2020.3.1 版1 𝑅 l 1 𝑅 5 e 1 𝑅 6 e 1 𝑅 7 e 1 𝑅 8 ⋯ 図4 䞊列抵抗の蚈算...

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1 2020.3.1 版 廣瀬文圊著

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Page 1: 2020.3.1 版1 𝑅 L 1 𝑅 5 E 1 𝑅 6 E 1 𝑅 7 E 1 𝑅 8 ⋯ 図4 䞊列抵抗の蚈算 ここで、いく぀か簡単に蚈算を枈たせる テクニックを瀺す。 ①

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2020.3.1 版

廣瀬文圊著

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倧数・小数の接頭語

倧数 SI 接頭語 小数 SI 接頭語

103 k キロ 10-3  ミリ

106 M メガ 10-6 ÎŒ マむクロ

109 G ギガ 10-9 n ナノ

1012 T テラ 10-12  ピコ

よく䜿甚するギリシャ文字

数孊ではよくお目芋えするギリシャ文字であるがこの際芚えおおきたい。

α アルファ β ベヌタ γ ガンマ ÎŽ デルタ Δ デルタΎの倧文字

ε むプシロン η むヌタ ÎŒ ミュヌ ρ ロヌ σ シグマ π パむ

x ã‚«ã‚€ λ ラムダ τ ã‚¿ã‚Š φ ファむ ω オメガ

dB デシベル換算衚

電圧倍数 dB 倀 電力倍数 SI 接頭語

√2倍 箄 3 dB √2倍 箄 1.5 dB

2 倍 箄 6 dB 2 倍 箄 3 dB

10 倍 20 dB 10 倍 10 dB

100 倍 40 dB 100 倍 20 dB

1000 倍 60 dB 1000 倍 30 dB

10000 倍 80 dB 10000 倍 40 dB

倍数分の䞀を蚈算するずきは、dB 倀をマむナスにすればよい。

䟋えば 1/1000 であれば、電圧では60 dB ずなる。

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はじめに 本曞の狙い

筆者は今から 32 幎前に囜立倧孊の工孊郚電気系の課皋を卒業したが、そもそもその課

皋を志望したのは電気回路を孊びたかったからである。䞭孊高校の時代より、オヌディオ

や短波ラゞオをいじるのが奜きで、たずは回路を自由に読んで、自分で蚭蚈したいずおも

っおいた。その倢は倧孊時代の電気回路ず電子回路の授業を通しおかなえられ、卒業する

ころには自分で匕いた回路図でアンプを䜜り、音出しをするなど、倚いに満足するこずず

なった。そのたた卒業研究も回路の研究をしたかったが、倧孊の研究宀で電子回路をテヌ

マずするずころを芋぀けられなかった。今ずなっおわかるこずだが、回路蚭蚈自䜓は真空

管時代でほが確立しおおり、理論や LSI ずしおの研究はあるものの、研究の最前線ではそ

れがどう応甚されるか、産物の远求になっおいたのが事情だったず思う。もちろん回路の

研究をされおいる方もいらっしゃるので、皆無であるずいうわけではない。

その埌筆者は、半導䜓薄膜合成の研究に関わり、それが今の専門に぀ながっおいるが、

回路の知識はずっず圹立っおきた。電気回路は蚈枬をするための基瀎であり、信号をピッ

クアップしお凊理しおレコヌディングするのに利甚される。そしお電気回路ぱネルギヌ

茞送の手段でもあり、プラズマの制埡においおも電子材料の研究者ずしお倚いに掻甚しお

きた。しかも電気回路は倚方面の数孊の知識を掻甚しおおり、回路問題を解くこずは、行

列、耇玠数、埮分、積分、埮分方皋匏、フヌリ゚玚数、ラプラス倉換の知識を実践する堎

ずしおこれら知識を生々しく䜓隓する堎でもある。これら数孊が、工業分野で倧いに圹立

぀こずは蚀うたでもないこずである。長々ず曞いたが、回路を孊ぶこずは倧いに圹立぀ず

いうこずをいいたいだけである。

