国家試験対策学習ガイダンス

平成29年度入国インドネシア人看護師候補者就労前説明会

高橋 ゆかり

第107回看護師国家試験の概要実施時期：平成30年2月18日（日）試験地：北海道、青森県、宮城県、東京都、愛知県、石川県、

大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県実施方法：マークシートによる試験試験時間：午前・午後各3時間30分（※EPA候補者特別措置時間）受験資格：(7)経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づき、日本語の語学研修及び看護導入研修を受け、かつ、研修の修了後、病院において看護師の監督の下で国家資格取得を目的として就労している外国人看護師候補者で、厚生労働大臣が(1)から(3)までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの（平成30年３月５日（月曜日）までに厚生労働大臣が(1)から(3)までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認める見込みの者を含む。)

2017/10/19

試験概要：科目と問題種別①人体の構造と機能 ②疾病の成り立ちと回復の促進

③健康支援と社会保障制度 ④基礎看護学 ⑤成人看護学

⑥老年看護学 ⑦小児看護学 ⑧母性看護学 ⑨精神看護学

⑩在宅看護論 ⑪看護の統合と実践

種別 必修問題 一般問題 状況設定問題

概要 基本的で重要な知識や技能に関する専門基礎・専門分野の出題

疾患から看護ケアまで幅広く出題される

患者の状況に応じて看護過程を展開する応用力や判断力が求められる

配点 1問1点50問 1問1点130問 1問2点60問

基準 8割以上 毎回変動（106回では57.3%）2017/10/19

看護導入研修の概要

平成30年版看護師国家試験出題基準に準拠した通訳付き講義

内容

テキスト

研修時間

・過去問題における頻出項目を中心・出題基準領域：必修問題、老年看護学、在宅看護論、

精神看護学、基礎看護学

・翻訳付きテキストは副教材として活用・集合研修仕様オリジナルテキスト（日本語と母国語を連動させた学習用：上下同一内容）

・受験資格に必要な規定時間を、90分1コマで実施（長時間の集中力確保が目的）

2017/10/19

導入研修の反応からみた今後の課題

日本語コンプレックスを取り除く指導：母国語での理解優先

日本語コンプレックス

質問ができない「分からない」と言えない

相談せず自分本位に進める

理解の内容を確認できない

誤った理解のままでいる

「報・連・相」に抵抗感がある

学習意欲が低下

2017/10/19

看護師国家資格取得を目的とした就労環境：学習支援の視点

学習時間

学習環境

学習方法

学習教材

・試験時間(3時間30分)を意識した学習時間の確保

・研修内容や研修方法(講義・自己学習・個別指導等)に合わせた工夫

・看護場面や処置等の見学や体験を含めた就労の工夫(出題基準を確認し、看護学実習生と同様に経験)

・頻出項目に絞った効率的学習(学習ガイド参照)・看護専門知識の習得を優先(日本語能力試験の学習は後回し)

・母国語での理解を優先させる看護専門書・基礎教育や日本語教育とは別の国家試験対策専門書2017/10/19

看護師国家試験の対策：指導者編

国家試験を知る：新出題基準・頻出傾向

候補者の特性 を知る：

得意・不得意、性格など

候補生にあった学習方法を知る：

成績を踏まえた学習方法

学習目標・計画立案チェック

計画の実践と

振り返り確認

2017/10/19

国家試験を知る：新出題基準・頻出傾向

限られた時間では、学習の優先順位(頻出項目の学習)が最重要

新出題基準 頻出傾向

・出題意図を把握できる・｢生活者｣の視点、｢療養の場の多

様化｣に伴う看護サービス・｢看護の統合と実践｣：複数科目

を含む多重課題・トピックス：労働、再生医療、

薬剤耐性、災害、人権など

・過去問題の出題テーマから8割程度出題されている(頻出項目は学習ガイド参照)

