3d-cad による翼型モデル作成と 有限要素法による3次元応力...

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1 演習資料(作成:江澤良孝) 3D-CAD による翼型モデル作成と 有限要素法による3次元応力解析 人力飛行機用の構造部材 - Creo Elements Pro によるデータ作成と3次元応力解析- (この写真では、穴は7つあるが演習では穴の数は任意とする) 翼型 DAE21(実際は翼の位置で翼型と大きさは変わるが、 演習では同じとする) 部材の長さ 1000mm 厚み 50mm 材質 スタイロフォーム ヤング率:10N/mm 2 ポアソン比 : 0.28 1000mm

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    演習資料(作成:江澤良孝)

    3D-CADによる翼型モデル作成と

    有限要素法による3次元応力解析

    ― 人力飛行機用の構造部材 ―

    - Creo Elements Pro によるデータ作成と3次元応力解析-

    (この写真では、穴は7つあるが演習では穴の数は任意とする)

    翼型 DAE21(実際は翼の位置で翼型と大きさは変わるが、

    演習では同じとする)

    部材の長さ 1000mm 厚み 50mm

    材質 スタイロフォーム

    ヤング率:10N/mm2

    ポアソン比 : 0.28

    1000mm

  • 2

    材料名 引張り強さ 質量密度 ヤング率 ポアソン比 せん断弾性

    係数

    N/mm2 kg/m3 N/mm2 N/A N/mm2

    スタイロフォーム 0.3 25 10 0.28 3.9

    単位に注意

    1 𝑘𝑔/𝑚3 =1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1𝑚)3

    =1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1×103𝑚𝑚)3= 1 × 10−12𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒/𝑚𝑚3

    荷重 部材の下面に浮力に相当する力がかかるものとする。

    正確には上下面の圧力の差が浮力になるが、ここでは

    簡単のため浮力に相当する力のみを考える。

    計算:

    機体の重さを 約34kgfとする

    パイロットを 約65kgfとする

    合計 約 100kgf=約 1000N

    飛行機が浮上するにはこれに相当する浮力が必要。

    構造部材の数は簡単のため 100個と仮定する。

    構造部材にかかる荷重は場所によって異なるが、

    簡単のため一様と仮定すると

    部材ひとつあたりが担当する力は

    1000N/100=10N

    部材の厚みが 50mmの場合、構造部材の横断面積は

    1000mm×50mm=50000mm2

    浮力は一様ではないが、ここでは簡単の

    ため一様と仮定すると

    部材の下面の単位面積当たりの圧力の推定値は

    10N/50000mm2 = 2×10-4 N/mm2

    拘束 2カ所の穴の部分で固定

    ここに骨組みの丸棒が入る

    固定(この円孔の周囲を固定)

  • 3

    演習資料(作成:江澤良孝)

    翼型データの準備

    (1) 下記のサイトからDAE-21の翼型データファイルdae21.datを取り込む

    http://m-selig.ae.illinois.edu/ads/coord/dae21.dat

    (2) 翼型データファイルdae21.datをメモ帳で開いて、座標以外の行(1行目から3行目)を削

    除。翼の上側データファイルと下側データファイルに分けて、それぞれに拡張子txtを追加し

    て保存。 例:dae21-U.dat.txt 、 dae21-L.dat.txt

    (3)EXCELを起動して、「ファイル」→「開く」を、クリック

    (4)「テキストファイル」を選択して、翼の上側データファイルdae21-U.dat.txtを開く

    (5)テキストファイルウィザードで、元のデータ形式で「スペースによって…」を

    を選択して、「次へ」をクリック

    (6)フィールドの幅が10になっていることを確認して、「次へ」をクリック

    (7)列のデータ形式が「G/標準」になっていることを確認して、「完了」をクリック

    (8)ファイルが正常に読み込まれたことを確認

    (9)C列に「=A1*1000」、D列に「=B1*1000」を入力(文字はすべて半角)

    (10)C列をクリックして、右下の四角のマークを下までドラッグ

    (11)D列も同様に操作

    (12)E列にZ座標の「0」(ゼロ)を追加

    (13)「名前をつけて保存」をクリック

    (14)ファイルの種類で「CSV(コンマ区切り)(*.csv)」を選択し、「保存」

    (15)「この形式でブックを保存しますか」に「保存」→「はい」

    (16)「ファイル」→「閉じる」。その後、「保存」→「はい」

    (17)「ファイル」→「開く」を、クリック

    (18)「テキストファイル」を選択して、翼の下側データファイルdae21-L.dat.txtを開く

    (19)手順(5)から手順(16)を実施

    (20)先に保存した翼の上側データCSVファイルdae21-U.csvを開く

    (21)A列とB列を削除

    (22)「名前をつけて保存」をクリック

    (23)ファイルの種類で「テキスト(スペース区切り)(*.prn)」を選択し、「保存」

    (24)下側CSVファイルにも同様の操作(作業20から作業23)

