平成30年度 テレワーク 推進企業等 -...

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~輝くテレワーク賞~ 事例集 平成30年度 テレワーク 推進企業等 厚生労働大臣 表彰

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Page 1: 平成30年度 テレワーク 推進企業等 - tw-sodan.jpでワーク・ライフ・バランスを実現している。 会社概要 組織名 名称:味の素株式会社 創立:1925年

~輝くテレワーク賞~事例集

平成30年度

テレワーク推進企業等厚生労働大臣

表彰

表紙.indd 2-3 15/10/21 9:49

厚生労働省 雇用環境・均等局

受託:一般社団法人日本テレワーク協会

テレワーク月間(11月)は産学官で構成するテレワーク推進フォーラムが主唱している国民運動で

)照参をLRU記下は細詳(。すhttp://telworkgekkan.org/

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Contents

テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰の募集概要…………………2

味の素株式会社……………………………………………………………………………………………… 4

アフラック生命保険株式会社……………………………………………………………… 12

SCSK 株式会社…………………………………………………………………………………………… 18

TRIPORT 株式会社…………………………………………………………………………………… 24

(五十音順)

厚生労働大臣賞 特別奨励賞

厚生労働大臣賞 優秀賞

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テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰 〜輝くテレワーク賞〜

 テレワークは、仕事と育児等の両立や時間の有効活用などによって、ワーク・ライフ・バランスの向上に繋がるとともに、介護離職等による人材の流失防止に資するなど様々なメリットがある働き方です。 このテレワークをさらに普及・推進させていくため、厚生労働省では表彰制度を設けました。テレワークの活用によって労働者のワーク・ライフ・バランスの実現において顕著な成果をあげた企業等を表彰し、先進的な取組を広く社会に周知してまいります。

表彰の対象と種類

■…厚生労働大臣賞「優秀賞」テレワークの活用によってワーク・ライフ・バランスの実現を図っている企業・団体のうち、特にその取組が優秀と認められる企業・団体を表彰。

■…厚生労働大臣賞「特別奨励賞」テレワークの導入に当たって、様々な工夫を凝らす等、他の企業・団体の模範となる取組を行う企業・団体を表彰。

〈例〉●テレワーク活用が難しいとされてきた業界において効果的な取組を行っている

企業・団体●テレワーク活用が難しいとされてきた職種において効果的な取組を行っている

企業・団体●効果的な取組を行っている中小企業・団体●テレワークの普及・推進に貢献して、顕著な成果をあげている企業・団体

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■…厚生労働大臣賞「個人賞」

[表彰対象者 1]テレワークを積極的に活用し、ワーク・ライフ・バランスを実現している労働者を表彰。

〈例〉●ロールモデルとなる働き方によってワーク・ライフ・バランスを実現している

労働者●その他、テレワークの積極的な活用によってワーク・ライフ・バランスを実現

している労働者

[表彰対象者 2]雇用型のテレワークの普及・推進に貢献した方を表彰。

〈例〉●自らが所属する企業・団体において、テレワークの導入活動や制度設計など環

境整備に尽力した労働者●他の企業等が参考となるテレワーク実施時の工夫について発案し、業界や地域、

社会等に広く影響を与え、活動をリードして行った者●その他、テレワークの普及・推進に貢献した者

■…応募期間平成 30 年 6 月 15 日(金)〜 8 月 24 日(金)

■…審査テレワークに関して知見を有する学識者等から構成される審査委員会において審査

■…審査結果の発表・表彰式11 月 29 日に表彰式を開催

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 テレワークの取組、ワーク・ライフ・バランスの実現ともに極めて優れている。特に、生産オペレーターもトライアルを実施するなど、テレワークを活用した多様な働き方でワーク・ライフ・バランスを実現している。

会社概要

組織名名称:味の素株式会社

創立:1925 年

組織代表者役 職 代表取締役 取締役社長 最高経営責任者

氏 名 西井 孝明 (にしい たかあき)

業種 製造業

所在地 東京都

総従業員数 3,464 人(2018 年 3 月時点)

テレワークの導入形態終日在宅勤務 部分在宅勤務 

モバイルワーク サテライトオフィス

テレワークの利用者数(過去 1 年間) 2,922 人(2018 年 3 月時点)

■制度の整備状況

 「どこでもオフィス」という名称で、自宅やサテライトオフィスの他、セキュリティが確保され、集中して勤務できる場所であればどこでも勤務できるテレワーク制度を導入している。現在では生産オペレーターを含む全社員の 84%がテレワークを活用している。2014 年 10 月から最大月 4 回を上限とした在宅勤務制度を導入していたが、2017 年 4 月に現行の制度に改めた。

〈テレワーク制度のポイント〉○試用期間中や新卒採用者で勤続 1 年未満の社員などを除く全社員が対象。○最大週4日まで、終日のみならず 30 分単位で活用できる。○コアタイムなしのフレックスタイム制や時間単位年休との併用が可能。

基本的な事項

味の素株式会社

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(図表 1 「どこでもオフィス」の概要)

■経営上の位置付け

 テレワークの実施は、多様な人財の活躍を実現する上で不可欠な働き方であるという観点から、テレワークを含めた働き方改革推進の取組を中期経営計画に入れるとともに、経営会議をサテライトオフィスで実施するなど、経営トップが率先して推進している。 また、「どこでもオフィス」の導入にあたり、経営企画、情報、人事、総務部門からなる経営直轄の会社横断の働き方改革事務局を設置した。現在ではさらに、事業や営業を統括する組織、調達や財務部門も加えた働き方改革拡大事務局を設け、全社横断的に取り組んでいる。

■周知・啓発方法

 テレワークを含めた働き方改革に関する社内情報サイト「るるく」を作成し、月 2 回以上、各部署のテレワークの好事例等を共有している。 さらに、社長自ら、社内報にてテレワークの意義やメリットについて情報を発信している。

■人事・労務管理の整備

 労務管理は勤怠管理システムを活用している。テレワーク等、社外からのネットワーク接続時刻(仮想私設通信網(VPN)の接続履歴)を勤怠管理システムに客観時刻として表示させている。テレワーク利用者は、その時刻をもとに勤怠管理システムへの入力を自身で行っている。自身の入力時刻と客観時刻に 30 分以上の差異がある場合は、テレワーク利用者本人がその差異理由を申請し、上司はその内容を確認するというステップを必ず踏むようにしている。

