安藤研究室活動報告会「関わりのなかのUX・UXデザイン」

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Copyright © Masaya Ando 千葉工業大学工学部デザイン科学科 安藤 昌也 [email protected] 関わりのなかのUX・UXデザイン ~“価値のカタチ”の原理の探求 2014年度 安藤研究室活動報告会 2015年3月1日

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千葉工業大学工学部デザイン科学科

安藤  昌也   [email protected]

関わりのなかのUX・UXデザイン  ~“価値のカタチ”の原理の探求 

2014年度 安藤研究室活動報告会2015年3月1日

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私たちが目指すもの

エクスペリエンスデザイン計画

UX Planning UX Planning

経験の計画

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“体験”そのものはユーザーの個人的なもの

“個人”としてのUX  ・  “産業”としてのUXD

UXD

UX どんな“体験”をしてもらうか

計画すること

体験が量産・再生産される仕組みを作ること

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経験計画のヒューリスティックアプローチ    (12年度)

1.  デザインすべき経験はあなたの生活の中にある

2.  あなたや当事者の心と行為の構造に新しい経験のヒントがある

3.  新しい経験の最小単位の原理を探れ

4.  筋のよい経験の原理は構造的なコンセプトに変換できる

5.  繰り返し試すことで経験の計画は磨かれる

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安藤研・経験計画の“カタチ化”の視点 (13年度)

l  5つのレンズ(範囲)から、計画した経験=行為がもたらす関わりの範囲を意識することで、その“経験の輪郭”が見えてくる。

行為

関係

周辺

1.  心のレンズ

2.  行為のレンズ

3.  関わりのレンズ1(直接)

4.  関わりのレンズ2(周辺)

5.  場のレンズ

UXの根幹

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経験の輪郭とデザインの要点 (13年度)

l  “心”を輪郭としたデザインは、ユーザーの心理構造や心理作用の原理に基づいたデザインをする –  “心”のレンズでの検討は、経験デザインにはどんなもの

にも不可欠。

l  “直接的な関係”を輪郭としたデザインは、その関係に価値を与えるために必要なものをデザインする –  ユーザーが主体となり、直接的に関わりのある人々を巻き

込んで行われる行為を計画。

l  “周辺との関わり”を輪郭としたデザインは、関わりを持つ動機や関わる際のユーザーの役割をデザインする –  関わりのなかった主体との、新たな関わりそのものを計画。

関係のニーズは、ユーザーの外にあるが、ユーザーにも潜在的にある。

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2014年度の安藤研究室の方向性 (13年度)

l  誰かのために“やってあげる”“やってあげたくなる”要素を含んだ研究・提案

l  自分事化を促進し、人々を巻き込むための計画をいかに立案すればよいか。方法論的な研究・提案

UXデザイン → 利他的UX

ソーシャルデザイン → 巻き込む計画の方法

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安藤研究室における“関わり”のUXデザインへの挑戦

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“関わり”のUXをデザインするためのUX原理研究

l  関わりのUXデザインでは、他者に関するの情報を視覚化し 適切な行為を促すきっかけとなる原理が不可欠。

テキストコミュニケーションにおける 感情伝達を助ける動きの研究 (宮川研究)

修士修了生の2つの研究

相互援助ネットコミュニティにおける 依頼情報の伝え方とやってあげる意欲 (田中研究)

“直接的な関係”を輪郭とするUXDの原理探求:

“周辺との関わり”を輪郭とするUXDの原理探求:

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“動き”に相手の身振りを重ね心情を慮る  (宮川研究)

l  従来は動き自体が感情を想起させるとされたが、関係性の中では相手の身振りを想起させ、心情を慮ることで感情が喚起。

“感情”→“動き”表現実験

「驚き」を送り手として表現してみる

“動き”の抽出・仕様化 感情の推定評価実験

70%以上が正しい感情を想起

共通の動きから「驚き」を表現

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“動き”に相手の身振りを重ね心情を慮る  (宮川研究)

l  しかも、想起される感情と動きには3つのパラメーターがあり、その組み合わせで適切な感情を想起させられることを示した。

動きを表現として用いることで、他者の状態(感情)を関わりのきっかけとして利用可能になる

(宮川, 2015)

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仕組みの違いの理解が慮る機会を増やす  (田中研究)

l  他者への援助依頼情報が、“メッセージで届く”か“掲示板で見る”かの違いだけで、人が助けようとする意欲と行為は変化。 –  メッセージ方式の方が依頼内容を無視しない=相手を慮ろうとする

