男『わが星』、

岡崎京子『ヘルター・スケルター』、木皿泉『Q10』

フェリーニ『8 ½』、ベケット『エンドゲーム』

●2010 年度: 木皿泉『すいか』、スパイク・ジョーンズ『マルコヴィッチの穴』

チャーリー・カウフマン『脳内ニューヨーク』、宮崎駿『ハウルの動く城』(夏合宿)

シュヴァンクマイエル『アリス』、西荻弓枝/堤幸彦『ケイゾク』

●2009 年度: 宮藤官九郎『鈍獣』、アルフレッド・ヒッチコック『裏窓』、黒沢明『羅生門』

イプセン『人形の家』、今敏『パプリカ』(夏合宿)

担当教員 科目名

岡室 美奈子

幻影論ゼミ

副題:作品研究:テレビ・演劇・映画を中心として

プログラム:メディア論

3定員

15 名

Page 7: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

6

【ゼミの特徴】◆このゼミでは、とくにプレゼンテーションの仕方と論文の書き方を洗練さ

せることを重視します。また、ディスカッションを盛り上げる工夫をします。

◆3 年生と 4 年生の相互交流が活発です。年1回の総会では OB・OG を招いて

就活へのアドバイスをもらったり会社の話を聴いたりして、交流を深めます。

◆合宿では、例年、幻影論ゼミ名物<映像制作>を行なっています。

オリジナル脚本で、監督・編集もゼミ生が担当します。

◆ゼミ論集『ELEPHANTOM』(エレファントム)を発行しています。

◆例年、テレビ局や劇団など、制作/創作現場からゲストをお招きしています。

◆就職状況はきわめて良好。就職先は、テレビ局や制作会社、広告代理的、出版社、

メーカー、IT 関連など、多種多彩です。

【評価】出席率+研究発表+ゼミへの貢献度+ゼミ論を総合的に評価します。

【参考文献(3・4 年生共通)】岡室美奈子他編『ベケットを見る八つの方法――批評のボーダレス』水声社

岡室美奈子他編『サミュエル・ベケット!―これからの批評』水声社

岡室美奈子他編『六〇年代演劇再考』水声社

岡室美奈子編『知の劇場、演劇の知』ぺりかん社

今野勉『テレビの青春』NTT 出版

伊豫田康弘他『テレビ史ハンドブック』自由国民社

長谷正人『敗者の想像力―脚本家山田太一』岩波書店

多木浩二『眼の隠喩』青土社

高山宏『目の中の劇場――アリス狩り』青土社

港千尋『映像論――「光の世紀」から「記憶の世紀」へ』NHKブックス

ジョナサン・クレイリー(遠藤知巳訳)『観察者の系譜─視覚空間の変容とモダニティ』以文社

フリードリヒ.キットラー(石光泰夫訳)『グラモフォン、フィルム、タイプライター』筑摩書房

【授業実施曜日・時限】

◆3 年生:木曜 5 時限。春期は 4 年生と合同としますが、秋期は基本的に 3 年生のみで行います。

◆4 年生:木曜 5 時限に 3 年生と合同ゼミ(春期)、6 時限にゼミ論指導(通年)を行ないます。

※3 年生にも 6 限に参加してもらうことがあるので、3・4 年生とも、木曜 5 限、6 限には

他の授業を入れないでください。

【選考方法】

◆ゼミ志望理由書。

◆2 年春学期までの成績を参考にする。

◆面接を行う。

◆上記とは別に、1~2 名を「一芸」選考により採用する。

※映像の撮影・編集ができる、脚本が書ける、写真がうまい、雑誌編集ソフトが使える、絵・グラフィック・デザイン・漫画が得意、特技がある、超能力がある、宴会・合宿が得意、などなど一芸をアピールしたい人は、面接当日、作品や能力を証明するものを持参し、面接時に申し出ること。

<選考のポイント>総合評価方式ではなく、上記のどれかでキラリと光った人をとります。成績が輝かしい人、志望理由書が面白い人、面接で印象深かった人、一芸が冴えていた人、すごく◯◯な人、

などなど。 (合宿での映像作品撮影風景)