この教科曞を䜜成したのは、電気回路を孊ぶ孊生のため、そしお瀟䌚人ずしお回路を孊

びなおしたい方に手軜に圹立おおほしいず思ったからである。倚くの孊生が電気回路を苊

手ずしおいるが、それは䞊蚘数孊の習埗が䞍十分であるからである。数孊の教科曞を芋に

行かずずも、この䞀冊で孊べるように䜜っおみた。

私なりの工倫ずしお、教科曞を二段組みにしおいる。これは芖線を倧きく移さなくおお

読み取りやすいようにするためである。高校時代に䜿っおいた Z 䌚の「物理・化孊の芁

点」ずいう本が二段組みで実に読みやすくの、その圱響を受けたためである。本曞のレベ

ルであるが、基瀎は、普段の授業に参考曞に、倧孊院の入詊の勉匷にも䜿っおいただけれ

ばず思う。党囜の入詊問題に぀いおも䟋題にいれお解説しおいく予定である。2020 幎から

最初の抵抗回路から執筆をはじめ、同幎倏を目暙に完成させたいず考えおいる。

本曞を執筆するにあたり、回路図䜜成においお氎魚堂の回路図゚ディタ Bschhttps://

www.suigyodo.com/online/schsoft.htmを掻甚しおいる。䜜者の岡田仁史氏には快く蚱可

をいただき、深く感謝申し䞊げる次第である。

2020 幎 3 月 10 日

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第 1 ç«  基瀎線 ~抵抗回路~

抵抗回路は電気回路の基本であり、それをもずに亀流回路ぞず勉匷が進む。倚くの電気回路

の蚈算法は抵抗回路で孊ぶこずができる。私の授業では、単に抵抗の蚈算だけではなく、電

圧ず電䜍の考え方、キルヒホッフ、テブナンの定理を、亀流を勉匷する前に教えるこずにし

おいる。そうするのは、蚈算量がさほど倚くない盎流を䞻䜓ずした回路で、これらの抂念を

効率よく孊ぶこずができるからである。肩の力を抜いお孊んでほしい。

1. 抵抗ずは

電気回路で抵抗(resistor, resistance)ず

は抵抗噚のこずを意味し、電流の流れを制

限する機胜をも぀。単䜍はΩオヌムであ

り、回路蚘号は次の通りである。四角のボッ

クス暙蚘でも、波線でもよい。なお抵抗の波

線の山の数は 3 個でも 4 個でもよいずされ

おいる。この教科曞では、波線で暙蚘する。

ボックスは日本では高校の物理の授業で䜿

われ、倧孊になるず急に波線に代わるため、

戞惑う孊生もいるようである。海倖の図面

ではボックスが倚甚されおいる。

図 1 抵抗の曞き方

そもそも抵抗抵抗噚は導電性の物質、

䟋えばカヌボンなどの材料に、二察の電極

を付けた構造をしおおり、その物質の䜓積

抵抗率単䜍長さの立方䜓の察する面間の

抵抗をρずしたずきに、党䜓の抵抗 R は、

盎方䜓を考えた堎合、次のように蚈算され

る。

R盎方䜓の長さ

盎方䜓の断面積ρ

抵抗の逆数をアドミッタンス Y ずいい、

その単䜍は Sゞヌメンスでる。

2. オヌムの法則

抵抗 RΩに電流 I[A]が流れるずき

に、その䞡端には電圧 E[V]が発生する。

このずきに、次の比䟋匏が成り立ち、これ

をオヌムの法則ずいう。

𝐞𝑅 ∙ 𝐌

ずなる。ここで芚えおおきたいのは電圧の

向きである。電流が入り蟌む方が、電流

が出おいく方向がずなる。この関係は圓

たり前であるが、混乱する孊生さんがいる

ので、あえお曞いた。なお電圧の発生の向

きを図のような矢印で衚すが、矢印の先が

の電圧ずなる。

䞡端の抵抗が R

S L

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図 電流の向きず発生する電圧の向き

このほか芚えおおきたいのが電力 P の匏

である。抵抗に電流を流すずゞュヌル熱が

発生し、電力消費がおこる。消費された電

力量は単䜍が Jゞュヌルずなるが、単

䜍時間の秒圓たりの電力量が電力であ

り、単䜍は Wワットである。抵抗回路

においおは、次の関係匏がなりた぀。

𝑃𝑅 ∙ 𝐌 𝑉𝑅

3. 盎列抵抗ず䞊列抵抗の蚈算

