3mの組織活用力に関する分析kush0405/kuseminar/data/3m(iyama...具ゼミ(ケーススタディ)...
TRANSCRIPT
具ゼミ(ケーススタディ) 1
3Mの組織活用力に関する分析
• 京都産業大学経営学部 経営学科
井山 めぐみ
川浦 愼也
鈴木 地裕
具ゼミ(ケーススタディ) 2
分析のテーマ
• 3Mの組織構造を分析し、そのうえで一体それらの組織が3Mにおけるイノベーションに対してどのような影響を与えているのかをテーマにした分析を行おうと思います。
具ゼミ(ケーススタディ) 3
本時の発表計画
• 3Mの概要
• 事業ドメイン• 3Mの組織力
• 開発などの具体例に即した説明• 失敗への対応と成功の制度化• 結論-3Mから学ぶこと-
具ゼミ(ケーススタディ) 4
3Mの概要
創業:1902年
年間売上高:135億ドル
年間研究開発費:9億ドル
年間開発費(売り上げ比率)6.6%
税引き前利益:13億ドル
税引き後純利益:10億ドル
全世界の従業員数:7万7百人
研究開発員数:6500人
具ゼミ(ケーススタディ) 5
3Mの主力商品
• 構造用接着剤
• ポストイット(粘着メモ)
• マスキングテープ
• マーキングペン
• フッ素樹脂
• 交通用反射シート
具ゼミ(ケーススタディ) 6
3Mの事業ドメイン
• 「テクノロジープラットフォーム」と呼ばれる独自の技術基盤を研究開発の中核として、汎用性の高い独自のコア技術を派生分化させる(シナジー効果を追求する)ことによって、さまざまな市場での製品化を追求している。
具ゼミ(ケーススタディ) 7
3Mの事業ドメイン
マイクロ
インターコネクト接着・接合 光ファイバ高精細表面 フッ素科学
エレクトロニクス
フィルム 光制御材料
塗布研磨材
セラミック
精密コーティング
医薬品 成形加工粒子分散プロセス
ディスプレイ材料
具ゼミ(ケーススタディ) 8
3Mの競争優位性
総売上高の7%を研究開発分野に投資
5万種に及ぶ既存商品が、新商品導入のリスクを最小限に抑えることを可能にする
開発等に携わる人間が自らのアイデアを生かしやすい組織作りを行っている
社内ベンチャーの数が他社に比べて多い
※成功率は他社と変わらない
具ゼミ(ケーススタディ) 9
3Mの競争優位
事業ドメイン 事業創造の仕組み
組織文化
3Mの競争優位性
具ゼミ(ケーススタディ) 10
3Mの組織文化
• 手を挙げるカルチャー• 企業家精神を促進する環境• 少し作って、少し売り、またもう少し作る• 先住民のいない市場を探せ• 汝、新製品のアイデアを殺すなかれ
具ゼミ(ケーススタディ) 11
3Mの事業創造プロセス
• 一つ一つのテクノロジープラットフォームを追求し、そこから新しい市場多様な製品を開発。
• 「少し作って、少し売って、また少し作る」
具ゼミ(ケーススタディ) 12
3Mの事業創造プロセス
• アイデア・ジェネレーション・フェーズ
• ビジネス・クリエーション・フェーズ
(1)社内外での技術革新、
または消費者需要の変化
(2)3Mの誰かがそれに気付く
(3)インフォーマルな結びつき
(4)正式プロジェクト
(5)プロフィット・センター
(6)製品部
(7)事業部
具ゼミ(ケーススタディ) 13
事業創造システム
• 15%のルール• ブートレッギング• ジェイネスプラン• 11番目の戒律
• スポンサーシップ• プロダクトチャンピョン
• 財務指標に関する厳しい数値
• スタートスモールキルスモール
• 社員に規律を与え、行き過ぎを抑える
具ゼミ(ケーススタディ) 14
3Mの事業創造のありかた
• ニッチ市場への製品展開-5万点にも及ぶ製品、主力製品がない-
• 3M
• テクノロジープラットフォームに基づく新製品開発プロジェクト
• 新たな事業創造の提案
• 事業ドメイン拡張
• 一般他社
• CEOのリーダーシップ
• 事業ドメインの決定
• 新たな事業創造
具ゼミ(ケーススタディ) 15
3Mの事業創造を支える仕組み
• 自立を促進する仕組みと組織文化
• 15%ルール• ブートレッギング• 11番目の戒律• 失敗の許容• テクニカルフォーラムなど• 研究者の自立と規律
• 財務指標• 売上高利益率• 売上高成長率
具ゼミ(ケーススタディ) 16
国際業務
• 現在の3Mは、国際業務が全体売り上げの40%を占める多国籍企業である。