Page 8: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

7

授業内容

このゼミでは、主に身体表現と関わる古典作品を中心に研究対象とします。このゼミで目指すのは、

訓詁注釈的な古典研究ではありません。新しい方法や新しい技術、また様々な異分野の研究方法から、

古典作品に対する新しい解釈を示したり、古典の魅力を発掘したりすることを目指します。主に能・文

楽・歌舞伎などの代表的な古典演劇、舞踊や話芸、曲芸や手品などを含む、近代以前のパフォーマンス、

民俗芸能、すでに滅亡した芸能が具体的な題材の例ですが、身体表象に関わることであれば、それ以外

の研究も可とします。古典が本来備えていた当時の姿を探るのみならず、現代における新しいあり方、

古典の新しい提示の仕方についても考察していきたいと思います。こうした作業が「古典とは何か」を

考えることにつながれば良いと思います。

【3 年次生】

春学期はゼミ志望書の記述に基づいて、現在何をやりたいのかをより明確にする作業から始めます。

次に先輩の4年次生と共に、参考文献の輪読による勉強会を行います。書物ではなく、ビデオなどで実

際のパフォーマンスを見て、それをどのように分析していくかを考えることも必要に応じて行います。

夏休み中に一度は集まって、これまでの研究の成果や進捗状況を報告する会を開きます。

秋学期は、夏休みの個人発表を踏まえて、基本文献の輪読を行い、合わせて各人のテーマに応じた資

料調査の方法について、検討します。具体的には、何を調べたいかを提案し、それについてどのような

方法でそれを調査するかを全員で意見交換し、その結果に基づいて資料収集を開始します。

【4 年次生】

春学期は、3年次の学習の成果を踏まえ、ゼミ全体の研究対象と各自の設定したテーマとの整合性を

念頭に、各人の分担したテーマについて、いかに効果的なプレゼンテーションを行い、いかに説得力の

ある論文を完成させるかということを目標とします。従って基本文献の輪読で指導的な役割を演じても

らうと共に、個人発表を通じて、ゼミ論の構想や先行研究の紹介、参考文献の収集結果の報告をします。

夏休み中の報告会でゼミ論の進捗状況について報告してもらいます。

秋学期はゼミ論の執筆と原稿添削を主な作業とします。書けた分を提出してもらい、添削の上直ちに

返却するので、それに基づいて論文を順次完成させていきます。

シラバス

【3 年生】

春学期:

4月: 導入のためのレクチャー。情報検索のやり方、参考文献・参考資料の探し方。研究対象とな

る分野の公演情報など。全員で輪読する基本文献の決定。

5月:基本文献を3・4年全員で輪読する。自分のやりたいことについて考える。志望書に書いた

ことを踏まえて、それをどのように発展させるかを工夫する。

6月:各自の発表。ゼミ論で目指す研究対象と研究方法について。参考したい資料について。

7月:前月の続き。

8~9月:研究室での日帰りマラソンゼミもしくは合宿。各自の研究計画の発表。

担当教員 科目名

竹本 幹夫

復元身体論ゼミ

副題:古典世界の再構築を中心に

プログラム:身体論

4定員

15 名

Page 9: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

8

秋学期:

9月~12月:3年次生のテーマに共通性のある、新しい基本文献の輪読。研究計画に基づく作業

とその報告。

1月:本年度の成果の取りまとめと次年度への課題の整理。

【4 年生】

春学期:

4月:論文の書き方に関するガイダンス。3年次生を指導しつつ基本文献を輪読する。

5月:具体的な参考資料・文献リストの作成。基本文献輪読。

6月:具体的なゼミ論計画書の作成。資料調査。基本文献輪読。

7月:調査結果を踏まえた参考資料の補足作業。基本文献輪読。

8月~9月:研究室でのマラソンゼミもしくは合宿。ゼミ論の構想発表。

9月~12月:ゼミ論執筆過程での質問受け付け。論文添削。ゼミ論提出。

1月:2年間の総括。3年次生へのアドバイス。

教科書

【3 年生】

4年次生と共に基本となるべき文献を検討し、任意の書物もしくは論文を輪読するので、あらかじめ

特定の書物を指定することはない。ただし結論が出ないときには、適宜にアドバイスを行い、具体的な

書物を示す場合もある。また発表に際しては各自でプリントを用意する。主たる対象は身体芸術その他

であり、それに関わる諸資料である。参考文献を読むための訓練は具体的な調査の作業を通じて行う。

春学期の最初に導入授業として各人の使用するはずの参考文献について解説を行う。

【4 年生】

特定の教科書は用いない。発表に際しては各自でプリントを用意する。ゼミ論の内容に応じて、各人

が適宜の研究資料を収集することとし、夏休み前までに、ゼミ論の参考文献リストとゼミ論の構想を確

定する。

参考文献

【3 年生】

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館や独立行政法人文化財機構東京文化財研究所等の発行する紀要類

に発表された、身体表現に関する論文・資料類など。文化庁その他のホームページ掲載のデータ集など。

【4 年生】

各自のテーマによりそれぞれ別個の参考文献が必要となる。

評価方法

【3 年生】

出席率・討論での意見・研究計画書の内容により総合的に評価する。

【4 年生】

ゼミ論の内容を中心として、出席率や討論での意見も加味する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】2 学年合同で月曜5時限に39号館2507研究室あるいは33号館8階論系ミーテ

