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Ver.1.0 3Dプリントをはじめよう! ©2015 プリンタス株式会社

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3Dプリントをはじめよう!

©2015 プリンタス株式会社

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目次

1. はじめに..........................................................................................................................................32. 3D プリントをはじめよう!........................................................................................................43. 3D プリントに挑戦!....................................................................................................................6

3.1. チャレンジ 1:エンブレムを出力しよう.......................................................................63.2. チャレンジ 2:ローテーブルを出力しよう.................................................................133.3. チャレンジ 3:ツールボックスを出力しよう.............................................................18

4. こんなときどうする?................................................................................................................264.1. Slic3r の設定を変更してみよう.....................................................................................26

4.1.1. Slic3r 設定ウィンドウについて............................................................................................274.1.2. 設定の保存方法と Repetier-Host への反映.........................................................................28

4.2. 第一階層をがっちり定着させる(ブリムの設定).........................................................304.3. 造形開始時のフィラメント出力を安定させる(スカートの設定).............................314.4. 造形物を空洞にする(充填率の変更).............................................................................324.5. 外壁を厚くする................................................................................................................334.6. 造形スピードを変更する................................................................................................354.7. 大きさ・角度を変更する................................................................................................364.8. スティック糊をつかって定着力を高める....................................................................38

5. 応用テクニック............................................................................................................................395.1. 造形物の隙間を埋める....................................................................................................395.2. インサート造形................................................................................................................415.3. コップのような造形........................................................................................................425.4. ボロノイ形状の造形........................................................................................................435.5. 造形物の色を途中で変える............................................................................................445.6. 冷却時間を稼ぐテクニック............................................................................................455.7. 人物を造形するときのコツ............................................................................................465.8. 3D プリントの最低速度を底上げする..........................................................................475.9. Repetier-Host、Slic3r のバージョンアップ...................................................................495.10. Repeiter-Host 以外のソフトウェアを利用する..........................................................49

6. 本体液晶パネルについて............................................................................................................506.1. 各部名称と役割................................................................................................................506.2. 操作コマンドについて....................................................................................................52

7. 造形物のライセンス情報............................................................................................................54

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1.はじめに本製品のセットアップが完了したら、いよいよ本格的な 3Dプリントに挑戦しましょ

う(セットアップをまだ行っていない場合は、先にマニュアル『セットアップマニュア

ル』をお読みになり、初期設定をお済ませ下さい)。

本マニュアル『3Dプリントをはじめよう!』では、サンプルデータを用いながら、

基礎的な操作方法を学びます。サンプルデータはすべて製品同梱の USB メモリーに

格納されています。

なお、本マニュアルではWindowsⓇ版のRepetier-Host を元に解説を行っています

が、OSXⓇ版のコマンド名も併記しています。あらかじめご了承ください。

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2.3Dプリントをはじめよう!『セットアップマニュアル』でも 3Dプリントの流れを概説しましたが、改めて 3D造形の流れを詳しく見てみましょう。

(1).3D データの準備

まずは 3D データを用意。モデリングソフトによる製作や、3D データを公開しているダウンロー

ドサイトからの取得などが代表的な方法。

(2).ヒーテッドベッドの高さ調整

動作時の振動などで高さが狂うことが多いため、3D プリント実行前のチェックがお勧め。

(3).3Dデータ(STLファイル)の読み込みとオブジェクトの配置

Repetier-Hostを起動し、.stl ファイルを読み込む。オブジェクトが大きすぎたり、角度が悪い場

合は、出力サイズや角度の調整が必要。

(4).スライサーの設定見直しと 3Dデータのスライス

Repetier-Hostで Slic3r の設定を選択、あるいは修正。

修正が出来たら、.stlファイルを 3D プリンターが解釈できる形式(Gコード)に変換。データが大

きいと、時間がかかる場合も。

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(6).3D プリントの実行

ノズルとヒーテッドベッドを加熱したら、Repetier-Host 上部メニューの「ジョブ実行(OS X®版:Run)」をクリックして、3D プリントをスタート。1階層目の定着時に問題が発生する場合が

多いので、最初の数分だけでも出力状態を観察するのがお勧め。

(7).造形物の取り出し

出力が完了したら、十分に冷却したことを確認し、造形物を取り出す。熱いうちにとりだすとやけ

どの恐れがあるばかりか、造形物が歪んでしまうことがあるので注意。

サポート材やブリム(造形物の定着力を高めるための縁)を付けている場合、手で除去。とりにくい

場合は、先の細いラジオペンチを使うと便利。

紙への印刷を行う場合と比較して、ずいぶん手順が多いですね。とはいえ、3D プリ

ントの作業自体はさほど難解ではありません。そのため、一度、作業に慣れてしまえ

ば、ほとんど迷うことはなくなるでしょう。

ただし、より高い品質で造形しようとすれば、幾度か試行錯誤を繰り返すことになり

ます。手順としては簡単でも、根気が求められる作業と言えますが、それゆえ理想通

りに出力できたときの喜びも大きいのです。

なお、3D プリントを実行するたび、上記の行程すべてを実施するとは限りません。

また反対に、造形したいデータにより、追加で作業を行う場合もあります。

■参考:STL (Standard Triangulated Language)形式について

3D プリンターの大手メーカーである 3D Systems 社によって開発されたファ

イルフォーマットです。現在ではほとんどの 3D プリンターがこのファイル形

式に対応しているため(STL 形式を G コードに変換する印刷ユーティリティを使

う機種が多いため)、3D プリンターにおける事実上の標準形式と考えて良いで

しょう。

ファイル拡張子が“.stl”となっていれば、基本的には本機にて出力が可能です。

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3.3Dプリントに挑戦!それではさっそく、3Dプリントを始めましょう。この章では、3ステップで 3Dプリ

ントの基礎を学びます。各ステップ毎にチェックポイントがありますので、それを意

識しながらチャレンジして下さい。

3.1.チャレンジ 1:エンブレムを出力しよう

チェックポイント

 □3Dプリントの流れ

 □ベッドの高さ調整

 □第一階層の張り付き

 □造形物の取り出し

まずはCUBISのエンブレムを出力してみましょう(図 1)。3Dデータは USB メモ

リーに格納されています。

1.ヒーテッドベッドの高さ調整

造形を開始する前に、まずヒーテッドベッドの高さをチェックしてみましょう。具体

的な方法はマニュアル『セットアップマニュアル』をご確認下さい。

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図 1:CUBIS エンブレム

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■TIPS:高さ調整がうまくいかないときは?

