#33 walk
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とても晴れていた復活祭の散歩の話。TRANSCRIPT
shishiNo.33
Walkby Anna Matsuoka
Anawhata Bea
ch,
Au
ckland
� えいやっと!
復活祭の散歩
この間復活祭のお休みがあった。
復活祭は日本ではマイナーだけど、キリスト教文化圏ではクリスマスと対をなす
重要なお祭り。 イエス・キリストが人類の罪を背負って死に、その後三日目に
復活した事をお祝いする。
クリスマスがヨーロッパの冬至のお祭りと習合されているように、イースターは
春分のお祭りといろいろ混ざって出来上がっている。 キリスト教的なお祝いの
他にも長い長い冬があけ、生命の息吹を感じはじめた喜びをお祝いするって側面
がある。
日本(特に関東)でだと丁度その頃に桜が咲く。 大抵桜が一番見頃の週末が、
キリスト教文化圏の復活祭の休日と重なる。 日本の人達が桜を見て美しさや命
を思う時、違う物語を使ってキリスト教文化圏の人達も同じような事を感じてい
る。 そして夜は酔っぱらっている。 本当に春って愛されてるね!
復活祭の休みの間、様々な形で春を祝っている北半球の人達を想像する。 こん
なにおおらかに、幸せに、ただひたすら人類が喜ぶ時期って復活祭周辺の時期以
外にないんじゃないかな。 心行くまで祝ってくれと、遠く南半球から、北を思う。
所変われば、南半球でだとこれから秋。 こちらからすると長くて暗い秋と冬が
始まる直前に、力をためる事が出来る休みって感じにとられている。
今年の復活祭の間のオークランドは本当に天気がよくて北半球の春のような気候
だった。 きっと今年、海で泳げるのは今週末が最後だなって事で泳ぎ納めに行っ
てきた。
水着と日焼け止めを鞄に詰めて、家の近くのビーチに向けて車を走らせた。
天気があまりにも良いから、往年の名曲が胸をよぎる
♪ ひだりへ かーぶをまがるとぉ
ひかる うー みー がー みぃえてくるぅ
ぼくは おもうう この しゅんかんは つづくと
いー つまでもぉー ♪ ってさ
海の周りは大抵保護地区になっているので、周辺は車が
入れない。 今回はここから歩いて山を下って海に行く。
下りはだいたい30分位。
ここら辺の海は砂が結構黒いので、
波でぬれた浜が鏡のようになっている。
空が反射され、
雲の上を散歩しているような気持ちになる。
泳ぐ前は、岩場とかを散歩。
海辺ってぱっとみは綺麗なん
だけど、じーっとみていると
気持ち悪くなるものでいっぱ
い。
私は崖の上に立ち、友達が冒
険に行く様子を眺める。
色 ん な 生 き 物 を 見 つ け て は
「うわー!」と歓声を上げて
いる。
サラリーマンが子犬に戻る瞬間だ。
海と向かい合うのは崖。 あまり
にもでかいので、目がチカチカす
る。 目の前の崖が大きすぎて、
焦点が変な感じなるのは好き。
あんまりにも自然の方が大きいから、人
間は隠れちゃう。 写真の場合拡大しな
いと人は見つけられない。 浜辺で大げ
んかしていたカップルの男の子の方が、
1人ぽつねんと岩場から海を見えいた。
絶景の中で傷つくってのは、贅沢だな。
海で泳ぐのはしょっぱいから、海に流れ込む川で泳ぐ
のが楽でいい。
もう秋だから本当に寒くて、はじめは「楽しい」って
いうよりも「荒行」。
でも体が慣れると、やっぱりすっごく楽しい。
海や川に入る度に、その環境の激変に驚く。 「見てる
感じと、入ってみた感じ」の差が一番激しいのが、水
だと思う。 入ってみるたびに「そういえば、ここっ
て空気の中と全然違うんだった!」と驚く。 環境の
変化って言う意味では外国に行ったときなんかよりも、
海に全身を潜らせた時の方が大きい。
車が止めてあるのは、崖の裏の山のところ。 泳ぎ疲
れた体で一時間位、のろのろと山登りをする。 汗が
止まらない。 誰も喋らない。 頂点についた時に、
お互いの汗を見て大笑いをする。
2011年にあまりにも沢山の事が、私の大好きな日
本でおこって、それ以来海を見たり、自然の中で遊ぶ
のに少し心理的な抵抗感がある。 特に海に対して。
周りのニュージーランド人の自然観にも、日本人の
自然観、両方に違和感を持つ。 勿論、自分自身のにも。
いつか納得したり腑に落ちたりするのだろうか。 そ
れともそんな納得なんていう心地よさを求めない方が、
人として正しいのだろうか。
ふとした瞬間に今でも悲しくなる。
おまけ:
そういえば、最近行くようになった場所にワイナリー
がある。 これまでは「そんな場所は恥知らずなスノッ
ブが行く場所だ!」と思っていたのだけど、行ってみ
たらその気持ちよさに人気の理由を納得。 最近は恥
知らずのスノッブとして開きなっている。
このワイナリーは週末にファーマーズマーケットもし
ていてとても楽しい。 ぶどう畑を散歩したり、ワイ
ン飲んだり、マーケットで買い食いしたり、近所の人
達おこなうの音楽の発表を聞いたり。
大人たちが遊んでいる間、子どもたちは小さな庭で遊んでいた。 光が射し
ていて、すごく温かく、綺麗な庭だった。
松岡杏奈
工業デザイナー /shishi のデザイナー。 鎌倉出身。
ニュージーランドのオークランド在住。
多摩美術大学を中退後、ニュージーランドの大学に留学。
その後地元の企業にインハウスデザイナーとして勤務。
東京でたまたま会った坪野君と、元々の友達だったしおねと shishi を始める。
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