ィングルームで行なう予定。

Page 10: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

9

関連 URL

http://www.waseda.jp/enpaku/index-j.html

選考方法

1.ゼミ志望理由書。

2.2年春学期までの成績を参考にする。

3.面接を行う。

【3 年次生】【4年次生】2 学年合同で月曜5時限。教室は少人数であれば39号館5階2507(竹本)

研究室、あるいは33号館8階論系ミーティングルームで行なう予定。

関連 URL

http://www.waseda.jp/enpaku/index-j.html

http://db2.littera.waseda.ac.jp/wever/nougaku/goLogin.do

選考方法

1.ゼミ志望理由書。

2.2年春学期までの成績を参考にする。

3.面接を行う。

Page 11: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

10

ゼミ概要

身体表象論ゼミでは、「身体」及び「身体の表象」をキーワードに、舞台芸術/パフォーミング・アー

ツ/文学/写真/映画/絵画/漫画/アニメなどの多領域を横断しながら、様々な芸術作品を分析・考察する。

扱う対象が表象・メディア論系の他のプログラムの内容とも密接に関わるため、身体論・メディア論・

イメージ論の基本文献を読み進める作業をゼミ生共通の課題として掲げ、各自の特定テーマに関する研

究発表と併せて毎回のゼミを展開する。

文献購読が相当量に及ぶこと、また、最終的な成果として提出するゼミ論は英語での執筆を義務づけ

ることから、課題に熱心に取り組む意欲の無い者の受講は勧めない。基本的に授業は日本語で行うが、

必要に応じて英語で行うこともある。口頭発表、及びゼミ論に対する評価は厳しいので、受講者は相応

の準備をすること。斬新な視点と熱意とを併せ持つ学生を期待する。

基本的に 3 年生は 4 限、4 年生は 5 限に行うが、合同でゼミを行う場合が少なくないので、5 限・6 限

共に出席可能な体制を取ること。

なお、2016 年度は、担当教員が特別研究期間の為、代講教員が担当する。

ゼミ日程概略

3年生 4年生

春期 ゼミ生各自の得意分野・興味の対象等をお互

いに紹介し合い、毎週のゼミで継続的にリサー

チの経過を報告する。同時に、ゼミ生の研究対

象の明確化と連動しながら、基本文献の輪読を

進める。夏期休暇中には可能な限り多くの芸術

作品に触れ、多くの文献を読んでもらう。

また、年に一度、4年生と合同でゼミ合宿を

行う。舞台作品や美術展・写真展などをゼミで

まとまって鑑賞することもある。

ゼミ論執筆の為の具体的なテーマを決定し

て、執筆計画を立てる。春期前半のゼミでは、

各人のゼミ論計画を発表し、お互いのゼミ論計

画を批評し合う。数回のプレゼンテーションと

ディスカッションを経て、各人がゼミ執筆の計

画を確定する。その後、実際の執筆に取りかか

る。途中経過は、随時、春期のゼミで発表・デ

ィスカッションをする。また、年に一度、3年

生と合同でゼミ合宿を行う。

夏期休暇中も、担当教員と連絡を取り合いな

がら執筆を進める。

秋期 春期、及び夏期休暇中の成果を発表しつつ、

プレゼンテーションと論文執筆の基本技法を

学ぶ。各自のリサーチの報告、及び全員での基

本文献輪読は、春期同様に行う。冬季・春季休

暇中は、夏期休暇中と同様に、可能な限り多く

の芸術作品に触れ、多くの文献を読んでもら

う。最終的成果をゼミ論集としてまとめる。

夏期休暇明けの最初のゼミで、ゼミ論の初

稿を提出してもらう。以後、4年生のゼミは、

担当教員との個別指導及び、ゼミ論の途中経過

の発表が中心となる。

また、最終的な成果をゼミ論集にまとめる。

担当教員 科目名

坂内 太

身体表象論ゼミ

副題:

プログラム:身体論

5定員

12 名

Page 12: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

11

授業実施曜日・時限(予定)

基本的には【3年生】4限、【4年生】5限だが、文献購読やディスカッションなど、合同で行うこと

が少なくないため、5限・6 限共に出席可能な体制を取ること。

評価

【3年生】出席率+ディスカッションへの貢献度+課題+小論文(2000words)等から総合的に判断する。

【4年生】出席率+ディスカッションへの貢献度+課題+ゼミ論(8000words)等から総合的に判断する。

*ゼミ論・小論文は、ゼミ論集 CHAOSMOS として年度ごとに発行する。

教科書、参考文献

【3年生】【4年生】授業で指示する。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2年春学期までの成績を参考にする。