~「どこでもオフィス」の導入~顔を合わせないと仕事ができないという既成概念を打破する

ルール策定(緩和)・週1の出社以外は利用制限なし・申請は前日まで、終了報告不要・業務内容・場所は問わない・育児・介護との併用可

風土醸成・管理職は週1回(ルール) 「どこでもオフィス」・テレワークデー本社実施・サテライトオフィス利用料は 全社負担(部門負担なし)

基盤整備・軽量PCの全社導入・社宅サテライトオフィス化・社外サテライトオフィス契約・モバイル勤務履歴(VPN)の開示

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■情報通信環境の整備

【在宅勤務、モバイル勤務】 全社員にカメラ付き軽量パソコンとスマートフォンを貸与し、スマートフォンのテザリング機能を用いてテレワークができる環境を整備することで、自宅に LAN 環境がなくともテレワーク出来る仕組みを構築している。

【サテライトオフィス勤務、モバイル勤務】 サテライトオフィス会社と契約し、全国約 140 拠点のオフィスを利用可能としている。また、自社の事業所内にサテライトオフィススペース(全国 11 拠点)、社宅にサテライトオフィス(東京・大阪の 2 拠点)をそれぞれ設置し、サテライト環境を確保している。

(写真 1 サテライトオフィス勤務風景)

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ワーク・ライフ・バランスに関する事項

■健康で豊かな生活のための時間の確保

【労働時間の工夫】 テレワークの拡大に合わせ、2017 年 4 月より所定労働時間を 20 分短縮(年間 80 時間相当)したほか、生産オペレーターを除く全社員にコアタイムなしのフレックスタイム制度を適用している。 この取組の結果、テレワーク利用者を含む全社員の総実労働時間が対 2016 年度比で 75 時間減少して 1,842 時間になったほか、短時間勤務者が 14%減少して、よりフルタイムで働くことができる環境整備ができた。

 テレワーク等、社外からのネットワーク接続時刻(仮想私設通信網(VPN)の接続履歴)を勤怠管理システムに表示して労働時間を見える化することにより過重労働を防止している。 さらに、本社閉館時刻の前倒し(水曜 17 時、水曜以外 19 時)を実施し、所定労働時間内での業務終了を奨励している。本社が早く業務を終了することにより、テレワーク中でも19 時以降の指示依頼等が少なくなった。その結果、2016 年度比で平均終業時刻が 18 時前の社員がテレワーク利用者を含めて、25%増加し、75%となった。  また、毎週金曜日の午後をノー会議とし、半休取得、テレワークの活用を推奨している。これらの結果、対 2016 年度比でテレワーク実施者が 37%(約 800 名)、総実施回数が約37,000 回増加した。

■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択

【多様な人材の活躍】 定年退職後のシニア社員や障がいを持つ社員もテレワークの対象として利用を推奨している。この結果、2016 年度比で定年退職後のシニア社員利用者は 2.4 倍(20 人から 48 人)となり、総実施回数は 1.2 倍となった。また、障がいを持つ社員の利用者は 1.7 倍(24 人から 41 人)となり、総実施回数は 2.4 倍となった。

【育児・介護と仕事の両立】 テレワークの申請は原則前日まで、上司了解の場合は当日申請も可能としているため、育児や介護を担う社員にとって、利用しやすい柔軟な制度となっている。制度概要や情報管理・セキュリティ対策等を規定した「「どこでもオフィス」運用ガイドライン」において「テレワーク中の育児・介護と勤務の併用を可能」と明記することで、テレワークの前後、または合間に、育児・介護に従事しながら勤務することを推奨している。 2016 年度比で 16 歳未満の子どもを持つ社員の総実施回数は 1.4 倍となった。

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【その他】 通常はテレワークが難しい生産オペレーターも、テレワークが実施できるように積極的にトライアルを行っている。トライアルの結果、川崎事業所では生産オペレーターのテレワークの実施に成功した。 川崎事業所の例(図表 2、3 を参照)では、工場に勤務する日勤の班長と日勤社員の A さんが在宅勤務で棚卸データの入力や生産計画の資料作成などの事務作業を行った。この結果、事務作業を効率的にできたことで空き時間が生まれ、その時間を活用して生産オペレーターの仕事を日勤班長と日勤社員の B さんが担当した。これによって、生産オペレーターの交替勤務者も一部の事務作業を在宅勤務で実施することができた。 工場の平均年齢は 40 歳代前半であり、今後、介護等の必要が生じた場合でも柔軟な勤務ができる体制があることが強い組織につながると考え、成功事例を工場の報告会でも共有し、好事例の横展開(水平展開)を推進している。

(図表 2 工場における事務作業の在宅勤務促進事例)

7時 8時 13時 15時 17時日勤班長日勤Aさん日勤Bさん交替班

①在宅勤務(棚卸データ入力)

①在宅勤務(生産計画資料作成)

運転・監視3直監視

原料調合作業 SAP入力

事例紹介(川崎事業所の取組み)

目的 : マルチスキル・人事制度を活用し働き方の幅を更に広げる!取組み ①事務作業の在宅勤務推進 ②交替班の一部在宅勤務の実現

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(図表 3 工場における生産オペレーターの在宅勤務実施事例)

 交通機関の乱れが予想される天災時におけるテレワークも推奨している。 2018 年 1 月 22 日、1 月 23 日の関東エリア降雪時には、本社社員の 60%がテレワークを実施した。

(図表 4 本社の仮想私設通信網 (VPN) への社外からのアクセス数)

 また、勤務場所を問わないテレワーク制度としているため、交通費の安い時期に早めに帰省し、帰省先でテレワークを実施したあとに、長期休暇を取得することが可能となっている。

7時 8時 13時 15時 17時日勤班長日勤Aさん日勤Bさん交替班

棚卸 SAP入力

資料作成

運転・監視⇒②在宅勤務(事務作業)

3直監視

原料調合作業&監視

SAP入力⇒運転

取組み ①事務作業の在宅勤務推進 ②交替班の一部在宅勤務の実現

生産部門で難しいと言われる事も多いが工夫次第で「働き方改革」の取り組みは可能!