    (当然、ファイル名は下側ファイルに合わせて変更して作業)

    (25)作成したデータファイル(*.prn)の修正。

    x座標の値とy座標の値の間にスペースがないところを見つけて、半角スペースを挿入

    (26)翼の上側の節点座標データファイルと下側座標データファイルの拡張子を

    「pts」に変更

  • 4

    演習資料 作成:江澤良孝

    Creo Elements Proによるモデル作成

    1. パソコンを起動し、ログインする(デフォルトの仮想デスクトップ)

    2. Creo Elements Proのワーキングフォルダを作成する

    (詳細は省略)

    3. Creo Elements Proを起動する

    [スタート] >[すべてのプログラム] > [PTC] >[Creo Elements Pro] > [Creo]

    4.Creo Elements Proが開いたら、ワーキングディレクトリを指定する

    (詳細は省略)

    5. [ファイル]> [新規]をクリックする

    6. [新規]ダイアログが現れたら、[部品]、[ソリッド]にチェックが入っていることを確認し、[OK]

    をクリックする

    7. 部品モードの初期画面が現れる

    8. [ファイル]>[プロパティ]を選ぶ。

    9.モデル特性のパネルがでるので、「単位」の欄の「変更」をクリック

    10.単位マネージャのウィンドウが表示される

    11.[単位マネージャ]ダイアログボックスで、「ミリメートルニュートン秒 (mmNs) 」を選んで、

    [設定]をクリック。

    12.[モデル単位を変更]ダイアログボックスが表示されるので、「寸法を変換(たとえば、1“は

    25.4rnm になります」にチェックを入れ、[OK]をクリック

    13.[単位マネージャ]ダイアログボックスの[閉じる]ボタンをクリック

    14.「モデル特性」の「材料」の欄の「変更」をクリック

    材料のパネルがでるので、材料を適当に選んで、右三角▶▶▶をクリック

    鉛筆の形をした「選択した材料の特性を編集します」アイコンをクリック

    材料定義パネルが表示されるので、ヤング率、ポアソン比、質量密度を入力して、OKをクリック

    材料パネルで OKをクリック。「モデル特性」のパネルの「閉じる」をクリック

    材料名 引張り強さ 質量密度 ヤング率 ポアソン比 せん断弾性

    係数

    N/mm2 kg/m3 N/mm2 N/A N/mm2

    スタイロフォーム 0.3 25 10 0.28 3.9

    単位に注意

    1 𝑘𝑔/𝑚3 =1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1𝑚)3 =

    1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1×103𝑚𝑚)3= 1 × 10−12𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒/𝑚𝑚3

  • 5

    15.「挿入」→「モデルデータム」→「点」→「座標オフセット」

    16.部品座標系「PRT_CSYS_DEF」をクリックする

  • 6

    17.「座標系オフセットデータム点」ダイアログの「インポート」をクリックする

    18,「開く」ダイアログが表示されるので、翼型上面の ptsファイルを指定し、「開く」をクリック

  • 7

    19.「座標系オフセットデータム点」ダイアログの「OK」をクリック

    データム点が確定する

  • 8

    20.「挿入」→「モデルデータ」→「カーブ」とクリック

    21.「メニューマネージャ」ダイアログが表示されるので、「実行」をクリック

  • 9

    「点通過」ダイアログが表示される

    22.上面データの最後の定義点、ここでは PNT40をクリックする

  • 10

    23.青色のデータムカーブが表示されるので、「選択」ダイアログで「OK」をクリックし、

    「メニューマネージャ」で「終了」をクリックし、「カーブ:点通過」ダイアログの「OK」をクリック

    して、データムカーブを完成させる。

    24.下面のデータムカーブを、手順15から手順23を参考に作成する。

    ただし、最後の定義点のクリックの部分は、この例では下面データの最後の定義点 PNT80をクリ

    ック

  • 11

    25. 二つのデータムカーブが完成

    26.「挿入」→「押し出し」をクリック

    27. [押し出しダッシュボード]の[配置]をクリックする。

    28. [定義]をクリックする。

    29. 画面上で「FRONT」を選択する

    (このとき事前にビューの表示を「デフォルト」方向に変えておくとクリックしやすい)