1.今、調整しているところとは別のネジを緩めたり、締めたりしてみましょう

(図2)。 

2.いったんZ軸を大きく下げてから(Z軸座標:20.00 程度)、「ホームポジショ

ンボタン」を押してください。

造形を途中で止めた場合など、ごく希にRepetier-Host や液晶パネルのZ軸座標が「0」を示していても、わずかにテーブルが下がっている場合があります。

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図 2:別のところもいじってみる

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2.3Dデータ(.stlファイル)の読み込みとオブジェクトの配置

Repetier-Host で「emblem.stl」を開きます

(図 3)。

 USB メモリー内のファイルパス:  sample/ emblem.stl

3.スライサーの設定と 3Dデータのスライス実行

※写真は ABS をお使いの場合

今回は、積層ピッチを『0.2mm』、サポート

材は『なし』という設定で出力をしてみましょ

う。

「スライサ(OS X®版:Slicer)」タブを開き、

下記の通りに設定を選びます(図 4)。

お使いのフィラメントにより、「エクストルー

ダー 1(OS X®版:Extruder 1)」で選択する項

目が異なりますので、ご注意ください。

・プリント設定:layer0_2mm(no-support)・プリンタ設定:general_config・エクストルーダー 1: ABS をお使いの場合:abs_filament PLAをお使いの場合:pla_filament

「Slic3r でスライス(OS X®版:Slic3r with Slic3r)」ボタンをクリックします(図 5)。する

と、3D データのG コードへの変換が始まりま

す。

スライス処理が終了すると、自動的に「スライ

シング情報ウィンドウ」が閉じられ、

Repetier-Host の画面が自動的に「G-Code」タブに切り替わります。

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図 5:スライスを実行

図 4:スライサーの設定

図 3:emblem.stl を読み込む

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4.ノズル(ホットエンド)とヒーテッドベッドの加熱

3D プリントの実行準備です。

Repetier-Host の「プリンター操作(OS X®版:Print Panel)」タブを開き、「ホットエン

ド加熱(OS X®版:Heat On)」ボタン、「ヒー

テッドベッド加熱(OS X®版:Heat On)」ボタ

ンを続けてクリックします(図 6)。

■TIPS:ノズルが設定温度まで到達しない場合(再掲)プリンターヘッド前面についている冷却ファンの影響で、ノズルが設定温度のマ

イナス10度程度までしか昇温しない場合があります。樹脂の溶解温度には幅が

ありますので、必ずしも設定温度に到達していなくても出力は可能ですが、温度

は造形精度の重要な要素のひとつですので、厳密なコントロールが出来た方がよ

い場合も多いでしょう。

ファンによる冷却を見越して設定温度を少し高めにしておく方法もございますが、

製品同梱の「エアダクト」を装着すれば、ファンの風を造形物だけに向けること

が出来ます(図7,8)。

詳しい装着方法は、別ドキュメント『メンテナンスの手引き・トラブルシュー

ティング』をご参照ください。

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図 6:ノズルとベッドを加熱

図 7:エアダクト 図 8:エアダクトを装着した様子

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5.3Dプリントの実行

ノズル、ヒーテッドベッドともに設定温度付近

まで到達したら、いよいよ実行です。

Repetier-Host 上部メニューの「ジョブ実行

(OS X®版:Run)」をクリックします(図 9)。

造形失敗の主な理由のひとつに「第一階層が定

着しない」ということがあります。造形を開始

したら第一階層が終了するまでそばを離れず、

定着の具合を確かめておくことで、無駄な時間

を省くことが出来ます。

もし第一階層がうまく定着しない等の問題が発

生しているようでしたら、上部メニューの

「ジョブを終了(OS X®版:Kill job)」をク

リックし、3D プリントを止めてください(図10)。

なお、出力命令はある程度、まとまった単位で

3D プリンターへ送られるため、押下してもし

ばらくは動き続けます。

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図 9:「ジョブ実行」をクリック

図 10:途中で止める場合は「ジョブを終了」

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■TIPS:続・1階層目がベッドに定着しない場合は?

『セットアップマニュアル』にて紹介した方法の他、下記の方法もあります。

・スティック糊をヒーテッドベッドに薄く塗布する。詳細は本マニュアル「4.8スティック糊をつかって定着力を高める」をご参照ください。

・テーブルとノズルの間隔を、気持ち狭めにする。

・造形物の大きさを、テーブルの端から 1~2センチ以内に収まるように縮小す

ることで、定着力を高めることができます(周辺部はヒーターが弱いため)。・PLA は比較的、ベッドに定着しやすいため、もし可能なら PLA を利用すると

いう方法もあります。

・ヒーテッドベッド用耐熱フィルム(別売り)を貼る(図11)。特にABSの場合、効

果が期待できます。

5.造形物の取り出し

造形が完了し、ヒーテッドベッドが十分に冷え

たことを確認したら、造形物を取り出します(図12)。

ヒーテッドベッドが十分に冷えれば、造形物は

簡単にはがすことができます。

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図 12:造形完了

図 11:耐熱シートを貼った様子

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■TIPS:造形物がテーブルからはがれないときは?

1階層目が定着しすぎてしまい、テーブルから剥がれにくい場合があります。基

本的にはテーブルが十分に冷却すれば簡単に外せますが、どうしても取れない場

合には、下記の道具を造形物とテーブルの間に差し込むことで、取り外すことが

出来ます。

・金属製のヘラ(なるべくヘラ部分が薄いもの)・柄のついたカッター(図13)

道具を使う場合は、怪我に十分、気をつけてください。また、あまり激しくテー

ブルに打ち付けるとテーブルが破損する恐れがありますので、ご注意ください。

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図 13:柄つきカッターの例

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3.2.チャレンジ 2:ローテーブルを出力しよう

チェックポイント

 □サポート材の出力

 □積層ピッチの変更

CUBIS は下から層を積み上げることで立体物を造形しますので、ピラミッドのように

下層ほど面積が広いものほど安定して出力が出来ます。

では、キノコや机のように、上部が張り出した形状の場合、どうやって造形するので

しょうか? その答えのひとつが「サポート材」です。

サポート材とは、出力中の造形物を支える柱のようなものです。サポート材は造形物

と一緒に出力され、造形が完了したら、手で取り除きます(図 14)。

Slic3r の場合、サポート材を「つける」、「つけない」は選べるものの、どこにサ

ポート材をつけるかは、基本的にはスライサーまかせとなります(高機能なスライサー

のなかには、サポート材を付けたい場所に付ける機能を持ったものもありますが、製

品同梱の Slic3r にはそのような機能はありません)。

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図 14:赤い線で囲まれた部分がサポート材。造形後、手で取り除く。

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■TIPS:サポート材が必要かどうか分からないときは?

