平成29年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) - jpo.go.jp...平成29年度...

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平成29年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 食品用紙器 平成30年2月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線:2155)

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平成29年度

特許出願技術動向調査報告書(概要)

食品用紙器

平成30年2月

特 許 庁

問い合わせ先

特許庁総務部企画調査課 知財動向班

電話:03-3581-1101(内線:2155)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第1章 調査概要

第1節 食品用紙器の背景

今や世界の人口は 70 億人、その中で 8 人に 1 人が飢餓に苦しんでいる時に、世界全体

では毎年、生産食料の 3 分の 1 に相当する 13 億トンの食品ロス、廃棄が発生していると

いう。どんな食品でも容易に手に入る先進国では、店先の棚はいつも満杯で新鮮な食べ

物であふれている。そこでは、消費・賞味期限間近の食品は棚から下ろされ、返品され

たり廃棄されたりしている。その一方で、未開発国や発展途上国では畑から収穫された

青果物が適切な輸送や保管手段、あるいは加工、保存、包装の技術がないため消費地に

届かず廃棄されている。このように食べられるのに廃棄されている食品の量は膨大な量

になっている。我が国を例にしても、カロリーベースの食品自給率が先進国では最低の

40%未満にもかかわらず、生産から小売の間並びに消費段階に捨てられるものの総計が

年間 500 万トンから 800 万トンといわれている1。食品ロス・廃棄問題の解決に向けて国

連食糧農業機関(FAO)は、2011 年に SAVE FOOD Initiative を立ち上げている。そのよ

うな状況の中で食品ロスに対する解決方法の一つとして包装の役割がますます重要にな

ってきている。

一般に包装容器といっても、材質の違いによりプラスチック容器、金属製容器、ガラ

ス容器、紙製容器と非常に幅広い素材が利用されている。また、包まれる食品が、品質・

特性的に大きく異なる農産物、畜産物、水産物、林産物とそれらの加工品であることか

ら、それらに対応した品質保持特性が包装資材に求められる。さらには、食品を利用す

るときの簡便性・快適性、包装資材で食品を包装するときの包装機械の要求、廃棄・再

利用する際の適性などを合わせて包装資材が作られている。これらの中で、最も広く、

多く、包装用として使われているものに紙製容器(紙器)がある。

本調査では、食品用紙器について、国内外の特許動向等を分析することで技術開発動

向や技術競争力、産業競争力を明らかにすることを目的とする。あわせて、我が国の企

業等がグローバルなビジネス展開を行う際に必要な競争力向上を図るために、食品用紙

器の事業に取り組む際の課題を整理し、今後目指すべき研究開発・知財戦略の方向性を

明らかにすることを目的にする。

第2節 本調査で対象とする食品用紙器の技術俯瞰

食品用紙器は紙で作った容器の総称ではっきりした定義はないが、本調査では、「食品

用紙器」とは、飲食物を収容する紙製の容器で、紙単独、又はその目的、用途に応じて

金属や樹脂を複合的に用いて器を形成して内容物保護機能などを有する容器とする。紙

製の容器(紙器)を一般的に定義すると「素材は板紙のようなある程度の厚さをもった

紙を主として、その目的、用途に応じて金属や樹脂を補助的に用いて箱状(器)に形成

し、かつ内容物保護などの機能をも有する容器」(食品包装便覧より)となる。今回の調

査では茶などのティーバッグを包む紙袋や揚げ物などを入れる紙袋なども対象として含

めることとする。代表的な食品用紙器としては、紙コップ、飲料用紙パック、牛乳パッ

ク、弁当箱、菓子箱、食品用トレイ、飲食料品輸送用段ボール箱等が挙げられる。食品

1 農林水産省食料産業局資料(平成 21 年度)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

素材(材質)の決定企画(デザインなど) 特殊処理

製版 印刷 コーティング 打抜き 製函

ユーザー組立て・充填

食品用紙器の種類(例)

要素技術

・固形食品用

容器

・液状食品用

容器

食品用紙器の解決・手段

・素材の改良(原紙の加工、複合紙の素材など)

・製造法の改良(製版・印刷、打抜き、製函、

充填、封緘・包装など)

・紙器の改善(紙器構造、機能化など)

紙器の特長

・無味、無臭で衛生的である

・再生及び廃棄性が良い

・印刷適性に優れる

・大量生産、自動包装適性が高い

・紙以外の他素材との複合化が容易

・温度変化に対し幅広い包装適性

・接着適性に優れる

・他の素材に比べソフト感、温かさがある

など紙器の一般的製造方法

食品用紙器の課題・目的

・保護性(物理的強度、遮断性など)

・便利性(軽量化、操作性など)

・経済性(製造コスト、生産性など)

・商品性(外観性、衛生性など)

・作業性(包装作業性など)

・環境保全性(容器解体性など)

応用産業

食料品製造業 飲料製造業 パルプ、紙、紙加工業 印刷・デザイン業 包装機械産業

プラスチック製品製造業 窯業、土石製品製造業

運送・倉庫業

非鉄金属製造業 飲食料小売業 宿泊業、飲食サービス業

食品用紙器は、SAVE FOOD(食べられるのに廃棄されている食品ロス削減)などの社会的要求や少子・高齢化、

安全安心の意識の高まりなど社会環境の変化に対応した市場ニーズに応えられる製品開発が求められている

食品用紙器の役割

・おいしさなど食品の品質を保つ役割

・流通時や使用時取扱いを便利にする役割

・情報提供と販売促進の役割など

食品用紙器の定義:飲食物を収容する紙製の容器で、紙単独、又はその目的、用途に応じて金属や樹脂を複合的に用い

て器を形成して内容物保護機能などを有する容器

用紙器の要素技術として固体食品用容器と液状食品用容器が挙げられる。食品用紙器の

技術俯瞰図を図 1-1 に示した。

図 1-1 食品用紙器の技術俯瞰図

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

食品

39%

出版・書籍、

商業印刷

14%

医薬品、化

粧品、洗剤

11%

日用品

6%

ティッシュ

5%

文具、事務

用品

5%

その他

20%

0

500

1,000

1,500

2,000

2014 2015 2016(見込)

国内生産量、需要量

国内生産量

需要量

(年)

(千トン)

第2章 市場環境調査

第1節 食品用紙器の市場動向

1.国内市場動向

(1)紙器の国内市場動向と国内紙器シェア

液状食品用紙器や飲料及び食品用紙カップを除いた紙器の国内市場は、全体として

は基本的に飽和状態にある。したがって、容器市場については食品の多様化などで個

数ベースでの増加要因はあるものの、各製品で容量軽量化が進められているため重量

ベースでの市場トータルではおおむね微減傾向で推移すると予想されている。

液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の国内市場推移を図 2-1 に示

した。2016 年は、需要量は前年比 0.6%減の 170 万トンへ減少推移で続く見込みであ

る。

図 2-1 液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の国内市場推移

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の国内市場の用途別需要比率

を図 2-2 に示した。紙器全体の中で食品用途は 39%を占めている。2010 年以降この比

率は大きくは変わっていない。

図 2-2 液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の用途別国内需要比率(2016 年見込)

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

凸版印刷

20%

大日本印刷

20%

日本製紙

6%王子

パッケージング

3%

朝日印刷

2%

その他

49%

0

100

200

300

400

500

2014 2015 2016(見込)

国内生産量、需要量

国内生産量

需要量

(年)

(千トン)

液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の国内市場のシェアを図 2-3

に示した。凸版印刷と大日本印刷は 2014 年、2015 年及び 2016 年と両社肩を並べて同

率トップであった。上位 5 社の顔ぶれはここ何年も変わらないが、市場参入している

紙器メーカーの数が非常に多く、上位 5 社の市場カバー率は比較的低い。2016 年は 5

社合計の市場占有率は 51%と推定され、僅かに過半数になっている。

図 2-3 液状食品用紙器や飲料・食品用紙カップを除いた紙器の国内市場のシェア(2016 年見込)

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

(2)液状食品用紙器の国内市場動向と国内シェア

液状食品用紙器の国内市場推移を図 2-4 に示した。国内生産量と国内需要量がほぼ

一致しており典型的な地産地消の産業である。2016 年の国内市場規模は、前年比横ば

いの 30 万 4 千トンの見込みであり、今後も横ばいでの推移が有力視されている。パッ

ケージ間の競合において環境への配慮などが加味されることから、紙容器の微増推移

も可能と見られて久しいが 2016 年もそれが形になって表れていない。

図 2-4 液状食品用紙器の国内市場推移

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本

テトラパック

40%

日本製紙

29%

凸版印刷

10%

大日本印刷

10%

石塚硝子

6%

その他

5%

0

500

1,000

1,500

2,000

2014 2015 2016(見込)

国内生産量、需要量

国内生産量

需要量

(年)

(千万個)

液状食品用容器の国内シェアを図 2-5 に示した。図 2-3 と違い上位メーカーの市場

占有率は高く上位 2 社合計で市場シェアは 69%である。

図 2-5 液状食品用紙器の国内シェア(2016 年見込)

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

(3)飲料・食品用紙カップの国内市場動向と国内シェア

紙カップは、1950 年頃に冷菓の容器として採用され、以降、飲料用、ヨーグルト、

納豆と採用領域を拡大してきた。紙カップ(主に食品用)は、流通、使用時の温度に

よって低温流通用カップ、常温流通用カップ、断熱紙カップ、乾燥食品用紙カップと

いった種類があり、それぞれ異なる構造をしている。飲料・食品用紙カップの国内市

場推移を図 2-6 に示した。液状食品用紙器市場と同様に国内生産量と国内需要量がほ

ぼ一致している。

図 2-6 飲料・食品用紙カップの国内市場推移

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

東罐興業

57%

日本デキシー

28%

大日本印刷

8%

四国化工機

4%

凸版印刷

2%王子

パッケージング

1%

0

5,000

10,000

15,000

2014 2015 2016(見込)

国内生産量、需要量

国内生産量

需要量

(年)

(百万m2)

飲料・食品用紙カップの国内シェアを図 2-7 に示した。東罐興業が 57%のシェアを保

持し、次いで日本デキシーが続いている。両社で 85%の国内シェアを押さえている。

図 2-7 飲料・食品用紙カップの国内シェア(2016 年見込)

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

(4)段ボールの国内市場動向と国内シェア

段ボール全体の国内生産量と国内需要量の推移を図 2-8 に示した。液状食品用紙器

市場などと同様に国内生産量と国内需要量がほぼ一致している。段ボール国内市場規

模は、ほぼ横ばいであるが僅かながらもプラス推移で継続してきた。需要分野の中で

加工食品や通販、宅配需要などが増加分を牽引してきたからである。

図 2-8 段ボールの国内市場推移

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

段ボール全体の国内販売量メーカーシェアを図 2-9 に示した。レンゴーグループが

業界トップで、次いで王子グループが続いている。上位 6 社の市場占有率は、68%で

比較的高い。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

レンゴー

グループ

29%

王子グループ

13%

森紙業グループ

10%

トーモク

グループ

6%

大王製紙

グループ

5%

日本トーカン

パッケージ

5%

その他

32%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

2015 2020(予測)

市場規模

その他

金属

ガラス

紙、板紙

硬質プラスチック

軟質プラスチック

(年)

(億ドル)

図 2-9 段ボールの国内販売量メーカーシェア(2016 年見込)

出典:日本経済綜合研究センター、包装資材シェア事典、2016 年度

2.世界市場動向

(1)包装全体の世界市場動向

世界の包装産業の原材料別市場推移を図 2-10 に示した。2010 年以降の世界の市場

は約 4.2%で成長している。今後「世界の包装資材産業の発展の原動力は発展途上国

及び新興工業国家の人口増と経済発展による包装需要の増加にある」とのことであり、

米国の包装資材産業は既に飽和状態であるが、中国の成長が著しく板紙は 2015 年には

中国が世界最大の市場になっている。2020 年には世界の消費の 1/4 を占めると見られ

ている。次いで、インド、韓国などが伸長すると予想されている。

図 2-10 包装産業の原材料別世界市場推移

出典:http://www.smitherspira.com/resources/2016/february/global-packaging-material-outlooks

(2017 年 6 月)

(2)液状食品用紙器の世界市場動向

液状食品用紙器の世界市場推移を図 2-11 に示した。2015 年における液状食品用紙

器の世界市場は 121 億ドルであった。今後、2016 年から 2022 年にかけて 4.8%の年平

均成長率で市場が拡大すると見られている。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

0

50

100

150

200

2015 2022(予測)

市場規模

(年)

(億ドル)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

2017(見込) 2021(予測)

需要量

(年)

(千トン)

図 2-11 液状食品用紙器の世界市場推移

出典:http://www.prnewswire.com/news-releases/liquid-packaging-carton-market-is-expected-to-

reach-16768-million-globally-by-2022---allied-market-research-617322413.html(2017 年 6 月)

(3)飲料・食品用紙カップの世界市場動向

飲料・食品用紙カップの世界市場推移を図 2-12 に示した。飲料・食品用紙カップは

2021 年まで年平均 2~3%で成長するものと予想している。地域別では、北米が世界の

全消費量のほぼ 1/3 のシェアを占めている。これは紙カップの便利さとともに衛生に

対して高い意識の消費者が多いためと考えられる。米国に次いで、中国、中国以外の

アジア、南米、西欧などがこれに続いている。飲料・食品用紙カップの世界的なメー

カーとして、Benders Paper Cups(イギリス)、Dart Container(米国)、Dixie and Go-Pak

(イギリス)、Huhtamaki(フィンランド)、International Paper(米国)などがある。

図 2-12 飲料・食品用紙カップの世界市場推移

出典:http://www.businesswire.com/news/home/20170320005639/en/Global-Paper-Cups-Containers

-Market---Drivers(2017 年 9 月)などを基に三菱ケミカルリサーチで作成

(4)段ボールの世界市場動向

段ボールの世界の地域別市場推移を図 2-13 に示した。全世界で 2012 年から 2016

年にかけて年平均 3.7%で成長している。アジアでの需要量が最も多く、しかも高い

成長率で増加している。段ボールの市場は、GDP(国内総生産)や経済の発展に連動す

るといわれており、これまで長い間米国がトップであったが、中国経済の急成長によ

りトップが入れ替わった。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

アジア 欧州 北米 中南米 アフリカ/

オセアニア

需要量

2015 2016

(億m2)

0 5 10 15

理文造紙(中国)

Smurfit Kappa(アイルランド)

West Rock(米国)

玖龍紙業(中国)

International Paper(米国)

生産量

(百万トン)

主要メーカー

図 2-13 段ボールの世界の地域別市場推移

出典:国際段ボール協会(International Corrugated Cases Association)(2017 年 7 月)

世界の段ボール主要メーカーの生産量を図 2-14 に示した。段ボール業界の世界ラン

キング 1 位は、International Paper で、世界の生産量の約 8%を占める。段ボールメ

ーカーのトップ 10 の生産量の総計は、世界の生産量の約 35%に相当する。

図 2-14 世界の段ボール主要メーカーの生産量(2012 年)