・面接を行なう。

・その他:パフォーミング・アーツ/演劇/ミュージカル/文学/写真/映画/絵画/漫画/アニメ等に於い

て、自分の興味の対象をひとつ取り上げ、自分とその特定分野/対象とのこれまでの関わりについて、英

語のエッセイを書き、選考資料として提出すること。なお、エッセイの分量は 1000 words 以上とし、課

題を提出しない者、語数の満たない者は失格とする。

ゼミ紹介

現ゼミ生の関心領域は、維新派と身体の表象、ミュージカル論、舞台芸術論、アニメ作品における現

実と夢の交錯分析、映画における色彩と記憶の表象論、映画内の設定としての「制約」分析、映画にお

ける「異界と現実の境界」分析、ビデオゲームにおける身体の没入観研究、暴力の表象論、作品分析(『ジ

ーザス・クライスト・スーパースター』『若者と死』『シャイニング』『パプリカ』『アメリ』『MAREBITO』

『エンドゲーム』『生きてるものはいないのか』『カンパニー』『人狼 JIN-ROH』『オールド・ボーイ』『コ

ルテオ』『ジュラシック・パーク』『ハウルの動く城』『風ノ旅ビト』)など。

合宿風景。毎年ゼミ合宿を実施し、全員の研究発表、及びディスカッションを行う。

Page 13: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

12

授業内容(3年・4年):一枚の画像は、さまざまな角度から眺めることが可能である。たとえば、ゴッ

ホの《向日葵》をごく単純に植物のイメージを表現したものであるとみることもできよう。また太陽の

イメージを象徴的に描いたととらえることもできる。ゴッホはキリスト教者であったがイエスの姿を描

くことはほとんどなかった。《ラザロの復活》を描いたときに、イエスのいるべき位置にゴッホは太陽を

据えた。だから太陽にはキリストの姿がかさねられているのだろう。太陽はフランス語で soleil。この

語はまた向日葵を意味する語でもある。ならば《向日葵》は太陽でありキリストであり神をも指示する

花となる。こうした読解は知的作業によってひらかれてくることになるのだが、はたしてそれでゴッホ

の《向日葵》がある程度わかったことになるのか。画像がわれわれにもし感銘をあたえるということが

ありうるとすれば、われわれ自身の感性による享受のありかたや、われわれ自身の生き方そのものと深

い関連があるに相違ない。このゼミでは、脳の表面による解釈によって「わかる」ということの先に、

われわれ個々人との全人的な関係のなかで画像が成立している様態を把握してゆこうと思っている。画

像理解は受身では、所詮表面的なレベルにしか到達しえない。ゼミでは、画像に対して能動的にかかわ

ることを、指導してゆく。

ゼミで取り組むべきテーマを、はじめから決めてかかって、融通のきかぬ授業とするつもりは毛頭ない。

もし突如大地震が起きたなら、予定を変えてそうした天災にまつわるイメージについて学生とともにか

んがえてゆくだろう。何が起こるかわからない将来に、柔軟な態度でのぞむのも、このゼミの基本姿勢

であるかもしれない。

教科書:なし

参考文献:授業中に適宜指示。

評価方法:出席・発表・レポート等の総合評価

授業実施曜日・時限(予定):曜日はこれまでどおりの金曜日になるはずです。5限は【3年生】【4 年生】

合同のゼミとし、6限はゼミ論作成にむけた個別またはグループ指導を行なう予定なので、6限の出席

ができるようにしておいてください。事務手続きの際には 3 年生が 5 限登録、4 年生が 6 限登録となりま

す。ただし、時間割変更もありえるので、その場合の登録は二時間続きのうち、3年生が早い時限、4 年

生がそのあとの時限となります。

選考方法:ゼミ志望理由書と2年春学期までの成績のみによる選考。面接はしない。

担当教員 科目名

丹尾 安典

イメージ論ゼミ

副題:

プログラム:イメージ論

6定員

15 名

Page 14: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

13

授業内容

一般的地平からイメージ記号について考えるというのがゼミの目的です。『聖書』『老子』が社会・世界

は3をもって始まると教えているように、イメージ記号の一般性は3つの領域を比較・検討することか

ら開始されます。そういうわけで、副題は「映像×アート+1」となっています。この1は、音楽であっ

てもダンスであっても文学であってもコミックス・ゲームであっても、そして日常の何かであっても構

いません。

***

他の人のゼミ論発表をよく聴き、真摯に意見を交換し、可能な限り多くの作品・ものに接しながら、

一般性をつちかってゆきます。

映像×アートを基軸にしていますが、それ以外の領域にもひろく関心をそそぎ、基本的にはインター

メディア的な視座の獲得を目ざします。故郷喪失的なノンスタンダードへ向けての探求となるでしょう。

***

広く浅くということとはまったく異なるので、そこは間違えないように!