**

* *

メッセージで届く 掲示板で見る

他者の状態(要援助)を伝える仕組みを変えるだけで利他的行為を促しうる

依頼情報に対する被験者の最終行為判断

※各セルの判断は30回 (田中, 2015)

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2つの研究成果からの示唆

l  多様なモダリティによるユーザーの反応の原理を探り、他者の状況の視覚化によるきっかけ(動機)づくりの蓄積が必要。

慮る

直接的なメッセージ以外の モダリティによる他者の状況の視覚化

 =きっかけ

主要部分のUXデザイン

 =実際の行為・方法

<心の働き ⇒ 行動の動機>

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卒業研究作品における“関わり”のUXデザイン例

l  介護の現場に子供たちを巻き込むためのロボットとサービス –  UXデザインのアプローチで、“関わり”そのものをデザイン。 –  ロボットはあくまできっかけとして、子供に新たな役割を設定。要介護

者とのレクリエーションをするまでの支援サービスをデザイン。

プロトタイプでの検証の様子 コンセプトツリー

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卒業研究作品における“関わり”のUXデザイン例

l  学生たちのユニークな着想の“関わり”のUXデザイン

野球ビギナーファンが 詳しい人と一緒に球場にいって

楽しめるアプリ

デザイン科学科の学生生活を シミュレーションする

新入生ワークショップツール

学生に朝型生活へ転換する きっかけとするための “朝活”実施マニュアル

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卒業研究作品における様々なUXデザイン

l  S

ジェスチャー操作のオノマトペを再現した効果音とその効果

ファンタジーキャラクターの創作を支援する書籍の提案

漫画文庫コレクションのユーザータイプ分類とタイプに最適化できる管理ツールの提案

パーティーで参加者が楽しめる紙コップの提案

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安藤研究室のこれから

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2015年度の安藤研究室の方向性

l  幅広いレベルの“やってあげる”を実現するような提案 l  “やってあげる”・“譲ってあげる”心の構造の解明に挑む

(科研費通ったら)

l  自分事化を促進し、人々を巻き込むための計画をいかに立案すればよいか。方法論的な研究・提案 (引き続き)

l  袖ケ浦プロジェクトを実例に具体的に研究

l  “安藤研監修” UXD関連ツールの商品化 l  共同研究による新商品、展示会等のUXデザインを実施

UXデザイン研究 → 利他的UX・UXD研究を深化

ソーシャルデザイン研究 → 巻き込む計画の方法

デザイン活動 → 様々なUXデザインを実施

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巻き込むデザインとしてのソーシャルデザインの模索

l  習志野市をフィールドにしつつ、具体的なソーシャルデザインに挑戦しながら、デザインのモデルを模索。

習志野市袖ヶ浦プロジェクト ソーシャルデザインのデザイン領域と構造

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2015年度の安藤研究室の方向性

l  幅広いレベルの“やってあげる”を実現するような提案 l  “やってあげる”・“譲ってあげる”心の構造の解明に挑む

(科研費通ったら)

l  自分事化を促進し、人々を巻き込むための計画をいかに立案すればよいか。方法論的な研究・提案 (引き続き)

l  袖ケ浦プロジェクトを実例に具体的に研究

l  “安藤研監修” UXD関連ツールの商品化 l  共同研究による新商品、展示会等のUXデザインを実施

UXデザイン研究 → 利他的UX・UXD研究を深化

ソーシャルデザイン研究 → 巻き込む計画の方法

デザイン活動 → 様々なUXデザインを実施

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情報デザインウィーク2015

l  今年度から、1〜3月に行われる全国の情報デザイン系の学科、研究室の展示やイベントを統一ブランドで連携する試みを展開。来年度の本格展開に向けて、企業等の協力を募集!。

http://infodweek.webcrow.jp/

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情報デザインウィーク2015 参加団体

l  京都工芸繊維大学:櫛研究室 

l  公立はこだて未来大学:原田研究室 

l  成安造形大学:大草研究室

l  専修大学:上平研究室・望月プロジェクト 

l  千葉工業大学:安藤研究室・山崎研究室 

l  東海大学:富田研究室

l  東京都市大学:小池研究室 

l  常葉大学:安武研究室 

l  日本電子専門学校:井上研究室 

l  北海道情報大学:安田研究室                          (50音順)

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価値を観つめ未来のカタチを探す

これからの安藤研究室にご期待ください