抵抗が盎列に接続されずきの党抵抗合

成抵抗は各抵抗の総和ずなる。

図 3 盎列抵抗の蚈算

このような堎合、合成抵抗は

𝑅 𝑅 𝑅 𝑅 𝑅 ⋯

ずなる。

䞊列抵抗の堎合、その逆数を足しお、そ

の総和の逆数が合成抵抗になる。

1𝑅

1𝑅

1𝑅

1𝑅

1𝑅

⋯

図 4 䞊列抵抗の蚈算

ここで、いく぀か簡単に蚈算を枈たせる

テクニックを瀺す。

① 二䞊列抵抗

いちいち逆数をずるこずは面倒であり、

少しでも時間の短瞮になるので、芚えおお

こう。

二䞊列抵抗

𝑅

② 同䞀抵抗の匏

同䞀の抵抗倀 R1を持぀抵抗が、個盎

列の堎合、抵抗もその倍ずなる。䞊列の

堎合は 1/n ずなる。

個盎列抵抗

𝑅 n𝑅1

個䞊列抵抗

𝑅𝑅1

n

電流が入る方をプラスず芚える

この匏はそのたた

芚えたしょう

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ここたで読たれお、圓たり前ず思われた

方も倚いず思う。そう思うなら぀ぎの緎習

問題をやっおみおほしい。

䟋題 次の合成抵抗を求めなさい。

解法回路においお、数倀が盎接曞かれお

いる堎合、単䜍の明蚘がなくおも抵抗では

単䜍はΩである。1kΩの堎合は 1k ず曞く

ので慣れおいただきたい。

玠盎に逆数を足し算する方法で䞊列抵抗

を蚈算しおもよいが、蚈算量が倚くなり、

蚈算ミスが懞念される。その堎合、電卓が

ないず暗算になり぀らい。

考え方ずしおは、5Ωを 10Ωの 2 本の䞊

列ず考える。2.5Ωは 4 本、2Ωは 5 本、

Ωは 10 本ず考える。぀たりこれら抵抗は

11Ωの分24510 で合わせ

お、22 本の抵抗が䞊列になっおいるずみ

なし、10/22=5/110.455Ωず蚈算でき

る。これは、芚えおおくず埗するテクニッ

クである。

4. 電圧ず電䜍

耇雑な合成抵抗を蚈算する方法を教授す

る前に、電圧ず電䜍に぀いお説明する。電

圧ずは点間にかかっおいる電䜍差のこず

である。テスタヌでもっお端子間に針を

぀けお、電圧蚈枬モヌドにしお衚瀺される

電圧倀のこずである。電磁気孊では、C

の電荷を、ずある点から目的ずする点に運

ぶのに必芁な゚ネルギヌ芁した仕事

が、目的ずする点ず元の点ず間の電圧ずな

る。

電䜍に぀いお説明する。基準ずなる点

堎所ずしおその郚分の電䜍をれロずし

たずきに、これを電気回路ではアヌス英

語で groundずいう。回路では、次のよ

うな蚘号を䜿う。

巊偎ず右偎の違いであるが、巊偎が装眮䞊

のアヌス、䟋えば筐䜓のアヌスであり、右

偎が地面に萜ずすアヌスずされおいるが、

厳密に䜿い分けされないこずも倚い。

電䜍は、回路におけるアヌスずその点ず

の間の電圧であり、アヌスに察しおその点

がプラスの電圧であれば、プラスの電䜍で

あるずいえる。぀たり、テスタヌの黒棒が

アヌス、赀棒をその点にさし、蚈枬される

電圧が電䜍ずなる。

電気回路では耇雑な回路ほど電䜍を䜿

う。これは、電䜍が分かれば、2 点間の電

圧や電流の向きを迷わずに刀断できるから

である。

䟋題 次の回路における、A、B、C、D

点の電䜍を求めなさい。たた電圧 VCDを求

めなさい。

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解説この回路においお、アヌスのマヌク

が電䜍の基準ずなるので、アヌスで぀なが

っおいる線の党郚が電䜍V である。A 点

では100V の電圧がかけられおおり、A

点の電䜍 VAは 100V である。電䜍 VBは

120V ずなる。電䜍 VCであるが、100Ωの

盎列抵抗に 120V の電圧がかけられおお

り、その半分がそれぞれの 60V にかけら

れおいる。぀たり、アヌスに察しお、

100V の電圧がかけられおおり、VC60V

ずなる。VD100V ずなる。詳しくは次

節で説明

二点間の電圧は、2 点間の電䜍の差にな

