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Health & Medicine


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Page 1: 2016.7.22 心不全に対するアリスキレン,エナラプリル,アリスキレン+エナラプリルの比較
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BACKGROUND● 慢性心不全では、 ACE 阻害薬または ARB により、死 亡・入院のリスクが低下する。●RAA 系を阻害する他の治療法として、レニン阻害薬 の役割は明らかにされていない。● 慢性心不全を対象に、レニン阻害薬、 ACE 阻害薬、 レニン阻害薬 +ACE 阻害薬を比較した。

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METHODS  PATIENTS【適格基準】●NYHAⅡ~Ⅳ 、 EF≦35%● 血漿 BNP≧150pg/ml または NT-proBNP≧600pg/ml●12 ヶ月以内に心不全入院歴のある場合 BNP≧100pg/ml または NT-proBNP≧400pg/ml● 登録時に ACE 阻害薬または β 遮断薬を一定量投与

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METHODS  PATIENTS【除外基準】● 症候性低血圧● スクリーニングの段階で SBP<95mmHg または無作為化の段階で SBP<90mmHg● スクリーニングの段階で eGFR<40ml/m または無作為化の段階で eGFR<35ml/m またはスクリーニングと無作為化の間の段階でeGFR の 25% を超える低下● スクリーニングの段階で血清 K 値≧ 5.0mmol/l または無作為化の段階で血清 K 値≧ 5.2mmol/l●ACE 阻害薬を導入できなかった事がある

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METHODS PROCEDURESrun-in phase;2 つの段階を含む。【 first part 】● 単盲検法で 1~4 週間エナラプリル 5mg1 日 2 回投与。 その後 2~4 週間 10mg1 日 2 回投与。● 試験前にエナラプリル 1 日 20mg 相当の ACE 阻害薬  を投与されていた患者は second part より開始。● 最後に、重篤な有害事象がない患者をエナラプリル 1 日 2 回 5mg( 低用量層 ) 、 1 日 2 回 10mg( 高用量層 ) に層別化。【 second part 】● 単盲検法でアリスキレン 150mg1 日 1 回を追加。※ アリスキレン ; レニン阻害薬。

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METHODS  PROCEDURESコンピュータ化無作為化システムで、二重盲検法、ダブルダミーにより、以下の群に 1:1:1 で割り付けた。● アリスキレン + エナラプリル群 ( アリスキレン150mg 1 日 1 回 + エナラプリル 5mg または 10mg1日 2 回 )● アリスキレン群 (150mg1 日 1 回 )● エナラプリル群 (5mg または 10mg1 日 2 回 )

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METHODS  PROCEDURES無作為化した 2 週間後、● アリスキレン + エナラプリル群、アリスキレン群で、 アリスキレンを 300mg1 日 1 回に増量した。● エナラプリル群に見せかけの調整を施した。● 初めの 4 ヶ月間は 2 ~ 8 週間毎に評価し、その後は 4 ヶ 月毎に評価した。● 目標量を投与できない患者では、減量する事ができた。

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METHODS OUTCOMES【 primary outcome 】● 心血管系が原因の死亡、または心不全による入院 からなる複合イベント。【 secondary outcome 】●KCCQ 臨床的サマリースコア。 baseline から 12 ヶ月目時点までの変化。●NT-proBNP 。 baseline から 4 ヶ月目時点までの変化。【 prespecified exploratory outcomes 】【 composite renal outcome 】

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METHODS  STATISTICAL ANALYSISALTITUDE 試験で、糖尿病患者でアリスキレン追加投与により副作用発生率が高まる傾向が認められた。欧州医薬品庁は、以下の内容を決定した。● 試験中に糖尿病が増悪した患者では、治療を中止し 既存の治療法を行う。● それ以上糖尿病患者を登録しない。この決定は 2013 年 4 月に交付されたプロトコール修正案において、世界中で実行された。

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METHODS  STATISTICAL ANALYSISこの決定により、本試験において、● 統計学的分析計画を修正した。● 糖尿病患者に対する follow-up は検閲された。●secondary outcome の NT-proBNP の変化が削除 された。● 一次解析のための検出力は保たれた。

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METHODS  STATISTICAL ANALYSIS●ITT 原理により分析。●Cox 比例ハザードモデルで時間事象データを評価。● 交互作用項の算入により 25 のサブグループ間で、 治療効果の一貫性を評価。●KCCQ スコアの変化を反復測定分析で評価。●Fisher の正確確率検定で有害事象を比較。●非劣性を除く全ての P 値は両側検定。●ボンフェローニ補正に基づいた階層同時試験を伴う gatekeeping 法を施行。●非劣性 ( アリスキレン vs. エナラプリル ) の事前に指 定された片側検定 P 値は 0.0123 。