社外からのアクセス数600600

500

400

300

200

100

02018年3月2017年4月

7月24日テレワークデイ

10月23日台風23号

1月23日関東積雪

2月2日関東積雪

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■社員の満足度

 「どこでもオフィス」やコアタイムなしのフレックスタイム制の導入などをはじめとする柔軟な働き方の導入や、成果にコミットした自律的な働き方を促す意識改革などの取組の結果、2017 年度に組織での働きがいや仕事への熱意に関する意識調査「エンゲージメントサーベイ」を実施したところ、79%の社員が「働きがいを実感している」と回答した。

他社の模範となる取組に関する事項

■労務管理上の工夫

 「「どこでもオフィス」運用ガイドライン」に、「どこでもオフィスの活用自体による人事評価ヘの影響はない」ことを明記し、テレワーク実施者についても公正に評価している。また、人事評価の要素の1つに 2017 年度から「生産性向上」を入れている。

 所定外労働時間と休日労働時間の合計が 60 時間を超える場合は保健師からアンケートを送付し、80 時間を超える場合は産業医または保健師による面談を行っている。

■環境整備上の工夫

 全社員にスケジューラーの入力を徹底することで、モバイル環境下でも会議調整できるようにしている。 テレビ会議を効率的に実施するための大画面ディスプレイを全社で 80 台、役員室・会議室に導入しているほか、スピーカーとマイクを配置し、いつでも簡単にテレワーク利用者と会議ができる環境を整備している。

(写真 2 テレビ会議の実施風景)

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■生産性向上の工夫

 テレビ会議を奨励するほか、全社でペーパーレス化を推進しており、ペーパーレス会議の推奨、領収書の電子申請、パソコンからの FAX 受発信等を実施している。 この結果、テレビ会議の実施回数は 2016 年度比で約 2 倍となるとともに、ペーパーレス化については、経営会議・取締役会で約 13 万枚、本社コピー枚数は約 100 万枚削減(20%削減)を実現した。 さらに、本社では 2019 年 4 月に向けて順次フリーアドレスを実施しており、1 フロアでフリーアドレスを実施した結果、9 割の書類キャビネットを削減できた。

■その他

 テレワーク・働き方改革の取組を日本全体に広げるべく積極的に講演・取材へ協力している。2017 年度以降の講演数は 45 件、取材数は(他社、マスコミ、政府機関等)60 件となった。 また、テレワーク・デイズにも積極的に参加しており、2018 年度は味の素国内グループ会社(4社)を含む、東京及び近郊地区勤務者の計3,000 名を対象に7月23日〜27日の複数日でテレワークを実施した。この結果、通常の 1.3 倍となる 1 日平均 1,089 名がテレワークを実施した。

(図表 5 テレワーク・デイズ期間におけるテレワーク実施者数)

(写真 3 テレワーク・デイズ時のオフィス風景)

テレワーク実施者数1,400

1,200

1,000

800

600

400

200

07/23(月) 7/24(火) 7/25(水) 7/26(木) 7/27(金)

965

1,171 1,087 1,119 1,104

■終日 ■AM ■PM

360

237

368

347

292

532

348

264

475

326

247

546

307

244

553

味の素株式会社

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アフラック生命保険株式会社

会社概要

組織名

名称 : アフラック生命保険株式会社

創立 :1974 年※※アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス日本支店の創立年。アフラック生命保険株式会社の営業開始は 2018 年 4 月 2 日。

組織代表者役 職 代表取締役社長

氏 名 古出 眞敏(こいで まさとし)

業種 生命保険業

所在地 東京都

総従業員数 4,946 人(2018 年 3 月末時点)

テレワークの導入形態終日在宅勤務 部分在宅勤務 

モバイルワーク サテライトオフィス

テレワークの利用者数(過去 1 年間) 3,835 人(2018 年 7 月末時点)

■制度の整備状況

 在宅勤務を 2015 年にパイロットとして実施し、2016 年 4 月に全社へ導入した。育児や介護等の理由の如何を問わず、全社員に在宅勤務を認めている(ただし所属長の承認が必要)。  自宅や事業所以外でも、社内システムにアクセスできるモバイルワーク環境も整備しているほか、全社員が利用できるサテライトオフィスやコワーキングルームを、首都圏を中心に主要拠点内に設置している。

■経営上の位置付け

 創業 50 周年に目指す姿として策定した「Aflac VISION2024」の実現に向けた中期経営計画において、「新たな価値創造に向けた組織・人財基盤の強化」の柱に「Work SMART」(※)の推進を掲げている。その中で、時間と場所に捉われない働き方の実現に向けて、テレワーク促進を行うことを明確に示し、経営トップ自ら強力に推進している。 (※)仕事の進め方・働き方の基本指針として「アフラック Work SMART」を定め、「仕事の進め方 5 原則」を実践している。

基本的な事項

 全社員がテレワークを利用可能にするとともに、全営業支社に販売代理店とのWeb会議システムを導入する等の環境整備を行い、生産性向上効果を得ている。

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■周知・啓発方法

 全社員が視聴する社内ニュース(映像)や、イントラネットを活用し、定期的にテレワークに関する情報を提供している。また、全社員向けにテレワークに関する不安や疑問解消を目的とした「テレワークセミナー」を実施し、テレワーク推進のパイロット部門による実例紹介や外部有識者の講演を行い、テレワーク促進に関する意識醸成を行った。 このほか、非対面のコミュニケーション方法などテレワークの活用スキルやノウハウの習得と定着を目指し、e ラーニングを年 2 回実施している。

■人事・労務管理の整備

 労務管理用のソフトウェアを利用している。また、社員は予定表に 1 日の行動・業務内容を入力して所属員に公開するとともに、在席管理システムを活用して在席状況の確認を行っている。テレワーク勤務の開始時・休憩開始時・勤務終了時には、上司に連絡することを手順書に定めている。在宅勤務は年 1 回「在宅勤務実施誓約書兼申請書」を提出すれば、事前申請不要で、回数制限なく実施可能としている。  労働関係法令と勤怠の実務的運用ルールを整理した「労働時間の適切な管理に関するガイドライン」を自社独自で制定し、その内容を動画形式で全社員が視聴している。  テレワーク時に使用するシンクライアント形式のノートパソコンやタブレット端末においては、業務終了後はシャットダウン(ログオフ)することを定めており、勤怠システム上にパソコンのログオフ時間が表示される仕組みとなっている。社員のログオフ時間と業務終了時間が一定時間乖離している場合は、システム上承認できない仕組みとした上で、乖離時間発生時にはモニタリングを実施し、労働時間の適切な管理を実施している。