出典:FisherSolve 4Q2012(2017 年 7 月)などを基に三菱ケミカルリサーチで作成

3.日本企業の海外展開

食品用紙器産業の国内市場の伸びは今後、徐々に成熟感が増してくることが想定され

るが、世界市場全体としては、依然として成長産業といえる。したがって、国内の食品

用紙器メーカーも海外展開を含めて今後の事業戦略を考えざるを得ない状況にある。日

本紙器メーカーの最近の海外進出例を表 2-1 に示した。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

生産量

飲用牛乳

加工乳

(年)

(千kl)

表 2-1 日本紙器メーカーの最近の海外進出例 日本メーカー 提携会社 内容 発表年

凸版印刷 タイの合弁会社サイアムトッパンに高水準の衛生管理が

可能な紙器製造ラインを設置して本格稼働予定

2012

凸版印刷 上海普麗盛包装股份公司(中国) カートン成型・充填機の生産・販売で業務提携し、紙製

飲料容器を販売予定

2013

東罐興業 永吉興實股份公司及び商旭国際

商社股份公司(台湾)

台湾メーカーと合弁会社、台湾東罐股份公司を設立し飲

料用紙コップを製造販売

2015

王子グループ Oji Myanmar Packaging(ミャンマー)にて軟包装及び紙コ

ップ事業を開始予定

2016

四国化工機 食品充填機の販売目的でタイに現地法人 Shikoku

Kakoki を設立

2016

レンゴー タイ SCG レンゴーと SCG の合弁会社がベトナムの段ボール原紙

工場の生産能力を倍増させた

2016

日本製紙グループ Plus Paper Foodpac(インド) インド最大の紙カップメーカーを買収し、飲料及び食品用

紙器分野に参入

2017

日本製紙グループ Viet Hoa My Service Trading

Production(ベトナム)

紙カップメーカーViet Hoa My と 65 対 35 の JV を設立。

2017 年より操業開始

2017

王子グループ マレーシアで段ボール原紙の新工場を計画。2010 年に

マレーシアの段ボール箱加工大手の GSPP を買収して段

ボール関連で東南アジアとインドに 21 拠点を持つ

2017

出典:ニュースリリースを基に三菱ケミカルリサーチが作成

第2節 食品用紙器の応用産業の市場動向

1.牛乳・乳製品の市場動向

牛乳、乳製品の国内生産量推移を図 2-15 に示した。液状食品用紙器の主力用途先であ

る牛乳類の生産量は低下傾向が続いており回復の様相が見えない。2015 年における牛乳

の容器別生産量によると 85%以上が紙製容器で占められている。

図 2-15 牛乳、乳製品の生産量推移

出典:牛乳乳製品統計基礎調査(平成 27 年)農林水産省

2.清涼飲料の市場動向

清涼飲料の容器別国内生産量推移を図 2-16に示した。2015年において PET飲料 70.9%、

缶詰飲料 16.0%、紙容器飲料 8.5%、びん詰飲料 1.4%、その他 3.1%のシェアであった。

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要約

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資料編

第6部

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2010 2011 2012 2013 2014 2015

生産量

PET飲料

缶詰飲料

紙容器飲料

びん詰飲料

その他

(年)

(千kl)

0

500

1,000

1,500

2,000

2004 2009 2012 2013 2014

消費量

焼酎

清酒(含合成清酒)

(年)

(千kl)

図 2-16 清涼飲料の容器別生産量推移

出典:(一社)全国清涼飲料連合会

3.酒類の市場動向

酒類の国内消費量推移を図 2-17 に示した。清酒と焼酎の合計の消費量は減少し続けて

いる。特に清酒の減少傾向が大きいことが分かる。日本酒の国内出荷量は、過去のピー

ク時には 170 万 kl を超えていたが、他のアルコール飲料との競合などにより、現在は

60 万 kl を割り込む水準まで減少した。

図 2-17 酒類の消費量推移

出典:https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2016/index.htm

(2017 年 7 月)

4.菓子類の市場動向

菓子類の国内生産量及び生産金額推移を図 2-18 に示した。菓子には飴菓子、チョコレ

ート、ガム、スナック菓子、米菓、油菓子などが含まれる。生産量及び生産金額とも僅

かな増加傾向が認められる。生産金額で最も大きいのは和生菓子で、チョコレート、洋

生菓子、スナック菓子と続いている。特に後者の三つの伸び率が高い。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

0

100

200

300

400

500

600

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

生産数量

生タイプ

カップめん

袋めん

(年)

(千万食)

0

10,000

20,000

30,000

40,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2011 2012 2013 2014 2015

生産金額

生産量

生産量

生産金額

(年)

(千トン) (億円)

図 2-18 菓子類の生産量及び生産金額推移

出典:全日本菓子協会

5. インスタント麺の市場動向

インスタント麺の国内生産量推移を図 2-19 に示した。2014 年頃までほほ横ばいで推

移していたが、その後微増傾向が見られている。袋麺とカップ麺の生産比率は開く傾向

にある。2014 年における市場規模は 5,331 億円であった。

図 2-19 インスタント麺の生産量推移

出典:(一社)日本即席食品工業協会

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 各国の GDP 及び人口動向

食品や飲料の消費量は、一人当たりの消費は大きく変わらないので人口が増加する地域

で増加するものと期待される。消費量の増加に伴いそれを包装する包装資材の需要増が期

待される。同時に生活水準の上昇とともに食生活が改善され、また流通網も整備される発

展途上国では包装資材の需要が今後増大するものと予想される。

そのような観点から、各国の GDP 動向及び人口動向を調査した。

名目 GDPの国別ランキングと一人当たりの GDPを表 2-2に示した。一人当たりの GDPは、

中国、メキシコ、タイ、マレーシア及びフィリピンは先進国に比べて少なく、今後とも食

品用紙器の需要が期待できる地域と考えられる。

表 2-2 名目 GDP の国別ランキングと一人当たりの GDP(2015 年) 世界の順位 国名 名目 GDP(百万$) 一人当たりの GDP($)

1 米国 18,036,650 56,054

2 中国 11,181,556 8,109

3 日本 4,124,211 34,629

4 ドイツ 3,365,293 41,682

5 イギリス 2,858,482 44,162

6 フランス 2,420,163 36,304

8 イタリア 1,815,759 30,462

11 韓国 1,377,873 27,397

14 スペイン 1,199,715 25,864

15 メキシコ 1,143,796 8,981

17 オランダ 750,696 44,332

19 スイス 664,005 80,831

22 台湾 523,006 22,294

27 タイ 395,297 5,815

36 マレーシア 296,284 9,768

39 フィリピン 292,451 2,904

出典:IMF 統計

同様に、世界の人口の国別ランキングと人口増加率を表 2-3 に示した。今後、人口増

加が期待されるのは、メキシコ、フィリピン、トルコ、マレーシア及び台湾などである。

表 2-3 世界の人口の国別ランキングと人口増加率 世界の順位 国名 人口(千人) 人口増加率(%)

1 中国 1,376,049 0.49

3 米国 321,774 0.72

10 メキシコ 127,017 1.22

11 日本 126,573 -0.18

12 フィリピン 100,699 2.04

16 ドイツ 80,689 0.24

18 トルコ 78,666 1.26

20 タイ 67,959 0.34

21 イギリス 64,716 0.63

22 フランス 64,395 0.53

23 イタリア 59,798 0.49

27 韓国 50,293 0.43

44 マレーシア 30,331 1.62

54 台湾 23,381 2.03

出典:国連統計

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資料編

第6部

第3章 政策動向調査

第1節 食品用紙器に関連する法律

食品用紙器に関係する国内の法律は、食品衛生法、日本農林規格(JAS 法:品質表示

基準)、健康増進法、食品表示法、計量法、酒税法、消防法、製造物責任法(PL 法)、知

的財産基本法(特許・商標・意匠)、景品表示法、資源有効利用促進法、容器包装リサイ

クル法、日本工業規格(JIS)などがある。食品衛生法については第2節に記載した。そ

れ以外の食品用紙器に直接関係すると思われる日本工業規格、容器包装リサイクル及び

知的財産基本法に関する法律について本節に整理した。特に、容器包装リサイクルに関

する法律については、海外の状況についても調査した。

1.日本工業規格(JIS)

包装とは、JIS Z0101(包装の定義)及び JIS Z0108(包装用語)に「物品の輸送、保

管、取引、又は使用などにあたって価値及び状態を保護するために適切な材料、容器な

どを施す技術及びその状態をいい、これを個装、内装及び外装の 3 種に分ける。」とあっ

て流通過程において価値及び状態の低下を来さないようにすることを定めている。包装

材料の品質を評価する試験法として規定されている規格は少なく、用途別、材料別の規

格が JIS 規格などに定められているにすぎない。

JIS規格が規定されている食品包装用柔軟材包装紙材料と試験項目を表 3-1に示した。

表 3-1 食品包装用柔軟材包装紙材料と試験項目

JIS Z1520 Z1514 Z1515 Z1520

名称 パラフィン紙 ポリエチレン加工紙 塩化ビニリデン加工紙 貼り合せアルミニウム

厚さ ○

塗布率 ○

坪量 ○

引張強さ ○ ○ ○

引裂強さ ○

破裂強さ ○ ○ ○

ヒートシール強さ

透湿度 ○ ○ ○ ○

不透明度 ○

耐ブロッキング度

○ ○

耐寒度

○ ○

油脂透過度

平滑度 ○

凝固点 ○

○は適用される試験項目を示す

このほかに食品衛生法に基づく容器包装の強度等の測定法が規定されている。厚生省

告示第 20 号(昭和 57 年)の食品用容器包装の用途別規格で強度等試験法が規定され、

乳等の容器包装として厚生省令第 17 号(昭和 54 年)及び厚生省令第 35 号(昭和 58 年)

で強度試験が規定され、また漬物の容器包装は環食第 214 号(昭和 56 年)で強度試験が

規定されている。

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資料編

第6部

特許権

包装技法(新規な無菌充填技術等)

加工技術(新規な接着技術等)

意匠権

包装のデザイン(形状、模様、

色彩の美的創作の場合)

商標権

ブランド名、ロゴマーク等

特許権又は実用新案権

機能を持つ形状、構造

(注ぎ口の工夫等)

著作権

包装の図柄が著作物

(文化的創作物)の場合

飲料用カートンに関係する知的財産権

2015 年 5 月、容器包装の環境配慮に関する日本工業規格(JIS Z 0130 -1~3)が新た

に制定された。この規格は、容器包装環境負荷低減ための手法やその評価の客観的な基

準となるものである。容器包装のリデュースについては、容器包装に求められる機能を

満足した上で材料の質量や容積最小化、それを保証するための要求事項や手順が規定さ

れている。

2.容器包装リサイクルに関する法律

世界各国の容器包装リサイクルに関する法律についての現状を表 3-2 に整理した。

表 3-2 世界各国の容器包装リサイクルに関する法律 国 内容

日本 1995 年に廃棄物の減量化を図るとともに資源の有効利用を図るため制定され、1997 年から本格施行され

た。さらに、2006 年には改正容器包装リサイクル法が公布された。見直しの基本方向は、①容器包装廃棄物

の 3R の推進、②リサイクルに要する社会全体のコストの効率化、③国・自治体・事業者・国民等すべての関

係者の連携が挙げられている

米国 米国では、国土が広大なこともあって一般廃棄物の大半が埋め立て処分されている。連邦の一般廃棄物処

理を含む廃棄物処理対策については、連邦環境保護庁(EPA;1970 年設置)に責任が課されている。廃棄物

処理に関しては、基本的には州政府や地方団体が行うこととされているため、各州が固形廃棄物(一般廃棄

物を含む)処理に関する法律を定めている

欧州 1994 年に包装廃棄物による環境汚染の抑制及び防止を目的として、包装及び包装廃棄物に関する欧州議

会及び理事会指令が制定された。同指令では、リカバリー、リサイクルについての目標レベルを設定した上

で、加盟国に対して目標の設定及び必要な措置を講じるための国内法制化を求めている。また、同指令で

は、含有重金属の制限、マーキング・識別制度などについて定められている他、リサイクル手法として、エネ

ルギーリカバリーよりもリユース及びリサイクルを優先させることが明記されている

中国 リサイクルに係わる基本法として資源総合利用の展開に関する暫定規定(1985 年)があり、その個別法として

包装資源リサイクル暫定管理規則(1998 年)がある。日本のような容器包装、建築廃棄物、食品廃棄物のリ

サイクル規制は未整備のままである

韓国 資源節約とリサイクル促進に関する法の基本法の下に包装及び包装廃棄物管理制度が 1993 年に施行され

ている。2013 年の法改正により、既存の包装材再活用事業を担当していた六つの包装材料活用協会が統廃

合されて、韓国包装材再活用事業共済組合及び韓国循環資源流通支援センター(KORA)が設立された

台湾 容器包装リサイクルに関する個別法はない。台湾の廃棄物処理は、1974 年に制定された「廃棄物清理法」に

基づいて実施されている。1988 年に廃棄物清理法が改正され、リサイクル可能な品目のリストが交付され、

それらの品目の製造・輸入・販売業者に対して回収・リサイクル義務が課せられた

タイ、マレーシア、

フィリピン

リサイクルに関わる法律はまだ整備できていない

メキシコ 現状は廃棄物の 96.7%が埋立て処分されており、リサイクルに関わる法律はまだ整備されていない

3.知的財産基本法(特許・商標・意匠)

容器包装では、特許権、実用新案権、意匠権、商標権が関係する。牛乳用カートンを

例にとり関係する知的財産権の例を図 3-1 に示した。

図 3-1 牛乳用カートンに関係する知的財産権

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第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 食品用紙器に関係する安全法規

