UXってウチのサイトに関係あるの?
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2014年11月13日 Web担当者Forumミーティング 2014秋 東京コンベンションホールにてTRANSCRIPT
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千葉工業大学 デザイン科学科 Chiba Institute of Technology Department of Design 安藤 昌也
UXってウチのサイトに関係あるの? Web担当者Forumミーティング2014
2014年11月13日
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千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。NTTデータ通信(現、NTTデータ)を経て、1998年 アライド・ブレインズ株式会社の取締役シニアコンサルタント。早稲田大学、国立情報学研究所、産業技術大学院大学など経て、2011年より現職。博士(学術)。専門は、人間中心デザイン。UX(ユーザ体験)の研究者。人間工学ISOの国内委員、人間中心設計推進機構 (HCD-net)理事を務める。認定人間中心設計専門家 / 認定専門社会調査士
安藤 昌也 ANDO Masaya, Ph.D.
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私のコンサル時代=“ユーザを理解し翻訳する仕事”
Workの現場をを観る
ユーザの利用環境をを観る
消費者・ユーザの意識価値観を理解する
ユーザの利用状況を理解する
とにかく 現場のユーザを観よ!
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国内唯一のHCD専門学術プログラムの提供
n 履修証明プログラム 「人間中心デザイン」 プログラムディレクタ 5年間で150名を超える 修了者を輩出
AIIT UX
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UX王子・・・とか
(http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/12/24/16660 2013年12月24日)
ありがたいですが恥ずかしいです。。。
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UXってウチのサイトに 関係あるの?
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Web担当者は忙しい・・・
n 傍目にはUXDの先進企業と目される某社も、内実は、、、
A/B テスト
多デバイス 対応
アクセス 解析
「ユーザーのことを考えて やってます・・・」
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あなたは本当のユーザーを 生のユーザーを見てますか?
KPI中心設計
“最適化”といいますが 何に最適化していますか?
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“KPI中心設計”がダメではない。ただ、、、
n 実のところ、ちょっとでもユーザーのことを考えた施策をやれば儲かります。きっとあなたが担当者のうちは、
既存のサービスを前提にKPIを見ながら施策を打つ場合、どうしても収穫逓減が起こる
→施策に対する限界費用の増加、平均費用の増加
今、担当者だけでなく 経営者が考えるべきことは何か?
真にユーザーの体験を考えたサービス設計をしなければならない時は必ずやってくる
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UXデザインは
顧客中心という
ビジネスの当たり前に
真摯に向き合うこと
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突然ですが! あなたは、飲食店の経営者です
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多様な飲食店ひしめく世界
n あなたの街には、ホテルにある高級レストランから街の食堂、居酒屋、屋台もある。店でのマナーも、世界共通のものから国内独自の作法まで多様。
いろいろな飲食店、競合ひしめく街の中で、あなたは、純日本式の和食の食堂を経営しています。庶民的なお店で、ガイドブックにも載っています。
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顧客は様々
n ガイドブックのせいか、外国人の旅行者も多く来る。もし以下4種類の客が来た場合、本当に顧客の事を考えると何をしたら喜ばれるだろうか?
海外旅行者A 海外旅行者B 国内旅行者 近所の人
ガイドを見て来た男女の外国人
別の店に行こうとして間違って来た
一人の外国人
ふらっと入った出張中の
サラリーマン
すでに顔なじみの 近所の男性
その場(短期的)では、どんな対応をするのが彼らが喜ぶことだろうか?
長い目(長期的)で見て、どんな対応するのが顧客にとってもお店にとってもよいのだろうか?
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ユーザの期待と満足・信頼の形成
n ユーザーの期待を理解し、必要に応じてその期待の調整を促す。それが、サイトのUXを高めることにつながる。
吊呉吝各吐吟
期待形成
サイト内での体験
期待の 調整
満足・信頼 の形成
調整OKなら
理解 利用
WEBの利用におけるユーザの心理的変遷の模式図
源泉
(
長期的
影響力)
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二重コンテキストモデル:WEBとユーザの関わり
n WEBにおいてユーザーは、二重コンテキストの中で行為を行っている。両者の橋渡しにユーザーの経験の蓄積がある。
コンテキストシフト
生活世界における
コンテキスト
ネット世界における コンテキスト
UX-①
UX-②
UX-③
いわゆるWEB業界で言われるUX。短期的な利用体験
WEBを使う理由や状況。期待形成のさらに元となる状況。
WEBに対する満足や信頼の蓄積。新たな期待の源泉。
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真にユーザーと向き合うために
UX・UXDを改めて理解する
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“ユーザーエクスペリエンス”~ ISO9241-210
ワクワク 楽しい
ドキドキ!