る。具䜓的には、枬定点の電䜍―基

準ずみなす点の電䜍になる。

𝑉 𝑉 𝑉 60𝑉

ここでの電圧がでおいるが、D 点に察し

お C 点は 60V だけ䜎い電圧がかかっおい

るずいうこずになる。

少々わかりにくいが、電圧を定矩するず

きに、○○点に察しお、△△点の電圧ずい

う蚀い方をする。これはテスタヌの黒棒が

○○点で、赀棒が△△点ずしお枬った電圧

のこずである。この堎合、図では矢印で、

元が電圧の基準ず矢先が枬定点を衚す。

5. 盎列回路における電圧分割の法則

電気回路は、盎列回路ず䞊列回路の組

み合わせであり、各玠子にかかる電圧を

頻繁に蚈算するこずになる。

図のような回路においお、盎列回路にお

いおは、各玠子にかかる電圧は、印加電

圧×各玠子の抵抗÷党盎列抵抗になる。

数匏で曞くずこのようになる。

𝑉𝐞𝑅

∑ 𝑅

぀たり、盎列回路においお各玠子の電圧

は、各玠子の抵抗の倧きさに比䟋しお配

分されるずいうこずである。埌の章で扱

う、亀流回路の蚈算においおは、䞊蚘の

「各玠子の抵抗」を「各玠子のむンピヌ

ダンス」ず眮き換えおもらっおもよい。

この蚈算を芚えるこずで、いちいち盎列

抵抗に流れる電流を蚈算しなくおよいこ

ずに気付いおほしい。蚈算ミスを枛らす

有効な方法で、ぜひ䜿い慣れおほしい。

䟋題 3 次の回路においお、A 点、B 点の

電䜍を求めよ。

解答

この回路は 20Ωず 10Ωず 70Ωの盎列

回路である。党盎列抵抗は 100Ωである。

70Ωの抵抗に 100V×70/10070V の電圧

がかかり、B 点の電䜍は 70V ずなる。10Ω

の抵抗には、100V×10/10010V の電圧が

かかる。A 点はアヌス点に察しお 7010V

の電圧がかかり、A 点電䜍は 80V ずなる。

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8

䟋題 3 次の回路で 10Ωに流れる電流を蚈

算せよ。

この回路においおも、盎列回路におけ

る電圧分割の法則が䜿える。20Ω2個ず10

Ωの䞊列抵抗郚分は、5Ωの抵抗ずみなせ

る。そこで暗算で党抵抗が、245 で 11

Ωず蚈算できる。䞊列抵抗郚分にかかる

電圧は 100V の 5/11 であるので、A 点の電

䜍は 500/11 V ずなる。10Ωに流れる電流

i は 500/11÷104.55 A ずなる。ここに

瀺すように、この皋床の回路なら、盎列回

路における電圧分割の法則を぀かえば、

暗算で蚈算が可胜ずいうこずである。

6. 䞊列回路における電流分配の法則

䞊列回路に電流が流れるずきには、各

玠子の抵抗むンピヌダンスの逆数に

比䟋しお電流は分配される。蚀い換えれ

ば、各玠子のアドミッタンスに比䟋しお

電流は分配される。次のような 2 玠子で

あれば、R1に分配される電流は次のよう

に蚈算される。

𝐌 𝐌 ∙

1𝑅

1𝑅

1𝑅

𝐌 ∙𝑅

𝑅 𝑅

𝐌 𝐌 ∙

1𝑅

1𝑅

1𝑅

𝐌 ∙𝑅

𝑅 𝑅

この匏は結果だけ芚えおおいおもよ

い。もしたくさんの䞊列回路であれば、

各䞊列の玠子のアドミッタンスを足し合

わせたもので各玠子のアドミッタンスを

割るこずで電流の分配率を蚈算するこず

ができる。

䟋題 5 次の䞊列回路においおΩに流れ

る電流を求めよ。

この堎合、角抵抗のアドミッタンス抵抗

の逆数を足し合わせるず、0.5+0.1+

0.2+1=1.8 S(ゞヌメンス)になる。I11×

1/1.80.556 A ず蚈算される。

7. 電圧源ず電流源

電気回路における電圧源ず電流源に぀い

お説明しおおきたい。電圧源は盎流ず亀流

の蚘号が異なる。亀流のの明瀺である

が、瞬時の電圧や䜍盞を数匏ずしお蚘茉す

る堎合は、䞊䞋どちらを基準ずするかを明

瀺するために぀けられる。定電流源は図の

矢印の通りに電流を出力する。

電圧源(盎流) 電圧源亀流 定電流源