サポート材が必要かどうか、判断に迷う場合はどうすれば良いのでしょうか?

サポート材が必要かどうか分からないときは、とりあえず『あり』を選択してみ

ても良いでしょう。

ただし、サポート材を常に『あり』にしていると、本来なら不要な箇所までサ

ポート材をつけてしまいます。またサポート材が接地している箇所は表面が汚く

なりがちですので、サポート材の出力は最小限にしたいところです(図15)。

造形にさほど時間がかからないのなら、いったん出力をしてみて、その状況から

判断するという方法を採る場合もあります。

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図 15:サポート材の跡

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では、次のサンプル、ミニチュアのローテーブルの出力に挑戦です(図 16)。サポート

材をつけて出力してみます。また、先ほどは積層ピッチを 0.2mm で出力しましたの

で、今度は 0.3 mmで出力してみましょう。

1.3Dデータ(STLファイル)の読み込みとオブジェクトの配置

ヒーテッドベッドの高さをチェックしたら、

データを読み込みます。

USB メモリーの「sample」フォルダ内に

「table.stl」ファイルが格納されていますので、

このファイルを開いてください(図 17)。

 USB メモリー内のファイルパス: sample/table.stl

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図 16:ミニチュア・ローテーブル

図 17:データを読み込む

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3.スライサーの設定と 3Dデータのスライス実行

今回は、積層ピッチを『0.3mm』、サポート

材は『あり』という設定で出力をしてみましょ

う。

「スライサ(OS X®版:Slicer)」タブを開き、

下記の通りに設定を選びます(図 18)。

・プリント設定:layer0_3mm(support)

・プリンタ設定:general_config

・エクストルーダー 1:

 ABS をお使いの場合:abs_filament

 PLAをお使いの場合:pla_filament

※写真はABS をお使いの場合

「Slic3r でスライス(OS X®版:Slic3r with Slic3r)」ボタンをクリックして、スライスを行

います。

スライスが完了すると、造形後のイメージが表

示されます。図 17 と図 19 を比べてみると分

かるとおり、造形物したい立体物にはなかった

支えが自動で追加されているが分かります。

4.3Dプリントの実行と造形物の取り出し

ノズル、ヒーテッドベッドを加熱したら、造形

を開始します(図 20)。

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図 20:ノズルとベッドを加熱

図 18:スライスの設定

図 19:スライス結果。サポート材がついている。

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造形が完了し、ヒーテッドベッドが十分に冷え

たことを確認したら、造形物を取り出します(図21)。

5.サポート材の取り外し

造形物を取り出したら、余分なサポート材を取

り外します。

固くて剥がれない場合、先の細いラジオペンチ

などを使用すると良いでしょう。このとき、造

形物が壊れないよう、ご注意ください(図 22)。

特に PLAの場合、かなりサポート材が堅いので、

勢い余って造形物を壊さないようにご注意くだ

さい。

なお、サンプルとしてソファの 3D データもご

提供しています(図 23)。よろしければこちらも

出力してみてください。ちなみにソファはサ

ポート材なしで出力可能です。

USB メモリー内のファイルパス: sample/sofa.stl

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図 21:冷えてから、造形物を取り出します。

図 22:サポート材を取り外します。

図 23:ソファーとローテーブル

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3.3.チャレンジ 3:ツールボックスを出力しよう

チェックポイント

 □長時間造形で気をつけること

 □SD カードからの造形方法

最後のチャレンジです。今度は、工具類をしまうためのツールボックスを出力してみ

ましょう(図 24)。このツールボックスは CUBIS 天面のネジ穴に装着できるように設

計されていますので、出力したら、ぜひ取り付けてみてください(図 25)。

ここまで Repeiter-Host による操作で造形を行ってきましたが、今度のツールボッ

クスは、造形時間がやや長めです。そこで今回は、SD カードからの造形に挑戦しま

しょう。

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図 24:ツールボックス 図 25:本体ネジ穴に装着できます

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1.3Dデータ(STLファイル)の読み込みとオブジェクトの配置

ヒーテッドベッドの高さをチェックしたら、

データを読み込みます。

USB メモリーの「sample」フォルダ内に

「toolbox.stl」ファイルが格納されていますの

で、このファイルを開いてください(図 26)。

 USB メモリー内のファイルパス: sample/toolbox .stl

なお、ヒーテッドベッドの高さを調整し終わっ

たら、3D プリンターとの接続を解除しても構

いません(解除しなくても構いません)。

ちなみに 3D プリンターに接続していない状態

でも、スライス処理の実行に支障はありません。

3.スライサーの設定と 3Dデータのスライス実行

今回は、積層ピッチを『0.2mm』、サポート

材は『なし』という設定で出力をしてみましょ

う(図 27)。・プリント設定:layer0_2mm(no-support)

・プリンタ設定:general_config

・エクストルーダー 1:

 ABS をお使いの場合:abs_filament

 PLAをお使いの場合:pla_filament

※写真は ABS をお使いの場合

「Slic3r でスライス(OS X®版:Slic3r with Slic3r)」ボタンをクリックして、スライスを行

います。

スライスが完了すると、Repetier-Host に予想造形時間が表示されます(図 28)。※写真の造形時間は一例です。造形時間は設定

により変化します。

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図 27:スライサーの設定

図 26:ツールボックスを読み込む

図 28:予想造形時間が表示される

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4.SDカードの準備とデータ保存

SD カードを初期化します(フォーマット形式:

FAT)。

Windows の場合、エクスプローラで SDカー

ドを選択し、右クリックのメニューから

「フォーマット」を選択してください(図 29)。

フォーマットはデフォルト設定のままで結構で

す。図 30 を参考に実行してください。

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図 30:フォーマットのウィンドウ

図 29:SD カードをフォーマット

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フォーマットが完了したら、G コードを SD カードへ 保存します。

Repeiter-Host で「Gコードエディタ(OS X®版:G-code)」タブを開き、フロッピーディス

クのアイコンをクリックします(図 31)。

保存先に SD カードを選択します。ファイル名

は「toolbox」と入力してください(図 32)。

Gコードを SD カードに保存したら、コン

ピュータを終了させてもかまいません。

■TIPS:SDカードでの造形で気をつけることは?