【3 年生】

春期

5限:ゼミ論に関係しそうな本を一冊選び、それについて発表。

6限:自主ゼミ・プチフィールドワーク:いくつかの班にわかれ、自主的に計画を立てて活動。

秋期

5限:ゼミ論発表・ゼミ論個別指導。

6限:記号論の講義、ギャラリー展鑑賞、学生から推薦を受けた映像作品を全員で鑑賞。

【4 年生】

春期

5限:ゼミ論発表・ゼミ論個別指導。

6限:自主ゼミ・プチフィールドワーク:3年生の項目を参照。

秋期

5限:ゼミ論発表。

6限:1)3年生の項目を参照。

2)ゼミ論執筆指導。

※ 基本的に、5限・6限共に、3・4年生合同授業。

シラバス

【3 年生】【4 年生】

詳細は各学期初めに提示。

担当教員 科目名

大石 雅彦

イメージの記号論ゼミ

副題:映像×アート+1

プログラム:イメージ論

7定員

12名

Page 15: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

14

合宿:今年度は7月初めに、軽井沢セミナーハウスで、2泊3日の3・4年生合同合宿を行いました。

教科書

【3 年生】【4 年生】

特になし。

参考文献

【3 年生】【4 年生】

授業で指示。

評価方法

【3 年生】【4 年生】

発表・出席・リポートによって、総合的に評価。

履修モデル

映画・美術・イメージ論に関する授業を履修していることが望ましい。

ゼミ紹介

充実した時間を共有/分有してゆきたいと思います。現4年生のゼミ論テーマは、ベネトンの広告、

廃墟論、女性のアンダーウェア-、相米慎二、アメリカン・カジュアル、『オリーブ』、『AKIRA』、資生堂

の広告、等々と多様です。この幅(スケール)の広さがゼミのメリットといえるでしょう。ゼミ全体が

乱反射する球体のようなもので、学生は多種多様な刺激を四方八方から受けながら、成長しているはず

です、たぶん。

知的好奇心にみちあふれる貪欲な学生(存在するのだろうか?)を希望します。ゼミが活性化するか

否かは、ひとえに、あなたたち学生同士の協働(コラボレーション)にかかっています。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】

金曜 5・6限

【4 年生】

金曜 5・6限

選考方法

・ゼミ志望理由書。

・2 年春学期までの成績。

・面接。

Page 16: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

15

授業内容

現代社会や文化のあり方を、特にメディア、情報化、テクノロジーといった観点から考察し、21 世紀

の思想・文化・倫理の可能性を探ります。本年度は、とくに現代情報社会、高度技術社会における「フ

ィクションの力」を考察し、「遊戯の哲学」を構想します。

議論は、メディア論から消費社会論、サブカルチャーから政治思想、批評・芸術から科学論・生命論、

ゲーム論やインターネット論 etc. と多岐にわたります。広く「現代」および「未来」における社会・思

想・文化に関わるものなら、なんでも対象にしますが、表面的な知識や現状分析ではなく、現象の根底

にある本質や土台を見抜くことを目指します。メディア論プログラムのゼミですが、身体論、イメージ

論とも深く関わります。当ゼミで「現代」を生き抜くための様々な思考ツールを習得し、学生諸君が新

しい世界観と価値観を独自の仕方で切り開いていってください。

本ゼミの最低限の学習目標は以下の通りです。

1. グローバル超技術社会の社会・文化・思想の基礎知識の習得

2. 言説分析を通した汎用的リテラシー能力(メディア・リテラシーを含む)の開拓

3. 発想法の習得

【3 年生】

1.現代社会・メディア社会・表象文化に関する様々な文献を読んで、発表やディスカッションを行い

ます。これによってテキスト読解力・情報収集力・共同作業能力・プレゼン能力・討議能力などを

高めます(文献は毎月1冊ずつ読んでいきます)。また文献発表と並行して、映像作品(映画・アニ

メが多い)についてのグループ発表を行います(ひと月に1作品。作品は学生たちが選びます)。

2.年度末に「プレゼミ論」を提出します。

【4 年生】

基本的には 3年生と同じですが、ゼミ論の完成に重きが置かれます。

教科書

【3 年生】【4 年生】

たくさんの本を次々に読んでいくので、開講時に指示します。

参考文献

【3 年生】【4 年生】

教科書と同様です。

評価方法

【3 年生】

出席+授業への貢献度+課題+プレゼミ論、等から、総合的に判断します。

担当教員 科目名

藤本 一勇

現代思想ゼミ

副題:フィクションの力、遊戯の哲学

プログラム:メディア論

8定員

12 名

Page 17: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

16

【4 年生】

出席+授業への貢献度+課題+ゼミ論、等から、総合的に判断します。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】【4 年生】2学年合同で木曜日 5 時限に行ないます。