■情報通信環境の整備

【在宅勤務】 シンクライアント形式のノートパソコンやタブレット端末を全部門の社員に貸与しており、テレビ・Web 会議を併用しながら通常業務を行うことが可能となっている。 また、保険会社は数多くの個人情報を扱うが、一定のセキュリティを確保したうえで個人情報を扱う業務を在宅勤務でも認めており、全部署で在宅勤務が可能となっている。

【サテライトオフィス勤務】 首都圏を中心に全 8 か所にサテライトオフィスを設置している(新宿区、調布市、丸の内、横浜市、八王子市、町田市、千葉市、さいたま市)。複合機やデュアルディスプレイなど、自席と同様の環境を整備している。サテライトオフィスの利用にあたっては、イントラネット上で座席を予約するのみで利用可能となっている。

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【モバイル勤務】 モバイルツールとして、スマートフォン、タブレット端末を貸与している。外出先からでも、マニュアルの確認、メールの対応、報告書の作成など、場所を選ばずに社内と同様に業務遂行できる環境を整備している。

ワーク・ライフ・バランスに関する事項

■健康で豊かな生活のための時間の確保

【労働時間の工夫】 テレワーク利用者を含め、全部門・全社員が理由を問わずシフト勤務・フレックスタイム制度・時間単位年休等の柔軟な勤務制度を利用可能である。シフト勤務は、朝 7 時から夜 9時の時間帯で 8 パターンの勤務帯を一日単位で選択することができ、フレックスタイム制度は、部署単位でコアタイムの有無を選択可能である(コアタイムなし(スーパーフレックス)を 160 部署中 154 部署で選択している)。また、短時間勤務制度も整備しており、時間に制約のある社員でも、柔軟に勤務できる環境を整備している。 この結果、1月あたり 15 営業日以上シフト勤務を利用している社員は前年比 1.3 倍(2016年:555 人、2017 年:734 人)となった。柔軟に勤務できる風土が定着したことにより、対象社員全員が在宅勤務を年 1 回以上実施し、在宅勤務月間平均利用率は 2.7%(2016 年)から 23.0%(2017 年)へ上昇した。

(図表 1 個人が選択できる働き方の広がり)

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■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択

【多様な人材の活躍】 全社員が、テレワークを利用できる環境としているため、60 歳以上の社員も積極的に活用している。60 歳以上の社員 100 名のうち、19 名がテレワークを活用しており、頻度の多い社員では、月間平均 11 日利用している(2018 年 1 月〜 7 月実績)。

【育児・介護と仕事の両立】 子供が小学校を卒業するまで「短時間勤務制度」の利用が可能だが、テレワークやシフト勤務・フレックスタイム制度の活用により短時間勤務からフルタイム勤務への転換を推奨している。これにより、社員のキャリア形成支援の一助となっている。 テレワークを活用することにより、時短社員比率(※)が年々減少している。

・2015 年: 53.4% → ・2016 年: 50.1% → ・2017 年: 44.4% (※ 時短社員比率 = 短時間勤務制度取得人数/短時間制度取得可能人数)

【その他】 テレワークを活用した人材育成の取組を実施している。通勤の制約から東京本社に勤務できない社員に対し、テレワークを活用することで、本社の地方支社駐在として、地方支社にいながら本社の部門の業務を遂行する試みを実施している。 実際に、横浜の営業支社の社員が、支社にいながら東京本社のお客様サービス企画部門の業務を新たに覚え、業務を担うことができるか挑戦した。この挑戦にあたり、事前に業務プロセスの可視化と業務遂行に必要な社員の能力要件を整理した上で OJT 計画を策定し、拠点間のシステム環境も整備した。 結果として、量、質ともに本社と同様のレベルで業務遂行することができた。参加した社員からは、「上位職へのチャレンジに向けて、拠点を変えたり転勤したりせずとも、複数のキャリアパスを描ける希望を持てた」との感想が寄せられている。  この取組は場所の制約からキャリアに制約を設けていた社員に対し、様々なキャリアパスと成長機会を提示できる仕組みであると同時に、会社にとっても、経験と知識と能力を持つ社員を適正配置する手段として有効な仕組みとなる。

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■社員の満足度

 テレワークやシフト勤務をはじめとする柔軟な勤務制度を活用して働けるようになったことで、全社意識調査において、「当社は、ライフイベント(出産・育児・介護等)があったとしても、長く働き続けられる会社だと思う」という設問に対し、全社員の約 8 割が肯定的な回答をしている。 また、「私の職場には、成果をあげ組織貢献していれば、労働時間や働き方の自由が認められる雰囲気がある」という設問に対し、約 8 割の社員が肯定的な回答をしている。育児・介護を抱える制約社員のみならず、通院治療や自己啓発や趣味との両立にも活用されており、育児中の社員も気兼ねなく利用できる風土醸成に成功している。

(図表 2 社員の意識変化)

■その他

 2017 年より全社員(一部休職者等を除く)が在宅勤務を年 1 回以上実施している。全社員がオフィスの外での業務遂行を体験することで、在宅勤務者が置かれた環境や立場の理解促進に繋がった。また、育児や介護を抱える社員に限定せずに全社員が挑戦したことで、時間を意識して柔軟に働く意識が全社員に広がり、結果として育児や介護を抱える社員も気兼ねなく制度利用できる環境が整っている。 また、がんなど傷病の治療と就労を両立するうえで、在宅勤務やフレックスタイム制度などを利用することにより、無理なく働ける環境が整備されている。

他社の模範となる取組に関する事項

■労務管理上の工夫

 全社員が、テレワークを利用できる環境にあり、2017 年より全社員が年間 1 回以上の在宅

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勤務実施を目標として掲げているため、テレワーク利用者が人事評価上不利益な扱いを受けることはなく、適正な評価がなされている。 ■環境整備上の工夫