SDカードからの造形を行うときには、次の点にご留意ください。

・SDカードは毎回、初期化してください。

・SDカードに格納するファイルは、ひとつにしてください。

・SDカードにコピーしたファイルをSDカード上でリネームすると、3Dプリンタ

でうまく読み込めない場合があります。

・ファイル名はなるべく短めにし、英数文字のみをご使用ください(2バイト文字

は使用しない)。

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図 31:「G コードエディタ」タブを開く

図 32:toolbox と入力

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5.SDカードから 3D プリント実行

3D プリンター本体の SD カードスロットに

SD カードを挿入します(図 33)。

3D プリンターの本体を操作し、ノズル、ヒー

テッドベッドを加熱してみましょう。

本体の操作ボタン中央の決定ボタンを押下しま

す(図 34)。すると、液晶画面が「Main」画面に切り替わります(図 35)。

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図 33:SD カードを本体に挿入

図 35:液晶画面が「Main」画面に切り替わる

図 34:操作ボタン中央の決定ボタンを押す

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「Main」画面で「Prepare」にカーソル(“>”

マークのこと)を合わせ、再び決定ボタンを押

下します(図 36)。

カーソルはホイールの回転でも、操作ボタンの

上下でも移動させることが出来ます(図 37)。

画面が「Prepare」に切り替わったら、今度は

ノズルとヒーテッドベッドの加熱命令を出しま

す。

ABS をお使いの場合は「Preheat ABS」、PLAの場合は「Preheat PLA」に

カーソルを合わせ、押下します(カーソルを下

に移動していくと、画面がスクロールします)。ボタンを押下すると、ノズル、ヒーテッドベッ

ドの加熱が開始されます(図 38)。

※写真は ABS をお使いの場合

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図 37:ボタン、ホイール回転でカーソル移動

図 38:「Preheat ABS」を選んでボタン押下

図 36:「Prepare」でボタン押下

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本体の液晶パネルから、ノズルとヒーテッド

ベッドの温度を確認しましょう(図 39)。

設定温度付近に到達したら、再び本体の操作ボ

タン中央の決定ボタンを押下し、「Main」に

切り替えます。

「Main」から「Print from SD」を選び、決

定ボタンを押下します(図 40)。

すると、SD カード内の G コードファイルが一

覧されます(図 41)。表示された G コードファ

イルからファイル「toolbox」を選択し、決定

ボタンを押下すると、造形が開始されます。

何かトラブルが発生し、造形を取り止めたい場

合は、「Main」から「Stop Print」を選んで

決定ボタンを押下してください(図 42)。

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図 39:ノズルとベッド温度

図 41:SD カード内のファイルが一覧される

図 40:「Print from SD」でボタン押下

図 42:「Stop Print」で造形中止

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造形が完了し、ヒーテッドベッドが十分に冷え

たことを確認したら、造形物を取り出します(図43)。

■TIPS:長時間造形で気をつけることは?

SDカードを利用せず、コンピュータからの長時間造形を行う場合は、自動処理

にご注意ください。代表的な例は、次の通りです。

・Windows®の自動アップデートによる再起動

・ウィルスソフトによるウィルスチェック(それに伴う高負荷)

パソコンが途中で(自動的に)再起動してしまうと、その時点で出力はストップし

てしまいます。また、パソコンに高い負荷がかかると、出力データの転送に遅延

が発生し、出力精度の低下につながります。

利用中のパソコンに自動処理がどのように設定されているかをあらかじめ確認し

ておけば、出力への影響を事前に知っておくことが出来ます。

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図 43:造形完了

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4.こんなときどうする?3つのサンプル造形を通して、3Dプリントの概要はつかめたでしょうか? まだ分か

らないことがあると思いますが、あせらず挑戦して下さい。

この章ではスライサー『Slic3r』の設定項目の変更を通して、サンプルでは説明しき

れなかった基礎的な内容について解説します。スライサーの設定が分かるようになる

と、より高度な造形ができるようになり、それによって3Dプリントの楽しさが一気に

広がります。

4.1.Slic3rの設定を変更してみよう具体的な解説に先立ち、まずは Slic3r の設定の変更方法について学びましょう。

Slic3r の設定ウィンドウは Repetier-Host から呼び出します。Repetier-Host の「スライサ(OS X®版:Slicer)」タブを開き、Slic3rの「設定(OS X®版:

Configure)」ボタンをクリックする(図 44)と、設定ウィンドウが立ち上がります(図45)。

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図 44:Slic3r の設定ファイルを開く

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4.1.1.Slic3r設定ウィンドウについて

表 1:Slic3r 設定ウィンドウ 各部名称

番号 名前 説明

1 Print Settings タブ 各階層の厚みや積層スピード、サポート材などの有無を設定する

項目

2 Filament Settings タブ フィラメント径の設定や、ホットエンドやベッドの加熱温度設定

3 Printer Settings タブ 3D プリンターやエクストルーダーの設定

4 保存名リスト 保存した設定名が表示されるリストです。何も保存した設定がな

い場合は「- default -」のみが表示されます。

5 保存ボタン 現在の設定内容を保存します。

「保存リスト」で「- default -」が選択されている場合、名前を入

力するダイアログが開き、新たな設定として保存が出来ます。

「保存リスト」で保存済みの設定名が選ばれている場合、設定を

上書きします。

- 27 -

図 45:Slic3r 設定ウインドウ 各部名称

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削除ボタン 「保存リスト」で選ばれている設定を削除します。