ユーザーの反応
(1) UXは、製品やシステム、サービスの使用前から使用中、そして使用後という、利用体験の時間の流れの中で、ユーザーが感じる様々な反応や認識する価値である
(2) UXは、製品・システムやサービスの特性(ブランドイメージ、外観、機能、性能など)だけではなく、ユーザーの内的状態(態度、スキル、パーソナリティ)および利用の文脈によって影響される
(参考:ISO9241-210)
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コンテキスト
UXとユーザビリティ
インタラクティブ製品 相互作用
モノサイド ユーザサイド
有効さ・効率 ユーザビリティ 満足度
ユーザエクスペリエンス
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UXなんて難しくない
サプライズパーティーだって
立派なユーザー体験だろ
http://www.balloonsbirthdayparty.net/surprise-party/
?
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“体験”そのものはユーザーの個人的なもの
インダストリアル・デザインとしてのUXD
UXD
UX どんな“体験”をしてもらうか
計画すること
体験が量産・再生産される仕組みを作ること
UXD
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ユーザー体験の構造 ~メンタルモデル精緻化仮説(安藤, 2011)
n UXは、ユーザーの生活における意味=経験価値が、様々なタッチポイントで形成されていく。
利用エピソード
ユーザーにとっての製品意味・位置づけ
経験価値
時間
理解 意欲 理解 意欲 理解 意欲
利用エピソード
利用エピソード
利用エピソード
強化
意欲(期待)
調整
タッチポイント タッチポイント タッチポイント タッチポイント
・・・
ワクワク!
うれしい!
ありがたい!
楽しいな
(メンタルモデル精緻化仮説, 安藤,2011)
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UXDの品質に影響する3要素と2つの設計対象
価値発見
価値実現
価値伝達
× ×
タッチポイント全体の体験の設計
製品・サービスの体験設計
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UXDの3つのポリシー
① 体験価値に基づく“体験コンセプト”を明確に定めること• 1つ1つのプロダクト(製品・サービス)のコンセプトよりも上位
に、提供する体験価値に基づくコンセプトを定義する • 体験コンセプトが、提供企業の文脈と沿っていることが大事
② ユーザーの理想的体験を先に設計すること• 機能の詳細の検討よりも前に、ユーザーの体験(アクティビ
ティ)を設計する。そこからブレイクダウンしてプロダクトを設計する
③ 設定した価値に沿ったインタラクションを作りこむ• 体験価値はインタラクションの結果としてユーザーが知覚す
るもの。インタラクションが価値に沿ったものか、繰り返し評価しながら作りこむことが大事。
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UXをデザインするための諸手法
l ユーザー行為の観察/エスノグラフィ l インタビュー/フォトエッセイ/日記法 l KA法/上位下位分析法/KJ法/メンタルモデル
ダイアグラム l ペルソナ/エンパシーマップ l 問題シナリオ/エクスペリエンス・フィードバック法
l 発想法/アイデアソン l バリューシナリオ/ストーリーテリング
l アクティングアウト(体験スケッチ)/ロールプレイ l アクティビティシナリオ/インタラクションシナリオ l ユーザージャーニーマップ/UXマップ l 9コマシナリオ/ストーリーボード/体験ムービー
l ユーザーストーリーマッピング l ペーパープロトタイピング/オズの魔法使い l サービスブループリント l ビジネスモデルキャンバス/CVCA l コンセプトテスト/ストーリーボーディング
ユーザー体験の把握と 体験価値の探索
ユーザー体験を実現する 製品・サービスの 評価と要件化
実現するユーザー体験と その効果の可視化
コンセプト・アイディアの発想
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UXデザインを主導する組織のあり方
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東芝デザインセンター
n 東芝デザインセンターでは、前社のUXデザイン理念とプロセスを整備。グループ会社を含めた取組みを実施。
東芝デザインセンターのUXデザイン理念
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エムティーアイ
n スマホ向けのサービスを展開するエム・ティ・アイは、“UX決裁”などもっとも組織的に進んだUXDプロセスを実践している。
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基本発想の転換
製 品サービス
従来型の発想
UXの発想
ユーザー
機能の 提供
=技術の発想・上から目線
=体験価値の発想・横(下)から目線
企 業
製 品サービス ユーザー企 業 関係
ユーザの世界観 新しい価値
製品・サービスと ユーザの関係を作る
提供企業の世界観
・課題解決 ・機能実現 ・~ができるようになった
・信頼感が増した ・やる気が高まった ・使い方を工夫するようになった
付加価値
経験価値提案
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UX・UXDに関する研究発表・講演・WSの実績
n 年間多数の研究発表・講演・WSを実施。その多くをSlideShareで公開。
http://www.slideshare.net/masaya0730