 IT のインフラ(在宅勤務用のシンクライアント端末貸与と仮想私設通信網(VPN)の構築、サテライトオフィス、モバイルワーク、テレビ会議、電話会議等)を拡充した。日米間や全国の各拠点間が繋がる集合型テレビ会議システムのほか、自席または社外からも参加可能なテレビ会議システムも完備した。  取引先への訪問や受電・来客などの業務特性から制度利用の少ない営業部門とオペレーション部門に対してテレワーク推進策を実施している。具体的には、営業部門には担当の取引先の特性に合わせた活用事例の展開や、テレワークに適した業務の棲み分けなどを実施している。 オペレーション部門には、個人情報の取り扱いを在宅勤務にも拡大し、社用携帯電話、大型ディスプレイなど会社と変わらない環境を整備している。  また、単身赴任者や時短勤務者などによる一週間連続での在宅勤務や全所属員がテレワークでテレビ会議を実施するなどの取組を実施した。この取組事例を全社に展開することにより、今まで利用頻度の少なかった部門への意識醸成・環境整備に繋がり、全社の利用促進に成功した。

■生産性向上の工夫

 社員の大半を占める全国 85 営業部・支社の営業社員は、日々代理店を訪問してコミュニケーションをとっているが、地域によっては車で往復 6 時間から 8 時間かけて訪問するケースや、天候によっては車での移動が困難な地域がある。 移動時間の削減や時間効率を上げるための取組として、テレワークの促進による取引先である代理店とのコミュニケーション改革を実施している。 全営業支社に販売代理店との Web 会議システムを導入し、社内のみならず、代理店との間でのテレワークも実現した。代理店側は専門の端末を整備することなく、カメラが付いているパソコンもしくはスマートフォンやタブレット端末があれば Web 会議を行えるようになった。 実際に訪問しなくても、気軽にコミュニケーションがとれるようになったことにより、月 1〜 2 回の訪問頻度であった代理店に対しても、Web 会議を通して気軽に顔と顔を合わせたコミュニケーションがとれるようになった。 テレワークによって削減された時間を営業実績創出のための時間に費やすことが出来るようになっている。 また、営業現場における所定外労働時間も前年同期比で 16.6%(2018 年 1 月〜 6 月実績)削減している。この取組は、単なる移動時間削減の取組に留まらない、従来の足で稼ぐ営業の在り方を変え、対面に頼らない営業スタイルの構築につながっている。

アフラック生命保険株式会社

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 テレワーク実施時の長時間労働防止対策を工夫することで、健康で豊かな生活のための時間の確保を図っている。

SCSK 株式会社

会社概要

■制度の整備状況

 2007 年に「在宅勤務細則」を制定して、在宅勤務を導入している。2017 年より在宅勤務だけでなく、サテライト勤務やモバイル勤務も可能なテレワーク制度に変更し、規定も「リモートワーク細則」に改めた。〈リモートワーク細則のポイント〉

○全社員が対象で、月 8 回までは人事部門への特別な申請は不要で、上長の承認のみで実施できる。

○妊娠・育児・介護といった事情がある場合には、人事部門への申請の上、月 8 回を超えて実施できる。

○在宅勤務については、自宅だけでなく一親等以内の家族の住む実家でも実施可能としている。

■経営上の位置付け

 2013 年より働き方改革に本格的に取り組んでおり、その施策の一つとして、2015 年より「どこでも WORK」を推進している。「どこでも WORK」は、オフィスの自席を前提としない働

基本的な事項

組織名名称:SCSK 株式会社

創立:1969 年

組織代表者役 職 代表取締役 社長執行役員 最高執行責任者

氏 名 谷原 徹(たにはら とおる)

業種 情報通信業

所在地 東京都

総従業員数 7,568 人(2018 年 8 月時点)

テレワークの導入形態終日在宅勤務 部分在宅勤務 

モバイルワーク サテライトオフィス

テレワークの利用者数(過去 1 年間) 4,675 人(2018 年 8 月時点)

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き方であるリモートワーク(テレワーク)を中心に、その制約となる紙を前提としない働き方へのシフトを目指す「ペーパーダイエット」、そしてオフィスのありようから働き方を変える

「フレキシブルオフィス」の施策を三位一体で推し進めるものである。

 「どこでも WORK」の浸透・定着に向けて、全事業部門の役員クラスを委員メンバーとした「どこでも WORK 推進委員会」を設置した。この委員会において、各部門のリモートワーク(テレワーク)実施状況(数値)と成功事例を共有した。さらに、委員会での討議内容を、経営層からのメッセージとして繰り返し社内へ発信することで、浸透と定着を推進した。

(図表 1 「どこでも WORK」3 つの施策)

■周知・啓発方法

【説明会の実施】 「どこでも WORK」を新たに始める組織に対しては、説明会への参加を義務付けた。説明会は 2015 年〜 2017 年 7 月までに 55 回開催し、社員の半数に当たる約 3,500 名の社員が参加した。

【マニュアルやガイドブックの整備】 リモートワーク(テレワーク)を始めるにあたって必要な制度面、IT 面でのマニュアルを整備した。制度面では、規程や手続き、セキュリティなどの観点から、本人と上長の双方が知っておくべき情報をまとめた。IT 面では、自宅等からリモートワーク(テレワーク)を行うための設定方法や、在席管理システム・チャットツールの活用方法、Web 会議の開催方法などについて必要な事項をまとめた。

「場所にとらわれない柔軟な働き方」を目指し、3つの施策を三位一体で推進

自席を前提としない働き方● 月に2~3回程度の在宅/サテライト勤務● ICTをフル活用し、リモート環境でも自席と同様に働く

紙を前提としない働き方● 印刷(▲50%)と保管量(▲50%)の削減● ペーパーレス会議の推進と定着化

生産的・効率的なオフィス● 多様な働き方スペースの新設● フレックスアドレスと個人ロッカーの導入

リモートワーク

ペーパーダイエット

フレキシブルオフィス

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【ホームページの開設と広報誌の発行】 どこでも WORK 推進委員会のホームページを開設し、説明会資料やマニュアル類に加え、経営層のメッセージや、各種 IT に関する動画マニュアル、FAQ 集を整備している。また、どこでも WORK に特化した広報誌「どこでも WORKER」を定期的に発行し、先行実施部門へのインタビュー記事や他社事例の紹介などのプロモーションを実施している。