「- default -」は削除できません。

7設定項目エリア 現在、開かれているタブの設定項目です。

8設定エリア 「設定項目エリア」で選択された設定内容が表示されます。

4.1.2.設定の保存方法と Repetier-Host への反映

ウィンドウ左側の方にある”フロッピーディスク”ボタンをクリックすると、現在、

表示されているタブの設定を保存できます(図 46)。

設定の保存は、「 Print Settings 」、「 Filament Setting 」、「 Printer Settings 」 タブ

ごとに行います。それぞれ区別がつくように、各タブで別の名前をつけるのも良いで

しょう。

また、新たに名前を付けて設定を保存した場合、Repetier-Host 上でその名前を設定

する必要があります。保存した名前がRepetier-Host 上に表示されますので、ドロッ

プダウンリストから保存した名前を選んでください(図 47)。

- 28 -

図 46:保存ボタン

図 47:Repetier-Host 上で設定を選ぶ

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■参考:3Dデータと変換済みの3Dデータの関係について

ここでいったん、3Dデータと変換済みの3Dデータの関係について、整理してお

きましょう。

これまで繰り返し見てきたとおり、3Dプリントを行うには「スライス」という

処理を行って、3Dデータ(stlファイル)を、3D プリントできる形式(Gコード)に変換する必要がありました(図48)。

スライスされる前の元データと、スライス後のデータを比べてみると、スライス

後のデータにはサポート材がついたり、大きさが変わっていたりする場合があり

ます。では、元のデータもそれに合わせて、サポート材がつけられたり、大きさ

が変更されたりするのでしょうか?

答えはノーです。スライス処理は、あくまで元データを3Dプリント可能なデー

タ形式に変換する機能であって、元データ自体を更新する機能はありません。し

たがって、スライサーの設定を様々に変更し、スライスを実行しても、元のデー

タは元のままです。

- 29 -

図 48:スライサーがデータを変換する

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4.2.第一階層をがっちり定着させる(ブリムの設定)

ここまでの説明で、第一階層の定着力を上げる方法をいくつかご紹介してきましたが、

ここでは「ブリム(縁)」をつける方法をご紹介します。

ヒーテッドベッドに接地する面積が狭い造形物の場合、せっかくベッドに第一階層が

定着しても、造形中の振動などで造形物が剥がれてしまう場合があります。そこでブ

リムをつけて、定着力を高めます(図49)。

ブリムとは、造形物の第1階層につく”つば”です。テーブルとの接地面積を増やす

ことで、ヒーテッドベッドへの定着力アップが期待出来ます。ブリムは完成後、手で

取り除きます。

Slic3r における設定情報は、次の通りです。下表の「設定内容」に則った設定を行う

と、スライス処理によって自動的にブリムがつけられます。図50では、Slic3r 設定

ウィンドウの設定箇所を赤枠で示しています。

表 2:ブリムの設定

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Skirt and brim 「Brim」エリアの「Brim width」に 1(mm) 以上の値

を入力してください(図50)。

 

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図 49:右がブリムを付けた状態

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4.3.造形開始時のフィラメント出力を安定させる(スカートの設定)

造形開始直後、フィラメント出力が安定しない場合があります。スカートとは、フィ

ラメントの出力を安定させるために行う”慣らし出力”のことです(図51)。造形物を

出力する前に、あたかも試し書きのようにヒーテッドベッド上へ樹脂を出力します。

造形開始直後の出力具合が悪いと感じた場合、スカートの設定を検討してください。

Slic3r における設定情報は、次の通りです。

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図 50:ブリムをつける

図 51:スカート(左は通常、右はスカートをつけた状態(白抜き赤矢印の部分))

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表 3:スカートの設定

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Skirt and brim 「Skirt」エリアの「Loops(周回数)」、および、

「Skirt height(スカートの高さ)」に 1 を入力してくだ

さい。

スカートの周回を増やしたい場合は、「Loops」の値を

増やしてください(図52)。

4.4.造形物を空洞にする(充填率の変更)

スライサーの設定を変更することで、造形物の中身を空洞にすることが出来ます。空

洞にすると造形に必要とされる樹脂の量を減らすことができ、そのぶん造形にかかる

時間も短縮することが出来ます。

ただし、もともと空洞で出力されることを想定してモデリングされた 3D データでし

たら問題はありませんが、そういった考慮の無いデータの場合、造形物の上部が支え

を失うことになるため、造形がうまくいかない場合がありますのでご注意ください。

造形物の空洞化は、充填率を変更することで行います。充填率を0 にすれば空洞にな

りますし、反対に 1 にすると、完全に内部を樹脂で埋めた造形物が出来上がります。

値は 0 から 1 の間で変更が可能ですので、例えば 0.5 を設定すると、50% 程度の充

填率となります。

図53は、充填率0(Infill 0)、充填率50%(Infill 0.5)、充填率100%(Infill 1)にしたときのス

ライス結果の例です。充填率が上がるほど、内部の格子が狭くなり、密度が高くなっ

ているのが分かります。

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図 52:スカートをつける

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Slic3r における設定情報は、次の通りです。

表 4:充填率の設定

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Infill 「Infill」エリア の「Fill density」に 0 を入力すると空

洞となり、1 を入力すると完全に充填された状態になり

ます。

0 より大きく、1 未満の間の数を入れると、充填率がそ

の値となります。

4.5.外壁を厚くする

外壁を厚くすることで、造形物の強度を上げることが出来ます。造形物の充填率を下

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図 54:充填率を変更する

図 53:Infill 設定による充填率の違い

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げた場合、造形物がもろくなることがありますので、そのときはこの設定の見直しを

検討しても良いでしょう。

Slic3r における設定情報は、次の通りです。なお、”Perimeters”とは”境界線”

や”外縁部”といった意味です。

表 5:外壁の厚み設定

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Layers and perimeters

「Vertical shells」エリアの「Perimeters」に 1 以上

の数を入力します。

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図 56:外壁を変更する

図 55:Perimeters 設定による外壁の厚みの違い

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4.6.造形スピードを変更する

造形スピードを変更する方法はいくつかありますが、ここでは代表的な方法である

「プリンターヘッドの移動速度」の変更方法を紹介します。

プリンターヘッドの速度設定は、造形箇所や状況に応じて細かく定義できるように

なっています。大分すると、造形中(Speed for print moves。図 57 中、①のエリア)と、

そうでないとき(Speed for non-print moves。図 57 中、②のエリア)の 2 つに分けられ

ます。

さらに造形中(Speed for print moves)の場合、「外壁(perimertes)」や「充填物

(infill)」、「サポート材(support material)」など、造形している箇所ごとに速度を定

義できるようになっています。

また、第一階層の速度だけを設定することも出来るようになっています(First layer speed。図 57中、③のエリア)。第一階層のテーブルへの定着は、その後の造形品質