各国の食品用紙器に関する安全法規の制度と規格対象、試験方法を表 3-3 に整理した。

表 3-3 各国の食品用紙器に関する安全法規と規格対象 国 制度、内容など 規格対象、試験方法など

日本 日本の法規制の基本となるのは、1947 年に制定された食品衛生法

であり、現在まで何度かの改正を経ている。この食品衛生法の中に

包装に関する条項がある。乳及び乳製品と一般食品の二つの食品

群に分けて規制されている。一般食品の規制対象は、ほとんどが「器

具及び容器包装」であり合成樹脂に関しての原料樹脂や添加剤等

の原材料の規制はほとんどないのが現状である。原材料の安全基

準は国の法律ではなく、関連衛生業界団体が制定する自主基準(規

格)により規定されているのが現状である

紙自体は食品衛生法にはなく、業界の自主基準

の対象である。厚生省告示第 370 号にはガラス

製、合成樹脂製、ゴム製、金属缶に四つの材料別

規格がある。材料別規格の主体は、4 材料とも重

金属の規制(材質試験)と溶質物の規制(溶出試

験)である

米国 米 国 の 食 品 用 容 器 包 装 の 法 律 は 「 連 邦 食 品 医 薬 品 化 粧 法 」

(FFDCA:Federal Food, Drug and Cosmetic Act)であり、容器包装の

原材料は「間接食品添加物」として規格化されている。認定物質や規

格などの施行規則に関しては「連邦規則集」の中の、タイトル 21

(Food and Drugs)に規定されている

食品包装材料の構成成分として意図的に使用さ

れるものは食品接触物質(FCM:Food Contact

Material)と呼ばれ、紙及 び板 紙 の成分 、ポリマ

ー、接着剤及びコーティングの成分、添加剤など

がポジティブリスト(PL)方式で規定されている

欧州 欧州において、安全性評価は欧州委員会の下部組織である欧州食

品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)が担当してい

る。EFSA は評価結果を欧州委員会に答申し、欧州委員会はこれを

受けて EC 指令か EU 法を公布する仕組みである。そのほかに欧州各

国は、いずれも独自の食品包装関連の法律を規定している

規制の対象は食品接触物質(FCM:Food Contact

Material)と呼ばれ、プラスチック、接着剤、印刷イ

ンキ、コーティング材、ゴム、紙、シリコーンなどの

17 材料が挙げられている。現在までの審議はプラ

スチックが主体である。プラスチックに関しては基

本的に二つの規制内容になっている。①総移行量

規制:材料及び製品から食品への移行物総量、

②PL:使用が認可された物質のリスト。現在約

1,000 物質が収録

中国 中国における食品安全国家規格は強制執行基準であり、国務院衛

生行政部門、すなわち NHFPC(National Health and Family Planning

Commission:国家衛生計画出産委員会)により制定、公布され、国

務院標準化行政部門が国家規格コード(GB 規格コード:GB(Guo Jia

Biaozhun))を提供し、食品安全国家基準審査委員会の審査を得て

公表される。食品関連の GB 規格の例として、GB2760「食品添加物

の使用に関する国家食品安全基準」、GB7718「包装食品表示に適

用される原則の国家食品安全規格」などがある

食品接触用プラスチックにおいて原料樹脂の使用

量制限に特定移行量制限値(SML)を採用するこ

と、容器包装の規格として総移行量を採用するこ

と、また、サプライチェーンでの安全情報を伝達す

る規定など EU 規則の考えを採用している。過マン

ガン酸カリウム消費量や重金属(鉛換算)量など

理化学指標なども EU 規格を採用している

韓国 日本と同じ名称の食品衛生法(Food Sanitation Law)がある。器具及

び容器包装の基準規格が「食品公典」として定められている。一般基

準、共通製造基準、用途別規格、材質別規格及び一般試験法の 5

項目から構成されており、材質別規格として 8 種類の材料がある

材料別規格として合成樹脂、ガラス、ゴム、金属、

セロハン、紙、デンプン及び木材類の 8 種類があ

る。合成樹脂は 2011 年に改正されて 38 樹脂の規

格があり日本の業界自主基準とほぼ同数であり

内容もほぼ同じである。重金属の溶質試験は日

本より厳しくなっている

台湾 台湾において食品安全衛生管理の責務は、主に食品薬物管理署

(TFDA:Taiwan Food and Drug Administration)が担う。TFDA は、台

湾の全国民の健康と福祉の促進を目的とする衛生福利部(Ministry

of Health and Welfare)に属する。食品包装材は、1975 年に公布され

た The Act Governing Food Sanitation の法律の下で規制されている

食品用包材の重金属の規制がある。また、食品

接触用プラスチックにおいて原料樹脂の使用量制

限に特定移行量制限値(SML)を採用している。日

本と同様にネガティブリスト(NL)制度である。食

品、食品添加物に加えプラスチック製食品接触材

料の上市前登録制度がある

タイ タイ保健省が健康に害を及ぼす恐れのある包装の生産、輸入、販売

に関する法律を管掌しており、実行するにあたっての政令を定める権

限をもっている。食品包装材の規制については、保健省傘下のタイ

食品医薬管理局(Thai Food and Drug Administration)が実際の監督

責任を負っている

規格基準が規定されている合成樹脂は 12 種類あ

り、2004 年に PET も追加されている。合成樹脂に

関しては日本の食品衛生法と同様に材質試験と

溶出試験があり、試験条件及び規格は日本と同

じである

フィリ

ピン

フィリピンにおける食品包装は、食品医薬管理局(FDA:Food and

Drug Administration)の管掌下で食品、医薬、化粧品などを規制する

Republic Act No.3720 で規制されている。新たに Food Safety Act of

2013 が 2013 年 4 月に施行され、フィリピンの食品安全規制のシステ

ムが強化された

現在、規格化の途上のようである。認可最大使用

値に関する一般原則はコーディクス規格(国連食

糧農業機関と世界保健機関が合同で作成した国

際的な食品規格)をベースに一般規格を採用して

いる

マレー

シア

保健省の食品安全品質管理部が食品安全を担当している。食品包

装材は、Food Act of 1983 で規定されている

Pb、As、Sb、Cd など重金属類の含量規制がある。

また、1mg/kg 以上のモノマーを含む塩ビ樹脂は食

品包装材として利用できない

メキシ

メキシコにおいて食品安全衛生管理の業務は、保健省(Ministry of

Health through the Federal Commission for the Protection against

Risks)が管掌している。食品接触物質に対する定義も、また、その利

用の際における具体的な規制はなく整備されていない状況である

現在規格化の途上のようである

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第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

食品ロス削減

容器包装

小分け

個包装

内容物の

分離性

鮮度保持

賞味期限

延長

輸送時

損傷軽減

その他

第3節 食品用紙器に関連する政策

日本では、食料の大半を輸入に依存する一方で、まだ食べられるのに捨てられている、

いわゆる「食品ロス」が毎年大量に発生しており、2014 年における国内の食品ロスは 621

万トンといわれている1。食品ロスを削減させるためには、食品製造工程の改善による賞

味期限の延長に加え、新たな容器包装資材の開発や、パッケージ構造の工夫、又はこれ

ら複数の取組を組み合わせるなどといった容器包装技術の活用が重要な役割を果たして

いる。

食品ロス削減をフードチェーン全体で取り組んでいく必要があるため、農林水産省が

中心となり官民が連携した食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)が展開されて

いる。食品ロスの削減につながる容器包装の取組手法を図 3-2 に示した。その中で食品

ロスの削減につながる容器包装の事例を食品製造事業者と食品容器製造事業者から幅広

く収集して紹介している2。水系塗工剤を塗布した紙器を採用し、高い酸素バリア性と内

容物の香りを保持するフレーバーバリア性を改善することで賞味期限を延長した例(シ

ールドプラス:日本製紙の登録商標)やアルミ箔を貼り合わせ無菌充填包装することに

より賞味期限を延長した例(森永乳業、絹ごし豆腐)などが紹介されている。

図 3-2 食品ロスの削減につながる容器包装の取組手法

食料ロスや食料廃棄削減に向けた地球規模の取組は、FAO(Food and Organization of

UN)が主導した 1960 年代後半の「飢餓からの解放キャンペーン」から始まり、様々なプ

ロジェクトが実施されている。2011 年に設立された Save Food Initiative は、世界レ

ベルでのネットワークを構築し活動している組織である。2015 年にドイツのデュッセル

ドルフで開催された世界最大の国際包装展「Interpack 2011」の会期中に、FAO と

Interpack の主催者である Messe Dusseldorf 社とが共催して開催した「Save Food」に

端を発している。食品廃棄物や食品ロスの発生量を食品のバリューチェーン全体で削減

していくことを目標にしている。食品のバリューチェーンの中でも、食品製造、包装及

びロジスティクスの三つの産業が重要な役割を担っている。2012年に EUの欧州会議が、

1 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/170411.html(2017 年 7 月) 2 http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/youki/index.html#kokinoka_jirei(2017 年 7 月)

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2025 年までに食品ロス・廃棄を半減させる方針を決めた。各国が発生抑制のための具体

的措置を定めるよう EU諸国に要請するとともに 2014年を「ヨーロッパ反食料廃棄物年」

として活動を開始した。

2013 年からは、国連の UNEP(環境計画機関)が、この「Save Food」の活動を支援し

ている。また、イギリスでは、2020 年までに食品廃棄物・食品ロスの埋め立てをゼロに

するという政府の「ビジョン 2020」が 2013 年に発表された。

一般に先進国では食べられるのに捨てられる「食品ロス」が問題となっており「無駄

なく食べよう」という運動が始まっている。

一方、途上国では「収穫後ロス」(ポストハーベスト・ロス)が問題となっている。ASEAN

諸国における農産物のサプライチェーンではロス率が高く、青果物の産地から小売りま

での収穫後ロスは 10~30%であり、穀類に至っては 30~55%にも達するといわれている1。

このような高いロスの原因は、収穫後の処理方法(穀物にあっては乾燥)、流通過程にお

ける包装と荷扱い、輸送と保管操作が考えられており、機能性包装の役割が今後ますま

す重要になってくると思われる。

このほかに紙器に関連する活動として、民間主体の取組みであるが森林認証制度があ

る。森林認証制度は、独立した第三者機関が環境・経済・社会の三つの側面から一定の

基準を基に適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証し、その森林

から生産された木材・木材製品に認証ラベルを付けて流通させることで、持続可能性に

配慮した木材についての消費者の選択的な購買を通じて、持続可能な森林経営を支援す

る活動である。認証発行後も有効期間中は定期的に監査が行われ、より健全で持続的な

森林管理・木材加工流通システムの改善、向上に向け、継続的に取り組む仕組みになっ

ている。1993 年に林業者、木材引取業者、先住民団体、自然保護団体などが集まり設立

された国際 NGO「森林管理協議会(FSC)」によって提案された活動が発展してきたもの

である2。

1 石谷孝佑、日本包装学会誌、24(3),p111(2015) 2 http://www.env.go.jp/nature/shinrin/fpp/maintenance/new/cert.html(2017 年 7 月)

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第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 食品用紙器に関する国内外の代表的なプロジェクト

食品用紙器に関係する国内外の代表的なプロジェクトを表 3-4 に示した。欧州が数多

くのプロジェクトを立ち上げている。EU では研究・技術開発のための FP7(第 7 次欧州

研究枠組み計画)の中で研究プロジェクト FUSION(Food Use for Social Innovation by

Optimising Waste Prevention Strategies)を 2012 年から 2016 年まで 4 年間実施した。

それに関連して包装面からの技術改良を目指したプロジェクトが多いものと思われる。

表 3-4 食品用紙器に関する国内外の代表的なプロジェクト(一部省略) 国・地域 組織、スポンサー

など

プロジェクト名、開発機関

など

開始年 内容、予算など

日本 NEDO 環境対応型高機能包

装部材

2007-2012 セルロースナノファイバーを用いたオールバイオマスの包装

部材を目指す。実証設備(30t/y)を設置し、また包装部材

の製品開発を行った(ガスバリアフィルムなど)。予算総額

5.0 億円

NEDO 可燃ごみ再資源化技術

開発

1998-2001 リサイクル、環境保護を目指し、古紙と廃プラスチックを原

料とした固形燃料(RPF)を開発。予算総額 15.5 億円。RPF

は 2015 年、125 万トンに成長

米国 USDA(米国農務

省)

Dairy and Functional

Food Research

2015-2020 加工モデリングや可食性包装による生産から消費過程での

食品、日常品のサスティナビリティ向上や品質改良

USDA Dairy and Functional

Food Research

2015-2017 食品コーティングや包装のための可食性フィルムやアクティ

ブ包装材料の開発

NIFA マサチューセッツ大学 2015-2019 非移動性アクティブ包装による食品の細菌汚染からの保護

USDA マサチューセッツ大学 2012-2016 金属キレートアクティブ包装による生体活性化合物の酸化

抑制

EPA Packaging Waste

Source Reduction Pilot

Project

2012-2015 テイクアウト包装物などの廃棄物により湾、海などが汚染さ

れ て い る 。 地 方 自 治 体 の 廃 棄 物 減 量 策 に 資 金 提 供 、

257,293 ドル

USDA、NIFA Clemson 大学 2008-2012 食品の安全と安定のための持続性のあるアクティブ包装

USDA Food

Security Program

Polymeric Packaging

(ワシントン州立大学)

- 加工食品の安全性を保証するため加工技術を改良した革

新的包装技術の開発

FDA IFSH(Institute for Food

Safety and Health)

- ポリマーナノクレイコンポジット食品包装物から溶出する有

機、無機化学物質の同定など

欧州 Horizon2020 NanoPack 2016 新規の抗菌性シートを持つ食品包材により食品のシェルフ

ライフ延長のソリューションを検討

Horizon2020 AgroCycle 2016 農作物から有価物を回収して包材のバリア層やアクティブ

包装に利用、8 百万ユーロ

M-ERA NET GRAFOOD 2016 グラフェンオキシドを用いた紙とポリ乳酸から成るアクティブ

包装材の開発

M-ERA NET BIOFOODPACK 2016 耐抗菌性と持続性のあるバイオコンポジット食品包装材の

開発

FP7 EASYFRUIT 2013-2014 皮むきあるいはカットフルーツのシェルフライフ延長のため

のアクティブ包装、1.12 百万ユーロ

FP7 SafetyPack 2013-2016 食品包装におけるピンホールチェックなどへのレーザガスセ

ンサの利用研究、2.97 百万ユーロ

FP7 SusFoFlex 2012-2014 フレキシブルなプリンテッド・インテリジェンスと材料技術を使

ったスマートで持続性のある食品包装、2.95 百万ユーロ

FP7 SuCCIPACK 2012-2014 ポリブチルサクシネートを使うアクティブ、インテリジェントな

持続性のある食品包装の開発、2.99 百万ユーロ

FP7 NanoBarrier 2012-2016 持続性のある多機能食品包装の解決手段としてのシェルフ

ライフ延長バイオポリマーの開発、7.2 百万ユーロ

FP7 ISA-PACK 2012-2015 食品包装用に二つの新規バイオポリマーを開発。PVC 代替

可能な伸長性ラップフィルムとガスバリア性シート及びフィル

FP7 NexGenPack 2012-2015 酸素捕捉や湿度制御などの機能を持つインテリジェント包

装システムの設計と挑戦

FP7 PlantPack 2012-2014 でんぷんや海藻抽出物を用いる食品包装の持続性あるコ

ーティング

FP7 ADCELLPACK 2012-2014 バイオベースの食品包装材の量を増やすため、熱可塑性

のあるセルロース利用を研究、1.05 百万ユーロ

FP7 EcobioCap 2011-2015 エコ効率の高い改良した生分解性包装材の開発、2.99 百

万ユーロ

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- 20 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4章 特許出願動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

1.調査対象とした特許出願

今回調査した特許の出願先国(地域)は、日本、米国、欧州、中国、韓国、台湾、タ

イ、フィリピン、マレーシア及びメキシコ(以下、日米欧中韓台泰比馬墨と略すことが

ある)である。欧州への出願は、欧州特許庁への出願だけでなく、EPC 加盟国のうちで

使用した特許検索データベースに収録された出願先国1への出願も対象とした。

2.特許文献の検索方法

日本特許文献及び外国特許文献について、データベースに Derwent World Patents

Index(トムソン ロイター グローバル リゾーシズの登録商標)(以下 WPI とする)2

を用いた検索により収集した。検索式は、所定の IPC(国際特許分類)及びキーワード

により構成した。検索式を表 4-1 に示した。調査期間は、1998~2015 年(優先権主張年)

に出願されたものとした。登録特許についても同様に、出願年(優先権主張年)を基準

に 1998~2015 年に出願されたものを対象にした。

対象となる特許文献件数は 19,459 件(=L26+L40)であった。

表 4-1 食品用紙器の特許の検索式(一部省略) FILE WPINDEX 備考

L1 61,221 S (B65D0003 OR B65D0005)/IPC 紙器に関するIPC

L2 589,509 S B65D/IPC 容器に関するIPC

L3 37,639 S (B65D0085-32 OR B65D0085-34 OR B65D0085-36 OR B65D0081-34 or

B65D0085-22 or B65D0085-50 or B65D0085-60 or B65D0085-72 or

B65D0085-73 or B65D0085-74 or B65D0085-76 or B65D0085-78 or

B65D0085-80)/IPC

食品容器に関するIPC

L4 1,043,000 S PAPER? OR PULP# OR (CORRUGATE# OR CARD)(W)BOARD# OR

CELLULOSE#

紙キーワード

L5 27,221 S CARTON# 紙器キーワード

L6 737,914 S BEVERAGE# OR DRINK? OR JUICE# OR LIQUOR# OR MILK# OR WINE#

OR SOYMILK# OR COFFEE# OR SODA# OR TEA OR TEAS OR

MINERAL(W)WATER# OR SAKE# OR SHOCHU

飲料品キーワード

L7 1,439,707 S ?FOOD? OR EGG# OR FRUIT# OR VEGETABLE# OR FARM(W)PRODUC?