ゼミ紹介

ゼミ担当教員(藤本)は「言葉」がもっとも重要なメディアだと考えるので、たくさんの文献を読み、

それについて考え、書くというエクササイズを行います。

言語文化に興味がある人はもちろんのこと、非言語文化にたずさわろうとする人にとっても、言語化

する能力は大切です。言語はあらゆるものを対象にできるメディアです。言語化しなければ言語から零

れ落ちていくものも、その大切さもわかりません。だからこそ本ゼミは、言葉で読む、語る(語り合う)、

書くという作業にこだわります。言語以外のメディアが大衆化しつつある時代だからこそ、かえって言

語メディアの運用能力が鍵を握っているのではないでしょうか。

選考方法

・ゼミ志望理由書

・2 年春学期までの成績を参考にします

・面接を行います

*志望者が定員超えた場合、課題を提出してもらう可能性があります。

注意事項

・2017 年 4 月~2018 年 3 月まで(みなさんが 4 年生のとき)、ゼミ担当教員(藤本)が特別研究期間

で日本を不在にするため、同期間は代講措置となります。

Page 18: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

17

授業内容

【3 年生】【4 年生】共通

「写真はイメージです」。広告写真の片隅にこのような注意書きがなされているのを見たことがあるだ

ろう。「あくまでイメージですから、実際の商品とは異なるかもしれませんが、ご了承ください」。それ

が伝えようとしているのは、おおよそこんなメッセージであるに違いない。ここで用いられている「イ

メージ」とはつまり、現実とは異なるもの、偽りであるかもしれないものを意味する言葉であるようだ。

しかし私たちは時として、絵画、写真、映画などの「イメージ」によって、魂を揺さぶられるような

衝撃を受けることもあるはずである。そのとき私たちは、「偽り」の何かによって騙されているにすぎな

いのだろうか。そのような「イメージ」はむしろ、「イメージ」によってしか伝えることのできないよう

な何らかの真理を、私たちに垣間見せてくれているのではないだろうか。

本ゼミでは、このようなイメージの力の可能性を、とりわけ「カタストロフィ」との関係において考

察することを試みる。ホロコースト、広島・長崎、東日本大震災などのカタストロフィを、イメージに

よって、実際に経験したことのない人に伝えることはできるのだろうか。終戦から七〇年以上が経過し

て、歴史が転換点を迎えようとしている今、イメージに対する信頼を、いかにすれば取り戻すことがで

きるのか、ゼミ生たちと共に考察していきたい。

シラバス

【3 年生】【4 年生】共通

春期は基本的に3、4年生合同で、秋期は学年別に行います。

春季はイメージとカタストロフィの関係について、文献購読や作品鑑賞を通して共に考察していきます。

取り上げる作品は『シンドラーのリスト』、『ショアー』、『ゴダールの映画史』などを予定しています。

秋期は論文執筆を視野に入れた発表形式が中心になります。3年生は全員で一つのテーマを決めた論集

を制作します(これまでのテーマ:「ゾンビ」「ピエロ」「アイドル」)。4年生はゼミ論を執筆します(こ

れまでのゼミ生たちのテーマ:整形と映画、抗日ドラマ、LINE スタンプ、宇宙人、ベースボールキャッ

プ、など)。

美術展などの訪問や映画鑑賞なども適宜行います。

教科書

【3 年生】【4 年生】共通

教場で指示する。

参考文献

【3 年生】【4 年生】共通

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお』(平凡社)

担当教員 科目名

橋本 一径

イメージ分析ゼミ

副題:イメージとカタストロフィ――歴史の継承をめぐっ

プログラム:イメージ論

9

定員

15 名

Page 19: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

18

スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』(みすず書房)

橋本一径『指紋論』(青土社)

ジャン=ピエール・デュピュイ『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り』(明石書店)

L. Saltzman, E. Rosenberg, Trauma and Visuality in Modernity, Dartmouth College Press.

評価方法

【3 年生】【4 年生】共通

出席、ディスカッション等への貢献度、口頭発表、課題等から総合的に判断する。

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】金曜 5 限【4年生】金曜 6 限

3 年生は 5 限、4 年生は 6 限に登録される。ただしゼミ論発表や見学会など、2学年合同で授業を行うこ

とがあるので、5 限と 6限の時間を空けておくことが望ましい。

2014 年度ゼミ合宿(クレマチスの丘)