を決める重要な要素ですので、ここだけ速度を落として造形することも良くあります。

詳しい設定項目に関しては、別マニュアル「Slic3r設定」のA20からA30までをご

参照下さい。

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なお、造形物の充填率を下げることで、造形にかかる時間を短縮する方法もあります。

合わせてご活用ください。

4.7.大きさ・角度を変更する

大きさや角度の変更は Slic3r ではなく、Repetier-Host での操作になりますが、良く

使われる項目ですので、知っておくと便利でしょう。大きさ、角度の変更は、

Repetier-Host の「オブジェクト配置(OS X®版:Object Placement)」タブにて行

います(図 58)。

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図 58:大きさ、角度、位置の変更

図 57:造形スピードを変更する

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大きさ(尺度)を変更するには、オリジナルサイズを 1 とした倍数を「尺度」の項目に

入力します。例えば、「0.5」を入力するとオリジナルの半分の大きさになります。

反対に「1.5」 を入力すると 1.5倍の大きさになります。また、X軸方向、Y軸方向、

Z軸方向の倍率を個別に変更することも出来ます(図 59)。

角度を変更するには、「回転」の項目を使用します。X軸、Y軸、Z軸方向それぞれ

の回転角度を個別に入力します。図 60は、図 59の造形物の Y軸を 90度、回転させ

た様子です。

なお、角度を変更すると、3Dデータが造形範囲からはみ出すことがしばしばありま

す。その場合、「オブジェクトを中央に移動」ボタンをクリックすれば、3Dデータ

が中央に移動します(図 61)。

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図 60:Y 軸を 90 度、回転させた様子

図 59:尺度の違いによるオブジェクト形状

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4.8.スティック糊をつかって定着力を高める

スティック糊をヒーテッドベッドに薄く広く塗布すると、フィラメントの定着率が格

段に向上し、第 1階層の失敗や、オブジェクトの反りを防ぐことができます(図 62)。

ただし、接着力が強すぎるものや、塗布後、すぐにサラサラに乾燥してしまうタイプ

のものは不向きです。また、メンテナンスのことを考えると、ぬれぞうきんでこすっ

たら落ちるタイプのものが良いでしょう。弊社スタッフの場合、株式会社トンボ鉛筆

の『スティックのり シワなしピット(品番:HCA-114)』を使う場合が多いようです。

のりを塗布して造形を繰り返すと、ヒーテッドベッド上の汚れが目立つようになりま

す。その場合、電源をオフにし、堅く絞ったぬれぞうきんで拭いてください。

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図 61:中央に移動ボタン

図 62:スティック糊を塗る

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5.応用テクニックここでは、もう少し高度な応用テクニックに関して解説します。

5.1.造形物の隙間を埋める

なだらかな傾斜がある 3Dデータの場合、造形物の上部に隙間ができる場合がありま

す(図 63)。この隙間を埋めるテクニックをご紹介します。

(1).造形物上部の充填率 100 % の層を増やす造形物の上部は通常、充填率が 100%の層(Slic3r では”Solid layer”と呼びます)が造形されます。この層の階層を増やします。イメージとして、屋根の厚みを増す感じ

でしょうか。

(2).出力するフィラメントの量を、やや多めにフィラメント量をやや多めにします。出力される樹脂の線を太くするような感じです。

あまり過度に多くすると、細かな部分が上手く出力されなくなってしまいますので、

ご注意ください。

Slic3r の設定例は、次の通りです。

表 6:造形物の隙間を埋める

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Layers and perimeters

「Horizontal shells(水平方向の構造)」エリアの「Solidlayers(充填率 100 % の層)」の Top を 10 にします。

Filament Settings Filament 「Filament」エリアの「Extrusion multiplier(フィラメ

ント出力量の倍率)」を 1.35 にします。

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図 63:左は隙間があいた状態。右は埋まった状態。

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設定項目の詳しい解説は、下記の通りです。より深くお知りになりたい場合、お読み

ください。

Slic3r では、水平方向と垂直方向の層の厚みを個別に設定することが出来ます。水平

方向は”床と屋根”の部分、垂直方向は”壁”の部分と言えるでしょうか(図 64)。

「Horizontal shells(水平方向の構造)」エリアの「Solid layers(充填率 100 %

の層)」では、造形物の上面と下面に出力する”充填率100%”の層の数を設定するこ

とが出来ます。なお、造形物内部の充填率とは独立していますので、仮に造形物の充

填率を 0 にしていたとしても、ここの値が 1 以上であれば、充填率 100% の層が

出力されます。

前述の設定例では、Top、つまり最上層を 10 としていますので、充填率 100% の層が10層、出力されることになります。

「Extrusion multiplier(フィラメント出力量の倍率)」を 1.35 としていますが、

これはノズルから出るフィラメントの出力量の 1.35 倍を出力するという意味です。

1.35を最大値としてこの値を増減させ、造形の品質がどのように変化するか見てみる

のも良いでしょう。

ここでご紹介した方法でも埋まらない場合、Top の値を増やしてみてください。

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図 64:青い面と床に接している面が水平方向、

ピンクが垂直方向の面

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5.2.インサート造形

『インサート造形』とは、造形物の内部に物を組み込むというテクニックです。射出

成形(溶かした樹脂を型にはめて成型する一般的な手法。大量生産に向く)でこれを行

おうとすると、複数の部品を組み合わせたつなぎ目ができてしまいますが、3D プリン

ターの場合はそれができません。

図 65 は、インサート造形の例です。家をかたどった造形物の中にビー玉が入っていま

すが、構造上、家の造形が完了してからではビー玉を入れることは出来ません。また、

このビー玉は家を壊さない限り、取り出すことは出来ないようになっています。

やり方は、さほど難しくありません。物が入れられるほど造形ができたところで

Repetier-Host の「ジョブ一時停止(OS X®版:Pause)」をクリックします(図 66)。こ

のボタンは、造形中のみ表示されます。

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図 66:「ジョブ一時停止」ボタン

図 65:ビー玉が閉じ込められた家

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プリンターヘッドが邪魔な場合は、適当なところへ動かしましょう(テーブルは動かさ

