2019-6 sozai kaki 0829「最近は東京のレストランにも仕入れていますが、...
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驚くほど大粒の身に、甘みのある濃厚な味わいが特
長の気仙沼市唐からくわ
桑町の『もまれ牡蠣』。気仙沼湾では昔
から牡蠣の養殖が行われてきたが、現在の品質にこだ
わった特別育成方法での養殖が始まったのは、8年前の
特別育成方法で品質にこだわった大粒で甘みのある『もまれ牡蠣』
ご当地食材ヒストリー&レシピ
東日本大震災がきっかけだという。
三陸リアス式海岸の中央に位置し、たくさんの入り
江がある唐桑半島では、昔から牡蠣やホタテ、ワカメ、
めかぶなどの養殖が盛んで、中でも牡蠣の養殖は昭和
初期から行われてきた。「筏いかだ
式しきすい
垂下か
養殖法」が昭和初期
に三陸各地に広まり、気仙沼湾ではかつてイワシ網漁
場だった場所も牡蠣養殖漁場となった。昭和40年頃ま
では、牡蠣の養殖は人力での作業が多く重労働だった
が、養殖機器の発達によって参入がしやすくなり、最
盛期は50名ほどの牡蠣養殖業者がいたという。
しかし、高齢化や後継者不足、また震災の影響など
で現在は20名弱に。そこで、震災復興の一環として唐
桑町の牡蠣をブランド化しようと、品質をより高めた
『もまれ牡蠣』の生産がスタートした。
「もまれ牡か き
蠣」特別育成で手塩にかけて育てられたブランド牡蠣宮城県気仙沼市
S O Z A I H O T N E W SS O U Z A I H O T N E W S
惣菜ホットニュースNo.2712019年 9月 1日 発行
一般社団法人 日本惣菜協会東京都千代田区麹町4-5-10麹町アネックス6F 〒102-0083TEL 03-3263-0957URL http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp編集・制作(株)POW-DER
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『もまれ牡蠣』と呼ばれるには3つの特徴があると
教えてくれたのは、宮城県漁業協同組合唐桑支所の
佐々木昂大さん。
「1つ目は『種選び』です。牡蠣の種には、厚付き
の種(多く付着している種)と、薄付きの種(少なく
付着している種)があります。唐桑町では薄付きを使
用することで、大量生産ではなく数量限定で高品質の
牡蠣を作るという養殖方法をとっています。2つ目は
『沖出し』です。種牡蠣はものすごく繊細で、波のう
ねりや振動を嫌います。そのため、ストレスのかから
ない穏やかな湾奥に吊るして約 1年半~ 2年成長させ
ます。その後、『沖出し』で湾奥から波の荒い沖の漁
場へ移動させ、栄養豊富で流れの速い場所に吊るして、
波にもまれさせて大きくします。栄養豊富なプランク
トンが多いので、身が肥っていくのです。リアス式海
岸の入り組んだ狭い湾だからこそ、おだやかな海と波
の荒い外海を生かしてできる養殖方法です」。
「そして 3つ目は『温湯処理』。お湯に牡蠣を浸け、
海に戻す作業です。出荷前の 8月~ 9月末に牡蠣を引
き上げて約 70℃のお湯に約 20 秒浸けて、牡蠣の殻に
付いた貝類や海藻類を熱湯で死滅させ、また海に戻す
のです。こうすることで、牡蠣の成長を妨げる貝類や
海藻類を取り除き、牡蠣だけに栄養を行き渡らせ成長
を促します。お湯は牡蠣にとっては害がなく、逆に良
い刺激となって形が良くなります。この 3つのこだわ
りがあって初めて『もまれ牡蠣』として出荷できるの
です」と佐々木さん。温湯処理を施すと、食べる際に
加熱しても身が縮まりにくく、きれいな乳白色の牡蠣
になるという。
リアス式海岸だからこそできる緩急二つの海でじっくり育成
手間のかかる『温湯処理』を施すことでふっくら大粒で乳白色の牡蠣に
No.2712019年 9月 1日 発行 S O Z A I H O T N E W SS O Z A I H O T N E W SS O U Z A I H O T N E W S
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「最近は東京のレストランにも仕入れていますが、
身が縮まりにくく大きな身をそのまま活かせるので、
牡蠣フライにするとお客様に好評だそうです」と佐々
木さん。ご自身のおすすめの食べ方は、キムチ鍋だと
いう。牡蠣のほかにホタテや魚の切り身、エビ、カニ
など、その時ある海鮮と野菜を入れた、海の恵み豊か
な場所ならではの豪勢なキムチ鍋だ。
「地元では、牡蠣のお吸い物やフライ、牡蠣鍋で食べ
られてきました。昔は漁師が冬に、牡蠣のむき作業を
する時にネギと味噌を入れて焼いて食べたらしいです。
その味がおいしく、忘れられないと言う人もいます」。
『もまれ牡蠣』の特別育成方法は、出荷までに養殖
場所を数回変えたり、真夏の暑い中手作業で温湯処理
を行うなど、手間隙がかかるが、その分おいしさは格
別だ。通常は 1年ほどで出荷するところもあるが、『も
まれ牡蠣』は2年以上育てるため、殻の大きさにして
12 ~ 15cm ほどにもなる。むき身の出荷は、9月末、
殻付きの出荷は11月から始まり、翌年の5~7月まで。
今年の出荷が楽しみだ。
加熱しても身が縮まりにくく見栄えがする身はフライや鍋に最適
レシピRecipe 火を通しても身が縮まりにくいので、大粒の身をそのまま生かして、
大きな牡蠣のグラタンに。立派な殻を器にして豪華に。
牡蠣のグラタン ~カレー風味~
材料(4 人分)
牡蠣…………………………8 個白ワイン……………………1/2 本エシャロット………………2 個ノイリーブラットドライ
(ベルモット) ………………1/4 本あさりのブイヨン…………180ccクリーム(45%) …………1/4 本サフラン……………………少々カレー粉……………………少々ホウレンソウ………………1 束卵……………………………2 個
作り方❶まず、クリームソースを作る。エシャロット(みじん切り)、白ワ
イン、ノイリー酒、あさりのブイヨンを入れ、1/4 ~1/5 まで煮つめる。そしてクリームを入れ、少し濃度が出るくらいまで煮つめる。最後にサフランを入れて少し色を出して、カレー粉を入れる。
❷卵黄2 個に水を入れて、温かい所でホイッパーでよく泡立てる。❸牡蠣は鍋の中に入れて、火を通す。❹牡蠣の殻にホウレンソウのバターソテーをひいて、 牡蠣をのせる。❺①のソースに②を入れる。❻⑤を牡蠣の上からたっぷりかけて、天火で焼き色をつける。
宮城県漁業協同組合唐桑支所宮城県気仙沼市唐桑町馬場 176-1 TEL:0226-32-3180お話を伺ったのは…
No.2712019年 9月 1日 発行 S O Z A I H O T N E W SS O Z A I H O T N E W SS O U Z A I H O T N E W S
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