• 1920年代末、米国製品に対する貿易障壁に対抗して3Mをはじめとする研磨剤メーカーにより持株会社デュレックス・コーポレーションが設立された。
• デュレックス・コーポレーションは、1950年に解体され、3つの子会社と1つの資産が3Mに売却された。
• 国際市場に大規模に参入することは危険とされていたが、デュレックス・コーポレーションへの参加が評価され、正式に国際事業部として国際事業に参加することとなった。
具ゼミ(ケーススタディ) 17
• 初めは、輸出をしてきたヨーロッパの先進国に独自の拠点を設立した。
• この時、独自の拠点を置くことで、売り上げが急速に上昇することを学んだ。
• 3Mドイツでは、安価な手動コピー機がドイツ市場で売れると早くから気づき、製品開発を行いヒット商品とした。
• 3Mフランスでは自国の文化に合わせて、新しい部署を設置したりした。
• 現在、50ヶ国以上に子会社を持ち、3万7千人の海外従業員がいる。
• 子会社は経済発展の度合いの異なる地域にあり、進出した時期も異なるため、規模も内容も異なる。
• これらの国際事業の運営は「自律性」「シナジズム」という3M全体に浸透している哲学のようなものによって支えられてきた。
具ゼミ(ケーススタディ) 18
• 海外子会社の操業が始まれば、設立時に派遣された米国3M社員は、現地の人に全面的に任せる。
• 3Mは海外進出の際は、必ず長期滞在のつもりでいる。そのため、子会社は、自ら生産・資金繰りを行い、長期的の成長のポテンシャルを持つ業務構造を確立して、 「自律性」を確保しなければならない。
• 1997年には本社に1300本、本社からは3000本もの出張があった。フェイス・トゥー・フェイスのコミュニケーションでアイディアを交換し、創造性を生み出している。また、力を合わせ、困難を乗り越えるということも学ぶのである。
• 各々独自に市場に適応していくとともに、相互協力を活発に行っているというのが、3Mの国際業務の特徴である。
具ゼミ(ケーススタディ) 19
3Mファミリー
• 3Mの経営の目標は、よりよいサービスを提供するために、従業員の個人の尊厳と価値を認め、イニシアチブ奨励し、努力を貢献に公正に応じていくことである。
• 3Mが規模と収益を伸ばした主な基盤は、社内ベンチャーで開発した新規事業である。ゆえに3Mは失敗に寛容な企業といわれる。
• 「汝、新製品のアイディアを殺すなかれ」とベンチャーを支援できる体制を整えている。
• アイディアを持つ人は、部署に関わらず、人と資金を集めることができ、認可されれば、プロジェクト・チームとして通常職務を離れて、新製品の開発に専念できる。
• プロジェクトが撤退しても、メンバーにはもとの地位が保証されて、一人一人の創意、活力、挑戦が会社の成長の担い手であることを認めている。
• 3Mには数々の優秀な社員の逸話や理念が語られている。
• これらの逸話や理念は、社員を鼓舞するとともに、社員に共通理念を植え付ける。価値観を共有することで生まれる連帯感により、情報共有の意識や社への貢献度が高まる。そのため、テクニカルフォーラムなどが活発に有効に行われている。
具ゼミ(ケーススタディ) 20
• テーマごとのミーティングや、功績のあった者への表彰なども盛んに行い、授業料貸与制度や、ダブル・ラダー・システムなど、従業員のやる気を奨励、補助する制度が設けられている。
• 就業時間の15%を自分の関心領域に当てられる15%ポリシーなど3Mの代表的なシステムも、従業員の意欲の高さと、会社への信頼関係によって支えられているのである。
• 3Mの離職率はきわめて低く、熟練した技術を手放すことなく、積極的な研究が行える。
具ゼミ(ケーススタディ) 21
失敗への対応
• 組織や構造によってつくられた組織の枠組みに抜け道・抜け穴をつくる
インフォーマルな結びつきがある。ビジネス・センスの徹底社員の雇用を守る
具ゼミ(ケーススタディ) 22
成功要因
• 事業成功に必要なエクサイトメントがある• 既存の設備を利用し、大規模な設備投資はしない
• 企業家・技術者がプロダクト・チャンピオンを目指している
具ゼミ(ケーススタディ) 23
参考資料
• 住友3Mホームページ
-http://www.mmm.co.jp/-5月27日
• 『組織能力を活かす経営』
河合篤男、伊藤博之、山路直人、山田幸三
中央経済社、2004