■人事・労務管理の整備

 勤怠管理システム上で「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」の日程および労働時間を申請し、上長の承認の上で実施している。始業・終業時にはオフィスに出社する際と同じように勤怠システムへの打刻を義務付けている。あわせて、始業時には当日の勤務予定や具体的な業務内容を、終業時には業務の進捗をメールなどで上長と共有する運用としている。 また、リモートワーク(テレワーク)の推進が長時間労働を誘発することのないよう、リモートワーク(テレワーク)による深夜および休日勤務は「リモートワーク細則」で禁止している。ただし、保守や運用に関する業務、その他やむを得ない事情がある場合には、例外的に認めている。深夜および休日以外での時間外勤務については、テレワークに関するガイドブック内で控えるよう推奨している。 さらに、リモートワーク(テレワーク)利用者が勤怠管理システムに正しく勤務実績を登録できているか確認するため、リモートアクセスのログをモニタリングしており、勤務時間と一定の乖離がある場合には、人事部門から対象者の上長に情報提供し、各上長から該当者に状況を確認している。各上長から該当者への状況確認の結果、乖離している時間での勤務があった場合は、勤怠管理システムの勤務実績の修正等の必要な処理を行うとともに、長時間労働防止および適切な勤怠管理を呼びかけている。

■情報通信環境の整備

【在宅勤務】 リモートワーク(テレワーク)利用者は、自宅パソコンからオフィスパソコンを遠隔操作することで、オフィスと全く同じパソコン環境で業務を遂行することができる。 また、リモートワーク(テレワーク)利用者全員にヘッドセットを配布し、Web 会議用のソフトのインストールを必須とすることで、自宅とオフィス間での音声通話を可能としている。

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 さらに、オフィス側の全ての会議室にスピーカーとプロジェクターを設置しており、在宅勤務者の Web での会議参加を可能にしている。

【サテライトオフィス勤務】 全国に 9 拠点、合計で約 70 席のサテライトオフィスを設置し、自宅に在宅勤務をする環境がない社員がリモートワーク(テレワーク)を実施できるように環境を整備している。サテライトオフィスには共用パソコンを設置しており、社内ネットワークへのアクセスを可能としている。また、導入当初には、リモートワーク(テレワーク)を新たに始めるにあたって、IT 面・業務面で不安がある社員のために、拠点内にサテライトオフィスと同等の「体験エリア」を設けた。

【モバイル勤務】 客先駐在で勤務する社員を中心に、約 3,000 台のタブレット端末を貸与することで、会社情報の取得や本社勤務者とのコミュニケーションの円滑化を図っている。客先駐在拠点にも、極力、自社システムへリモートアクセス可能なネットワーク、パソコンを設置して、業務効率化を図っている。

ワーク・ライフ・バランスに関する事項

■健康で豊かな生活のための時間の確保

【労働時間の工夫】 リモートワーク(テレワーク)利用者はフレックスタイム制や裁量労働制で勤務することにより、時間を有効に活用して働くことができる。フレックスタイム制については、2017年にコアタイムを廃止し、5:00 〜 22:00 までの間で柔軟に働くことができるよう制度を改定した。こうした取組も功を奏し、2017 年 3 月と 2018 年 3 月のリモートワーク(テレワーク)実績を比較すると以下のように増加した。

・実施人数:1,075 人→ 3,236 人(201%増加)・実施回数:3,150 回→ 9,479 回(201%増加)

  また、リモートワーク(テレワーク)の利用が長時間労働を誘発することがないよう対策を行っているほか(「人事・労務管理の整備」の項目を参照)、管理職を含めて勤務時間の適正な申請が浸透したことや、時間資源を意識して効率的に働くことが組織文化として定着したことも、リモートワーク(テレワーク)をスムースに実施する上で、大きく寄与した。この結果、

「どこでも WORK」展開前の 2014 年度と、本格的に全社展開した 2017 年度を比較すると、全社の月当たりの平均残業時間(所定就業時間 7 時間 30 分をベースに算出)が 18 時間 16 分から 16 時間 22 分に 1 時間 54 分(10%)削減された。

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■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択

【多様な人材の活躍】 シニア層の社員や障がいをもつ社員については、個々の状況に応じて、リモートワーク(テレワーク)を活用した柔軟な働き方を認めている。月 1 回以上のリモートワーク(テレワーク)実施状況は以下の通りである。

・60 〜 64 歳の社員のリモートワーク(テレワーク)利用数:177 人中 115 人(65.0%)・65 歳以上の社員のリモートワーク(テレワーク)利用数:14 人中 11 人(78.6%)・障がい者のリモートワーク(テレワーク)利用数:44 人中 22 人(50.0%)

【育児・介護と仕事の両立】 妊娠や育児、介護についても、会社が認めた場合には原則月1回以上の出社を要件として月 8 回を超えるリモートワーク(テレワーク)の利用を認めている。 また、社内広報誌や社内ポータルサイトを通じて、リモートワーク(テレワーク)等を活用した仕事と育児および介護の両立事例を紹介し、多様な働き方を推進する風土醸成を加速させている。 実施状況は以下の通りである。

・妊娠や育児や介護を理由として、月 8 回超リモートワーク(テレワーク)を利用している人数2014 年度:16 人、2015 年度:19 人、2016 年度:49 人、2017 年度:67 人

・短時間勤務からフルタイム勤務への復帰率:2014 年度 1.6%→ 2017 年度 12.7%

■社員の満足度

 2017 年 10 月に全社員を対象に実施したリモートワーク(テレワーク)に関する社内アンケートにおいて、リモートワーク(テレワーク)利用者から以下のような肯定的な回答が多く得られた。

・仕事の生産性が向上・維持した :87%・生活の質が向上・維持した :98%・育児・介護の際に有用である :90%・今後もリモートワーク(テレワーク)を実施したい :98%

他社の模範となる取組に関する事項

■労務管理上の工夫

 一般社員がリモートワーク(テレワーク)を利用しやすくするため、特に管理職(本部長、部長、課長)が自ら実践することで積極的なリモートワーク(テレワーク)利用を促している。管理職は、ある程度の義務感を持ってリモートワーク(テレワーク)を体験することで、リモートワーク(テレワーク)利用が業務の生産性に影響を与えないことを体感している。自ら実践し