OR CROP# OR MEAT# OR BREAD# OR CAKE# OR CONFECTIONER? OR

PASTRY OR PASTRIES OR CANDY OR CANDIES OR SWEET# OR

COOKIE# OR BISCUIT# OR RICE# OR BENTO OR LUNCH OR PIZZA# OR

BURGER# OR SANDWICH##

食品キーワード 1

L24 36,476 S L22 OR L23

L25 26,021 S L24 AND 1998-2015/PRYF

L26 8,755 S L25 AND (JPA? OR JPB? OR JPT OR JPX)/PK 日本への出願

L27 6,089 S L25 AND (USE OR USH OR USA? OR USB?)/PK 米国への出願

L28 5,065 S L25 AND (EPA? OR EPB? OR ATA? OR ATB? OR BEA? OR CHA? OR

CHB? OR CZA3 OR CZB6 OR DEA? OR DEB? OR DEC? OR DEE OR DEG

OR DET? OR DKA? OR DKB? OR ESA? OR ESB? OR EST? OR FIA? OR FIB?

OR FRA? OR FRB1 OR GBA? OR GBB?)/PK

1 使用したデータベース(WPI)に収録された EPC 加盟国は、オーストリア、ベルギー、スイス、チェコ、

ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス、ハンガリー、アイルランド、イタ

リア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、ルーマニア、

スロバキアの 21 か国である。 2 Thomson Reuters 社提供の世界の 50 以上の特許機関発行の特許出願を採録したデータベース

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- 21 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

FILE WPINDEX 備考

L29 805 S L25 AND (HUA? OR HUH OR HUB? OR HUT OR IEA? OR IEB? OR ITB?

OR LUA? OR NLA? OR NLB? OR NLC? OR NOA? OR NOB? OR PLA? OR

PLB? OR PTA? OR ROA OR ROA0 OR ROA1 OR ROA2 OR ROB? OR SEA?

OR SEB? OR SEC1 OR SKA3 OR SKB6 OR TRA)/PK

L30 5,372 S L28 OR L29 欧州への出願

L31 3,012 S L25 AND (CNA? OR CNB? OR CNC?)/PK 中国への出願

L32 2,298 S L25 AND (KRA OR KRB?)/PK 韓国への出願

L33 526 S L25 AND (TWA? OR TWB?)/PK 台湾への出願

L34 19 S L25 AND TH/PC タイへの出願

L35 101 S L25 AND (PHA? OR PHB?)/PK フィリピンへの出願

L36 53 S L25 AND MY/PC マレーシアへの出願

L37 1,090 S L25 AND MX/PC メキシコへの出願

L38 4,535 S L25 AND WO/PC PCT 出願

L39 19,480 S L26 OR L27 OR L30 OR L31 OR L32 OR L33 OR L34 OR L35 OR L36 OR

L37 OR L38

日米欧中韓台泰比馬

墨 PCT への出願

L40 10,704 S L39 NOT JP/PC 外国特許文献詳細解

析対象

検索日:2017 年 7 月 17 日

3.特許文献の解析方法

検索により得られた特許文献は、文献ごとに明細書の読み込み調査により詳細解析を

実施した。文献ごとの読み込み調査により、本調査において調査対象とする食品用紙器

に言及する記載のない文献を外すノイズ落としを行い、技術区分を付与した。ノイズ落

とし後の特許文献数は、19,345 件であった。

本調査では、調査対象とする特許文献に対して、文献に記載の技術内容に対応する技

術区分を付与して文献を分類し、分類した文献集団に対して出願件数推移等の調査を行

う。本調査において設定した技術区分を表 4-2 に示した。

食品用紙器に関する技術項目では、大分類項目として、紙器の種類(大分類 1)、紙器

の課題・目的(大分類 2)、紙器の解決・手段(大分類 3)、紙器の利用分野(大分類 4)

を設定した。

各大分類には、中分類(1A:多角型容器類など)、小分類(1A1:紙箱類など)、さらに

詳細分類(1A1a:ストレート型(筒型状)など)のように階層化して下位に多くの技術

項目を設けた。

対象特許文献及び非特許文献(論文)の適用技術区分については、可能な限り下位区

分の技術項目付与を行い、多数の区分が対象となる場合、複数の区分に付与する。下位

区分に付与できない技術対象は上位区分に付与(下位区分の「その他」に相当)し、集

計時には下位区分と同列(例えば、中分類 1A に付与されたものは、小分類で解析する場

合は 1Az として 1A1 などと同じ階層)で取り扱うこととする。

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- 22 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 4-2 技術区分表(詳細分類省略) 大分類 中分類 小分類

1:紙器の種類 1A:多角型容器類 1A1:紙箱類

1A2:長方形トレイ(盆)類

1A3:段ボール・外装箱

1B:曲面型容器類 1B1:円筒型容器

1B2:カップタイプ

1B3:円(楕円)型トレイ(盆)類

1B4:円錐型容器類

1C:紙袋類 1C1:加熱用紙袋

1D:蓋部・開封部 1D1:蓋材

1D2:開封部

2:紙器の課題・目的 2A:保護性 2A1:物理的強度

2A2:遮断性

2A3:安定性

2B:便利性 2B1:操作性

2B2:利用範囲

2B3:積み重ね性

2B4:容器以外の用途・機能

2C:経済性 2C1:紙器生産・充填

2C2:紙器廃棄

2D:商品性 2D1:外観性(販促性)

2D2:衛生性

2D3:安全・安心

2D4:保管寿命(シェルフライフ)

2F:作業性 2F1:容器特性

2F2:包装作業性

2G:環境保全性 2G1:環境性包装材

2G2:容器解体性

2H:少子高齢化対策

3:紙器の解決・手段 3A:紙器材料の改良 3A1:原紙の素材

3A2:板紙の内部加工

3A3:板紙の外部加工処理

3A4:複合紙調製(表面加工)

3A5:複合(積層)紙の素材

3B:紙器製造の改良 3B1:製版・印刷工程

3B2:切断・表面加工工程

3B3:製函工程

3B4:充填工程

3B5:封緘・包装工程

3B6:保管・輸送

3C:紙器の改善 3C1:紙器構造

3C2:紙器の機能化

4:紙器の利用分野 4A:液状包装製品 4A1:牛乳類

4A2:飲料類

4A3:酒類

4A4:調味料類

4B:固形包装製品 4B1:穀物類

4B2:果物・野菜類

4B3:乳製品

4B4:食肉・卵類

4B5:海産・水産物類

4B6:一般食品類

4B7:菓子類

4B8:即席食品類

4B9:テイクアウト食品類

4BA:冷凍食品類

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- 23 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

973

1,069 1,101 1,112

1,203 1,205 1,275 1,261 1,254

995 1,060

1,091 1,141

1,229

1,052

953

810

561

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

0

100

200

300

400

500

600

700

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 合計出願人国籍

(地域)

優先権主張1998-2015年

日本国籍

5,779件

29.9%

米国籍

5,345件

27.6%

欧州国籍

5,698件

29.5%

中国籍

632件

3.3%

韓国籍

1,169件

6.0%

台湾籍

213件

1.1%

タイ国籍

3件

0.0%

フィリピン国籍

2件

0.0%

マレーシア国籍

19件

0.1%メキシコ国籍

18件

0.1%

その他

467件

2.4%

合計19,345件

0

10

20

30

40

50

60

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

出願件数

出願年(優先権主張年)

タイ フィリピン マレーシア メキシコ その他 合計出願人国籍

(地域)

優先権主張1998-2015年

第2節 全体動向調査

1.出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率

出願人国籍(地域)別の出願件数推移と出願件数比率を図 4-1 に示した。出願人国籍

(地域)別の出願件数比率は、日本が 29.9%でトップであった。日米欧で 87.0%と大部

分が 3 者からの出願である。出願人国籍(地域)別の年次推移では、日本は 2003 年まで

はトップを維持していたが、その後、2013 年まで米欧のいずれかがトップになっている。

2012 年以降、中国、韓国からの出願件数が増加傾向にあり日米欧との差が縮小している。

図 4-1 出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注1)2014年以降はデータベース収録の遅れ出願

の各国移行のずれ等で全出願データを反映

していない可能性がある。

注2)タイは2010年1月登録公報発行分から収録

開始、マレーシアは2005年1月登録公報発行

分から収録開始。

注3)合計件数推移は日米欧中韓台泰比馬墨への

出願の合計件数推移である。

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- 24 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

562

642 647 652 704 717

649 668 663

616 628 617 626

733

627 662

605

507

0

200

400

600

800

1,000

0

100

200

300

400

500

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

ファミリー件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 合計出願人国籍

(地域)

優先権主張1998-2015年

日本国籍

5,047件

43.8%

米国籍

2,221件

19.3%

欧州国籍

2,240件

19.4%

中国籍

608件

5.3%

韓国籍

1,002件

8.7%

台湾籍

165件

1.4%

タイ国籍

3件

0.0%

フィリピン国籍

2件

0.0%

マレーシア国籍

6件

0.1%メキシコ国籍

10件

0.1%

その他

221件

1.9%

合計11,525件

0

5

10

15

20

25

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

ファミリー件数

出願年(優先権主張年)

タイ フィリピン マレーシア メキシコ その他 合計出願人国籍

(地域)

優先権主張1998-2015年

2.出願人国籍(地域)別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率

出願人国籍(地域)別のファミリー件数推移とファミリー件数比率を図 4-2 に示した。

出願人国籍(地域)別のファミリー件数比率は、日本が 43.8%を占めた。日米欧で 82.5%

と大部分が 3 者からのファミリー出願である。全体のファミリー件数推移は、調査期間

を通して例外はあるものの 600~700 件であった。出願人国籍(地域)別の年次推移では、

日本は調査期間を通じて常にトップであった。

図 4-2 出願人国籍(地域)別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)2014 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT

出願の各国移行のずれ等で全出願データを

反映していない可能性がある。

注 2)タイは 2010年 1月登録公報発行分から収録

開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発

行分から収録開始。

注 3)合計件数推移は日米欧中韓台泰比馬墨への

出願の合計ファミリー件数推移である。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本 5,214 370

348 6 41 19 2 30

米国122

2,711 815 19 58 89 1 2 10 218

欧州121

1,253 3,711 7 32 25 2 9 1 147

中国 129 377 415 594 38 14 3 33

韓国 111 114 144 3 996 7 1 12

台湾 71 80 59 2 3 58 7

タイ 2 1 6

フィリピン 1 13 4 2

マレーシア 4 8 15 1 1 2 3

メキシコ 4 418 181 1 7 17

日本

米国

欧州

中国

韓国

台湾

タイ

フィリピン

マレーシア

メキシコ

その他

出願先国

(地域)

出願人国籍(地域)

優先権主張1998-2015年

3.出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数

図 4-3 に、食品用紙器についての出願先国(地域)別と出願人国籍(地域)別の出願

件数相関分析結果を示した。日本国籍出願人からの出願件数は合計 5,799 件で、内訳は

日本への出願が 90.2%、米国へは 2.1%、欧州へは 2.1%、中国へは 2.2%、韓国へは

1.9%、台湾へは 1.2%であった。米国籍出願人からの出願件数は合計 5,345 件で、米国

への出願は 50.7%、次いで欧州、メキシコ、中国、日本、韓国への順であった。欧州国

籍出願人からの出願件数は合計 5,698 件でそのうち欧州への出願は 65.1%で、次いで米

国、中国、日本、メキシコの順であった。中国籍出願人からの出願件数は合計 632 件で、

そのうち 94.0%が中国への出願で大部分が自国への出願であった。韓国籍出願人からの

出願件数は合計 1,169 件で韓国への出願は 85.2%であった。台湾籍出願人からの出願件

数は合計 213 件で台湾への出願は 27.2%であり、一方、米国への出願が 41.8%と自国よ

りも多かった。自国への出願率の高い順に並べると、中国>日本>韓国>欧州>米国>

台湾となった。

図 4-3 出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録開

始。

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- 26 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

121件

2.3%

米国籍

1,253件

23.6%

欧州国籍

3,711件

69.9%

中国籍

7件

0.1%

韓国籍

32件

0.6%

台湾籍

25件

0.5%

タイ国籍

2件

0.0% フィリピン国籍

0件

0.0%

マレーシア国籍

9件

0.2%

メキシコ国籍

1件

0.0%

その他

147件

2.8%

日本国籍

122件

3.0%

米国籍

2,711件

67.0%

欧州国籍

815件

20.1%

中国籍

19件

0.5%

韓国籍

58件

1.4%

台湾籍

89件

2.2%

タイ国籍

1件

0.0%

フィリピン国籍

0件

0.0%マレーシア国籍

2件

0.0%

メキシコ国籍

10件

0.2% その他

218件

5.4%

日本国籍

129件

8.0%

米国籍

377件

23.5%

欧州国籍

415件

25.9%

中国籍

594件

37.1%

韓国籍

38件

2.4%

台湾籍

14件

0.9%

タイ国籍

0件

0.0%

フィリピン国籍

0件

0.0% メキシコ国籍

0件

0.0%

マレーシア国籍

3件

0.2%その他

33件

2.1%

日本国籍

111件

8.0%

米国籍

114件

8.2%

欧州国籍

144件

10.4%中国籍

3件

0.2%

韓国籍

996件

71.8%

台湾籍

7件

0.5%

タイ国籍

0件

0.0%

フィリピン国籍

0件

0.0%

マレーシア国籍

1件

0.1%

メキシコ国籍

0件

0.0%

その他

12件

0.9%

日本国籍

71件

25.4%

米国籍

80件

28.6%

欧州国籍

59件

21.1%

中国籍

2件

0.7%

韓国籍

3件

1.1%

台湾籍

58件

20.7%

タイ国籍

0件

0.0%

フィリピン国籍

0件

0.0%

マレーシア国籍

0件

0.0%

メキシコ国籍

0件

0.0%

その他

7件

2.5%

日本国籍

5,214件

86.5%

米国籍

370件

6.1%

欧州国籍

348件

5.8%

中国籍

6件

0.1%

韓国籍

41件

0.7%

台湾籍

19件

0.3%

タイ国籍

0件

0.0%

フィリピン国籍

0件

0.0%

マレーシア国籍

2件

0.0% メキシコ国籍

0件

0.0%その他

30件

0.5%

日本への出願

6,030件

米国への出願

4,045件

中国への出願

1,603件

欧州への出願

5,308件

韓国への出願

1,388件

370件348件

41件122件

815件

58件

121件

1,253件

32件

129件377件

415件

38件

111件

144件

6件

19件

114件

7件

71件

80件59件

2件

19件

89件

25件

14件

台湾への出願

280件

3件

3件

7件

4.出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数収支

食品用紙器について日米欧中韓台泰比馬墨に対する出願先国(地域)別-出願人国籍

(地域)別出願件数収支を解析し、図 4-4 に示した。日米欧中韓台への出願については

図 4-4(a)に、泰比馬墨への出願については図 4-4(b)に分けて示した。日本は、中国、韓

国、台湾に対して出願件数収支は、支出が収入より圧倒的に多かった。しかし、米国、

欧州に関しては逆に収入が多かった。

図 4-4(a) 出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数収支(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録開

