3ヶ月後~6ヶ月後~1年後のフォロー支援の進め方 · 2019-11-12 ·...
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3ヶ月後~6ヶ月後~1年後のフォロー支援の進め方
支援機関は、創業者の経営安定化のために、創業(開業)後も一定期間の支援活動を
継続します。調達先との安定取引や業務提携先との商品開発等を立上げ、税理士・社労
士の紹介、スタッフの雇用など、円滑な事業活動が推進できるように支援します。また、
事業活動の進展に合わせ、業務システムの定型化、ビジネスモデルのレビュー、販路開
拓支援などを行い、経営の安定化を図ります。
さらに、創業者のマネジメント能力向上も重要な支援課題です。計画を作成した後に
活動指標を設定し、定期のモニタリングを通してマネジメントノウハウを身に付ける支
援を継続します。創業時、創業3ヶ月後、6ヶ月後、1年後のフォロー支援を行い、初
年度事業計画の達成を目指します。
支援の出口では、初年度決算業務の相談対応を行い、次年度の事業計画の作成を支援
します。精度の高い事業計画は経営ツールとして有効に活用され、創業者自身のマネジ
メント能力向上にも大きく寄与します。
本資料は、創業後のフォロー支援に関する6つの重要業務と実際の支援手法について
紹介します。
創業(開業)時の届出に始まり、記帳や税務申告などの事業手続きの実施状況を確認し、各種業務の実行を支援します。
各種届出
社会保険加入の手続き
記帳指導
税務申告
コンプライアンス
顧客獲得やリピート利用は、創業者にとって最も関心の高い課題です。売上・利用状況を確認し、販売促進等の対策を支援します。
認知度の向上
見込み客の顕在化
見込み客による購入・受注促進
顧客をリピート化(多頻度利用客化)
顧客のファン化(固定客化)
商品の品質管理、接客サービス等の業務改善を軽視すると、致命的な事態になる危険があります。創業者の意識付けを進め、継続的な改善業務を支援します。
5Sの徹底
商品、サービスの品質向上
CS・接客レベルの向上
設備、レイアウトの改善
販売促進策の見直し
業務の効率化
創業前に考えていたビジネスモデルを具体化します。さらに修正を繰り返しながら高度化し、競争優位なビジネスモデルを構築します。
商品、サービスの高度化、メニュー化
ターゲット顧客の見直し、再絞り込み
調達先、仕入れ先の再編成
業態の精緻化、高度化
新しい販売手法の確立
競争優位の再定義
メーカーやIT企業等の場合は、雇用の創出を伴う大きな成長も期待できます。ビジネスマッチング等を通して業務提携先の紹介や販路開拓等を支援します。
企業とのマッチングの機会紹介
業務提携先の紹介
新しい販路開拓
地域拡大策の検討と試行、機会斡旋
地域イベントへの参加斡旋
創業者自身がマネジメントを理解し、計画に基づいた経営を実践できるように支援します。日計表等を活用して月次単位で振り返り、対策をとるようにします。
実行計画(課題解決・売上利益)の作成
計画通りの実行
日報、日計表の活用定着
予実ギャップの把握
対策の立案と実行
効率的な管理手法の定着
創業した事業が経営の安定化を見通せるまでの期間、支援機関によるフォロー支援を行います。フォロー支援は、単に事業活動のモニタリングをするのではなく、創業者が経営の実践的ノウハウ、経営者としての自覚や心構えを身に付けるための支援活動です。以下に、フォロー支援の対象業務を示します。
業務の定義: 創業後の経営課題解決を支援するとともに、創業者が経営者としての自覚と経営ノウハウを身に付けるための一連の支援業務。
業務の目的: 創業者に対する伴走支援を通し、経営の安定化を実現すること。成果目標 : 創業企業の経営の安定が見通せること。黒字決算を実現すること。
業務指導・業務支援業務 ①
顧客獲得・顧客との関係強化業務 ②
品質管理・店舗運営業務 ③
ビジネスモデルの構築・高度化業務 ④
マッチング・業務提携の斡旋業務 ⑤
マネジメントの定着業務 ⑥
創業後のフォロー支援は、創業時/3ヶ月後/6ヶ月後/1年後の4段階の確認業務及び対策支援を基本とします。ライバルの状況、顧客の利用頻度や購買特性などが時間経過と共に変化しますので、半歩先を読んだ対応を心がけます。また、フォロー支援は事業者がマネジメントを習得の場でもあります。PDCAの定着を丁寧に支援しましょう。
モデルとなる支援プロセス