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SCSK株式会社

ているため、適正な評価がなされている。 2017 年度より、一般社員向けには、リモートワーク(テレワーク)の実施回数に応じて、リモートワーク(テレワーク)実施時の水道光熱費に見合う手当を支給している。2017 年度に限り、上長の率先垂範を促してリモートワーク(テレワーク)をスピーディーに定着させる仕組みとして、管理職のリモートワーク(テレワーク)実施回数に応じて、一般社員向けの手当を増額する取組も実施した。

■環境整備上の工夫

 リモートワーク(テレワーク)の実施にあたっては、以前は人事部門を含む正式な申請手続きを要したが、有給休暇取得と同レベルの簡便な手続きに変更し、勤怠管理システム上での事前申請と上長の承認のみで実施できるようにした。 また、リモートワーク(テレワーク)実施中の社外との電話に関しては、個人所有のスマートフォンを BYOD 活用(私物端末の業務利用)することで、個人の費用負担なくオフィスと同等のコミュニケーションが取れる仕組みを構築している。 セキュリティ対策の面では、個人所有パソコンへの業務データの保存や印刷ができない仕様にしており、情報の漏洩を抑止している

■生産性向上の工夫

 自宅やサテライトオフィスでの勤務を推進する「リモートワーク(テレワーク)」と併せて、「リモートワーク(テレワーク)」の阻害要因となる紙を印刷と保管の両面から削減する「ペーパーダイエット」、フレックスアドレス制(部署ごとの着席ゾーンを設定したフリーアドレス制)や個人ロッカーの導入など、オフィスのあり方を変える「フレキシブルオフィス」の 3 つの施策を「どこでも WORK」として展開している。   「どこでも WORK」の推進により、図表 2 のような効果を得ることができた。

98% 87%

▲30% ▲50%

▲18% 166席設置

リモートワーク

ペーパーダイエット

フレキシブルオフィス

「生活の質が向上・維持」 「生産性が向上・維持」

残業時間の削除 有給休暇の取得状況

印刷枚数削減 紙等の保管量

執務スペースの面積 ファミレス席や集中度など多様な働き方スペース

※2017年10月実施のアンケート結果より ※2017年10月実施のアンケート結果より

※全社勤怠実施より ※全社勤怠実施より

※2015年4月~11月と2017年4月~11月比較 ※先行部門実績より

※先行部門実績より ※先行部門実績より

18:16(2014年度)

16:22(2017年度)

▲10% 15.3日(2012年度)

18.8日(2017年度)

3.5日

(図表 2 「どこでも WORK」による効果の一例)

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TRIPORT 株式会社

会社概要

■制度の整備状況

 全社員を対象に「テレワーク勤務制度」を導入済みであり、「在宅勤務規程」を整備している。月 1 回程度の出社日を除き、テレワークが実施可能な制度としている。

■経営上の位置付け

 経営トップが、テレワークを、「育児・介護、その他諸々の事情から、時間的・場所的制約により、働きたい意思があるにも関わらず働けない」というような、「働き方」や「雇用」に関する諸問題を解決できる非常に有益な仕組みであり、労使双方にとって大きなメリットがある、今の時代の経営に無くてはならない仕組みとして捉え、自ら率先してテレワーク勤務等による働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

基本的な事項

 企業のトップ自らがテレワークを実施することで、効果的なものとなるよう制度改善に取り組んでいる。

組織名名称:TRIPORT 株式会社

創立:2014 年

組織代表者役 職 代表取締役

氏 名 岡本 秀興 (おかもと ひでおき)

業種 IT コンサルティング業

所在地 東京都

総従業員数 11 人(2018 年 8 月時点)

テレワークの導入形態終日在宅勤務 部分在宅勤務 

モバイルワーク サテライトオフィス

テレワークの利用者数(過去 1 年間) 11 人(2018 年 8 月時点)

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■周知・啓発方法

 経営トップからテレワーク勤務制度の利用メリットについて、社員一人ひとりに必ず対面で説明することで、テレワークに対する懸念点を解決したうえで制度を利用できるような体制を構築している。

■人事・労務管理の整備

 各社員の「在席状況」をリアルタイムで確認できるクラウドサービスを導入しており、社員が「残業していないか・働きすぎていないか」を日々チェックできる仕組みを構築している。この取組により、長時間労働を防止できている。

■情報通信環境の整備

【在宅勤務を含む全勤務形態共通】 テレワーク勤務を前提とした下記のような IT サービスを導入している。業務効率だけでなくセキュリティ面も考慮したうえで、各種クラウドサービスを活用することで、パソコンがあればどこにいても働ける環境を整備している。

(例)・クラウドストレージ(データ共有サービス)・チャットサービス(コミュニケーションサービス)・映像通話サービス(コミュニケーションサービス)・勤怠管理クラウドサービス(業務支援サービス)・法人間契約締結サービス(業務支援サービス)・顧客管理サービス(業務支援サービス)・タスク管理サービス(業務支援サービス)・業務報告サービス(業務支援サービス)

【サテライトオフィス勤務】 セキュリティ環境の整ったコワーキングスペースを提供する会社と契約し、本社以外に、役員や社員が随時、自由に利用できる環境を整備している(東京 2 拠点・沖縄 1 拠点)。

【モバイル勤務】 モバイル Wi-Fi 等のデバイス利用の補助としてテレワーク手当を支給し、営業担当者が取引先間を移動する際などでも仕事ができるような環境を整備している。

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■健康で豊かな生活のための時間の確保

【労働時間の工夫】 フレックスタイム制度や専門業務型裁量労働制度などの労働時間制度を導入し、社員一人ひとりに適切な制度を適用している。各自が自律した働き方をし、労働時間を配分・調整している。日々の業務内容や進捗報告をコミュニケーション関連のクラウドサービスを活用しながら徹底することで業務配分を調整しており、所定労働時間内で業務を行うことが可能となっている。

 また、育児中の女性社員や、プライベートを充実させた働き方を希望する社員を対象とし、上記の労働時間制度にかけ合わせて「短時間正社員制度」と「短時間勤務制度」を導入している。「短時間正社員制度」に関しては、フルタイム正社員と待遇(評価方法)は原則同じ(時間単価や評価指標は同一として、時間数に応じて比例する仕組み)にしつつ、フルタイム社員より短い時間でも勤務できるように制度を整備している。単一の制度導入ではなく、上記各種制度を社員の目線で体系的・複合的に構築することで、テレワーク利用者は 100%、現在創業 5 期だが離職者 0 名を達成している。