始。

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- 27 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本

米国 欧州

中国 韓国

台湾

タイへの出願

9件

2件1件

6件

0件0件

0件

0件

1件

2件

0件

0件

0件

フィリピン

への出願

20件

日本

米国 欧州

中国 韓国

台湾

1件13件

4件

0件

0件

0件

0件

0件

0件

0件

0件

0件

マレーシア

への出願

34件

日本

米国 欧州

中国 韓国

台湾

4件8件

15件

1件

0件

1件

2件

2件

9件

3件

1件

0件

日本

米国 欧州

中国 韓国

台湾

4件418件

181件

0件

1件

0件

0件

10件

1件

0件

0件

0件

メキシコ

への出願

628件

比馬墨への出願においては、米国とタイとの収支以外いずれも泰比馬墨の収入が大き

く上回った。タイでは欧州からの出願が認められた。フィリピン、マレーシア及びメキ

シコへの出願では、日米欧からの出願がある。マレーシアへの出願総件数 34 件のうち、

欧州が 15 件で最も多く、次いで米国、日本の順であった。メキシコへの出願では、総件

数 628 件のうち米国から 418 件、欧州から 181 件と大部分が米欧からの出願である。

図 4-4(b) 出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数収支(泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録開

始。

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- 28 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

企業

2件

66.7%

大学

0件

0.0%

研究機関

0件

0.0%

個人

0件

0.0%

共同出願

1件

33.3%

合計

3件

5.出願人国籍(地域)別の出願人属性別ファミリー件数比率

食品用紙器に関して出願人国籍(地域)別の出願人属性別ファミリー件数比率を図 4-5

に示した。泰比馬墨は出願件数が少なかった。日米欧中韓台とも出願人属性は主に企業

か個人であった。日米欧は企業からの出願が多く、中国は企業と個人がほぼ半々、韓台

は個人が過半数を占めた。中国は他に比べて大学からの出願が多い。

図 4-5 出願人国籍(地域)別の出願人属性別ファミリー件数比率(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

企業

4,271件

84.6%

大学

3件

0.1%

研究機関

7件

0.1%

個人

367件

7.3%

共同出願

399件

7.9%

合計

5,047件

日本 企業

1,664件

74.9%大学

3件

0.1%

研究機関

3件

0.1%

個人

380件

17.1%

共同出願

171件

7.7%

合計

2,221件

米国

企業

1,674件

74.7%大学

11件

0.5%

研究機関

10件

0.4%

個人

400件

17.9%

共同出願

145件

6.5%

合計

2,240件

欧州

企業

278件

45.7%

大学

53件

8.7%

研究機関

6件

1.0%

個人

249件

41.0%

共同出願

22件

3.6%

合計

608件

中国

企業

213件

21.3%大学

13件

1.3%

研究機関

0件

0.0%個人

655件

65.4%

共同出願

121件

12.1%

合計

1,002件

韓国

企業

4件

66.7%

大学

0件

0.0%

研究機関

0件

0.0%

個人

1件

16.7%

共同出願

1件

16.7%

合計

6件

マレーシア

企業

7件

70.0%大学

0件

0.0%

研究機関

0件

0.0%

個人

2件

20.0%

共同出願

1件

10.0%

合計

10件

メキシコ

企業

58件

35.2%

大学

4件

2.4%

研究機関

0件

0.0%

個人

93件

56.4%

共同出願

10件

6.1%

合計

165件

台湾

企業

0件

0.0%

大学

0件

0.0% 研究機関

0件

0.0%

個人

2件

100.0%

共同出願

0件

0.0%

合計

2件

フィリピン タイ

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- 29 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A1:紙箱類 229 247 246 273 267 296 234 245 244 252 236 222 237 241 229 255 240 205

1A2:長方形トレイ(盆)類 20 46 50 30 47 31 55 47 35 25 20 26 34 47 38 11 25 18

1A3:段ボール・外装箱 59 79 103 84 122 124 112 132 135 94 114 102 109 113 118 129 108 79

1Az:その他 20 16 28 24 27 35 23 17 31 18 17 19 12 13 15 24 17 20

1B1:円筒型容器 45 38 32 36 54 26 28 31 26 26 37 37 36 45 28 41 34 20

1B2:カップタイプ 122 142 109 134 141 108 105 99 116 121 136 126 124 159 136 136 121 94

1B3:円(楕円)型

トレイ(盆)類8 22 17 21 23 20 27 26 16 13 11 15 14 27 24 10 18 6

1B4:円錐型容器類 6 9 7 12 12 12 15 11 12 10 13 9 26 7 5 6 7

1Bz:その他 16 10 26 22 29 33 20 18 28 23 13 19 14 14 12 20 16 18

1C1:加熱用紙袋 2 4 11 6 5 5 5 9 4 7 6 1 1 5 2 3 2 2

1Cz:その他 56 53 71 63 74 102 88 65 84 59 56 91 59 67 57 78 63 59

1D1:蓋材 38 43 42 50 49 38 41 54 43 39 44 35 54 57 46 47 42 30

1D2:開封部 53 66 55 58 63 60 49 43 59 46 48 43 43 48 32 38 31 16

1Dz:その他 1 3 4 3 6 2 1 2 2 2 3 1

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

出願年(優先権主張年)

優先権主張1998-2015年

1A:多角型容

器類

1D:蓋部・

開封部

1B:曲面型容

器類

1C:紙袋類

第3節 技術区分動向調査

1.紙器の種類の小分類別のファミリー件数推移

[大分類 1:紙器の種類]の小分類別のファミリー件数推移を図 4-6 に示した。[1A:多

角型容器類]の中では、[1A1:紙箱類]に対する件数が最も多く、次いで[1A3:段ボール・

外装箱]、[1A2:長方形トレイ(盆)類]と続いた。3 技術項目とも 2007 年~2010 年頃に

かけて一時件数が減少しているが、全体的にはほぼ横ばいで推移している。[1B:曲面型

容器類]では、[1B2:カップタイプ]が圧倒的に件数は多く、次いで[1B1:円筒型容器]、

[1B3:円(楕円)型トレイ(盆)類]などが続いた。[1B2:カップタイプ]は、2003 年~

2005 年にかけて件数が一時減少したが、それ以降漸増傾向にある。[1C:紙袋類]は、

[1C1:加熱用紙袋]以外の[1Cz:その他]の件数が大部分を占めており、年により増減が

あるものの全体としてほぼ横ばいで推移している。[1D:蓋部・開封部]は、ほぼ同数な

がら[1D2:開封部]>[1D1:蓋材]の関係であるが、[1D2:開封部]は、近年、減少の兆候

が見られる。

図 4-6 [大分類 1:紙器の種類]の小分類別ファミリー件数推移(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)2014 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していな

い可能性がある。

注 2)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録

開始。

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- 30 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2A1:物理的強度 56 58 78 63 99 77 66 61 45 45 44 47 54 59 79 80 57 68

2A2:遮断性 144 141 115 115 139 147 98 119 124 115 138 101 106 154 99 132 109 110

2A3:安定性 141 146 162 162 214 187 94 127 125 108 137 109 133 171 139 111 111 111

2Az:その他 1 2 1 1 2

2B1:操作性 285 312 294 314 331 387 338 364 372 343 332 322 369 426 360 353 348 281

2B2:利用範囲 47 46 35 54 53 52 35 50 52 37 40 29 28 47 42 39 28 27

2B3:積み重ね性 33 44 48 41 55 46 38 50 23 37 40 34 41 70 37 34 37 36

2B4:容器以外の

用途・機能23 24 38 26 44 48 47 34 46 43 32 29 29 53 35 34 34 25

2Bz:その他 1 1 2 1 1 1 1 2 2 2 1 1

2C1:紙器生産・充填 142 107 128 111 160 121 81 129 128 117 122 85 108 147 107 103 83 95

2C2:紙器廃棄 54 32 14 24 30 25 19 21 20 16 19 7 23 31 17 16 12 11

2Cz:その他 3 4 9 9 4 4 14 6 8 12 6 12 11 14 14 22 12

2D1:外観性(販促性) 97 108 91 88 89 103 101 91 95 88 92 75 76 132 84 72 65 62

2D2:衛生性 54 80 53 83 94 98 61 76 90 87 59 81 81 121 69 83 68 87

2D3:安全・安心 27 41 41 57 45 41 62 48 48 56 32 37 46 60 65 53 48 56

2D4:保管寿命

(シェルフライフ)23 32 22 26 33 39 30 40 26 38 39 47 34 46 31 36 47 52

2Dz:その他 1 5 6 4 8 6 2 4 2 1 1 2 2 2 1

2F1:容器特性 10 8 15 14 13 16 6 6 7 9 7 6 2 6 18 12 10 7

2F2:包装作業性 55 51 63 45 57 49 41 49 68 52 60 33 79 89 112 52 86 56

2Fz:その他 4 3 1 1 2 1 5 1 3 2 2 2

2G1:環境性包装材 39 40 57 42 45 41 24 27 26 51 56 45 38 61 28 40 39 31

2G2:容器解体性 37 64 54 59 50 34 36 50 36 53 58 51 45 62 41 43 38 38

2Gz:その他 2 2 10 6 4 6 6 1 2 8 6 4 13 5 3 6 9 5

2H:少子高齢化対策 2 9 2 6 5 4 4 10 7 8 3 8 2 11 4 4 4 1

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

出願年(優先権主張年)

優先権主張1998-2015年

2A:保護性

2B:便利性

2C:経済性

2D:商品性

2F:作業性

2G:環境

保全性

2.紙器の課題・目的の小分類別ファミリー件数推移

[大分類 2:紙器の課題・目的]における小分類別のファミリー件数推移を図 4-7 に示

した。[2A:保護性]では、件数は[2A3:安定性]>[2A2:遮断性]であるが両者間の差は

僅かであった。両者とも 2004 年以降に件数の減少が見られ推移挙動は類似していた。

[2B1:便利性]の中では[2B1:操作性]の件数が最も多く、全体的推移は漸増傾向で推移

している。[2C:経済性]では、[2C1:紙器生産・充填]の件数が最も多いが全体的推移は

漸減傾向にあると思われる。[2D:商品性]では、[2D1:外観性(販促性)]と[2D2:衛生

性]が比較的件数が多かった。両者とも年により増減があるものの全体としてほぼ横ばい

で推移している。[2D3:安全・安心]と[2D4:保管寿命(シェルフライフ)]は、前者の

二つの技術項目より件数が少ないが明らかな漸増傾向を示している。[2F:作業性]では、

[2F2:包装作業性]の件数が多く、近年増加の兆候がある。[2G:環境保全性]では、[2G2:

容器解体性]>[2G1:環境性包装材]であるが両者の差は僅かである。全体としてほぼ横

ばいで推移している。

図 4-7 [大分類 2:紙器の課題・目的]の小分類別ファミリー件数推移(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)2014 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していな

い可能性がある。

注 2)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録

開始。

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- 31 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3A1:原紙の素材 36 55 68 50 51 44 53 71 49 48 58 53 47 92 40 46 28 37

3A2:板紙の内部加工 12 8 23 19 17 10 19 11 12 15 9 13 6 8 7 7 3 11

3A3:板紙の

外部加工処理51 68 68 63 69 66 54 51 56 66 57 55 46 95 51 51 56 53

3A4:複合紙調製

(表面加工)62 69 60 60 97 97 51 48 51 55 55 47 50 72 40 46 49 40

3A5:複合(積層)紙

の素材205 222 229 215 260 242 185 189 204 204 188 198 204 249 178 186 203 166

3Az:その他 1 1 2 2 1

3B1:製版・印刷工程 180 226 288 255 240 316 281 316 282 266 279 264 303 329 312 256 259 235

3B2:切断・表面

加工工程237 270 303 246 298 335 291 302 327 269 314 258 348 372 317 321 304 256

3B3:製函工程 166 252 265 170 234 175 206 196 180 200 174 148 190 268 186 188 181 196

3B4:充填工程 14 18 6 6 11 14 8 9 8 9 5 8 9 21 5 22 9 15

3B5:封緘・包装工程 127 141 132 100 194 159 131 128 134 106 122 110 138 164 104 148 118 113

3B6:保管・輸送 15 11 16 18 26 41 13 16 18 29 23 5 18 30 25 43 46 39

3Bz:その他 1 2 1 2 1 1

3C1:紙器構造 281 233 282 254 272 349 308 283 346 289 306 250 360 324 375 370 368 264

3C2:紙器の機能化 8 8 6 14 13 21 17 16 25 9 12 11 16 22 24 22 30 17

3Cz:その他 1 1 1 1 1 1 3 1 1

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

出願年(優先権主張年)

優先権主張1998-2015年

3A:紙器材料

の改良

3B:紙器製造

の改良

3C:紙器の

改善

3.紙器の解決・手段の小分類別のファミリー件数推移

[大分類 3:紙器の解決・手段]の小分類別のファミリー件数推移を図 4-8 に示した。

[3A:紙器材料の改良]では、[3A5:複合(積層)紙の素材]が最も件数が多かった。全体

的には横ばいで推移している。[3B:紙器製造の改良]の件数は、[3B2:切断・表面加工

工程]>[3B1:製版・印刷工程]>[3B3:製函工程]>[3B5:封緘・包装工程]の順序であ

った。いずれの技術項目も年により増減があるものの全体としてほぼ横ばいで推移して

いる。[3B6:保管・輸送]は件数が少ないが増加傾向を示している。[3C:紙器の改善]

では、[3C1:紙器構造]が圧倒的な件数であった。しかも、近年、増加傾向を示している。

[3C2:紙器の機能化]も件数は極めて少ないが同様の挙動を示している。

図 4-8 [大分類 3:紙器の解決・手段]の小分類別ファミリー件数推移(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)2014 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していな

い可能性がある。

注 2)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録

開始。

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- 32 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