・過去問題のプール制：正答率70%以上の良問活用

・新傾向：長文事例による情報の取捨選択能力を問う出題

2017/10/19

候補者の特性を知る：EPA候補者のレディネス

看護専門知識

日本語能力

モチベーション

学習内容や国家試験レベルが異なる

日本語は難しい！

正看護師は無理！准看護師でよい

学習方法が分からない

学習した内容を忘れている

N3・N2レベルがないとダメ！

3年経過したら帰国すればよい

日本語が分からないと無理！

文化や環境の違いが要因で理解できない

漢字が難しい！

話すのが苦手！

2017/10/19

レディネスに合わせた指導方針

看護専門知識

日本語能力モチベーション

合格

80% 60%

40%

母国での教育経験をあてにしない！

実務に必要な会話能力と国試対策に必要な能力を区別

する！！

苦手意識(日本語・専門科目)を助長させない！

small step法で達成感を与える！

看護基礎教育と切り離す！

候補者にとっては外国語であることを再認識する！！

母国語での理解を優先！

2017/10/19

EPA候補者を対象とした国家試験対策EPA候補者の特性成人の特性

・自分の立場・状態に関したテーマに興味をもつ

・成果に直結する学習を好む

・目標は具体的である

・強い固定観念やこだわりがある

・経験が学習に役立つ

・社会保障制度への関心

・人体/疾病等の基礎医学

・資格取得？ 仕送り？

・日本語能力が絶対必要

・看護技術/理念の違い

国試対策としての指導

・頻出項目に絞る・看護領域での学習

・得意な看護領域を優先・配点を指導

・正看護師資格取得のみ・EPAの趣旨

・母国語での理解優先・日本語教育と切り離す

・理解度の確認・違いの確認

2017/10/19

候補生にあった学習方法を知る：学習方法

目標設定・

計画立案

要点学習

問題練習間違い直し・

まとめ

確認テスト

2017/10/19

学習目標・計画立案チェック～計画実践と振り返り確認【目標設定の方法】

• 現状に合わせて無理なく設定

• 目標設定の主体は候補者自身

• 学習時間を考慮してアドバイス

• 随時、修正しながら進める

• 達成できたら喜びを共有する

• 達成時の「ご褒美」を各自で用意

• 成功体験を大切にする

• 達成可能な小さな目標（科目毎）を併用

5

月

6

月

7

月

8

月

9

月

10

月

11

月

12

月

1

月

2

月

3

月

2018 年度 2

月

3

月

合格

合

格

第 1 回

模試

必修

33点

一般・状況

140点

第 2 回

模試

必修

38点

一般・状況

150点

第 107 回

国家試験

必修

45点

一般・状況

170点

第 3 回

模試

必修

42点

一般・状況

160点

長期

目標

短期

目標

第 1 回

模試

必修

25点

一般・状況

100点

第 2 回

模試

必修

30点

一般・状況

120点

第 107 回

国家試験

必修

40点

一般・状況

140点

第 3 回

模試

必修

35点

一般・状況

130点

超長期

目標

短期

目標

第 108 回

国家試験

必修

45点

一般・状況

170点

長期

目標

2017/10/19

国家試験対策学習の原則

●「要点学習」→「問題演習」の学習順の場合 ●「問題演習」→「解説理解」の学習順の場合

要点A

要点D

要点E

要点C

要点B

要点F

問題１

問題2

問題4

問題5

問題6

問題3

国試問題１

国試問題2

× ×

要点A

要点D

要点E

要点C

要点B

要点F

問題１

問題2

問題4

問題５

問題6

問題3

国試問題１

国試問題2

○ ○

要点学習 解説理解 問題演習 項目クリア

わからない

わかる

2017/10/19

学習計画の立案方法：5クールに分けた計画【前半期(5月～9月)：第1～第2クール】

・要点学習を中心に基礎的知識をつける

・正文リストを用いた要点暗記など

【後半期(10月～2月)：第3～第5クール】

・問題演習と解説理解を中心とした実践学習

・一般問題 → 状況設定問題 → 必修問題

5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

第 1クール 第 4クール 第 5クール 第 2クール 第 3クール

学習内容確認と

基礎的専門知識の学習

知識の応用

(状況設定問題)

知識の確認

(一般問題)

基礎的専門知識の定着

必修対策と

知識の統合

要点学習 問題演習→解説理解

2017/10/19

EPA候補者学習支援に向けて：視点を変えて

合格基準142点(57.3%)：合格率88.5%103回：167点(66.8%)、88.8%

5肢択2問題が増加（31問37点分）短文事例問題が増加（26問）

日本語が上達しない同僚や友人と母国語での会話が多い

計画通りに学習できない

・合格率の変動は少ない：下位15％でなければよい・250点中80～100点は得点できなくて良い：

不得意科目の強化は最終段階でも良い

・全問不正解でも63点：まだ15～35点は猶予がある

・国試は音読や日本語面接はない：選択できれば良い・母国語での国試対策学習で理解が進めば効果的

・計画に無理があった：達成できる目標や計画に変更

「分からない」と言わない質問がないが、結果に反映していない

・「分からない」こと、質問事項が判らない：判っているかどうかを確認する：小テストや口頭試問

モチベーションが上がらない・モチベーションは自分でしかあげられない：上げようとしない・指導者のモチベーションが影響する：まずは自分から

2017/10/19

ご清聴ありがとうございました

2017/10/19