ないでください。正常に造形が再開できない場合があります)。プリンターヘッドを動

かしたら、造形物の内部に物を入れます。このとき、中に入れた物が造形物の高さを

超えないように気をつけてください。

物を入れ終えたら、「プリント一時停止(OS X®版:Print Paused)」ウィンドウの

「プリント継続(OS X®版:Continue printing)」をクリックし、造形を再開します。

先ほどのビー玉の家の例で言うと、柱の造形が終わり、屋根の造形が始まる前で一時

停止します。そしてビー玉を入れ、造形を再開するのです(図 67)。

5.3.コップのような造形

Repetier-Host は 3D モデリング・ソフトではないので 3D データ自体の修正はできませ

んが、スライサーの設定次第でユニークな造形が可能です。ここでは、乾電池のよう

な円柱から、コップのような形状を造形する方法をご紹介します(図 68)。

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図 67:ビー玉を入れている様子

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まず Slic3r のことは考えずに、円柱からコップを作る方法を考えてみましょう。さま

ざまな方法が考えられると思いますが、円柱の底と外壁を残して内部をくりぬいてし

まえば、コップのような形状になりそうですね。

これを Slic3r の設定に置き換えると、次のようになります。

表 7:コップのような造形物を作る

タブ名 項目名 設定内容

Print Settings Infill 「Infill」エリアの「Fill density(充填率)」を 0 にしま

す。

Print Settings Layers and perimeters

「Vertical shells」エリアの「Perimeters(外壁)」を 1 以上にします。

Print Settings Layers and perimeters

「Horizontal shells」エリアの「Solid layers(充填率

100 % の層)」の Top を 0 に、Bottom を 1 以上にし

ます。

ポイントとしては、充填率を 0 にしたうえで「Horizontal shells」エリアの

「Solid layers」の Top を 0 にするところです。この設定により、円柱の上部に穴

が開きます。仮にこの値を 1 以上にすると、円柱に蓋がされ、内部が空洞の円柱がで

きあがります。

あまり使わないテクニックかもしれませんが、覚えておいて損は無いでしょう。

5.4.ボロノイ形状の造形

図 69のような、葉っぱの葉脈に似た網目状の造形物をご覧になったことはございま

せんか? このような構造は”ボロノイ形状”などと呼ばれ、一般的な射出成形では

作成不可能とされています。3Dプリンターならではの造形物という点と、その構造

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図 68:円柱からコップのような形状をつくる

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の美しさも相まって、造形のサンプル品として選ばれることが多いようです。

さて、このような造形物を 3Dプリントする場合、サポート材は必要でしょうか?

構造がもろく見えるため、ついサポート材をつけてしまいたくなりますね。3Dデー

タの設計に依存するため、出力してみないと分からないこともありますが、インター

ネットから無料でダウンロードできるデータはサポート材なしでも造形が出来るよう

になっている場合が多いようです。

そのようなデータをサポート材つきで出してしまうと、造形物の内部についたサポー

ト材が取り除けず、残ってしまうことがありますので、まずはサポート材なしで出力

できないか検討することをお勧めします。

5.5.造形物の色を途中で変える

CUBIS にはノズルがひとつしかありませんが、ジョブの一時停止を活用することで、

造形の途中から色を変えることが出来ます(図 70)。これは、造形中のフィラメント交

換を応用したテクニックです。

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図 69:ボロノイ形状の例

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色を変えたい層まで造形が完了したら、Repetier-Host の「ジョブ一時停止(OS X®版:Pause)」をクリックします。プリンターヘッドを適当な場所へ移動して、別の色

のフィラメントに交換します(テーブルの位置は動かさないようにして下さい。正常に

ジョブ再開できなくなる場合があります)。

この方法で変えられるのは、あくまで階層単位です。例えば「カエルの右足だけ赤に

したい」など、(同一階層の)場所ごとに色を変えることは出来ません。

5.6.冷却時間を稼ぐテクニック

出力が長時間になると、庫内の温度がかなり高くなることがあります。その結果、ノ

ズルから出力された樹脂が固まりきる前に、次の層がその上に出力されてしまう状態

が起こります。これが続くと、上層部の重みや熱で造形物がゆがんでしまう等の問題

が生じます。

スライサーの設定でこの問題を軽減する方法もありますが、「複数のオブジェクトを

一度に造形し、冷却のための時間稼ぎをする」というテクニックがあります。一層あ

たりの出力にかかる時間を伸ばし、冷却時間を稼ぐのです。

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図 70:フィラメント交換を利用した 2 色造形

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時間稼ぎ用のオブジェクトはどのような形状でも構いませんが、それの造形失敗が原

因で本命オブジェクトに影響が出てしまったら元も子もありません。円柱など、比較

的、造形の失敗が少ない、シンプルな形状のものを選ぶと良いでしょう。

5.7.人物を造形するときのコツ

造形の品質には、造形スピードや冷却、積層ピッチなど、さまざまな要素がからんで

きますが、ここでは「造形物の角度」に注目してみます。図 72 のうち、どちらが最も

綺麗に出力できる角度でしょうか?

どこの品質を重視するかによって、どちらも正解と言えます。

左の図は全体的に綺麗にできるので、とりあえずこの角度を選択する事は間違いでは

ありません。ただし首から下は恐らく綺麗に造形できると思われますが、顎や鼻、耳

の下など、宙に突き出ている部分はあまり綺麗に造形できない可能性があります。

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図 71:矢印が「時間稼ぎ用オブジェクト」

図 72:縦と横、どちらが正解?

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右の図はどうでしょうか。一般的に FDM の場合、上を向いた面は綺麗に出る傾向が

ありますが、下を向いた面は表面が荒れることが多いとされています。そのため、胸

像の前面は綺麗に出ると思われますが、後ろはサポート材も必要になることから、表

面がザラザラになるでしょう。

もうひとつの選択肢が、図 73 です。斜めにすることで、立てた場合と横にした場合の

両方のメリットを、ある程度、享受することができます。ただし、最適な角度を見つ

けるのが難しい場合もあるため、まずは立てて造形し、満足する品質にならなかった

ら少し角度をつけてみる、という方法も良いでしょう。

5.8.3Dプリントの最低速度を底上げする

あまり積極的に推奨できる方法ではありませんが、3Dプリントの最低速度を底上げ

する方法があります。この設定は精度が落ちる可能性が高いため、使用するシチュ

エーションは限られるでしょう。

造形速度の制御は主に「Print Settings」タブの項目Speed にて行われますが、実

は「Filament Settings」タブ内にも速度に関係する設定項目が存在します。

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図 73:斜めにした例

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表 8:3D プリントの最低速度を底上げする

タブ名 項目名 設定内容

Filament Settings Cooling 「Cooling threshods」エリアの「Slow down if layerprint time is below」、「Min print speed」