4A1:牛乳類 37 66 44 50 32 30 44 34 45 41 33 26 33 43 34 56 32 44

4A2:飲料類 104 160 135 126 133 124 136 141 150 159 136 112 115 187 118 158 148 120

4A3:酒類 37 62 46 43 34 39 55 46 49 61 38 26 35 51 45 59 42 55

4A4:調味料類 22 24 14 26 11 13 13 24 25 21 16 10 18 23 15 20 11 9

4Az:その他 50 6 16 16 35 53 9 8 19 3 17 29 30 14 43 43 24 8

4B1:穀物類 12 16 12 15 18 19 9 15 11 5 10 11 19 12 12 15 15 7

4B2:果物・野菜類 26 40 51 58 49 63 52 39 42 38 45 49 31 34 48 48 56 48

4B3:乳製品 12 17 8 11 6 8 12 12 11 6 10 8 6 14 4 13 5 9

4B4:食肉・卵類 22 22 20 37 18 11 20 24 17 13 13 13 13 25 17 14 23 16

4B5:海産・水産物類 21 17 22 13 18 16 22 8 12 11 13 6 5 7 8 7 13 9

4B6:一般食品類 51 60 76 61 60 77 51 73 59 47 56 40 28 66 39 61 57 46

4B7:菓子類 68 60 77 68 65 85 75 82 84 101 77 69 82 76 67 77 75 45

4B8:即席食品類 55 71 45 57 31 37 35 42 27 31 55 34 51 38 44 46 31 31

4B9:テイクアウト食品類 44 53 77 61 71 99 85 63 77 40 69 62 64 75 57 71 65 51

4BA:冷凍食品類 12 33 19 20 13 7 22 21 22 7 12 12 8 16 12 8 18 12

4Bz:その他 13 6 17 10 13 6 5 4 14 6 10 7 12 14 22 30 8 14

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

出願年(優先権主張年)

優先権主張1998-2015年

4A:液状包装

製品

4B:固形包装

製品

4.紙器の利用分野の小分類別のファミリー件数推移

[大分類 4:紙器の利用分野]の小分類別のファミリー件数推移を図 4-9 に示した。小

分類別の件数は、[4A2:飲料類]>[4B7:菓子類]>[4B9:テイクアウト食品類]>[4B6:

一般食品類]の順序であった。2007 年~2010 年にかけて一時的に減少するなど年により

増減があるもののいずれの技術項目も全体としてほぼ横ばいで推移している。

図 4-9 [大分類 4:紙器の利用分野]の小分類別ファミリー件数推移(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)2014 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していな

い可能性がある。

注 2)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録

開始。

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- 33 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A1:紙箱類 2,115 755 924 197 308 36 1 3 59

1A2:長方形トレイ(盆)類 265 102 205 6 8 9 1 9

1A3:段ボール・外装箱 717 612 334 82 116 5 3 47

1Az:その他 154 70 104 22 13 4 1 8

1B1:円筒型容器 267 158 121 22 23 6 23

1B2:カップタイプ 1,059 317 175 177 363 86 2 2 48

1B3:円(楕円)型

トレイ(盆)類122 78 68 13 18 13 2 4

1B4:円錐型容器類 69 33 57 7 5 3 1 4

1Bz:その他 146 64 94 18 20 3 6

1C1:加熱用紙袋 44 13 16 1 6

1Cz:その他 457 217 298 96 142 15 20

1D1:蓋材 432 115 112 31 64 21 17

1D2:開封部 432 146 207 18 13 5 1 4 2 23

1Dz:その他 17 6 6 1

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 タイ フィリピン マレーシア メキシコ その他

技術区分

出願人国籍(地域)

優先権主張1998-2015年

1A:多角型

容器類

1B:曲面型

容器類

1C:紙袋類

1D:蓋部・

開封部

5.紙器の種類の小分類別出願人国籍(地域)別ファミリー件数

[大分類 1:紙器の種類]の小分類別出願人国籍(地域)別ファミリー件数を図 4-10 に

示した。日本は全ての技術項目においてファミリー件数はトップであった。日本との件

数比率を比較することで他国ではどの紙器に注目しているかの特徴が見えてくる。米国

は、[1A3:段ボール・外装箱]の件数が多く日本に匹敵する件数である。一方、欧州は[1A2:

長方形トレイ(盆)類]が比較的件数が多い。中国、韓国及び台湾は、[1B2:カップタイ

プ]の件数が多く、韓国や台湾は[1A1:紙箱類]を上回る件数である。

図 4-10 [大分類 1:紙器の種類]の小分類別-出願人国籍(地域)別ファミリー件数(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録開

始。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 出願人別動向調査

食品用紙器に関する日米欧中韓台泰比馬墨への特許出願について 20 位までの出願人

別ファミリー件数上位ランキングを表 4-3 に示した。1 位は凸版印刷で 2 位に大日本印

刷、3 位 Graphic Packaging International(米国)と続いた。1 位から 3 位までの件数

差に開きが大きい。20 位までの上位ランキング中に日本国籍出願人は 10 者、米国籍出

願人は 6 者、欧州国籍出願人は 4 者の構成であった。出願人属性は全て企業であった。

表 4-3 出願人別ファミリー件数上位ランキング(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

順位 出願人 ファミリー件数

1 凸版印刷 1,189

2 大日本印刷 754

3 Graphic Packaging International(米国) 308

4 日本テトラパック 203

5 レンゴー 174

5 West Rock(米国) 174

7 Tetra Laval Holdings & Finance(スイス) 158

8 王子製紙 91

9 International Paper(米国) 75

10 日本製紙 74

11 東罐興業 61

12 Sonoco Development(米国) 60

13 Intercontinental Great Brands(米国) 57

14 Sig Technology(スイス) 49

15 Nestec(スイス) 45

16 共同印刷 40

17 ホクオーパック 39

17 王子ホールディングス 39

19 Stora Enso(フィンランド) 38

20 Pactiv(米国) 35

第5節 注目出願人の出願動向調査

注目出願人として、表 4-3 に示した出願人別ファミリー件数上位ランキングの上位 5

位までの出願人、すなわち凸版印刷、大日本印刷、Graphic Packaging International

(米国)、日本テトラパック、レンゴー及び West Rock(米国)の計 6 者を選定して食品

用紙器の特許技術動向を調査した。

注目出願人別の出願先国(地域)別の出願件数を図 4-11 に示した。日本国籍出願人、

すなわち凸版印刷、大日本印刷、日本テトラパック及びレンゴーは日本への出願が大部

分を占めた。凸版印刷、大日本印刷、日本テトラパック及びレンゴーは全出願件数のう

ち日本への出願割合は、それぞれ 97%、94%、99%及び 97%であった。これに対して米

国籍出願人である Graphic Packaging International 及び West Rock は、全出願件数の

うち米国への出願割合は、42%及び 31%と半数にも満たなかった。両者とも欧州>メキ

シコ>日本の順序で海外出願が多い。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

凸版印刷1,220

(96.8%)

7

(0.6%)

6

(0.5%)

10

(0.8%)

5

(0.4%)

8

(0.6%)

1

(0.1%)

1

(0.1%)

2

(0.2%)

大日本印刷796

(94.0%)

6

(0.7%)

5

(0.6%)

13

(1.5%)

21

(2.5%)

6

(0.7%)

Graphic Packaging

International95

(9.0%)

444

(41.9%)

315

(29.7%)

84

(7.9%)

4

(0.4%)

1

(0.1%)117

(11.0%)

日本テトラパック224

(98.7%)

1

(0.4%)

1

(0.4%)

1

(0.4%)

レンゴー176

(97.2%)

2

(1.1%)

1

(0.6%)

1

(0.6%)

1

(0.6%)

West Rock 46

(9.1%)

155

(30.5%)

198

(39.0%)

33

(6.5%)

15

(3.0%)

19

(3.7%)

42

(8.3%)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 タイ フィリピン マレーシア メキシコ

注目出願人

出願先国(地域)

優先権主張1998-2015年

図 4-11 注目出願人別-出願先国(地域)別出願件数と出願件数比率(日米欧中韓台泰比馬墨への出願、出願年(優先権主張年):1998-2015 年)

注 1)タイは 2010 年 1 月登録公報発行分から収録開始、マレーシアは 2005 年 1 月登録公報発行分から収録

開始。

注 2)数値の上段は出願件数、下段は出願件数比率である。

第6節 注目特許の調査

食品用紙器における日米欧中韓台泰比馬墨への出願における注目特許は、1.審査官及

び出願人の引用件数が多い特許、2.訴訟件数が多い特許、3.ファミリー件数が多い特許

を注目特許と定義してそれぞれの切り口で特許を抽出した。

1.審査官及び出願人の引用件数が多い特許から見た注目特許

審査官及び出願人の引用件数が多い順に整理して表 4-4 に示した。

表 4-4 審査官及び出願人の引用件数が多い注目特許 No. 出願番号 公報番号 登録番号 優先権

主張日

発明等の名称

(日本語訳)

出願人(発明者) 出願人

国籍

被引用

件数

1 US13565918

A

US201300374

39A1

US9145225B2 2010/

02/04

輸送及び展示用のヨ

ーグルト用トレイ

Societ Normande

de Carton

ondule-SNCO

フランス 180

2 US20018343

71A

US200201488

86A1

2001/

04/13

複合容器 R. Miess Kenneth

R.

米国 179

3 特願

2003-339474

特開 2005-

104516

2003/

09/30

耐水性易分離複合紙

容器

凸版印刷 日本 176

4 US20019213

61A

US200300317

69A1

2001/

08/02

改良した容器とその方

Ihor Wyslotsky

など

米国 124

5 US20096382

07A

US201001479

38A1

US8474689B2 2008/

12/15

紙含有包材の複合層

のラミネート化方法

Dixie Consumer

Products

米国 123

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- 36 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.訴訟件数が多い特許から見た注目特許

訴訟件数が多い順に整理して表 4-5 に示した。訴訟件数 1 件の中には日本からの特許

が多数あったが、査定不服に関するものであった。

表 4-5 訴訟件数が多い注目特許 No. 出願番号 公開番号 登録

番号

優先権

主張日

発明等の名称

(日本語訳)

出願人

(発明者)

出願人

国籍

アクションなど 訴訟

件数

1 US1372

0143A

US201401

66735A1

US878

3548B2

2012/

12/19

スポーツカーカー

トン

Kid Stuff Marketing 米国 原告、侵害訴訟 8

2 EP20027

63159A

EP142788

5A1

EP1427

885B1

2001/

09/05

包装用非コート紙

Korsnaes AB Publ スウェー

デン

被告、異議申立て 7

3 US2004

857077A

US732883

3B1

US732

8833B1

2004/

05/28

積載可能組立て

パレット

Wiley; Teddy E. 米国 原告、権利不在確

認訴訟

6

4 EP20127

53785A

EP273188

5A2

EP2731

885B1

2011/

07/14

容器作成と充填

方法

3 Boys イギリス 被告、異議申立て 4

5 FR20037

945A

FR284154

2A1

2002/

07/01

使用前ストライプ

で保護する食品を

低温に保つ等温

Ochoa Marin Antonio スペイン 原告、取消し手続 4

6 US2002

68783A

US200302

03081A1

US692

1026B2

2002/

02/05

湿気制御による食

品湿度保全とかび

防止

Saari, Albert L. 米国 原告、権利不在確

認訴訟

4

3.ファミリー件数が多い特許から見た注目特許

全体の特許の中からファミリー件数が多い順に整理して表 4-6 に示した。

表 4-6 ファミリー件数が多い注目特許 No. 出願番号 公開番号 登録番号 優先権

主張日

発明等の名称

(日本語訳)

出願人

(発明者)

出願人

国籍

ファミリー

件数

1 US14693527

A

US201503149

50A1

US945794

6B2

2014/04/

30

一体化したギフト包装

システム

Lopez Bobbie,

Westlake 等

米国 243

2 US200523752

5A

US200600399

58A1

2003/05/

28

一定組成の多層フィ

ルム

Monosolrx 米国 198

3 US200823773

7A

US200900387

36A1

US828275

4B2

2007/04/

05

感圧収縮ラベル Avery Dennison 米国 171

4 特願 2005-

197272

特開

2007-015160

2005/07/

06

ポリブチレンテレフタレ

ートラミネート紙、及び

それを用いた紙製容

三菱エンジニアリン

グプラスチックス

日本 166

5 US13231021

A

US201201217

64A1

US915541

8B2

2010/11/

15

飲物を作る装置及び

方法

Conair 米国 152

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5章 研究開発動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

1.論文の検索方法と調査対象の主要国際誌

論文(非特許文献)を、データベースに Scopus1(Elsevier の登録商標)を用いた検

索により収集した。今回の調査は食品用紙器を調査対象にしているので、食品用紙器に

関係する所定のキーワードにより構成された検索式により行った。表 5-1 に非特許文献

の検索式を示した。調査期間は、1997~2016 年(論文発表年)とした。

今回使用した Scopus は国際的な書誌データベースであるため、英語以外の論文、企業

の技術報告書や各国の関連学会会誌など数多くの種類が収録されている。

今回の調査対象の論文誌として、国際的な主要誌に掲載された英文の論文に限定して

調査した。

検索式に従いキーワード検索を実施した。これらのキーワード検索で得られた総検索

数は 3,163 件(=L9)であった。

表 5-1 食品用紙器の非特許文献検索式 集合名 件数 論理式

L1 629,585 KEY ( PAPER* OR PULP OR "CORRUGATED BOARD" OR "CARD BOARD" OR CELLULOSE )

L2 2,453 TITLE-ABS-KEY ( CARTON )

L3 415,270 TITLE-ABS-KEY ( BEVERAGE OR DRINK* OR JUICE OR LIQUOR OR MILK OR WINE OR SOYMILK OR

COFFEE OR SODA OR TEA OR "MINERAL WATER" OR SAKE OR SHOCHU )

L4 1,323,010 TITLE-ABS-KEY ( *FOOD* OR EGG OR FRUIT OR VEGETABLE OR "FARM PRODUC*" OR CROP OR

MEAT OR BREAD OR CAKE OR CONFECTIONERY OR PASTRY OR CANDY OR SWEET OR COOKIE OR

BISCUIT OR RICE OR BENTO OR LUNCH OR PIZZA OR BURGER OR SANDWICH )

L5 182,010 TITLE-ABS-KEY ( CUPCAKE OR SOYSAUCE OR SAUCE OR BUTTER OR CHEESE OR YOGHURT OR

MAYONNAISE OR DESSERT OR "ICE CREAM" OR SOUP OR SOY OR SOYBEAN OR NATTO OR

POPCORN OR NOODLE OR PANCAKE OR POTATO OR CATSUP OR CHOCOLATE OR GUM OR SNACK )

L6 745,459 TITLE-ABS-KEY ( CRACKER OR TAKOYAKI OR OCTOPUS OR CROQUETT OR FRIED OR SEASONING

OR CONDIMENT OR "DAIRY PRPDUC*" OR "AQUATIC PRODUC*" OR "MARINE PRODUC*" OR GRAIN

OR FLESH OR FISH OR CHICKEN OR BUN )

L7 1,336 TITLE-ABS-KEY ( "PAPER CUP" OR "PAPER DISH" OR "PAPER TRAY" OR "PAPER CONTAINER" OR

"PAPER BOX" OR "PAPER PACK" OR "PAPER PACKAGING" OR "PAPER BAG")

L8 520,572 TITLE-ABS-KEY ( TRAY OR CONTAINER OR BOX OR PACK OR PACKAGE OR PACKAGING OR BAG )