 さらに、業務の仕組化・テンプレート化、マニュアル化を徹底する事により、業務生産性を向上させ、残業が可能な限り発生しない仕組みを構築しており、毎月の勤怠状況(時間外労働の発生状況、年次有給休暇の取得状況)の確認を徹底している。

■就労による経済的自立、多様な働き方・生き方の選択

【育児・介護と仕事の両立】 子供の育児のために中抜けするなど、労働時間の調整を柔軟にできるようにしている。経営トップ自身も育児を行っているため、家庭を大事にできる労働環境の構築を積極的に進めている。

 ■社員の満足度

 平成 30 年 8 月に全社員に実施した、働き方満足度に関する社内アンケートでは、テレワークでの働き方について、「非常に満足」という回答が 66.7%、「満足」という回答が 33.3%(合計 100%)となった。

■その他

 経営トップ自身が本社のある東京都から沖縄県へ移住しており、経営幹部が常に本社にいなくても組織が運営できる体制を構築し、テレワーク勤務という働き方の問題点・課題がないか、経営者自ら体感することで、継続的に効果があがるように常に PDCA を回して制度の改善を行っている。

ワーク・ライフ・バランスに関する事項

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他社の模範となる取組に関する事項

■労務管理上の工夫

 経営トップを含め、全社員がテレワーク勤務可能な環境を構築し、実際にテレワークを実施する状態を作り出すことで、テレワーク利用者か否かによって不利益が生じない体制を構築している。評価制度の仕組みとしては、「同一価値労働、同一賃金」を軸として、各個人の定量・定性スキルレベルを計測し、平等な評価を実施している。  また、毎日の終業時の業務報告を元に、遂行業務・配分を行う事で、長時間労働を防いでいる。全社員がいつでもリアルタイムで各社員の在席状況を確認できるクラウドサービスを導入しており、社員同士が長時間労働にならないよう、また社員同士で「今相談の電話をしてもいいか」等、各社員の在席状況を「見える化」する仕組みを導入し、自律した働き方を実現できている。

■環境整備上の工夫

 業務効率だけでなくセキュリティ面も考慮したうえで、各種クラウドサービスを活用することで、パソコンがあればどこにいても働ける環境を整備している。 ※「基本的な事項」の「情報通信環境の整備」の項目を参照。  また、その他のテレワーク勤務ができる環境構築にかかる費用への諸手当として、下記の手当てを整備している。 ① テレワーク勤務手当

 水道光熱費、通信費、その他、在宅勤務等にて必要となる諸経費を補うものとして各人ごとに会社が定めた金額を支給している。

 ② インフラ整備手当

 在宅勤務等の対象者に対し、業務環境を整えるために必要となる諸経費を補うものとして、在宅勤務等開始月に 50,000 円支給している。 また、業務に必要な環境として、テレワーク開始時に、下記項目について整備するようアナウンスを必ず実施している。・各パソコンにおけるアンチウイルスソフト(会社指定)のインストール・各パソコンにおける Windows Update の実施

■生産性向上の工夫

 コワーキングスペースは、フリーアドレス席の他、企画力や想像力を向上させるためのスタンディングミーティングスペースや、遠隔地のテレワーク利用者とのリモートミーティング用

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の個室を完備している。 テレワークという労働環境において、各社員がストレスに感じそうな部分を可能な限り排除し、かつ、コミュニケーション不足に陥りがちなテレワークでも、テレワーク利用者とコミュニケーションが円滑に取れる仕組みとして、テレビ会議を毎日活用している。

(写真 1 テレビ会議による入社式の様子)

(写真 2 全体出社の様子)  さらに、出社時における主な就業場所としては、コワーキングスペース等を活用しているため、水道・光熱費・オフィス賃料等を削減できている。 また、各種契約書等の書類のペーパーレス化についても、電子署名やタイムスタンプの仕組みが搭載されたクラウドサービスを利用することで、極限までコストを削減できている。

■その他

 働きやすい労働環境は、テレワーク勤務の制度のみならず、各社員の業務へのモチベーションが向上する事により成立すると考えており、下記 3 点の取組を実施している。 

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TRIPORT株式会社

① 原則、月 1 回の全体出社日を設けることでチーム力を向上 テレワーク勤務が主で対面コミュニケーションが少ない事により、各メンバーが孤独を感じてしまわないよう、月 1 回は対面で直接会い、一緒に仕事をする環境を整備している。

(交通費・遠隔地在住の社員分の宿泊費等は会社負担)この取組を、原則、毎月継続する事で、社内メンバー間のコミュニケーションが充実し、生産性が向上した。

② 責任ある仕事を任せることによる、モチベーション・帰属意識の向上 テレワーク勤務だからといって責任ある仕事が任せられない、ということは一切なく、むしろ、各メンバーを全面的に信頼して重要な仕事も任せることで、メンバーが自律した働き方ができるようになり、結果的に生産性も向上している。

③ 性格適性検査の実施 社員に「150 問の性格適性検査」を受けてもらい、テレワークという働き方で、各個人がストレスに感じやすい点を抽出し、コミュニケーションの取り方や労働環境面で会社として何かしらの対策を講じられないか、定期的により良い組織を構築するための PDCA を回す取組を実施している。具体的には、検査結果を踏まえて労使双方でのフィードバックミーティングを実施し、本人の意見を聞きながらテレワーク時のコミュニケーションの取り方やマネジメント、業務内容等を考慮し、本人が持っているポテンシャルをテレワークという働き方でも最大限発揮できるように工夫している。  以上のように、「会社側からの一方通行のテレワーク勤務制度の構築」ではなく、「社員の目線でテレワーク勤務制度の構築」も進めている。

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~輝くテレワーク賞~事例集

平成30年度

テレワーク推進企業等厚生労働大臣

表彰

表紙.indd 2-3 15/10/21 9:49

厚生労働省 雇用環境・均等局

受託:一般社団法人日本テレワーク協会

テレワーク月間(11月)は産学官で構成するテレワーク推進フォーラムが主唱している国民運動で

)照参をLRU記下は細詳(。すhttp://telworkgekkan.org/