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9

電圧源は、電気回路孊ではその二端子間

に決められた電圧を維持するよう、無限倧

の電流を䟛絊できる胜力があるずしお扱わ

れる。机䞊の話になるが、電圧源を短絡さ

せた堎合、電圧源は∞の電流を流すこずに

なる。

電圧源のむンピヌダンス盎流の堎合は

抵抗であるが、そこを流れる電流が倉化

しおも、䞡端の電圧は垞に䞀定であるの

で、⊿V⊿I はれロずなり、すなわち電

圧源のむンピヌダンスはれロずなる。䞀

方、定電流源のむンピヌダンスは無限倧で

ある。

8. キルヒホッフの法則

1)電流の連続性

抵抗を含む回路玠子が盎列で接続され

おいた時に、そこを通る電流はどの玠子

でも䞀定である。図のような異なる倧き

さの抵抗の盎列においたずきに、どこを

通る電流も䞀定である。抵抗の倧きさは

電流の流れにくさを瀺す指暙であるが、

盎列にしたずきには、どこも流れる電流

は䞀緒である。ただし盎列電流は䞀番流

れにくいずころで支配される。もし、各

玠子で電流が違ったら、玠子の接点で電

荷が溜り、その電荷が匷いクヌロン力で

呚囲の電流の流れに圱響を䞎えお、結果

的にどこも䞀定の電流ずなるように働

く。

2)キルヒホッフの第䞀法則

回路においお、電流が分岐したり

合流したりする接点における電流の

流れ蟌む総和は 0である。

図のように 2 ぀の電流が接点図では

黒点に入り、2 ぀の電流が接点から出

おいく堎合、入っおくる電流をずし、

出おいく電流をマむナスずしお足し合わ

せるずれロになる。぀たり、

I1 + I2 - I3 - I4 = 0

の匏が成り立぀。

2)キルヒホッフの第二法則

閉回路閉ルヌプにおいお、起電力

の総和ず電圧降䞋の総和は等しい。電圧

降䞋は抵抗やコむルなどむンピヌダンス

に電流を流した時に、電流の流れ蟌む偎

に察しお、電流が出おいく偎の電䜍が䞋

がるが、その電䜍の降䞋分のこずを蚀

う。

このような回路の閉ルヌプを考える堎

合は、このやじる方向に電圧を足し合わ

I1

I2

I3

I4

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せおいくず 0 ずなるずいうこずである。

電流の方向が定矩されおいる堎合は、抵

抗では電流の流れ蟌む偎を+ずしおくず

電圧の方向が分かりやすい。぀たり、抵

抗 R1のずこで R1I1だけ電圧が+になるず

考える。R3ず R4の電圧降䞋はマむナスな

ので、マむナスずする。この閉ルヌプで

は次の匏が成り立぀。

R1I1R2I2+E1-R3I2+E2-R4I4 = 0

䟋題 6 次の回路で、電流 I1ず I2、I3を求

めよ。

たず巊ルヌプでキルヒホッフの第二法則

を適甚する。わかりやすいように電流の

向きによる+の郚䜍を各抵抗に振っおい

る。この+ずは実際に定矩した方向ず逆

に電流が流れおいた堎合、実際にはの

電䜍になるが、これは蚈算䞊ずいうだ

けである。

巊ルヌプ

102I13I3  0

右ルヌプ

104I23I3  0

これだけでは 3 ぀ある電流を決定できな

いので、キルヒホッフ第䞀法則を組み入

れる。

I1 + I2  I3

以䞊を 3 ぀の方皋匏を連立方皋匏ずしお

解けばよい。線圢代数の知識のある方は

次の行列方皋匏ずしお、拡倧係数行列を

䜜成し、機械的に解けばよい。

2 0 30 4 31 1 1

𝐌𝐌𝐌

10100

これを解くず次のようになる。

𝐌𝐌𝐌

20 13⁄10 13⁄30 13⁄

぀たり、I120/13 A、I210/13 A、I3

30/13 A ず求めらる。

キルヒホッフの法則は䞇胜であるが、

蚈算が倚少面倒である。回路の䞖界では

この法則を䜿わなくおも簡単な方法がい

く぀かあり、机䞊で蚈算するのであれば

最埌の遞択肢ず考えおほしい。䞀方、電

圧源や玠子の抵抗の倀が数倀で䞎えられ

るのなら、衚蚈算やプログラムを䜿っお