L9 3,163 (L2 OR L8 AND L1) AND (L3 OR L4 OR L5 OR L6) OR L7

データベース:Scopus、発行年:1997-2016 年、対象:article、conference paper に限定(本文英語)

検索日:2017 年 7 月 17 日

2.論文の解析方法

非特許文献を用いて全体動向調査や技術区分別動向調査など特許文献と同様に詳細解

析を実施した。

詳細解析は、非特許文献を読み込み今回の調査対象でない非特許文献はノイズとして

除外した。ノイズ落とし後の非特許文献数は、808 件であった。技術区分別動向調査は

抄録に記載されている技術内容を判別し、特許の場合と同様に表 4-2 に示した技術区分

表による技術区分付与を行った。なお、食品用紙器においては技術内容の性質上、非特

許文献の中には相当数の雑誌類が含まれている。雑誌によっては著者名や所属機関(国

籍)などの書誌事項が記載されていない場合がある。そのような場合は、「不明」という

項目を設けて処理した。

1 Elsevier 社が提供する世界最大規模の書誌データベース

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- 38 -

本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

14 14

26

52

27

20 19

29

19 25

44

19 15

29

55

49

64

96 92

100

0

20

40

60

80

100

120

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

論文件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 合計研究者所属機関国籍

(地域)

論文発表年1997-2016年

日本国籍

19件

2.4%

米国籍

85件

10.5%

欧州国籍

311件

38.5%

中国籍

109件

13.5%

韓国籍

20件

2.5%

台湾籍

9件

1.1%

タイ国籍

14件

1.7%

フィリピン国籍

1件

0.1%

マレーシア国籍

10件

1.2%

メキシコ国籍

4件

0.5%

その他

168件

20.8%

不明

58件

7.2%

合計808件

0

5

10

15

20

25

30

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

論文件数

論文発表年

タイ フィリピン マレーシア メキシコ その他 不明 合計研究者所属機関国籍

(地域)

論文発表年1997-2016年

第2節 全体動向調査

食品用紙器に関する論文について、研究者所属機関国籍(地域)別論文発表件数推移

及び論文発表件数比率を図 5-1 に示した。論文の全体発表件数推移は、2009 年以前は年

により突出した件数もあったが 2010 年以降右肩上がりで増加している。特に近年は、欧

州と中国からの発表件数の伸びが著しい。調査期間を通しての論文発表件数比率は、欧

州が 38.5%、次いで中国 13.5%、米国 10.5%と続いた。日本は 2.4%で、韓国の 2.5%

に続いて 5 位であった。なお、その他の中には、インド 44 件、ブラジル 32 件、カナダ

21 件などの発表件数の国が含まれている。

図 5-1 食品用紙器の研究者所属機関国籍(地域)別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(論文発表年:1997-2016 年)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1A:多角型容器類 12 12 22 46 20 16 12 24 13 18 38 11 6 18 38 43 54 81 71 87

1B:曲面型容器類 10 9 14 33 10 15 10 16 15 11 28 5 5 14 31 40 43 71 64 71

1C:紙袋類 9 8 15 33 12 19 12 16 12 14 28 12 7 23 39 36 51 79 72 78

1D:蓋部・開封部 8 6 12 23 7 11 3 10 8 8 24 3 10 24 31 41 66 55 65

2A:保護性 3 6 7 9 3 3 6 9 6 8 11 5 3 10 21 22 23 52 40 54

2B:便利性 3 11 2 4 5 7 2 5 6 11 2 5 9 7 8 11 12 9

2C:経済性 4 4 8 22 10 3 2 3 4 17 2 1 7 9 4 7 17 10 14

2D:商品性 12 4 14 25 16 16 7 17 12 10 29 8 7 13 41 30 44 72 68 77

2F:作業性 3 1 5 1 1 3 1 1 8 7 4

2G:環境保全性 3 6 6 14 7 9 4 9 7 8 10 1 2 10 20 14 18 35 32 39

2H:少子高齢化対策

3A:紙器材料の改良 4 7 9 22 7 12 8 16 11 11 18 14 12 20 32 29 32 64 55 68

3B:紙器製造の改良 1 2 3 10 6 1 2 3 9 9 3 3 4 6 10 8 9 6 9

3C:紙器の改善 1 1 1 10 2 1 1 1 14 1 9 28 16 4 52 40 39

4A:液状包装製品 4 2 8 8 3 1 2 3 5 6 1 1 3 4 5 7 7 6 7

4B:固形包装製品 4 2 7 18 13 5 8 9 4 13 18 14 12 12 25 15 22 24 31 28

1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

技術区分

論文発表年

論文発表年1997-2016年

大分類1:

紙器の種類

大分類2:

紙器の

課題・目的

大分類3:

紙器の

解決・手段

大分類4:

紙器の

利用分野

第3節 技術区分動向調査

食品用紙器の中分類別論文発表件数推移を図 5-2 に示した。多くの技術項目が増加傾

向を示している。

[大分類 1:紙器の種類]での件数では[1A:多角型容器類]>[1C:紙袋類]>[1B:曲面

型容器類]の順序となり、紙袋類に関する論文の割合が高かった。

[大分類 2:紙器の課題・目的]の件数では、[2D:商品性]>[2A:保護性]>[2G:環境

保全性]の順序であった。論文では[2D:商品性]と[2G:環境保全性]に関する論文の割合

が高い。

[大分類 3:紙器の解決・手段]では、[3A:紙器材料の改良]が最も多く、次いで[3C:

紙器の改善]が続いた。

[大分類 4:紙器の利用分野]は、 [4B:固形包装製品]>[4A:液状包装製品]であった。

図 5-2 食品用紙器の中分類別論文発表件数推移(論文発表年:1997-2016 年)

第4節 研究者所属機関別動向調査

食品用紙器に関する論文発表件数 10 位までの研究者所属機関別ランキングを表 5-2

に示した。1 位はスイス及びイタリア、3 位はスペイン、4 位はフィンランド、中国、イ

ンドの研究機関及び大学であった。日本は 10 位までにランクインしていなかった。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 5-2 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文発表年:1997-2016 年) 順位 研究者所属機関 論文発表

件数

1 Official Food Control Authority of the Canton of Zurich(スイス) 12

1 ミラノ大学(イタリア) 12

3 Univ. of Zaragoza(スペイン) 10

4 ヘルシンキ大学(フィンランド) 7

4 天津科技大学(中国) 7

4 Indian Institute of Technology(インド) 7

7 オーボ・アカデミー大学(フィンランド) 6

7 華南理工大学(中国) 6

7 カセサート大学(タイ) 6

10 ペルージャ大学(イタリア) 5

10 浙江大学(中国) 5

10 広西大学(中国) 5

10 木浦大学校(韓国) 5

10 National Research Center(エジプト) 5

10 Univ. of Jember(インドネシア) 5

第5節 注目論文の調査

食品用紙器における注目論文の選定は、被引用件数の多い論文を用いて行った。被引

用件数の多かった論文上位ランキングを表 5-3 に示した。

表 5-3 食品用紙器の注目論文 No. 筆頭研究者 研究者所属機関

(国籍)

書誌情報 表題(内容) 被引用

件数

1 Begley T.H. アメリカ食品医薬

局(米国)

Food Additives and

Contaminants, 22(10),

p.1023(2005)

パーフルオロケミカルズ:食品包装の

潜在的ソースと食品包装からの移動

189

2 Weber C.J. Royal Veterinary

and Agricultural

University

(デンマーク)

Food Additives and

Contaminants, 19,

No.SUPPL., p.172(2002)

食品産業用バイオベース包材の製

造と応用

158

3 Scannell A.G.M. University

College Cork

(アイルランド)

International Journal of Food

Microbiology, 60(2-3),

p.241(2000)

固定化した Lacticin317 と Nisaplin を

用いたバイオ活性食品包装材料の

開発

143

4 Vink E.T.H. Cargill Dow

(米国)

Macromolecular Bioscience,

4(6), p.551(2004)

Naturework ポリ乳酸ポリマーと

Lngeo ポリ乳酸ファイバーのサスティ

ナビリティ

141

5 Liao C. ニューヨーク州立

大学(米国)

Environmental Science and

Technology, 45(21),

p.9372(2011)

紙及び紙製品中のビスフェノール A

の広範囲に及ぶ拡散と人体への暴

138

6 D'Eon J.C. トロント大学

(カナダ)

Environmental Science and

Technology, 41(13), p.4799

(2007)

ポリフルオロアルキルホスフェート界

面活性剤からフッ素化カルボン酸の

生成、人体被ばくのルート

125

7 Vermeiren L. Ghent University

(ベルギー)

Food Additives and

Contaminants, 19, p.163

(2002)

最近の抗菌包装コンセプトの効果 112

8 Rodríguez A. University of

Zaragoza

(スペイン)

Progress in Organic Coatings,

60(1), p.33(2007)

紙製包材における抗菌溶液としての

天然油の使用、Part II

104

9 Liao C., Kannan K. ニューヨーク州立

大学(米国)

Journal of Agricultural and

Food Chemistry, 61(19),

p.4655(2013)

米国の食品材料中に含まれるビスフ

ェノール A 及びその類縁体の含有量

と性質、人体暴露の意味

101

10 Chiellini E.

ピサ大学

(イタリア)

Macromolecular Bioscience,

4(3), p.218(2004)

環境に優しい分解性バイオベースポ

リマーブレンドと組成物

86

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第6章 総合分析と提言

第1節 調査分析結果のまとめ

包装の歴史は極めて古く、人類発生とともに包装・容器があったといわれている。こ

の時代の包装・容器は貯蔵、分配、運搬などの基本的機能を目的としたもので、包装資

材として葉や皮等、容器としてはつぼ等が使用されていた。紙器は 3000 年来、紙の概念

として考えられていた平面的で柔軟であるという点を打ち破って、底に厚さを与え構造

体として必要な剛性を付与して容器構成を行ったものであり 16 世紀の中国において貼

り箱が作られたのが最初といわれる。包装・容器の技術に大きな変化が生じたのは 1950

年代である。この時代は高度経済成長期と呼ばれているが、それを象徴するのが交通網

の整備を含む流通革命である。そして、流通革命に呼応して多くの商品にプリパッケー

ジが必要になった。この要請に応じてプラスチック材料の包装への応用が活発化し、あ

わせてその利便性を含む新機能が追求されるようになった。例えば、プラスチックボト

ル、真空成形容器、レトルトパウチ、牛乳用紙パック等は、いずれも 1950 年以降に出現

したものである。このように時代の流れとともに生じる社会背景の変化に応じて食品加

工技術が生まれ、それを商品化するに当たって包材や包装技術が開発されるという形で

現在に至っている。

一般に包装容器といっても、材質の違いによりプラスチック容器、金属製容器、ガラ

ス容器、紙製容器(紙器)と非常に幅広い素材が利用されている。包まれる食品は、品

質・特性的に大きく異なる農産物、畜産物、水産物、林産物とそれらの加工品であるこ

とから、それらに対応した品質保持特性を持つことが包装資材に求められる。

消費者の選択する時代に移行するにつれて、包装の保護機能に加えて、販売促進機能

の要求が不可欠になり、同時に印刷適性、商品の保護性、容器としての剛性、包装自動

化の対応、廃棄・再利用する際の適性など様々な要求があり、包装資材の中で紙器の持

つ優れた特性により発展し現在に至っている。

第2節 日本企業等が取り組むべき課題、目指すべき技術開発・知的財産の方向性

1.取り組むべき課題

食品の容器・包装市場は、国や地域によって文化が異なるため、日本企業の多くは国

内市場をターゲットの中心としてきた。しかし、内需は飽和状態であり、少子高齢化や

人口の減少による消費量の縮小などにより国内市場を取り巻く環境は今後厳しくなると

予想される。一方で世界市場は、「世界の包装資材産業の発展の原動力は発展途上国及び

新興工業国家の人口増加と経済発展による需要増加にある」といわれており包装産業全

体で約 4.2%の成長産業と見られている。そのため、日本の容器・包装企業は、このよ

うな国内市場、海外市場の背景を踏まえて将来の事業戦略を立てる必要性がある。

例えば、国内市場では単身者の増加や高齢化に合わせたレンジアップ対応など市場ニ

ーズや社会的背景にマッチしたきめ細かい製品開発が重要になると思われる。

一方で事業の海外展開を視野に入れた必要性に迫られている。しかし、海外展開は自

動車や電気・電子の場合よりもハードルが高く、元来低コスト訴求が強い包装用途にお

いて、安価な海外現地メーカーとの価格競争に太刀打ちできるかが問題として残ってい

る。中国や東南アジアなどでは日本に比べて品質や機能に対する要求はいまだ低いが、

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

一部の途上国では、収穫後ロスが問題となっており「SAVE FOOD」の意識が高揚しつつあ

る。今後、このような地域でも機能性包装の役割がますます重要になってくると思われ

る。日本企業は、「SAVE FOOD」に寄与するバリア包装に高い技術を保有しており、海外

展開の際に差別化製品の武器の一つとして日本企業の強みが発揮できる可能性が残され

ている。

フランスでは使い捨てのプラスチック製カップや皿を禁止する法律が 2016 年に世界

で初めて制定された。環境への配慮は世界の潮流であり包装用容器開発において今後一

層重要となると思われる。板紙自体は、他の包材に比べて環境保全性に優れているもの

の、プラスチックなどと組み合わせた複合紙においても環境保全性を追求する必要があ

る。再生可能・生分解可能なバイオポリマーが開発されているが、包材として使用する

ためには耐熱性やコストなど多くの技術的課題を抱えている。

2.目指すべき技術開発・知的財産の方向性

(1)産業競争力強化の取組について

【提言 1】国内需要は飽和状態であり人口減少による消費量の減少、製造業の空洞化

による物流資材の減少など食品用紙器を含む容器・包装市場を取り巻く環境は一層厳し

いものになると予想される。今後、国内市場をターゲットとする場合は高齢化や単身世

帯の増加などの社会的背景に対応した利便性や快適性などの市場ニーズを追求したきめ

細かい製品開発が求められる。特に段ボール以外の紙器はデザイン性、情報発信性、高

級感などの特徴を有していることから商品の販促効果を意識した開発も重要である。

国内の食品用紙器メーカーの多くは、地産地消を基本とし、国内市場をターゲットの

中心として成長してきた(図 2-4、図 2-6 及び図 2-8)。国内需要は飽和状態であり人口

減少による消費量の減少、製造業の空洞化による物流資材の減少など食品用紙器を含む

容器・包装市場を取り巻く環境は一層厳しいものになると予想される(表 2-3)。

食品用紙器業界は、今後、高齢化などの市場拡大ポイントに焦点を絞り引き続き国内

市場をターゲットにするか、海外市場へ打って出るか、メーカーの戦略・判断が分かれ

るところである。国内市場をターゲットとする場合、現代社会での包装の役割を見つめ

直す必要がある。食品用紙器に求められる機能は社会環境により時々刻々と変化してお

り、食品用紙器メーカーは、このような背景を踏まえ何を重視し消費者ニーズがどう変

化していくのかを解析して戦略を立てる必要性がある。特に、高齢化や少子化や核家族

化に伴うライフスタイルの多様化に伴う消費者ニーズの変化に対応した食品用紙器の開

発が重要と思われる。高齢者社会や単身世帯の増加、女性の社会進出により一人分用包

装食品、包装済調理食品、多種類少量の異なる包装済調理食品、持ち運び容易な包装食

品などの需要が増加するものと予測される。簡単に調理できるレンジアップへのニーズ

や軽量化ニーズなどの機能化や差別化によって国内の需要を掘り起こしていくことが必

要である。

消費者ニーズに対するきめ細やかな対応及び地道に消費者の声を吸い上げ商品に反映

させる姿勢が求められる。消費者調査といえば消費者の嗜好などを探るのが一般的であ

るが、更に掘り下げて消費者の食べ方、飲み方まで調査して製品設計にいかす工夫が重

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

要である。例えば、液状食品用紙器などから飲物を飲む際、8 割以上の人がストローを

使わず飲み口などに直接口を付けて飲んでいることや、約 6 割の消費者が飲料を小分け

して飲んでいる事実から保存しやすいキャップ付紙容器の商品が上市されている。しか

も、日本では高齢化が急速に進んでおり握力の衰えた高齢者にとって、両手で注ぎ口を

押し広げなければならない従来の屋根型紙容器では負担が大きい。また、キャップ付紙

容器は消費者が飲み口から直接楽に飲めるメリットもある。このように消費者ニーズを

的確に把握し、迅速に商品化して市場に提供していくことが一層重要になってくる。今

後、商品の個包装化や包装における「易開封性」や情報と表示、取扱いと操作の「分か

りやすさ」、「使いやすさ」、音声機能など多様性社会における多様な人々への包装設計へ

の配慮(アクセシブルデザイン)が、ますます求められていくと思われる。例えば、音

声機能は、食品の外函に QR コードやバーコード記載に、スマートホンをかざして読み取

ると音声で聞けたり、画面上に多言語での表示が示される。

今回の特許出願技術動向調査でも、[大分類 2:紙器の課題・目的]の中で[2B:便利性]