    <参考>「保存したビューリスト」アイコンをクリック

  • 12

    30.[スケッチ]ダイアログボックスの[平面]に「FRONT」が入る

    31. [スケッチ]ダイアログボックスの[スケッチ]ボタンをクリックして、[スケッチ]ダイアログボッ

    クスを閉じる

    FRONT

  • 13

    32.「スケッチ」→「エッジ」→「使用」

    33.上面のデータムカーブをクリックし、つづいて、CTRL キーを押しながら下面のカーブをクリック

    する。

  • 14

    34.「選択」ダイアログで「OK」をクリックし、「タイプ」ダイアログで「閉じる」をクリックし、

    スケッチの「終了」ボタンをクリックする

    35.押し出し量を 50にする

  • 15

    36.「フィーチャーツールへのすべての変更を適用して保存し、ツールダッシュボードを終了しま

    す」アイコンをクリック

    37. 押し出し(突起)ができる

    (参考)押し出しが生成された時に、警告が表示されることがありますが、

    通常は警告を無視して作業をすすめてかまいません。それでも問題がおきたら

    TAに相談してください。

    押し出しが生成されなかったらデータ作成をやり直すこと。

    38.[押し出し]ツールをクリックする

    39. [押し出し]ダッシュボードの[配置]をクリックする。

  • 16

    40. [定義]をクリックする

    41. 画面上で「FRONT」を選択する

    42.[スケッチ]ダイアログボックスの[スケッチ]ボタンをクリックして、[スケッチ]ダイアログボッ

    クスを閉じる

    43.円のアイコンをクリックする

    44.部材に穴となる適当な円を複数描く

    <注意>円を描くときは、そのまま描くとスケッチ自動拘束の機能が働き、円の中心点のx座標

    または y座標が既に作成した円と同じになって、自由な位置に円を描けないことがある。そこ

    で、ここでは

    Shiftキーを押しながら円を描く

    ことを推奨する。こうすると自動拘束を無効にして描くことができる。

    45.位置や大きさを調整する

    (参考)

    個別選択アイコンをクリック

    その後、寸法を直接ダブルクリックして修正するか、または下記の方法で修正する。

  • 17

    円の中心をドラッグして位置を修正(下記の寸法修正ウィンドウで中心の座標を変更

    してもよい)

    マウスを画面の左上から右下にドラッグ

    (2点で囲まれる4角形がスケッチ全体を包むようにドラッグ)

    寸法修正アイコンをクリック

    (e)寸法修正ウィンドウで修正

    このとき「再生」のチェックははずしておくことを推奨する

    46. [カレントの断面を継続します]アイコンをクリック

    47.「保存したビューリスト」アイコン

    をクリックして、ビュー方向「デフォルト方向」をクリック

    48.押し出しの関連のダッシュボードの変更

    (a)[押し出し]ダッシュボードの[カットを作成]アイコン をクリックする。

  • 18

    (b)貫通指定アイコンの横の▽をクリックして[全貫通] を選択する

    49.「フィーチャーツールへのすべての変更を適用して保存し、ツールダッシュボードを終了しま

    す」アイコンをクリック

    50.円の穴(カット)ができる

  • 19

    演習資料 作成:江澤良孝

    MECHANICA による3次元応力解析

    1. MECHANICAの起動

    [アプリケーション]→[Mechanica(M)]を選択する

    2.[MECHANICAモデル設定]ウィンドウが表示されたら、モデルタイプが

    [Structure]、FEMモードにチェックが入ってないことを確認し、OKをクリックする。[MECHANICA

    モデル設定]ウィンドウが表示されない時は、「編集」→「Mechanicaモデル設定」をクリック

    3.材料の選択

    材料指定アイコンをクリックする。

  • 20

    4.材料指定ウィンドウが表示される。「詳細表示ボタン」をクリック、「材料」ウィンドウを表示す

    る(CADで材料特性指定済みなので、ここで「OK」クリックで可)

    5.材料パネルの左側の「ライブラリの材料」から材料を選択し(たとえば steel.mtl)、右向きの矢

    印をクリック(CADで材料特性指定済みなので、この手順は省略)