蚈算するこずは簡単である。

9. 耇雑な回路の合成抵抗の蚈算事䟋

発展

ここではいく぀か事䟋をもっお蚈算す

る手段を教授したい。

䟋題 7 同電䜍点は接続したり開攟したり

しおも合成抵抗に圱響しない性質を掻甚し

た事䟋 次の回路の合成抵抗を求めなさい。

ただし䞀぀の抵抗を 10Ωずする。

右 巊

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11

解法このように察照的な抵抗網では、「同

電䜍点を接続しおも合成抵抗に倉化はない」

ずいう性質を䜿う。この回路は巊右察称で

あり、䞡偎の端子に電圧をかけたずきに、䞭

心線を通る接点は電䜍が等しいず考える。

぀たり赀い線の接点を結んでしたう。

たた䞊䞋の察称性を考えた堎合巊右の緑の

郚分も同電䜍になるのでこのように結ぶ。

同電䜍ずしお結んだ接点を考慮しお回路を

曞き盎すず次のようになる。

こちらの回路が巊右察称に接続されおいる

ず考える。

この郚分の抵抗は暗算で 15Ωず求たる。

こちらは10÷2×2で10Ωである。するず、

党抵抗は

102

1

115

115

110

2 18.6 Ω

ず求められる。

䟋題 8 同じような回路がずっず無限に぀

ながっおいる事䟋

図の 10Ωの抵抗が無限に぀ながっおいる

ずきに図の 2 端子間の抵抗を求めよ。

解法䞊の図の点線で回路を切った堎合、

そこから右を芋おも同じ抵抗になる。぀た

り求めようずする端子間の抵抗を R ずした

堎合この回路は次のように曞き換えるこず

ができる。

この回路の合成抵抗は

10 R

ずなり、これを R に等しいずする。これを

解くず、

𝑅 5 5√5 Ω

ず求められる。

䟋題 9 キルヒホッフで合成抵抗を求める

事䟋 図の抵抗の合成抵抗を求めなさい。

ただし抵抗はすべお同じ倀で 1Ωずする。

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12

解法このようによく蚈算が分からな

い回路の抵抗は、実際に䞡端に 1[V]加え

たずしお、各郚分の電流を求めるこず

で、合成抵抗を求めるこずができる。問

題の回路は次のように曞き盎すこずがで

きる。

これで接点方皋匏をたおる。VA点ず VB

点に぀いお、電流のキルヒホッフの第䞀

法則を適甚する。

I1 = I3  I5

I2  I5 = I4

これらの匏は、電䜍 VAず VBを甚いお次

のように曞き換えるこずができる。

こちらの匏は぀ぎの連立方皋匏に垰着す

る。

5𝑉 2𝑉 22𝑉 5𝑉 1

これを解くず、𝑉 、𝑉 ず求めら

れ、各電流はそれぞれ次のようになる。

I13/7A、I2=2/7A、 I3=2/7A I4=3/7A、

I51/7A ず求められる。I1ず I2の総和は

5/7A である。V をかけお 5/7A 流れる

のだから、合成抵抗はその逆数の 7/5Ω

ずなる。

10. 内郚抵抗ず開攟電圧 テブナンの

定理

非線圢性をもたない電気回路におい

お、二端子が圢成されるずきに、その二

端子間は図のように電圧源䞀぀ず内郚抵

抗むンピヌダンスで衚すこずができ

る。この電圧源の倀を開攟電圧ずいう。

これは抵抗回路だけではなく、L や C を

含んだ回路でも成り立぀。

この開攟電圧ず内郚抵抗で衚される回路

は短絡電流源 Iず内郚抵抗で次のよう

に曞き換えるこずができる。

このずきに、

𝐌

の関係がある。この関係は二端子間が同

じ電圧になるようにず考えれば容易に導

くこずができる。このテブナンの定理は、

耇雑な回路網の蚈算行うずき、最倧電力

を䟛絊するための蚈算に非垞に嚁力を発

揮する。ぜひこの節で理解しおいただき

たい。

Voc

Rs

Rs Is

等䟡

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13

1) 開攟電圧 Voc の決め方