が最も件数が多かった(図 4-7)。

消費者が商品を選択する時代になって、容器の保護機能に加えて販売促進機能の要求

が不可欠になってきている。紙は元来、文書や書籍など情報伝達媒体として長らく人類

に利用されてきており紙と印刷は不可分の関係である。紙は平面材料で、そこに印刷イ

ンキが存在しやすい無数の空隙があるため他の包材に比べて印刷適性が極めて優れてい

る。紙器は容器の全面を印刷できるのでペットボトルなどより多くの情報を提供できる。

また、音声機能で用いられる QR コードの印刷という点で紙は他の包材に比べて有利であ

ると思われる。紙器(段ボールを除く)の持つデザイン性、情報発信性、高級感などの

優れた特徴をいかして商品の販売促進を意識した包装設計の開発が重要である。特許出

願技術動向調査でも、[大分類 2:紙器の課題・目的]の中で[2D:商品性]は[2B:便利性]

や[2A:保護性]に次いで件数が多かった(図 4-7)。一方で、研究開発動向調査では、[2D:

商品性]の発表件数が最も多く近年急増している分野である(図 5-2)。なお、デジタル

印刷は特許では出願件数が極めて少なかったが、デジタル印刷の進歩に伴い包装のパー

ソナライズ化やオンラインキャンペーンへの対応などによって、消費者の購買意欲を高

める効果があるとして近年注目を浴びている1。

【提言 2】海外展開する際、グローバル規模での企業戦略とともに国や地域によって

規制や文化が異なることからきめ細かに個々の市場を理解することが重要である。紙器

は低コスト訴求性の高い製品であるので海外現地メーカーとの価格競争に巻き込まれな

い品質や機能を付与した高付加価値製品で差別化を図る必要がある。そのためには独自

の製品開発力とユーザーへの提案力が重要になる。例えば、農産物ロス率の高い地域で

の「SAVE FOOD」に対応した保管寿命(シェルフライフ)の延長の期待がある。

食品用紙器の世界市場は成長産業であり、今後、「世界の包装資材産業の発展の原動力

は発展途上国及び新興工業国家の人口増と経済発展による包装需要の増加にある」とい

われている。特に人口の多いアジア地区での成長が著しく、中国やタイ、ベトナム、マ

1 村内一夫、食品包装,59(4),p54(2015)

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

レーシア、インドネシア等東南アジア地域では、経済成長とともにライフスタイルや食

生活が変化し、かつ流通網も整備される中で食品用紙器市場は急激に拡大しつつあり魅

力ある市場となってきている。国内食品用紙器メーカーは、今後は海外市場に拠点を移

す方向が増加するものと思われる(表 2-1)。海外進出には単独進出、企業合併・買収、

資本参加等の企業連携など様々な形態が想定される。いずれの形態においても企業の事

業の水平展開、垂直展開を具現化して事業基盤を強化することが重要である。元来、包

装用途は低コスト訴求性が強い分野であり、簡単な包装技術で日本企業が海外現地メー

カーとの価格競争に太刀打ちできるのかという問題がある。日本はモノを包装すること

へ過剰包装という言葉があるようにこだわりがある国民性である。中国や東南アジアな

どは紙に対しての価値を日本ほど認めていないので品質や機能に対する要求はいまだ低

いのが現状である。しかし、一部の用途や消費者の間では高機能品へのニーズはあると

考えられる。現地の消費者の嗜好や生活習慣、消費習慣、市場の成熟度などが国内とは

大きく違うことからその国にマッチした購買訴求性のある包装設計を含めた包装容器の

提供が必要である。同時に、それぞれ国や地域によって食品包装関連の法律や規則が異

なることから十分にその内容を精通して進出することが肝要である(表 3-3)。すなわち、

国や地域によって規制や習慣、文化が異なることからきめ細かに個々の市場を理解して、

そして海外現地メーカーとの価格競争に巻き込まれない品質や機能を付与した高付加価

値製品で差別化を図る必要がある。例えば、サプライチェーンにおける農産物のロス率

が 10~30%と高い ASEAN 地域などは、「SAVE FOOD」の意識が高まり保管寿命(シェルフ

ライフ)の需要は今後増加すると予測される。日本の包装資材に関する高い技術力は海

外に展開する武器になると考えられる(第3章、第3節)。フィルムのバリア技術を含め

た包装の技術革新は日本企業がリードしてきた1。例えば、日本企業がグローバルシェア

を保有している透明蒸着フィルムを板紙と組み合わせた紙器で、長期保存や電子レンジ

対応などが挙げられる。その場合も機能性包材の品質保持効果や電子レンジで簡単、安

全に調理ができる利便性を理解させることが重要であり、独自の製品開発力とともにユ

ーザーへの提案力が重要になる。

食品用紙器分野は、「モノつくりから知恵つくり」の概念の転換を図っていくべきもの

と思われる。

今回の特許出願技術動向調査においても、[2D4:保管寿命(シェルフライフ)]や[3C2:

紙器の機能化]の出願件数は増加傾向を示している(図 4-7 及び図 4-8)。しかし、ファ

ミリー件数比率は両者とも日本国籍出願人がトップであるが、他国(地域)からの追い

上げが著しい分野でもある。研究開発動向調査でも、両者は増加傾向であるが日本から

の論文発表は僅かである。

なお、健康的であるなどのイメージや美味しさ、見た目の美しさ等の理由から日本食

が世界的なブームになっている。海外からの観光客が帰国した後、日本の食品を食べた

くなるインバウンド需要の期待がある。同様に、農林水産物、食品の輸出も増加傾向に

あり、政府は成長産業化を目指して 2019 年に輸出額を 1 兆円以上にすることを目標に掲

げている2。包装産業の海外市場への展開において、コールドチェーンの整備を含めて製

造業、流通業、外食産業と互いに連携してフードシステムとして事業を拡大する方向も

1 石谷孝佑監修、食品包装の科学、2016 年、日刊工業新聞社 2 http://www.maff.go.jp/j/shokusan/pickup/export.html(2017 年 10 月)

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

考えられる。

【提言 3】板紙の特性を最大限にいかした再生可能で生分解可能な素材を用いた環境保

全性に優れた紙器の商品化を目指していくべきである。包装の技術的ポイントになるの

は、軽量化、易リサイクル、低環境負荷などである。使い捨て食器類を生物由来の素材

に転換することを法律で促進する国が出始めており、環境規制強化の潮流は今後一層広

がっていくと考えられる。持続可能な資源循環型(サスティナビリティ)社会構築に向

け容器包装の再生利用等の推進に努める必要がある。

環境への配慮は包装用容器開発のトレンドの一つである。素材の減容化や廃棄のしや

すさに配慮した包材が必要であり、素材の減容化に伴う強度や安全性の低下を補う構造

上の強化などの工夫が必要である。板紙はプラスチックや金属など他の包材に比べて省

資源、低公害性、分別廃棄性、3R 性(リユース・リデュース・リサイクル性)などの環

境保全性が優れている点が挙げられている。「紙=環境に優しい」というイメージを最大

限に利用した商品開発に取り組むべきである。プラスチックなど他の包材と比べて板紙

の持つ特徴を一層際立たせるためにも完全に再生可能で生分解可能な素材を用いた紙器

が環境性から見た場合の理想の姿と考えられる。例えば、紙パックのキャップ部分をポ

リ乳酸のような生分解性ポリマーを採用する、あるいは再生可能・生分解可能なバイオ

ポリマーと組み合わせた複合紙を製造することが考えられる。バイオポリマーの選定や

調製方法によりバリア性など様々な機能が付与できれば展開が更に大きく広がると思わ

れる。また、ポリ乳酸に代表されるバイオポリマーは、一般に耐熱性が劣り電子レンジ

対応に課題が残されておりポリマー設計を含めた検討が必要である。

今回の調査では環境保全性を目標としたファミリー件数は、増減を繰り返してほぼ横

ばいで推移している(図 4-7)。日本は 2000 年代前半頃までは多数の出願があったが、

これは 1997 年の容器包装リサイクル法施行と関係があると思われる(表 3-2)。その後、

減少し、むしろ海外出願人からの件数増加が目立っていた。フランスでは使い捨てのプ

ラスチック製カップや皿を禁止する法律が 2016 年に世界で初めて制定された。2020 年

までに全ての使い捨て食器類は生物由来の素材を 50%使うことを義務付けている。今後、

このような法律は周辺各国に広まっていくことが予想される。このような法的規制を契

機に「環境に優しい」をアピールした商品開発競争が激化する可能性がある。環境に優

しい包装の技術的ポイントは、軽量化、易リサイクル、低環境負荷などがある1。持続可

能な資源循環型(サスティナビリティ)社会の構築に向け、食品廃棄物や容器包装の再

生利用等の推進に努めるとともに、温室効果ガスの削減対策や生物多様性の配慮など地

球環境の課題を念頭に開発を進める必要がある。なお、紙器の原料は木であり、森林伐

採による環境破壊の可能性がある。この森林伐採による環境破壊を防ぐ制度として、健

全で持続的な森林管理や木材加工、流通システムの改善、向上に取り組む森林認証制度

がある。2015 年に国連サミットで採択された“Sustainable Development Goals”の中

でも地球環境の保全を推進することが宣言されている2。

1 https://www.env.go.jp/recycle/yoki/c_3_report/pdf/h16_lca_chousa_honpen.pdf(2017 年 11 月) 2 http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

(2017 年 11 月)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

(2)知的財産戦略について

【提言 4】食品用紙器に関する海外出願件数比率は、米欧に比べて極めて低く海外で

の知財戦略の対応が遅れている。今後、海外での事業展開に際しては積極的な海外出願

を含めた海外での知財戦略を構築する必要がある。それと同時に、海外進出に当たって

知的財産保護に対する十分な対策が必要である。また、将来の基礎技術を構築する研究

開発では、日本は論文発表件数が少ないので増やしていく方策を考える必要がある。

国内の食品用紙器メーカーは、国内市場が成熟してきたことから海外への事業展開を

視野に入れる必要がある。しかしながら、食品用紙器における日本国籍出願人の海外出

願の割合は、米欧が 35~50%に対して 10%程度と極めて低レベルである(図 4-3)。登

録件数においても同様の傾向である。日本は今まで国内向けの対応に終始して米欧に立

ち遅れているといわざるを得ない結果である。

海外での事業においてどの地域にどの程度の事業規模でどの保有技術などで展開する

のかという事業戦略とそれに関連した知財戦略が重要になる。海外事業に必要と思われ

る特許を事業展開しようとする地域に積極的に出願することが望まれる。

例えば、新興国であるタイ、フィリピン、マレーシア、メキシコへの日米欧からの出

願を見ると、米欧が共にメキシコへの出願件数が非常に多く、市場としての期待がうか

がうことができる(図 4-4(b))。日本からの出願では件数自体が少なく、そのような特

徴が見いだせなかった。

また、海外への事業展開では海外現地メーカーと競合しない差別化した製品の提供が

重要なポイントと考えられることから、その技術に関する知的財産権保護に対して十分

な配慮が必要である。企業努力の成果を知的財産権としてしっかりと確保し、活用する

ことが企業の優位性を保ち存続できる源泉であると思われる。

特に模倣品や類似品に対する意識の低い商品販売国や模倣品頻発国に進出する場合、

現地の競合他社のけん制を含めて知的財産保護に対する十分な対策が必要である。例え

ば、オープンクローズ戦略に基づき自社の持つコア技術を選別して、どの技術をノウハ

ウとして秘匿するか、どの技術で知的財産の占有化を図るのかを選択して対応するのが

重要である。

また、意匠権など特許権以外の他の知的財産権と特許権を組み合わせて食品用紙器の

技術的要素をより強固に保護する戦略も一つの考え方である(図 3-1)。紙器の役割は保

護性、環境保全性、経済性、安全性や開封性など多岐にわたる。それ以外に顧客満足を

充足する包装設計が食品用紙器の売れ筋を決めるケースが多い。美粧性、快適性、伝統

性、購買訴求性、易使用性、創作性などデザイン性は顧客の購買意欲を刺激するもので

あり紙器の重要な役割の一つである。

なお、将来の基礎技術構築として重要な論文発表件数は、日本はトップである欧州の

10%にも達しない件数であった。欧州、中国、米国に比べて日本は論文発表件数が少な

いので増やしていく方策を考える必要がある。また、国内外のプロジェクト数を見ても

日本の研究開発プロジェクトは欧米に比べて必ずしも多いとはいえない状況である(表

3-4)。この種の開発には多岐にわたる技術分野が関係していることから食品用紙器メー

カー単独での商品開発は難しく食品を扱う商品メーカーなど関係部署が連携して効率的

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

に技術開発に取り組むことが有効である。

欧州で研究開発が活発なのは、環境への意識が高い中で多くのプロジェクトを実施し

ていることと関係があると思われる(表 3-4、図 5-1)。日本は、従来、欧米で開発され

た技術を導入し、それを日本に合う形にアレンジして発展してきた。既に 1980 年代には

手本としていたところに追い付いたことで、独自かつガラパゴス化しない技術開発が必

要といわれて久しい。食品包装は新しい機能を模索して各国の開発競争が激化するもの

と予測される。将来の基礎技術を構築する研究開発では、日本は論文発表件数が少ない

ので増やしていく方策を考える必要がある。

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第3部

第4部

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