  • 21

    6.鉛筆の形をした「選択した材料の特性を編集します」アイコンをクリック(CADで材料特性指定済

    みなので、この手順は省略)

    7.「材料定義」ウィンドウが表示される。ポアソン比、ヤング率を入力して OKボタンをクリック。

    「材料」ウィンドウの OKボタンをクリック。「材料指定」ウィンドウの Okボタンをクリック。

    材料名 引張り強さ 質量密度 ヤング率 ポアソン比 せん断弾性

    係数

    N/mm2 kg/m3 N/mm2 N/A N/mm2

    スタイロフォーム 0.3 25 10 0.28 3.9

    単位に注意

    1 𝑘𝑔/𝑚3 =1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1𝑚)3

    =1×10−3𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒

    (1×103𝑚𝑚)3= 1 × 10−12𝑡𝑜𝑛𝑛𝑒/𝑚𝑚3

  • 22

    8.荷重の設定

    圧力荷重アイコン

    をクリック

    圧力荷重ウィンドウが表示されるので、「個別」が選択されていることを確認し、その下の「ジオ

    メトリ参照を選択します」が黄緑色になっていることを確認してから、分布荷重をかける面(部材の下

    面)をクリック。

  • 23

    <参考>事前に翼の下面が手前に見えるように、モデルを回転させておくこと。

    マウスとキーボードの操作 効果

    中ボタンのホイールを回転 モデルを拡大・縮小

    中ボタンを押したままドラッグ モデルを回転

    Shiftキー + マウスの中ボタン モデルを移動

    圧力荷重ウィンドウで値を入力

    すべての設定が終わったら、ウィンドウ下の「プレビュー」ボタンを押して、正しく設定されている

    ことを確認して、「OK」をクリック

    <注意>圧力は面に向かう方向が正であることに注意。プレビューで荷重の向きを確認すること。

  • 24

    9.拘束条件

    変位拘束アイコン をクリック

    拘束条件ウィンドウがでてくる

    「個別」が選択されていることを確認し、その下の「ジオメトリ参照を選択します」が黄緑色になっ

    ていることを確認

    10.「サーフェス」「個別」になっていることを確認して、拘束する軸の穴をクリック

  • 25

    11.座標系は「ワールド」、直線移動はすべて「固定」、回転移動はすべて「自由」にして、OKをク

    リック

    12.もうひとつの穴も同様に拘束する

  • 26

    13.トップレベルメニューの「解析」→「Mechanica解析/スタディ」を選択

    14.「解析およびデザインスタディ」ウィンドウがでてきたら、このウィンドウのプルダウンメニュ

    ーで「ファイル」→「新規の静解析」を選択する

  • 27

    15.「静解析定義」ウィンドウが表示される。

    16.先に設定した拘束条件と荷重を選択されているのを確認して、OKボタンを押す

    17.「実行開始」アイコンをクリック

    18.「対話型診断を実行しますか」には「はい」をクリック

  • 28

    19.「診断」ダイアログで「実行完了」と表示されたら、「閉じる」をクリック。

    20.「解析および設計スタディ」ウィンドウで「スタディのステータスを表示」アイコン

    をクリックすると、解析結果をテキスト形式で確認できる。

    例えば、y方向の最大変位は

    例: max_disp_y: -1.234e+00

    モデルの質量は

    例:モデルの全質量: 1.204951e-01(=1.204951×10-1)

    <注意>

    ここで、どのような密度の単位を使ったかを思い出すこと

    「tonne/mm3」なら、上記の全質量の単位はトン(=1000kg)。

    解析でエラーになった時、エラー内容はこのリストに表示されるので

    このリストを見て、エラー原因を確認してください。

  • 29

    21.「設計スタディまたは有限要素解析結果をレビュー」アイコンをクリック

    22.「結果表示ウィンドウのための設計スタディ」ウィンドウがでてくる

    解析結果を選択して「開く」をクリック

    <注意>このウィンドウが出てこない場合は、「新しい定義の挿入」アイコンをクリック

    23.「結果表示ウィンドウの定義」ウィンドウが表示される

  • 30

    24.表示タイプは「フリンジ」、量は「応力」と「最大主」を選択

    25.「表示オプション」タグをクリック、凡例レベルを「9」にし、「変形」、「荷重を表示」、

    「拘束条件を表示」などをチェック

    26.「OKおよび表示」ボタンをクリック

  • 31

    27.等高線が表示される

    (注意)下の図の値は、適当な荷重条件の結果なので参考にしないこと