選考方法

項 選考方法 実施の場合は「○」

1 ゼミ志望理由書(必須) 〇

2 2 年春学期までの成績を参考にする。 〇

3 面接を行う。 応募者多数の場合

4 抽選による。

5 その他(別途提出物を求めるなど)

上記「その他」の内容:

以上

Page 20: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

19

授業内容

自分の身体は「いま・ここ」にあるものですから、自明で確実なものと思いがちですが、お尻や背中

はもとより、身体の表看板とも言うべき顔すらも、鏡に映さなければ見られないという事実は何を語っ

ているのでしょうか。実は私たちが自分の身体だと思っているものは身体表象、身体についてのイメー

ジに過ぎず、ナルシシズムから醜形恐怖に至る様々な幻想(ファンタジー)によって彩られ、歪められて

いるのです。一方、人間とは幻想を育み、幻想の罠にかかる生き物というのは、精神分析の人間観の根

幹です。ジャック・ラカンが人間の自我発達の欠くべからざる通過点として、六ヵ月から一歳半ぐらい

までの赤ちゃんが鏡を見て、そこに自分では構成できない身体の統一的イメージが先取りされているの

を見出すという「鏡像段階」論を語ったのは名高いですね。「寸断された身体」の状態に戻るのが嫌なら、

赤ちゃんは鏡の上に差し出された身体像にとりあえず自己同一化し、その像を自分だと認めるほかあり

ませんが、これは私たちが「見かけ」の支配に屈し、リアルがファンタジーに道を譲るようになる、そ

の第一歩をしるすドキュメントなのです。身体論と精神分析が出会うところからどんな知の冒険が開け

てゆくのか、その可能性をこのゼミで探究してみませんか。

このゼミでは文学、美術、クラシック音楽、オペラ、バレエ・ダンスなどはもとより、漫画、アニメ、

ゲーム、ファッション・モードなどサブカルチャーの諸領域もゼミ論のテーマにすることができますが、

「これが好き」「これ、面白いと思う」という素朴なアプローチだけでは、ゼミ論をまとめることは難し

いと思われます。ゼミ担当者はしばしば精神分析という「武器」を使いますので、皆さんにも同じ武器

を持つよう強いることはありませんが、何らかの理論武装をしてから知の冒険に乗り出されるよう、強

くお勧めします。

シラバス

【3 年生】春期:基本文献を輪読形式で講読

夏休み:合宿

秋期:ゼミ論中間発表

学期末にはプレゼミ論(ゼミ論のひな型)を提出

【4 年生】春期: 基本文献を輪読形式で講読

夏休み:合宿

秋期:ゼミ論最終プレゼン

ゼミでの討議を経て 12月にはゼミ論を提出

[重要]これからゼミに入られる方が4年生となる 2017 年度、村井は一年間の特別研究のため、ゼミを

担当できない予定です。今のところ現助教の菊池浩平先生に代講をお願いしておりますが、菊

池先生のご都合いかんでは、変更の可能性もあります。

担当教員 科目名

村井 翔

身体の精神分析ゼミ

副題:身体をめぐる様々な幻想について考える

プログラム:身体論

10定員

15 名

Page 21: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

20

教科書

三浦雅士『身体の零度』(講談社選書メチエ)1994 年

これは本年度の春学期基本教科書、来年度は別の本になりますが、ゼミ生の顔ぶれを見てから決めます。

参考文献

A.コルバン/J-J.クルティーヌ/G.ヴィガレロ『身体の歴史Ⅰ~Ⅲ』(藤原書店)2010 年

ヴィクトル・I・ストイキツァ『ピュグマリオン効果』(ありな書房)2006 年

レスリー・フィードラー『フリークス』(青土社) 1999 年

バーナード・ルドフスキー『みっともない人体』(鹿島出版会) 1979 年

アン・ホランダー『性とスーツ』(白水社) 1997 年

成美弘至『20 世紀ファッションの文化史』(河出書房新社) 2007 年

鷲田清一(編)『ファッション学のすべて』(新書館) 1998 年

評価方法

出席、発表およびプレゼミ論(3 年生)/ゼミ論(4年生)の出来によって評価します。

履修モデル

身体論 1(春期)、身体論 2(秋期)はこの分野における最も基礎的な科目ですので、まず履修をお勧めしま

す。担当教員も授業を分担していますが、他の先生方の授業からも触発されるところが大きいと思いま

す。また、担当教員は次の演習やブリッジ科目も受け持っています。担当教員のキャラを知るためには

役立つでしょう。

表象メディア論系演習「ゲームデザインの考現学」(秋期)