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RESULTS  PATIENTS2009 年 3 月 13 日~ 2013 年 12 月 26 日まで登録した。43 か国 789 施設で 8835人が run-in period に参加した。

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run-in phase に 8835名参加run-in phase で 1771名除外

7064名が無作為化48名除外2340名→併用療法

2340名→アリスキレン2336名→エナラプリル

【 Disposition of Patients 】

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【 Characteristics 】●3 群間で有意差は無い。●人種は調査員が決定した。●NT proBNP‐ は各群約 200人測 定されていない。

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RESULTS  FOLLOW-UP● 追跡期間の中央値は 36.6 ヶ月、各群間に有意差はない。 糖尿病でない患者は 46.0 ヶ月。 糖尿病である患者は 24.1 ヶ月。● 生命状態または糖尿病患者に関する検閲のため、 併用療法群 31名 (1.3%) 、アリスキレン群 19名(0.8%) 、 エナラプリル群 19名 (0.8%) を試験完了まで follow-up できなかった。● 検閲されていなかった患者は 2015 年 7 月 31 日まで follow-up された。

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RESULTS  TREATMENT ADMINISTRATION死亡または管理上の理由以外の原因で、以下の患者で治療を中止した。● 糖尿病でない患者において、 併用療法群 741名 /1675名 アリスキレン群 693名 /1713名 エナラプリル群 706名 /1684名● 糖尿病である患者において、 併用療法群 211名 /665名 アリスキレン群 175名 /627名 エナラプリル群 209名 /652名

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RESULTS OUTCOMES

Primary outcome

Primary outcomeの構成要素

●併用療法群 vs. エナラプリル群 アリスキレン群 vs. エナラプリル群で有意差は無い。

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RESULTS OUTCOMES●非劣性の基準を満たさない。 片側検定 P 値は 0.0184 、事前に指定した0.0123 以下 を満たさない。●併用療法群 vs エナラプリル群では、糖尿病の有無 に関わらず primary outcome に有意差は無い。

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RESULTS OUTCOMES

Composite renal outcome は併用療法群>エナラプリル群

Seconday outcomeexploratory outcomesに有意差はない

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RESULTS  SAFETY

● 低血圧、腎不全、高 K 血症→併用療法群>エナラプリル群● 低血圧→エナラプリル群>アリスキレン群 低血圧以外の有害事象→エナラプリル群 アリスキレン≒群

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RESULTS  SAFETY● 低血圧に関連した有害事象のため治療を中断した患者の数、割合 併用療法群>エナラプリル群。●腎障害に関連した有害事象のため治療を中断した患者の数、割合 併用療法群>エナラプリル群。● 高 K 血症に関連した有害事象のため治療を中断した患者の数、割合 併用療法群>エナラプリル群。

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DISCUSSIONエナラプリルに対するアリスキレンの追加により、● 心血管系が原因の死亡、心不全による入院のリス クは低下しない。● 低血圧、腎不全、高 K 血症は増加する。● 有害事象の増加は、 RAA 系を強く阻害した事を示 唆する。●RAA 系の阻害による治療には限度がある。 限度を超える RAA 系の阻害は、有害事象を増やす のみである。

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DISCUSSION● アリスキレン追加による有益性がない事は、糖尿病患 者のデータの検閲に伴う検出力の低下が原因ではない。● 治療を中断した患者の割合は高いが、全体的に十分治 療を施す事ができた。● 本試験ではアリスキレンを平均 24 ヶ月間投与された多 数の糖尿病患者がいる。●併用療法群 vs エナラプリル群では、糖尿病の有無 に関わらず primary outcome に有意差は無い。● アリスキレン群とエナラプリル群のアウトカムは同程度 であった。

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LIMITATION糖尿病患者では、アリスキレン +ACE 阻害薬の安全性に対する懸念のため、早期に治療を中止しなければならなかった。このため、統計学的分析計画を改訂する事となった。

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CONCLUSION● 心不全患者、 EF が低下した患者で、エナラプリルに レニン阻害薬を追加する事は有益ではない。●非劣性の基準を満たさなかったので、 ACE 阻害薬の 代替薬としてレニン阻害薬を用いる事を推奨しない。