創業時のフォロー支援業務(企業の課題に応じて、優先順位を決めフォローします)
創業時のフォローは状況確認業務が中心です。未着手の業務や追加課題がある場合は、その対策を支援します。
各種届出の確認
現金出納に関わる業務
ビジネスモデルの充足度
従業員の雇用対応、教育
許認可手続き完了の確認
販売促進、顧客開拓に関わる業務
品質管理システム
マネジメント業務
3ヶ月後のフォロー支援業務
活動指標のモニタリング
顧客の動向
顧客対応業務の基準化
ライバル企業・競合店の状況
内部業務のシステム定型化
新たな業務課題
経営戦略に基づいて活動を修正・精緻化する機会です。当初の操業計画と対比させ、きちんとレビューすることが大切です。
6ヶ月後のフォロー支援業務
創業後6ヶ月を経過し、毎月の売上や業務負荷等が概ね見通せるようになり、計画の練り直し等には最適です。
活動指標のモニタリング
企業連携の支援
当年度着地見通しと対策
ビジネスモデルの検証
販売促進の支援
他の支援機関との連携策
決算時のフォロー支援業務
最終見通しの確認と調整
次年度の改善点、業務課題の抽出
確定申告書の作成支援
次年度事業計画の作成
法人決算時(または創業1年後)は1年間の事業を振り返ります。決算時のフォロー支援の成果物は、次年度事業計画書です。
経営安定化の見通しを確認した後は、必要に応じて成長支援を継続
Q1:飲食店の開業の場合も、フォロー支援は必要ですか?A1:新規開業後3ヶ月程度を経過すると、競合店は対抗策を講じ、顧客の反応やリピート利用にも変化が生じます。この段階で対策を取らないと、利用客の減少や売上低迷につながります。フォロー支援の重要なタイミングです。
Q2:店舗開業の販売促進支援とは、何を重点に支援したらよいでしょうか?A2:開業直後は新規見込み客に対するPR活動が中心です。一定期間経過後は、リピート利用の確保が販売促進活動の中心になります。また、季節ごとにイベントや季節商品を提供する活動も有効です。支援機関は、販売促進活動の実行計画の作成を支援します。
Q3:開業直後に売上低迷に陥った場合、どのように対策したらよいですか?A3:売上低迷要因を把握するために、4P戦略(商品、価格、流通、販売促進)の視点で現状確認を行います。開業直後は、商品力の基本部分の評価も不可欠です。「おいしい/まずい」「上手/下手」「割安/割高」等で、訴求力があるかを再確認します。
Q4:ベンチャー企業の販路開拓は、どのように支援しますか?A4:販売戦略の立案支援から着手します。製品用途に従い顧客特性を導き、具体的な顧客イ
メージを固めます。見込み客をリストアップで
きたら、提案活動を支援します。マッチングや
展示会出展等も、課題と調査項目、確認事項を
明確にする支援が重要です。
No. モニタリング項目(小売業の場合) 対策の視点(例)
1 売上高(月次、曜日別) ・売上管理の手法見直し ・担当業務の見直し・低稼働日対策の検討 ・日々の時間帯別対策の検討
2 利益率・利益額 ・商品区分別利益率(粗利率、限界利益)、顧客区分、取引先区分別の利益率から商品構成の見直し
3 来店客数(日別/時間帯別、客層別、イベント毎)
・低稼働日対策の検討 ・日々の時間帯別対策の検討・客層別お勤め商品の設定 ・販促イベントの実施
4 客辺り単価 ・セット販売、セット割引、お勧め商品等の推進・注文受付時のトーク見直し
5 商品別売上構成(売れ筋/死筋) ・売れ筋商品の品切れ対策 ・死筋商品の廃棄等・高粗利商品の特販 ・メニュー表示の改訂
6 経費率、原材料費率(商品別) ・仕入先、仕入契約の見直し ・費目毎の支払い状況の確認
7 販売促進活動の実施状況と効果 ・販促活動阻害要因の抽出 ・手法毎の効果評価・高効果要因の分析と標準化
8 ターゲット顧客層の購入・利用状況 ・チーゲット顧客層の評判、アクセス、利用頻度等の分析・ターゲット顧客層に焦点を当てた販売促進の検討
9 HP、Facebook、Line等へのアクセス状況
・更新頻度、更新内容等の見直し・アクセス数増加策の検討、検索キーワードの見直し
10 業務改善、業務変更の状況 ・顧客対応業務の適正評価 ・内部手続き業務の見直し
11 パート・アルバイトの採用・定着の状況
・作業時間、作業負荷、難作業の見直し等の対策・時間単価、契約方式の見直し
12 利用客からの評判、コメント 等 ・クレーム、不満足項目に対しての対策・潜在クレームの掘り起し、検証