講義科目「ドイツ文化特論」(来年度春期)

講義科目「精神分析入門」(春期)

講義科目「オペラ論」(秋期)

講義科目「心の哲学・心の科学」(秋期、複数教員担当)

授業実施曜日・時限(予定)

【3 年生】火曜 5 時限

【4 年生】火曜 5 時限、ただしゼミ論個別指導は火曜 6 時限になります。

選考方法

・ ゼミ志望理由書

・ 2 年春学期までの成績を参考にする

・ 面接を必ず行う

・ 選考に際して最も重視するのは志望理由書ですが、面接での逆転もありえます

・ ゼミ見学(火曜 5時限)はいつでも歓迎、アポなしでも構いません

Page 22: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

21

授業内容

【3 年生】さまざまな文化現象と「からだ」の関わりを系譜学的に問うことから始めたい。いまあるこの

「からだ」はどこからやってきたのか。都市の変遷と身体。サブカルチャーの変容と身体。どこで、ど

んな時代の文化潮流によって、「からだ」の感覚は変化したのかを様々な分野から学ぶ。といっても、た

とえば「サブカルチャー」、あるいは「サブカル」はいま一般に流通しているそれではなく(「アニメ」「コ

ミケ」「クールジャパン」だけではなく)、もっと根源までさかのぼり、幅広く考え、その意味を問うこ

とが必要になる。総体としての文化の傾向や流れのなかで、あらためて「からだ」のあり方を、学び、

資料にあたるが、なにより都市が重要だ。街に出て考える。

【4 年生】3年時に学んだこと、そのフィールドワーク、資料探しをもとに、新たに現在を考える切り口

を探し、論考としてまとめることを学ぶ。研究テーマを絞り、それについてゼミで議論するなかで、新

たな発見が生まれることが望ましい。そして、いくつもの意見、ヒント、手がかりをもとに、卒業研究

をより深める。

シラバス

【3 年生】

まず担当教員から、都市へのアプローチの仕方、「からだ」への問いとはなにか、そのために手がかり

のひとつなる演劇、映画、音楽について講義する。鑑賞からはじめ、街に出る。そのときの合い言葉は、

「書を手にして街に出よう」だ。

【4 年生】

3年時に集めた資料をもとに、それを整理する。まだ物足りなければ、またべつの資料、実際に調べ

るべき場所に行き、人にあたり、自身が取り組む卒業研究についてプレゼンテーションしてもらい、そ

こから議論をはじめる。机上の空論ではなく、あらゆる場所へ足を運ぶことから学ぶのもまた、大きな

刺激になるだろう。その報告もまた、プレゼンテーションにおいて必要とされる。

教科書

【3 年生】

特定の教科書は決めないが、『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』『NHK ニッポン戦後サブカルチャー

史2』(NHK 出版)・『改訂版・東京大学[80 年代地下文化論]講座』(河出書房新社)などを読んでおい

てもらいたい。

【4 年生】

3 年時を基本にしつつ、それぞれ必要に応じ、指示する。

担当教員 科目名

(新規嘱任者)

文化身体論ゼミ

プログラム:身体論11

定員

15 名

Page 23: 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 - …...2015/10/03  · 2016年度 表象・メディア論系 論系ゼミ要項 想像力の眼 ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1620年頃)より

22

参考文献

【3 年生】【4 年生】共通

『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史2』(NHK 出版)・『改訂版・

東京大学[80 年代地下文化論]講座』(河出書房新社)・『フォービギナーズシリーズ・地図』(現代書館)・

『スケートボーディング、空間、都市──身体と建築』(イアン・ボーデン/新曜社)・『アースダイバー』

(中沢新一/講談社)・『創られた〈日本の心〉神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書)・

『大滝詠一 Writing&Talk』(白夜書房)・『シンセミア』(阿部和重/朝日新聞社)・映画『勝手にしやが

れ』(ジャンリュック・ゴダール)・映画『イージーライダー』(デニス・ホッパー)・映画『アカルイミ

ライ』(黒沢清)映画『サウダージ』・『ヒップホップの詩人たち』(都築響一/新潮社)『〈ベケット〉と

いじめ』(別役実/白水社 u-ブックス)・『僕らが非情の大河をわたる時』(清水邦夫/新潮社)・『三月の

5日間』(岡田利規/白水社)・『ヒネミ』(宮沢章夫/白水社)など、まだほかにも多数。

評価方法

【3 年生】

出席率、プレゼンテーション、その議論での意見、研究計画書の内容により総合的に評価。

【4 年生】

ゼミ論を中心として、出席率や授業内の議論の意見も参考にする。

以上