二端子間に䜕も぀ながっおいない状態

開攟状態での二端子の電圧を開攟電

圧Vocずいう。Voc は Voltage of open

circuit の略である。もし回路の䞭に耇数

の電圧源、電流源がある堎合、重ね合わせ

おの原理で解く。䟋題 11 を参考にしおほ

しい。

2)内郚抵抗の求め方

二端子間が぀ながっおいる回路網にお

いお、①電圧源は短絡させ、②電流源は開

攟ずしお蚈算される二端子間の抵抗む

ンピヌダンスが内郚抵抗内郚むンピヌ

ダンスずなる。内郚抵抗の暙蚘に Rs が

しばしば甚いられるが、これは盎列抵抗

(Series Resistance)を意味する。

䟋題 10 次の回路を䞀぀の電圧源ず抵抗、

たた䞀぀の電流源ず抵抗を甚いお衚せ。

解法たず二端子の Voc を求める。R3には

党く電流が流れおいないので、A 点の電䜍

は R1ず R2の接点ず同電䜍になる。この点

の電䜍は、電圧分割の法則から求め、開攟

電圧 Voc は次のようになる。

𝑉 𝐞

぀ぎに内郚抵抗 Rs であるが、電圧源 E0を

短絡させお、二端子間のむンピヌダンス

を求める。

この䞡端の抵抗が内郚むンピヌダンス Rs

ずなる。

𝑅 𝑅

でずなる。この第二項は、R1 ず R2 の䞊列

抵抗である。この結果は぀ぎのように曞

くこずができる。

この回路は぀ぎのように曞き換えるこず

ができる。

このずきに、Isは次のようになる。

𝐌

䟋題 11 重ね合わせの原理を䜿っお解く

方法

耇数の電源ず電流源が混圚する堎合

A

B

𝑅 𝑅𝑅 𝑅𝑅 𝑅

𝑉

𝐞 𝑅𝑅 𝑅

Rs Is

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14

解法

開攟電圧をもずめるには、重ね合わせの

原理を䜿う。具䜓的には、䞀぀の電源のみを

生かし、他を殺しおそのずきの開攟電圧を

求めるこずを党郚の電源に぀いお行い、そ

れぞれの開攟電圧の総和をこの回路の開攟

電圧ずする。電源を殺すずいうのは物隒な

蚀葉であるが、よく䜿われる蚀葉で、電圧源

は短絡、電流源は開攟するずいう意味であ

る。順序通り求めおいこう。

1) E0を生かし、J は開攟、Eは短絡

この時の開攟電圧は、 である。

2) J を生かし、E0ず Eは短絡

このずきは、J は R2のみ流れるので、開

攟電圧は JRずなる。

3) E2を生かし、E0は短絡、J は開攟

この堎合 E2 の電圧が二端子間にその

たた出おくるので、開攟電圧は Eずなる。

以䞊の結果より 1)3)の総和が実際の

開攟電圧になる。Voc は JR 𝐞 ず

なる。

短絡電流は、すべおの電源を殺しお、二

端子のむンピヌダンスを求めればよい。

すなわち E0ず Eは短絡、J は開攟ずする

ず、𝑅 𝑅 ずなる。等䟡回路は䟋

題 10 に瀺した通りになる。

テブナンの定理を䜿った問題を章末に

掲茉するので、ぜひ䜿いなれおほしい。

11. 電力䟛絊最倧の法則

前節で説明したように、電源を含む線

圢回路網からなる二端子は、たった䞀぀

電圧源ず内郚抵抗で衚すこずができる。

ここで、この二端子に抵抗からなる負荷

抵抗 RL を付けたずきに、RL での消費電力

PL を蚈算しお、二端子回路網からずれる

電力が最倧ずなる条件を求めおみよう。

RL にかかる電圧ず流れる電流の積にな

るので、

𝑃

ずなる。この匏を倉圢するず、

𝑃𝐞

𝑅𝑅 2𝑅 𝑅

ずなる。盞加平均≧盞乗平均ずする性質

から𝑅𝑅 𝑅 の最小倀は2 𝑅

𝑅 𝑅 

2Rずなり、それがなりた぀のは𝑅 𝑅 ず

いうこずになる。぀たり分母が最小ずい

うこずで、PLは最倧になる。

぀たり、二端子回路網から最倧の電力

を取り出す最倧電力䟛絊条件は、内郚抵

抗ず同じ負荷を぀ないだ時ずいうこずに

なる。

盞加平均盞乗平均 2 ぀の実数 x、yx>0、

y>0がある。 𝑥 𝑊 2⁄ 𝑥𝑊が成り立ち、

等号が成り立぀のは x= y のずきである。