「Min print speed(最低プリント速度)」はその名の通り、プリンターヘッドの最低

速度を制御する項目です。この設定値は、一層ぶんの予想造形時間が「Slow down if layer print time is below」で設定されている秒数を下回る場合にのみ、使用さ

れます。

そのため、例えば「Slow down if layer print time is below」の値を下げ、

「Min print speed(最低プリント速度)」の値を上げることで、造形にかかる最低ス

ピードの底上げが期待できます。

ただし、これらの設定値は造形物の冷却制御のために用意された項目ですので、造形

速度アップのために使用することは、本来の目的から外れています。そのため、造形

物の精度は元より、造形自体が失敗する可能性も高くなることは留意すべきです。

なお、「Min print speed(最低プリント速度)」と「Slow down if layer print time is below」は、「Enable」エリアの「Enable auto cooling(冷却の自動制

御)」にチェックがついている場合のみ、有効になります。

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図 74:3D プリントの最低速度を底上げする

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5.9.Repetier-Host、Slic3r のバージョンアップ

Repeiter-Host、Slic3r の操作に慣れてきたら、上位バージョンを試してみるのも良

いでしょう。バージョンアップの結果、スライスの性能や速度が向上する場合があり

ます。

もしバージョンアップの結果、動作に問題があるようでしたら、完全にアプリケー

ションをアンインストールして、再度、推奨バージョンのソフトウェアをインストー

ルし直してください。

具体的なバージョンアップ方法に関しては、Repetier-Host、および、Slic3r のサイ

トをご参照ください。

5.10.Repeiter-Host 以外のソフトウェアを利用する

RepRap系の 3Dプリンターを制御できることの出来るソフトウェアなら、CUBIS を動作させることができる場合があります。

『Simplify3D®』は、そのひとつです。 やや値段が高く、ユーザインターフェース

が日本語化されていないという点から万人向けとは言えませんが、自由度の高いサ

ポート材の設定とスライス性能の高さから、多くの 3Dプリンター愛好家に利用され

ているソフトウェアです。もし機会があれば、ぜひチャレンジしてみてください。

ただし、すべての汎用 3Dプリンター用ソフトウェアでの動作を保証するわけではあ

りません。あらかじめご了承ください。

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6.本体液晶パネルについて本製品正面の「液晶パネル」と、その周辺各部についてご説明します(図 75)。

6.1.各部名称と役割

(1).液晶パネル

ノズルやヒーテッドベッドの現在温度、プリントヘッダの現在位置(座標)など、現在

の 3D プリンターの状態を表示したり、本製品を操作するためのコマンドを表示する

ためのエリアです(図 76)。電源を投入するとバックライトが点灯します。

表 9:液晶パネル解説

No. 設定ファイル名 設定ファイルの内容

1 ノズル温度 左側が現在温度、右側が設定温度(この温度付近まで加熱)です。

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図 76:液晶パネル(Info screen(情報画面)」

図 75:液晶パネル 拡大図

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Ver.1.02 ヒーテッドベッド温度 左側が現在温度、右側が設定温度(この温度付近まで加熱)です。

3 プリンターヘッド座標 横方向が X 軸、手前-奥方向が Y 軸です。

4 ヒーテッドベッド座標 Z軸(ヒーテッドベッド)の現在位位置です。

5 フィラメント吐出割合 フィラメント吐出割合です。

6 SD カードからの出力

進捗

SDカードから直接、出力している場合、進捗がパーセント表示さ

れます。

7 ジョブ実行経過時間 ジョブを実行(=造形を実行)してから今までの経過時間です。

8 メッセージ

「操作ボタン」中央の「決定ボタン」を押下すると、画面が「Info screen(情報画

面)」から、操作コマンドが並ぶ「Main(メイン画面)」へと遷移します(図 77)。一定

時間、操作を行わないと、自動的に「Info screen(情報画面)」に戻ります。

(2).操作ボタン

本製品を直接、操作するためのボタンです。最も外側の「上下左右ボタン」部と、そ

の内側の「ホイール」部、中央の「決定ボタン」部から構成されています(図 78)。

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図 77:「Main(メイン画面)」 拡大図

図 78:操作ボタン

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表 10:操作ボタン解説

No. 設定ファイル名 設定ファイルの内容

1 上下左右ボタン 液晶パネル内のカーソルを押下方向へ移動します。

プリンターヘッドやヒーテッドベッドの移動には用いないで下さい。本

体がフリーズする恐れがあります。フリーズした場合、電源をオフにし

た後、再度、オンにすれば回復します。

2 ホイール 指で回すことが出来ます。

右に回すと、カーソル下移動(数値入力では値増加)します。

左に回すと、カーソル上移動(数値入力では値減少)します。

3 決定ボタン 「Info screen(情報画面)」で押下すると、「Main(メイン画面)」へと

遷移します。

「Main(メイン画面)」以降では、カーソルで選択されたコマンドが実

行されます。

(3).動作ランプ

現在の 3D プリンターの動作状況を示すライトです(図 79)。

左から、SD カード認識、冷却ファン稼働中、ノズル加熱中、ヒーテッドベッド加熱

中を意味します。

(4).SD カードスロット

SD カードを挿入するスロットです。

6.2.操作コマンドについて

「Main(メイン画面)」の操作コマンドに関しましては、別紙「液晶パネルコマンド一

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図 79:動作ランプ 拡大図(点灯時)

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覧」をご参照ください。すべての操作コマンドを一覧しておりますが、中には取り扱

いの難しい操作コマンドも含まれています。お客様による実行を禁止しているものも

ございますので、ご注意ください。

■ご注意:ヒーテッドベッド、プリンターヘッドの移動について

本体の操作ボタンを操作してヒーテッドベッド、プリンターヘッドの移動をする

場合、「上下左右ボタン」は使用しないでください。本体がフリーズする恐れが

あります。ベッドとヘッドの移動には、ホイールをご使用ください。

なお、本体がフリーズした場合、スイッチをいったん切り、再度、電源をオンに

すると復帰します。

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Kangaroo - Voronoi Style by roman_hegglin is licensed under the Creative Commons - Attribution license.

Augustus by CosmoWenman is licensed under the Creative Commons - Attribution license.

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